(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-104560(P2016-104560A)
(43)【公開日】2016年6月9日
(54)【発明の名称】プリプレグ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 5/28 20060101AFI20160513BHJP
B29B 11/16 20060101ALI20160513BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20160513BHJP
【FI】
B32B5/28 Z
B29B11/16
H05K1/03 610T
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-218847(P2015-218847)
(22)【出願日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0154420
(32)【優先日】2014年11月7日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユン−シル キム
(72)【発明者】
【氏名】サン−ヒュン シン
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA05
4F072AA07
4F072AB09
4F072AB30
4F072AD23
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4F072AH06
4F072AK14
4F072AL13
4F100AA01A
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4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK25B
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4F100AK36B
4F100AK36C
4F100AK51B
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4F100AK53C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CA23A
4F100DG11A
4F100DG12A
4F100DH01
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4F100EJ42
4F100EJ82A
4F100GB43
4F100JA02
4F100JB13B
4F100JB13C
4F100JB14B
4F100JB14C
(57)【要約】 (修正有)
【課題】絶縁層の厚さが薄くなるほど歪みに対する特性を調整することが困難になるが、隣接した配線間の電気的絶縁性を確保するための高機能のプリプレグ及びその製造方法の提供。
【解決手段】第1樹脂材120が含浸された心材110と、心材110の上部に積層された第2樹脂材130と、心材110の下部に積層された第3樹脂材150と、を含み、心材110の上部、下部の第2樹脂材130又は第3樹脂材150と第1樹脂材120との接合面に非線形の接合界面を有するプリプレグ200。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂材が含浸された心材と、
前記心材の上部、下部に積層され、前記第1樹脂材とは非線形の接合界面を形成する第2樹脂材と、
を含むプリプレグ。
【請求項2】
前記心材は、屈曲部が形成され、
前記屈曲部に沿って前記第1樹脂材が硬化して、その上面、下面が屈曲面として形成された請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
前記心材は、ファブリッククロス(fabric cloth)またはガラスクロス(glass cloth)のうちのいずれかである請求項1または請求項2に記載のプリプレグ。
【請求項4】
前記第1樹脂材は、無機系フィラーを含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項5】
前記心材の上部に積層される前記第2樹脂材と前記心材の下部に積層される前記第2樹脂材が、同一の厚さを有し、同一の物性を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項6】
第1樹脂材が含浸された心材と、
前記心材の上部に積層された第2樹脂材と、
前記心材の下部に積層された第3樹脂材と、を含み,
前記第2樹脂材及び/または前記第3樹脂材と前記第1樹脂材との接合面に非線形の接合界面を有するプリプレグ。
【請求項7】
前記心材は、屈曲部が形成され、前記屈曲部に沿って前記第1樹脂材が硬化されて、その上面、下面が屈曲面として形成された請求項6に記載のプリプレグ。
【請求項8】
前記第1樹脂材は、無機系フィラーを含む請求項6または請求項7に記載のプリプレグ。
【請求項9】
前記第2樹脂材と前記第3樹脂材とは、互いに異なる物性を有し、互いに異なる熱膨脹係数を有する請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項10】
前記第2樹脂材または前記第3樹脂材のいずれかは、前記第1樹脂材と物性が同一であり、熱膨脹係数が同一である請求項9に記載のプリプレグ。
【請求項11】
前記第2樹脂材と前記第3樹脂材とが、同一の厚さに形成された請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項12】
前記第2樹脂材と前記第3樹脂材とは、互いに異なる厚さを有する請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項13】
前記第2樹脂材は、前記第3樹脂材よりも薄く形成された請求項12に記載のプリプレグ。
【請求項14】
前記第3樹脂材は、前記第2樹脂材よりも薄く形成された請求項12に記載のプリプレグ。
【請求項15】
前記第2樹脂材の表面に回路が形成され、前記第3樹脂材に少なくとも一部が挿入された回路パターンが形成された請求項13に記載のプリプレグ。
【請求項16】
前記第3樹脂材の表面に回路が形成され、前記第2樹脂材に少なくとも一部が挿入された回路パターンが形成された請求項14に記載のプリプレグ。
【請求項17】
ファブリッククロスまたはガラスクロスのうちのいずれかで構成された心材を準備するステップと、
前記心材の屈曲部を覆うように第1樹脂材を塗布するステップと、
前記第1樹脂材が前記心材の屈曲部に沿って屈曲面を形成するように前記第1樹脂材を硬化するステップと、
前記心材の上部、下部に第2樹脂材及び第3樹脂材を積層するステップと、
前記第2樹脂材及び/または前記第3樹脂材と前記第1樹脂材との接合面に非線形の接合界面が形成されるように熱圧着するステップと、
を含むプリプレグの製造方法。
【請求項18】
前記硬化するステップにおいて、
前記第1樹脂材が半硬化または完全硬化される請求項17に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項19】
前記積層するステップにおいて、
前記第2樹脂材及び前記第3樹脂材は、カバーフィルムに塗布されて半硬化状態で維持される請求項17に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項20】
前記積層するステップにおいて、
前記第2樹脂材と前記第3樹脂材とは互いに異なる物性及び熱膨脹係数を有し、同一の厚さで積層される請求項19に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項21】
前記積層するステップにおいて、
前記第2樹脂材と前記第3樹脂材とは、互いに異なる物性及び熱膨脹係数を有し、互いに異なる厚さで積層される請求項19に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項22】
前記積層するステップにおいて、
前記第3樹脂材は、前記第2樹脂材よりも薄い請求項21に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項23】
前記積層するステップにおいて、
前記第2樹脂材は、前記第3樹脂材よりも薄い請求項21に記載のプリプレグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高機能性を実現できるプリプレグ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の製造技術の発達に伴って、電子機器に内蔵されることが必須である印刷回路基板も低重量化及び薄型化、小型化が要求されている。印刷回路基板は、回路の接続のための配線層と層間の絶縁の役割をする絶縁層とが交互に積層され、配線層は、主に銅等の金属材質で形成され、絶縁層は、レジンまたはエポキシ等の高分子樹脂で形成される。
【0003】
印刷回路基板は、薄型化のために絶縁層の厚さを薄く維持する必要があるが、絶縁層の厚さが薄くなるほど歪みに対する特性を調整することが難しくなるという問題点があった。
【0004】
すなわち、金属材質の配線層に比べて絶縁層は、低い熱膨脹係数(Low CTE)、高いガラス転移温度(High Tg)、高いモジュラス(High modulus)を有するので、印刷回路基板の全体的な電気的、熱的、機械的特性が低下する。
【0005】
また、多数の電子部品が実装される印刷回路基板は、様々な配線設計のために絶縁層を多層に積層しており、微細な配線パターンの形成においては、隣接した配線間の電気的絶縁性を確保するために高機能のプリプレグが要求されている。
【0006】
一般的にプリプレグ(prepreg)は、織造形態のガラスクロス(glass cloth)、またはファブリッククロス(fabric cloth)で構成された心材に、エポキシなどの有機物が含浸された板状に形成される。
【0007】
このようなプリプレグは、銅箔積層板(CCL)の絶縁層を始めとして多層印刷回路基板の中央部コアに採用されるか、多層印刷回路基板の最外層の絶縁層として採用されることができる。このとき、プリプレグは、心材にエポキシなどの有機物が含浸された状態で、エポキシなどの有機物に無機フィラーがさらに含まれることができる。
【0008】
プリプレグに無機フィラーを含浸させると、低い熱膨脹係数(CTE)を保持することはできるが、プリプレグの表面に無機フィラーが突出することがあるので、プリプレグ上に配線を形成する時に、配線との接合力が低下したり、SAP工法により微細配線パターンを形成する場合には、デスミア工程後に表面の粗度が高くなったりして、微細配線パターンを形成するには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−054323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、従来プリプレグから提起された上記の諸般の短所や問題点を解決するために提案されたものであって、心材の外周面に非線形接合界面を有するプリプレグを提供することに発明の目的がある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、心材の外周面に非線形接合界面を有し、心材を中心にして上部、下部の樹脂材が同一の材質または互いに異なる材質で構成されたプリプレグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記の目的は、第1樹脂材が含浸された心材の上部、下部に積層された第2樹脂材と第3樹脂材とで構成され、第2樹脂材と第3樹脂材とは互いに異なる物性を有する樹脂で構成されたプリプレグを提供することにより達成できる。
【0013】
上記の第2樹脂材と第3樹脂材とは、互いに異なる熱膨脹係数(CTE)を有する熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂で構成され、第2樹脂材と第3樹脂材とが互いに異なる熱膨脹係数を有する樹脂で構成されることにより、熱及び圧力により積層される時、同方向または互いに異なる方向に歪み(warpage)が発生するように配置され、プリプレグの歪みの方向を制御することが可能となる。
【0014】
心材に含浸された第1樹脂材には無機系フィラーがさらに含まれ、心材と第2樹脂材及び第3樹脂材との間には、第1樹脂材と結合された非線形の接合界面が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリプレグを示す断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係るプリプレグを示す断面図である。
【
図3a】本発明の他の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す図であって、心材の断面図である。
【
図3b】本発明の他の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す図であって、心材の断面図である。
【
図3c】本発明の他の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す図であって、心材の上部、下部に樹脂材が積層された断面図である。
【
図3d】本発明の他の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す図であって、心材の上部、下部に樹脂材が積層されたプリプレグの断面図である。
【
図4】本発明のまた他の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す図であって、心材に積層される第2樹脂材が第3樹脂材よりも薄く形成されたことを示す図である。
【
図5】本発明のまた他の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す図であって、心材に積層される第3樹脂材が第2樹脂材よりも薄く形成されたことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。本明細書において、単数形は文章で特に言及しない限り複数形も含む。また、本明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は、言及された形状、数字、動作、ステップ、部材、要素及び/またはグループの存在または付加を排除しない。
【0017】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付された図面に基づいた以下の詳細な説明と、好ましい実施形態により、さらに明確になる。本明細書において各図面の構成要素に参照番号を付加するに当たって、同一の構成要素には、たとえ異なる図面上に表示されてもできるだけ同一の番号を有するようにしている事に留意しなければならない。また、本発明を説明するに当たって、係わる公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0018】
本明細書において、「第1」、「第2」等の用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために使用されるものであって、構成要素が上記用語により制限されるものではない。
【0019】
本発明に係るプリプレグ及びその製造方法の上記目的の技術的構成及び作用効果に関する事項は、本発明の好ましい実施形態及び図面に基づいた下記の詳細な説明により、明確に理解することができる。
【0020】
先ず、
図1は、本発明に一実施形態に係るプリプレグを示す断面図である。
【0021】
図示されているように、本実施形態のプリプレグ100は、第1樹脂材120が含浸された心材110と、心材110の上部、下部に積層された第2樹脂材130とで構成される。ここで、上部、下部樹脂材130の外側面には、絶縁材で構成されたカバーフィルム140または銅箔層をさらに積層することができる。
【0022】
心材110は、ファブリッククロス(fabric cloth)またはガラスクロス(glass cloth)のうちのいずれかを含むことができる。ファブリッククロスまたはガラスクロスは、繊維化されたファブリックまたはガラスフィラメントが互いに交差しながら織造された構造であって、1列から3列に織造され、樹脂材に比べて高い剛性(high modulus)を有する。これにより、本実施形態に係るプリプレグに熱と圧力が加えられても歪みの発生を最小化することができる。
【0023】
上記の心材110には、ファブリックまたはガラスフィラメントが垂直方向と水平方向に相互直交する位置と配列に応じて屈曲部111が形成される。屈曲部111は、ファブリックまたはガラスフィラメントの配列数に応じてその高さが変わり、通常、配列数が多いほど屈曲部111の高さが大きくなり得る。すなわち、ファブリックまたはガラスフィラメントの直交する位置が凸状となり、その他の部分は相対的に凹状に形成される。
【0024】
上記の心材11には、第1樹脂材120が含浸されており、第1樹脂材120が心材110の屈曲部111に沿って硬化し、心材110を平面から見ると、第1樹脂材120が含浸された心材110の上面、下面が非線形屈曲面として形成される。このとき、第1樹脂材120の含浸された心材110は、屈曲部111の上部、下部を覆うように第1樹脂材120が含浸され、熱硬化により硬化されることにより、第1樹脂材120が屈曲部111に沿って非線形屈曲面として形成されるようにすることができる。
【0025】
上記心材110に含浸された第1樹脂材120は、エポキシまたはレジンなどの有機物で構成されることができる。第1樹脂材120は、ファブリックまたはガラスフィラメントの間の空間に含浸され、硬化されることにより、心材110に高い剛性(high modulus)を与えることができる。このとき、第1樹脂材120は、エポキシまたはレジンにより限定されず、ファブリックまたはガラスフィラメントの間に含浸可能な有機物であって、熱硬化性樹脂であれば適用可能である。
【0026】
第2樹脂材130は、第1樹脂材120の含浸された心材110の上部、下部に積層される。心材110の上部に積層された第2樹脂材130と、心材110の下部に積層された第2樹脂材130とは、同一の樹脂材により構成可能であり、同一の厚さに形成されることができる。
【0027】
第2樹脂材130は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂で構成されることができる。熱硬化性樹脂としては、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールSとビスフェノールFとの共重合エポキシ樹脂などを用いることができ、これに限定されず、公知の熱硬化性樹脂であれば制限なく採用することができる。
【0028】
また、光硬化性樹脂としては、主にアクリル系樹脂が用いられるが、これに限定されず、公知の光硬化性樹脂であれば制限なく採用することができる。
【0029】
第2樹脂材130は、後述するプリプレグの製造方法でさらに具体的に説明するが、カバーフィルム140に塗布され、半硬化(B−ステージ)状態で心材110の上部、下部に積層され、熱と圧力を加えて圧着することにより所定の厚さに硬化されて、一面が、第1樹脂材120の含浸された心材110と密着して積層される。
【0030】
このとき、心材110に含浸された第1樹脂材120と、第2樹脂材130とは、心材110の屈曲部111に沿って非線形の接合界面を形成しながら接合する。
【0031】
これにより、本実施形態のプリプレグ100は、完全硬化時には、硬度が比較的高い熱硬化性樹脂で第1樹脂材120が構成され、第1樹脂材120が心材110内にすきまなく含浸されて硬化されることにより、第1樹脂材120の含浸された心材110がプリプレグのコアの役割をすることになって、薄型に製作可能となり、さらに、低い熱膨脹係数(CTE)及び高いガラス転移温度(Tg)を有するようにすることができる。また、第1樹脂材120の硬化された心材110の上面、下面が非線形屈曲面に形成されて、剛性をさらに与えることができる。
【0032】
このように構成された本実施形態のプリプレグ100において、第1樹脂材120は、無機系フィラーをさらに含むことができる。無機系フィラーは、本実施形態に係るプリプレグ100の第1樹脂材120に含まれて、本実施形態に係るプリプレグ100の熱膨脹係数を低く維持し、熱圧着時に歪みを最小化することができる
【0033】
一方、
図2は、本発明の他の実施形態に係るプリプレグを示す断面図である。
【0034】
本実施形態においては、上述の
図1の実施形態と同様の構成要素については同一の図面符号を付し、同様の構成要素についての重複説明は省略する。
【0035】
図示されているように、本実施形態のプリプレグ200は、第1樹脂材120と、心材110と、第2樹脂材130と、第3樹脂材150とを含む。
【0036】
心材110の上部に積層される第2樹脂材130と心材110の下部に積層される第3樹脂材150とは、互いに異なる物性を有する樹脂で構成されることができる。例えば、互いに異なる熱膨脹係数(CTE)を有する熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を用いて第2樹脂材130と第3樹脂材150とをそれぞれ構成することができる。
【0037】
このとき、本実施形態のプリプレグ200は、第2樹脂材130と第3樹脂材150とが互いに異なる熱膨脹係数を有する樹脂で構成されるので、心材110の上部、下部に、第2樹脂材130及び第3樹脂材150を積層する時、同一の方向または互いに異なる方向へ歪み(warpage)が発生するように配置することができる。これにより、本実施形態のプリプレグ200に発生する歪みの方向を制御することができる。
【0038】
また、第2樹脂材130と第3樹脂材150とは互いに同じ物性を有しながらも反対方向に歪みが発生する熱膨脹係数を有する樹脂で構成されて、歪みの発生のない平坦なプリプレグを製作することができる。
【0039】
本実施形態において、心材110は、ファブリックまたはガラスフィラメントが直交して織造されたファブリッククロスまたはガラスクロスのうちのいずれかで構成されることができる。また、心材110には、第1樹脂材120が含浸され、心材110の屈曲部111に沿って、その上面、下面が非線形屈曲面として形成されることができる。
【0040】
また、本実施形態において、心材110に含浸された第1樹脂材120には無機系フィラーが含まれることができる。
【0041】
このとき、第1樹脂材120の含浸された心材110の上面には、第2樹脂材130が積層され、第1樹脂材120の含浸された心材110の下面には第3樹脂材150が積層されるが、第2樹脂材130及び第3樹脂材150の一面が心材110の非線形屈曲面と接するように積層される。これにより、
図2に示すように、心材110と第2樹脂材130及び第3樹脂材150との間には、第1樹脂材120と結合した非線形接合界面が形成される。
【0042】
このとき、第2樹脂材130及び第3樹脂材150は、心材110に含浸された第1樹脂材120とは異なる熱膨脹係数(CTE)を有する樹脂で構成されることができる。また、第2樹脂材130及び第3樹脂材150のいずれかが第1樹脂材120と同一の熱膨脹係数を有する樹脂で構成されることもできる。
【0043】
また、第2樹脂材130と第3樹脂材150とが同一の厚さに形成され、本実施形態に係るプリプレグを製作する時、心材110を中心にして第1樹脂材120と非線形の接合界面を有しながら、心材110の上部、下部が対称をなすように形成されることができる。これにより、本実施形態のプリプレグ200は、第2樹脂材130及び第3樹脂材150として、互いに異なる熱膨脹係数を有し、互いに反対方向に歪む物性を有する樹脂が配置されることにより、第2樹脂材130と第3樹脂材150とを心材110に熱圧着する時に歪みの対応が容易になる。
【0044】
このように構成された本実施形態のプリプレグに関する製造方法は、次の通りである。
【0045】
本実施形態のプリプレグについて、後述する製造方法は、
図2に示された実施形態に基づいて説明し、
図1に示された実施形態との製造方法の差は、心材の上部、下部に積層される樹脂材の種類のみ異なるだけで、その他の製造方法は同様である。ここでは、代表的な製造方法を中心にして説明する。
【0046】
先ず、
図3aから3dは、本発明の他の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す図であって、
図3a及び3bは、心材の断面図であり、
図3cは、心材の上部、下部に樹脂材が積層された断面図であり、
図3dは、心材の上部、下部に樹脂材が積層されたプリプレグの断面図である。
【0047】
図示されているように、本実施形態のプリプレグ200は、先ず、ファブリックまたはガラスフィラメントが1列から3列に織造されたファブリッククロスまたはガラスクロスの心材110を準備する。上述したように、心材110は、屈曲部111を有した織造物で構成されることができる。
【0048】
その後、
図3aに示すように、心材110の屈曲部111を覆うように第1樹脂材120を塗布する。第1樹脂材120は、心材110の織造物の間に含浸され、熱硬化または光硬化により心材110の表面を囲みながら硬化(
図3b参照)される。このとき、第1樹脂材120は、心材110の屈曲部111に沿って硬化され、心材110の上面、下面に非線形屈曲面を形成する。
【0049】
心材110に含浸された第1樹脂材120は、B−ステージの半硬化状態、またはC−ステージの完全硬化状態であることができる。第1樹脂材120を半硬化させた場合、後続ステップで完全硬化が行なわれるようにすることができる。
【0050】
その後、
図3cに示すように、第1樹脂材120の含浸された心材110の上部と下部に第2樹脂材130及び第3樹脂材150をそれぞれ積層する。第2樹脂材130及び第3樹脂材150は、絶縁フィルムまたは銅箔のカバーフィルム140に所定の厚さで形成されることができ、B−ステージの半硬化状態であることができる。
【0051】
心材110の上面、下面に第2樹脂材130及び第3樹脂材150を積層した後、熱と圧力を加えて圧着する。加圧手段としては、V−プレス、V−プレスラミネーションまたはローループレスなどの加圧方式により圧着し、加圧される間に熱を加えることができる。
【0052】
第2樹脂材130及び第3樹脂材150は、熱圧着により心材110と密着する時、心材110と接合する面が相変化することにより第1樹脂材120と一体となって結合(
図3d参照)される。このとき、第1樹脂材120と接合する第2樹脂材130及び第3樹脂材150との接合境界面は、心材110の屈曲部111に沿って非線形の接合界面を形成する。非線形接合界面は、積層された樹脂間の接合面積を増加させて、第1樹脂材120の含浸された心材110を平面から見ると、多数の突出された屈曲部111が第2樹脂材130及び第3樹脂材150に挿入される形態で接合されることにより、樹脂間に隙間ができることや剥離することを防止することができる。
【0053】
一方、
図4及び
図5は、本発明のまた他の実施形態に係るプリプレグの製造方法を示す図であって、
図4は、心材に積層された第2樹脂材が第3樹脂材よりも薄く形成されたことを示す図であり、
図5は、心材に積層された第3樹脂材が第2樹脂材よりも薄く形成されたことを示す図である。
【0054】
図示されているように、本実施形態のプリプレグは、第1樹脂材120の含浸された心材110の上部、下部に第2樹脂材130及び第3樹脂材150が積層されるステップにおいて、第2樹脂材130と第3樹脂材150とが互いに異なる厚さを有するように積層されることができる。
【0055】
すなわち、
図4に示すように、心材110の上部、下部に積層された2種の樹脂材のうち、上部に積層される第2樹脂材130が、下部に積層される第3樹脂材150よりも薄く形成されることができる。
【0056】
また、
図5に示すように、心材110の上部、下部に積層された2種の樹脂材のうち下部に積層される第3樹脂材150が、上部に積層される第2樹脂材130よりも薄く形成されることができる。
【0057】
このように、心材110の上部、下部に互いに異なる厚さを有する第2樹脂材130及び第3樹脂材150が配置されると、
図3aから3dで説明した本発明の他の実施形態に係るプリプレグと同様に、心材110を中心にして、V−プレス、V−プレスラミネーションまたはロール−プレスなどの加圧方式により、樹脂積層体に熱及び圧力を加えて圧着する。
【0058】
この場合、第2樹脂材130または第3樹脂材150のうちのいずれかの樹脂材を、他の樹脂材よりも薄く形成することにより、薄型のプリプレグを製作することができる。
【0059】
また、
図4及び
図5に示された実施形態の製造方法により製作されたプリプレグは、第2樹脂材130及び第3樹脂材150が、心材110に含浸された第1樹脂材120と非線形の接合界面を形成しながら積層され、心材110を中心にして互いに異なる厚さの樹脂材のうち心材110の一面に積層された薄い厚さの樹脂材の表面に回路が形成され、心材110の他面に積層された相対的に厚い厚さの樹脂材には、樹脂材に少なくとも一部が挿入された回路パターンが形成されることができる。
【0060】
これにより、本実施形態のプリプレグは、心材110を中心にして積層された樹脂材の厚さを低減し、各樹脂材の表面と、樹脂材に少なくとも一部が挿入されるように回路パターンを形成することができるので、薄型の印刷回路基板を製作することができる。
【0061】
以上で説明した本発明の好ましい実施形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であり、このような置換、変更などは添付の特許請求範囲に属するものとすることができる。
【符号の説明】
【0062】
100、200 プリプレグ
110 心材
120 第1樹脂材
130 第2樹脂材
140 カバーフィルム
150 第3樹脂材