【解決手段】橋梁点検車1は、車体2を備えて走行可能に構成された走行体と、車体2上に設けられたブーム5およびポスト10と、ブーム5およびポスト10に支持され、これらにより昇降移動される作業者搭乗用のメイン作業台20と、作業者搭乗用の昇降移動可能なサブ作業台を有したサブ作業台ユニット60とを備える。そして、メイン作業台20は長尺状に形成され、サブ作業台ユニット60はメイン作業台20上の長手方向の任意の位置に配置可能である。
前記サブ作業台ユニットは、前記メイン作業台上を長手方向に移動可能であり、前記メイン作業台上を長手方向に移動して前記メイン作業台上の長手方向の任意の位置に配置可能であることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
前記サブ作業台は、上方が開放された矩形箱状に形成され、前記長手方向に対向する両側面に前記長手方向に開放された開放部が形成されるとともに、前記開放部を開閉可能な開閉部材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高所作業車。
前記サブ作業台ユニットは、前記メイン作業台上の長手方向の任意の位置に配置可能なサブ支持装置と、前記サブ支持装置の上部に上下に回転可能に取り付けられた前記サブ作業台とを備え、
前記サブ作業台を前記サブ支持装置に対して上下に回転させることにより、前記サブ作業台を前記サブ支持装置の上に載置される下動位置および前記サブ支持装置の上部に位置する上動位置に昇降移動させることができるように構成されたことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の高所作業車。
前記メイン昇降装置は、起伏動、旋回動および伸縮動が可能に前記車体上に設けられたブームと、前記ブームの先端に上下に揺動可能に設けられた伸縮動が可能なポストとを備え、
前記ポストは、高所作業時に略垂直に延びる姿勢に維持されるとともに下方に伸縮可能であり、
略垂直に延びる姿勢における前記ポストの下端に前記メイン作業台が取り付けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の高所作業車。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明に係る高所作業車の一例としての橋梁点検車1の構成について、
図1〜6を参照しながら説明する。なお、説
明の便宜のため、各図に付記する矢印方向を前後、左右および上下方向と定義して以下の説明を行う。
【0021】
橋梁点検車1は、前方に運転キャブ2aを有し、前後のタイヤ輪3a,3bで走行可能なトラックシャーシをベースに構成される。運転キャブ2a後方の車体2上には、上方に突出して旋回台4が水平旋回可能に取り付けられており、この旋回台4の下部に設けられた旋回モータ51により駆動される。旋回台4の上部にはブーム5が枢結されており、旋回台4とブーム5とを結んで張り渡された起伏シリンダ52により起伏動される。ブーム5は、旋回台4に枢結された基端ブーム5aとこの基端ブーム5aに入れ子式に嵌挿された先端ブーム5bとからなり、このブーム5の内部に取り付けられた伸縮シリンダ53により伸縮動可能に構成されている。
【0022】
先端ブーム5bの先端部には屈伸ポスト6が上下に揺動可能に枢結されるとともに、この屈伸ポスト6の揺動軸と同軸にリンクアーム7が枢結されている。リンクアーム7の上端部にはポストレベリングシリンダ54のロッド側端部が枢結され、このシリンダ54のボトム側端部が先端ブーム5b内に枢結されている。また、リンクアーム7の下端部にはポスト起伏シリンダ55のロッド側端部が枢結され、このシリンダ55のボトム側端部が屈伸ポスト6の下部に枢結されている。屈伸ポスト6の前端にはポスト10が固定されている。
【0023】
ポスト起伏シリンダ55は独立した作動操作により伸縮動され、リンクアーム7および先端ブーム5bに対して屈伸ポスト6を上下に揺動作動させ、ポスト10を所望の屈伸角度位置に設定することができる。このため、必要に応じてポスト10を起仰させ高揚程での作業を行うことができる。なお、ポスト10は通常の低揚程での作業時には
図1および
図2に示すように垂直に保持される。一方、ポストレベリングシリンダ54のボトム側油室と起伏シリンダ52のロッド側油室とが油路で結ばれて、いわゆる油圧回路式のレベリング機構が構成されており、ブーム5が起仰(倒伏)されたときにリンクアーム7およびポスト起伏シリンダ55を介して屈伸ポスト6をブーム5の起伏角度と同一角度だけ倒伏(起仰)作動させ、ブーム5の起伏角度の如何に拘わらずポスト10が常時一定角度を保持するように(通常作業時にはポスト10が常に垂直を維持するように)作用する。
【0024】
ポスト10は屈伸ポスト6に固定されたホルダ10hと、このホルダ10hに入れ子式に嵌挿された第1ポスト10a,第2ポスト10b,第3ポスト10cおよび第4ポスト10dからなり、ホルダ10hと第1ポスト10aとの間に張り渡されたポスト昇降シリンダ56およびポスト内部に配設されたチェーンループからなる伸縮機構により、ホルダ10hに対して第1〜第4ポスト10a〜10dを伸縮動可能に構成されている。第4ポスト10dの先端部には、
図1に示す状態において前後に延びる軸を中心として旋回可能にアーム11が枢結されており、図示しないアーム旋回シリンダにより駆動される。なお、アーム11の旋回作動(首振りという)はポスト10が水平な状態においてのみ許容され、具体的には高所作業時やメイン作業台20を車体2に格納する際に利用される。
【0025】
アーム11の先端部には旋回ベース12が上下に揺動可能に枢結されるとともに、アーム11の基端部と旋回ベース12の上端部との間に作業台レベリングシリンダ57が張り渡されている。旋回ベース12には、この旋回ベース12に対して作業台旋回モータ59により駆動されて旋回動可能な作業台ブラケット13が取り付けられ、作業台ブラケット13の下端に基端部が固定されて作業台ブラケット13の旋回軸と直交方向に伸縮動可能な伸縮ビーム14を介してメイン作業台20が取り付けられる。
【0026】
作業台レベリングシリンダ57は、いわゆる電気式のレベリング装置によってその作動が制御される。すなわち、作業台レベリングシリンダ57は、メイン作業台20に設けら
れた傾斜検出器の検出信号に基づいてその伸縮作動が制御され、ブーム5の起伏角度やポスト10の屈伸角度の如何に拘わらず、メイン作業台20が常に水平に維持されるように(作業台ブラケット13が常に垂直に延びて位置するように)レベリング制御される。なお、具体的な作動は作動油圧を利用して行われ、レベリング装置が電磁制御バルブの作動を制御して作業台レベリングシリンダ57に供給される作動油の流れ(供給方向および流量)を制御することにより行われる。これにより、メイン作業台20はブーム5の起伏角度やポスト10の屈伸角度の如何に拘わらず常時床面が水平に維持され、旋回ベース12に対して水平旋回自在に支持される。
【0027】
伸縮ビーム14は、その基端部が作業台ブラケット13に固設された基端ビーム14aと、この基端ビーム14aに入れ子式に嵌挿された中間ビーム14b、および先端ビーム14cからなり、伸縮ビーム14に内蔵された伸縮シリンダ58を伸縮作動させることにより、基端ビーム14aに対して中間ビーム14bおよび先端ビーム14cを伸縮動可能に構成されている。
【0028】
メイン作業台20は、その構成を
図3に示すように、基端ビーム14aに取り付けられる基端デッキ21a、中間ビーム14bに取り付けられる中間デッキ21b、および先端ビーム14cに取り付けられる先端デッキ21cからなり、これらのデッキ21a,21b,21cが伸縮ビーム14の伸縮動に応じて相対移動し、作業台面積の拡大および縮小が可能に構成される。基端デッキ21a、中間デッキ21b、先端デッキ21cはそれぞれ作業者が搭乗する平面視矩形の平坦な作業床22a,22b,22cを有し、この作業床の上部周囲を取り囲むように立設された手すり23a,23b,23cを有して構成される。なお、本実施形態では、基端デッキ21a、中間デッキ21bおよび先端デッキ21cからなる三段式のメイン作業台20を例示しているが、例えば作業台面積が一定(拡大および縮小しない構成)のメイン作業台、二段式もしくは四段式以上のメイン作業台でも良い。また、メイン作業台20の拡大・縮小方向が、特許請求の範囲の「長手方向」に対応している。
【0029】
車体2の前後左右の四カ所に、車体2の左右に拡縮自在で上下に伸縮自在なローラジャッキ17が設けられている。ローラジャッキ17は、車体の左右方向に拡幅自在なアウトリガ17aと、上下方向に伸縮自在なジャッキ17bと、ジャッキ17bの下端部に取り付けられて車両前後方向に転動自在なローラ17cとを有して構成され、
図2に示すようにローラ17cを路面に接地させて車体に作用する転倒モーメントに抗して車体を安定支持した上で、車両を前後に走行させることができるように構成されている。ローラジャッキ17を使用し一定のブーム姿勢のまま車両を前後に移動させて、作業を行うこともできるようになっている。
【0030】
車体2にはローラジャッキ操作装置(図示せず)が設けられており、これを操作することによりアウトリガ17aを左右方向に張出作動させ、またジャッキ17bを上下方向に伸縮作動させることができる。
【0031】
以上のように構成される橋梁点検車1は、メイン作業台20の作業床上に着脱可能に載置されて、この作業床上をメイン作業台20の拡大・縮小方向に移動自在なサブ作業台ユニット60を備える。このサブ作業台ユニット60の構成について、
図4および
図5を参照しながら以下に説明する。
【0032】
サブ作業台ユニット60は、作業者が搭乗可能に構成されたサブ作業台61と、サブ作業台61の前側に設けられてサブ作業台61を昇降移動させる昇降装置71と、サブ作業台61の下側に設けられて、昇降装置71を介してサブ作業台61をメイン作業台20の拡大・縮小方向(
図4における左右方向)に移動自在に支持するスライド支持装置76と
を備えて構成される。
【0033】
サブ作業台61は、作業者が搭乗する作業者搭乗空間Gを形成する搭乗空間形成部62と、作業者搭乗空間Gに搭乗した作業者がサブ作業台61を昇降移動させる操作を行うサブ作業台昇降装置68とを備えて構成される。搭乗空間形成部62は、作業者が搭乗する平面視矩形の平坦な作業床63と、平板状に形成されて作業床63の前側縁部に立設された前側ガード部64と、枠状に形成されて作業床63の後側縁部に立設された後側ガード部65と、前側ガード部64の裏側右上部に前後に揺動自在に取り付けられた右開閉扉66Rと、後側ガード部65の前側左上部に前後に揺動自在に取り付けられた左開閉扉66Lとを備えて構成される。これら作業床63、前側ガード部64および後側ガード部65により、左右が開放された作業者搭乗空間Gが形成される構成となっており、この作業者搭乗空間Gの左右の開放部を開閉するために右開閉扉66Rおよび左開閉扉66Lが設けられている。
【0034】
右開閉扉66Rは、
図4に実線で示すように前側ガード部64の裏面に沿うように左右に延びて位置する開放位置と、
図4に二点鎖線で示すように作業者搭乗空間Gの右側開放部を閉じるように前後に延びて位置する閉鎖位置との間で揺動自在となっており、図示しない係止部材によって、開放位置および閉鎖位置それぞれに係止保持されるようになっている。左開閉扉66Lは、
図4に実線で示すように後側ガード部65の前面に沿うように左右に延びて位置する開放位置と、
図4に二点鎖線で示すように作業者搭乗空間Gの左側開放部を閉じるように前後に延びて位置する閉鎖位置との間で揺動自在となっており、図示しない係止部材によって、開放位置および閉鎖位置それぞれに係止保持されるようになっている。
【0035】
このため、サブ作業台61を降下させた状態で右開閉扉66Rおよび左開閉扉66Lを開放位置に係止保持させ、
図4に実線で示すように作業者搭乗空間Gを左右に開放させることにより、メイン作業台20上において作業者はサブ作業台ユニット60(作業者搭乗空間G)を左右に通過して移動することができる。このため、メイン作業台20上にサブ作業台ユニット60を搭載した場合であっても、メイン作業台20上における作業領域(作業者の移動領域)を確保できる。
【0036】
後側ガード部65の右上隅部には握り操作可能な右ブレーキ解除レバー67Rが設けられ、後側ガード部65の左上隅部には握り操作可能な左ブレーキ解除レバー67Lが設けられている。
【0037】
サブ作業台昇降装置68は、前側ガード部64の前面上部に設けられており、中立位置から前後に傾動操作可能に構成されて昇降装置71を昇降作動させる操作を行うサブ作業台昇降操作レバー69と、押圧操作可能に構成されて昇降装置71の昇降作動を停止させる昇降ストップボタン70とを備えて構成される。なお、右ブレーキ解除レバー67R、左ブレーキ解除レバー67L、作業台昇降操作レバー69および昇降ストップボタン70の詳細については後述する。
【0038】
このように構成されるサブ作業台61は、昇降装置71によりサブ作業台ユニット60が載置された床面(メイン作業台20の作業床)に対して昇降移動される。昇降装置71は、サブ作業台61(前側ガード部64)の前面側に設けられており、第1マスト72、第2マスト73、第3マスト74、およびサブ作業台昇降装置68の下方に上下に伸縮自在に配設されたサブ作業台昇降シリンダ75を備えて構成される。
【0039】
第1マスト72は、左右内側に開いた凹状断面を有して上下に延びる左右一対のレール部材72r,72rと、この左右の第1レール部材72r,72rを繋ぐ第1連結部材(
図示せず)とから構成される。第2マスト73は、左右内側に開いた凹状断面を有して第1レール部材72r,72rの左右内側に配設されて上下に延びる左右一対の第2レール部材73r,73rと、この左右の第2レール部材73r,73rを繋ぐ第2連結部材(図示せず)と、第2レール部材73r,73rの左右外面部分に取り付けられて左右外方に突出する第2スライダー(図示せず)とから構成される。第3マスト74は、前側ガード部64の前面に取り付けられて第2レール部材73r,73rの左右内側において上下に延びる左右一対の第3レール部材74r,74rと、第3レール部材74r,74rの左右外面部分に取り付けられて左右外方に突出する第3スライダー(図示せず)とから構成される。なお、本実施形態においては、前側ガード部64と第3レール部材74r,74rとが一体的に形成された構成を示している。
【0040】
ここで、第1〜第3マストの組立構成について説明する。第1マスト72の第1レール部材72rに形成された凹部に、第2マスト73の第2スライダーを上下にスライド移動自在に嵌合させることにより、第1マスト72に対して第2マスト73が上下にスライド移動自在に組み立てられる。また、第2マスト73の第2レール部材73rに形成された凹部に、第3マスト74の第3スライダーを上下にスライド移動自在に嵌合させることにより、第2マスト73に対して第3マスト74が上下にスライド移動自在に組み立てられる。この状態で、第1マスト72の第1連結部材と第2マスト73の第2連結部材とに跨ってサブ作業台昇降シリンダ75が取り付けられるとともに、第1マスト72と第3マスト74とに跨って第3マスト74を昇降移動させるためのチェーン(図示せず)が取り付けられる。このチェーンは、一端が第1マスト72に取り付けられており、中間部で第2マスト73に取り付けられたスプロケット(図示せず)に巻き掛けられて折り返され、他端が第3マスト74に取り付けられている。
【0041】
このため、サブ作業台昇降シリンダ75を伸長作動させることにより、第1マスト72に対して第2および第3マスト73,74を上方にスライド移動(伸長作動)させて、第3マスト74と一体となったサブ作業台61を上昇させることができる。一方、サブ作業台昇降シリンダ75を縮小作動させることにより、第1マスト72に対して第2および第3マスト73,74を下方にスライド移動(縮小作動)させて、サブ作業台61を降下させることができる。
【0042】
このように構成される昇降装置71を介して、サブ作業台61をメイン作業台20の拡大・縮小方向に移動自在に支持するのがスライド支持装置76である。スライド支持装置76は、
図5に示すように、作業床63の下側に設けられて第1マスト72に取り付けられた支持フレーム77と、この支持フレーム77の前後左右の四カ所にメイン作業台20の拡大・縮小方向に回転自在に取り付けられた4つのスライドローラー78と、スライドローラー78に制動力を作用させて回転を規制するブレーキ装置(図示せず)とを備えて構成される。
図4に示すように、サブ作業台ユニット60は、スライド支持装置76の4つのスライドローラー78をメイン作業台20の作業床に載置させた状態でメイン作業台20に搭載される。スライド支持装置76のブレーキ装置は、ワイヤーにより上述した右ブレーキ解除レバー67Rおよび左ブレーキ解除レバー67Lのそれぞれと接続され、右ブレーキ解除レバー67Rもしくは左ブレーキ解除レバー67Lが握り操作されていない状態でスライドローラー78に制動力を作用させるネガティブブレーキとして構成される。
【0043】
このため、右ブレーキ解除レバー67Rおよび左ブレーキ解除レバー67Lのどちらもが握り操作されていない状態では、ブレーキ装置によってスライドローラー78の回転が規制されることにより、スライドローラー78の回転を利用したサブ作業台ユニット60の左右への移動が規制される。一方、右ブレーキ解除レバー67Rもしくは左ブレーキ解除レバー67Lが握り操作されると、ブレーキ装置によるスライドローラー78に対する
制動が解除され、スライドローラー78の回転を利用してサブ作業台ユニット60を左右に移動可能な状態とすることができる。よって、メイン作業台20上におけるサブ作業台ユニット60の左右への移動は、まず、右ブレーキ解除レバー67Rもしくは左ブレーキ解除レバー67Lを握り操作してスライドローラー78を回転自在な状態にし、解除レバーを握り操作したままサブ作業台ユニット60を左右に押したり引っ張ったりすることにより行うことができる。メイン作業台20上においてサブ作業台ユニット60は、前後にクリアランスを有して前後一対の手すり23a(23b,23c)の間に位置しているので、この手すり23a(23b,23c)にガイドされて左右に移動される。
【0044】
なお、スライドローラー78に代えて、サブ作業台ユニットをメイン作業台20の作業床上を拡大・縮小方向(長手方向)に摺動させて移動させる他の手段を用いても良い。
【0045】
図5からよく分かるように、昇降装置71をサブ作業台61の側面側(本例では前面側)に設けることにより、次のような効果が得られる。第1に、昇降装置をサブ作業台61の下面側に設けた構成と比較して、昇降装置の分だけメイン作業台20の作業床22a,22b,22cとサブ作業台61の作業床63との段差を小さくできるので、サブ作業台61への乗降がしやすくなる。第2に、昇降装置をサブ作業台61の下面側に設けた構成と比較して、サブ作業台61をより低い位置にまで降下させることができるので、サブ作業台61の上下寸法を確保しつつ、サブ作業台61を降下させた状態においてサブ作業台61の上部がメイン作業台20(手すり23a(23b,23c))から上方へ出っ張って(飛び出して)位置しないようなサブ作業台ユニット60を構成できる。
【0046】
なお、後側ガード部65の上部および第1レール部材72r,72rの上部にはフック79が取り付けられている。このため、クレーン等を利用してサブ作業台ユニット60を吊り上げてメイン作業台20の作業床上に搭載する際や、メイン作業台20の作業床上に搭載されたサブ作業台ユニット60を吊り上げてメイン作業台20から降ろす際に、このフック79を利用して吊り上げることにより、サブ作業台ユニット60の吊り上げ作業を容易に行うことができる。
【0047】
次に、このように構成される橋梁点検車1に搭載される制御ユニット100について説明する。
【0048】
制御ユニット100は、
図6に示すように、上部操作装置18、下部操作装置31、サブ作業台昇降装置68、右扉開閉検出器32R、左扉開閉検出器32L、昇降検出器169、スライド位置検出器129、コントローラ40、メイン油圧ユニット80、およびサブ油圧ユニット90を備えて構成される。なお、昇降検出器169およびスライド位置検出器129はコントローラ40の作動規制部43を用いた制御に用いられるものであり、作動規制部43による制御説明を含めてこれらの説明は後述する。また、以下においては、メイン作業台20を移動等させるためのアクチュエータ、すなわち、旋回モータ51、起伏シリンダ52、伸縮シリンダ53、ポスト起伏シリンダ55、ポスト昇降シリンダ56、メイン作業台伸縮シリンダ58、およびメイン作業台旋回モータ59をまとめて「メイン側アクチュエータ81」と称して説明を行う。
【0049】
上部操作装置18は、旋回台4を旋回作動、ブーム5を起伏作動ならびに伸縮作動、屈伸ポスト6を起伏(屈伸)作動、ポスト10を伸縮作動、作業台ブラケット13を旋回作動、メイン作業台20を拡大・縮小作動させる操作を行う操作レバー等から構成され、メイン作業台20の基端デッキ21aに設けられている(
図3参照)。上部操作装置18は、この操作レバー等の操作に対応した操作信号をコントローラ40に送出する。
【0050】
下部操作装置31は、上部操作装置18と同様に旋回台4を旋回作動させる操作等を行
う操作レバー等から構成され、車体2に設けられている。下部操作装置31は、この操作レバー等の操作に対応した操作信号をコントローラ40に送出する。
【0051】
サブ作業台昇降装置68は、上述したようにサブ作業台昇降操作レバー69と、昇降ストップボタン70とから構成され、これらの操作に対応した操作信号をコントローラ40に送出する。
【0052】
右扉開閉検出器32Rおよび左扉開閉検出器32Lは、それぞれサブ作業台ユニット60に設けられて右開閉扉66Rおよび左開閉扉66Lが閉鎖位置に位置することを検出する検出器であり、検出結果に対応した検出信号をコントローラ40に送出する。なお、右扉開閉検出器32Rおよび左扉開閉検出器32Lは、例えばリミットスイッチを用いて構成される。
【0053】
メイン油圧ユニット80は、車体2に搭載されており、メイン側アクチュエータ81に作動油を供給する制御を行うメイン電磁制御バルブV1と、作動油を貯留するメインタンクT1と、メインタンクT1の作動油を吸い上げてメイン電磁制御バルブV1に吐出するメイン油圧ポンプP1とを備えて構成される。
【0054】
サブ油圧ユニット90は、サブ作業台昇降シリンダ75に作動油を供給する油圧ユニットであり、メイン側アクチュエータ81に作動油を供給するメイン油圧ユニット80とは別の油圧ユニットとして構成される。サブ油圧ユニット90は、サブ作業台昇降シリンダ75に作動油を供給する制御を行うサブ電磁制御バルブV2と、サブ作業台昇降シリンダ75を伸縮動させるのに必要な量(メインタンクT1よりも少量)の作動油を貯留するサブタンクT2と、サブタンクT2の作動油を吸い上げてサブ電磁制御バルブV2に吐出するサブ油圧ポンプP2と、サブ油圧ポンプP2を駆動する電動モータMとを備えて構成される。上述のようにメイン油圧ユニット80は車体2に搭載されるのに対して、サブ油圧ユニット90はメイン作業台20(作業床22aの基端部)に着脱可能に搭載されている。このため、サブ作業台ユニット60を必要としない作業を行うとき、メイン作業台20からサブ作業台ユニット60とともにサブ油圧ユニット90を降ろすことにより、これらのユニットの重量分だけメイン作業台20の積載荷重を稼ぐことができる。
【0055】
サブ作業台ユニット60にサブ油圧ユニット90を組み込んで一体的に構成し、この一体構成のユニットを左右にスライド移動させるようにしても良い。このように構成すれば、サブ作業台ユニット60(サブ作業台昇降シリンダ75)とサブ油圧ユニット90(サブ電磁制御バルブV2)とを繋ぐ油圧配管を、サブ作業台ユニット60に設ければ良いのでメイン作業台20に配設する必要がなく、メイン作業台20の作業床上をシンプルにすることができる。
【0056】
コントローラ40は、バルブ制御部41とインターロック制御部42と作動規制部43とを備えて構成される。バルブ制御部41は、コントローラ40に入力される操作信号に対応した指令信号をメイン油圧ユニット80(メイン電磁制御バルブV1)およびサブ油圧ユニット90(サブ電磁制御バルブV2)に出力することにより、メイン側アクチュエータ81およびサブ作業台昇降シリンダ75へ作動油を供給する制御を行う。具体的には、上部操作装置18および下部操作装置31からの操作信号に対応した指令信号をメイン電磁制御バルブV1に出力することにより、メイン油圧ポンプP1によってメインタンクT1から吸い上げられた作動油をメイン側アクチュエータ81に供給する制御を行う。一方、サブ作業台昇降操作レバー69からの操作信号に対応した指令信号をサブ電磁制御バルブV2に出力することにより、サブ油圧ポンプP2によってサブタンクT2から吸い上げられた作動油をサブ作業台昇降シリンダ75に供給する制御を行う。作動規制部43については後述する。
【0057】
インターロック制御部42は、右扉開閉検出器32Rおよび左扉開閉検出器32Lからの検出信号に基づいて、サブ作業台昇降操作レバー69により指令された作動を規制するインターロック規制を行う。具体的には、右扉開閉検出器32Rおよび左扉開閉検出器32Lからの検出信号に基づいて、右開閉扉66Rおよび左開閉扉66Lの少なくともいずれかが閉鎖位置に位置していないと判断した場合に、バルブ制御部41に規制信号を出力する。バルブ制御部41はこの規制信号を受けている間、サブ作業台61を上昇させるサブ作業台昇降操作レバー69の操作に拘わらず、サブ電磁制御バルブV2への指令信号の出力を規制する。これにより、右開閉扉66Rおよび左開閉扉66Lの少なくともいずれかが閉鎖位置に位置していない状態での昇降装置71の上昇作動を規制する。この結果、サブ作業台61(作業者搭乗空間G)の左右が右開閉扉66Rおよび左開閉扉66Lによって囲まれた状態でのみサブ作業台61を上昇作動が許容され、サブ作業台61に搭乗する作業者の安全が確保される。なお、右開閉扉66Rおよび左開閉扉66Lの両方が閉鎖位置に位置してこれに対応した検出信号が入力されるとこの規制が解除される。
【0058】
本実施形態においては、インターロック規制により昇降装置71の上昇作動は規制されるが昇降装置71の降下作動は規制されない構成を例示しているが、この構成に代えて、インターロック規制により昇降装置71の上昇作動および降下作動の両方が規制される構成としても良い。
【0059】
コントローラ40は、昇降ストップボタン70からの操作信号が入力されると、サブ作業台昇降操作レバー69の操作に拘わらず、サブ作業台昇降操作レバー69により指令された作動を規制して昇降装置71の昇降作動を停止させる。
【0060】
このように構成される制御ユニット100により、メイン作業台20に搭乗する作業者は上部操作装置18を操作することで、所望方向に旋回台4を旋回作動、ブーム5を起伏作動ならびに伸縮作動、屈伸ポスト6を起伏(屈伸)作動、ポスト10を伸縮作動、作業台ブラケット13を旋回作動等させて、メイン作業台20とともに移動することができる。また、必要に応じてメイン作業台20を拡大作動させることにより、この拡大方向に延びる歩廊が形成されるので、作業者はこの歩廊を通って所望の作業場所に移動することができる。さらに、メイン作業台20に搭乗する作業者は、サブ作業台ユニット60をメイン作業台20の拡大・縮小方向に移動させて所望の作業場所の下方に位置させ、その状態でサブ作業台61に搭乗してサブ作業台昇降操作レバー69を操作することで、メイン作業台20に対してサブ作業台61とともに昇降移動し、所望の作業場所に移動することができる。
【0061】
なお、上記のような橋梁点検車1においては、上部操作装置18及び運転キャブ2aにはマイクとスピーカとからなる通信装置が配設されている。このため、
図2に示すように外側フェンスF1を跨いでメイン作業台20を橋梁B(左橋梁部BL)の下方に位置させた状態において、通信装置を利用してメイン作業台20上の作業者が運転キャブ2a内の他の作業者に車両を走行移動させる指示を伝えることにより、橋梁B下部の補修・点検作業等を連続的に行うこともできる。
【0062】
このように橋梁等の補修・点検作業を行うことが可能に構成された橋梁点検車1は、
図7および
図8に示すように、ブーム5、ポスト10およびメイン作業台20等を車体2上に格納した格納状態で、前後のタイヤ輪3a,3bによる道路走行を行って作業現場に移動する。この格納状態においては、ブーム5が車体2に沿ってほぼ前後に且つ水平に延びて倒伏されて格納され、ポスト10がブーム5に対して上方に180度近くまで折り曲げるように揺動されて、ブーム5の上側に上下に重なるように平行に延びて格納される。メイン作業台20は、ブーム5およびポスト10の側方に左右に重なるように位置して格納
される。
【0063】
次に、この橋梁点検車1の作動について説明する。橋梁点検車1を用いれば、例えば
図2に示すような河川橋や高架橋等の橋梁Bにおいて、橋梁Bの側部および下部、並びに外側フェンスF1の補修・点検作業を行うことが可能である。以下においては、メイン作業台20を橋梁B下部に移動させて橋梁B下部の点検作業を行う場合の作動について、
図2の点検作業の状態を拡大して示す
図9および
図10も参照しながら説明する。
【0064】
図9および
図10には点検対象である橋梁Bの断面図を示しており、橋梁Bは左右に並ぶ左橋梁部BLおよび右橋梁部BRを有して構成される。左橋梁部BLおよび右橋梁部BRはそれぞれ、路面を支持する床版Sと、床版Sの下側に位置して床版Sを下方から支持する橋桁Kと、床版Sの左右外側端部に設けられた外側フェンスF1と、床版Sの左右内側端部に設けられた内側フェンスF2とを備えて構成される。以下においては、左橋梁部BLの下部全体について点検作業を行う場合を説明する。
【0065】
橋梁点検車1を用いて左橋梁部BLの下部の点検作業を行う場合、まず、運転キャブ2aから道路走行運転を行い、橋梁点検車1を作業現場である左橋梁部BL上に移動させる。この道路走行に際して、ブーム5、ポスト10およびメイン作業台20は格納されている。
図2に示すように、外側フェンスF1と略平行になるように橋梁点検車1を移動させて停止させる。続いて、外側フェンスF1側(
図2における左側)に配設されたアウトリガ17a,17aを左方に張り出した上で、四つのジャッキ17bを下方に伸長させてタイヤ輪3a,3bが接地状態(走行移動可能な接地反力が作用する状態)のままで四つのローラ17cにより車両を支持する。
【0066】
そして、作業者がメイン作業台20に搭乗し、上部操作装置18を操作してブーム5を旋回動、起伏動及び伸長動させ、ホルダ10hに取り付けられたポスト10およびポスト10の先端部に取り付けられたメイン作業台20を外側フェンスF1の上を越えて外側に移動させる。続いて、ホルダ10hを上下に揺動させてポスト10を垂直状態にした後、ポスト10を伸長動させて、
図2に示すように、メイン作業台20を橋桁Kに干渉しない高さ位置に降下させる。そして、全縮状態のメイン作業台20をポスト10に対して車両側(
図2における右側)へ延びるように水平旋回させた後、必要に応じて左橋梁部BLの左右幅に応じて中間デッキ21bおよび先端デッキ21cを右方にスライド移動させて作業台面積を拡大させて、左橋梁部BLの下部の点検作業を行う。
【0067】
一般に橋梁下部の点検作業は、作業者が橋梁下部(床版Sや橋桁K)に接近して目視により行われる。このため、
図9に示すように、上下方向において橋桁K下部にメイン作業台20を接近させておけば、作業者はメイン作業台20(作業床22a,22b,22c)上を左右方向に移動しながら、橋桁K下部を点検することができる。しかし、橋桁Kの左右側面(特に側面上部)や橋桁Kの左右の床版Sの下面はメイン作業台20から上方に離れており、メイン作業台20を
図9に示す状態からさらに上昇させるとメイン作業台20が橋桁Kに干渉する虞があるので、これらの点検が難しいという問題がある。
【0068】
そこで、このような場合にサブ作業台ユニット60を用いる。例えば橋桁Kの左側に位置する床板Sの下面の点検を行う場合、右ブレーキ解除レバー67Rもしくは左ブレーキ解除レバー67Lを握り操作してブレーキを解除した状態でサブ作業台ユニット60を左右に動かし、点検対象である床版Sの下方近傍(
図10における60Aの位置)に移動させる。そして、作業者はサブ作業台61に搭乗して右開閉扉66Rおよび左開閉扉66Lを前後に揺動して閉鎖位置に係止保持させ、サブ作業台昇降操作レバー69を操作してサブ作業台61を上昇させる。これにより、作業者はサブ作業台61とともに上昇して点検対象である床版Sの下面に接近することができ、橋桁Kの左側に位置する床版Sの下面の
点検作業を行うことができる。このとき、橋桁Kの左側面を点検することもできる。点検作業を終えたときには、サブ作業台61を降下させれば作業者はサブ作業台61上からメイン作業台20(作業床22a,22b,22c)上に降りることができる。
【0069】
上述の橋桁K左側における橋桁Kの側面および床版Sの下面の点検作業と同様にして、橋桁K右側における橋桁Kの側面および床版Sの下面等のその他の点検箇所の点検作業も行うことができる。このように橋梁点検車1によれば、メイン作業台20上においてサブ作業台ユニット60を左右に移動させてサブ作業台61を昇降させることにより、メイン作業台20を移動させることなく左橋梁部BL下部においてメイン作業台20から上方に離れた領域の点検作業も容易に行うことができる。
【0070】
なお、右橋梁部BR下部の点検作業を行う場合には、橋梁点検車1を左橋梁部BL上から点検対象である右橋梁部BR上に走行移動させて停止させ、左橋梁部BL下部の点検と同様にして右橋梁部BR下部の点検作業を行う。
【0071】
次に、サブ作業台ユニット60の異なる実施形態としてのサブ作業台ユニット160について、
図11および
図12を参照して説明する。このサブ作業台ユニット160は、サブ作業台ユニット60と比較してサブ作業台を昇降移動させる機構が簡素化されている点に特徴を有しており、サブ作業台ユニット60と同様にメイン作業台20に着脱自在に搭載されてメイン作業台20の拡大・縮小方向に移動自在である。
【0072】
サブ作業台ユニット160は、
図11および
図12に示すように、前方からの側面視においてL字状に形成され、メイン作業台20(作業床22a,22b,22c)上に載置される作業台支持部161と、略直方体枠状に形成されて作業台支持部161に支持されるサブ作業台170とを備えて構成される。後述するように、サブ作業台ユニット160は、作業台支持部161に対してサブ作業台170を回転させて昇降させる構成となっており、
図11は、サブ作業台170を降下させた状態を示している。
【0073】
作業台支持部161は、矩形枠状に形成されて作業床22a(22b,22c)上に載置される支持枠部162と、支持枠部162の右前隅部および右後隅部それぞれから上方に延びる支持柱部163,163とから構成される。サブ作業台ユニット160は、持上げられてメイン作業台20上を長手方向に移動されるが、例えば作業台支持部161にスライドローラー78もしくは摺動させて移動させる他の手段を取り付けて、サブ作業台ユニット160をメイン作業台20上において摺動させて長手方向に移動させる構成としても良い。
【0074】
サブ作業台170は、
図11に示す降下された状態において、略直方体枠状に形成された作業台本体部171と、作業台本体部171の右下隅部の前後端部に取り付けられた係合部材173,173と、作業台本体部171の底部に位置してこの底部を覆う板状の床板部材174とから構成される。
【0075】
図11に示す状態において、作業台本体部171の左側部および右側部は、作業者がくぐって左右に通過可能な開口部を有しているので、メイン作業台20上において作業者はサブ作業台ユニット160(サブ作業台170)を左右に通過して移動可能である。作業台本体部171の右上隅部の前後端部には、前後一対となって右方に延び、支持柱部163の上部に枢結ピン(図示せず)により枢結される回転支持部172,172が設けられている。支持柱部163の上部と回転支持部172とを枢結ピンを用いて枢結することにより、作業台支持部161に対してサブ作業台170が、前後に延びて枢結ピンを通る回転軸L1を中心として上下に回転可能に取り付けられる。これにより、サブ作業台170を、
図11に示すように降下されて支持枠部162上に載置される下動位置から、回転軸
L1を中心として上方に回転させて、
図12に示すように支持柱部163の上部に位置する上動位置に回転移動させることができる。
【0076】
回転係合部材173は、
図11に示す状態において、上下に延びる回転軸(図示せず)を中心として回転可能に作業台本体部171に取り付けられた基部173aと、この基部173aから前後外側および右方に延びる係合部173bとから構成される。この回転係合部材173は、前後外側に向けて回転する向きに付勢されるとともに、図示しないストッパにより、係合部173bが手すり23a(23b,23c)と上下に係合可能な回転位置に保持される。このため、
図11に示す状態からサブ作業台170を上方に回転させて上昇させると、手すり23a(23b,23c)に対して係合部173bが下方から当接し、付勢力に抗して前後内側に回転する。そして、手すり23a(23b,23c)との当接が解除される位置までサブ作業台170を上昇させると、回転係合部材173は、付勢力により係合部173bが手すり23a(23b,23c)と上下に対向して係合可能な回転位置に復帰する。この状態でサブ作業台170を降下させると、係合部173bが手すり23a(23b,23c)の上に載るようにして上下に係合して、作業台支持部161に対してサブ作業台170が
図12に示すように上方に持上げられた状態に保持される。
【0077】
なお、メイン作業台20は、基端デッキ21a、中間デッキ21bおよび先端デッキ21cを入れ子式に組み合わせて構成されており、デッキ21a,21b,21c間において、前後一対の手すり23a,23b,23cの前後間隔が異なる。そこで、回転係合部材173は、図示しないストッパにより保持される回転位置において、手すり23a,23b,23cのいずれに対しても上下に係合するように構成されている。
【0078】
床板部材174は、
図11に示す状態において、その右端部が前後に延びる回転軸L2を中心として上下に回転可能に作業台本体部171に取り付けられている。このため、
図11に示す状態において、作業台本体部171の底部を覆う回転位置から、回転軸L2を中心として上方に回転させて、作業台本体部171の右側部を覆う回転位置に回転させることができる。また、この床板部材174は、基端側床板175と、先端側床板176とに二分割されてヒンジ結合された構造となっており、基端側床板175に対して先端側床板176を展開したり(
図11参照)、基端側床板175に先端側床板176を重ねて折り畳んだりすることが可能である。
【0079】
次に、このように構成されるサブ作業台ユニット160の使い方について、
図12を追加参照して説明する。以下においては、
図11に示すようにサブ作業台ユニット160をメイン作業台20上に格納載置した状態から、これを用いて作業を行うため、
図12に示すように回転させて上動させた場合を例示して説明する。
【0080】
まず、作業床22a,22b,22c上においてサブ作業台ユニット160を左右に移動させて、作業対象物の下方近傍に位置させる。
図12(a)には、左右に並んだ二つのサブ作業台ユニット160を示しているが、説明を容易にするために、サブ作業台170を降下させて下動位置に位置させた状態(左側に図示する状態)と、これを回転上動させて上動位置に位置させた状態(右側に図示する状態)を同じ図に示しているだけであり、実際には一つのサブ作業台ユニット160があるだけである。サブ作業台ユニット160は通常、安定性を考慮して、
図12(a)の左側に示すように降下させた状態で作業床22a,22b,22c上を左右に移動される。
【0081】
サブ作業台ユニット160を作業対象物の下方近傍に移動させた後、回転軸L1を中心として回転させてサブ作業台170を上方(回転方向R1の向き)に持上げて、回転係合部材173を手すり23a(23b,23c)と上下に係合させる。これにより、
図12
(a)の右側に示すように、サブ作業台170が持上げ状態で係止保持される。持上げ状態のサブ作業台170を左方から示したものが、
図12(b)である。持上げ状態においては、サブ作業台170の荷重が、回転係合部材173(手すり)と作業台支持部161(作業床)とに分散されて支持される。このため、手すり23a(23b,23c)の強度は必要とされるが、作業台支持部161の強度を低くして、軽量化したサブ作業台ユニットを構成することが可能である。
【0082】
このようにしてサブ作業台170を上方に回転させて持上げ状態に保持した後、回転軸L2を中心として床板部材174を下方(回転方向R2の向き)に回転させて、作業台本体部171の底部を覆うように位置させる。このとき、先端側床板176を基端側床板175に重ねておいて、持上げ状態のサブ作業台170の底部に上下に貫通した領域を設けておく。そうすることにより、この上下に貫通した領域を矢印Hで示すように作業者が昇って、サブ作業台170内に搭乗することができる。そして、サブ作業台170内に作業者が搭乗した後で先端側床板176を展開し、持上げ状態のサブ作業台170の底部を覆うように位置させる。このように、持上げ状態のサブ作業台170内に作業者が搭乗することにより、支持柱部163の上下高さ分だけ高い位置において、作業対象物に対する作業を行うことができる。
【0083】
上述のように構成したサブ作業台ユニット160は、
図4等に示した第1の実施形態に係るサブ作業台ユニット60に比べ、サブ作業台昇降装置68が不要であり、サブ作業台170を昇降移動させる機構をシンプルにしてサブ作業台ユニット160全体を軽量化できる。軽量であるため、サブ作業台ユニット160をメイン作業台20上において長手方向に移動させやすいという利点がある。
【0084】
また、サブ作業台170の作業台本体部171は略直方体枠状に形成されているため、
図11および
図12(a)の左側に示すようにサブ作業台170を降下させた状態で、枠内空間を通って作業者が左右に通過可能な構成となっている。このため、メイン作業台20上にサブ作業台ユニット160を載置した状態において、作業者はメイン作業台20上を拡大・縮小方向に自由に移動することが可能である。
【0085】
なお、作業対象物に対する作業が終了して、持上げ状態(上動位置)のサブ作業台170を降下させて元の状態(下動位置)に戻す場合には、まず、サブ作業台170を回転方向R1の向きに持上げておく。その状態で、回転係合部材173を、手すり23aと係合することなく上下に通過するように前後内側に回転させて保持する。そして、サブ作業台170を支持しつつ回転方向R1とは反対向きに回転させることにより、
図11に示す元の下動位置に戻すことができる。
【0086】
上述においては、メイン作業台20の作業床上を長手方向に移動させる構成のサブ作業台ユニット60,160を例示したが、これに代えて、サブ作業台ユニットをメイン作業台20に着脱可能な構成とし、メイン作業台20の作業床上の任意の位置にサブ作業台ユニットを配置するようにしても良い。
【0087】
ところで、メイン作業台20にサブ作業台ユニット60(160)を搭載して、サブ作業台61(170)を上昇させて作業を行うときに、上部操作装置18もしくは下部操作装置31が操作されて、メイン作業台20が上昇作動したり長手方向に伸縮作動したりするのは、作業時の安定性の面から好ましくなく、サブ作業台61(170)およびこれに搭乗する作業者が本人の意図に反して作業対象物に近づくおそれがあるので好ましくない。また、
図3に示すように、基端デッキ21a、中間デッキ21bおよび先端デッキ21cを入れ子式に組み合わせて構成されるメイン作業台20においては、これを伸縮作動させると、サブ作業台ユニット60(160)の載置位置が異なるデッキ上に移動すること
になる可能性があり、好ましくない。例えば、中間デッキ21b上にサブ作業台ユニット60(160)が載置された状態で、メイン作業台20を縮小作動させると、サブ作業台ユニット60(160)が先端デッキ21c上に乗り上げるような状態となる。このとき、入れ子式構成の中間デッキ21bおよび先端デッキ21cの間には段差があるため、サブ作業台ユニット60(160)がこの段差に当接したり、段差を乗り越えたりすることとなり、安定性の面で好ましくない。
【0088】
そこで、このような好ましくない事態の発生を回避できるように、前述したようにコントローラ40は作動規制部43を備えている(
図6参照)。この作動規制部43による作動規制制御について、以下に説明する。なお、この作動規制制御を行うために、コントローラ40には、サブ作業台ユニット60(160)に取り付けられた昇降検出器169、およびメイン作業台20に取り付けられたスライド位置検出器129から信号が入力される。
【0089】
昇降検出器169は、サブ作業台ユニット60(160)に取り付けられて、スライド支持装置76(作業台支持部161)に対するサブ作業台61(170)の昇降状態を検出する検出器であり、例えばリミットスイッチにより構成される。この昇降検出器169は、スライド支持装置76(作業台支持部161)に対してサブ作業台61(170)が降下位置にあるか、上昇位置にあるかを検出し、その検出信号をコントローラ40に送出する。この位置検出は、高さ位置に沿って複数のリミットスイッチを設けてサブ作業台61(170)の昇降位置を段階的に検出するようにしても良いし、昇降位置を連続的に検出するようにしても良い。
【0090】
スライド位置検出器129は、例えば基端デッキ21a,中間デッキ21bおよび先端デッキ21cの前後側部の作業床近傍に取り付けられた非接触式スイッチにより構成され、サブ作業台ユニット60(160)のメイン作業台20上での左右方向(デッキスライド方向)の位置を検出する。スライド位置検出器129は、非接触式スイッチに限られず、リミットスイッチ等の接触式スイッチ等、どのような形式のものでも良く、サブ作業台ユニット60(160)のメイン作業台20上での左右方向(デッキスライド方向)の位置を検出できるものであればどのようなものでも良い。
【0091】
コントローラ40が備える作動規制部43により行われる作動規制制御について、
図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0092】
まず、ステップS10において、昇降検出器169から送出される検出信号を入力、およびスライド位置検出器129から送出される検出信号を入力して、ステップS20に進む。
【0093】
ステップS20においては、昇降検出器169からの検出信号を基にして、サブ作業台61(170)が上昇位置に位置するか否かを判断する。ここで、昇降検出器169の検出信号からサブ作業台61(170)が上昇していると判断したときにはステップS21に進む。上述のように、サブ作業台61(170)が上昇したままメイン作業台20を移動させるのは好ましく無いので、ステップS21においては、作動規制部43による作動規制が行われる。具体的には、メイン作業台20を上昇させたり長手方向に伸縮させるような上部操作装置18および下部操作装置31の操作が行われたとしても、この操作に基づいた作動を規制する制御が行われる。なお、メイン作業台20を移動させる作動の規制に加えて(もしくはこれに代えて)、例えば警告音や、警告灯による警報作動を行うようにしても良い。
【0094】
一方、ステップS20において、昇降検出器169からの検出信号からサブ作業台61
(170)が降下位置にあると判断したときにはステップS30に進む。このときには、サブ作業台61(170)がメイン作業台20の上にあるので、サブ作業台61(170)の位置に応じてメイン作業台20の縮小作動を規制する制御が行われる。このため、ステップS30においては、スライド位置検出器129から送出される検出信号を基にして、サブ作業台ユニット60(160)が先端デッキ21c上に位置するか否かを判断する。ここで、先端デッキ21c上に位置すると判断した場合には、メイン作業台20の伸縮作動を許容しても問題ないため、規制制御は行わずそのままRETURNに進み、次回の制御フローに進む。
【0095】
一方、ステップS30において、サブ作業台ユニット60(160)が先端デッキ21c上に位置しないと判断した場合(すなわち、サブ作業台ユニット60(160)が基端デッキ21aもしくは中間デッキ21b上に位置すると判断された場合)にはステップS31に進む。サブ作業台ユニット60(160)が基端デッキ21aもしくは中間デッキ21b上に位置する場合には、メイン作業台20を縮小作動させると、サブ作業台ユニット60(160)が中間デッキ21bもしくは先端デッキ21c上に乗り上げたり、干渉したりするおそれがあるため、メイン作業台20を縮小作動させる作動を規制する制御を行う。これによって、メイン作業台20の縮小作動により、サブ作業台ユニット60(160)が中間デッキ21bおよび先端デッキ21cに乗り上げたり、これらと干渉したりすることを防止できる。
【0096】
なお、
図13のフローは、所定時間間隔毎に、例えば、10ms毎に繰り返しおこなわれる。