(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-112488(P2016-112488A)
(43)【公開日】2016年6月23日
(54)【発明の名称】パルスジェット式集塵機
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20060101AFI20160527BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20160527BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20160527BHJP
A47L 9/20 20060101ALI20160527BHJP
【FI】
B01D46/00 F
B01D46/42 C
B01D46/52 D
B01D46/52 B
A47L9/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-251661(P2014-251661)
(22)【出願日】2014年12月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 功
(72)【発明者】
【氏名】北洞 和彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇
(72)【発明者】
【氏名】吉見 拓
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA10
4D058KB02
4D058KC37
4D058KC52
4D058KC62
4D058LA04
4D058MA17
4D058MA25
4D058QA01
4D058QA07
4D058QA11
4D058QA17
4D058UA25
(57)【要約】
【課題】 パルスジェットにより払い落としたダストのフィルタへの再付着を防止し、ダストの払落し効率をより高める集塵機の提供を目的とする。
【解決手段】 集塵機の含塵ガス導入口に相対した位置に設けられたバッフル板と、フィルタ取付部材の下部に連接した仕切り板と、前記バッフル板と前記仕切り板に連接し集塵機背面のキャビネットに相対する位置に設けられたフロー板と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵機の含塵ガス導入口に相対した位置に設けられたバッフル板と、
フィルタ取付部材の下部に連接した仕切り板と、
前記バッフル板と前記仕切り板に連接し、集塵機背面のキャビネットに相対する位置に設けられたフロー板と、
を備えたことを特徴とするパルスジェット式集塵機。
【請求項2】
前記フィルタ取付部材は、集塵機内に取り付けられたフィルタの直近となる位置に、開口部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパルスジェット式集塵機。
【請求項3】
前記仕切り板は、集塵機本体の前面に設けられたメンテナンス扉に接していることを特徴とする請求項1に記載のパルスジェット式集塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮された清浄空気により、フィルタ表面に堆積したダストを払い落とすパルスジェット式集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
パルスジェット式集塵機は、フィルタ表面にダストが堆積し風量が低下してくると、風量を回復するために、清浄室側から圧縮された清浄空気をフィルタ内に噴射することにより、フィルタ表面に付着したダストを払い落とす運転を行う。このような払落し動作は、集塵機が停止している状態だけでなく、集塵機が運転中の状態においても行われる。しかし、集塵機が運転中の場合に払落し動作を行うと、フィルタ表面に堆積していたダストが取り除かれるが、他のフィルタの吸引力により払い落としたダストの一部がフィルタへ再付着してしまうことが知られている。
【0003】
このため、特許文献1や特許文献2では、パルスにより払い落としたダストのフィルタへ再付着を防止するために、フィルタの間に仕切り板を設けた技術が開示されている。しかしながら、ダストの再付着防止に対して十分な効果があるとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭47−4244号公報
【特許文献2】特開昭62−152511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パルスジェットにより払い落としたダストの再付着を防止し、ダストの払落し効率をより高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明のパルスジェット式集塵機は、集塵機の含塵ガス導入口に相対した位置に設けられたバッフル板と、フィルタ取付部材の下部に連接した仕切り板と、前記バッフル板と前記仕切り板に連接し集塵機背面のキャビネットに相対する位置に設けられたフロー板と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、集塵室内へ導入された含塵ガスは、バッフル板に衝突後、バッフル板に連接し集塵機背面のキャビネットに相対する位置に設けられたフロー板とキャビネットの間を含塵ガスが流れ、フロー板上部とセルプレートの間の開口部を通って、各フィルタ列のフィルタの上部から下部に向かって流れる。このため、パルスによるダストの払落しを行った時に生じる気流の流れと一致し、ダストの再付着を防止し、より効率的にダストの払落しを行うことができる。
【0008】
本発明において、フィルタ取付部材は、集塵機内に取り付けられたフィルタの直近となる位置に、開口部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明においては、フィルタ取付部材によって阻害されるパルスジェットの巻き込みエアが、フィルタの直近となる位置においてフィルタ取付部材に開口部が設けられていることにより阻害されない。このため、パルスジェットの巻き込みエア量が十分確保でき、パルスジェットによる払落し能力の低下を防ぐことができる。
【0010】
本発明において、仕切り板は、集塵機本体の前面に設けられたメンテナンス扉と、フロー板と、に接していることを特徴としている。
【0011】
このように構成された本発明においては、仕切り板が集塵機内の空間を分断するため、含塵ガスが集塵機内で旋回流を起こしにくくなり、フィルタの上部から下部に向かっての含塵ガスの流れをより強めることとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のパルスジェット式集塵機によれば、パルスジェットにより払い落としたダストの再付着を防止し、ダストの払落し効率をより高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明における集塵機の右側面断面図である。
【
図3】本発明における集塵機の右側後方からの部分透過斜視図である。
【
図4】本発明における集塵機の右側面の部分透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の集塵機について
図1〜
図4を用いて説明する。集塵機は、キャビネット1により構成されており、キャビネット1内のセルプレート10により上下に分割され、その上部は清浄室であり、ファン2及びパルスジェット装置7などが収められている。また、上下に分割された下部は除塵室であり、主にフィルタ4などが収められている。
【0015】
本発明に用いられるフィルタ4は、濾過面積の大きいプリーツ形状の円筒型フィルタであることが望ましい。フィルタ4を集塵機内にセットするには、図示しないフィルタ枠に1本もしくは複数本のフィルタ4を取り付けた後、集塵機前面のメンテナンス扉11を開けて除塵室内のセルプレート10に連接したフィルタ枠取付部材12にフィルタ枠をスライドさせながら押し込み、フィルタ4の上部に取り付けられたフィルタパッキンがセルプレート10と密着するようにセットする。
【0016】
フィルタ枠取付部材12は、セルプレート10より垂直に下した側板と、側板より水平方向に延びたレールにより構成されており、フィルタ枠を支持できるように、フィルタ枠の取付け位置の左右両側に1個ずつ設けられている。なお、フィルタ列とフィルタ列との間にはフィルタ枠取付部材12が両側のフィルタ列用に2個設けられることになるが、フィルタ枠取付部材の側板を共有し、レールのみをフィルタ枠取付部材の側板の両側に取り付けた構造としてもよい。
【0017】
なお、フィルタ枠取付部材12は、フィルタ4の直近となる位置に開口部を有する構造としてもよい。その開口部は、フィルタ枠をフィルタ枠取付部材に取り付けた時に変形しない程度の開口部が好ましい。よって、フィルタ枠取付部材の強度が保つことが可能であれば、フィルタ枠取付部材の外縁を残してその他の部分を開口部とすることも問題はなく、フィルタ枠取付部材の開口面積が大きい程、パルスジェットの巻き込みエア量が増加し、パルスジェットによるダストの払落し効率が向上する。フィルタ枠取付部材12の開口部の面積は、フィルタ枠取付部材の側板の面積に対して20%以上、好ましくは40%以上がよい。
【0018】
仕切り板6は、フィルタ枠取付部材12の下端から真下に向かって連接している板状部材である。なお、仕切り板6の下端は、フィルタ4の下端とほぼ同じか、フィルタ4の下端よりもさらに下へ長くてもよい。
【0019】
なお、仕切り板6は、集塵機本体の前面に設けられたメンテナンス扉11に接していることが好ましい。また、メンテナンス扉は開閉するため、仕切り板6の前面側端面にパッキン等を設けて、メンテナンス扉を閉じた時にメンテナンス扉と仕切り板がパッキンにより接触していることが好ましい。
【0020】
バッフル板5は、含塵ガス導入口3に相対した位置に設けられており、仕切り板6と同様にフィルタ枠取付部材12の下端から真下に向かって連接しており、仕切り板6とほぼ同形状の板状部材である。
【0021】
フロー板16は、集塵機背面のキャビネットに相対する位置に設けられた板状部材であり、バッフル板5および仕切り板6の集塵機背面側の端面と垂直に連接している。フロー板16の下端とホッパ8との間には約5〜10mm程度の隙間が設けられており、含塵ガスが集塵機に導入されたときにバッフル板に衝突するなどして分離したダストが、ホッパを通ってダストボックスへ回収するための通り道となる。また、フロー板の上端とセルプレートとの間は、約240mm程度の開口部が設けられているため、含塵ガスはこの開口部よりフィルタもしくはフィルタ列に導入される。なお、集塵機背面とは、集塵機前面のメンテナンス扉のある側の反対側を指す。
【0022】
図1において、吸気口3は集塵機の右側に設けられているが、集塵機の左側の閉止板15を取り外して吸気口とすることもできる。その場合には集塵機の右側の吸気口に閉止板を取り付けることとなる。このことより、含塵ガスの入口方向が変更可能となり、集塵機の設置場所の自由度が増す。
【0023】
次に、集塵機の運転動作と含塵ガスの動きについて説明する。含塵ガスは、集塵機内のファン2の吸引力により吸気口3から導入され、バッフル板5に衝突する。含塵ガス中の一部のダストは、バッフル板5により分離されて、バッフル板5の下端とホッパ8との隙間を通ってダストボックス9へ回収される。
【0024】
バッフル板5に衝突した後の含塵ガスは、フロー板16と集塵機背面のキャビネットによって囲われた空間に流れ、続いて、フロー板16とセルプレート10との間の約240mm程度の開口部よりフィルタ4もしくはフィルタ列に導入される。その後、含塵ガスは、フィルタ4の表面上でダストが分離されながら、フィルタの上部から下部方向に向かって流れる。
【0025】
フィルタ4を通り清浄されたガスはファン2を経て排気口12より外部へ排出される。運転を継続すると、ダストがフィルタ4表面に徐々に堆積し、ダストの堆積と共にフィルタ圧損が上昇し、風量が低下してくる。フィルタ圧損が、集塵機の制御装置内にあらかじめ設定した値に到達すると、パルスジェット装置7が起動し、パルスジェット装置内のエアタンクより高圧エアが吐出される。その後、吐出された高圧エアは周りの空気を巻き込みながらフィルタ内に導入され、フィルタ4表面に堆積したダストが払い落とされる。
【0026】
含塵ガスは、フィルタ4の表面上をフィルタの上部から下部方向に向かって流れているため、フィルタ4の表面より払い落とされたダストは、フィルタの上部から下部方向に向かって流れる気流に乗り、他のフィルタへ再付着しにくくなる。
【0027】
なお、払い落とされたダストはホッパ8を経由してダストボックス9内に排出される。ダストボックス9内のダストを集塵機の機外へ排出する時には、ダストボックス9の下のシリンダ14を作動させてダストボックス9を下降させてから、ダストボックス9を集塵機より取り外し、ダストボックス9内のダストを排出することにより行われる。
【実施例】
【0028】
実験には、定格風量が40m
3/min、5.5kWモータにて駆動する送風機を搭載した集塵機を用いた。この集塵機は、インバータの周波数を自動で増加減少させる定風量制御が可能であり、実験は40m
3/minの定風量にて行った。集塵機の含塵ガス導入口から、時間当たりの投入量が一定になるようにレーザーヒューム(見掛比重:約0.3)を投入し、トータルで2500gのレーザーヒュームを投入後に、送風機を運転している状態でパルスジェットによる払落しを行い、フィルタから払い落とされたレーザーヒュームの質量を測定した。
【0029】
実験は、本発明による実施例として、仕切り板6とフロー板16が取り付いている状態と、仕切り板6のみが取り付いている状態と、仕切り板6とフロー板16が取り付いていない状態とにより行った。その結果を表1に示す。実験結果より、本発明による実施例は、パルスジェットによるレーザーヒュームの払落し量が多く、優れた効果を示している。
【0030】
【表1】
【符号の説明】
【0031】
1 キャビネット
2 ファン
3 含塵ガス導入口
4 フィルタ
5 バッフル板
6 仕切り板
7 払落し装置(パルスジェット装置)
8 ホッパ
9 ダストボックス
10 セルプレート
11 メンテナンス扉
12 フィルタ枠取付部材
13 開口部
14 シリンダ
15 閉止板
16 フロー板
17 排気口