【解決手段】下記式3[(6aR,11aS)−15−(シクロプロピルメチル)−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン−8−オール]に代表されるプロペラン誘導体、該誘導体の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物、および該誘導体を含有する医薬。
次の一般式(I)、
【化1】
(式中、R
1は水素、C
1−6アルキル、C
6−10アリール、C
2−6アルケニル、シクロアルキルアルキル(シクロアルキル部分の炭素原子数は3〜6で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)、アラルキル(アリール部分の炭素原子数は6〜10で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)、C
3−6シクロアルキル又はヘテロアリールアルキル(ヘテロアリールはN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を環構成原子として含み、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)を表し、
ここで、R
1のC
1−6アルキル、シクロアルキルアルキル(シクロアルキル部分の炭素原子数は3〜6で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)のアルキレン部分及びシクロアルキル部分、アラルキル(アリール部分の炭素原子数は6〜10で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)のアルキレン部分、並びにヘテロアリールアルキル(ヘテロアリールはN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を環構成原子として含み、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)のアルキレン部分は1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、C
1−6アルコキシ、C
6−10アリールオキシ、C
1−6アルカノイル、C
1−6アルカノイルオキシ、カルボキシル及びアルコキシカルボニル(アルコキシ部分の炭素原子数は1〜6。)から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていても良く、
そして、R
1のC
6−10アリール、アラルキル(アリール部分の炭素原子数は6〜10で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)のアリール部分、並びにヘテロアリールアルキル(ヘテロアリールはN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を環構成原子として含み、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)のヘテロアリール部分はC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルカノイルオキシ、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル(アルコキシ部分の炭素原子数は1〜6。)、カルバモイル、アルキルカルバモイル(アルキル部分の炭素原子数は1〜6。)、ジアルキルカルバモイル(アルキル部分の炭素原子数は1〜6。)、ハロゲン、ニトロ、シアノ、1〜3個のハロゲンで置換されたC
1−6アルキル、1〜3個のハロゲンで置換されたC
1−6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール(N、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を環構成原子として含む。)、フェノキシ、フェニルアルキル(アルキルの炭素原子数は1〜3。)、メチレンジオキシ及びNR
4R
5から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていても良く、ここでR
4及びR
5は各々独立して、水素、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルカノイル、若しくはアルコキシカルボニル(アルコキシ部分の炭素原子数は1〜6。)を表すか、又はR
4とR
5が、それらが結合するN原子と一緒になって、さらにN、O、Sから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い4〜7員の環を形成しても良く、
R
2は水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、カルバモイル、C
1−6アルコキシ、C
6−10アリールオキシ、C
1−6アルカノイルオキシ、ニトロ、アミノ、C
1−8アルキルアミノ、アラルキルアミノ(アリール部分の炭素原子数は6〜10で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)又はアシルアミノ(アシル部分の炭素原子数は2〜6)を表し、
VはCH又はNを表し、
W、X、Y及びZは各々独立して、CR
3又はNを表す。
但し、W、X、Y及びZは同時にNではなく、そしてW、X、Y及びZの2個以上がCR
3の場合、これらは同一又は異なっていても良い。
R
3は水素、ハロゲン、ニトロ、C
1−6アルキル、ヒドロキシ、C
1−6アルコキシ、1〜3個のハロゲンで置換されたC
1−6アルキル、ヒドロキシが置換したC
1−6アルキル、1〜3個のハロゲンで置換されたC
1−6アルコキシ、ヒドロキシが置換したC
1−6アルコキシ、C
1−6アルコキシが置換したC
1−6アルキル、フェニル、シアノ、イソチオシアナート、SR
6、SOR
6、SO
2R
6、(CH
2)
rCOOR
6、SO
2NR
7R
8、CONR
7R
8、(CH
2)
rNR
7R
8又は(CH
2)
rN(R
7)COR
8を表すか、或いは隣接する炭素に結合した2個のR
3が一緒になってメチレンジオキシを表し、
ここで、R
6は水素又はC
1−6アルキルを表し、
R
7及びR
8は各々独立して、水素、C
1−6アルキル又はシクロアルキルアルキル(シクロアルキル部分の炭素原子数は3〜6で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)を表し、
そしてrは0〜5の整数を表す。)
で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する鎮痛薬。
請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する抗不安薬。
請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する抗うつ薬。
【背景技術】
【0002】
オピオイド受容体にはμ、δ、κの3つのタイプが知られており、μ受容体に対して強い親和性を示すモルヒネは古くから鎮痛薬として使用されている。モルヒネの鎮痛作用は強力なものであるが、μ受容体を介して、依存形成、呼吸抑制、便秘等の有害事象を引き起こすことが知られている。
一方、δ受容体も鎮痛作用を有するが、δ受容体アゴニストはモルヒネで見られる有害事象には関与しないことが知られている。
従って、δ受容体に選択的なアゴニストはモルヒネよりも優れた鎮痛薬になる可能性があると考えられ、その創製に関する研究が盛んに行われている。また、δ受容体アゴニストは抗不安薬や抗うつ薬になる可能性があることも報告されている(非特許文献1)。
しかしながら、治療又は予防薬としての承認を受けたδ受容体アゴニストは未だ存在しない。
特許文献1には、次式(A)、
【0003】
【化1】
【0004】
で表される化合物がオピオイドδ受容体アゴニスト作用を有する旨の記載がある。
また、非特許文献2には、本発明者らによって次式(B)、
【0005】
【化2】
【0006】
で表わされる化合物に関する報告を行っているが、この化合物はδ受容体よりもμ受容体に対する親和性が高かった。
一方、プロペラン骨格を有するオピオイド受容体アゴニストとして、非特許文献3には、本発明者らにより、次の式(C)、
【0007】
【化3】
【0008】
で表わされる化合物が報告されているが、上記構造式において、R
3がフェネチルの場合はμ受容体、2−(フランー3−イル)エチルの場合はκ受容体にそれぞれ親和性が高かった。
また、特許文献2及び非特許文献4には、本発明者らにより、次の式(D)、
【0009】
【化4】
【0010】
で表わされる化合物に関する報告がなされているが、この化合物はδ受容体に対する親和性は弱く、κ受容体に対する親和性が高い旨、報告されている。
なお、上記式(C)及び(D)で表わされる化合物は後記一般式(I)で表されるプロペラン骨格にキノリン等の二環性の含窒素複素環が縮合した本発明化合物とは構造上の明確な相違がある。
一方、プロペラン骨格に二環性の含窒素複素環が縮合したオピオイド受容体作動薬/拮抗薬として、特許文献3の請求項1には、次の一般式(E)、
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、RはH又はC
1−10アルキル他、XはH、OH又はC
1−6アルコキシ他、Y部分は5―6員の芳香族複素環が縮環したベンゼン他)
で表される化合物が記載されている。
しかしながら、この特許で具体的に記載されている化合物は、上記一般式(E)でY部分がインドール又はN―メチルインドールのみであり、後記一般式(I)で表されるプロペラン骨格にキノリン環、ナフチリジン環、又はキノキサリン環等の二環性の含窒素複素環が縮合した本発明化合物の記載はなく、またこれらの化合物はμ受容体に対する親和性が高い旨の記載がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明をさらに詳しく説明する。
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物のうち、好ましくは次のものが挙げられる。
(1)
R
1が水素、C
1−6アルキル、シクロアルキルアルキル(シクロアルキル部分の炭素原子数は3〜6で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)又はアラルキル(アリール部分の炭素原子数は6〜10で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)である上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
(2)
R
1がC
1−6アルキル、シクロアルキルアルキル(シクロアルキル部分の炭素原子数は3〜6で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)又はアラルキル(アリール部分の炭素原子数は6〜10で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)であって、それらのアルキル部分がヒドロキシ、1〜6個のハロゲン、又はC
1−6アルコキシのいずれかによって置換された上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
(3)
R
2がヒドロキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルカノイルオキシ、又はカルバモイルである上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、又は上記(1)若しくは(2)記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
(4)
R
2がヒドロキシ又はC
1−6アルコキシである上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、又は上記(1)若しくは(2)記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
(5)
VがCHである上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、又は上記(1)〜(4)記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
(6)
W、X、Y及びZが同一又は異なりCR
3である上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、又は上記(1)〜(5)記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
(7)
W、X、Y及びZが同一又は異なり、CH、C(C
1−6アルキル)、C(ハロゲン)、C(ヒドロキシ)及びC(C
1−6アルコキシ)から選択されたものである上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、又は上記(1)〜(5)記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
(8)
W、X、Y及びZがCHである上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、又は上記(1)〜(5)記載のプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物。
【0021】
本件特許において、
C
1−6アルキルとしてはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル若しくはヘキシル等が挙げられる。
1〜3個のハロゲンで置換されたC
1−6アルキルとしては、2−クロロエチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、2,2−ジフルオロエチル、トリフルオロメチル又は3,3,3−トリフルオロプロピル等が挙げられる。
C
2−6アルケニルとしては、2−プロペニル又は3−メチル−2−ブテニル等が挙げられる。
シクロアルキルアルキル(シクロアルキル部分の炭素原子数は3〜6で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等のC
3−6シクロアルキルで置換されたメチル、エチル等が挙げられる。
アラルキル(アリール部分の炭素原子数は6〜10で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)としては、ベンジル基又はフェネチル基が挙げられる。
C
3−6シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等が挙げられる。
C
6−10アリールとしては、フェニル又はナフチル等が挙げられる。
ヘテロアリール(N、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を環構成原子として含む。)としては、ピリジル、フリル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニル又はチアゾリル等が挙げられる。
ヘテロアリールアルキル(ヘテロアリールはN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を環構成原子として含み、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)としては、(ピリジン−2−イル)メチル、(ピリジン−3−イル)メチル、(ピリジン−4−イル)メチル、(フラン−2−イル)メチル、(フラン−3−イル)メチル、(イミダゾール−2−イル)メチル、(イミダゾール−4−イル)メチル、(イミダゾール−5−イル)メチル、(チアゾール−2−イル)メチル、(チアゾール−4−イル)メチル、(チアゾール−5−イル)メチル、2−(ピリジン−2−イル)エチル、2−(ピリジン−3−イル)エチル、2−(ピラゾール−1−イル)エチル、2−(チオフェン−2−イル)エチル、又は2−(チオフェン−3−イル)エチル、等が挙げられる。
C
1−6アルカノイルとしては、アセチル又はプロピオニル等が挙げられる。
C
1−6アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ又はプロポキシ等が挙げられる。
C
1−6アルカノイルオキシとしては、アセトキシ等が挙げられる。
アルコキシカルボニル(アルコキシ部分の炭素原子数は1〜6)としては、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニル等が挙げられる。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素又は臭素等が挙げられる。
1〜3個のハロゲンで置換されたC
1−6アルコキシとしては、フルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシ等が挙げられる。
フェニルアルキル(アルキレン部分の炭素原子数は1〜3。)としては、ベンジル等が挙げられる。
C
6−10アリールオキシとしては、フェノキシ等が挙げられる。
C
1−8アルキルアミノとしては、メチルアミノ、エチルアミノ等が挙げられる。
アラルキルアミノ(アリール部分の炭素原子数は6〜10で、アルキレン部分の炭素原子数は1〜5。)としては、ベンジルアミノ等が挙げられる。
アシルアミノ(アシル部分の炭素原子数は2〜6)としては、アセチルアミノ等が挙げられる。
アルキルカルバモイル(アルキル部分の炭素原子数は1〜6。)としては、エチルカルバモイル等が挙げられる。
ジアルキルカルバモイル(アルキル部分の炭素原子数は1〜6。)としては、ジエチルカルバモイル等が挙げられる。
ヒドロキシが置換したC
1−6アルキルとしては、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
ヒドロキシが置換したC
1−6アルコキシとしては、2−ヒドロキシエトキシ等が挙げられる。
そして、R
4とR
5とN原子が一緒になり、さらにN、O、Sから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い4〜7員環としては、ピペリジン環、ピペラジン環又はモルホリン環が挙げられる。
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩において、薬学的に許容される塩としては、好ましくは酸付加塩が挙げられ、酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、フマル酸、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸又は無機酸との塩が挙げられる。
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物において、立体異性体としてはシス、トランス異性体、ラセミ体や光学活性体等が挙げられる。
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物において、溶媒和物としては、本発明の化合物又はその塩の医薬上許容される溶媒和物で、水和物も含む。
【0022】
次に、上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の製造方法を次に示す
(製造法1)
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体で、R1がシクロプロピルメチル、R2がC1−6アルコキシ又はヒドロキシ、VがCHの場合:
【0024】
(式中、R
20はC
1−6アルコキシを表し、そしてW、X、Y及びZは前記と同じ。)
第一工程
本発明化合物(c)は、下記のいずれかの方法によって化合物(a)から合成される。出発原料である化合物(a)は公知の方法(J.Org.Chem.,2008,73,8093及びBioorg.Med.Chem.Lett.,2011,21,4104)及びそれに準じる方法により合成される。
方法a:
エタノール等の溶媒中、メタンスルホン酸等の酸の存在下に化合物(a)を化合物(b)と反応させる方法。
方法b:
エタノール−水等の溶媒中、水酸化カリウム等の塩基の存在下に化合物(a)に化合物(b)を反応させる方法。
第二工程
一般式(I)のR
2がヒドロキシである本発明化合物(d)は、化合物(c)から以下の方法又はそれらに準じる方法のいずれかによって合成される。
ジクロロメタン等の溶媒中で三臭化ホウ素等を作用させる方法、
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中でカリウムt−ブトキシド等の塩基存在下に1−ドデカンチオール等のアルカンチオールを作用させる方法
塩酸ピリジニウム存在下加熱する方法
(製造法2)
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体で、R1がシクロプロピルメチルを除く前記R1、R2がC1−6アルコキシ又はヒドロキシ、VがCHの場合:
方法A:
【0026】
(式中、R
10はシクロプロピルメチル以外の前記R
1、R
20はC
1−6アルコキシを表しそしてW、X、Y及びZは前記と同じ。)
第一工程
化合物(e)は、化合物(a)とクロロギ酸エステル類との反応及び続く脱カルバメート化反応からなる公知の脱N−アルキル化法(Bioorg.Med.Chem.Lett.,2010,20,6302など)又はそれに準じる方法により合成される。
第二工程
本発明化合物(f)は、製造法1の第一工程に記載した方法に従って化合物(e)から合成される。
第三工程
本発明化合物(c−1)は、通常のN−アルキル化反応、還元的アミノ化反応、又はアミド化に続く水素化リチウムアルミニウム等による還元反応により、化合物(f)から合成される。
第四工程
本発明化合物(d−1)は、製造法1の第二工程に記載した方法に従って、化合物(c−1)から合成される。
方法B:
【0028】
(式中、R
10はシクロプロピルメチル以外の前記R
1、R
20はC
1−6アルコキシを表しそしてW、X、Y及びZは前記と同じ。)
第一工程
化合物(h)は、製造法2の方法Aにおける第一工程に記載した方法、又はアゾジカルボン酸ジエチルを用いる方法(Synthetic Communications,1995,25,829など)により、化合物(g)から合成される。出発原料である化合物(g)は公知の方法(J.Org.Chem.,2008,73,8093及びBioorg.Med.Chem.Lett.,2011,21,4104)及びそれに準じる方法により合成される。
第二工程
化合物(i)は、製造法2の方法Aにおける第三工程に記載した方法に従い、化合物(h)から合成される。
第三工程
化合物(a−1)は、テトラヒドロフラン(THF)やメタノール等の溶媒中、化合物(i)に塩酸等の鉱酸を反応させることにより合成される。酸として、鉱酸の代わりにルイス酸を用いても良い。
第四及び第五工程
製造法1の第一及び第二工程に記載された方法を用いて、本発明化合物(c−1)及び(d−1)がそれぞれ合成される。
(製造法3)
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体で、R2が水素、シアノ又はCONH2、VがCHの場合:
【0030】
(式中、R
21は水素、シアノ又はCONH
2を表し、そしてR
1、W、X、Y及びZは前記と同じ。)
一般式(I)のR
2が水素、シアノ又はCONH
2である本発明化合物(k)は、製造法1の第一工程に記載した方法及びそれらに準ずる方法を用いて、化合物(j)から合成することができる。尚、出発原料(j)は、以下のいずれかの方法により化合物(l)から合成される。
R
21が水素の場合:
【0032】
(式中、R
20はC
1−6アルコキシを表し、そしてR
1は前記と同じ。)
第一工程
化合物(l)[J.Org.Chem.,2008,73,8093及びBioorg.Med.Chem.Lett.,2011,21,4104に記載の方法等により合成される]から化合物(m)への変換は、DMF等の溶媒中でカリウムt−ブトキシド等の塩基存在下に、1−ドデカンチオール等のアルカンチオールを作用させる方法及びそれに準じる方法によって行われる。
第二工程
化合物(m)から化合物(n)への変換は、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)又は無水トリフルオロメタンスルホン酸を用いたトリフルオロメタンスルホニル化反応によって行われる。
第三工程
化合物(n)から化合物(o)への変換は、パラジウム触媒下での還元反応(Tetrahedron Letters,2010,51,2359に記載された方法等)によって行われる。
第四工程
化合物(o)から化合物(j−1)への変換は、製造法2の方法Bにおける第三工程に記載した方法、及びそれに準じる方法に従って行われる。
(2)R
2=シアノ、CONH
2の場合
【0034】
(式中、R
1は前記と同じ。)
第一工程
化合物(p)は、パラジウム触媒下でのシアノ化反応によって化合物(n)から合成される。
第二工程
化合物(p)から化合物(j−2)への変換は、製造法2の方法Bにおける第三工程に記載した方法及びそれに準じる方法に従って行われる。
第三工程
化合物(j−3)は、上記反応式に示した方法のほか、通常の加水分解反応を用いて化合物(j−2)から合成される。
(製造法4)
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体で、R2がアミノ、VがCHの場合:
【0036】
(式中、CBzはベンジルオキシカルボニル基を示し、そしてR
1、W、X、Y及びZは前記と同じ。)
第一工程
化合物(q)は、化合物(n)とベンゾフェノンイミンとのパラジウム触媒存在下でのクロスカップリング反応、及び続く酸加水分解反応によって行われる。
第二工程
化合物(r)は、ジクロロメタン等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基存在下に化合物(q)にクロロギ酸ベンジルを反応させることによって合成される。
第三工程
化合物(s)は、製造法1の第一工程に記載した方法のいずれか、又はそれに準じる方法によって合成される。
第四工程
本発明化合物(s)から化合物(t)への変換は、パラジウム−炭素等を用いた接触水素化反応、又は臭化水素/酢酸等を用いた酸処理によって行われる。
(製造法5)
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体で、R2がC1−6アルコキシ又はヒドロキシ、VがNの場合:
【0038】
(式中、R
20はC
1−6アルコキシを表し、そしてR
1、W、X、Y及びZは前記と同じ。)
本発明化合物(x)は、上記の反応経路に示した方法(J.Med.Chem.1991,34,1715に記載された反応経路に準じた方法)により、化合物(a−2)から化合物(u)及び発明化合物(w)を経て合成される。
一般式(I)に含まれるその他の化合物についても、上記合成方法並びに後記実施例に記載の方法の組み合わせ等により製造することができる。
【0039】
次に薬理実験結果について述べる。
後記実施例12の表1に記載したとおり、上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物は、μ、δおよびκオピオイド受容体に対する結合親和性に関する試験において、オピオイドδ受容体に対して選択的な親和性を示した。
後記実施例13の表2に記載したとおり、上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物は、オピオイド受容体機能試験において、δ受容体に対して優れた作動活性を有することが明らかになった。
従って、上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物は、急性痛及び慢性疼痛を伴う疾患における疼痛治療、関節リウマチ、変形性関節炎、骨腫瘍等の強い痛みを伴う癌性疼痛、糖尿病性神経障害性疼痛、帯状疱疹後神経痛、内臓の痛み等の予防及び治療薬として用いることができる。
また、上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物は、うつ病やパニック障害、不安障害、ストレス障害(PTSD、急性ストレス障害)等の不安を伴う精神疾患の治療薬(抗うつ薬、抗不安薬等)として、尿失禁、心筋虚血、高血圧、パーキンソン病その他の運動機能障害の予防及び治療薬として用いることができる。
上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物は、ヒトに対して経口投与又は非経口投与のような適当な投与方法により投与することができる。また、他の鎮痛薬と併用することも可能である。
製剤化するためには、製剤の技術分野における通常の方法で錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、懸濁剤、注射剤、坐薬等の剤型に製造することができる。
これらの調製には、例えば錠剤の場合、通常の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、色素などが用いられる。ここで、賦形剤としては、乳糖、D−マンニトール、結晶セルロース、ブドウ糖などが、崩壊剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)などが、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどが、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。注射剤の調製には溶剤、安定化剤、溶解補助剤、懸濁剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤などが用いられる。
投与量は、通常成人においては、有効成分である上記一般式(I)で表されるプロペラン誘導体、該化合物の互変異性体、立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を、注射剤においては、0.1μg〜1g/日、好ましくは0.001〜200mg/日、経口投与においては、1μg〜10g/日、好ましくは0.01〜2000mg/日投与されるが、年齢、症状等により増減することができる。
次に、参考例、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
(6aR,11aS)−15−(シクロプロピルメチル)−8−メトキシ−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン(2)
【0041】
【化15】
【0042】
アルゴン雰囲気下、化合物1(61.1mg,0.188mmol)[J.Org.Chem.2008,73,8093.及びBioorg.Med.Chem.Lett.,2011,21,4104.に記載の化合物]をエタノール(10mL)に溶解し、2−アミノベンズアルデヒド(91.0mg,0.751mmol)及びメタンスルホン酸(48.7μL,0.751mmol)を加え、12時間還流した。室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物を分取TLCにて精製し、黄色油状物質として表題化合物2(27.0mg,35%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 0.01−0.09(m,2H),0.42−0.52(m,2H),0.74−0.89(m,1H),1.70−1.86(m,1H),1.93−2.04(m,1H),2.07−2.25(m,2H),2.27−2.69(m,5H),2.80(d,J=15.2Hz,1H),2.97(d,J=15.2Hz,1H),3.08(d,J=17.0Hz,1H),3.20−3.36(m,1H),3.24(d,J=9.9Hz,1H),3.79(s,3H),6.69(dd,J=2.4,8.1Hz,1H),6.77(d,J=2.4Hz,1H),7.12(d,J=8.1Hz,1H),7.40−7.47(m,1H),7.57−7.64(m,1H),7.68−7.73(m,1H),7.84(s,1H),7.97(d,J=8.3Hz,1H).
【実施例2】
【0043】
(6aR,11aS)−15−(シクロプロピルメチル)−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン−8−オール(3)
【0044】
【化16】
【0045】
化合物2(27.0mg,0.0658mmol)に塩酸ピリジニウム(624mg,5.40mmol)を加えて、180℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物を分取TLCにて精製し、無色油状物質として表題化合物3(20.7mg,79%)を得た。さらに、この化合物を15%塩化水素/メタノール溶液で処理し、塩酸塩を得た。
(フリー塩基)
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 0.01−0.09(m,2H),0.39−0.53(m,2H),0.72−0.88(m,1H),1.68−1.82(m,1H),1.92−2.03(m,1H),2.05−2.28(m,4H),2.54−2.66(m,2H),2.72(d,J=15.3Hz,1H),2.85(d,J=15.3Hz,1H),3.06−3.22(m,3H),3.50(d,J=17.7Hz,1H),6.60(dd,J=2.2,8.0Hz,1H),6.84(d,J=2.2Hz,1H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),7.42−7.49(m,1H),7.57−7.65(m,1H),7.69−7.75(m,1H),7.91(s,1H),8.10(d,J=8.5Hz,1H).
【実施例3】
【0046】
(6aR,11aS)−8−メトキシ−15−メチル−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン(5)
【0047】
【化17】
【0048】
実施例1に記載の方法に従い、化合物4(83.5mg,0.293mmol)[J.Org.Chem.2008,73,8093.及びBioorg.Med.Chem.Lett.,2011,21,4104.に記載の化合物]を用い、白色アモルファスとして表題化合物5(37.9mg,35%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 1.69−2.10(m,2H),2.13−2.29(m,3H),2.17(s,3H),2.30−2.50(m,2H),2.79(d,J=15.3Hz,1H),2.94(d,J=15.3Hz,1H),3.02−3.12(m,1H),3.19(d,J=17.7Hz,1H),3.30(d,J=17.7Hz,1H),3.79(s,3H),6.69(dd,J=2.5,8.1Hz,1H),6.77(d,J=2.5Hz,1H),7.13(d,J=8.1Hz,1H),7.40−7.47(m,1H),7.57−7.64(m,1H),7.67−7.72(m,1H),7.82(s,1H),7.97(d,J=8.4Hz,1H).
【実施例4】
【0049】
(6aR,11aS)−15−メチル−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン−8−オール(6)
【0050】
【化18】
【0051】
実施例2に記載の方法に従い、化合物5(37.9mg,0.102mmol)を用い、白色アモルファスとして表題化合物6(24.3mg,67%)及びその塩酸塩を得た。
(フリー塩基)
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 1.70−1.84(m,1H),1.92−2.04(m,1H),2.12−2.29(m,2H),2.20(s,3H),2.37−2.55(m,2H),2.75(d,J=15.2Hz,1H),2.84(d,J=15.2Hz,1H),3.08−3.21(m,3H),3.43(d,J=17.8Hz,1H),6.61(dd,J=2.2,8.0Hz,1H),6.81(d,J=2.2Hz,1H),7.01(d,J=8.0Hz,1H),7.43−7.50(m,1H),7.59−7.66(m,1H),7.70−7.76(m,1H),7.91(s,1H),8.08(d,J=8.5Hz,1H).
(参考例1)
【0052】
(4aR,9aR)−6−メトキシ−4,9−ジヒドロ−1H−4a,9a−(エタノイミノメタノ)フルオレン−3(2H)−オン(7)
【0053】
【化19】
【0054】
アルゴン雰囲気下、化合物1(1.89g,5.81mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(1.6mL,11.6mmol)及び炭酸カリウム(2.4g,17.4mmol)を加え、室温にて4時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物を精製することなく酢酸(10mL)に溶解し、亜鉛粉末(1.92g,29.32mmol)を加えて室温にて30分間撹拌した。反応液をセライト濾過後、濾液を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、25%アンモニア水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色アモルファスとして表題化合物7(1.26g,79%)を得た。
【実施例5】
【0055】
(6aR,11aS)−8−メトキシ−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン(8)
【0056】
【化20】
【0057】
アルゴン雰囲気下、化合物7(329mg,1.21mmol)をエタノール(10mL)に溶解し、2−アミノベンズアルデヒド(588mg,4.85mmol)及びメタンスルホン酸(315μL,4.85mmol)を加え、6.5時間還流した。室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色アモルファスとして表題化合物8とその位置異性体の混合物(379mg,88%)を得た。
【実施例6】
【0058】
1−(((6aR,11aS)−8−メトキシ−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン−15−イル)メチル)シクロプロパノール(9)
【0059】
【化21】
【0060】
アルゴン雰囲気下、化合物8とその位置異性体の混合物(113mg,0.316mmol)をDMF(10mL)に溶解させ、1−アセトキシシクロプロパンカルボン酸(228mg,1.58mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(303mg,1.58mmol)及びジメチルアミノピリジン(193mg,1.58mmol)を加え、5時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色油状物質(180mg)を得た。
水素化アルミニウムリチウム(120mg,3.16mmol)をTHF(3.2mL)に懸濁し、0℃にて濃硫酸(84.2μl,1.58mmol)を滴下し、0℃で15分撹拌した。ここに、上記で得られた無色油状物質(180mg)のTHF(6mL)溶液を0℃で滴下し30分撹拌した後、室温に昇温し、1時間撹拌した。25%アンモニア水溶液(10mL)を加え、反応液をセライト濾過後、濾液を減圧下にて濃縮した。水を加えた後クロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物を分取TLCにて精製し、白色アモルファスとして表題化合物9(29.1mg,22%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 0.29−0.38(m,2H),0.75−0.84(m,2H),1.69−1.82(m,1H),1.94−2.06(m,1H),2.37−2.50(m,1H),2.39(d,J=2.1Hz,1H),2.47(d,J=11.8Hz,1H),2.53−2.63(m,1H),2.57(d,J=11.5Hz,1H),2.86(d,J=15.4Hz,1H),2.98(d,J=15.4Hz,1H),3.06−3.35(m,3H),3.19(d,J=17.3Hz,1H),3.30(d,J=17.3Hz,1H),3.78−3.83(m,1H),3.79(s,3H),6.71(dd,J=2.5,8.1Hz,1H),6.77(d,J=2.5Hz,1H),7.13(d,J=8.1Hz,1H),7.41−7.49(m,1H),7.58−7.66(m,1H),7.69−7.74(m,1H),7.84(s,1H),7.98(d,J=8.4Hz,1H).
【実施例7】
【0061】
(6aR,11aS)−15−((1−ヒドロキシシクロプロピル)メチル)−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン−8−オール(10)
【0062】
【化22】
【0063】
実施例2に記載の方法に従い、化合物9(29.1mg,0.0682mmol)を用い、無色油状物質として表題化合物10(22mg,78%)及びその塩酸塩を得た。
(フリー塩基)
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 0.26−0.40(m,2H),0.71−0.86(m,2H),1.65−1.77(m,1H),1.91−2.03(m,1H),2.25−2.39(m,4H),2.60−2.71(m,2H),2.78(d,J=15.5Hz,1H),2.89(d,J=15.5Hz,1H),3.10−3.21(m,3H),3.37(d,J=17.4Hz,1H),6.63(dd,J=2.2,8.0Hz,1H),6.81(d,J=2.2Hz,1H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),7.43−7.51(m,1H),7.58−7.67(m,1H),7.71−7.77(m,1H),7.92(s,1H),8.10(d,J=8.5Hz,1H).
【実施例8】
【0064】
(6aR,11aS)−15−ベンジル−8−メトキシ−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン(11)
【0065】
【化23】
【0066】
アルゴン雰囲気下、化合物8とその位置異性体の混合物(98.7mg,0.277mmol)をDMF(2mL)に溶解させ、ベンジルブロミド(98.7μL,0.831mmol)及び炭酸カリウム(153mg、1.11mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び分取TLCにて精製し、白色アモルファスとして表題化合11(21.8mg,18%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 1.69−1.81(m,1H),1.91−2.03(m,1H),2.21−2.38(m,3H),2.39−2.51(m,1H),2.75(d,J=15.2Hz,1H),2.95(d,J=15.0Hz,1H),2.99(d,J=17.2Hz,1H),3.15−3.49(m,2H),3.25(d,J=8.6Hz,1H),3.39(d,J=6.5Hz,1H),3.79(s,3H),6.69(dd,J=2.4,8.1Hz,1H),6.77(d,J=2.4Hz,1H),7.12(d,J=8.1Hz,1H),7.21−7.34(m,5H),7.35−7.40(m,1H),7.41−7.48(m,1H),7.57−7.65(m,1H),7.69−7.74(m,1H),7.82(s,1H),7.98(d,J=8.5Hz,1H).
【実施例9】
【0067】
(6aR,11aS)−15−ベンジル−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン−8−オール(12)
【0068】
【化24】
【0069】
実施例2に記載の方法に従い、化合物11(21.8mg,0.0488mmol)を用い、白色アモルファスとして表題化合物12(7.6mg,36%)及びその塩酸塩を得た。
(フリー塩基)
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 1.37−1.84(m,3H),1.93−2.04(m,1H),2.18(d,J=11.4Hz,1H),2.35(d,J=11.4Hz,1H),2.45−2.56(m,1H),2.70−2.83(m,2H),3.02(d,J=17.8Hz,1H),3.12−3.26(m,2H),3.29−3.47(m,2H),6.61(dd,J=2.2,8.0Hz,1H),6.82(d,J=2.2Hz,1H),7.02(d,J=8.0Hz,1H),7.22−7.34(m,5H),7.44−7.51(m,1H),7.59−7.67(m,1H),7.72−7.78(m,1H),7.90(s,1H),8.08(d,J=8.4Hz,1H).
(参考例2)
【0070】
1−((6aR,11aS)−8−メトキシ−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン−15−イル)−2−フェニルエタノン(13)
【0071】
【化25】
【0072】
アルゴン雰囲気下、化合物8とその位置異性体の混合物(99.0mg,0.278mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解させ、塩化フェニルアセチル(73.5μl,0.556mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物を分取TLCにて精製し、無色油状物質として表題化合物13(44.6mg,34%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 1.80−2.07(m,2H),2.63(s,0.5H),2.75(s,0.5H),2.85(d,J=16.8Hz,1H),2.92−3.10(m,4H),3.18−3.28(m,2H),3.31−3.40(m,1H),3.44−3.59(m,2H),3.70−3.83(m,0.5H),3.77(s,1.5H),3.79(s,1.5H),4.13(d,J=13.5Hz,0.5H),6.62−6.74(m,2H),6.84(d,J=8.2Hz,1H),6.93(d,J=7.8Hz,0.5H),7.01−7.07(m,1.5H),7.11−7.21(m,2H),7.24−7.38(m,1H),7.43−7.51(m,1H),7.59−7.67(m,1H),7.70−7.78(m,1.5H)(brs,0.5H),7.96−8.04(m,1H).
【実施例10】
【0073】
(6aR,11aS)−8−メトキシ−15−フェネチル−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン(14)
【0074】
【化26】
【0075】
水素化アルミニウムリチウム(21.4mg,0.564mmol)をTHF(5mL)に懸濁し、0℃にて化合物13(44.6mg,0.0940mmol)のTHF(5mL)溶液を0℃で滴下し、室温に昇温して1時間撹拌した。0℃にて酢酸エチル(5mL)及び飽和硫酸ナトリウム水溶液(0.1mL)加え、反応液をセライト濾過後、濾液を減圧下にて濃縮した。得られた粗生成物を分取TLCにて精製し、黄色油状物質として表題化合物14(34.5mg,80%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 1.67−1.80(m,1H),1.91−2.02(m,1H),2.26−2.57(m,6H),2.68−2.84(m,3H),2.93(d,J=15.2Hz,1H),3.05(d,J=17.3Hz,1H),3.14−3.32(m,3H),3.79(s,3H),6.70(dd,J=2.4,8.1Hz,1H),6.77(d,J=2.4Hz,1H),7.09−7.28(m,6H),7.41−7.48(m,1H),7.57−7.64(m,1H),7.68−7.74(m,1H),7.80(s,1H),7.98(d,J=8.4Hz,1H).
【実施例11】
【0076】
(6aR,11aS)−15−フェネチル−11,12−ジヒドロ−6H−6a,11a−(エタノイミノメタノ)インデノ[2,1−b]アクリジン−8−オール(15)
【0077】
【化27】
【0078】
実施例2に記載の方法に従い、化合物14(34.5mg,0.0749mmol)を用い、無色油状物質として表題化合物15(26.8mg,80%)及びその塩酸塩を得た。
(フリー塩基)
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 1.66−1.80(m,1H),1.94−2.04(m,1H),2.16−2.29(m,2H),2.39−2.63(m,4H),2.66−2.79(m,3H),2.86(d,J=15.4Hz,1H),3.04−3.23(m,3H),3.41(d,J=17.7Hz,1H),6.62(dd,J=2.3,8.0Hz,1H),6.87(d,J=2.3Hz,1H),7.02(d,J=8.0Hz,1H),7.12−7.29(m,5H),7.44−7.52(m,1H),7.59−7.67(m,1H),7.72−7.78(m,1H),7.89(s,1H),8.12(d,J=8.4Hz,1H).
【実施例12】
【0079】
オピオイド受容体結合試験
本発明化合物のμ、δおよびκオピオイド受容体に対する結合親和性を調べた。
方法:既報(J.Biol.Chem.2001 276:15409―15414.)に準じてマウス大脳およびモルモット小脳膜画分を調製した。各オピオイド受容体に対する放射性リガンドとして[
3H]DAMGO(μオピオイド受容体)、[
3H]DPDPE(δオピオイド受容体)、[
3H]U69,593(κオピオイド受容体)を用いた。μおよびδ受容体のアッセイはマウス大脳膜画分、κ受容体のアッセイはモルモット小脳膜画分を用いた。非特異的結合は、μ:DAMGO、δ:DPDPE、κ:U69,593をそれぞれ1μMで用いた。各受容体膜画分と放射性リガンド及び各種濃度の検体を所定の時間反応させ、B/F分離後、液体シンチレーションカウンターにてフィルター上に残存する放射能量を測定し、被験化合物の結合阻害率(IC
50値)を算出した。Ki値は、得られたIC
50値から下式を用いて算出した。
Ki=IC
50/(1+L/Kd)
L:用いた放射性リガンドの濃度
Kd:放射性リガンドのKd値
また、オピオイド受容体におけるδ−受容体選択性は、μまたはκに対するKi値とδに対するKi値との比(μ/δまたはκ/δ)を算出して求めた。
DAMGO:
[D−Ala
2,N−MePhe
4,Gly−Ol]enkephalin
DPDPE:
[D−Pen
2,D−Pen
5]enkephalin
U69,593:
(+)−(5α,7α,8β)−N−メチル−N−[7−(1−ピロリジニル)−1−オキサスピロ[4.5]デシ−8−イル]ベンゼンアセトアミド
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示すとおり、本発明の化合物は、オピオイドδ受容体に対して選択的な親和性を示した。
【実施例13】
【0082】
オピオイド受容体機能試験
本発明化合物のμ、δおよびκオピオイド受容体に対する機能活性を調べた。
方法:安定にヒトオピオイドμ、δ、κ受容体の各々を発現させたCHO細胞(カタログ番号およびアクセッション番号は下記)を用いて細胞膜分画を調製した。細胞膜分画、各被験化合物、30μM GDPおよび100pM [
35S]GTPγSを含む反応液(50mM [Tris(hydroxymethyl)aminomethane]−HCl pH7.4, 5mM MgCl
2,
1mM EGTA,100mM NaCl)を作製し、2時間反応させた。B/F分離後、マイクロプレートシンチレーションカウンターにてフィルター上に残存する放射能量を測定し、10
−11〜10
−6Mの濃度範囲で被験化合物の用量反応曲線を求め、作動活性(EC
50値)および最大反応(Emax値)を算出した。非特異的結合は非放射性の10μM GTPγSを共存させることにより測定した。各オピオイド受容体標準薬としてDAMGO(μ)、DPDPE(δ)、U−69,593(κ)を用いた。
CHO:Chinese hamster ovary
GDP:guanosine−5’−diphosphate
GTP:guanosine−5’−triphosphate
カタログ番号およびアクセッション番号
μ:Catalog No.CT6605,accession No.NM_000914
δ:Catalog No.CT6607,accession No.NM_000911.2
κ:Catalog No.CT6606,accession No.NM_000912
(ChanTest Corporation)
【0083】
【表2】
【0084】
表2に示すとおり、本発明の化合物は、オピオイドδ受容体に対して強力な作動活性を有することが確認された。