【解決手段】吸収性物品1の吸収コア22は、第1吸収シート部材27と第2吸収シート部材28とを備える。第1吸収シート部材27では、複数の第1材料存在領域274と、2枚の第1シート271が接合される第1周囲領域275とが設けられる。第2吸収シート部材28では、複数の第2材料存在領域284と、2枚の第2シート281が第1周囲領域275よりも小さい接合強度にて接合される第2周囲領域285とが設けられる。吸収コア22が排泄物を受けると、第2吸収シート部材28の第2周囲領域285において2枚の第2シート281が剥離する。これにより、第1吸収シート部材27におけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28において高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、その結果、吸収コア22の吸収力を増大させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品1を広げた状態で示す平面図である。吸収性物品1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の外装物品の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの排泄物を受ける補助吸収具である。吸収性物品1は、例えば、着用者からの尿等を受ける軽失禁用の吸収パッドである。
図1では、着用時に着用者に接する側の面を手前にして吸収性物品1を描いている。
【0019】
図2は、吸収性物品1を
図1中に示すA−Aの位置で長手方向(すなわち、
図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。
図1および
図2に示すように、吸収性物品1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な幅方向の両側)上に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
【0020】
図1および
図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21と、撥水性または不透液性のバックシート23と、トップシート21とバックシート23との間に配置された略シート状の吸収コア22とを備える。吸収コア22は、吸収性物品1にて利用される吸収性物品用シート部材である。
図2では、図示の都合上、吸収性物品1の各構成を厚さ方向に離して描いている。また、
図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。
図1に示すように、吸収コア22および本体部2はそれぞれ、平面視において長手方向に長い略長方形である。本体部2は吸収コア22より一回り大きく、吸収コア22全体が本体部2の外周縁の内側に位置する。
【0021】
トップシート21およびバックシート23の長手方向の長さおよび幅方向の幅(以下、単に「長さ」および「幅」という。)は、吸収コア22の長さおよび幅よりも大きい。
図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の着用者側の主面を覆う。バックシート23は、吸収コア22のもう一方の主面、すなわち、着用者とは反対側の主面を覆う。トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤等を介してバックシート23に接合される。
【0022】
図2に示すように、吸収コア22は、略シート状の第1吸収シート部材27と、略シート状の第2吸収シート部材28とを備える。第2吸収シート部材28は、第1吸収シート部材27の着用者とは反対側に積層される。吸収性物品1では、トップシート21により第1吸収シート部材27の着用者側の主面が覆われ、バックシート23により第2吸収シート部材28の着用者とは反対側の主面が覆われる。
【0023】
第1吸収シート部材27は、透液性の2枚の第1シート271と、高吸収性材料273とを備える。2枚の第1シート271は積層されてホットメルト接着剤等により互いに接合される。高吸収性材料273は、2枚の第1シート271の間に、ホットメルト接着剤等により固定される。第2吸収シート部材28は、透液性の2枚の第2シート281と、高吸収性材料283とを備える。2枚の第2シート281は積層されてホットメルト接着剤等により互いに接合される。高吸収性材料283は、2枚の第2シート281の間に、ホットメルト接着剤等により固定される。高吸収性材料273および高吸収性材料283は、同一種類の高吸収性材料である。
【0024】
第1吸収シート部材27の長さおよび幅はそれぞれ、第2吸収シート部材28の長さおよび幅におよそ等しい。第1吸収シート部材27と第2吸収シート部材28とは、直接的に接触していてもよく、第1吸収シート部材27と第2吸収シート部材28との間に、ティッシュや不織布等のシート部材、あるいは、パルプ繊維等が配置されていてもよい。第2吸収シート部材28は、第1吸収シート部材27に対してホットメルト接着剤等により固定されてもよく、固定されていなくてもよい。
【0025】
トップシート21は透液性のシート部材であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。吸収コア22の第1吸収シート部材27および第2吸収シート部材28は、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。バックシート23は、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことを防止する。
【0026】
図1および
図2に示すように、各サイドシート3は、サイドシート本体31と、サイドシート本体31にホットメルト接着剤等により接合されて長手方向に延びる側壁部弾性部材32とを備える。
図2に示すように、サイドシート本体31は、長手方向の全長に亘る折り曲げ線39にて2つ折りにされる。サイドシート本体31のうち、折り曲げ線39の一方側の帯状の部位を「側壁固定部33」といい、折り曲げ線39の他方側の帯状の部位を「側壁部34」という。
【0027】
側壁固定部33は、本体部2の側方エッジ近傍において長手方向のおよそ全長に亘って本体部2の着用者側にホットメルト接着剤等を用いて接合される。側壁部34は、折り曲げ線39にて側壁固定部33から連続する部位であり、本体部2の両側部上において本体部2の長手方向のおよそ全長に亘って延びる。側壁部34は、長手方向の両端部において本体部2上または側壁固定部33上に重ねられ、ホットメルト接着剤等により固定される。側壁部34の自由端には側壁部弾性部材32が接合される。側壁部弾性部材32が収縮することにより、側壁部34の長手方向の中央部が、本体部2から着用者に向かって起立し、着用者の脚の付け根近傍に当接する一対の立体ギャザーとなる。これにより、吸収性物品1では、脚周りからの尿等の漏出防止が図られている。
【0028】
上述のホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。トップシート21とバックシート23との接合、サイドシート3と本体部2との接合、および、側壁部34と本体部2または側壁固定部33との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0029】
トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0030】
第1吸収シート部材27の第1シート271および第2吸収シート部材28の第2シート281としては、例えば、トップシート21と同様に、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。また、第1シート271および第2シート281として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。なお、第1シート271および第2シート281として、ティッシュや複数の開口を有するプラスチックフィルム等が利用されてもよい。高吸収性材料273,283としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。
【0031】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、バックシート23にて利用されるプラスチックフィルムは、透湿性(通気性)を有するものが好ましい。
【0032】
サイドシート本体31としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。側壁部弾性部材32としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、
図1に示す吸収性物品1では、ポリウレタン糸が弾性部材として利用される。
【0033】
図3は、吸収コア22の第1吸収シート部材27を示す平面図である。第1吸収シート部材27では、複数の第1材料存在領域274と、第1周囲領域275とが、2枚の第1シート271(
図2参照)の間に設けられる。
図3では、第1材料存在領域274および第1周囲領域275に、互いに異なる種類の平行斜線を付す(
図8においても同様)。
【0034】
各第1材料存在領域274では、高吸収性材料273が2枚の第1シート271にホットメルト接着剤等により固定される。換言すれば、複数の第1材料存在領域274のそれぞれに高吸収性材料273が固定される。複数の第1材料存在領域274は、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状であって幅方向に互いに離間しつつ配列される。すなわち、第1吸収シート部材27では、長手方向に延びるストライプ状に配置された複数の第1材料存在領域274が設けられる。好ましくは、複数の第1材料存在領域274の幅は、互いに等しい。
【0035】
第1周囲領域275は、2枚の第1シート271の間の領域のうち、上述の複数の第1材料存在領域274を除く領域である。すなわち、第1周囲領域275は、複数の第1材料存在領域274の周囲の領域である。第1周囲領域275は、2枚の第1シート271の間に高吸収性材料273が存在しない材料非存在領域でもある。なお、第1周囲領域275では、実質的に高吸収性材料273は存在しないとみなせる程度であれば、ごく僅かな高吸収性材料273が存在してもよい。
【0036】
第1周囲領域275は、複数の第1シート接合領域276を含む。各第1シート接合領域276では、2枚の第1シート271が直接的に接合される。複数の第1シート接合領域276は、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状である。複数の第1シート接合領域276と複数の第1材料存在領域274とは、幅方向に交互に配列される。第1吸収シート部材27の幅方向の両側の端部には、2つの第1シート接合領域276がそれぞれ配置される。好ましくは、当該2つの第1シート接合領域276を除く全ての第1シート接合領域276の幅は互いに等しい。各第1シート接合領域276は、第1吸収シート部材27の全長に亘って設けられる。換言すれば、第1周囲領域275は、複数の第1材料存在領域274の間に位置し、第1吸収シート部材27の長手方向の一方の端部から他方の端部へと連続する。
【0037】
図4は、吸収コア22の第2吸収シート部材28を示す平面図である。第2吸収シート部材28では、複数の第2材料存在領域284と、第2周囲領域285とが、2枚の第2シート281(
図2参照)の間に設けられる。
図4では、第2材料存在領域284および第2周囲領域285に、互いに異なる種類の平行斜線を付す(
図9においても同様)。
図3および
図4に示すように、第2吸収シート部材28における第2材料存在領域284および第2周囲領域285の大きさ、形状および配置は、第1吸収シート部材27における第1材料存在領域274および第1周囲領域275の大きさ、形状および配置とおよそ等しい。
【0038】
図4に示す各第2材料存在領域284では、高吸収性材料283が2枚の第2シート281にホットメルト接着剤等により固定される。換言すれば、複数の第2材料存在領域284のそれぞれに高吸収性材料283が固定される。複数の第2材料存在領域284は、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状であって幅方向に互いに離間しつつ配列される。すなわち、第2吸収シート部材28では、長手方向に延びるストライプ状に配置された複数の第2材料存在領域284が設けられる。好ましくは、複数の第2材料存在領域284の幅は、互いに等しい。複数の第2材料存在領域284のそれぞれにおける高吸収性材料283の坪量は、複数の第1材料存在領域274のそれぞれにおける高吸収性材料273の坪量におよそ等しい。
【0039】
第2周囲領域285は、2枚の第2シート281の間の領域のうち、上述の複数の第2材料存在領域284を除く領域である。すなわち、第2周囲領域285は、複数の第2材料存在領域284の周囲の領域である。第2周囲領域285は、2枚の第2シート281の間に高吸収性材料283が存在しない材料非存在領域でもある。なお、第2周囲領域285では、実質的に高吸収性材料283は存在しないとみなせる程度であれば、ごく僅かな高吸収性材料283が存在してもよい。
【0040】
第2周囲領域285は、複数の第2シート接合領域286を含む。各第2シート接合領域286では、2枚の第2シート281が直接的に接合される。複数の第2シート接合領域286は、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状である。複数の第2シート接合領域286と複数の第2材料存在領域284とは、幅方向に交互に配列される。第2吸収シート部材28の幅方向の両側の端部には、2つの第2シート接合領域286がそれぞれ配置される。好ましくは、当該2つの第2シート接合領域286を除く全ての第2シート接合領域286の幅は互いに等しい。各第2シート接合領域286は、第2吸収シート部材28の全長に亘って設けられる。換言すれば、第2周囲領域285は、複数の第2材料存在領域284の間に位置し、第2吸収シート部材28の長手方向の一方の端部から他方の端部へと連続する。
【0041】
第2吸収シート部材28の第2周囲領域285における2枚の第2シート281の接合強度は、第1吸収シート部材27の第1周囲領域275における2枚の第1シート271の接合強度よりも小さい。すなわち、第1周囲領域275は強接合領域であり、第2周囲領域285は弱接合領域である。
【0042】
第1周囲領域275と第2周囲領域285との接合強度の違いは、例えば、第1周囲領域275に塗布するホットメルト接着剤の単位面積当たりの量を、第2周囲領域285よりも多くすることにより実現される。また、第1周囲領域275および第2周囲領域285に同様にホットメルト接着剤を塗布して第1シート271同士および第2シート281同士を接合した後、第1周囲領域275のみをギヤで挟むことにより、第1周囲領域275と第2周囲領域285との接合強度の違いが実現されてもよい。あるいは、第1周囲領域275において2枚の第1シート271を熱融着接合や超音波接合により接合し、第2周囲領域285において2枚の第2シート281をホットメルト接着剤により接着することにより、第1周囲領域275と第2周囲領域285との接合強度の違いが実現されてもよい。第1周囲領域275における第1シート271同士の接合、および、第2周囲領域285における第2シート281同士の接合は、他の様々な方法(例えば、ニードルパンチのような物理的接合)により行われてもよい。
【0043】
図3に示す第1吸収シート部材27における各第1材料存在領域274の幅は、好ましくは、5mm以上20mm以下である。隣接する2つの第1材料存在領域274の間に位置する第1シート接合領域276の幅は、好ましくは、2mm以上10mm以下である。幅方向の端部に位置する第1シート接合領域276の幅は、好ましくは、2mm以上10mm以下である。
図4に示す第2吸収シート部材28における各第2材料存在領域284の幅は、好ましくは、7mm以上25mm以下である。隣接する2つの第2材料存在領域284の間に位置する第2シート接合領域286の幅は、好ましくは、1mm以上8mm以下である。幅方向の端部に位置する第2シート接合領域286の幅は、好ましくは、1mm以上8mm以下である。
【0044】
第1周囲領域275における2枚の第1シート271の接合強度は、好ましくは、3.0N/50mm以上10.0N/50mm以下である。第2周囲領域285における2枚の第2シート281の接合強度は、好ましくは、0.1N/50mm以上3.0N/50mm以下である。第1シート271同士の接合強度、および、第2シート281同士の接合強度は、いわゆる剥離接着強さであり、以下の方法により測定される。
【0045】
接合強度の測定は、例えば、株式会社エー・アンド・ディの「TENSILON(型番:RTG−1210)」を測定機器として用いて以下のように行われる。まず、測定対象となる接合された2枚のシートが、長手方向を横切るように幅50mmにカットされ(すなわち、長手方向の幅が50mmとなるようにカットされ)、略矩形の試験片が準備される。当該試験片は、測定機器の掴み治具にセットされる。続いて、試験片を、積層された2枚のシートを剥離させる方向(例えば、シート積層体の主面に略垂直な2つの方向)に試験速度300mm/minにて引っ張り、接合されている2枚のシートに加わる最大荷重が測定される。そして、測定結果に基づいて上述の接合強度が求められる。最大荷重の測定が1回である場合、当該最大荷重が接合強度として取得される。最大荷重の測定が複数回(例えば、3回)行われた場合、例えば、複数回の測定結果(最大荷重)の平均値が接合強度として取得される。また、例えば、複数回の測定結果(最大荷重)の中央値が接合強度として取得されてもよい。なお、試験片の幅が50mmよりも小さい場合、測定された最大荷重に、50mmを試験片の幅で除した値を乗算することにより、50mm幅の試験片にて測定を行った場合と同様の最大荷重(N/50mm)が求められる。例えば、試験片の幅が10mmである場合は、測定された最大荷重(N/10mm)を5倍することにより、50mm幅の試験片にて測定を行った場合の最大荷重(N/50mm)が求められる。
【0046】
各第1材料存在領域274における高吸収性材料273の坪量は、好ましくは、50g/m
2以上300g/m
2以下である。各第2材料存在領域284における高吸収性材料283の坪量は、好ましくは、200g/m
2以上400g/m
2以下である。
【0047】
吸収性物品1の着用者から尿等の排泄物が排泄されると、
図2に示す吸収コア22において、第1吸収シート部材27の高吸収性材料273が、トップシート21を通過した排泄物の水分を吸収して膨潤する。第1材料存在領域274において高吸収性材料273の厚さが膨潤により増大すると、第1材料存在領域274に隣接する第1シート接合領域276において、2枚の第1シート271が厚さ方向に離間するように力が働く。また、吸収コア22では、第2吸収シート部材28の高吸収性材料283が、第1吸収シート部材27を通過した排泄物の水分を吸収して膨潤する。第2材料存在領域284において高吸収性材料283の厚さが膨潤により増大すると、第2材料存在領域284に隣接する第2シート接合領域286において、2枚の第2シート281が厚さ方向に離間するように力が働く。
【0048】
上述のように、第2吸収シート部材28の第2周囲領域285(すなわち、複数の第2シート接合領域286)における2枚の第2シート281の接合強度は、第1吸収シート部材27の第1周囲領域275(すなわち、複数の第1シート接合領域276)における2枚の第1シート271の接合強度よりも小さい。このため、吸収コア22では、第1吸収シート部材27の第1周囲領域275において2枚の第1シート271が剥離するよりも前に、第2吸収シート部材28の第2周囲領域285において2枚の第2シート281が剥離する。これにより、
図5に示すように、膨潤した高吸収性材料283が幅方向へと拡がり(すなわち、
図2および
図4に示す第2周囲領域285の複数の第2シート接合領域286へと拡がり)、1つの大きなゲル状の高吸収性材料283となる。
【0049】
吸収性物品1では、
図5に示すように、第1吸収シート部材27において第1周囲領域275における第1シート271同士の接合が解除されていない。このため、排泄物の水分は、高吸収性材料273の膨潤により通過を阻害されることなく、第1周囲領域275の複数の第1シート接合領域276を通過して容易に第2吸収シート部材28へと到達する。第2吸収シート部材28では、上述のように、高吸収性材料283が第2材料存在領域284から第2周囲領域285へと拡がりつつ水分を吸収して大きく膨潤する。このように、第1吸収シート部材27におけるブロッキング(すなわち、水分通過の阻害)を抑制しつつ、第2吸収シート部材28において高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コア22の吸収力を増大させることができる。
【0050】
吸収コア22では、上述のように、第1周囲領域275が第1吸収シート部材27の長手方向の一方の端部から他方の端部へと連続する。これにより、第1吸収シート部材27の高吸収性材料273の膨潤後であっても、排泄物を第1吸収シート部材27の長手方向へと迅速に拡散させることができる。その結果、第1吸収シート部材27の高吸収性材料273および第2吸収シート部材28の高吸収性材料283を、排泄物の吸収に効率良く利用することができる。
【0051】
また、吸収コア22では、複数の第1材料存在領域274は、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状であって幅方向に配列され、第1周囲領域275は、複数の第1材料存在領域274の間に位置する。これにより、第1吸収シート部材27において高吸収性材料273が膨潤した際に、各第1シート接合領域276上に長手方向に略直線状に延びる溝部277が形成される。その結果、第1吸収シート部材27の高吸収性材料273の膨潤後であっても、複数の溝部277を介して排泄物を長手方向にさらに迅速に拡散させることができる。また、第1吸収シート部材27の製造を容易とすることができる。
【0052】
吸収性物品1では、第2吸収シート部材28において高吸収性材料283が十分に膨潤した後に吸収コア22に到達した水分(例えば、2回目以降の排泄時の水分)は、主に、第1吸収シート部材27の高吸収性材料273により吸収される。そして、高吸収性材料273の膨潤により、第1周囲領域275において2枚の第1シート271が剥離する。これにより、
図6に示すように、膨潤した高吸収性材料273が幅方向へと拡がり(すなわち、
図5に示す第1周囲領域275の複数の第1シート接合領域276へと拡がり)、1つの大きなゲル状の高吸収性材料273となる。このように、第1吸収シート部材27においても高吸収性材料273を大きく膨潤可能とすることにより、吸収コア22の吸収力をさらに増大させることができる。
【0053】
吸収性物品1では、
図7に示すように、隣接する各2つの第1材料存在領域274の間に位置する第1シート接合領域276の幅の各第1材料存在領域274の幅に対する割合(以下、「第1割合」という。)に比べて、隣接する各2つの第2材料存在領域284の間に位置する第2シート接合領域286の幅の各第2材料存在領域284の幅に対する割合(以下、「第2割合」という。)が小さくてもよい。例えば、第1割合は、好ましくは3割以上10割以下であり、第2割合は、好ましくは2割以上8割以下である。
【0054】
この場合、第2周囲領域285全体としての第2シート281同士の接合の強さは、第1周囲領域275全体としての第1シート271同士の接合の強さよりも小さくなる。第1周囲領域275にて第1シート271同士が剥離する際の第1材料存在領域274における高吸収性材料273の膨張に比べて、第2材料存在領域284における高吸収性材料283の膨張の程度が小さい状態で、第2周囲領域285にて第2シート281同士が剥離する。これにより、吸収コア22にて排泄物の水分を受けた際に、第1周囲領域275における第1シート271同士の接合が解除されるよりも前に、より確実に、第2周囲領域285において2枚の第2シート281を剥離させることができる。その結果、第1吸収シート部材27におけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28において高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コア22の吸収力を増大させることができる。
【0055】
上述のように、吸収性物品1において、第2吸収シート部材28の第2割合が、第1吸収シート部材27の第1割合よりも小さい場合、第1吸収シート部材27の第1周囲領域275における2枚の第1シート271の接合強度と、第2吸収シート部材28の第2周囲領域285における2枚の第2シート281の接合強度とはおよそ等しくてもよい。
【0056】
この場合であっても、第2周囲領域285全体としての第2シート281同士の接合の強さは、第1周囲領域275全体としての第1シート271同士の接合の強さよりも小さくなる。このため、上述の場合と同様に、吸収コア22にて排泄物の水分を受けた際に、第1周囲領域275における第1シート271同士の接合が解除されるよりも前に、第2周囲領域285において2枚の第2シート281を剥離させることができる。その結果、第1吸収シート部材27におけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28において高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コア22の吸収力を増大させることができる。
【0057】
また、吸収性物品1では、複数の第2材料存在領域284のそれぞれにおける高吸収性材料283の坪量が、複数の第1材料存在領域274のそれぞれにおける高吸収性材料273の坪量よりも大きくてもよい。例えば、各第1材料存在領域274における高吸収性材料273の坪量は、好ましくは、50g/m
2以上300g/m
2以下であり、各第2材料存在領域284における高吸収性材料283の坪量は、好ましくは、200g/m
2以上400g/m
2以下である。
【0058】
この場合、各第2材料存在領域284における膨潤後の高吸収性材料283の体積が、各第1材料存在領域274における膨潤後の高吸収性材料273の体積よりも大きくなる。このため、高吸収性材料283の膨潤により第2周囲領域285にて第2シート281同士を離間させる力が、高吸収性材料273の膨潤により第1周囲領域275にて第1シート271同士を離間させる力よりも強くなる。これにより、吸収コア22にて排泄物の水分を受けた際に、第1周囲領域275における第1シート271同士の接合が解除されるよりも前に、より確実に、第2周囲領域285において2枚の第2シート281を剥離させることができる。その結果、第1吸収シート部材27におけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28において高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コア22の吸収力を増大させることができる。
【0059】
上述のように、吸収性物品1において、複数の第2材料存在領域284のそれぞれにおける高吸収性材料283の坪量が、複数の第1材料存在領域274のそれぞれにおける高吸収性材料273の坪量よりも大きい場合、第1吸収シート部材27の第1周囲領域275における2枚の第1シート271の接合強度と、第2吸収シート部材28の第2周囲領域285における2枚の第2シート281の接合強度とはおよそ等しくてもよい。
【0060】
この場合であっても、各第2材料存在領域284における膨潤後の高吸収性材料283の体積が、各第1材料存在領域274における膨潤後の高吸収性材料273の体積よりも大きくなる。このため、上述の場合と同様に、吸収コア22にて排泄物の水分を受けた際に、第1周囲領域275における第1シート271同士の接合が解除されるよりも前に、第2周囲領域285において2枚の第2シート281を剥離させることができる。その結果、第1吸収シート部材27におけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28において高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コア22の吸収力を増大させることができる。
【0061】
吸収性物品1では、第2吸収シート部材28の第2割合が、第1吸収シート部材27の第1割合よりも小さく、かつ、複数の第2材料存在領域284のそれぞれにおける高吸収性材料283の坪量が、複数の第1材料存在領域274のそれぞれにおける高吸収性材料273の坪量よりも大きくてもよい。この場合も、第1周囲領域275における第1シート271同士の接合が解除されるよりも前に、より確実に、第2周囲領域285において2枚の第2シート281を剥離させることができる。その結果、第1吸収シート部材27におけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28において高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コア22の吸収力を増大させることができる。
【0062】
上述の吸収性物品1および吸収コア22では、様々な変更が可能である。
【0063】
第1吸収シート部材27に設けられる第1材料存在領域274の数は様々に変更されてよい。例えば、第1吸収シート部材27において、それぞれが長手方向に延びる2つの帯状の第1材料存在領域274が幅方向に配置され、2つの第1材料存在領域274の間に1つの第1シート接合領域276が配置される。第1材料存在領域274では、高吸収性材料273にパルプ等が混合されてもよい。この場合、パルプ等は、高吸収性材料273が主材料とみなせる程度の割合にて混合される。
【0064】
第2吸収シート部材28に設けられる第2材料存在領域284の数も様々に変更されてよい。例えば、第2吸収シート部材28において、それぞれが長手方向に延びる2つの帯状の第2材料存在領域284が幅方向に配置され、2つの第2材料存在領域284の間に1つの第2シート接合領域286が配置される。第2材料存在領域284では、高吸収性材料283にパルプ等が混合されてもよい。この場合、パルプ等は、高吸収性材料283が主材料とみなせる程度の割合にて混合される。
【0065】
図8および
図9は、他の好ましい第1吸収シート部材および第2吸収シート部材をそれぞれ示す平面図である。
図8に示す第1吸収シート部材27aは、互いに離間してマトリクス状に配置される複数の小さな略円形の第1材料存在領域274と、複数の第1材料存在領域274の周囲を囲む連続する1つの第1シート接合領域276である第1周囲領域275とを備える。
図9に示す第2吸収シート部材28aは、互いに離間してマトリクス状に配置される複数の小さな略円形の第2材料存在領域284と、複数の第2材料存在領域284の周囲を囲む連続する1つの第2シート接合領域286である第2周囲領域285とを備える。第2吸収シート部材28aにおける複数の第2材料存在領域284の大きさ、形状および配置は、第1吸収シート部材27aにおける複数の第1材料存在領域274の大きさ、形状および配置とおよそ等しい。
【0066】
第2周囲領域285における2枚の第2シート281の接合強度は、第1周囲領域275における2枚の第1シート271の接合強度よりも小さい。第2吸収シート部材28aが第1吸収シート部材27aの着用者とは反対側に積層される吸収コアにおいても、
図2に示す吸収コア22と同様に、第1吸収シート部材27aにおけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28aにおいて高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コアの吸収力を増大させることができる。
【0067】
図8および
図9に示す第1吸収シート部材27aおよび第2吸収シート部材28aでは、各第2材料存在領域284における高吸収性材料283の坪量が、各第1材料存在領域274における高吸収性材料273の坪量よりも大きくされてよい。これにより、吸収コアにて排泄物の水分を受けた際に、第1吸収シート部材27aの第1周囲領域275における第1シート271同士の接合が解除されるよりも前に、より確実に、第2吸収シート部材28aの第2周囲領域285において2枚の第2シート281を剥離させることができる。なお、この場合、第1周囲領域275における2枚の第1シート271の接合強度と、第2周囲領域285における2枚の第2シート281の接合強度とはおよそ等しくてもよい。
【0068】
図4および
図9に示す第2吸収シート部材28,28aの第2周囲領域285では、2枚の第2シート281が非接合状態で対向してもよい。すなわち、第2周囲領域285は、2枚の第2シート281が接合されない非接合領域であってもよい。この場合であっても、
図1に示す吸収性物品1と同様に、第1吸収シート部材27,27aにおけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28,28aにおいて高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コアの吸収力を増大させることができる。
【0069】
吸収性物品1の吸収コア22では、例えば、
図2に示す第1吸収シート部材27および第2吸収シート部材28に加えて、第2吸収シート部材28の着用者とは反対側に積層される第3吸収シート部材が設けられてもよい。第3吸収シート部材は、第1吸収シート部材27および第2吸収シート部材28とおよそ同様の構造を有する。第3吸収シート部材には、2枚の第3シートの間にてそれぞれに高吸収性材料が固定される複数の第3材料存在領域と、当該複数の第3材料存在領域の周囲にて2枚の第3シートが直接的に接合される第3領域とが設けられる。第3領域における2枚の第3シートの接合強度は、第2周囲領域285における2枚の第2シートの接合強度よりも小さい。このため、第1吸収シート部材27および第2吸収シート部材28におけるブロッキングを抑制しつつ、第3吸収シート部材において高吸収性材料を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コアの吸収力を増大させることができる。
【0070】
図10は、他の好ましい吸収性物品を示す断面図である。
図10に示す吸収性物品1aでは、
図2に示す吸収性物品1の第2吸収シート部材28とは構造が異なる第2吸収シート部材28bが設けられる。吸収性物品1aの他の構造は、
図3に示す吸収性物品1と同様である。第2吸収シート部材28bでは、2枚の第2シート281の周縁部を除く略全面に亘って1つの第2材料存在領域284が設けられる。吸収性物品1aにおいても、第1吸収シート部材27におけるブロッキングを抑制しつつ、第2吸収シート部材28bにおいて高吸収性材料283を大きく膨潤可能とすることができ、これにより、吸収コア22aの吸収力を増大させることができる。
【0071】
上述の吸収性物品および吸収コアは、必ずしも略長方形状には限定されず、例えば、長手方向の両端部の幅が中央部の幅よりも大きい略砂時計型であってもよい。また、上述の吸収性物品からサイドシート3が省略されてもよい。
【0072】
上述の吸収コアは、補助吸収具以外の吸収性物品、例えば、パンツタイプやテープタイプの使い捨ておむつにも利用されてよい。
【0073】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。