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特開2016-102968広告管理装置及び情報通信端末用アプリケーションソフトウエア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-102968(P2016-102968A)
(43)【公開日】2016年6月2日
(54)【発明の名称】広告管理装置及び情報通信端末用アプリケーションソフトウエア
(51)【国際特許分類】
   G09F 27/00 20060101AFI20160502BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20160502BHJP
   G09F 19/00 20060101ALI20160502BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20160502BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20160502BHJP
   H04M 3/487 20060101ALI20160502BHJP
   G09F 25/00 20060101ALI20160502BHJP
【FI】
   G09F27/00 Z
   G06Q30/02 150
   G09F19/00 Z
   G06F13/00 540P
   H04M3/42 Q
   H04M3/42 R
   H04M3/487
   G09F25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-242409(P2014-242409)
(22)【出願日】2014年11月28日
(71)【出願人】
【識別番号】516038265
【氏名又は名称】中原 愛子
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 瑛人
(72)【発明者】
【氏名】多賀谷 康司
【テーマコード(参考)】
5B084
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AA12
5B084AB35
5B084BA02
5B084BB15
5B084CC10
5B084CC14
5B084CE03
5B084CF12
5B084CF13
5B084DB08
5B084DC02
5K201BA07
5K201BC11
5K201BC30
5K201CA10
5K201CB13
5K201CB16
5K201CC01
5K201EC06
5K201ED05
5K201EF01
5K201EF07
5K201EF09
5K201FA07
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】本発明は、広告音声映像配信システムの構築を可能とする、広告管理装置及び情報通信端末用アプリケーションソフトウエアを提供する。
【解決手段】本広告管理装置は、受信側の情報通信端末と、広告主側端末と、ネットワークを介して接続されている。本広告管理装置は、少なくとも広告管理アプリケーションソフトウエアと、広告配信アプリケーションソフトウエアと、ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアと、広告データベースと、ユーザデータベースと、ユーザ嗜好データベースと、を備えている。ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアは、前記情報通信端末からユーザが該情報通信端末を用いて閲覧したウェブサイトの分類情報を即時に受信して前記嗜好データベースに記憶された当該ユーザの嗜好情報を更新する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信側情報通信端末と、広告主側端末と、ネットワークを介して接続された広告管理装置であって、少なくとも
広告管理アプリケーションソフトウエアと、広告配信アプリケーションソフトウエアと、ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアと、広告データベースと、ユーザデータベースと、ユーザ嗜好データベースと、を備え、
前記広告管理アプリケーションソフトウエアは、前記広告主側端末から送信された音声又は映像あるいはその両方から成る広告データと、広告スケジュール情報と、配信条件データと、広告料データと、を受信した上で、前記広告データに前記配信条件データ及び前記広告料データを付加して前記広告データベースに記憶し、
前記ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアは、前記情報通信端末からユーザが該情報通信端末を用いて閲覧したウェブサイトの分類情報を即時に受信して前記嗜好データベースに記憶された当該ユーザの嗜好情報を更新し、
前記広告配信アプリケーションソフトウエアは、所定のスケジュールごとに、予め前記情報通信端末から受信して前記ユーザデータベースに記憶された前記情報通信端末のユーザの個人情報データと、前記ユーザ嗜好データベースに記憶されたユーザの嗜好情報を分析し、個々のユーザごとに、該ユーザの個人情報データと、嗜好と、に適合する配信条件データが付加された前記広告データのみを前記広告データベースから所定数選択して生成した広告データセットを該ユーザの情報通信端末に配信し、
前記情報通信端末は、ユーザが該情報通信端末からアクセスしたウェブサイトの分類情報を、即時に前記ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアへ送信し、また配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を着信した際に、広告データセットに音声広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して着信音の替わりに又は着信音に重ねて発音させ、広告データセットに映像広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択して受信者側の情報通信端末に表示される発信者情報とともに表示させることを特徴とする、広告管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の広告管理装置は、再生履歴データベースを備え、
前記情報通信端末において、発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを受信し、広告履歴データを再生履歴データベースに記憶するとともに、前記広告管理アプリケーションソフトウエアに通知し、前記広告管理アプリケーションソフトウエアは、前記広告データベース内の該当する広告データに付加された前記広告料データの広告料の残額を更新し、前記広告配信サーバは、前記広告データセット生成のための広告データの選択にあたり、個々の広告データの前記広告料の残高がなくなった時点で当該広告データを選択対象から除外することを特徴とする、請求項1に記載の広告管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の広告管理装置は、
報酬計算アプリケーションソフトウエアと、報酬データベースと、を備え
受信した広告履歴データを前記報酬計算アプリケーションソフトウエアにも通知し、前記報酬計算アプリケーションソフトウエアは、通知された広告履歴データに基づき、情報通信端末ごとの広告データの視聴に対する報酬額を計算し、前記ユーザデータベース内に該当するユーザの個人情報にリンクさせる形で前記報酬データベース内に当該報酬額を記録することを特徴とする、広告管理装置。
【請求項4】
前記広告データは、インターネット上の特定のウェブページと関連付けられた広告IDデータを含み、前記情報通信端末は、
ディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、広告データを発音又は表示中、あるいは発音又は表示終了後に該クリップボタンが操作されると、前記広告データの前記広告IDデータが前記情報通信端末に記憶され、
記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブページにインターネットを介してアクセスが可能となることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の広告管理装置。
【請求項5】
前記広告管理装置から配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を着信した際に、広告データセットに音声広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して着信音の代わりに発音させ、広告データセットに映像広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の
広告データセットから一つの映像広告データを選択してユーザの情報通信端末に表示される発信者情報とともに表示させることを特徴とする、情報通信端末用アプリケーションソフトウェア。
【請求項6】
前記情報通信端末に発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを前記広告管理装置に送信させることを特徴とする、請求項5に記載の情報通信用アプリケーションソフトウェア。
【請求項7】
前記情報通信端末が広告データを発音又は表示している最中あるいは発音又は表示終了後
に前記情報通信端末はディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、ユーザが該
クリップボタンを操作することにより、当該広告データの前記広告IDデータを前記情報
通信端末に記憶させ、その後、ユーザが記憶された前記広告IDデータにより前記情報通
信端末から前記特定のウェブサーバにインターネットを介してアクセス可能とすることを
特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の情報通信端末用アプリケーションソフトウェ
ア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告音声映像配信システムの構築を可能とする、広告管理装置及び情報通信端末用アプリケーションソフトウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に携帯電話機等の情報通信端末による通話サービスにおいては、携帯電話サービス会社(以下、本明細書では単に「キャリア」とも称する。)が、発信者端末からの発信を受けて受信者端末を呼び出す間に、発信者端末に送信する呼出音とともに、通話を受ける受信者が予め選択して設定した特定の音楽等を配信する呼出音楽システムが導入されている。こうした呼出音楽システムとしては「メロディーコール(登録商標)」や「待ちうた(登録商標)」などが知られており、一般的には発信者端末から聞こえる呼出音に重ねて音楽が流れる。
【0003】
呼出音楽システムは、キャリアのサーバが提供する登録型ネットワークサービスであり、受信者は受信者端末からキャリアにインターネット等のネットワークを介してアクセスして契約手続を行い、キャリア側のサーバ上に予め用意された音楽の中から所望のものを選択して設定する。
【0004】
近年では、例えば特許文献1(特開2009−213100号公報)に示されるように、単なる音楽ではなく、企業の広告CMソング等の楽曲や、楽曲に音声広告を重ねた広告音響を配信する呼出音広告も提案されている。図1は、このような呼出音広告のシステム構成を示す概念図である。
【0005】
ただ、呼出音楽システムの呼出音広告への利用は、発信者に対して呼出音広告を強制的に聴かせるものであるため、広告を聴きたくない発信者には必ずしも歓迎されない場合がある。しかし、呼出音広告の視聴を事前に了承した発信者側の情報通信端末に予め広告データを配信して記憶させておき、発信者が第三者に通話を発信した際に、相手方が応答するまでの呼出中に記憶させた広告データを聴かせるのであれば問題はない。
【0006】
また、呼出音楽システムを利用した呼出音広告は、キャリアのサーバから提供される登録型ネットワークサービスであるため、異なるキャリアを利用する情報通信端末からの発信に対しては呼出音広告を配信できない場合があるほか、誰にどんな広告が配信されるかは受信側の情報通信端末のユーザの選択設定次第となる。そのため、広告主にとっては自己の広告のターゲットとなるセグメント、すなわち自己の広告に反応する可能性の高いユーザ層に的を絞って聴かせることは困難であり、必ずしも費用対効果の高い広告手段となり得なかった。
【0007】
この点についても、特定のセグメントのユーザの情報通信端末に、当該ユーザの属性や嗜好に適合性の高い広告データのみを予め配信して聴かせることができれば高い広告効果が期待できる。ただ、情報通信端末、特にスマートフォン等では、メモリの容量の制約から予め大量の広告データを配信して記憶させておくことは困難である。かといって、限られた広告データのみを通話発信の都度繰り返し聴かされればユーザは飽きてしまい、広告上も逆効果となるおそれが大きい。
【0008】
さらに、ユーザの属性や嗜好は、経時的に変化するものである。また本発明者はユーザの嗜好というものは、そのユーザ本人が「主観的に」認識する嗜好と、「実際に(客観的に)」認識する嗜好とがあり、後者の嗜好に応じた広告を行うことが市場経済性の高い広告手段となりうることを知得した。このことから、費用対効果の高い広告を行うにはユーザの属性や嗜好の客観的な変化に機動的に対応しうる手法が今後求められることが予測される。
【0009】
特に、ユーザ嗜好の客観性について例示すると、ユーザ本人はキャンプというカテゴリを自身の嗜好と主観的に捉えていたとしても、実際には野外泊を好んでいるのか、野外料理を好んでいるのか、キャンプ用品の収集を好んでいるのか、またはグループレクリエーションを好んでいるのかまで自己認識していないケースが散見される。また、キャンプ関連商品を購入する予定であっても、実際に購入に至る商品はキャンプ以外にも使用できる日用品を概ね選択するユーザも多い。そのため、ユーザ本人が自己認識している自身の嗜好情報だけでは客観的行動としての購買傾向を反映しているとは言い難く、この問題に広告主側としては如何に対応するかが重要になってくるのは明白である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−213100号公報
【特許文献1】特開2013−9058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みて創作されたものであり、客観性、機動性を担保可能なユーザ嗜好情報を含めたより費用対効果の高い広告手段を広告主側に提供するとともに、ユーザにも一定の利益を還元することで普及・定着しやすい広告管理装置及び情報通信端末用アプリケーションソフトウエアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の広告管理装置は、受信側の情報通信端末と、広告主側端末と、ネットワークを介して接続された広告管理装置であって、少なくとも
広告管理アプリケーションソフトウエアと、広告配信アプリケーションソフトウエアと、ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアと、広告データベースと、ユーザデータベースと、ユーザ嗜好データベースと、を備えている。
前記ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアは、前記情報通信端末からユーザが該情報通信端末を用いて閲覧したウェブサイトの分類情報を即時に受信して前記嗜好データベースに記憶された当該ユーザの嗜好情報を更新し、
前記広告配信アプリケーションソフトウエアは、所定のスケジュールごとに、予め前記情報通信端末から受信して前記ユーザデータベースに記憶された前記情報通信端末のユーザの個人情報データと、前記ユーザ嗜好データベースに記憶されたユーザの嗜好情報と、を分析し、個々のユーザごとに、該ユーザの個人情報データと、嗜好情報と、に適合する配信条件データが付加された前記広告データのみを前記広告データベースから所定数選択して生成した広告データセットを該ユーザの情報通信端末に配信し、
前記情報通信端末は、ユーザが該情報通信端末からアクセスしたウェブサイトの分類情報を、即時に前記ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエアへ送信し、また配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を着信した際に、広告データセットに音声広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して着信音の替わりに又は着信音に重ねて発音させ、広告データセットに映像広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択して受信者側の情報通信端末に表示される発信者情報とともに表示させることを特徴とする。
【0013】
本発明では概ね、広告管理装置から情報通信端末に配信されるのは所定数の音声広告データと映像広告データ(以下、本明細書では単に「広告データ」とも称する)とからなる広告データセットに有利な点がある。本発明の一つの広告データセットの合計データ量は、一般的なスマートフォン等のメモリを過度に圧迫しない程度とし、今後の情報通信端末のメモリ容量の拡大に応じて適宜前記広告データの所定数合計を増加可能である。以下、具体的に説明する。
【0014】
また、本広告管理装置は、所定のスケジュール、例えば発着信の頻度が高いユーザは数十分ごとに、発着信の頻度が低いユーザは数日ごとに、広告配信サーバが生成した新たな広告データセットを情報通信端末に配信し、情報通信端末は新たな広告データセットにより前回配信済みの古い広告データセットを更新する。この際、広告配信アプリケーションソフトウエアは、情報通信端末ごとにそのユーザの嗜好情報に適合する広告データを広告データベースからランダムに選択して広告データセットを生成するため、特定のユーザの情報通信端末には当該ユーザの嗜好情報に適合する広告データのみからなる広告データセットが配信されることとなり、しかも、広告データの構成は、例えばユーザの発着信頻度に応じて数十分から数日ごとにランダムに変更される。
【0015】
広告配信アプリケーションソフトウエアが、ユーザの嗜好情報に適合する広告データのみを広告データベースから選択して広告データセットを生成する工程は次の通りである。
【0016】
本発明に係る広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムを導入するユーザは、予め自己の情報通信端末からインターネットを介して広告管理装置にアクセスし、広告管理装置が提供する情報通信端末用アプリケーションソフトウエアをダウンロードして自己の情報通信端末にインストールする。その際、ユーザは、アクセス画面に表示されるインターフェイスを通じて自己の個人情報を広告管理装置に送信し、広告管理装置は当該個人情報をユーザデータベースに登録する。かかる個人情報としては、例えばユーザの氏名(実名)、性別、生年月日、現住所を必須情報とし、それ以外に任意情報として、職業(学生の場合学校の分類)、家族構成、勤務又は就学先の住所(市区町村レベルで可)、趣味、関心の高いジャンル等である。必須情報は、後述する広告データ視聴の報酬をユーザに提供する際の本人確認のために必要な情報として用いてもよい。また、受け取った任意情報の内、趣味及び関心の高いジャンル等の情報は、当該ユーザの嗜好情報としてユーザ嗜好データベースに記憶する。
【0017】
一方、広告主側は、予め本発明に係る広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムに出稿したい広告データを制作した上で、広告主側端末からインターネットを介して広告管理装置にアクセスし、広告管理アプリケーションソフトウエアが提供するインターフェイスを通じて広告データをアップロードする。その際、広告主側は、広告データごとに配信条件データ、すなわち該広告データを主として配信したいユーザの性別、年齢、職業、趣味、関心の高いジャンル、居住地、就業又は就学地等の情報に優先順位を付してインターフェイスに入力し、広告管理アプリケーションソフトウエアに送信する。さらに、広告主側は、当該広告データについて支払い可能な広告料の上限額を設定した広告料データを併せて広告管理アプリケーションソフトウエアに送信するとともに、別途当該上限額を広告管理装置の運営者に対して支払う。かかる支払は広告出稿時に前払いした場合はいわゆる「デポジット」となるが、必ずしも前払いに限られるものではない。広告管理アプリケーションソフトウエアは、アップロードされた広告データに、前記配信条件データ及び広告料データを付加して広告データベースに記憶することができる。
【0018】
広告配信アプリケーションソフトウエアは、所定のスケジュール、例えばユーザの発着信頻度に応じて数十分から数日ごとに、個人情報データベースと、ユーザ嗜好データベースと、広告データベースと、を分析し、個々のユーザごとにその個人情報と、嗜好情報と、に適合する配信条件データが付加された広告データを所定数、広告データべースからランダムに選択して広告データセットを生成する。その際、広告配信アプリケーションソフトウエアは、まず、すべての配信条件データから個人情報と、嗜好情報と、に適合する広告データを優先的に候補とし、それが存在しない場合は、前記優先順位の高い配信条件が適合する広告データから順に候補とし、候補数が所定数を上回る場合は、例えば乱数表によりランダムに所定数を選択して広告データセットを生成する。生成された広告データセットは広告配信アプリケーションソフトウエア内にユーザごとに一時保持され、情報通信端末からの配信要求を待つ。
【0019】
情報通信端末が、所定のスケジュールごとにインターネットを介して広告管理装置に対して広告データセットの配信要求を送信すると、これを受信した広告管理装置は情報通信端末を認証してユーザを特定し、広告配信アプリケーションソフトウエアは、該当するユーザの情報通信端末にその時点で保持していた最新の広告データセットを配信する。情報通信端末は、配信された広告データセットにより、記憶している前回の広告データセットを上書きして記憶し、通話の発信又は受信を待つ。
【0020】
なお、多数のユーザが登録されている場合であっても、広告配信アプリケーションソフトウエアによる広告データセットの生成と情報通信端末への配信は必ずしも同時に行う必要はない。広告配信アプリケーションソフトウエアは、個々のユーザごとに広告データセットの生成と配信のサイクルに時間差を設けて順次処理を繰り返すことにより、広告配信アプリケーションソフトウエアへの負荷の集中を避けることができる。それでも負荷が集中する場合には、一時的に処理サイクルの時間を遅らせることを可能として負荷の分散を図ることができる。
【0021】
ユーザが、第三者から情報通信端末に通話着信を受けると、情報通信端末は記憶している広告データセット内の広告データを選択した場合、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、着信音の代わりに、あるいは着信音に重ねて発音させ、広告データセット内の映像広告データを選択した場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、情報通信端末のディスプレイに発信者情報とともに表示させる。この際、広告データは、情報通信端末がランダムに選択するが、次回発信の際に同じ音声広告データが連続して発音されないよう、一度発音または表示された広告データは広告データセットが更新されるまで、選択の際に優先度を下げるよう設定することが望ましい。
【0022】
また、前記広告管理装置は、再生履歴データベースを備え、
前記情報通信端末において、発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを受信し、広告履歴データを再生履歴データベースに記憶するとともに、前記広告管理アプリケーションソフトウエアに通知し、前記広告管理アプリケーションソフトウエアは、前記広告データベース内の該当する広告データに付加された前記広告料データの広告料の残額を更新し、前記広告配信サーバは、前記広告データセット生成のための広告データの選択にあたり、個々の広告データの前記広告料の残高がなくなった時点で当該広告データを選択対象から除外してもよい。
【0023】
本発明の広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムは、広告主側から徴収する広告料をその運営の原資とするものであるが、広告主側にとって広告料の料金体系は、自らが出稿した広告データが確実に当該広告のターゲットに該当するユーザに視聴された場合にのみ広告料が発生する、いわゆる「成功報酬型」であることが望ましい。一方、システム運営者側にとっては、広告データが視聴されて実際に広告料が発生する都度広告主側にそれを請求するのでは事務的に煩雑であり、システムの運営コストも高くなる。そのため、本広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムにおいては、予め広告主側が出稿した広告データごとに支払可能な広告料の上限を定めて前払い(デポジット)しておき、広告料が発生する都度自動的にデポジット金額を減少させ、残高がなくなった時点で当該広告データの配信を停止するという処理が望ましい。
【0024】
そこで、情報通信端末は、広告データを発音又は表示させる都度、当該広告データを特
定する広告履歴データを生成し、インターネットを介して広告管理装置に送信し、広告管理装置は、受信した広告履歴データを再生履歴データベースに記録することができる。
【0025】
広告管理アプリケーションソフトウエアは、所定時間毎に再生履歴データベースを参照し、新たな広告履歴データを検出した場合、視聴された広告データを特定し、広告データベース内の個々の広告データに視聴履歴を追加するとともに広告料データの残高を減額して更新する。更新の結果残高がなくなった場合、広告配信アプリケーションソフトウエアが次回の広告データセット生成のために広告データを選択する際に、当該広告データは選択対象から除外される。
【0026】
以降、残高がなくなった広告データは選択されず、情報通信端末に配信されなくなるが
、広告主側が当該広告データにつき追加の広告料を支払い、広告管理アプリケーションソフトウエアが当該広告データに付加された広告料データの残高を復活させた場合は、次回の広告データセット生成から再び当該広告データを選択の対象とすることができる。
【0027】
なお、広告主側は、広告主側端末から随時広告管理アプリケーションソフトウエアにアクセスして再生履歴データベースを参照することで、アクセス時点において自己の出稿している広告データの視聴履歴及び広告料データの残額を確認することが可能となる。
【0028】
また、前記広告管理装置は、
報酬計算アプリケーションソフトウエアと、報酬データベースと、を備え
受信した広告履歴データを前記報酬計算アプリケーションソフトウエアにも通知し、前記報酬計算アプリケーションソフトウエアは、通知された広告履歴データに基づき、情報通信端末ごとの広告データの視聴に対する報酬額を計算し、前記ユーザデータベース内に該当するユーザの個人情報にリンクさせる形で前記報酬データベース内に当該報酬額を記録することができる。
【0029】
呼出音広告や着信画像広告は、いずれも情報通信端末による通話の受発信に不可欠の機
能ではなく、むしろ広告の視聴を強制される性質のサービスであるから、ユーザにとって
はなんらかのインセンティヴ、すなわち報酬がなければ普及・定着させにくい。一方、広
告主はユーザに広告を視聴させることで最終的に販売促進等の利益が期待できる。そこで
、広告主側から徴収した広告料の一部を実際に広告データを視聴したユーザに報酬として還元すれば、ユーザの積極的な利用を図ることができる。
【0030】
そこで、本発明では、報酬計算アプリケーションソフトウエアが前記広告履歴データを受信する都度、情報通信端末ごとの広告データの視聴に対する報酬額を計算し、ユーザデータベース内の個人情報にリンクさせる形で前記報酬データベースに最新の報酬額を記録して残高を更新する。かかる報酬額の残高は、情報通信端末のブラウザ機能によって、リアルタイムにディスプレイ画面上に表示させることが可能となる。これによりユーザは、通話を発信又は受信する都度、報酬額残高が増加していく状況を確認できるため、本サービスの利用が促進される。
【0031】
前記広告データは、インターネット上の特定のウェブページと関連付けられた広告IDデータを含み、前記情報通信端末は、ディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、広告データを発音又は表示中、あるいは発音又は表示終了後に該クリップボタンが操作されると、前記広告データの前記広告IDデータが前記情報通信端末に記憶され、
記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブページにインターネットを介してアクセスが可能となってもよい。
【0032】
呼出音広告・着信画像広告のいずれも、情報通信端末での通話の受発信の際の短い時間
にしか発音・表示されない。これらを視聴したユーザが広告に関心を持った場合でも、同
じ広告データが次にいつ発音・表示されるかは知り得ないが、ユーザが任意に視聴したば
かりの広告の広告主側が展開するウェブサイト等に情報通信端末からただちにアクセスする手段が用意されていれば、広告主側にとって高い広告効果が期待できる。
【0033】
そこで、情報通信端末に呼出音広告又は着信画像広告を発音又は表示した直後から一定
時間、ディスプレイ画面上にクリップボタンを表示させ、広告に関心を持ったユーザが例
えば通話開始前あるいは通話終了後にクリップボタンを操作することにより、当該広告を
記憶させるようにする。
【0034】
ユーザは、随時かかるクリップのリストを表示させ、所望の広告クリップを指定するこ
とで特定のウェブサイトに直接アクセスできる。これにより、ユーザは、広告内容に関す
るより詳しい情報を入手したり、気に入ったCMソングを再度聴いたりダウンロードした
りすることが可能となる。
【0035】
また、本情報通信端末用アプリケーションソフトウエアは、
前記広告管理装置から配信された新たな広告データセットにより前回配信済みの広告データセットを更新して記憶するとともに、ユーザが前記情報通信端末により音声通話を着信した際に、広告データセットに音声広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの音声広告データを選択して着信音の代わり、または着信音に重ねて発音させ、広告データセットに映像広告データが含まれる場合は、ユーザが応答して通話が確立するまでの呼出時間中、前記更新後の広告データセットから一つの映像広告データを選択してユーザの情報通信端末に表示される発信者情報とともに表示させることを特徴とする。
【0036】
前記情報通信端末に発音又は表示させた広告データを記録した広告履歴データを前記広告管理装置に送信させることを特徴とする、情報通信用アプリケーションソフトウェアであることが好ましい。
【0037】
前記情報通信端末が広告データを発音又は表示している最中あるいは発音又は表示終了後に前記情報通信端末はディスプレイ画面上にクリップボタンを表示可能とし、ユーザが該クリップボタンを操作することにより、当該広告データの前記広告IDデータを前記情報通信端末に記憶させ、その後、ユーザが記憶された前記広告IDデータにより前記情報通信端末から前記特定のウェブサーバにインターネットを介してアクセス可能とすることを特徴とする、情報通信端末用アプリケーションソフトウェアであってもよい。
【0038】
従来のキャリアによる登録型ネットワークサービスとしての呼出音広告システムでは、広告データをキャリア側のサーバが通話の都度、情報通信端末に配信するもの
であるのに対し、本発明の広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムでは、広告配信アプリケーションソフトウエアが生成した広告データセットを定期的に情報通信端末に配信し更新する、いわゆるパッチ処理の方式を採用してもよい。
【0039】
そのため、受信した所定の形式の広告データセットを情報通信端末に記憶させて更新し、通話受発信の際に発音・表示させるとともに、やはり所定の形式の広告履歴データを広告管理装置に送信する処理を行うアプリケーションソフトウェアをスマートフォン等にインストールすることで、直ちに当該スマートフォン等を、本広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムを構成する情報通信端末として利用できる。
【0040】
すなわち、スマートフォン等に搭載されたオペレーションシステムで稼働するアプリケ
ーションソフトウェアを用意すれば、キャリアや情報通信端末の機種の違い等を問わずあ
らゆる情報通信端末に本発明の広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムを適用することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の広告管理装置及び情報通信端末用アプリケーションソフトウエアを用いた広告音声映像配信システムによれば、スマートフォン等の情報通信端末のユーザが、第三者との間で通話を発信した場合には呼出音広告が発音され、第三者からの通話を受信した場合には着信映像広告がディスプレイに表示される。広告主側は、広告のターゲット属性を指定して出稿することにより、希望するセグメントに属するユーザを選択して到達させることが可能となるため、広告効果を高めることができる。
【0042】
また、本発明の広告管理装置及び情報通信端末用アプリケーションソフトウエアを用いた広告音声映像配信システムは、キャリアや情報通信端末の機種の違い等を問わずあらゆる情報通信端末に適用可能であり、情報通信端末には最小限量の広告データのみを記憶させて所定の時間ごとにこれをランダムに更新するため、情報通信端末の記憶容量を過度に圧迫することがない。しかも、ユーザが視聴する広告が特定のものに偏ることを防ぐことができるので、ユーザを飽きさせずに広告効果を高めることができる。
【0043】
また、広告を視聴するたびに所定の報酬が得られるため、ユーザには積極的に自己の情
報通信端末に本発明の広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムを導入する動機づけを提供でき、その普及を促進することができる。一方、広告主側にとっては、ユーザが実際に自己の広告を視聴した場合にのみ広告料が発生するため、支払う広告料に無駄がなく、費用対効果の高い広告を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】既存の呼出音広告のシステム構成を示す概念図である。
図2】本発明の広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
図3】情報通信端末に広告データセットが配信される情報処理を示すフロー図である。
図4】広告データが広告データベースに格納されるまでの情報処理を示すフロー図である。
図5】広告配信サーバが広告データセットを生成して情報通信端末に配信し、さらに所定時間毎に広告データセットを更新していく工程の情報処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の広告管理装置の一実施形態について説明する。
【0046】
以下、本発明の実施の形態の一例について、図2を参照して詳細に説明する。
【0047】
図2は、本発明に係る広告管理装置を用いた広告音声映像配信システムの構成における一例を示すシステム概略図である。本広告音声映像配信システムは概ね、広告管理装置1と、広告主側端末3と、情報通信端末5と、の3つから構成される。広告管理装置1と、広告主側端末3と、はインターネット7を介して接続され、広告管理装置1と、情報通信端末5と、は基地局13を中継し、更にインターネット又は携帯電話通信網11を介して情報通信を可能とする。ただし、広告管理装置1と情報通信端末5との情報通信は、例えば3Gや4G方式での接続を想定したものであり、基地局13をいわゆるアクセスポイント又は無線ルータに置き替えて無線接続としてもよいし、情報通信端末5がパーソナルコンピュータ等である場合は有線又は無線のLAN等による接続としてもよい。
【0048】
広告管理装置1は、種々のデータ管理や計算、そして分析を行う為のアプリケーションソフトウエア部と、種々のデータの保管を行うデータベース部と、通信部14と、から構成される。アプリケーションソフトウエア部には、広告管理アプリケーションソフトウエア15、ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエア17、位置情報分析アプリケーションソフトウエア19、報酬計算アプリケーションソフトウエア21、を備えており、データベース部には、広告データベース23、ユーザデータベース25、報酬データベース27、再生履歴データベース29、位置データベース31、ユーザ嗜好データベース33、を備えている。しかしながら、構成は必ずしも物理的に独立した機器構成を限定するものではなく、一つの機器が上記のうち複数の機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0049】
情報通信端末5は多機能携帯電話(以下、本明細書では単に「スマートフォン」とも称する)を想定しており、通信部35、制御部37、記憶部39、ディスプレイ41、受話部43、さらに位置検出部45を備えている。また記憶部39は、オペレーションシステム(以下、「OS」とも称する)47を記憶して、プロセッサとして機能する制御部37により情報通信端末5を制御している。
【0050】
記憶部39は、OS47のほか、広告管理装置1との情報通信管理や広告の再生を行うアプリケーションソフトウェア49と、広告データセット50を記憶することが可能である。しかし、記憶部39は一般的なフラッシュメモリ等に限定されるものではなく、OS47においても制御部37に載置されたメモリに記憶されてもよい。広告データセット50は、複数の音声広告データ又は映像広告データあるいはその両方から成り、本実施例では、例えば、音声広告データとして1再生当たり5秒程度の長さのCMソングや音声広告と映像広告を組み合わせたCM動画、又は複数の画像から構成されるデジタルサイネージ等を、複数件で1つの広告データセットとして構成するものである。
【0051】
次に図3を用いて、情報通信端末5で使用するアプリケーションソフトウエア49のインストールと、広告データセットの送受信に係る情報処理のフローを説明する。本発明の広告管理装置1を用いた広告音声映像配信システムには、ユーザの情報通信端末5に予めアプリケーションソフトウエア49がインストールされていることが前提である。ユーザは、情報通信端末5からインターネット9又は携帯情報通信網11を介して広告管理装置1にアクセスし、ウェブサーバ(図示せず)又はそれを兼ねた広告配信アプリケーションソフト16が提供するウェブサイト等からアプリケーションソフトウエア49をダウンロードしてインストールすることとなる。同時にユーザは、該ウェブサイトのインターフェイス画面から情報通通信端末5を広告管理装置1に登録するとともに、自己の性別、年齢、職業、居住地、就業地、趣味、関心事等の個人情報を広告管理装置1に送信する。この際の情報のやり取りは非同期通信を用いるため、情報通通信端末5と、広告管理装置1と、の両方がオンライン状態である必要がなく、一時的に片方がオフライン状態になっても送受信を完了させることができる。
【0052】
広告管理装置1は、登録した情報通信端末5ごとにユーザを関連づけて個人情報をユーザデータベース25に、嗜好情報をユーザ嗜好データベースに格納する。個人情報には、広告データを視聴したユーザが受け取るべき報酬の残高を記録する報酬データが自動的に設定されるが、初期段階ではその残高はゼロである。また、ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエア17は情報通信端末5にインストールされたアプリケーションソフトウエア49からユーザが閲覧したウェブサイトの分類情報を非同期通信によって受信したうえで分析し、随時ユーザ嗜好データベース33に格納されたユーザの嗜好情報を更新するものである。
【0053】
情報通信端末5にインストールされたアプリケーションソフトウエア49は、広告管理装置1から予め配信されたスケジュールに基づいて、例えば発着信の頻度が高いユーザは数十分ごとに、発着信の頻度が低いユーザは数日ごとに、広告管理装置1にアクセスし、広告配信アプリケーションソフトウエア16に対して広告データセットの配信要求を行う。要求を受けた広告配信アプリケーションソフトウエア16は、ユーザデータベース25の個人情報から広告データセットの要求が正規ユーザであるか認証を行い、ユーザでータベース25に格納された個人情報と、ユーザ嗜好データベース33に格納された嗜好情報と、を基に、広告データセットを要求したユーザの嗜好に適合した広告データセットを生成する。生成された広告データセットは、配信アプリケーションソフトウエア16から情報通信端末5へ配信され、記憶部39に載置された広告データベース23内に記憶されることとなる。なお、アプリケーションソフトウエア49は、通話受発信時以外はバックグラウンドで動作して広告管理装置1との一連の通信処理を行うほか、ユーザの操作により随時アプリケーションソフトウエア49自身のインターフェイス画面を起動し、既得した報酬の確認と、配信された広告に関連する情報取得と、を可能とすることが望ましい。
【0054】
次に図4を用いて、広告主側端末3から広告管理装置1へ送信した広告データが広告管理装置1に載置された広告データベース23内に格納されるまでのフローを説明する。広告主側は、広告主側端末3からインターネット7を介して広告管理装置1にアクセスし、広告管理アプリケーションソフトウエア15が提供するインターフェイス画面により、個々の広告データ毎に該広告データを視聴させたいターゲット指定する。指定は、広告管理アプリケーションソフトウエア15が公開するユーザ嗜好データベースに蓄積された登録ユーザの嗜好情報から指定してもよいし、ユーザの性別、年齢、職業、居住地、就業地、趣味、関心事などの属性を個別に指定する方法や、予め広告管理アプリケーションソフトウエア15側でそれらを組み合わせて設定したカテゴリの中から選択する手法を用いてもよい。
【0055】
次に、広告主側は、広告管理アプリケーションソフトウエア15にアップロードする個々の広告データ毎に、広告スケジュール情報を広告管理アプリケーションソフトウエア15が提供するインターフェイス画面から設定する。広告スケジュール情報の設定は、広告主側がアップロードする広告が広告管理アプリケーションソフトウエア15から情報通信端末5へ配信を可能とする日時と、該広告を情報通信端末5がユーザに再生可能とする日時を指定するものである。
【0056】
次に、広告主側は、広告管理アプリケーションソフトウエア15にアップロードする個々の広告データ毎に、支払可能な広告料の上限額を広告管理アプリケーションソフトウエア15が提供するインターフェイス画面から設定する。支払可能な広告料の上限額を設定することで、所定期間にユーザの広告データ視聴により発生する広告料の累積額が上限額に達した時点で広告データが配信されないよう制限することが可能となる。広告料の支払は、上限額を予め本広告管理装置1を用いた広告音声映像配信システムの運営者(以下、本明細書では単に「運営者」とも称する)に前払いするデポジット方式としてもよいし、広告主側と運営者との契約に基づき広告主側の金融機関口座からの後日引き落とす方法を用いてもよい。また、複数の広告データを一定期間出稿する広告主側については、所定期間の広告予算総額を設定し、その範囲内で任意に個別の広告データに上限額を割り振って設定することも可能とする。
【0057】
広告主側は、配信ターゲットの指定と、広告スケジュール情報と、広告料の上限額と、の設定を完了させた後、広告主側端末3からインターネット7を介して広告管理装置1に載置内の広告管理アプリケーションソフトウエア15に広告データをアップロードする。
【0058】
次に、広告管理アプリケーションソフトウエア15は、アップロードされた個々の広告データに、広告主側が指定したターゲットを配信条件データとして付加し、また、広告主側が設定した広告料の上限額を広告料データとして付加した上で、広告データベース23に記憶する。なお、上記配信条件データは広告主側が随時広告管理アプリケーションソフトウエア15にアクセスして変更可能とする。また、広告料データは、後述の通り、広告履歴ログに広告データの視聴が記録される都度残高が減額され、広告主側が広告料を追加設定した場合は広告料データの残高も追加が可能となる。
【0059】
次に、図5を用いて、広告管理装置1がユーザの情報通信端末5より広告データセットの配信要求を受け、広告管理装置1が広告データセットを生成して情報通信端末5に配信し、さらに所定のスケジュール毎に該広告データセットを更新する情報処理のフローを説明する。広告管理装置1が、ユーザの情報通信端末5から広告データセットの配信要求を受け付けると、通信部35を介して広告配信アプリケーションソフトウエア16がこれを受け取ってユーザデータベース25の個人情報と照らし合わせて正規ユーザであるかを確認し、ユーザを特定する。広告配信アプリケーションソフトウエア16はユーザデータベース25と、ユーザ嗜好データベース33と、を参照して該当する情報通信端末5におけるユーザの個人情報、及び当該ユーザの嗜好情報を検索するとともに、広告データベース23を参照してその時点で選択可能な広告データを検索し、当該ユーザの個人情報と、嗜好情報と、に合致する配信条件データが付加された広告データを抽出する。この際、広告料データの広告料残高が不足している広告データは抽出対象から除外する。このため、残高がなくなった広告データは広告配信アプリケーションソフトウエア16による広告データセット生成の際に選択対象とならず、ユーザの情報通信端末5へ配信されることがなくなる。
【0060】
次に、広告配信アプリケーションソフトウエア16は、抽出した広告データから所定数、例えば音声広告データ5件と映像広告データ5件の合計10件を、乱数表を発生させてこれに基づきランダムに選択して広告データセットを生成し、通信部35からインターネット9又は携帯電話通信網11を介して情報通信端末3へと配信する。
【0061】
情報通信端末5は、配信を受けた広告データセットを記憶部39に載置された広告データベース23内に記憶させるが、その際、前回の配信で記憶させていた古い広告データセットがある場合には、これに新しい広告データセットを上書きする。これにより、情報通信端末5に載置された記憶部39内の広告データセットは所定のスケジュールに合わせて更新されることとなる。
【0062】
次に、情報通信端末5が、第三者の情報通信端末との間で、通話の着信の際に広告データをランダムに着信音又は該情報端末5の画面に表示させ、ユーザによる広告データの視聴履歴により広告主側への広告料金を処理する情報処理のフローを説明する。
【0063】
情報通信端末5が、第三者からユーザへの通話の着信を検出した場合、アプリケーションソフトウェア49は、記憶部39内の広告データベース23に記憶した広告データセットから乱数表に基づきランダムに1つを選択する。選択した広告データが音声広告データの場合、ユーザが通話を開始する操作を行うまでの間、音声広告データを受話部43及び情報通信端末5のスピーカーから発音させる。また、選択した広告データが動画を含む広告データの場合、ユーザが通話を開始する操作を行うまでの間、広告データの音声を受話部43及び情報通信端末5のスピーカーから発音させ、動画を情報通信端末5のディスプレイ41に再生することとなる。通話が開始されるまでの間、広告データの発音及び再生は継続させるが、この場合、選択した1つの広告データをリピートさせてもよいし、乱数表に基づいて決定したランダムな順序により記憶している広告データを順次発音及び再生させてもよい。動画の再生は相手方の発信者情報とともにディスプレイ41へ表示されるものであり、着信時に得られる従来の情報を損なわない。
【0064】
アプリケーションソフトウェア49は、ユーザによる通話終了操作を検出すると、発音又は再生させた広告データ及びそのユーザを記録した広告履歴データを作成し、広告管理装置1へ送信する。
【0065】
広告管理装置1は、受信した広告履歴データを再生履歴データベース29に登録された情報通信端末別に記録させる。一方、広告管理アプリケーションソフトウエア15は所定時間毎に再生履歴データベース29を参照し、新たに広告履歴データが記録された広告データを検出した場合、広告データベース23内の当該広告データに付加されている広告料データの残高を減少させる処理を行う。
【0066】
以上の処理結果は、広告管理アプリケーションソフトウエア15が提供するインターフェイス画面において、広告主側が出稿中の広告データ毎に発生した広告料金の累積額及び上限額までの残額を表示させて反映させる。これにより広告主側は、上記インターフェイス画面にアクセスすることで随時自身が出稿中の広告データにおける広告料の状況を確認することが可能となる。また、広告管理アプリケーションソフトウエア15に、例えば毎月末日における広告データごとの視聴履歴及び広告料データの残額を記載した月次報告書を自動的に作成させて電子メール等で広告主側端末に送付したり、残高が乏しくなった広告データをピックアップして、広告主側に広告料の追加支払を促す電子メールを随時送付させてもよい。
【0067】
また、広告管理アプリケーションソフトウエア15は、再生履歴データベース29と個人ユーザデータベース25を関連づけて検索可能とし、個別の広告データごとに任意に指定した期間内の広告データの視聴回数、及び視聴したユーザの属性別集計結果を表示可能とする。これにより、広告主側は、随時また定期的にターゲットとするセグメントのユーザへの広告データの到達状況を把握し、広告効果を分析することが可能となる。
【0068】
次に、報酬計算アプリケーションソフトウエア21が広告データを視聴したユーザに提供する報酬額を算出し、ユーザの個人情報へ反映させる情報処理のフローを説明する。
【0069】
報酬計算アプリケーションソフトウエア21は広告管理アプリケーションソフトウエア15と同様に所定のスケジュール毎に再生履歴データベース29を参照し、新たに広告履歴データが記録された広告データを検出した場合、当該広告履歴データに係るユーザに該当する個人情報をユーザデータベース25から検索し、該当するユーザの個人情報の報酬データを加算して更新する。なお、当該報酬データの残高は、ユーザへの報酬支払処理が完了した場合に支払高に応じて減額又はリセットされる。
【0070】
一方、ユーザの情報通信端末5は、広告データを発音又は再生する都度、広告管理装置1に報酬照会要求を送信し、これを受信した広告管理装置1は当該報酬照会要求を報酬計算アプリケーションソフトウエア21に伝達する。これを受けた報酬計算アプリケーションソフトウエア21は、ユーザデータベース25から該当するユーザの個人情報に付加された更新済みの報酬データを参照し、最新の報酬額残高を情報通信端末5へと送信する。これを受信した情報通信端末5では、アプリケーションソフトウェア49が記憶部39に報酬データを記憶させ、ユーザがアプリのインターフェイス画面を起動した際に最新の報酬残高を表示させる。これによりユーザは通話を終了して直ちに広告データの視聴による報酬の加算を確認することができるため、本システムを継続使用するためのインセンティブとなる。
【0071】
報酬計算アプリケーションソフトウエア21は、ユーザとの約定による設定に基づき、ユーザからインターネットを介して請求があった場合、又は例えば毎月末日にユーザへの報酬の支払処理を行い、支払完了時点で報酬残高を更新する。なお、ユーザへの報酬の支払いは現金送金で行ってもよいが、支払事務が煩雑となるだけでなくユーザの金融機関口座等の登録が必要となり安全性の面で問題があるため、例えば、小切手や本システム運営事業者やその提携先事業者が発行するポイントでの還元、あるいはユーザが専用口座を開設している場合はGooglWallet(登録商標)やPayPal(登録商標)等の電子マネーによる決済を用いることが好適である。
【0072】
本発明では、情報通信端末による通話の受発信の都度報酬が発生するため、報酬獲得を目的として、実質的な通話をしないにも関わらずユーザが連続的な受発信を行うといった不正行為が行われる可能性が考えられる。かかる不正行為を防止するため、たとえば、(1)一定時間内における一定回数以上の同一相手方への発信、(2)一定時間内における一定回数以上の同一相手方からの着信、が広告履歴ログから検出された場合は、報酬管理サーバがこれらの受発信を不正行為として報酬計算の対象から除外して報酬を発生させない処理を行う。また、(3)着信時において一定時間を経過する前に着信拒否操作が行われ等の場合も実質的な広告データの視聴とは認めず、報酬管理サーバは報酬計算の対象から、広告管理装置は広告料データの残額更新の対象から除外して、報酬も広告料も発生させない処理を行うことが望ましい。
【0073】
次に、情報通信端末5による広告データのクリップ機能について説明する。ユーザが第三者との通話を終了して情報通信端末5で通話終了操作を行うと、これを検知したアプリケーションソフトウェア49はユーザに広告データのクリップの意思を確認する選択画面を表示する。選択画面には、着信時に発信者情報表示とともにディスプレイに表示された映像広告を、それぞれ「クリップする」等のボタンを所定時間、例えば3秒間程度表示させる。この間にユーザがボタンを操作した場合は、アプリケーションソフトウェア49が該広告データに広告管理アプリケーションソフトウエア15が予め付加しておいた広告IDデータを記憶し、記憶部39内にクリップデータとして保存されるが、操作がなかった場合は所定時間経過後にボタンは消える。
【0074】
前記広告IDデータは、広告主側のウェブサーバ等の外部サーバのURLを含むテキストデータとする。容量の小さなテキストデータであれば、クリップにより情報通信端末5の記憶部39に広告の音声や映像をそのまま記憶させることでメモリ容量を過度に圧迫することなく多数の広告を記憶させることができ、広告の内容を補足する関連情報もテキストデータであれば相当程度保存しておくことが可能となる。なお、クリップされた広告IDデータは記憶部39内でクリップリストの形式で保存しておき、ユーザはアプリケーションソフトウェア49のインターフェイス画面を起動してクリップリストを表示させ、関心を持った広告データの提供元である広告主側のウェブサイト等にアクセスすることで、広告内容に関するより詳細な情報を閲覧でき、広告主側のウェブサイト等がコンテンツとして提供している場合は、広告データ自体を直接情報通信端末5にダウンロードして保存することができる。
【0075】
なお、広告のクリップが行われた場合、単に広告データを視聴させたのみの場合に比べて広告効果はより高まり、購買行動等に繋がる可能性も期待できる。そのため、広告のクリップが行われた場合には、上述した広告履歴データにクリップ履歴を付加して再生履歴データベース29に記録し、広告主側には通常の視聴に対する広告料とは別に該広告データに対して「被クリップ料」を付加して課金してもよい。
【0076】
一般的なスマートフォン等の多くは位置検出部45としてのGPS装置を搭載している。この場合、情報通信端末5は現在位置を検出し、位置情報データとして常時広告管理装置1へと送信可能である。本広告管理装置を用いた音声広告配信システムでは、この位置情報データを用い、広告管理装置1から配信する広告データセットに含まれる広告データの選択の際にユーザの現在位置情報を反映させることもできる。
【0077】
即ち、情報通信端末5が所定のスケジュール毎に広告配信アプリケーションソフトウエア16へ広告データセットの配信要求と視聴履歴データを送信する際に、併せて送信時における位置情報データも送信させる。一方、広告主側は個別の広告データを広告管理アプリケーションソフトウエア15にアップロードする際に、広告ターゲットとしてのユーザの嗜好情報に加え、例えば自己の店舗の所在地等の位置情報も指定できるようにしておき、広告データの配信条件データに位置情報を含めておく。広告配信アプリケーションソフトウエア16は、所定のスケジュール毎に広告データセットを生成する際に位置情報も配信条件に加え、ユーザの現在位置から所定の距離内に店舗等が立地する広告主側の広告データを優先的に選択対象として抽出するよう設定することができる。
【0078】
広告主側が、例えば飲食店等のように比較的商圏が限定される業種である場合には、上述のように広告データに自店舗の位置情報を指定しておくことにより、ユーザが至近距離に居る場合は、他地域の同業の広告主側の広告データよりも自己の広告データがユーザに配信される確率が高まり、結果的に広告効果を向上させることが可能となる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例、変形が存在することを当業者に容易に理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、スマートフォン等に代表される情報通信端末による通話の着信時、ユーザに呼出音広告や着信映像広告を視聴させることを目的とする広告音声映像配信システムであり、情報通信端末相互による通話接続が確立される前後の僅かな時間を新たな広告媒体として活用することで、広告主側の所望するターゲットのユーザに対して有効な広告を行える費用対効果の高い広告手段を提供するものである。
【符号の説明】
【0081】
1 広告管理装置
3 広告主側端末
5 情報通信端末
7 インターネット
11 携帯電話通信網
13 基地局
14 通信部
15 広告管理アプリケーションソフトウエア
16 広告配信アプリケーションソフトウエア
17 ユーザ嗜好分析アプリケーションソフトウエア
19 位置情報分析アプリケーションソフトウエア
21 報酬計算アプリケーションソフトウエア
23 広告データベース
25 ユーザデータベース
27 報酬データベース
29 再生履歴データベース
31 位置データベース
33 ユーザ嗜好データベース
35 通信部
37 制御部
39 記憶部
41 ディスプレイ
43 受話部
45 位置検出部
47 オペレーションシステム
49 アプリケーションソフトウェア
図1
図2
図3
図4
図5