(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-109497(P2016-109497A)
(43)【公開日】2016年6月20日
(54)【発明の名称】水中における放射線測定装置及び放射線観測システム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/16 20060101AFI20160523BHJP
G01T 1/167 20060101ALI20160523BHJP
【FI】
G01T1/16 A
G01T1/167 A
G01T1/167 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-245461(P2014-245461)
(22)【出願日】2014年12月4日
(71)【出願人】
【識別番号】592070579
【氏名又は名称】山田技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠幸
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA09
2G188AA12
2G188BB04
2G188BB17
2G188DD10
2G188DD11
2G188EE12
2G188EE21
2G188EE25
2G188EE27
2G188FF02
2G188FF18
(57)【要約】
【課題】 強風が吹いても、水面が凍結した場合であっても、水中での放射線量を安定して測定することが出来る放射線測定装置の提供。
【解決手段】 下端に重りを設けると共に上端にはフロートを取付けて鉛直に起立する箱柱1の下端部から上方へ向いて一定間隔で複数の放射線感知器2a,2b,2cを取付け、箱柱1の上端部には水中ECU4を取付けている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中での放射線量を測定する測定装置において、下部に重りを設けて鉛直に起立する箱柱の下端部から上方へ向いて一定間隔で複数の放射線感知器を取付け、そして箱柱の上端部には水中ECUを取付け、その上にフロートと水没確認センサーを備えたことを特徴とする水中放射線測定装置。
【請求項2】
水中での放射線量と気中の放射線量を測定してサーバーへ送信し、該サーバーからインターネットを介して各自のパソコンや携帯電話へ配信することが出来る放射線観測システムにおいて、
水中に沈む水中放射線測定装置は、下部に重りを設けて鉛直に起立する箱柱の下端部から上方へ向いて一定間隔で複数の放射線感知器を取付け、そして箱柱の上端部には水中ECUを取付け、その上にフロートと水没確認センサーを備えた構造とし、
地上には気象/気中放射線観測装置を設置して気中での放射線と雨量/風向風速/気温/湿度/気圧の気象観測を行うことが出来るように構成し、
水中放射線測定装置と気象/気中放射線観測装置を信号ケーブルにて接続したことを特徴とする放射線観測システム。
【請求項3】
気象/気中放射線観測装置には、地上ECU、太陽電池、IPカメラ、Fomaアンテナを取付けた請求項2記載の放射線観測システム。
【請求項4】
水中での放射線量と気中の放射線量を測定してサーバーへ送信し、該サーバーからインターネットを介して各自のパソコンや携帯電話へ配信することが出来るようにした請求項2、又は請求項3記載の放射線観測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溜池などの水中での放射線量を測定する装置及び空気中の放射線量を合わせ測定し、この情報をインターネットを介して地域住民などへ配信する放射線観測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線の測定は空気中での測定が一般的であり、放射線を遮蔽する機能を有す水中で測定する必要が無かったことから、水中で放射線を測定する実用装置は作られていない。しかし、福島第一原子力発電所の事故がきっかけで水中での放射線量を測定する必要性が求められているが、本発明は農業用の溜池や沼池等を対象とし、長時間にわたって水中での放射線量を垂直分布で観測するものであるが、これに該当する技術は見当たらない。
【0003】
ところで、福島第一原子力発電所から放出された放射性物質は近隣の池や沼にも降り注ぎ、その後の風や雨で運ばれた放射性物質も継続的に池や沼に流れ込んでいる。福島県には約3700の池や沼があり、これら池や沼の水は農業用水として使われていたが、放射能に汚染されたことで多くが利用出来ず、そのために池や沼の除染が必要と叫ばれている。しかし、除染作業で発生する比較的高レベルの汚染物質の処分を含めた社会負担は多大であり、可能であれば除染を行わずに放射性物質を含まない上層水の安全を確認して利用出来れば社会負担の軽減に繋がる。
【0004】
例え池や沼の除染を一時的に行っても、土砂や樹木に付着した放射性物質は継続的に流れ込むために、水中での放射性物質の挙動を常に把握して異常時は水の利用を抑制するための水中放射線測定装置が必要となっている。
福島第一原子力発電所の事故後、現地調査により水に溶けないセシウムなどの放射性物質は土砂等に付着して水底に沈降することが解ってきた。現地の池や沼の水中放射線の状況を測定した結果からも、放射性物質が水底に沈降していることを確認していることから、池や沼の上層水のみを利用すれば放射能の影響は受けないと考えられる。
【0005】
しかし、豪雨等で土砂が流れ込み、その勢いで水底の泥が湧き上がる等の現象が発生すると、流入する汚染土砂や水底に沈降している放射性物質が水中に混入するので、この状況を素早く把握するための水中放射線測定装置が必要となってくる。具体的には、一旦、水中に混入した放射性物質の沈降過程を知るために放射性物質の垂直分布を測定する必要が有り、水中での放射線を垂直方向(水中の深さ方向)で観測する実用技術が必要である。
【0006】
多くの池や沼の水深は2〜6m程度の範囲にあり、水を張った池や沼の水中での放射線を垂直方向の分布として測定する方法としては、水面から水底に杭を打ち放射線感知器を該杭に取付ける方法で行うことが出来る。
しかし、水を張った池や沼の観測を必要とする場所に杭を打つならば、水底に沈降している放射性物質を湧き立たせることになり、また、池の渇水時や豊水時の水位変動に耐える構造が必要であり、さらに水面に露出する部分を強風時の風圧に耐える堅牢な構造が必要となる。
特に福島県の冬は気温が低く水面が氷結し積雪も生じ、水面を覆う氷や雪の塊が強風で移動すると起立した杭は倒れてしまう。また、放射線の観測は一つの池や沼で複数ヵ所が必要となるので杭を打つ方式は実用的観点から課題も多い。
【0007】
池や沼の水底には比較的高濃度な汚染物質である土砂・泥・小枝や枯葉等が混在し、渇水期は池底の放射線を遮断する水の層が減少して空間放射線量が増大するために、池や沼の水辺の空間放射線量も同時に計測する必要がある。
池や沼に水と共に流入する土砂や風で運ばれる木の葉や砂ホコリにも放射性物質が付着しているので、移動要因となる気象を観測して、雨量・風向/風速・気温・湿度・気圧等の測定も一体化する必要がある。
【0008】
ところで、従来においても水中での放射線量を測定する装置は色々知られている。例えば、特開2011−191090号に係る「水中放射線測定装置」は、放射線検出器に不要な負荷を与えない装置である。
すなわち、この測定装置は流動する放水の放射線量を測定するもので、測定装置はケーブルを延出する放射線検出器と長尺のガイド鋼管を備え、ガイド鋼管はケーブルで吊るされた状態で、放射線検出器を内部に収容している。
ガイド鋼管は上端面に設けられた開口と、下端面を水密可能に閉塞する底蓋を有し、ガイド鋼管の開口が放水の水面より上に位置するように、ガイド鋼管を放水の中に略鉛直に設置することにより、放射線検出器を濡らすことなく、かつ放射線検出器に不要な負荷を与えないようにしている。
【0009】
特開2003−207574号に係る「水中放射線測定装置」は、耐水性を必要とせず除染やメンテナンスを短時間でおこなうことのできる装置である。
そこで、水中の放射線源に一端を対向して設けられた中空パイプと、水中に浸漬されて大気環境を形成する検出器容器内において前記中空パイプの他端延長上に設けられた放射線検出器とを備えた構成としている。
これらは、従来から知られている水中放射線測定装置であるが、本発明が対象とする池や沼での水質汚染を測定するには適していない。
【特許文献1】特開2011−191090号に係る「水中放射線測定装置」
【特許文献2】特開2003−207574号に係る「水中放射線測定装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、池や沼の水中での放射線量を測定するには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、渇水時であっても豊水時であっても、また強風時や気温が低下して水面が凍結した場合であっても、水中での放射線量を正確に測定することが出来る放射線測定装置を提供する。同時に、空気中での放射線測定も合わせて行い、その情報をインターネットを介して発信する放射線観測システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る水中放射線測定装置は、まっすぐな箱柱の下部に重りを有し、上端には浮き(フロート)を取付けている。箱柱には小型で完全防水の複数の放射線感知器を所定の間隔をおいて取付け、空間には放射性物質を含まない水を満たしている。
ここで、放射線感知器の数と取付ける間隔は限定しないが、一般には10〜25cm程度とし、水位低下による測定限界水深を考慮して、その範囲は下端から上方へ約1mとする。そして、箱柱の上端部には水中ECUを取付け、水中ECUに組み込んだ傾斜計が柱の垂直状態を計測し、水と接するECUの金属ケース温度を水温として測定する。
また、水中ECUの上に位置する浮の上に水面露出センサーを取付て水没状態、又は水位の低下を判断する。
水中ECUは、各放射線感知器が観測した各々のパルス信号を計数すると同時に、各々のアナログパルスを波高分別したデータに傾斜値/水温値/水没値を加えて信号ケーブルを介して気象/気中放射線観測装置の地上ECUへ送る。
【0012】
気象/気中放射線観測装置は金属製のポールに、地上ECU/太陽電池/IPカメラ/簡易無線器を一体的に取付けている。
地上ECUは、樹脂製ボックスにGPS・データ演算器・データ記録装置・気中放射線センサー・蓄電池・無線データ伝送装置を一体的に組み込んでいる。データ演算器は水中ECUから送られる信号と風向/風速/雨量/気温/湿度/気圧/気中放射線量/地上GPSの緯度経度をデータ記録装置に記録すると共に、IPカメラの画像を含めたデータをFOMA等の無線伝送を介して専用サーバーへ送るようにしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水中放射線測定装置は、水中にて垂直に起立する柱に複数の放射線感知器を一定間隔で取付けているために、水底から所定の深さでの放射線量を知ることが出来る。したがって、池や沼からの水を農業用水として使うことが可能であるか否かを判断することが出来る。
すなわち、水は放射線を遮蔽する効果があることから、水底から所定の深さで(例えば、水底50cmを超える深さ)の放射線量が増加傾向を示せば、河川等から流入する土砂、又は、風で舞い上がった砂ぼこりや枯葉に付着した放射性物質が混入したものと考えられ、気象観測と一体化することで原因が明確になる。また、水底方向の放射線計数の増加は魚の動きや湧水などで沈殿していた放射性物質が攪拌されたものと判断出来る。
【0014】
そして、本発明の水中放射線測定装置は、池の底に固定された杭に放射線感知器を取付けたものではなく、箱柱の下端に重りを設けると共に上端にはフロートを取付けた構造であって、そのために場所は自由に移動することが出来る。しかも、如何なる場所でも転倒することなく鉛直に起立することが出来る。
そして、水中放射線測定値と合わせて気中放射線量を測定し、これらの測定データをサーバーへ送信し、このサーバーからインターネットを介して農業関係者を始め地域住民は自宅のパソコンや携帯電話で情報をリアルタイムに取得することが可能となる。
したがって、放射能の影響がない溜池の上層水を利用して安全な農作物を作ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】水中に沈んでいる水中放射線測定装置と岸辺に設置する気象/気中放射線観測装置及び情報処理専用サーバーで構成する情報配信システムを示す具体例。
【
図4】福島県の溜池で測定した水底0cm/10cm/20cm/30cm/40cm/50cmと徐々に高めて測定した3分間測定パルス数。
【
図5】福井県内の雨水利用水槽でセシュウム線源を用いて測定した水中放射線測定装置の値。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明に係る水中放射線測定装置Aの概要図であり、同図の1は箱柱、2a,2b,2cは放射線感知器、3は発泡体フロート、4は水中ECU、5は重り、6は水没確認センサをそれぞれ表している。上記の箱柱1の下部に重り5を取付け、箱柱1の上端に発泡体フロート3を取付けており、その為に箱柱1は水中に沈んでいるが、上端にフロート3を取付けていることで箱柱1は起立している。
すなわち、箱1は下部に取付けた重り5により水底まで沈み、フロート3は水中に浮遊している。完全防水の水中ECU4は、計測時間毎のパルス数とアナログ分別データを水上ECUへ伝送するようにしている。
【0017】
そして、箱柱1の下端部から放射線感知器2a,2b,2cが一定の間隔をおいて取付けられ、箱柱1の上端部には水中ECU4を取付けている。
すなわち、箱柱1の下端部であって水底8に接す位置に完全防水の小型放射線感知器2aを取付け、水底8から25cm上に小型放射線感知器2bを取付け、さらに水底8から50cm上に小型放射線感知器2cを取付けている。
そして、上部の放射線感知器2cの10cm上には完全防水の水中ECU4を取付けている。また、水中では箱柱1の中は清水(放射能で汚染されていない水)で満たされるので、放射線感知器と水底8の間は水遮蔽の影響を受けることとなる。
【0018】
ただし、放射線感知器2a,2b,2cが箱柱1に取付けられる間隔に関して限定するものではない。
図1に示す水中放射線測定装置Aは3個の放射線感知部2a,2b,2cを取付けているが、この個数を増やすこともあり、又は感知部の垂直連続性を高めるためにシンチレーションファイバーを重り5とフロート3を繋ぐ箱柱1に垂直に取付ける方法が考えられる。
【0019】
そして、上記放射線感知器2a,2b,2cにて測定した放射線量の測定値は岸辺に設置した気象/気中放射線観測装置Bへ信号ケーブル7を介して送信される。
気象/気中放射線観測装置Bは、
図2に示すように三脚ポール25に樹脂製箱の地上ECU28と太陽電池27を取付け、該ポールの上部には風向風速計21、雨量計22、IPカメラ24を取付けている。地上ECU28の樹脂製箱内には気中放射線感知器とGPS/foma通信ユニット/蓄電池等が組み込んであり、太陽電池で発電した電力を蓄電し、曇天7日間の電力供給を行う容量を持っている。太陽電池から発生した電力は上記放射線感知器2a,2b,2c、水中ECU4、及び地上ECU28の電源としている。
【0020】
気象/気中放射線観測装置Bは、池が渇水状態になった場合には、水底8に沈降している放射能物質から放射される放射線を遮蔽する水が浅くなるために、空中の放射線量が増加することをデータ中継ユニットにて測定する。
図3は情報配信ネットワークを示す具体例である。水中放射線測定値と合わせて気中放射線量を測定し、これらの測定データを情報処理サーバー31へ送信し、この情報処理サーバー31からインターネットを介して農業関係者を始め地域住民は自宅のパソコン32,33や携帯電話で情報をリアルタイムに取得することが可能となる。したがって、放射能の影響がない溜池の上層水を利用して安全な農作物を作ることが可能となる。
【0021】
ところで、水中放射線測定装置Aとポケット式気中放射線センサーを用いて気中と水中の観測結果は次のようである。観測の基準としたγ線観測用ポケット式気中放射線センサーで測定した気中放射線の強度が0.525μSv/h、同じ条件で測定した水中放射線センサーの15分間観測パルス数は20233であった。この水中放射線感知部を単体で水底0cm・10cm・20cm・30cm・40cm・50cmと徐々に高めて測定した3分間測定パルス数は
図4に示す通りであった。
【0022】
図4は福島県の溜池で試作1号の放射線感知器の1つを用いて水底から10cmごとに50cmまでを各々3分間測定した放射線パルス数の値と水底値を100%とした場合の比率を求めた場合である。
【0023】
図5は感度を高めた試作2号の水中放射線測定装置Aを用い、福井県県内の屋根の雨水を利用する水槽(水深約1.5m)でコイン型のセシュウム線源1個を水底に沈め、その横へ水中放射線測定装置Aを水底に自立させて測定した場合である。
試作2号の放射線感知器2a,2b,2cはそれぞれ25cm離れている。
3分間の測定結果は、水底から50cm離れると何れも概ね1.8%に減衰することが解り、水中に放射性物質が混入すれば50cm上では比較的敏感に観測できることが解った。
ちなみに、福井県での測定では、セシウム線源を入れる前のバックグラウンド値を測定した結果、水底が920、50cm上が258の値を示し、福島での3月11日の原子力事故以前から屋根の雨水を継続的に集めて利用してきた水底の放射線が僅かであるが高いことが解った。
ここで、バックグラウンド値の測定について、周辺に放射性物質が無くても宇宙から来る高エネルギーの放射線(宇宙線)がバックグラウンドの値を左右するが、高エネルギーの放射線(宇宙線)は水による減衰が生じても観測エネルギーとして十分高いので、水深50cm程度でのカウント数の差は少ないと考えられる。また、一般的な土壌にも僅かであるが放射性物質が混在しているので、これもバックグラウンドとして反映される。
【0024】
一般的な放射線のカウント数の取扱いについて、空気中の場合はμsv/h、土壌等の物質ではベクレル/kg等の単位で表わすが、水中測定値の単位が国際的に定まっていないので、当面は気中で測定したμsv/hの値を基にセンサー感度の補正を行っている。
【0025】
福島の溜池で測定する場合は、測定場所の水底で採取した土砂のベクレル/kgを測定し、その値と水中放射線測定装置Aの放射線感知器2aが観測する水底の放射線パルス値を対比して継続的な土砂のベクレル数の変化で換算する方法が考えられる。
【0026】
図4に示すように、水底0cmでは水底に沈殿した放射性物質の影響を直接受けるので放射線のカウント数が最も多く、水底から離れるごとに水の遮蔽効果により、放射線のカウント数は大きく減少する。そこで、水底高さ50cmで水底の放射線は概ね遮蔽されると考えられる。
ただし、水底高さ50cmを超えても放射線のカウント数はゼロになることはないが、その原因は、地球外から来る高エネルギーの宇宙線は水を通過するためである。
【0027】
上記水中放射線測定装置Aは3個の放射線感知器2a,2b,2cを取付け、水底に接した放射線感知器2a、水底から25cm上の放射線感知器2b、水底から50cm上の放射線感知器2cを沈めた時の各々の10分観測値は
図5に示す通りである。
この2つの測定結果から、水による放射線遮蔽効果は25cmで20%に減衰し、50cmで1.8%の範囲で減衰する結果が得られた。
【0028】
このことから、水中放射線測定装置Aに取付ける放射線感知器2a,2b,2cを垂直方向10cm毎に5ヵ所以上取付て観測すれば、50cmを超えると水底に沈降した放射性物質の影響を受けないので、水底の放射線量が増えずに50cmより上の放射線量が増加すれば河川などから流入した放射性物質の影響と判断することが出来る。
また、水底方向の放射線計数が増加する場合は、魚の動きや水底の湧水等で沈殿していた放射性物質が撹拌されたと考えられる。
このように、水底から段階的に上方向1m未満の範囲の放射線量を観測することで、放射線量が増加する場所によって外部からの流入か、又は沈殿物が撹拌されたかが分かる。
【符号の説明】
【0029】
A 水中放射線測定装置
B 気象気中放射線観測装置
1 箱柱
2 放射感知器
3 フロート
4 水中ECU
5 重り
6 水没確認センサー
7 信号ケーブル
8 水底
21 風向風速計
22 雨量計
23 温度湿度気圧計
24 IPカメラ
25 ポール
26 Fomaアンテナ
27 太陽電池
28 地上ECU
31 情報処理サーバー
32 情報表示PC
33 情報表示PC