【課題】高温の加熱を伴う毛髪変形処理を行った際の毛髪について、柔らかさと滑らかさの感触に優れるものとする毛髪変形用第1剤、及び当該第1剤を使用する毛髪変形処理方法の提供。
【解決手段】毛髪変形用第1剤は、還元工程と、当該還元工程後の毛髪と70℃以上の発熱体とを接触させる加熱工程と、を備える毛髪変形処理方法における還元工程で毛髪に塗布されるものであって、チオグリコール酸、システアミン、亜硫酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上の還元剤、トレハロース、並びにキレート剤が配合されたものである。毛髪変形処理方法は、チオグリコール酸、システアミン、亜硫酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上の還元剤、トレハロース、並びにキレート剤が配合された毛髪変形用第1剤を毛髪に塗布する還元工程と、当該還元工程後の毛髪と70℃以上の発熱体とを接触させる加熱工程と、を備えるものである。
還元工程と、当該還元工程後の毛髪と70℃以上の発熱体とを接触させる加熱工程と、を備える毛髪変形処理方法における還元工程で毛髪に塗布される毛髪変形用第1剤であって、
チオグリコール酸、システアミン、亜硫酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上の還元剤、トレハロース、並びにキレート剤が配合されたことを特徴とする毛髪変形用第1剤。
チオグリコール酸、システアミン、亜硫酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上の還元剤、トレハロース、並びにキレート剤が配合された毛髪変形用第1剤を毛髪に塗布する還元工程と、
当該還元工程後の毛髪と70℃以上の発熱体とを接触させる加熱工程と、
を備えることを特徴とする毛髪変形処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
(毛髪変形用第1剤)
本実施形態の毛髪変形用第1剤(以下、「毛髪変形用第1剤」を「第1剤」と称することがある。)は、還元剤、トレハロース、及びキレート剤が水と配合されたものである(水の配合量は、例えば60質量%)。また、本実施形態の第1剤には、公知の第1剤と同様にアルカリ剤を配合しても良い他、公知の第1剤に配合されている原料を任意原料として配合しても良い。
【0012】
還元剤
本実施形態の第1剤には、公知の第1剤に配合されている還元剤から選ばれた一種又は二種以上を配合すると良い。その還元剤としては、チオール基を有する公知の還元剤が挙げられ、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩(チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミンなど)、システアミン、システアミン塩(システアミン塩酸塩など)、システイン(L−システイン、DL−システインなど)、システイン塩(L−システイン塩酸塩、DL−システイン塩酸塩など)、アセチルシステイン(N−アセチル−L−システインなど)、チオグリコール酸グリセリル、チオ乳酸、チオ乳酸塩、ブチロラクトンチオールである。その他の公知の還元剤としては、例えば、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。
【0013】
本実施形態の第1剤における還元剤の配合量は、適宜設定すると良く、例えば2質量%以上15質量%以下である。
【0014】
本実施形態の第1剤には、チオグリコール酸、システアミン、亜硫酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上が必須の還元剤として配合される。この必須の還元剤を配合するとき、トレハロース及びキレート剤の配合によって、毛髪が柔らかく、滑らかさに優れる感触となる。
【0015】
本実施形態の第1剤における上記必須の還元剤の配合量は、適宜設定すると良く、例えば2質量%以上15質量%以下である。上記必須の還元剤と、当該還元剤以外の還元剤を配合する場合、必須の還元剤の方の配合量を多くすると良い。
【0016】
トレハロース
本実施形態の第1剤におけるトレハロースの配合量は、例えば0.1質量%以上5質量%以下であり、0.2質量%以上2質量%以下が良く、0.2質量%以上1質量%以下が好ましい。0.1質量%以上であると、毛髪の保湿感を良好にすることに適し、5質量%以下であると、毛髪の柔らかな感触を良好にすることに適する。
【0017】
キレート剤
本実施形態の第1剤には、公知の第1剤に配合されているキレート剤から選ばれた一種又は二種以上を配合すると良い。そのキレート剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸塩(エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸二カリウムなど)、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウムなど)、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩(エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウムなど)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩(ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウムなど)が挙げられる。毛髪の保湿感を良好にするためには、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はヒドロキシエタンジホスホン酸塩の配合が好適である。
【0018】
本実施形態の第1剤におけるキレート剤の配合量は、例えば0.05質量%以上2質量%以下であり、0.1質量%以上1質量%以下が良く、0.1質量%以上0.4質量%以下が好ましい。0.05質量%以上であると、毛髪の保湿感を良好にすることに適し、に適し、2質量%以下であると、毛髪の柔らかな感触を良好にすることに適する。
【0019】
アルカリ剤
本実施形態の第1剤には、pHをアルカリ側に調整するためのアルカリ剤の一種又は二種以上が必要に応じて配合される。このアルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アミノアルコール(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなど)、塩基性アミノ酸(アルギニンなど)、モルホリン、炭酸塩(炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、リン酸塩(リン酸一水素アンモニウム、リン酸一水素ナトリウムなど)、及び苛性アルカリ(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)が挙げられる。
【0020】
任意原料
本実施形態の第1剤には、上記の通り、公知の第1剤用原料から適宜選択されたものが任意に配合される。この任意原料は、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子化合物、シリコーン、炭化水素、ロウ、高級アルコール、多価アルコール、脂肪酸、油脂、エステル油、タンパク質、アミノ酸、抗炎症剤、防腐剤、香料などである。
【0021】
本実施形態の第1剤は、後記の通り剤型が特に限定されるものではないが、高級アルコール及びカチオン界面活性剤を配合してクリーム状にしても良い。
【0022】
上記高級アルコールは、炭素数14以上22以下のものであると良く、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分枝飽和アルコール;が挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを配合すると良く、本実施形態の第1剤における高級アルコールの配合量は、例えば2質量%以上6質量%以下である。
【0023】
上記のカチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;が挙げられる。一種又は二種以上のカチオン界面活性剤を配合すると良く、本実施形態の第1剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、例えば1質量%以上5質量%以下である。
【0024】
剤型
本実施形態の第1剤の使用時の剤型は、特に限定されず、液状、クリーム状、ゲル状などが挙げられる。毛髪に塗布した第1剤が流れ落ちることを抑えるには、クリーム状又はゲル状が良い。
【0025】
粘度
本実施形態の第1剤の粘度は、特に限定されない。その粘度は、毛髪からの流れ落ちを抑えるためには、2000mPa・s以上が良く、4000mPa・s以上が好ましく、8000mPa・s以上がより好ましく、10000mPa・s以上が更に好ましい。また、毛髪への第1剤の浸透性を高めるには、その粘度は、30000mPa・s以下が良く、25000mPa・s以下が好ましく、20000mPa・s以下がより好ましい。なお、本実施形態における粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値を採用する。
【0026】
pH
本実施形態の第1剤のpHは、25℃において、例えば8.0以上10.0以下が良い。
【0027】
(毛髪変形用第2剤)
本実施形態の第1剤を使用する毛髪変形処理においては、酸化剤が配合された毛髪変形用第2剤(以下、「毛髪変形用第2剤」を「第2剤」と称することがある。)を使用することが好適である。本実施形態の第2剤は、毛髪変形処理に応じた公知の第2剤であると良い。
【0028】
本実施形態の第2剤は、酸化剤が水に配合されたものである(本実施形態の第2剤として典型的なものは、水の配合量が75質量%以上のものである。)。また、本実施形態の第2剤には、公知の第2剤に配合されている原料を任意原料として配合しても良い。
【0029】
酸化剤
本実施形態の第2剤に配合する酸化剤は、公知の第2剤と同様、臭素酸塩(臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムなど)又は過酸化水素であると良い。
【0030】
任意原料
本実施形態の第2剤には、上記の通り、公知の第2剤用原料から適宜選択されたものが任意に配合される。この任意原料は、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子化合物、シリコーン、炭化水素、ロウ、高級アルコール、多価アルコール、脂肪酸、油脂、エステル油、タンパク質、アミノ酸、キレート剤、抗炎症剤、防腐剤、香料などである。
【0031】
本実施形態の第2剤の使用時の剤型は、特に限定されず、例えば、液状、クリーム状、フォーム状(泡状)が挙げられる。
【0032】
pH
本実施形態の第2剤のpHは、臭素酸塩を配合する場合、25℃において、例えば5.0以上7.5以下である。また、本実施形態の第2剤のpHは、過酸化水素を配合する場合、25℃において、例えば2.5以上3.5以下である。
【0033】
(毛髪変形処理)
本実施形態の毛髪変形処理では、本実施形態の第1剤を毛髪に塗布する還元工程と、還元工程後の毛髪を加熱する加熱工程と、を備える。また、加熱工程後の毛髪の酸化について、薬剤を接触させることのない空気酸化であっても良いが、本実施形態の第2剤を毛髪に塗布する酸化工程によれば、毛髪変形の程度が高まる。
【0034】
還元工程
本実施形態の毛髪変形処理における還元工程では、毛髪に本実施形態の第1剤を塗布し、常温又は60℃以下で放置する。このときの放置時間は、長い程に毛髪が軟化し易い傾向があり、例えば10分以上20分以下である。
【0035】
加熱工程
本実施形態の毛髪変形処理における加熱工程では、還元工程後の毛髪の第1剤を洗い流した後に、70℃以上の発熱体と毛髪とを接触させる。その接触は、毛髪を伸ばしてその形状を直線状に近づけるための公知のヘアアイロン、毛髪形状をウェーブ状にするためのロッド、毛髪形状をカール状やウェーブ状にするためのカーリングアイロンを使用して行うと良い。
【0036】
毛髪形状を直線状に近づけるためのヘアアイロンは、ハッコー社製「ADST Premium DS」、小泉成器社製「VSI−1009/PJ」などとして公知である。このヘアアイロンにおいて、対向する一対の金属製板状体が発熱体として備わっている。そして、ヘアアイロンを使用する際には、公知の通り、乾燥又はほぼ乾燥させた毛髪を対向する発熱体間に挟み、その後に、毛髪を挟んだ状態を維持しながらヘアアイロンを移動させ、挟まっている毛髪を滑らせる。
【0037】
上記ヘアアイロンの発熱体の設定温度は、毛髪の形状を効率良く変形させるために、70℃以上であり、80℃以上が良く、100℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、160℃以上が更に好ましい。一方、上記発熱体の設定温度は、毛髪の損傷を抑えるためには、230℃以下が良く、210℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、190℃以下が更に好ましい。
【0038】
毛髪形状をウェーブ状にするためのロッドは、公知の装置に備わっており、その装置は、大広製作所社製「ODIS EX」などである。ロッドには湿潤した毛髪を巻き取り、その後に、ロッドにおける毛髪の当接面を所定温度に上昇させる。そして、ロッドの熱で毛髪を乾燥させるのが一般的である。
【0039】
上記ロッドの設定温度は、毛髪の形状を効率良く変形させるために、70℃以上であり、80℃以上が良い。一方、ロッドの設定温度の上限は、毛髪を乾燥するための温度である100℃であると良い。
【0040】
毛髪形状をカール状やウェーブ状にするためのカーリングアイロンは、ハッコー社製「Digital Perming」などとして公知である。このカーリングアイロンは、発熱体の温度を例えば140℃以上190℃以下に設定して使用される。
【0041】
酸化工程
本実施形態の毛髪変形処理における酸化工程では、毛髪に本実施形態の第2剤を塗布し、放置する。このときの放置時間は、例えば3分以上15分以下である。放置後の毛髪は、洗浄、乾燥させると良い。
【実施例】
【0042】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0043】
(実施例1〜3、比較例1〜3、参考例1〜2)
実施例1〜3、比較例1〜3、及び参考例1〜2の第1剤として、共通成分(詳細は後述)、チオグリコール酸アンモニウム、システアミン塩酸塩、無水亜硫酸ナトリウム、L−システイン塩酸塩、トレハロース、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、ジチオジグリコール酸ジアンモニウム、及び炭酸水素アンモニウムから選んだ原料を、下記表1〜4に記載の配合濃度で水とを配合し、モノエタノールアミンでpH9.3に調整したクリーム状のものを製造した。
【0044】
下記表1〜4における共通成分は、原料と水を配合したものであり、その原料と配合濃度は、リン酸ジセチル0.2質量%、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸1質量%、ポリオキシエチレンセチルエーテル0.5質量%、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム2質量%、セトステアリルアルコール6質量%、1,3ブチレングリコール1質量%、グリセリン1質量%、パラフィン0.2質量%、ミツロウ0.2質量%、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル0.1質量%、尿素0.3質量%、高重合メチルポリシロキサン0.1質量%、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.1質量%、香料0.1質量%とした。
【0045】
(毛髪変形処理A)
2g程度の酸化染毛処理履歴がある25cm前後の毛束を、洗浄し、タオルで水分を拭き取ってから、還元工程、加熱工程、酸化工程を有する毛髪変形処理Aを行った。還元工程では、実施例1〜3、比較例1〜3、及び参考例1〜2のいずれかの第1剤を毛束に塗布し、毛束に櫛を通してから室温で20分程度放置した。加熱工程では、温水で第1剤を洗い流し、温風で乾燥させた還元工程後の毛束を処理対象とし、ヘアアイロン(株式会社ハッコー製「ADST Premium DS プロ用ストレートヘアアイロン ADST Premium DS(FDS−25)」)における一対の発熱体の温度を180℃に設定し、その発熱体の間に毛束を挟んでから、毛束を伸ばしつつ滑らせた。酸化工程では、第2剤(詳細は後述)を毛束に塗布し、室温で5分程度放置した。その放置後の毛束を温水で洗浄し、温風で乾燥させた。
【0046】
上記毛髪変形処理Aにおける第2剤は、原料と水とを配合したものであり、その原料と配合濃度は、過酸化水素2質量%、リン酸一水素ナトリウム1質量%、リン酸0.3質量%、フェノキシエタノール0.2質量%、ヒドロキシエタンジホスホン酸0.1質量%、ジエチレングリコールモノエチルエーテル0.1質量%とした。pHは、3.0であった。
【0047】
(評価)
上記毛髪変形処理Aを行った毛束について、毛束間での評価を4名の評価者で行った。評価は、下記表1〜4の各表毎に行い、各表で定めている基準の毛束との比較で行った。また、この評価結果の意義は、以下の通りとした。
◎:基準よりも非常に良い(3名以上が基準より良いと評価した)
○:基準よりも良い(2名以上が基準よりも良いと評価した)
―:基準と同等(1名以下が基準よりも良いと評価した)
×:基準より悪い(2名以上が悪いと評価した)
【0048】
上記評価の結果を下記表1〜4に示す。
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
以上の表1〜3によれば、チオグリコール酸塩、システアミン塩、又は亜硫酸塩が還元剤として配合した場合には、トレハロースの配合により、柔らかさ及び滑らかさの向上があったと認められる。他方、表4によれば、上記表1〜3の還元剤が配合されず、システイン塩が配合された場合には、トレハロース配合による柔らかさ及び滑らかさの向上が認められなかった。
【0053】
(実施例4〜6、比較例4a〜4c、比較例5a〜5c、比較例6a〜6c)
実施例4〜6、比較例4a〜4c、比較例5a〜5c、及び比較例6a〜6cの第1剤として、共通成分(実施例1における共通成分と同じ)、チオグリコール酸アンモニウム、L−システイン塩酸塩、トレハロース、エデト酸四ナトリウム四水塩、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジチオジグリコール酸ジアンモニウム、及び炭酸水素アンモニウムから選んだ原料を、下記表5〜7に記載の配合濃度で水と配合し、モノエタノールアミンでpH8.9に調整したクリーム状のものを製造した。
【0054】
(毛髪変形処理B)
実施例4〜6、比較例4a〜4c、比較例5a〜5c、及び比較例6a〜6cのいずれかの第1剤を使用し、毛髪変形処理Bを行った。この処理は、毛髪変形処理Aと同様にして行った。
【0055】
毛髪変形処理Bを行った毛束に関して、評価した(この評価は、評価者数を5名とした以外は、毛髪変形処理Aを行った毛束と同様にした。)。結果は、下記表5〜6に示す通りである。
【0056】
【表5】
【表6】
【表7】
【0057】
表5の比較例4aと比較例4bの評価結果1において、キレート剤の配合がない場合には、トレハロースによる柔らかさ及び滑らかさの向上は認められない。しかし、比較例4cと実施例4の評価結果2において、キレート剤を配合した場合には、トレハロースによる柔らかさ及び滑らかさの向上は認められる。キレート剤の配合を前提とするときのトレハロース配合による柔らかさ及び滑らかさの向上は、表6〜7でも認められる。
【0058】
(実施例7、比較例7)
実施例7の第1剤として、原料と水とを配合し、モノエタノールアミン及びアルギニンを使用してpH8.9に調整したものを製造した。その原料と配合濃度は、チオグリコール酸アンモニウム4質量%、チオグリコール酸モノエタノールアミン4質量%、L−システイン塩酸塩0.4質量%、トレハロース1質量%、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム0.2質量%、ジチオジグリコール酸ジアンモニウム3質量%、セトステアリルアルコール4質量%、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム2質量%、リン酸ジセチル1質量%、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸2質量%、ポリオキシエチレンセチルエーテル1質量%、1.3ブチレングリコール1質量%、パラフィン1質量%、ミツロウ1質量%、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル0.1質量%、高重合メチルポリシロキサン0.3質量%、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.1質量%、香料0.1質量%とした。また、実施例7の第1剤とはトレハロースの有無が異なる比較例7の第1剤を製造した。
【0059】
(毛髪処理C)
2g程度の酸化染毛処理履歴がある25cm前後の毛束を、洗浄し、タオルで水分を拭き取ってから、還元工程、加熱工程、酸化工程を有する毛髪変形処理Cを行った。還元工程では、実施例7又は比較例7の第1剤を毛束に塗布してから室温で10分程度放置した。加熱工程では、温水で第1剤を洗い流した還元工程後の毛束を処理対象とし、この毛束をロッドに巻き付けてから、ロッド温度90℃で10分間放置した(放置後の毛束は、乾燥していた)。酸化工程では、毛髪処理Aと同じ第2剤を毛束に塗布し、室温で5分程度放置した。その放置後の毛束を温水で洗浄し、温風で乾燥させた。
【0060】
毛髪処理Cを行った後の毛束の感触を評価した結果、第1剤として実施例7のものを使用した方が、毛髪の柔らかさと滑らかさに優れていた。つまり、キレート剤及びトレハロースを配合したものが、毛髪の柔らかさと滑らかさに優れていた。