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特開2016-109980画像表示装置、補正データ生成方法、画像補正装置および画像補正方法、ならびに、画像補正システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-109980(P2016-109980A)
(43)【公開日】2016年6月20日
(54)【発明の名称】画像表示装置、補正データ生成方法、画像補正装置および画像補正方法、ならびに、画像補正システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20160523BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20160523BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20160523BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 631V
   G09G3/20 670Q
   G09G3/20 641P
   G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-249238(P2014-249238)
(22)【出願日】2014年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 仁
(72)【発明者】
【氏名】中野 秀世
(72)【発明者】
【氏名】小峯 淳一
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZD32
2H193ZF12
2H193ZK06
2H193ZK09
2H193ZK13
2H193ZK18
5C006AF11
5C006AF27
5C006AF42
5C006AF43
5C006AF46
5C006BF38
5C006EB01
5C006FA22
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD15
5C080DD28
5C080EE28
5C080GG09
5C080GG12
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
(57)【要約】
【課題】従来よりも短時間で補正データの生成を行って、画像の輝度むらを補正することができる画像表示装置等を提供する。
【解決手段】画像表示装置では、ヴィネッティングパターン生成部が、液晶ディスプレイのパネルの輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像を生成する。表示制御部が、均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像とヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を液晶ディスプレイに表示させるように制御する。そして、補正データ算出部が、液晶ディスプレイに表示されたパターン画像をカメラにより撮影して生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、入力画像の輝度むらを補正するための補正データを算出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを生成するための画像を前記液晶ディスプレイに表示させる画像表示装置であって、
前記液晶ディスプレイのパネルの輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像を生成するヴィネッティングパターン生成部と、
均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御する表示制御部とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイの駆動方式、機種、パネルサイズおよび生産工場のうちの少なくとも1つに応じて、前記反転輝度特性が変更されたものである請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイのパネルの画素に対応する画像データが1画素毎に設定されたものである請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイのパネルの画素に対応する画像データが一定の画素毎に設定され、前記一定の画素毎の画像データの間の画像データが補間されて算出されたものである請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイのパネルの1ライン分の画素の画像データを、前記液晶ディスプレイのパネルの全てのラインについて使用したものである請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイのパネルの1カラム分の画素の画像データを、前記液晶ディスプレイのパネルの全てのカラムについて使用したものである請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記ヴィネッティングパターンの画像の反転輝度特性のグラフで表される関数を近似する近似式により算出されるものである請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項8】
液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正する画像補正装置であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置と、
前記液晶ディスプレイに表示されたパターン画像をカメラにより撮影して生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、補正データ算出部により算出された補正データを格納する補正データ格納部と、
前記補正データ格納部に格納された補正データを用いて、前記入力画像の輝度むらを補正する画像補正部とを備えることを特徴とする画像補正装置。
【請求項9】
前記ヴィネッティングパターン生成部は、前記入力画像の画像データの一定範囲の階調毎に対応するヴィネッティングパターンの画像を生成するものであり、
前記表示制御部は、前記一定範囲の階調毎に対応するパターン画像を前記液晶ディスプレイに順次表示させるものであり、
前記補正データ算出部は、前記液晶ディスプレイに表示された一定範囲の階調毎に対応するパターン画像をカメラにより順次撮影して生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、前記一定範囲の階調毎に対応する補正データを順次算出するものであり、
前記補正データ格納部は、前記補正データ算出部により算出された、前記一定範囲の階調毎に対応する補正データを格納するものであり、
前記画像補正部は、前記補正データ格納部に格納された、前記入力画像の画像データの階調に対応する補正データを用いて、前記入力画像の輝度むらを補正するものである請求項8に記載の画像補正装置。
【請求項10】
さらに、前記フラットパターンの画像を生成するフラットパターン生成部を備える請求項8または9に記載の画像補正装置。
【請求項11】
前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記輝度むらが補正されない補正データを格納するものであり、
選択部は、前記パターン画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正されないパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記液晶ディスプレイに表示される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものである請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像補正装置。
【請求項12】
前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記輝度むらが補正されない補正データを格納するものであり、
選択部は、前記フラットパターンの画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正されないフラットパターンの画像と、前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものである請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像補正装置。
【請求項13】
前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データが前記画像補正部に入力され、
選択部は、前記フラットパターンの画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により、前記画像補正部に入力された、前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データを用いて、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記液晶ディスプレイに表示される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものである請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像補正装置。
【請求項14】
前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記画像補正装置の外部から入力される、前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データが前記画像補正部に入力され、
選択部は、前記フラットパターンの画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により、前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データを用いて、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記液晶ディスプレイに表示される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものである請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像補正装置。
【請求項15】
前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
データ複製部は、前記画像補正装置の外部から入力される、前記ヴィネッティングパターンの画像の1ラインまたは1カラムの画素に対応する画像データを、全てのラインまたは全てのカラムにコピーして前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データを前記画像補正部に入力し、
選択部は、前記フラットパターンの画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により、前記画像補正部に入力された、前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データを用いて、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記液晶ディスプレイに表示される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものである請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像補正装置。
【請求項16】
液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを生成し、前記補正データを用いて、前記入力画像の輝度むらを補正する画像補正システムであって、
請求項8〜15のいずれか1項に記載の画像補正装置と、
前記液晶ディスプレイに表示されたパターン画像を撮影して撮影画像の画像データを生成するカメラと、
前記カメラにより生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、前記入力画像の輝度むらを補正するための補正データを算出する補正データ算出部と、
前記補正データを生成する場合に、前記画像補正装置の動作を制御する制御装置とを備えることを特徴とする画像補正システム。
【請求項17】
液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを生成する補正データ生成方法であって、
フラットパターン生成部が、均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像を生成するステップと、
ヴィネッティングパターン生成部が、前記液晶ディスプレイのパネルの輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像を生成するステップと、
表示制御部が、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するステップと、
カメラが、前記液晶ディスプレイに表示されたパターン画像を撮影して撮影画像の画像データを生成するステップと、
補正データ算出部が、前記カメラにより生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、前記入力画像の輝度むらを補正するための補正データを算出するステップとを含むことを特徴とする補正データ生成方法。
【請求項18】
液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正する画像補正方法であって、
フラットパターン生成部が、均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像を生成するステップと、
ヴィネッティングパターン生成部が、前記液晶ディスプレイのパネルの輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像を生成するステップと、
表示制御部が、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するステップと、
カメラが、前記液晶ディスプレイに表示されたパターン画像を撮影して撮影画像の画像データを生成するステップと、
補正データ算出部が、前記カメラにより生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、前記入力画像の輝度むらを補正するための補正データを算出するステップと、
補正データ格納部が、前記補正データ算出部により算出された補正データを格納するステップと、
画像補正部が、前記補正データ格納部に格納された補正データを用いて、前記入力画像の輝度むらを補正するステップとを含むことを特徴とする画像補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを生成するための画像を液晶ディスプレイに表示させる画像表示装置、補正データを生成するための補正データ生成方法、補正データを用いて、入力画像の輝度むらを補正する画像補正装置および画像補正方法、ならびに、画像補正システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、均一な表示ではなく、輝度むらが発生する場合がある。輝度むらの発生は、表示品質の著しい劣化であるため、輝度むらを電気的に補正して均一な表示を得る手法が一般的に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、均一な階調の画像データからなる1画面分のグレーの画像を液晶ディスプレイに表示させてカメラで撮影し、カメラで撮影された撮影画像の輝度値に基づいて、輝度むらを低減するための補正データを生成して液晶ディスプレイ内のROM(リードオンリーメモリ)に格納しておき、ROMに格納された補正データを用いて、入力画像の輝度むらを補正して液晶ディスプレイに表示させる画像補正回路等が記載されている。
【0004】
また、本発明に関連性のある先行技術文献として、特許文献1の他に、特許文献2に記載の画質調整システム及び画質調整方法、特許文献3に記載の画像補正システム、特許文献4に記載の画像表示装置等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−57149号公報
【特許文献2】特開2012−85225号公報
【特許文献3】特開2007−279417号公報
【特許文献4】特開2011−242665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の画像補正回路等を、例えば、パネルの中央部の輝度値が低く、パネルの中央部から左右の部分に向かうに従って、輝度値が次第に大きくなる輝度特性を有する液晶ディスプレイに対して適用し、均一なグレー25(8ビットで表現される0〜255までの階調のうちの25)の画像データからなる1画面分の画像を液晶ディスプレイに表示させた場合を考える。
【0007】
この場合、液晶ディスプレイのパネルの中央部のカメラでの検出値が152、左右の部分の補正前の検出値が、それぞれ、190および244であり、液晶ディスプレイに表示されたグレーの画像の輝度むらを低減するための左右の部分の補正後の目標値が、それぞれ、122および134であるとすると、その補正量は、それぞれ、68および110となり、非常に大きな補正量となることが分かる。
【0008】
このように、特に、グレー25などの暗い画像データからなるグレーの画像を用いて補正データを生成すると、輝度むらを低減するための補正量が大きくなる。補正量が大きくなると、1回の画像撮影で十分な補正精度が得られず、画像撮影を2回または3回繰り返し行うことによって補正データの生成を収束させる必要が生じる。しかし、画像撮影を繰り返し行うと、タクトタイムが長くなり、生産効率が低下するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、従来よりも短時間で補正データの生成を行って、画像の輝度むらを補正することができる画像表示装置、補正データ生成方法、画像補正装置および画像補正方法、ならびに、画像補正システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを生成するための画像を前記液晶ディスプレイに表示させる画像表示装置であって、
前記液晶ディスプレイのパネルの輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像を生成するヴィネッティングパターン生成部と、
均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御する表示制御部とを備えることを特徴とする画像表示装置を提供するものである。
【0011】
ここで、前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイの駆動方式、機種、パネルサイズおよび生産工場のうちの少なくとも1つに応じて、前記反転輝度特性が変更されたものであることが好ましい。
【0012】
また、前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイのパネルの画素に対応する画像データが1画素毎に設定されたものであることが好ましい。
【0013】
また、前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイのパネルの画素に対応する画像データが一定の画素毎に設定され、前記一定の画素毎の画像データの間の画像データが補間されて算出されたものであることが好ましい。
【0014】
また、前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイのパネルの1ライン分の画素の画像データを、前記液晶ディスプレイのパネルの全てのラインについて使用したものであることが好ましい。
【0015】
また、前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記液晶ディスプレイのパネルの1カラム分の画素の画像データを、前記液晶ディスプレイのパネルの全てのカラムについて使用したものであることが好ましい。
【0016】
また、前記ヴィネッティングパターンの画像は、前記ヴィネッティングパターンの画像の反転輝度特性のグラフで表される関数を近似する近似式により算出されるものであることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正する画像補正装置であって、
上記に記載の画像表示装置と、
前記液晶ディスプレイに表示されたパターン画像をカメラにより撮影して生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、補正データ算出部により算出された補正データを格納する補正データ格納部と、
前記補正データ格納部に格納された補正データを用いて、前記入力画像の輝度むらを補正する画像補正部とを備えることを特徴とする画像補正装置を提供する。
【0018】
ここで、前記ヴィネッティングパターン生成部は、前記入力画像の画像データの一定範囲の階調毎に対応するヴィネッティングパターンの画像を生成するものであり、
前記表示制御部は、前記一定範囲の階調毎に対応するパターン画像を前記液晶ディスプレイに順次表示させるものであり、
前記補正データ算出部は、前記液晶ディスプレイに表示された一定範囲の階調毎に対応するパターン画像をカメラにより順次撮影して生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、前記一定範囲の階調毎に対応する補正データを順次算出するものであり、
前記補正データ格納部は、前記補正データ算出部により算出された、前記一定範囲の階調毎に対応する補正データを格納するものであり、
前記画像補正部は、前記補正データ格納部に格納された、前記入力画像の画像データの階調に対応する補正データを用いて、前記入力画像の輝度むらを補正するものであることが好ましい。
【0019】
さらに、前記フラットパターンの画像を生成するフラットパターン生成部を備えることが好ましい。
【0020】
また、前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記輝度むらが補正されない補正データを格納するものであり、
選択部は、前記パターン画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正されないパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記液晶ディスプレイに表示される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであることが好ましい。
【0021】
また、前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記輝度むらが補正されない補正データを格納するものであり、
選択部は、前記フラットパターンの画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正されないフラットパターンの画像と、前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであることが好ましい。
【0022】
また、前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データが前記画像補正部に入力され、
選択部は、前記フラットパターンの画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により、前記画像補正部に入力された、前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データを用いて、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記液晶ディスプレイに表示される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであることが好ましい。
【0023】
また、前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記画像補正装置の外部から入力される、前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データが前記画像補正部に入力され、
選択部は、前記フラットパターンの画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により、前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データを用いて、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記液晶ディスプレイに表示される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであることが好ましい。
【0024】
また、前記パターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
データ複製部は、前記画像補正装置の外部から入力される、前記ヴィネッティングパターンの画像の1ラインまたは1カラムの画素に対応する画像データを、全てのラインまたは全てのカラムにコピーして前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データを前記画像補正部に入力し、
選択部は、前記フラットパターンの画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により、前記画像補正部に入力された、前記ヴィネッティングパターンの画像の画像データを用いて、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであり、
前記入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させる場合、
前記補正データ格納部は、前記液晶ディスプレイに表示される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを格納するものであり、
前記選択部は、前記入力画像を前記画像補正部に入力し、
前記表示制御部は、前記画像補正部により輝度むらが補正された入力画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するものであることが好ましい。
【0025】
また、本発明は、液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを生成し、前記補正データを用いて、前記入力画像の輝度むらを補正する画像補正システムであって、
上記に記載の画像補正装置と、
前記液晶ディスプレイに表示されたパターン画像を撮影して撮影画像の画像データを生成するカメラと、
前記カメラにより生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、前記入力画像の輝度むらを補正するための補正データを算出する補正データ算出部と、
前記補正データを生成する場合に、前記画像補正装置の動作を制御する制御装置とを備えることを特徴とする画像補正システムを提供する。
【0026】
また、本発明は、液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを生成する補正データ生成方法であって、
フラットパターン生成部が、均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像を生成するステップと、
ヴィネッティングパターン生成部が、前記液晶ディスプレイのパネルの輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像を生成するステップと、
表示制御部が、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するステップと、
カメラが、前記液晶ディスプレイに表示されたパターン画像を撮影して撮影画像の画像データを生成するステップと、
補正データ算出部が、前記カメラにより生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、前記入力画像の輝度むらを補正するための補正データを算出するステップとを含むことを特徴とする補正データ生成方法を提供する。
【0027】
また、本発明は、液晶ディスプレイに入力される入力画像の輝度むらを補正する画像補正方法であって、
フラットパターン生成部が、均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像を生成するステップと、
ヴィネッティングパターン生成部が、前記液晶ディスプレイのパネルの輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像を生成するステップと、
表示制御部が、前記フラットパターンの画像と前記ヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を前記液晶ディスプレイに表示させるように制御するステップと、
カメラが、前記液晶ディスプレイに表示されたパターン画像を撮影して撮影画像の画像データを生成するステップと、
補正データ算出部が、前記カメラにより生成された撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、前記入力画像の輝度むらを補正するための補正データを算出するステップと、
補正データ格納部が、前記補正データ算出部により算出された補正データを格納するステップと、
画像補正部が、前記補正データ格納部に格納された補正データを用いて、前記入力画像の輝度むらを補正するステップとを含むことを特徴とする画像補正方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、フラットパターンの画像とヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を使って補正データを算出する。これにより、本発明によれば、入力画像の輝度むらを補正するための補正量が少なくなるため、1回の画像撮影で十分な補正精度を得ることができ、補正データの生成を従来例よりも早く収束させることができる。そのため、タクトタイムを短縮し、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の画像補正システムの構成を表す一実施形態の概念図である。
図2図1に示す画像補正装置の構成を表す一例のブロック図である。
図3】(A)は、液晶ディスプレイに表示された画像を表す一例の概念図、(B)は、(A)に示す液晶ディスプレイの輝度特性を表す一例のグラフである。
図4】ヴィネッティングパターンの画像データを表す一例のグラフである。
図5図1に示す画像補正システムの動作を表す一例のフローチャートである。
図6】画像補正装置の第1の構成例を表すブロック図である。
図7】画像補正装置の第2の構成例を表すブロック図である。
図8】画像補正装置の第3の構成例を表すブロック図である。
図9】画像補正装置の第4の構成例を表すブロック図である。
図10】画像補正装置の第5の構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の画像表示装置、補正データ生成方法、画像補正装置および画像補正方法、ならびに、画像補正システムを詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の画像補正システムの構成を表す一実施形態の概念図である。同図に示す画像補正システム10は、液晶ディスプレイ12に入力される入力画像の輝度むらを補正するための補正データを生成し、生成された補正データを用いて、入力画像の輝度むらを補正するものであり、カメラ14と、制御装置16と、補正データ算出部26と、画像補正装置18とによって構成されている。
【0032】
カメラ14は、液晶ディスプレイ12に表示されたパターン画像を撮影して撮影画像の画像データを生成するものである。
カメラ14は、手動でパターン画像を撮影するものであってもよいし、制御装置16から入力される撮影指示に従って、パターン画像を撮影するものであってもよい。
【0033】
制御装置16は、例えば、パーソナルコンピュータ等により構成され、液晶ディスプレイ12を製品として出荷する前に、補正データを生成する場合に、画像補正装置18の動作を制御するものである。
制御装置16は、補正データを生成する場合に、カメラ14により生成された撮影画像の画像データを取得して画像補正装置18に入力したり、グレーのフラットパターンの画像の画像データの階調を指定する指示、パターン画像を液晶ディスプレイ12に表示させる指示を含む各種の指示を画像補正装置18と補正データ算出部26に与えたりする。
【0034】
補正データ算出部26は、制御装置16から入力されるカメラの撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、入力画像の輝度むらを補正するための補正データを算出するものである。
補正データ算出部26は、均一な階調の画像データからなる1画面分のグレーのフラットパターンの画像が液晶ディスプレイ12に表示された場合に、液晶ディスプレイ12に表示された表示画像の輝度値が均一になるように補正する補正データを、撮影画像の画像データの輝度値から算出することができる。
【0035】
なお、補正データ算出部26は、例えば、制御装置16により実行されるソフトウェア等により実現することもできる。
【0036】
画像補正装置18は、液晶ディスプレイ12に内蔵されるものであり、図2に示すように、フラットパターン生成部20と、ヴィネッティングパターン生成部22と、表示制御部24と、補正データ格納部28と、画像補正部30とを備えている。
ここで、ヴィネッティングパターン生成部22、表示制御部24は、補正データを生成するための画像(パターン画像)を液晶ディスプレイ12に表示させる本発明の画像表示装置を構成する。
【0037】
なお、ヴィネッティングパターン生成部22を液晶ディスプレイ12に内蔵することは必須ではなく、例えば、制御装置16により実行されるソフトウェア等により実現し、ヴィネッティングパターンの画像の画像データを制御装置16から画像補正装置18に入力する構成とすることもできる。
【0038】
フラットパターン生成部20は、制御装置16から与えられる指示に対応する、均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像を生成するものである。
【0039】
ヴィネッティングパターン生成部22は、液晶ディスプレイ12のパネルの輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像を生成するものである。
ヴィネッティングパターンの画像の画像データは、液晶ディスプレイ12のパネルの輝度特性の反転輝度特性に応じて、液晶ディスプレイ12の中央部における画像データと周辺部における画像データとが異なるものである。
フラットパターンの画像とヴィネッティングパターンの画像とが合成されてパターン画像が生成される。
【0040】
図3(A)は、液晶ディスプレイに表示された画像を表す一例の概念図、同図(B)は、同図(A)に示す液晶ディスプレイの輝度特性を表す一例のグラフである。同図(A)は、均一な階調グレー25の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像を液晶ディスプレイ12に表示させた場合の表示画面を表したものである。同図(B)は、同図(A)に示す表示画面の水平方向の画素位置1〜3840における輝度値を表したものである。
【0041】
この液晶ディスプレイ12に表示されたフラットパターンの画像は、同図(A)に示すように、パネルの中央部が最も暗く、中央部から左右の部分に向かうに従って、次第に明るくなっている。つまり、この液晶ディスプレイ12は、同図(B)に示すように、パネルの中央部の輝度値が最も低く、中央部から左右の部分に向かうに従って、輝度値が次第に大きくなる輝度特性を有するものである。
【0042】
図4は、ヴィネッティングパターンの画像データを表す一例のグラフである。同図は、均一な階調グレー25の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像と、図3(A)および(B)に示す輝度特性を有する液晶ディスプレイ12の輝度特性を反転させた反転輝度特性を表す画像データからなるヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像の水平方向の画像データを表したものである。
【0043】
図4のグラフに示すように、図3(B)に示す輝度特性を有する液晶ディスプレイ12の場合、ヴィネッティングパターンの画像は、フラットパターンの画像の階調グレー25を中心として、図3(B)に示す輝度特性を上下方向に反転させた反転輝度特性を有するものとなる。
【0044】
なお、液晶ディスプレイ12の中には、上記例に限らず、パネルの中央部の輝度値が最も高く、中央部から周辺部、つまり、左右の部分や上下の部分に向かうに従って、輝度値が次第に小さくなる輝度特性を有するものもある。
【0045】
液晶ディスプレイ12の輝度特性は、その駆動方式、機種、パネルサイズ等によって異なる。例えば、液晶ディスプレイ12の駆動方式がVA(Vertical Alignment)方式の場合、中央部よりも周辺部の方が明るくなる輝度むらが発生する傾向があるのに対して、TN(Twisted Nematic)方式などの場合、中央部よりも周辺部の方が暗くなる輝度むらが発生する場合がある。
【0046】
また、同じ駆動方式、同じ機種、同じパネルサイズの液晶ディスプレイ12であっても、生産工場(製造設備)が違うなどの理由で輝度特性が異なる場合がある。従って、液晶ディスプレイ12の輝度特性の要因となる要素、つまり、駆動方式、機種、パネルサイズおよび生産工場のうちの少なくとも1つに応じて、ヴィネッティングパターンの画像の反転輝度特性を変更することが望ましい。
【0047】
ヴィネッティングパターンの画像は、液晶ディスプレイ12のパネルの画素に対応する画像データが1画素毎に設定されたものでもよいし、あるいは、32画素毎のように、一定の画素毎に設定され、その間の画像データを補間して算出してもよい。
【0048】
また、液晶ディスプレイ12の中央部と左右の部分との間に輝度むらがある場合、ヴィネッティングパターンの画像は、液晶ディスプレイ12のパネルの1ライン分の画素の画像データであってもよい。この場合、液晶ディスプレイ12のパネルの全てのラインについて、同じヴィネッティングパターンの画像の1ライン分の画像データをコピーして使用する。従って、液晶ディスプレイ12のパネルの上下方向は同じ画像データとなる。
【0049】
一方、液晶ディスプレイ12の中央部と上下の部分との間に輝度むらがある場合、ヴィネッティングパターンの画像は、液晶ディスプレイ12のパネルの1カラム分の画素の画像データであってもよい。この場合、液晶ディスプレイ12のパネルの全てのカラムについて、同じヴィネッティングパターンの画像の1カラム分の画像データをコピーして使用する。従って、液晶ディスプレイ12のパネルの左右方向は同じ画像データとなる。
【0050】
また、1ライン分または1カラム分の画像データを使用する場合、ヴィネッティングパターンの画像の反転輝度特性のグラフで表される関数を近似する近似式、例えば、2次式および4次式を組み合わせた近似式により算出することもできる。
【0051】
例えば、横3840画素×縦2160画素のパネルを有する液晶ディスプレイ12の場合、パネルの水平方向の画素のアドレスをH_pixel_addとすると、その値は1から3840となる。また、中央の位置の画素の画像データをC_Signal、2次式の係数をX2、4次式の係数をX4とすると、例えば、水平方向の各々の画素位置におけるヴィネッティングパターンの画像の画像データは、X2*((H_pixel_add-1920)/1920)^2+X4*((H_pixel_add-1920)/1920)^4+C_Signalで算出することができる。
【0052】
続いて、表示制御部24は、制御装置16から与えられる指示に従って、補正データを生成する場合、フラットパターンの画像とヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を液晶ディスプレイ12に表示させるように制御するものである。
また、表示制御部24は、入力画像を補正する場合、補正データを用いて、輝度むらが補正された入力画像を液晶ディスプレイ12に表示させるように制御する。
【0053】
補正データ格納部28は、補正データ算出部26により算出された補正データを格納するものである。
【0054】
画像補正部30は、補正データ格納部28に格納された補正データを用いて、入力画像の輝度むらを補正するものである。
【0055】
次に、図5に示すフローチャートを参照しながら、画像補正システム10の動作を説明する。
【0056】
まず、補正データを生成するために、グレーのフラットパターンの画像の画像データの階調を指定する指示が、制御装置16から画像補正装置18に与えられる。
これに応じて、フラットパターン生成部20により、制御装置16から与えられた指示に対応する、均一な階調の画像データからなるグレーのフラットパターンの画像が生成される(ステップS1)。
【0057】
また、ヴィネッティングパターン生成部22により、液晶ディスプレイ12の輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像が生成される(ステップS2)。
【0058】
続いて、パターン画像を液晶ディスプレイ12に表示させる指示が、制御装置16から画像補正装置18に与えられる。
これに応じて、表示制御部24の制御により、フラットパターンの画像とヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像が液晶ディスプレイ12に表示される(ステップS3)。
【0059】
続いて、液晶ディスプレイ12に表示されたパターン画像がカメラ14により撮影されて撮影画像の画像データが生成される(ステップS4)。撮影画像の画像データは、制御装置16により取得される(ステップS5)。
【0060】
続いて、撮影画像の画像データが、制御装置16から補正データ算出部26に入力される。
これに応じて、補正データ算出部26により、撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、補正データが算出される(ステップS6)。補正データ算出部26により算出された補正データは、補正データ格納部28に格納される(ステップS7)。
【0061】
補正データが補正データ格納部28に格納されると、液晶ディスプレイ12は、補正データ算出部26と、制御装置16と切り離され、製品として出荷可能な状態となる。
【0062】
続いて、入力画像を液晶ディスプレイ12に表示する場合、画像補正部30により、補正データ格納部28に格納された補正データを用いて、入力画像の輝度むらが補正される(ステップS8)。
そして、画像補正部30により輝度むらが補正された入力画像が液晶ディスプレイ12に表示される(ステップS9)。
【0063】
液晶ディスプレイ12では、明るさ(入力画像の画像データの値)により輝度むらの形状が変化するため、入力画像の画像データの一定範囲の階調毎に補正データを算出して使用してもよい。
【0064】
この場合、ヴィネッティングパターン生成部22により、入力画像の画像データの一定範囲の階調毎に対応するヴィネッティングパターンの画像が生成される。
【0065】
続いて、表示制御部24により、一定範囲の階調毎に対応するパターン画像が液晶ディスプレイ12に順次表示される。
【0066】
続いて、カメラ14により、液晶ディスプレイ12に表示された、一定範囲の階調毎に対応するパターン画像が順次撮影されて撮影画像の画像データが生成される。一定範囲の階調毎に対応する撮影画像の画像データは、制御装置16により取得される。
【0067】
続いて、補正データ算出部26により、一定範囲の階調毎に対応する撮影画像の画像データの輝度値に基づいて、一定範囲の階調毎に対応する補正データが算出される。一定範囲の階調毎に対応する補正データは、補正データ格納部28に格納される。
【0068】
入力画像を液晶ディスプレイ12に表示する場合、画像補正部30により、補正データ格納部28に格納された、入力画像の画像データの階調に対応する補正データを用いて、入力画像の輝度むらが補正される。
【0069】
次に、画像補正装置18の構成例について説明する。
【0070】
図6図10は、それぞれ、画像補正装置の第1〜第5の構成例を表すブロック図である。これらの図に示す画像補正装置18A、18B、18C、18D、18Eには、液晶ディスプレイ12が備えるガンマ補正回路34、および、フレームレート制御回路36が示されている。
【0071】
図6に示す画像補正装置18Aでは、パターン画像を液晶ディスプレイ12に表示させる場合、補正データ格納部28には、輝度むらが補正されない補正データが格納されている。言い換えると、補正データを生成する前の初期状態において、補正データ格納部28には、入力画像の輝度むらを補正するための補正データは格納されておらず、輝度むらが補正されない補正データが格納されている。
画像補正装置18Aでは、選択部38の制御により、フラットパターンの画像とヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像が画像補正部30に入力される。
従って、画像補正部30では、補正データ格納部28に格納された、輝度むらが補正されない補正データを用いて、パターン画像の輝度むらが補正されない。つまり、画像補正部30からはパターン画像がそのまま出力される。
画像補正部30から出力されたパターン画像は、ガンマ補正回路34により、ガンマ補正等の画像処理が施された後、フレームレート制御回路36により、フレームレート制御が行われて液晶ディスプレイ12に表示される。
【0072】
一方、入力画像を液晶ディスプレイ12に表示させる場合、補正データ格納部28には、入力画像の輝度むらを補正するための補正データが格納されている。
画像補正装置18Aでは、選択部38の制御により、入力画像が画像補正部30に入力される。
続いて、画像補正部30により、補正データ格納部28に格納された、入力画像の輝度むらを補正するための補正データを用いて、入力画像の輝度むらが補正され、同様に、液晶ディスプレイ12に表示される。
なお、パターン画像および入力画像を液晶ディスプレイ12に表示させる制御は、表示制御部24により行われる。
【0073】
続いて、図7に示す画像補正装置18Bでは、パターン画像を液晶ディスプレイ12に表示させる場合、補正データ格納部28には、輝度むらが補正されない補正データが格納されている。
画像補正装置18Bでは、選択部38の制御により、フラットパターンの画像が画像補正部30に入力される。
従って、画像補正部30では、補正データ格納部28に格納された、輝度むらが補正されない補正データを用いて、フラットパターンの画像の輝度むらが補正されない。つまり、画像補正部30からはフラットパターンの画像がそのまま出力される。
続いて、画像補正部30から出力されたフラットパターンの画像と、ヴィネッティングパターンの画像とが合成されてパターン画像が生成され、同様に、液晶ディスプレイ12に表示される。
【0074】
一方、入力画像を液晶ディスプレイ12に表示させる場合、補正データ格納部28には、入力画像の輝度むらを補正するための補正データが格納されている。
画像補正装置18Bでは、選択部38の制御により、入力画像が画像補正部30に入力される。
従って、画像補正部30では、補正データ格納部28に格納された、入力画像の輝度むらを補正するための補正データを用いて、入力画像の輝度むらが補正される。
輝度むらが補正された入力画像は、ヴィネッティングパターン生成部22をバイパスして出力され、同様に、液晶ディスプレイ12に表示される。
【0075】
続いて、図8に示す画像補正装置18Cでは、ヴィネッティングパターンの画像を液晶ディスプレイに表示させる場合、ヴィネッティングパターンの画像の画像データが画像補正部30に入力される。また、選択部38の制御により、フラットパターンの画像が画像補正部30に入力される。
従って、画像補正部30では、ヴィネッティングパターンの画像の画像データを用いて、フラットパターンの画像とヴィネッティングパターンの画像とが合成されてパターン画像が生成され、同様に、液晶ディスプレイ12に表示される。
【0076】
一方、液晶ディスプレイ12に画像を表示する場合の動作は、画像補正装置18Aの場合と同じである。
【0077】
続いて、図9に示す画像補正装置18Dでは、ヴィネッティングパターンの画像を液晶ディスプレイに表示させる場合、画像補正装置18の外部、つまり、制御装置16から入力される、ヴィネッティングパターンの画像の画像データが画像補正部30に入力される。また、選択部38の制御により、フラットパターンの画像が画像補正部30に入力される。
これ以後の動作は、画像補正装置18Cの場合と同じである。
【0078】
一方、液晶ディスプレイ12に画像を表示する場合の動作は、画像補正装置18Aの場合と同じである。
【0079】
最後に、図10に示す画像補正装置18Eでは、パターン画像を液晶ディスプレイ12に表示させる場合、データ複製部40により、画像補正装置18の外部、つまり、制御装置16から入力される、ヴィネッティングパターンの画像の1ラインまたは1カラムの画素に対応する画像データを、全てのラインまたは全てのカラムにコピーしてヴィネッティングパターンの画像の画像データが画像補正部30に入力される。また、選択部38の制御により、フラットパターンの画像が画像補正部30に入力される。
これ以後の動作は、画像補正装置18Cの場合と同じである。
【0080】
一方、液晶ディスプレイ12に画像を表示する場合の動作は、画像補正装置18Aの場合と同じである。
【0081】
画像補正装置18A、18B、18Cのように、ヴィネッティングパターン生成部22を液晶ディスプレイ12に内蔵することにより、画像補正装置18の内部でヴィネッティングパターンの画像を生成することができるため、画像補正装置18D、18Eのように、ヴィネッティングパターンの画像の画像データを制御装置16から画像補正装置18に入力する必要がなく、より高速に補正データを生成することができるという利点がある。
【0082】
従来例の場合と同様に、本実施形態の画像補正システム10を、図3(B)に示すように、パネルの中央部の輝度値が低く、パネルの中央部から左右の部分に向かうに従って、輝度値が次第に大きくなる輝度特性を有する液晶ディスプレイに対して適用し、均一な階調グレー25の画像データからなる1画面分のグレーのフラットパターンの画像と、図4に示すような、液晶ディスプレイ12の輝度特性を反転させた反転輝度特性の画像データからなるヴィネッティングパターンの画像とが合成されたパターン画像を液晶ディスプレイに表示させた場合を考える。
【0083】
この場合、従来例と比べると、液晶ディスプレイのパネルの中央部のカメラでの検出値は同一の152であるが、ヴィネッティングパターンの画像は、中央部から左右の部分に向かうに従って輝度値が次第に低くなるため、左右の部分のカメラでの検出値は、それぞれ、従来例よりも小さい113および147となる。液晶ディスプレイに表示されたグレーの画像の輝度むらを低減するための左右の部分の補正後の目標値が、同様に、それぞれ、122および134であるとすると、その補正量は、それぞれ、−9および13となり、従来例と比べて、補正量が7〜8分の1に減少することが分かる。
【0084】
また、本実施形態の画像補正システム10の場合、パターン画像を液晶ディスプレイ12に表示させた場合の画面全体の明るさの変化が少ないため、カメラ14による撮影がしやすいという利点がある。
【0085】
また、本実施形態の画像補正システム10の場合、補正量が少ないため、補正データの生成を従来例よりも早く収束させることができる。例えば、従来例の場合、補正データの生成を収束させるまでに、画像撮影を、2回または3回、繰り返し行う必要がある場合があったが、本実施形態の画像補正システム10の場合、補正量が少ないため、1回の画像撮影で十分な補正精度が得られ、補正データの生成を早く収束させることができるため、タクトタイムを短縮し、生産効率を向上させることができる。
【0086】
なお、フラットパターン生成部20、ヴィネッティングパターン生成部22、表示制御部24、補正データ算出部26、補正データ格納部28、画像補正部30、選択部38、データ複製部40等の具体的な構成は何ら限定されず、同様の機能を果たすことができる各種構成の回路を使用することができる。
【0087】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0088】
10 画像補正システム
12 液晶ディスプレイ
14 カメラ
16 制御装置
18 画像補正装置
20 フラットパターン生成部
22 ヴィネッティングパターン生成部
24 表示制御部
26 補正データ算出部
28 補正データ格納部
30 画像補正部
34 ガンマ補正回路
36 フレームレート制御回路
38 選択部
40 データ複製部
図1
図2
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図3