特開2016-113323(P2016-113323A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-113323(P2016-113323A)
(43)【公開日】2016年6月23日
(54)【発明の名称】ガラス板の折割装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/033 20060101AFI20160527BHJP
   C03B 33/04 20060101ALI20160527BHJP
   C03B 33/037 20060101ALI20160527BHJP
【FI】
   C03B33/033
   C03B33/04
   C03B33/037
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-253543(P2014-253543)
(22)【出願日】2014年12月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000174220
【氏名又は名称】坂東機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和明
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015FA03
4G015FA04
4G015FB01
4G015FC05
4G015FC07
4G015FC14
(57)【要約】
【課題】ガラス板の厚み、押圧場所、即ち、コーナカーブ部、湾曲部、直線部に応じた押圧力が瞬時に精密調整される折割装置を提供するにあり、また、進行押圧動作及び引き戻しの動作を敏しょうに、確実に、滑らかに行い、耳部の折割・分離を確実に、円滑に行う折割装置を提供すること。
【解決手段】ガラス板切断装置1は、切線形成指令のNC情報に基づいてスクライブヘッド6及び折割装置2を一体としてNC制御移動させ、スクライブヘッド6を動作させてガラス板4に切線7を形成し、次に、折割指令のNC情報に基づいてスクライブヘッド6及び折割装置2を一体としてNC制御移動させ、折割装置2を動作させて切線7外側の耳部8を折割・分離し、切断加工ガラス板を生産する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板を押圧し転動する押圧ローラと、この押圧ローラをガラス板に対して進退させる進退装置と、押圧ローラをガラス板面に沿って移動させる移動手段とを備えたガラス板の折割装置において、進退装置がリニアモータからなり、ガラス板に対する押圧ローラの進退動作及び押圧ローラの押圧をリニアモータの推力によって行うようにしたガラス板の折割装置。
【請求項2】
リニアモータをNC制御するようにした請求項1に記載のガラス板の折割装置。
【請求項3】
ガラス板を押圧し転動する押圧ローラと、この押圧ローラをガラス板に対して進退させる進退装置と、押圧ローラをガラス板面に沿って移動させる移動手段とを備えたガラス板の折割装置において、進退装置が磁性材からなる固定子ベースと、励磁コイルを持つスライダーとを備えたリニアモータからなり、スライダーに押圧ローラが、ガラス板面に直交する軸線の回りに角度制御される角度制御装置を介して取付けられているガラス板の折割装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車窓ガラス等の切断生産工程における切線形成後のガラス板の折割装置に関する。
【0002】
即ち、本発明は、ガラス板にカッタホイールにより切線を形成し、切線とガラス板エッヂとの間、即ち、耳部を折割・分離するガラス板の折割装置に関する。
【0003】
また、本発明は、下端に押圧ローラを備えた折割ヘッドを切線に沿って耳部を移動させ、耳部を押圧転動して、耳部を折割・分離する折割装置に係る。
【背景技術】
【0004】
従来の折割装置は、特許文献1に示すように、折割ヘッドにエアーシリンダ装置を備え、折割ヘッドが切線に沿って耳部を移動中、エアーシリンダ装置のエアー圧によって押圧ローラをガラス板に押圧させた状態で移動し、耳部の折割・分離を行う方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−164441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラス板を折割する押圧ローラは、ガラス板を局部的に押圧しながら高速で移動する。然しながら、特開平3−164441号公報記載の折割装置は、押圧ローラをエアーシリンダで押し、ガラス板をほぼ一定力で押圧する。
【0007】
このため、切線のコーナカーブ部、湾曲部、直線部など場所に応じた適切な押圧力で折割されない。折割エッヂにハマ欠片、ソゲ等の発生が多くなる。
【0008】
そこで本発明は、従来の折割装置の上記の如き欠陥を除去し、ガラス板の厚み、押圧場所、即ち、コーナカーブ部、湾曲部、直線部に応じた押圧力が瞬時に精密調整される折割装置を提供するにあり、また、進行押圧動作及び引き戻しの動作を迅速に、確実に、滑らかに行い、耳部の折割・分離を確実に、円滑に行う折割装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ガラス板を押圧し転動する押圧ローラと、この押圧ローラをガラス板に対して進退させる進退装置と、押圧ローラをガラス板面に沿って移動させる移動手段とを備えたガラス板の折割装置において、進退装置がリニアモータからなり、ガラス板に対する押圧ローラの進退動作及び押圧ローラの押圧がリニアモータの推力によって行われるようになっている。
【0010】
また、ガラス板を押圧し転動する押圧ローラと、この押圧ローラをガラス板に対して進退させる進退装置と、押圧ローラをガラス板面に沿って移動させる移動手段とを備えたガラス板の折割装置において、進退装置が磁性材からなる固定子ベースと、励磁コイルを持つスライダーとを備えたリニアモータからなり、スライダーに押圧ローラが、ガラス板面に直交する軸線の回りに角度制御される角度制御装置を介して取付けられているガラス板の折割装置である。
【発明の効果】
【0011】
ガラス板に対する押圧ローラの進退動作、ガラス板に対する押圧ローラの押圧力がリニアモータの推力によって行われるため、リニアモータをNC制御することにより、ガラス板の厚さ、押圧ローラの移動中位置、即ち、コーナカーブ部、湾曲部、直線部に応じての適切な押圧力が、瞬時に、精密に自動設定されるため、全周にわたって適材適所に好適な折割が行われる。
【0012】
また、押圧ローラのガラス板に対する進行及び引き戻し、また押圧ローラの押圧動作をNC制御することにより、動作が迅速となり、確実に、円滑に行い得、耳部の折割・分離が確実に、円滑に行われる。
【0013】
さらに、リニアモータは、ダイレクトに推力により押圧ローラを押圧する構造となるため、小移動する折割ヘッドが小型になる。
【0014】
また、折割スタートに際し、数値制御されたリニアモータにより、押圧ローラがガラス板面に対して迅速に、かつ円滑に進行接触押圧するため、折割エッヂにハマ欠片、ソゲの発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、共通の加工ヘッドに切線形成ヘッドと折割ヘッドとが並設された切断・折割装置の正面図である。
図2図2は、図1に示す切断・折割装置の一部切欠の平面図である。
図3図3は、図2に示すA−A線拡大断面図である。
図4図4は、図2におけるB部の一部切欠の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の折割装置の一実施例である折割装置2を備えたガラス板切断装置1において詳述する。尚、ガラス板切断装置1は、加工ヘッド5、即ち、スクライブヘッド6及び折割装置2が、NC制御(数値制御)されて移動する装置である。
【0017】
図1から図4には、折割装置2を備えたガラス板切断装置1が示されている。
【0018】
ガラス板切断装置1は、ガラス板4を平面支持するワークテーブル3と、このワークテーブル3の上方においてXY平面座標系移動を行う加工ヘッド5とを備える。
【0019】
加工ヘッド5は、並設されたスクライブヘッド6及び折割装置2からなる。
【0020】
加工ヘッド5であるスクライブヘッド6及び折割装置2は、移動手段9により、一体としてXY平面座標系移動される。
【0021】
移動手段9は、X軸移動手段11と、このX軸移動手段11に支持されたY軸移動手段12とからなり、加工ヘッド5、即ち、スクライブヘッド6及び折割装置2は、Y軸移動手段12のY軸移動体13の前面に並べて取付けられている。
【0022】
ガラス板切断装置1は、先ず、切線形成指令のNC情報に基づいて加工ヘッド5、即ち、スクライブヘッド6及び折割装置2を一体としてNC制御移動し、スクライブヘッド6を動作させてガラス板4に切線7を形成する。次に、折割指令のNC情報に基づいて加工ヘッド5、即ち、スクライブヘッド6及び折割装置2を一体としてNC制御移動し、折割装置2を動作させて切線7外側の耳部8を折割・分離し、切断加工ガラス板を生産する。
【0023】
さて、ワークテーブル3は、テーブル基台の上部に水平に設置され、上面には防傷シート10が張着されている。
【0024】
ガラス板4に切線7を形成する場合のみは、ガラス板4を防傷シート10に直接に載置し、防傷シート10上に平面支持させてよい。
【0025】
一方、本実施例におけるように、ガラス板4への切線7の形成及び耳部8の折割においては、図1に示すように、ガラス板4は、型板シート50を介してワークテーブル3の防傷シート10上に平面支持される。
【0026】
型板シート50は、プラスチック樹脂シートからなり、外形及びその寸法は、ガラス板4に形成する切線7の形状及び寸法に合わせて形成される。
【0027】
型板シート50の厚さは1mm〜1.5mmである。
【0028】
型板シート50は、防傷シート10上面に置き、外形エッヂをガラス板4への形成切線7に合わせてセットする。そして、ガラス板4を型板シート50に平面支持し、ガラス板4に切線7を形成するとき、図1に示すように、切線7は、型板シート50の外周エッヂ上に位置し、耳部8の下には空間51が形成される。
【0029】
この空間51は、耳部折割に際し、押圧ローラ45により耳部8を押圧したとき、空間51に耳部8の傾きができ、耳部を曲げるためにある。
【0030】
ガラス板切断装置1は、図2に示す左右方向A−AがX軸方向、A−Aに直交するB−BがY軸方向である。ガラス板切断装置1には、A−A方向に合わせてX軸移動手段11を、B−B方向に合わせてY軸移動手段12を夫々備え、Y軸移動手段12は、ワークテーブル3の上方をまたいで架けられ、X軸移動をするY軸フレーム17に取付けられている。
【0031】
加工ヘッド5、即ち、スクライブヘッド6及び折割装置2は、Y軸移動手段12のY軸移動体13の前面に並設されている。
【0032】
X軸移動手段11は、ワークテーブル3を支えるフレーム本体26の両側のそれぞれにおいてX軸方向(A−A)に沿って取付けられたガイドレール14及び14並びにラック15及び15と、ガイドレール14及び14に直動自在に組付けしたX軸移動体16及び16と、ワークテーブル3の上方において、X軸方向A−Aに直交して横断し、両側のX軸移動体16及び16に架設されたY軸フレーム17と、このY軸フレーム17内に両端に至って伸び、回転自在に支持されたラインシャフト18と、Y軸フレーム17の片端に取付けられ、ラインシャフト18に連結されたX軸サーボモータ19と、両側のX軸移動体16及び16に取付けられ、ラインシャフト18とプーリベルト20及び20を介して連結され、ラック15及び15にかみ合わせたピニオンギア装置21及び21を備える。
【0033】
両側のピニオンギア装置21及び21は、ラインシャフト18により互いに連結され、X軸サーボモータ19により互いに機械的に同期して回転し、両側のX軸移動体16及び16を同期してX軸移動させ、延いてはY軸フレーム17をX軸移動させる。
【0034】
一方、Y軸移動手段12は、Y軸フレーム17にY軸方向(B−B)に沿って並設したガイドレール22及び22並びにラック23と、ガイドレール22及び22に組付けられ、Y軸移動するY軸移動体13と、このY軸移動体13に取付けられたY軸サーボモータ24と、このY軸サーボモータ24に連結され、ラック23にかみ合わせたピニオンギア25とを備える。
【0035】
Y軸サーボモータ24の駆動により、Y軸移動体13は、Y軸移動する。このY軸移動体13の前面に加工ヘッド5であるスクライブヘッド6と折割装置2とが並設されている。
【0036】
スクライブヘッド6は、下端にカッタホイール27を備えたスプラインシャフト28と、このスプラインシャフト28をワークテーブル3の上面に垂直した姿勢にかつ、軸線方向に直動自在に保持するスプラインナット体29と、このスプラインナット体29が取付けられたベース板30と、スプラインナット体29の上方において、スプラインシャフト28の上端にフリー回転継手を介して連結したエアーシリンダ装置31とを備える。
【0037】
エアーシリンダ装置31は、ブラケット31aを介してベース板30から取付けられている。そしてベース板30はY軸移動体16の前面に取り付けられている。
【0038】
更に、スクライブヘッド6は、スプラインシャフト28、延いてはカッタホイール27をワークテーブル3の上面、即ち、ガラス板4の上面に垂直した軸線32の回りに角度制御回動させる角度制御装置33を備える。
【0039】
角度制御装置33は、スプラインナット体29の横側において、ベース板30に取付けられている。この角度制御装置33は、出力軸34を備え、この出力軸34とスプラインシャフト28とは、平歯車列を介して連結されている。
【0040】
スクライブヘッド6は、角度制御装置33をNC制御させ、スプラインシャフト28を角度制御回動させ、延いてはカッタホイール27の向きをカッタホイール27の移動方向に刻々合わせる。
【0041】
一方、折割装置2は、ガラス板4の押圧を行う押圧ローラ45と、この押圧ローラ45をガラス板4に対して進退させる進退装置39とを備える。折割装置2の進退装置39は、リニアモータ42からなる。
【0042】
即ち、折割装置2は、磁性材からなる固定子ベース40と励磁コイルを持つ可動子であるスライダー41とを備えたリニアモータ42と、スライダー41に取付けられた角度制御装置43と、この角度制御装置43の出力軸44の下端に取付けられた押圧ローラ45とからなる。
【0043】
尚、押圧ローラ45は、ローラ46と固定金具47とからなり、固定金具47において、角度制御装置43の出力軸44に取付けられている。
【0044】
上記の構成からなる折割装置2は、スクライブヘッド6と並列し、加工ヘッド5の前面にリニアモータ42において取付けられている。
【0045】
リニアモータ42は、固定子ベース40において、加工ヘッド5の前面に上下方向に沿った姿勢で取付けられている。
【0046】
スライダー41、角度制御装置43及び押圧ローラ45は、リニアモータ42の駆動によって、ワークテーブル3の上面、延いてはガラス板4に対して上下方向に沿って直動をする。
【0047】
また、特に、押圧ローラ45の中心は、角度制御装置43の出力軸44の軸線48上に位置されて取付けてあり、軸線48は、ワークテーブル3の上面、延いては平面支持されたガラス板4の上面に垂直としてある。
【0048】
角度制御装置43の駆動によって、押圧ローラ45は、ガラス板4に垂直した軸線48の回りに角度制御回動される。即ち、押圧ローラ45の向きが角度制御される。
【0049】
また、押圧ローラ45は、サーボ制御されたリニアモータ42によって、平面支持されたガラス板4に対してNC制御されて進退動し、NC制御された推力によってガラス板4の耳部8を押圧する。
【0050】
尚、押圧ローラ45のローラ46は硬質ゴム、ウレタン樹脂等により成形され、直径は20mm〜40mm、幅は10mm〜30mmにおいて使用する。
【0051】
ガラス切断装置1の動作外周形状を予定切線の形状及び寸法に合わせた型板シート50をワークテーブル3の上面にセットする。次に、ガラス板4を型板シート50上に平面支持させる。そして、先ず、切線形成のNC制御情報に基づいて加工ヘッド5を移動させると共に、スクライブヘッド6を作動させ、ガラス板4に切線7を形成する。
【0052】
図1に示すように、ガラス板4の切線7の外側の耳部8域下には、空間51が位置している。
【0053】
次に、折割加工情報に基づいての加工ヘッド5の移動によって、折割装置2が耳部8の位置の上方に合わされて移動すると共に、リニアモータ42が動作して押圧ローラ45が耳部8を押圧し、切線7に沿って押圧移動を行う。
【0054】
即ち、押圧ローラ45は、耳部8を押圧状態で向きを角度制御され、切線7の周囲を移動する。
【0055】
移動する押圧ローラ45の押圧力を受けた耳部8は、下の空間51に曲げ下がり、折割・分離される。
【0056】
特に、リニアモータ42は、NC制御され、押圧ローラ45は、NC制御された推力を受け、ガラス板の厚み方向の進行深さ位置を数値制御されて移動し、コーナ部にはコーナ部に適した押圧力を加え、また湾曲部には湾曲部に適した押圧力を加え、直線部には直線部に適した押圧力を加え、折割・分離を行う。
【0057】
このため、各部が各部に適切な押圧力で折割させる折割エッヂが高品質に折割加工される。
【0058】
さらに、折割スタートに際し、数値制御されたリニアモータ42により、押圧ローラ45がガラス板面に対して迅速に、かつ円滑に進行接触押圧するため、折割エッヂにハマ欠片、ソゲの発生が抑えられる。
図1
図2
図3
図4