【解決手段】タッチセンサを備えた操作装置であって、前記タッチセンサへの操作位置を示す情報を取得し、該位置情報に基づいて操作量を導出する導出手段と、操作者に対して触感を付与する触感付与手段と、を備え、前記触感付与手段は、操作開始位置を始点とした第1の操作量毎に第1の触感を付与する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.操作装置の構成>
図1及び
図2は、本実施の形態に係る操作装置10の概要を示す図である。本実施の形態では、自動車などの車両に搭載された操作装置10を例に用いて説明する。
図1は、操作装置10が搭載される車室内の様子を示す図である。
図2は、操作装置10の概略構成を示す図である。
【0020】
図1に示すように、操作装置10は、車両のセンターコンソールなどのユーザが視認可能な位置に設けられ、少なくとも表示部とタッチセンサを有する電子機器である。また、ユーザが操作装置10を操作するとタッチセンサが振動してユーザに触感を与えるようになっている。特に、ユーザの操作量がある所定の量になると所定の触感を与えるようになっており、ユーザが操作装置10を見ずに操作している場合等においても、ユーザに対して操作量などの操作内容をフィードバックすることができる。
【0021】
図2に示すように、操作装置10は、制御部11、記憶部12、車両位置情報取得部13、表示部14、タッチセンサ15、タッチセンサコントローラ16、及び、振動素子17を備えている。
【0022】
制御部11は、ナビゲーション部11aと、表示制御部11bと、操作判別部11cと、振動制御部11dとを備えており、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部11は、操作装置10が備える記憶部12等と接続され、記憶部12に記憶されたプログラム12aに基づいて情報の送受信を行い、操作装置10の全体を制御する。記憶部12に記憶されたプログラム12aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、ナビゲーション部11aや表示制御部11b等を含めた制御部11の各種機能が実現される。
【0023】
ナビゲーション部11aは、車両の現在位置から目的地までの経路を探索して誘導を行う。ナビゲーション部11aは、車両位置情報取得部13が取得した現在の車両位置情報と、記憶部12に記憶されている地図情報12cとを取得する。そして、ナビゲーション部11aは、これら車両位置情報及び地図情報に基づいて車両の現在位置を周辺地図に表示したナビゲーション画像を作成する。また、目的地が設定されている場合には、ナビゲーション部11aは目的地までの経路を探索し、前記ナビゲーション画像に目的地までの経路を強調表示したナビゲーション画像を作成する。
【0024】
表示制御部11bは、ナビゲーション部11aで作成されたナビゲーション画像を表示部14に表示させる制御を行う。また、表示制御部11bは、エアコンやオーディオなどの調整値を変更するための調整画像を表示部14に表示させる制御も行う。
【0025】
操作判別部11cは、ユーザの操作内容を判別する。具体的には、ユーザがタッチセンサ15を操作した位置情報(以下「操作位置情報」という)に基づいてユーザの操作内容を判別する。また、操作判別部11cは、この位置情報に基づいてユーザの操作量を導出する。
【0026】
振動制御部11dは、操作判別部11cが判別したユーザの操作内容に応じてタッチセンサ15の振動を制御する。具体的には、振動制御部11dは、ユーザの操作の変化量に応じて振動素子17を振動させる制御を行う。例えば、振動制御部11dは、ユーザの操作量が一定量になる毎に振動素子17を振動させてタッチセンサ15を振動させる。これにより、ユーザは、一定量の操作をする毎に触感を得ることができるため、どの程度操作したかを認識することが可能になる。
【0027】
記憶部12は、プログラム12a、車両位置情報12b、及び地図情報12cを記憶している。本実施の形態における記憶部12は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されていてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部12としては、例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)やフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。
【0028】
プログラム12aは、制御部11により読みだされ、制御部11が操作装置10を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。車両位置情報12bは、車両位置情報取得部13にて取得した車両の位置を示す情報である。また、地図情報12cは、全国又は一定の広域の道路情報及び交通情報である。
【0029】
車両位置情報取得部13は、車両の現在位置を示す情報としての車両位置情報を取得する。車両位置情報取得部13としては、例えば、GPS(Global positioning system:全地球測位システム)を用いることができる。また、車両位置情報は、経度情報及び緯度情報を含む情報である。
【0030】
表示部14は、ナビゲーション画像や調整画像を表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0031】
タッチセンサ15は、ユーザが入力操作を行う平板状のセンサーである。タッチセンサ15は、表示部14の表示面上に(ユーザ側の面上に)設けられている。すなわち、表示部14及びその表示面上に設けられたタッチセンサ15がいわゆるタッチパネルとして機能する。
【0032】
表示部14の表示面には、適宜、ユーザの指示を受け付けるコマンドボタンが表示される。ユーザは、このようなコマンドボタンの領域に対応するタッチセンサ15の操作面中の領域に指でタッチすることで、コマンドボタンに関連付けられた指示を操作装置10に行うことができる。
【0033】
また、タッチセンサ15には振動素子17が接するように配置されており、ユーザのタッチセンサ15の操作に応じて振動素子17が振動するようになっている。振動素子17が振動することでタッチセンサ15の操作面も振動し、ユーザに対して触感が与えられる。
【0034】
タッチセンサ15の方式としては、例えば、静電容量の変化を捉えて位置を検出する静電容量方式が採用されている。ユーザは、タッチセンサ15の操作面に対して、一点でタッチする操作のみならず、複数点でタッチする操作であるマルチタッチを行うことも可能になっている。
【0035】
タッチセンサコントローラ16は、例えば、ハードウェア回路であり、タッチセンサ15の動作を制御する。タッチセンサコントローラ16は、タッチセンサ15で生じた信号に基づいて、タッチセンサ15の操作面中のユーザがタッチした位置を検出するタッチ検出部16aを備えている。
【0036】
タッチ検出部16aは、例えば、駆動電極及び受信電極の2電極間の静電容量の変化を測定する相互容量方式で、ユーザがタッチした位置(例えばXY座標)を検出する。タッチ検出部16aは、ユーザの指での電界の遮断によって受信電極が受信する電荷が減少することに基づいて、ユーザがタッチしかた否かを検出する。
【0037】
タッチ検出部16aは、タッチセンサ15の操作面に、ユーザが一点及び複数点のいずれかでタッチしたかを判別することができる。そして、タッチ検出部16aは、タッチセンサ15の操作面にユーザが一点でタッチした場合にはその一点の位置を検出し、ユーザが複数点でタッチした場合にはその複数点それぞれの位置を検出する。
【0038】
振動素子17は、タッチセンサ15の操作面を振動させる部材である。より具体的には、
図3に示すように、振動素子17はタッチセンサ15の操作面の周囲に複数配置されている。そして、この振動素子17自身が振動することでタッチセンサ15の操作面を振動させる。振動素子17は、振動制御部11dの制御により振動する。この振動素子17としては、例えば、ピエゾ素子などの圧電素子を用いることができる。また、本実施の形態では、振動素子17をタッチセンサ15の対向する2辺に並べて配置しているが、これに限定されるものではなく、任意の辺に任意の数の振動素子17を配置すればよい。
【0039】
<1−2.ユーザの操作と触感の起動>
次に、ユーザが操作装置10を操作した際の処理と、その際に触感を起動させる処理について説明する。本実施の形態では、エアコンの設定温度の調整操作の処理と、調整操作をしているときに触感を起動させる処理を例に挙げて説明する。なお、本発明において「触感が起動する」とは、タッチセンサ15を振動させてユーザに触感を与えることを示す。また、本発明において「調整値」とは、調整操作の処理において変更する設定値(すなわち、調整する対象の値)を示す。調整値は、例えば、エアコンの設定温度の値である。
【0040】
図4は、操作装置10のタッチセンサ15をユーザが操作しているところを説明する図である。
図4に示すように、操作装置10の表示部14には、その下部分にエアコンの設定状態が表示されている。具体的には、設定温度が23.0℃、風量が4などの設定状態が表示されている。
【0041】
例えば、
図4に示すように、ユーザが、表示部14の設定温度を表示している部分(表示部14左下に表示されている23.0の部分)をタッチすると、
図5に示すように設定温度の調整画像が表示される。
図5に示す調整画像は、設定温度を調整操作する円状の操作領域14aと、その操作領域の外側に調整値を表示する円状の表示領域14bとを有している。なお、
図5の例では、操作領域14aは円状の全領域が表示されているが、表示領域14bは円状の一部の領域が表示されている。また、表示領域14bの中央上部には、現在の設定温度である23.0が表示されており、左右の円周上には前後の設定温度である22.0及び24.0が表示されている。
【0042】
ユーザが操作領域14aをタッチして、この操作領域14aに沿って円状に操作すると、それに合わせて表示領域14bの調整値が回転表示するようになっている。具体的には、
図6に示すように、ユーザが円を描くように操作領域14a上を操作すると、その操作量に対応して表示領域14bの設定温度の値が回転移動する。例えば、ユーザが操作領域14aの任意の位置をタッチして、その位置から120°(1/3周)程度の円弧を描く操作をする。すると、表示領域14bがその操作に応じて回転移動して、中央上部に表示されていた調整値の23.0が22.0に変わる。
【0043】
このように、本実施の形態では、設定温度の調整などの操作をする際に、操作領域14aの任意の位置をタッチすれば、その位置が現在の調整値となり、そこからの操作量に応じて調整値を変化させることができる。すなわち、各温度に対応する位置が予め決められている場合には、温度調整のためには現在の調整値に対応する位置をタッチする必要があるものの、本実施の形態では、操作領域14a内であればどの位置をタッチしても、最初にタッチした位置が現在の調整値となる。したがって、ユーザが操作装置10の表示部14を凝視することができない状況であっても、操作領域14aの任意の位置をタッチすることができれば、その位置からの操作量に応じて調整値を変更することが可能となる。
【0044】
なお、上記では、ユーザが120°程度の円弧を描いたときに調整値が1.0℃変化する例について説明したが、これに限定されるものではない。ユーザの操作量と調整値の変化量との対応関係は任意でよく適宜設定可能である。すなわち、予め対応関係を定めておき、ユーザの操作量に対応する変化量の分だけ表示を変化させればよい。
【0045】
また、本実施の形態では、ユーザの操作が所定量になる毎に触感を与える構成としている。そこで、以下において、タッチセンサ15を振動させることによって触感を発生させる方法と、操作に対応した触感の起動について説明する。
【0046】
触感を発生させるためには、まず振動制御部11dが振動素子17を高速で振動させる。この高速での振動とは例えば超音波振動である。振動素子17を超音波振動させることでタッチセンサ15の表面を超音波振動させることができる。
図3に示すように対向する2辺に配置した振動素子17を振動させることで、タッチセンサ15全面を略均一に振動させることができる。
【0047】
タッチセンサ15表面が超音波振動した状態でタッチセンサ15表面を指で操作すると、指と高速で振動しているタッチセンサ15表面との間に高圧の空気膜が発生して摩擦抵抗が減少する。これにより、ユーザは、振動していない状態に比べてツルツルと滑らかにすべる触感(以下「ツルツル感」という)を得ることができる。
【0048】
また、タッチセンサ15表面を超音波振動させた状態で振動素子17の振動を停止させると、タッチセンサ15表面の超音波振動も停止する。すると、タッチセンサ15表面の摩擦抵抗は、減少していた状態から本来の状態(振動していない状態)に戻る。すなわち、低摩擦の状態から高摩擦の状態に変化する。この場合、ツルツル感のあった触感からひっかかりの感じる触感に変化する。ユーザは、このツルツル感からひっかかりの感じる触感に変化する際にカチッとした触感を得る。このカチッとした触感を以下においては「クリック感」という。
【0049】
また、振動素子17の振動強度に変化をつけてタッチセンサ15表面を超音波振動させると、タッチセンサ15表面に相対的に大振幅で振動させたり小振幅で振動させたりすることが可能になる。これにより、タッチセンサ15表面を高摩擦状態と低摩擦状態とが繰り返された状態にすることができる。つまり、ユーザは、ツルツル感とクリック感とを交互に触感として感じることになり、この場合凸凹した触感やザラザラした触感(以下「ザラザラ感」という)を得ることができる。
【0050】
また、振動の強弱の大きさを変えたり、強弱を変化させる周期を変えることでザラザラ度合いを変化させることができる。これにより、ザラザラ度合いの強いザラザラ感や弱いザラザラ感、またザラザラ感の疎密度感など、段階的に複数種類のザラザラ感を実現することが可能になる。
【0051】
このように、振動素子17を超音波振動させてタッチセンサ15表面を超音波振動させることでユーザに対して触感を与えることができる。また、超音波振動の開始や停止のタイミング、強弱などを適宜制御すれば、その表面の摩擦抵抗を変化させることができ、それを利用することで種々の触感を与えることが可能になっている。
【0052】
なお、本実施の形態では、ユーザの操作が所定量になる毎にクリック感を与える構成としている。例えば、ユーザが操作領域14aを30°(1/12周)の円弧を描く操作をする毎にクリック感の触感を与える等である。この場合、ユーザが120°の円弧を描く操作をすると30°毎に4回のクリック感を得ることができる。つまり、ユーザは、表示部14を見ずに操作している状態であっても、4回のクリック感の触感を得ることで120°の操作をしたと認識することが可能になる。すなわち、ユーザは、どの程度操作したかを認識することができる。
【0053】
また、上記設定温度を調整する操作の例の場合、例えば調整値の上限を32.0℃とし下限を18.0℃とすると、ユーザの操作量によってはこれら上限値又は下限値を超えてしまう場合がある。したがって、上限値又は下限値を超える操作があった場合には、上限値又は下限値を表示したところで触感を起動させる。この触感は、所定量毎に与えられる触感とは異ならせることが好ましい。この触感を与えられることで、ユーザは上限値又は下限値を超える操作をしていることを認識することが可能になる。
【0054】
また、ユーザが円弧を描く操作をした場合には、正回転方向(時計回り)に円弧を描く操作をする際に与える触感と、逆回転方向(反時計回り)に円弧を描く操作をする際に与える触感とを異ならせてもよい。この場合、いずれの方向に操作しているか触感から認識することができる。
【0055】
<1−3.操作装置の処理>
次に、操作装置10の処理について説明する。
図7は、操作装置10の処理を示すフローチャートである。操作装置10は、電源が投入されて起動することにより処理を開始する。操作装置10は、ユーザの操作があるまでは待機状態にあり、調整画面の表示指示があるか否かを監視している(ステップS10)。具体的には、操作装置10は、ユーザが表示部14下部に表示されている設定画像の領域をタッチして調整画面の表示を指示したか否かを監視している。
【0056】
操作装置10は、ユーザがタッチセンサ15を操作した際の位置情報(例えばX座標及びY座標)を取得してユーザの操作位置及び操作内容を判断し、所定の操作があった場合には調整画面の表示指示があったと判断する。所定の操作とは、例えば、上方向へのフリック操作などである。すなわち、操作装置10は、ユーザがタッチした際のX座標及びY座標に基づいて、ユーザがタッチした位置が設定画像の領域であると判断し、その後のX座標及びY座標の変化から上方向へのフリック操作があったと判断した場合には、調整画面の表示指示があったと判断する。
【0057】
そして、調整画面の表示指示がない場合には(ステップS10でNo)、操作装置10は、再度調整画面の表示指示があるか否かを監視する。一方、調整画面の表示指示があった場合には(ステップS10でYes)、操作装置10は、調整画面を表示する(ステップS11)。具体的には、操作装置10は、ユーザがタッチした設定画像に関する調整画面を表示する。つまり、ユーザが設定温度の表示画像をタッチして上にフリック操作をしたときは、温度設定の調整画面が表示される。
【0058】
次に、操作装置10は、操作領域14aへの操作があったか否かを判断する(ステップS12)。この処理においても、操作装置10は、ユーザがタッチセンサ15を操作した際の位置情報(X座標及びY座標)を取得してユーザの操作位置及び操作内容を判断し、操作領域14aへの操作があったか否かを判断する。
【0059】
操作領域14aへの操作があった場合には(ステップS12でYes)、操作装置10は、操作量を導出する(ステップS13)。つまり、操作装置10は、ユーザが操作領域14aを操作した量(距離)を導出する。これは、操作装置10が、取得した位置情報(X座標及びY座標)の変化量に基づいて導出される。
【0060】
この操作量導出処理においては、操作軌跡も導出する。例えば、ユーザが円弧を描く操作をした際には、正回転方向(時計回り)に操作したか、逆回転方向(反時計回り)に操作したかを導出する。
【0061】
そして、操作装置10は、表示領域14bを移動させながら表示する(ステップS14)。すなわち、操作装置10は、操作量に基づいて表示領域14bを移動させた表示を行う。すなわち、表示領域14bに表示されている調整値の表示が移動していく。なお、上述のように、この移動量は、予め設定された操作量と移動量との対応関係に基づいて決められる。また、円弧を描く操作をした際にはその回転方向と同じ方向に表示が移動する。
【0062】
そして、操作装置10は、触感を起動する(ステップS15)。すなわち、操作装置10は、ユーザの操作量が所定量になる毎に触感を発生させる。具体的には、操作装置10は、予め設定された量の操作があったと判定する毎に、振動素子17を振動させる。これにより、タッチセンサ15を振動させて触感を起動させることができる。また、円弧を描く操作をした際には、回転方向に応じて異なる触感を起動する。すなわち、操作装置10は、正回転方向に操作した場合と、逆回転方向に操作した場合とで振動素子17の振動状態を変える。
【0063】
次に、操作装置10は、操作領域に一定時間操作がないか否かを判定する(ステップS15)。一定時間内にユーザによる操作領域への操作があった場合には(ステップS15でNo)、その操作に対して操作量の導出処理を再度実行する。一方、一定時間内にユーザが操作領域を操作しない場合には(ステップS15でYes)、操作装置10は、調整操作が終了したと判断する。調整操作が終了すると、その際に表示されている調整値が変更後の値として確定する。
【0064】
このように、操作領域14aの操作があった際には、現在の調整値を基点にしてタッチした位置からの操作量に応じて調整値の移動量(変更量)を導出する。このため、操作領域14aの任意の位置をタッチして操作をすることができる。すなわち、表示部14を凝視しなくても操作領域14a内にタッチできれば操作が可能になる。また、所定量の操作がある毎に触感を起動するため、ユーザは表示部14を見ていない状態で操作を継続しても、どの程度操作したかを認識することが可能になる。
【0065】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では、ユーザが操作領域14aのタッチした位置を現在の調整値として基点にして調整操作する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、予め操作領域14aの所定の位置に各調整値を対応付けておき、ユーザがタッチした位置に対応付けられた調整値を基点として調整操作する構成としてもよい。以下、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
【0066】
まず、本実施の形態に係る操作装置20の構成について説明する。
図8は、操作装置20の概略構成を示す図である。
図8に示すように、本実施の形態の操作装置20は、上記第1の実施の形態で説明した操作装置10と比較して、記憶部12に調整値情報12dを記憶している点が相違する。操作装置20の他の構成は、操作装置10の構成と同様である。
【0067】
調整値情報12dは、ユーザが調整操作する際に用いる調整値と、操作領域14aの対応する位置とを対応付けた情報である。例えば、温度設定の調整操作の場合、操作領域14aを12分割した各位置と、18.0℃〜29.0℃の各調整値とを対応付けた情報が調整値情報12dとなる。より具体的には、中央上部の位置を18.0℃として、そこから時計回りに30°毎に19.0℃、20.0℃と対応付ける。この場合、中央上部の位置から(18.0℃が対応付けられている位置から)240°の位置には26.0℃が対応付けられていることになる。
【0068】
この調整値情報12dを用いて調整操作する方法について説明する。
図9及び
図10は、操作装置20のタッチセンサ15をユーザが操作しているところを説明する図である。
図9に示すように、ユーザが上記240°の位置をタッチしたとすると、調整画面の調整値として26.0℃が表示される。現在の調整値が23.0℃の場合であっても、ユーザがタッチした位置に対応付けられた調整値が表示されることになる。
【0069】
そして、第1の実施の形態と同様にユーザが操作した量に応じて表示領域14bが回転し、表示される調整値が変化する。具体的には、例えばユーザが120°の程度の円弧を描いたときに1.0℃変化する場合には、
図10に示すように、ユーザが240°の円弧を描くと調整値は2.0℃分だけ回転して中央上部には24.0℃が表示される。
【0070】
すなわち、第1の実施の形態では、ユーザがタッチした位置に関わらず現在の調整値を基点としてユーザの操作量に応じた調整操作を実行していたが、本実施の形態では、ユーザがタッチした位置に対応付けられた調整値を基点としてユーザの操作量に応じた調整操作を実行するものである。
【0071】
したがって、第1の実施の形態では、現在の調整値が23.0℃の場合、ユーザが操作領域14aのいずれの位置をタッチしても23.0℃からの調整操作となるのに対して、本実施の形態では、現在の調整値が23.0℃であってもユーザの操作領域14aをタッチした位置が26.0℃である場合には、26.0℃からの調整操作となる。
【0072】
なお、予め対応付ける調整値の数や間隔等は適宜設定可能である。例えば、操作領域14aを12分割ではなく例えば24分割して24値を対応付けてもよい。また、中央上部の位置(0°の位置)に対応付ける調整値を18.0℃ではなく例えば23.0℃にしてもよい。
【0073】
次に、操作装置20の処理について説明する。
図11は、本実施の形態に係る操作装置20の処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、操作装置20は、調整画面の表示指示を監視する処理(ステップS20)と、調整画面表示処理(ステップS21)と、操作領域への操作の有無を監視する処理(ステップS22)とを実行する。これら各処理は、第1の実施の形態のステップS10〜S12の各処理と同様の処理である。
【0074】
そして、操作装置20は、操作領域14aへの操作があったと判断した場合には調整値を導出する(ステップS23)。すなわち、操作装置20は、ユーザが操作領域14aをタッチした際の位置情報と、記憶部12に記憶されている調整値情報12dとに基づいて、ユーザがタッチした位置に対応する調整値を導出する。そして、操作装置20は、導出した調整値を調整開始値として中央上部に表示する。
【0075】
次いで、操作装置20は、操作量導出処理(ステップS24)と、表示領域移動処理(ステップS25)と、触感起動処理(ステップS26)と、一定時間無操作であったか否かの監視処理(ステップS27)とを実行する。これら各処理は、第1の実施の形態のステップS13〜S16の各処理と同様の処理である。
【0076】
このように、操作領域14aの操作があった際には、タッチした位置に対応する調整値を基点にして、タッチした位置からの操作量に応じて調整値の移動量を導出する。このため、操作領域14aの任意の位置をタッチした際に表示された調整値を基準に操作することができる。また、所定量の操作がある毎に触感を起動するため、ユーザは表示部14を見ていない状態で操作を継続しても、どの程度操作したかを認識することが可能になる。
【0077】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記各実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0078】
<3−1.変形例1>
上記各実施の形態においては、ユーザの操作が所定量になる毎に触感を与える構成について説明した。本発明は、これだけに限定されず、さらなる触感の追加も可能である。
【0079】
例えば、所定量になる毎に触感を与える構成に加えて、特定の調整値に達した際に異なる触感を与えてもよい。特定の調整値とは、例えば、中央調整値(温度設定範囲の中央値や音量設定範囲の中央値、ステレオ再生の左右音量バランス調整の均等バランス位置等)である。また、異なる触感とは、クリック感を2回連続で与える(ダブルクリック感)などである。これにより、ユーザは、どの程度操作したかを認識することができるだけでなく、中央調整値に達したことも触感で認識することができる。
【0080】
すなわち、上記各実施の形態では、操作開始位置を始点とした第1の所定操作量毎に第1の触感を付与する構成について説明したが、本変形例では、第1の所定操作量とは異なる第2の所定操作量になる毎に、第1の触感とは異なる第2の触感を付与する構成である。
【0081】
また、上記各実施の形態において、触感を与える所定量を30°にした例について説明したがこれに限定されるものではなく、10°や15°など適宜設定可能である。また、1回目の触感は30°に与え、2回目の触感は60°で与えるなど、操作ステップ数に応じて触感を与える間隔を変えてもよい。また、温度調整の際の所定量と風量調整の際の所定量を変えるなど、調整対象に応じて触感を与える間隔を変えてもよい。また、触感の付与と併せて、効果音を出力してもよい。この場合は、各触感に対応して効果音も変えることが好ましい。
【0082】
また、上記各実施の形態の設定温度を調整する操作の例においては、上限値又は下限値を超える操作があった場合には、上限値又は下限値を表示したところで触感を起動させる構成について説明した。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。上述のように上限値及び下限値を超えた瞬間に触感を起動させてもよいが、他にも、超えたのち一定時間触感を起動する構成でもよいし、超えている間常に触感を起動する構成でもよい。いずれにおいても、ユーザは上限値又は下限値を超える操作をしていることを認識することが可能になる。
【0083】
<3−2.変形例2>
上記第2の実施の形態においては、ユーザがタッチした位置に対応付けられた調整値を基点として調整操作する構成について説明した。本発明は、これに限定されず、調整値の基点を他の方法で設定してもよい。
【0084】
例えば、特定の形状の複数の位置に調整値を対応付けておき、ユーザが操作した軌跡とその形状の対応する箇所を導出して基点を設定する方法である。具体的には、本変形例では、
図12(a)に示すような、円の周囲の複数の位置に調整値情報が対応付けて記憶されている。例えば、0時の位置の調整値を19℃として、正回転方向の30°毎の位置に1℃ずつ上昇した調整値が対応付けられた情報である。
【0085】
この場合に、例えば、ユーザが操作装置の操作可能な領域の任意の位置で任意の円弧を描く操作をすると、操作装置は、その円弧の形状と調整値情報の円の形状とが対応する位置を導出する。具体的には、
図6に示すような操作をした場合には、
図12(b)に示すように、ユーザの操作軌跡と円周とが一致する箇所を導出する。そして、一致した円周部分の調整値を基点の値とする。
図12(b)の例では29.0℃となる。
【0086】
このように、本変形例は、ユーザが操作した軌跡と、調整値情報として用いられる形状との対応する箇所を導出し、ユーザの操作開始位置に対応する調整値を基点として設定する方法である。これにより、ユーザは、任意の位置から操作開始したとしても、調整値情報として用いられる形状の一部を操作することで、その軌跡に基づいて調整値の基点を設定することが可能になり、所望の調整値を設定することができる。
【0087】
<3−3.変形例3>
また、上記各実施の形態では、表示部上にタッチセンサが設けられた一体の電子機器を操作する例について説明した。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、表示部とタッチセンサとが分離された別の電子機器であってもよい。すなわち、この場合、操作はタッチセンサで行い、表示は別体の表示部で行うといった遠隔操作が可能な操作システムになる。
【0088】
図13は、本実施の形態に係る操作システムの概要を示す図である。
図13に示すように、本実施の形態では、車両のセンターコンソールのユーザの手の届く範囲にタッチセンサを有する遠隔操作装置30が設けられており、ユーザの略正面のフロントガラス部分に画像を投影表示する表示装置40がダッシュボード上に設けられている。この遠隔操作装置30は表示部を有さないいわゆるタッチパッドであり、表示装置40は例えばヘッドアップディスプレイである。
【0089】
この遠隔操作装置30と表示装置40とは連動しており、ユーザは表示装置40が投影表示した画面45を見ながら手元の遠隔操作装置30を操作するようになっている。つまり、操作をする手元を見ることなく遠隔での操作(所謂、ブラインド操作)が可能である。
【0090】
そして、上記各実施の形態と同様に、表示装置40が投影表示した画面45の操作領域に対応する位置を遠隔操作装置30のタッチセンサ上で操作することで上記各実施の形態で説明した一体型の操作装置と同様の操作が可能になる。すなわち、本変形例では、遠隔操作装置30と表示装置40とが別の位置に設けられているものの、遠隔操作装置30の操作位置と表示装置40が投影表示する画面45中の位置とが対応付けられているので、ユーザは前方の画面45を見ながら手元の遠隔操作装置30を操作すれば上記各実施の形態のような調整操作が可能になる。
【0091】
また、本変形例のようなタッチセンサで操作する場合には、上記各実施の形態のように円状の操作領域内を操作する場合に限らず、任意の位置を操作する構成も適用可能である。この場合、操作のジェスチャー(例えば円状等)に関わらず、操作量(操作距離)及び操作方向に応じて調整値を変更すればよい。
【0092】
また、上記各実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。