特開2016-104932(P2016-104932A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-104932(P2016-104932A)
(43)【公開日】2016年6月9日
(54)【発明の名称】プレキャスト部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20160513BHJP
【FI】
   E04B1/58 503C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-242839(P2014-242839)
(22)【出願日】2014年12月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000230010
【氏名又は名称】ジオスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100077241
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 稔
(72)【発明者】
【氏名】中谷 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】横尾 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】奥山 厚志
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 光海
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AB12
2E125AC02
2E125AG13
2E125AG28
2E125BB23
2E125BD01
2E125BE07
2E125BF05
2E125CA78
2E125CA82
(57)【要約】
【課題】SRC構造のプレキャスト部材に、RC構造のプレキャスト部材と効果的且つ合理的に連結可能な構造を付与する。
【解決手段】コンクリート製の長尺のプレキャスト部材Pであって、両端部1、1の少なくとも一方は、金属製のエンドプレート2によって構成されている。鉄骨3aからなる芯体3と、芯体3とプレキャスト部材Pの外面との間に配される鉄筋4とを有している。芯体3の端部3cは、エンドプレート2の内面2bに固着されており、鉄筋4の端部は、埋設金物としてのスリーブ状の継手部材S内に挿入されている。エンドプレート2には、継手部材Sの一端Saに連通する貫通孔2aが形成されている。連結対象となるコンクリート製の他のプレキャスト部材P’の接続端部8より突き出す鉄筋7の突き出し部分7aを、貫通孔2aを通じて継手部材Sの一端saよりこの継手部材S内に挿入して他のプレキャスト部材P’と接続されるようにしている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製の長尺のプレキャスト部材であって、
両端部の少なくとも一方は、金属製のエンドプレートによって構成されており、
鉄骨からなる芯体と、
前記芯体に平行をなすように前記芯体とプレキャスト部材の外面との間に配される鉄筋とを有しており、
前記芯体の端部は、前記エンドプレートの内面に固着されており、
前記鉄筋の端部は、埋設金物としてのスリーブ状の継手部材内に挿入されており、
前記エンドプレートには、前記継手部材の一端に連通する貫通孔が形成されており、
連結対象となるコンクリート製の他のプレキャスト部材の接続端部より突き出すこの他のプレキャスト部材を構成する鉄筋の突き出し部分を、前記貫通孔を通じて前記継手部材の一端よりこの継手部材内に挿入して前記他のプレキャスト部材と接続されるようにしてなる、プレキャスト部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート構造物を構成するプレキャスト部材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プレキャスト部材(PCa)は、コンクリート構造物の構築に広く用いられている。
【0003】
かかるプレキャスト部材は、運搬上の制約などから、分割されるものが多くなっている。すなわち、一つの梁などの水平構造体を複数のプレキャスト部材を接合させることで構築させる場合がある。また、一つの柱などの垂直構造体を複数のプレキャスト部材を接合させることで構築させる場合がある。
【0004】
一方、かかるプレキャスト部材には、RC構造(鉄筋コンクリート構造)のものと、SRC構造(鉄筋鉄骨コンクリート構造)のものとがある。
【0005】
SRC構造のプレキャスト部材同士を接合する手法として、特許文献1に示されるものがある。この特許文献1のものでは、一方のプレキャスト部材の鉄骨の上端と他方のプレキャスト部材の鉄骨の下端とを連結すると共に、これとは別に一方のプレキャスト部材の主筋の端部と他方のプレキャスト部材の主筋の端部とをスリーブジョイントによって連結させている。
【0006】
しかるに、特許文献1の手法は、連結しようとするプレキャスト部材の一方がSRC構造で、他方がRC構造の場合には、利用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−11203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、SRC構造のプレキャスト部材に、RC構造のプレキャスト部材を効果的且つ合理的に連結可能な構造を付与する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、プレキャスト部材を、コンクリート製の長尺のプレキャスト部材であって、
両端部の少なくとも一方は、金属製のエンドプレートによって構成されており、
鉄骨からなる芯体と、
前記芯体に平行をなすように前記芯体とプレキャスト部材の外面との間に配される鉄筋とを有しており、
前記芯体の端部は、前記エンドプレートの内面に固着されており、
前記鉄筋の端部は、埋設金物としてのスリーブ状の継手部材内に挿入されており、
前記エンドプレートには、前記継手部材の一端に連通する貫通孔が形成されており、
連結対象となるコンクリート製の他のプレキャスト部材の接続端部より突き出すこの他のプレキャスト部材を構成する鉄筋の突き出し部分を、前記貫通孔を通じて前記継手部材の一端よりこの継手部材内に挿入して前記他のプレキャスト部材と接続されるようにしてなる、ものとした。
【0010】
前記他のプレキャスト部材を構成する鉄筋は、前記継手部材を介して、前記プレキャスト部材の鉄筋と一体化される。それと共に、前記他のプレキャスト部材を構成する鉄筋は、エンドプレートの貫通孔に通されることで、エンドプレートを介して前記プレキャスト部材の芯体としての鉄骨と一体化される。これにより、前記プレキャスト部材に作用される荷重は前記他のプレキャスト部材に効果的に伝達され、また、前記他のプレキャスト部材に作用される荷重は前記プレキャスト部材に効果的に伝達される。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかるプレキャスト部材は、SRC構造のものであるが、他のプレキャスト部材がRC構造であるときに、この他のプレキャスト部材と効果的且つ合理的に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかるプレキャスト部材の要部斜視図である。
図2図2は、前記プレキャスト部材に接続される他のプレキャスト部材の要部斜視図である。
図3図3は、前記プレキャスト部材と前記他のプレキャスト部材とを接続する直前の状態を示した要部断面構成図である。
図4図4は、前記プレキャスト部材と前記他のプレキャスト部材とを接続した状態を示した要部断面構成図である。
図5図5は、前記プレキャスト部材と前記他のプレキャスト部材とを接続した状態を示した要部斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図5に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるプレキャスト部材Pは、コンクリート製の他のプレキャスト部材P’と連結されて、コンクリート構造物を構成する梁などの水平構造体や柱などの垂直構造体などとなるものである。
【0014】
かかるプレキャスト部材Pは、長尺のものとなっている。図示の例では、かかるプレキャスト部材Pは、その長さ方向に直交する向きの断面をこの長さ方向に亘る各位置においてそれぞれ四角形とした角柱状を呈している。
【0015】
かかるプレキャスト部材Pの両端部1、1の少なくとも一方は、金属製のエンドプレート2によって構成されている。かかるエンドプレート2は、典型的には鋼から構成されて、プレキャスト部材Pの断面に倣った形状を有している。
【0016】
また、かかるプレキャスト部材Pは、鉄骨3aからなる芯体3と、前記芯体3に平行をなすように前記芯体3とプレキャスト部材Pの外面との間に配される鉄筋4とを有している。図示の例では、前記芯体3を構成する鉄骨3aはH形鋼となっている。芯体3はプレキャスト部材Pの全長に亘る長さを持っている。図示の例では、芯体3は、プレキャスト部材Pの中心に配されている。かかる芯体3のフランジ3bはプレキャスト部材Pの四つの側面5…5のうちの図1において上側にある側面5及び下側にある側面5と平行をなしている。また、図示の例では、前記鉄筋4は、図1において芯体3よりも上方に三本、芯体3よりも下方に三本配されており、かかる鉄筋4が主鉄筋として機能するようになっている。図中符号6で示すのはせん断補強鉄筋である。すなわち、かかるプレキャスト部材Pは、SRC構造のものとなっている。
【0017】
前記芯体3の端部3cは、前記エンドプレート2の内面2cに固着されている。図示の例では、芯体3の端部3cは、エンドプレート2の内面2cの中央に溶接されている。
【0018】
また、前記鉄筋4の端部4aは、前記エンドプレート2の内面2cに一端Saを固着させたスリーブ状の継手部材Sの他端Sbよりこの継手部材S内に挿入されている。かかる継手部材Sは、プレキャスト部材Pを製造するときに型枠内に位置される埋設金物である。
【0019】
また、前記エンドプレート2には、前記継手部材Sの一端Saに連通する貫通孔2aが形成されている。図示の例では、六本の前記鉄筋4に対応して継手部材Sが六個プレキャスト部材P内に埋設されていることから、これに対応してエンドプレート2に六カ所の貫通孔2a…2aが形成されている。
【0020】
そして、この実施の形態にかかるプレキャスト部材Pは、連結対象となるコンクリート製の他のプレキャスト部材P’の接続端部8より突き出すこの他のプレキャスト部材P’を構成する鉄筋7の突き出し部分7aを、前記貫通孔2aを通じて前記継手部材Sの一端Saよりこの継手部材S内に挿入して前記他のプレキャスト部材P’と接続されるようになっている。図示の例では、かかる他のプレキャスト部材P’は、前記プレキャスト部材Pとその長さ方向に直交する向きの断面形状を等しくした角柱状を呈しており、その中心を挟んだ一方側に主鉄筋となる三本の鉄筋7…7を、その中心を挟んだ他方側に主鉄筋となる三本の鉄筋7…7をそれぞれ備え、これら鉄筋7の端部側がそれぞれ前記突き出し部分7aとなっている。
【0021】
具体的には、前記他のプレキャスト部材P’の接続端部8を洗い出し面とした状態から、前記継手部材S内に前記他のプレキャスト部材P’の鉄筋7の突き出し部分7aを挿入して、前記プレキャスト部材Pのエンドプレート2の外面2bと前記他のプレキャスト部材P’の接続端部8とを突き合わせる。次いで、前記継手部材S内にグラウトGを充填する。かかる充填は、前記継手部材Sの側部に形成されたグラウトG充填用の注入孔(図示は省略する。)及び通気孔(図示は省略する。)にそれぞれ連通した連通孔(図示は省略する。)を前記継手部材Sと前記プレキャスト部材Pの側面5との間に亘って形成し、この連通孔を利用してなされる。グラウトGの充填は、前記継手部材Sの一端Saと前記貫通孔2aを通じて注入されるグラウトGがエンドプレート2の外面2bと前記他のプレキャスト部材P’の接続端部8との間の目地部Jに漏れ出し、前記目地部Jを満たすまでなされる。
【0022】
前記他のプレキャスト部材P’を構成する鉄筋7は、前記継手部材Sを介して、前記プレキャスト部材Pの鉄筋4と一体化される。それと共に、前記他のプレキャスト部材P’を構成する鉄筋7は、エンドプレート2の貫通孔2aに通されることで、エンドプレート2を介して前記プレキャスト部材Pの芯体3としての鉄骨3aと一体化される。これにより、前記プレキャスト部材Pに作用される荷重は前記他のプレキャスト部材P’に効果的に伝達され、また、前記他のプレキャスト部材P’に作用される荷重は前記プレキャスト部材Pに効果的に伝達される。すなわち、この実施の形態にかかるプレキャスト部材Pは、SRC構造のものであるが、他のプレキャスト部材P’がRC構造であるときに、この他のプレキャスト部材P’と効果的且つ合理的に連結することができる。前記継手部材Sは、グラウトG充填式のスリーブ状をなすことから、前記プレキャスト部材Pの鉄筋4と前記他のプレキャスト部材P’の鉄筋7とが異径であっても、これを許容して両鉄筋4の接続が可能である。
【0023】
前記プレキャスト部材Pは、その両端部1、1がそれぞれ前記エンドプレート2によって構成されるようにしておいても構わない。
【0024】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0025】
P プレキャスト部材
P’ 他のプレキャスト部材
1 端部
2 エンドプレート
2a 貫通孔
2c 内面
3 芯体
3a 鉄骨
3c 端部
4 鉄筋
S 継手部材
7 鉄筋
7a 突き出し部分
8 接続端部
図1
図2
図3
図4
図5