【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の広告管理装置は、受信側の情報通信端末と、広告主側端末と、ネットワークを介して接続された広告管理装置であって、少なくとも
広告管理アプリケーションソフトウエアと、広告配信アプリケーションソフトウエアと、ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアと、広告データベースと、ユーザデータベースと、ユーザ嗜好データベースと、を備えている。
前記ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアは、前記情報通信端末からユーザが該情報通信端末を用いて閲覧したウェブサイトの分類情報を即時に受信して前記嗜好データベースに記憶された当該ユーザの嗜好情報を更新し、
前記広告配信アプリケーションソフトウエアは、所定のスケジュールごとに、予め前記情報通信端末から受信して前記ユーザデータベースに記憶された前記情報通信端末のユーザの個人情報データと、前記ユーザ嗜好データベースに記憶されたユーザの嗜好情報と、を分析し、個々のユーザごとに、該ユーザの個人情報データと、嗜好情報と、に適合する配信条件データが付加された前記広告データのみを前記広告データベースから所定数選択して生成した広告データセットを該ユーザの情報通信端末に配信し、
前記情報通信端末は、ユーザが該情報通信端末からアクセスしたウェブサイトの分類情報を、即時に前記ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアへ送信し、また配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を着信した際に、広告データセットに音声広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して着信音の替わりに又は着信音に重ねて発音させ、広告データセットに映像広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択して受信者側の情報通信端末に表示される発信者情報とともに表示させることを特徴とする。
【0013】
本発明では概ね、広告管理装置から情報通信端末に配信されるのは所定数の音声広告データと映像広告データ(以下、本明細書では単に「広告データ」とも称する)とからなる広告データセットに有利な点がある。本発明の一つの広告データセットの合計データ量は、一般的なスマートフォン等のメモリを過度に圧迫しない程度とし、今後の情報通信端末のメモリ容量の拡大に応じて適宜前記広告データの所定数合計を増加可能である。以下、具体的に説明する。
【0014】
また、本広告管理装置は、所定のスケジュール、例えば発着信の頻度が高いユーザは数十分ごとに、発着信の頻度が低いユーザは数日ごとに、広告配信サーバが生成した新たな広告データセットを情報通信端末に配信し、情報通信端末は新たな広告データセットにより前回配信済みの古い広告データセットを更新する。この際、広告配信アプリケーションソフトウエアは、情報通信端末ごとにそのユーザの嗜好情報に適合する広告データを広告データベースからランダムに選択して広告データセットを生成するため、特定のユーザの情報通信端末には当該ユーザの嗜好情報に適合する広告データのみからなる広告データセットが配信されることとなり、しかも、広告データの構成は、例えばユーザの発着信頻度に応じて数十分から数日ごとにランダムに変更される。
【0015】
広告配信アプリケーションソフトウエアが、ユーザの嗜好情報に適合する広告データのみを広告データベースから選択して広告データセットを生成する工程は次の通りである。
【0016】
本発明に係る広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムを導入するユーザは、予め自己の情報通信端末からインターネットを介して広告管理装置にアクセスし、広告管理装置が提供する情報通信端末用アプリケーションソフトウエアをダウンロードして自己の情報通信端末にインストールする。その際、ユーザは、アクセス画面に表示されるインターフェイスを通じて自己の個人情報を広告管理装置に送信し、広告管理装置は当該個人情報をユーザデータベースに登録する。かかる個人情報としては、例えばユーザの氏名(実名)、性別、生年月日、現住所を必須情報とし、それ以外に任意情報として、職業(学生の場合学校の分類)、家族構成、勤務又は就学先の住所(市区町村レベルで可)、趣味、関心の高いジャンル等である。必須情報は、後述する広告データ視聴の報酬をユーザに提供する際の本人確認のために必要な情報として用いてもよい。また、受け取った任意情報の内、趣味及び関心の高いジャンル等の情報は、当該ユーザの嗜好情報としてユーザ嗜好データベースに記憶する。
【0017】
一方、広告主側は、予め本発明に係る広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムに出稿したい広告データを制作した上で、広告主側端末からインターネットを介して広告管理装置にアクセスし、広告管理アプリケーションソフトウエアが提供するインターフェイスを通じて広告データをアップロードする。その際、広告主側は、広告データごとに配信条件データ、すなわち該広告データを主として配信したいユーザの性別、年齢、職業、趣味、関心の高いジャンル、居住地、就業又は就学地等の情報に優先順位を付してインターフェイスに入力し、広告管理アプリケーションソフトウエアに送信する。さらに、広告主側は、当該広告データについて支払い可能な広告料の上限額を設定した広告料データを併せて広告管理アプリケーションソフトウエアに送信するとともに、別途当該上限額を広告管理装置の運営者に対して支払う。かかる支払は広告出稿時に前払いした場合はいわゆる「デポジット」となるが、必ずしも前払いに限られるものではない。広告管理アプリケーションソフトウエアは、アップロードされた広告データに、前記配信条件データ及び広告料データを付加して広告データベースに記憶することができる。
【0018】
広告配信アプリケーションソフトウエアは、所定のスケジュール、例えばユーザの発着信頻度に応じて数十分から数日ごとに、個人情報データベースと、ユーザ嗜好データベースと、広告データベースと、を分析し、個々のユーザごとにその個人情報と、嗜好情報と、に適合する配信条件データが付加された広告データを所定数、広告データべースからランダムに選択して広告データセットを生成する。その際、広告配信アプリケーションソフトウエアは、まず、すべての配信条件データから個人情報と、嗜好情報と、に適合する広告データを優先的に候補とし、それが存在しない場合は、前記優先順位の高い配信条件が適合する広告データから順に候補とし、候補数が所定数を上回る場合は、例えば乱数表によりランダムに所定数を選択して広告データセットを生成する。生成された広告データセットは広告配信アプリケーションソフトウエア内にユーザごとに一時保持され、情報通信端末からの配信要求を待つ。
【0019】
情報通信端末が、所定のスケジュールごとにインターネットを介して広告管理装置に対して広告データセットの配信要求を送信すると、これを受信した広告管理装置は情報通信端末を認証してユーザを特定し、広告配信アプリケーションソフトウエアは、該当するユーザの情報通信端末にその時点で保持していた最新の広告データセットを配信する。情報通信端末は、配信された広告データセットにより、記憶している前回の広告データセットを上書きして記憶し、通話の発信又は受信を待つ。
【0020】
なお、多数のユーザが登録されている場合であっても、広告配信アプリケーションソフトウエアによる広告データセットの生成と情報通信端末への配信は必ずしも同時に行う必要はない。広告配信アプリケーションソフトウエアは、個々のユーザごとに広告データセットの生成と配信のサイクルに時間差を設けて順次処理を繰り返すことにより、広告配信アプリケーションソフトウエアへの負荷の集中を避けることができる。それでも負荷が集中する場合には、一時的に処理サイクルの時間を遅らせることを可能として負荷の分散を図ることができる。
【0021】
ユーザが、第三者から情報通信端末に通話着信を受けると、情報通信端末は記憶している広告データセット内の広告データを選択した場合、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、着信音の代わりに、あるいは着信音に重ねて発音させ、広告データセット内の映像広告データを選択した場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、情報通信端末のディスプレイに発信者情報とともに表示させる。この際、広告データは、情報通信端末がランダムに選択するが、次回発信の際に同じ音声広告データが連続して発音されないよう、一度発音または表示された広告データは広告データセットが更新されるまで、選択の際に優先度を下げるよう設定することが望ましい。
【0022】
また、前記広告管理装置は、再生履歴データベースを備え、
前記情報通信端末において、発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを受信し、広告履歴データを再生履歴データベースに記憶するとともに、前記広告管理アプリケーションソフトウエアに通知し、前記広告管理アプリケーションソフトウエアは、前記広告データベース内の該当する広告データに付加された前記広告料データの広告料の残額を更新し、前記広告配信サーバは、前記広告データセット生成のための広告データの選択にあたり、個々の広告データの前記広告料の残高がなくなった時点で当該広告データを選択対象から除外してもよい。
【0023】
本発明の広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムは、広告主側から徴収する広告料をその運営の原資とするものであるが、広告主側にとって広告料の料金体系は、自らが出稿した広告データが確実に当該広告のターゲットに該当するユーザに視聴された場合にのみ広告料が発生する、いわゆる「成功報酬型」であることが望ましい。一方、システム運営者側にとっては、広告データが視聴されて実際に広告料が発生する都度広告主側にそれを請求するのでは事務的に煩雑であり、システムの運営コストも高くなる。そのため、本広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムにおいては、予め広告主側が出稿した広告データごとに支払可能な広告料の上限を定めて前払い(デポジット)しておき、広告料が発生する都度自動的にデポジット金額を減少させ、残高がなくなった時点で当該広告データの配信を停止するという処理が望ましい。
【0024】
そこで、情報通信端末は、広告データを発音又は表示させる都度、当該広告データを特
定する広告履歴データを生成し、インターネットを介して広告管理装置に送信し、広告管理装置は、受信した広告履歴データを再生履歴データベースに記録することができる。
【0025】
広告管理アプリケーションソフトウエアは、所定時間毎に再生履歴データベースを参照し、新たな広告履歴データを検出した場合、視聴された広告データを特定し、広告データベース内の個々の広告データに視聴履歴を追加するとともに広告料データの残高を減額して更新する。更新の結果残高がなくなった場合、広告配信アプリケーションソフトウエアが次回の広告データセット生成のために広告データを選択する際に、当該広告データは選択対象から除外される。
【0026】
以降、残高がなくなった広告データは選択されず、情報通信端末に配信されなくなるが
、広告主側が当該広告データにつき追加の広告料を支払い、広告管理アプリケーションソフトウエアが当該広告データに付加された広告料データの残高を復活させた場合は、次回の広告データセット生成から再び当該広告データを選択の対象とすることができる。
【0027】
なお、広告主側は、広告主側端末から随時広告管理アプリケーションソフトウエアにアクセスして再生履歴データベースを参照することで、アクセス時点において自己の出稿している広告データの視聴履歴及び広告料データの残額を確認することが可能となる。
【0028】
また、前記広告管理装置は、
報酬計算アプリケーションソフトウエアと、報酬データベースと、を備え
受信した広告履歴データを前記報酬計算アプリケーションソフトウエアにも通知し、前記報酬計算アプリケーションソフトウエアは、通知された広告履歴データに基づき、情報通信端末ごとの広告データの視聴に対する報酬額を計算し、前記ユーザデータベース内に該当するユーザの個人情報にリンクさせる形で前記報酬データベース内に当該報酬額を記録することができる。
【0029】
呼出音広告や着信画像広告は、いずれも情報通信端末による通話の受発信に不可欠の機
能ではなく、むしろ広告の視聴を強制される性質のサービスであるから、ユーザにとって
はなんらかのインセンティヴ、すなわち報酬がなければ普及・定着させにくい。一方、広
告主はユーザに広告を視聴させることで最終的に販売促進等の利益が期待できる。そこで
、広告主側から徴収した広告料の一部を実際に広告データを視聴したユーザに報酬として還元すれば、ユーザの積極的な利用を図ることができる。
【0030】
そこで、本発明では、報酬計算アプリケーションソフトウエアが前記広告履歴データを受信する都度、情報通信端末ごとの広告データの視聴に対する報酬額を計算し、ユーザデータベース内の個人情報にリンクさせる形で前記報酬データベースに最新の報酬額を記録して残高を更新する。かかる報酬額の残高は、情報通信端末のブラウザ機能によって、リアルタイムにディスプレイ画面上に表示させることが可能となる。これによりユーザは、通話を発信又は受信する都度、報酬額残高が増加していく状況を確認できるため、本サービスの利用が促進される。
【0031】
前記広告データは、インターネット上の特定のウェブページと関連付けられた広告IDデータを含み、前記情報通信端末は、ディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、広告データを発音又は表示中、あるいは発音又は表示終了後に該クリップボタンが操作されると、前記広告データの前記広告IDデータが前記情報通信端末に記憶され、
記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブページにインターネットを介してアクセスが可能となってもよい。
【0032】
呼出音広告・着信画像広告のいずれも、情報通信端末での通話の受発信の際の短い時間
にしか発音・表示されない。これらを視聴したユーザが広告に関心を持った場合でも、同
じ広告データが次にいつ発音・表示されるかは知り得ないが、ユーザが任意に視聴したば
かりの広告の広告主側が展開するウェブサイト等に情報通信端末からただちにアクセスする手段が用意されていれば、広告主側にとって高い広告効果が期待できる。
【0033】
そこで、情報通信端末に呼出音広告又は着信画像広告を発音又は表示した直後から一定
時間、ディスプレイ画面上にクリップボタンを表示させ、広告に関心を持ったユーザが例
えば通話開始前あるいは通話終了後にクリップボタンを操作することにより、当該広告を
記憶させるようにする。
【0034】
ユーザは、随時かかるクリップのリストを表示させ、所望の広告クリップを指定するこ
とで特定のウェブサイトに直接アクセスできる。これにより、ユーザは、広告内容に関す
るより詳しい情報を入手したり、気に入ったCMソングを再度聴いたりダウンロードした
りすることが可能となる。
【0035】
また、本情報通信端末用アプリケーションソフトウエアは、
前記広告管理装置から配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を着信した際に、広告データセットに音声広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して着信音の代わり、または着信音に重ねて発音させ、広告データセットに映像広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択してユーザの情報通信端末に表示される発信者情報とともに表示させることを特徴とする。
【0036】
前記情報通信端末に発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを前記広告管理装置に送信させることを特徴とする、情報通信用アプリケーションソフトウェアであることが好ましい。
【0037】
前記情報通信端末が広告データを発音又は表示している最中あるいは発音又は表示終了後に前記情報通信端末はディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、ユーザが該クリップボタンを操作することにより、当該広告データの前記広告IDデータを前記情報通信端末に記憶させ、その後、ユーザが記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブサーバにインターネットを介してアクセス可能とすることを特徴とする、情報通信端末用アプリケーションソフトウェアであってもよい。
【0038】
従来のキャリアによる登録型ネットワークサービスとしての呼出音広告システムでは、広告データをキャリア側のサーバが通話の都度、情報通信端末に配信するもの
であるのに対し、本発明の広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムでは、広告配信アプリケーションソフトウエアが生成した広告データセットを定期的に情報通信端末に配信し更新する、いわゆるパッチ処理の方式を採用してもよい。
【0039】
そのため、受信した所定の形式の広告データセットを情報通信端末に記憶させて更新し、通話受発信の際に発音・表示させるとともに、やはり所定の形式の広告履歴データを広告管理装置に送信する処理を行うアプリケーションソフトウェアをスマートフォン等にインストールすることで、直ちに当該スマートフォン等を、本広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムを構成する情報通信端末として利用できる。
【0040】
すなわち、スマートフォン等に搭載されたオペレーションシステムで稼働するアプリケ
ーションソフトウェアを用意すれば、キャリアや情報通信端末の機種の違い等を問わずあ
らゆる情報通信端末に本発明の広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムを適用することが可能となる。