(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-10325(P2016-10325A)
(43)【公開日】2016年1月21日
(54)【発明の名称】犬用介護具
(51)【国際特許分類】
A01K 15/04 20060101AFI20151218BHJP
【FI】
A01K15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-132316(P2014-132316)
(22)【出願日】2014年6月27日
(71)【出願人】
【識別番号】513051302
【氏名又は名称】堀田殖産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】堀田 學
(57)【要約】
【課題】犬が旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを囲い壁形状に関わらず防止することができるとともに、旋回歩行をスムーズに行うことができる犬用囲い壁衝突防止具を提供すること。
【解決手段】囲い壁3内に収容された犬6が旋回歩行時に囲い壁3に衝突するのを防止する犬用囲い壁衝突防止具10であって、囲い壁3内の所定位置に設置されるポール部材12を備えてなるものとし、台座11に埋設される磁石体15と、取付板13に埋設される磁性体16との間に作用する吸着力によってトレー部材2上にポール部材12を着脱自在に設置する構成とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
囲い壁内に収容された犬が旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを防止する犬用囲い壁衝突防止具であって、囲い壁内の所定位置に設置されるポール部材を備えてなることを特徴とする犬用囲い壁衝突防止具。
【請求項2】
囲い壁内の所定位置に固定される磁石体又は磁性体と、ポール部材に固定される磁性体又は磁石体とを備えるものとし、これら磁石体と磁性体との間に作用する吸着力によって囲い壁内の所定位置にポール部材を着脱自在に設置したことを特徴とする請求項1記載の犬用囲い壁衝突防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、囲い壁内に収容された犬が旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを防止する犬用囲い壁衝突防止具に関し、特に、認知症や病気等に起因して同じ場所で旋回歩行するような症状が現れた要介護犬のために用いられて好適な犬用囲い壁衝突防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
犬は、個体差もあるが、一般的に13歳以上になると、老化によって脳神経細胞の活動が衰え、知性、感情、運動をコントロールする自律神経の機能が低下し、認知症が起こる確率が高くなる。
認知症の症状には、様々なものがあるが、すべてが一気に現れるのではなく、個々の症状が1つ、2つとゆっくりと現れることが多い。
幾つかの認知症の症状のうちの1つとして、同じ場所で右回りに旋回歩行を繰り返すというものがある。
なお、左回りに旋回歩行を繰り返す場合は、脳腫瘍等の病気の疑いがある。
【0003】
このような旋回歩行症状が現れた認知症あるいは病気(以下、「認知症等」と称する。)の犬を、平面視で四角筒状の囲い壁の中に入れておくと、囲い壁のコーナーで方向転換が上手くできず、身動きがとれなくなったり、囲い壁を構成する金属や合成樹脂製の網や格子枠又は透明の合成樹脂製のパネルに衝突したりすることがあった。
【0004】
このような問題を解決し得るものとして、囲い壁を平面視で円筒形状としたペット介護用囲いが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−218857号公報
【0006】
上記の特許文献1に係るペット介護用囲いによれば、囲い壁が平面視で円筒形状とされて内側にコーナーがないため、認知症等の犬が囲い壁の内周面に沿って回るように歩行し続けることができ、身動きがとれなくなったり、囲い壁に衝突したりするのを防ぐことができる。
【0007】
しかしながら、上記のペット介護用囲いでは、認知症等の犬が囲い壁の内周面に凭れ掛かりながら歩行することになり、スムーズな旋回歩行を行うことができず、犬にとってストレスになる恐れがあるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑み、犬が旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを囲い壁形状に関わらず防止することができるとともに、旋回歩行をスムーズに行うことができる犬用囲い壁衝突防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、旋回歩行症状が現れた認知症等の犬が、ポール状のものを基準として旋回歩行を行うことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0010】
要するに、上記目的を達成するため、本発明の犬用囲い壁衝突防止具は、囲い壁内に収容された犬が旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを防止する犬用囲い壁衝突防止具であって、囲い壁内の所定位置に設置されるポール部材を備えてなることを特徴とする。
【0011】
この場合において、囲い壁内の所定位置に固定される磁石体又は磁性体と、ポール部材に固定される磁性体又は磁石体とを備えるものとし、これら磁石体と磁性体との間に作用する吸着力によって囲い壁内の所定位置にポール部材を着脱自在に設置することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の犬用囲い壁衝突防止具によれば、旋回歩行の基準となるポール部材が囲い壁内の所定位置に設置されるので、旋回歩行症状が現れた認知症等の犬がそのポール部材を基準として旋回歩行を行うことになり、囲い壁の内周面に凭れ掛かることなく自然と円を描くように旋回歩行することができる。
したがって、旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを囲い壁形状に関わらず防止することができるとともに、旋回歩行をスムーズに行うことができる。
【0013】
また、囲い壁内の所定位置に固定される磁石体又は磁性体と、ポール部材に固定される磁性体又は磁石体とを備えるものとし、これら磁石体と磁性体との間に作用する吸着力によって囲い壁内の所定位置にポール部材を着脱自在に設置することにより、ポール部材の設置作業と取り外し作業とをワンタッチで容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る犬用囲い壁衝突防止具が設置されたケージの全体斜視図である。
【
図2】同ケージ内で犬が右回りに旋回歩行する様子を示す平面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る犬用囲い壁衝突防止具が設置されたケージの全体斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る犬用囲い壁衝突防止具が設置されたケージの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の犬用囲い壁衝突防止具の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
<ケージの説明>
図1に示されるケージ1は、当該ケージ1の土台となるトレー部材2上に、囲い壁3が着脱可能に取り付けられて構成されている。
トレー部材2は、平面視四角形状で比較的底の浅い皿形状に形成されている。
囲い壁3は、トレー部材2の四辺にそれぞれ対応するように起立状態で配される4枚の金属や合成樹脂製の網や格子枠又は透明の合成樹脂製のパネル3a,3b,3c,3dを備え、隣接するパネル相互間を、図示されない連結部材を介して連結し、平面視で四角筒状(約1m角)に形成してなるものである。
ここで、囲い壁3を金属や合成樹脂製の網や格子枠で構成する場合には、犬の足や爪が引っ掛かることがないように、目幅を設定したり、横桟を省略したりしたものを好適に用いることができる。
なお、4枚のパネル3a〜3dのうちの1枚のパネル3aは、その一部が横方向にスライド(又は揺動)して開閉可能な構造とされており、ケージ1に対する犬の出し入れが容易にできるようになっている。
【0017】
図2に示されるように、トレー部材2の底板2a上には、その中心部における後述する台座11の設置に必要な広さの円領域を除いて、略正方形状の複数(本例では4枚)のカーペット又は透水孔を有する敷板等の敷物5(本例では、カーペット)が敷かれている。
ケージ1においては、トレー部材2上の囲い壁3によって囲まれる空間が、犬6が旋回歩行するのに十分な広さとなるように、トレー部材2や囲い壁3の形状寸法等が定められている。
囲い壁3内の中心位置には、囲い壁3内に収容された犬6が旋回歩行時にパネル3a〜3dに衝突するのを防止するための犬用囲い壁衝突防止具10が配設されている。
【0018】
<犬用囲い壁衝突防止具の説明>
図3に示されるように、犬用囲い壁衝突防止具10は、トレー部材2の底板2a上に設置される台座11と、この台座11上に設置されるポール部材12とを備えて構成されている。
【0019】
台座11は、円板状の部材よりなり、例えば、接着剤や両面粘着テープ、ビス等の固定手段によって底板2aに固定されている。
ポール部材12は、台座11上に重ね合せ可能な円板状の取付板13上に、好ましくは、囲い壁3の上端高さ位置と同程度の高さ位置(約50cm程度)、少なくとも、犬の体高以上の高さ位置まで延びる、上方に向けて先細になったコーン状のポール部材本体14が一体的に立設されてなるものである。
なお、ポール部材本体14は、本実施形態のコーン状のほか、円柱状や円筒状に形成してもよい。
【0020】
台座11の上面側には、例えば、ネオジウム磁石やフェライト磁石等よりなる所要の磁石体15が所定の配置で、例えば、接着剤等の固定手段によって固定的に埋設されている。
一方、取付板13の下面側には、例えば、鉄を主体に構成される所要の磁性体16が、前述した磁石体15の配置に合わせた配置で、例えば、接着剤等の固定手段によって固定的に埋設されている。
【0021】
<作用効果の説明>
以上に述べた犬用囲い壁衝突防止具10が配設されたケージ1においては、
図2に示されるように、旋回歩行の基準となるポール部材12が囲い壁3の中心位置に設置されるので、旋回歩行症状が現れた認知症等の犬6がそのポール部材12を基準として旋回歩行を行うことになり、囲い壁3のパネル3a〜3dに凭れ掛かることなく自然と円を描くように旋回歩行することができる。
したがって、囲い壁3が平面視で四角筒状であっても、コーナーで身動きがとれなくなったり、パネル3a〜3dに衝突したりするのを防ぐことができるとともに、パネル3a〜3dに身を寄せながら歩行する必要もないことから旋回歩行をスムーズに行うことができる。
また、
図3に示されるように、台座11に埋設される磁石体15と、取付板13に埋設される磁性体16との間に作用する吸着力によってトレー部材2上にポール部材12が着脱自在に設置されるので、ポール部材12の設置作業と取り外し作業とをワンタッチで容易に行うことができる。
【0022】
以上、本発明の犬用囲い壁衝突防止具について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0023】
例えば、上記の実施形態では、トレー部材2と囲い壁3とよりなるケージ1に犬用囲い壁衝突防止具10を適用する態様例を示したが、トレー部材2を省略し、床を構成する床板上に直接的に囲い壁3を設置して構成されるケージに犬用囲い壁衝突防止具10を適用する態様例もあり得る。
この場合、敷物5は、床板上に直接敷かれ、台座11は床板上に両面粘着テープ等で直接固定される。
【0024】
また、
図4に示されるように、平面視で円筒状(直径約1m丸)の囲い壁23を採用したケージ21に、犬用囲い壁衝突防止具10を適用することも勿論可能である。
この場合、囲い壁23は、起立状態で周方向に隣接配置される複数枚(例えば、3枚)の弯曲状に形成された金属や合成樹脂製の網や格子枠又は透明の合成樹脂製のパネル23a,23b,23cを備え、周方向に隣接するパネル相互間を、図示されない連結部材を介して連結し、平面視で円筒状に形成してなるものとされる。
この犬用囲い壁衝突防止具10が配設されたケージ21によれば、平面視で円筒状の囲い壁23の中でその中心位置に設置されるポール部材12を基準として旋回歩行が行われるので、旋回歩行をよりスムーズに行うことができる。
【0025】
また、上記の実施形態では、
図3に示されるように、台座11に磁石体15を、取付板13に磁性体16をそれぞれ埋設するようにしたが、これとは逆に、台座11に磁性体16を、取付板13に磁石体15をそれぞれ埋設するようにしてもよい。
なお、台座11に関しては、その全体を磁石体又は磁性体で構成する、あるいはその一部に別途で磁石体又は磁性体を埋設するというパターンがあり、取付板13に関しても、同様に、その全体を磁石体又は磁性体で構成する、あるいはその一部に別途で磁石体又は磁性体を埋設するというパターンがあり、これら相互のパターンの組み合わせの中から、両者間に所望の引き合い力が作用する組み合わせのものを適宜に選択するようにすればよい。
さらに、ポール部材12の設置方法としては、ポール部材12の台座11を、両面粘着テープ等で接地面に直接固定するようにしたり、
図5に示すように、ポール部材12の台座11を大きめの板部材で形成し、その上に、ポール部材12の部分を刳り貫いた敷物5を敷設することによって固定するようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の犬用囲い壁衝突防止具は、犬が旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを囲い壁形状に関わらず防止することができるとともに、旋回歩行をスムーズに行うことができるという特性を有していることから、要介護犬の介護の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0027】
1,21 ケージ
2 トレー部材
3 囲い壁
10 犬用囲い壁衝突防止具
11 台座
12 ポール部材
13 取付板
14 ポール部材本体
15 磁石体
16 磁性体
【手続補正書】
【提出日】2014年7月1日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、囲い壁内に収容された犬が旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを防止する犬用囲い壁衝突防止具に関し、特に、認知症や病気等に起因して同じ場所で旋回歩行するような症状が現れた要介護犬のために用いられて好適な犬用囲い壁衝突防止具
からなる犬用介護具に関するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑み、犬が旋回歩行時に囲い壁に衝突するのを囲い壁形状に関わらず防止することができるとともに、旋回歩行をスムーズに行うことができる犬用囲い壁衝突防止具
からなる犬用介護具を提供することを目的とする。