【実施例1】
【0016】
始めに、実施例1のヘッドレスト4の構成について、
図1〜
図9を用いて説明する。なお、以下の説明において、「シート前方側」「シート後方側」「シート上方側」「シート下方側」「シート幅方向」のように各種方向に「シート」を付して記載する場合には、シート1に対する各種方向を示すものとする。
【0017】
本実施例のヘッドレスト4は、
図1に示すように、自動車のシート1の頭凭れとして構成されている。ここで、上記シート1は、着座者の背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭凭れとなるヘッドレスト4と、を備えた構成となっている。上記ヘッドレスト4は、上述したシートバック2の上部に装着されて設けられている。具体的には、上述したヘッドレスト4は、その下部から棒状に延びる2本のステー10が、それぞれ、シートバック2の上部に埋設された図示しないサポート部材にシート上方側から差し込まれて装着されることにより、シートバック2の上部に固定されて設けられた状態とされている。
【0018】
上述したヘッドレスト4は、
図2に示すように、その骨組みを構成する金属製のステー10と、ステー10の上部に組み付けられて外荷重を和らげて受け止める発泡ウレタン製のパッド20と、パッド20の表面を被覆する合成皮革製のカバー30と、上述したステー10の上部に装着されてパッド20の内部に埋め込まれて設けられる樹脂製のサポートケース40と、カバー30の前部の内周面部に貼り付けられて設けられた低反発な発泡ウレタン製の低反発層50と、サポートケース40の上部と両側部とに跨って接着されて設けられた低通気な発泡ウレタン製の低通気層60と、を有する。ここで、上記サポートケース40が本発明の「支持部材」に相当し、低通気層60が本発明の「阻止部材」に相当する。
【0019】
上述した低反発層50は、パッド20よりも低反発な部材により構成されており、上述したサポートケース40の前側のピース41の前板部41Dに面当接した状態として設けられて、着座者の頭部から受ける荷重を和らげて受け止めることができるようになっている(
図3〜
図6参照)。詳しくは、上記低反発層50は、上述したカバー30の前部とサポートケース40の前板部41Dとの間に(後述するサポート領域SAでは)パッド20を介在させることなく設けられた状態とされている。このような構成となっていることにより、上記低反発層50は、着座者の頭部から受ける荷重を、パッド20の弾発力(反発力)を作用させることなく、サポートケース40によって後側から硬く支えられた低反発な支持構造によって、着座者の頭部を軟らかく沈み込ませる形で受け止めることができるようになっている。
【0020】
以下、上述したヘッドレスト4の各部の構成について詳しく説明する。ステー10は、金属製の棒状部材が略逆U字状の形に折り曲げられると共に、逆U字の上部領域が上斜め前方側を向く形に折り曲げられた構成となっている。パッド20は、
図6に示すように、カバー30と一体に発泡成形されて形成されている。具体的には、上記パッド20は、次のようにカバー30と一体に発泡成形されて形成されている。
【0021】
先ず、
図7に示すように、ヘッドレスト4を上下逆さ向きにして、カバー30を発泡成形型FD内にセットした状態にする。次に、
図8に示すように、上記カバー30の上向きとされた底部(図示では上部)に開口して形成された注入口32にノズルNを差し込んで発泡樹脂原料20Aを注入する。そして、
図9に示すように、上記発泡樹脂原料20Aを発泡成形型FD内で加熱発泡させる。これにより、
図6に示すように、上記発泡樹脂原料20Aが発泡成形型FDの形に合わせて加熱発泡されながら、カバー30の内周面部に一体的に接着された状態に充填された状態となり、パッド20がカバー30と一体に発泡成形された状態して形成される。
【0022】
カバー30は、
図6に示すように、その合成皮革製の外皮の内周面全域に、スラブウレタン製の薄いラミパッド層31が溶着されて一体的に積層された2層構造となっている。上記カバー30は、複数枚のピースが袋状に縫い合わされた構成となっている。上記カバー30は、
図2及び
図7に示すように、上述したパッド20が一体発泡される前の段階で、ステー10の上部に組み付けられたサポートケース40にシート上方側から被せ付けられて、その被せられた先の端部がサポートケース40の下部にシールされて組み付けられた状態とされている。
【0023】
具体的には、上記カバー30は、
図3及び
図6に示すように、上記サポートケース40に被せ付けられた先の底側の開口の左右2箇所が、それぞれ、サポートケース40の下部の左右2箇所に装着された各ベゼル43によって、サポートケース40の底面部との間に挟持される形でシールされた状態とされている。これにより、上記カバー30は、上記各ベゼル43によってシールされた左右2箇所の間の領域に、
図8〜
図9にて前述したパッド20の発泡樹脂原料20Aを注入するためのノズルNを差し込むことのできる注入口32が開口した形に形成された構成となっている。
【0024】
上記注入口32は、上記カバー30内で発泡樹脂原料20Aを加熱発泡させて充満させることにより、同注入口32に臨むカバー30のピース同士が互いに重ね合わされて見栄え良く閉じられた形に仕上げられた状態とされている。上記カバー30は、その内周面全域に前述したラミパッド層31が一体に積層されていることにより、その内部で加熱発泡されたパッド20の発泡樹脂原料20Aと良好に接着されるようになっている。
【0025】
サポートケース40は、
図2に示すように、前側のピース41と後側のピース42とに2分割された構成となっている。上記前側のピース41と後側のピース42とは、それぞれ、互いに向かい合う側に開口した容器型形状に形成されている。上記前側のピース41と後側のピース42とは、互いの開口同士を閉じるように前後方向に嵌め合わされることにより、互いの間に形成された爪の嵌合構造により互いに閉じた箱型を成す形に一体的に組み付けられた状態とされている。
【0026】
詳しくは、上記前側のピース41と後側のピース42とは、これらの間に、上述したステー10の上斜め前方側を向く形に折り曲げられた上部領域を前後側から挟み込む形に組み付けられるようになっている。上述したステー10は、その逆U字の両脚部分を繋ぐ上側のアーム部分が、結合具11によって、前側のピース41の前板部41Dの裏面部に一体的に結合されて設けられている。したがって、上記ステー10の組み付けられた前側のピース41に後側のピース42を嵌め込んで装着することにより、ステー10の上部領域に同領域を箱型に被覆するようにサポートケース40が一体的に組み付けられた状態となる(
図3参照)。
【0027】
また、
図2に示すように、上記前側のピース41の底板部41Cには、その左右2箇所に、同じく樹脂製のベゼル43がシート下方側から嵌め込まれて一体的に組み付けられている。上記各ベゼル43は、上記前側のピース41の底板部41Cと後側のピース42の底板部とに跨ってシート下方側から組み付けられることにより、これら前側のピース41の底板部41Cと後側のピース42の底板部との間に形成された爪の嵌合構造が嵌合して、前側のピース41の底板部41Cと後側のピース42の底板部とに一体的に装着されるようになっている。上述した各ベゼル43は、それぞれ、断面ハット型のキャップ形状に形成されている。具体的には、各ベゼル43は、上述したステー10の両脚部分を通す円筒部43Aと、円筒部43Aの底端部から径方向の外側にフランジ状に張り出すフランジ部43Bと、を有した形に形成されている。
【0028】
上述した各ベゼル43は、上述したサポートケース40の前側のピース41に後側のピース42が嵌め込まれて、これらにカバー30が被せ付けられた後に、それらの円筒部43Aをステー10の各脚部分に通して各フランジ部43Bを前述した爪の嵌合構造によって前側のピース41の底板部41Cと後側のピース42の底板部とに嵌め込んで装着することにより、各フランジ部43Bが前側のピース41の底板部41Cと後側のピース42の底板部とに跨ってあてがわれて装着された状態となる(
図6参照)。したがって、これらフランジ部43Bのあてがわれる部位に前述したカバー30の被せ付けられた先の開口の左右2箇所を挟持させることにより、これらの箇所が各フランジ部43Bとサポートケース40の底面部との間にそれぞれシールされた状態に組み付けられた状態となる。
【0029】
低反発層50は、パッド20よりも低反発な略平板状の発泡ウレタン材によって形成されている。上記低反発層50は、上述したカバー30の前部の内周面部に重ね合わされた状態で縫合されて設けられている。上記低反発層50は、カバー30の袋内にパッド20が一体発泡されて充満された状態、すなわちヘッドレスト4の完成品の状態では、前述したサポートケース40の前板部41Dに面当接した状態となって設けられるようになっている。
【0030】
詳しくは、
図4〜
図5に示すように、上述した低反発層50を後側から支えるサポートケース40の前板部41Dは、その着座者の頭部を受け止める領域となるサポート領域SAでは、シート前方側に略真っ直ぐに面を向ける略平坦な形をしているが、サポート領域SAから外れた外周領域では、シート後方側に丸められたり斜めに傾斜したりした退避した形に形成された状態とされている。
【0031】
一方、低反発層50は、上記サポートケース40の前板部41Dのサポート領域SAよりもひとまわり大きな形に形成されている。そして、上記低反発層50は、上記前板部41Dのサポート領域SAの前側に配置される領域では、前板部41Dに面当接した状態に配設されるが、上記前板部41Dのシート後方側に丸められたり傾斜したりした外周領域の前側に配置される領域では、前板部41Dとの間に前後方向の隙間Tを空けて浮いた状態に配設された状態とされている。しかし、これらの隙間Tは、上述したカバー30の袋内にパッド20が一体発泡されることにより、発泡樹脂原料20Aが充満されて埋められるようになっている(
図6参照)。
図2及び
図4に示すように、上記低反発層50の上記サポート領域SAから下方側に外れた下端側の左右両角部には、斜めに面取りされた面取り部51が形成されている。
【0032】
低通気層60は、パッド20よりも低通気な略平板状の発泡ウレタン材によって形成されている。上記低通気層60は、そのもの自体は横長な略平板状の形に形成されている。しかし、上記低通気層60は、図示しない両面テープによって上述したサポートケース40の前側のピース41の天板部41Aと両側板部41Bとに跨って面当接した状態に接着されることにより、略逆U字状の形をして設けられた状態とされている。
【0033】
上記低通気層60は、詳しくは、
図3〜
図4に示すように、そのシート後方側の縁部が、サポートケース40の前側のピース41の後側の縁部の形に合わせて、天板部41Aのシート幅方向に真っ直ぐに延びる後側の縁部と両側板部41Bの後ろ斜め下方に延びる後側の縁部とに沿った形に取り付けられた状態とされている。上記低通気層60は、
図4に示すように、そのシート前方側の縁部が、上述したサポートケース40の前側のピース41の天板部41Aの前側の縁部とほぼ並ぶ位置までシート前方側に張り出す前後方向の厚みを有した形に形成されている。
【0034】
上記構成により、低通気層60は、
図6に示すように、その上記天板部41Aの上に配置された領域では、そのシート前方側の縁部が、上述した低反発層50のサポート領域SAから上側に延出する部分の後側の面部に面当接した状態にあてがわれるようになっている。すなわち、上記低通気層60は、上記パッド20の一体発泡時にカバー30の上部が後方側に湾曲した形に仕上げられるようになっているために、同部に設けられた低反発層50の上部領域が上記の湾曲により前側から押し当てられて面当接した状態にあてがわれるようになっている。
【0035】
また、上記低通気層60は、
図5に示すように、その上記両側板部41Bの横に被せられた領域では、そのシート前方側の縁部が上記低反発層50とは当接せずに、低反発層50との間にシート前後方向及び幅方向の隙間を有した状態に設けられるようになっている。上記低反発層50は、
図4に示すように、そのシート幅方向の幅長が、サポートケース40の前側のピース41の前板部41Dのシート幅方向の幅長よりも狭い形状となっている。
【0036】
上記構成の低通気層60が、サポートケース40の前側のピース41の天板部41Aと両側板部41Bとに跨って面当接した状態に接着されていることにより、
図7〜
図9に示すように、パッド20をカバー30と一体に発泡成形する際に、パッド20の発泡樹脂原料20Aが低反発層50とサポートケース40の前板部41Dとの間に浸入することが適切に阻止されるようになっている。具体的には、上述したパッド20の発泡樹脂原料20Aは、次のようにカバー30と一体に発泡成形されるようになっている。
【0037】
すなわち、
図7〜
図8に示すように、パッド20の発泡樹脂原料20Aは、カバー30の注入口32にノズルNを差し込んでカバー30内に注入されることにより、カバー30の後部の傾斜した面形状に沿って下流側の貯留箇所PAへと流れ落ちて貯留された状態となる。この貯留箇所PAは、ヘッドレスト4の完成品の形状が、上記サポートケース40の前側のピース41の天板部41Aの後ろ側寄りの領域の直上箇所(図示では直下箇所)が頂点となる山形状とされていることにより、上記天板部41Aの後ろ側寄りの領域の直上箇所(図示では直下箇所)に形成されたカバー30の窪み領域として位置した状態となっている。上記ヘッドレスト4は、上記貯留箇所PAとなる下側の山頂部分からは、前側と後側とにそれぞれ比較的急激的に丸められる形に湾曲した形状とされている。
【0038】
したがって、上記のような山頂の貯留箇所PAにパッド20の発泡樹脂原料20Aが貯留されるようになっていることで、この位置から発泡樹脂原料20Aが加熱発泡されると、その図示直上側に位置するサポートケース40の前側のピース41の天板部41A及びその近傍箇所に、比較的高い発泡圧がかけられることとなる(
図9参照)。そして、この発泡樹脂原料20Aの高い発泡圧がサポートケース40の前板部41Dと低反発層50との間に入り込むように作用すると、これらの間に発泡樹脂原料20Aが浸入してしまうという不具合が生じてしまうこととなる。
【0039】
しかしながら、上記貯留箇所PAの直上箇所に低通気層60が設けられていることにより、上記発泡樹脂原料20Aの高い発泡圧がサポートケース40の前板部41Dと低反発層50との間に入り込むことが阻止されるようになっている。上記低通気層60は、
図4に示すように、上述したサポートケース40の前板部41Dのサポート領域SAと低反発層50との当接箇所Aをシート幅方向の全域に亘って上側(
図9では図示下側)から覆うように設けられている。これにより、
図9に示すように、上記低通気層60は、上述した発泡樹脂原料20Aの高い発泡圧が上記の当接箇所Aに作用することを適切に阻止するようになっている。詳しくは、上記低通気層60は、上述した低反発層50の図示下部側の領域に後側から押し当てられた状態に設けられていることにより、上記発泡樹脂原料20Aの高い発泡圧が上記の当接箇所Aに作用することを適切に阻止することができるようになっている。
【0040】
したがって、上記貯留箇所PAから加熱発泡された発泡樹脂原料20Aは、上記サポートケース40の前板部41Dと低反発層50との当接箇所Aに高い発泡圧を作用させることなく、カバー30の内周面部とサポートケース40の両側面や後面との間の空間Bに沿って膨張発泡していき、発泡成形型FDの形状に沿ってカバー30とサポートケース40との間の空間B内に充填された状態に形成される。その際、発泡樹脂原料20Aは、その膨張発泡に伴って発泡圧が徐々に低下していきながら、図示上方側や側方側の領域へと回り込んでいくように膨らんでいく。そして、発泡樹脂原料20Aは、上記低下した適度な発泡圧を伴って、上述した低反発層50の外周領域とサポートケース40の前板部41Dとの間に形成された隙間T内にもくまなく行き渡って、カバー30内に隙なく充填された状態となる。
【0041】
上記低通気層60は、サポートケース40の前側のピース41の両側板部41Bにも高さ方向にある程度(半分以下)かかった状態に設けられているため、上記貯留箇所PAから膨張発泡した発泡樹脂原料20Aが高い発泡圧でサポートケース40の前板部41Dと低反発層50との当接箇所Aに側方から浸入することも適切に阻止することができるようになっている。
【0042】
以上をまとめると、本実施例のヘッドレスト4は次のような構成となっている。すなわち、パッド20がカバー30と一体に発泡成形されているヘッドレスト4であって、パッド20よりも低反発な低反発層50と、パッド20よりも硬質なサポートケース40(支持部材)と、低通気層60(阻止部材)と、を有するものである。低反発層50は、パッド20の前部に設定されている。サポートケース40は、低反発層50を裏側からあてがえて支えるようになっている。低通気層60は、低反発層50とサポートケース40との当接箇所Aをこれらの両方に当接して外周側から覆うように設けられて、パッド20の発泡樹脂原料20Aが上記の当接箇所Aに浸入するのを阻止するようになっている。
【0043】
上記のように低通気層60を設けることにより、パッド20の前部に設定される低反発層50とこれを裏側から支えるサポートケース40との間への発泡樹脂原料20Aの浸入を適切に防ぐことができる。したがって、表皮一体発泡タイプのヘッドレスト4において、低反発層50の低反発効果を落とすことなく、低反発層50をサポートケース40によって裏側から適切にあてがえた状態にすることができる。
【0044】
低通気層60は、上記の当接箇所Aを上側と両横側とから覆うように設けられている。このような構成となっていることにより、パッド20の発泡樹脂原料20Aが、上下逆さ向きにセットされたカバー30の内部に注入されてカバー30と一体に発泡成形されるようになっている場合に、カバー30の内部に注入されたパッド20の発泡樹脂原料20Aがカバー30の傾斜に沿って流れ落ちて貯留される箇所(貯留箇所PA)から膨張する際に、発泡樹脂原料20Aが上記の当接箇所Aに侵入するのを低通気層60によって適切に阻止することができる。
【0045】
上記パッド20の発泡樹脂原料20Aは、上下逆さ向きにセットされたカバー30の内部に注入されてカバー30と一体に発泡成形されるようになっている。そして、低反発層50が、カバー30の前部の内周面部に一体的に取り付けられている。低通気層60が、カバー30の内部に注入されたパッド20の発泡樹脂原料20Aがカバー30の傾斜に沿って流れ落ちて貯留される箇所(貯留箇所PA)の直上部において、サポートケース40に高さ方向に面当接して接着されていると共に、カバー30の内周面部に取り付けられた低反発層50にも後側から当接した状態にセットされている。
【0046】
このような構成となっていることにより、低通気層60が、発泡樹脂原料20Aの発泡圧を受けても、サポートケース40によって強く支えられて、安定した浸入阻止機能を発揮できるようになる。したがって、低通気層60によって、発泡樹脂原料20Aが上記の当接箇所Aに侵入するのをより適切に阻止することができる。
【0047】
上記低通気層60は、パッド20の発泡樹脂原料20Aを通過させない低通気性かつ軟質性の発泡材料からなる。このように、低通気層60を低通気性かつ軟質性の発泡材料によって構成することで、低通気層60を設けたことによる使用時の異物感が感じられにくくすることができる。詳しくは、低通気層60が低通気性の発泡材料からなることにより、パッド20の発泡樹脂原料20Aを内部に含浸させて硬化させることなく良好に一体接着させた形に形成することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の「ヘッドレスト」は、鉄道等の自動車以外の車両に適用されるシートや、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるシートに適用されるものであってもよい。
【0049】
また、低反発層は、パッドよりも低反発な構成となっていれば上記実施例で示したような発泡ウレタン以外の発泡樹脂材料から成るものであってもよい。また、阻止部材も、上記実施例で示したような発泡ウレタン以外の発泡樹脂材料から成るものであってもよい。また、阻止部材は、ゴム、金属、樹脂、布帛等の発泡樹脂以外の材料から成るものであってもよい。
【0050】
また、阻止部材は、低反発層と支持部材との当接箇所をこれらのうちの少なくとも一方に当接して外周側から覆うように設けられて、パッドの発泡樹脂原料が上記の当接箇所に浸入するのを阻止するようになっていればよく、上記の当接箇所を全周に亘って覆った状態に配設されるなど、その配設される箇所は上記実施例で示した形態には限定されるものではない。
【0051】
また、阻止部材は、低反発層と支持部材とのうちの一方にのみ当接するように設けられるものであってもよいし、両方に当接して設けられるものであってもよい。その場合において、阻止部材は、その当接する側の部材に対して一体的に結合されて設けられていてもよいし、単に当接しているのみで結合されていないものであってもよい。上記阻止部材の当接する側の部材に対する結合は、当接する側の部材に阻止部材を嵌合させられる凹みや孔を設けたり、阻止部材に設けた凹みや孔に嵌合する突起を設けたりして行うものであってもよい。また、阻止部材は、支持部材及び/又は低反発層を、これらの当接箇所を外周側から覆うように延出する形状にすることで構成されるものであってもよい。
【0052】
また、支持部材は、低反発層を裏側からあてがえて支えるパッドよりも硬質な部材として構成されるものであればよく、ステーであってもよい。
【0053】
また、低反発層は、カバーとの間にパッドが介在して設けられる構成であってもよい。但し、この場合には、低反発層の低反発機能がパッドによって損なわれてしまうこととなる。しかし、例えば、着座者の頭部に対する反発力を狙いとする大きさに調整する上で、低反発層とカバーとの間にパッドが介在して設けられることも考えられる。また、低反発層は、カバーに対して、貼り付けの他、溶着等による接着や縫合によって取り付けられていてもよい。
【0054】
また、パッドの発泡樹脂原料のカバー内への注入は、ヘッドレストが上下逆さ向きにされるのではなく、横向きや逆さでない向きで側方や上方から注入されるものであってもよい。
【0055】
また、上記実施例では、パッドの表面を被覆するカバーとして合成皮革製のものを例示したが、カバーは、ファブリックや本革等の他の材料から成るものであってもよい。