特開2016-11393(P2016-11393A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-11393表面処理液の製造方法、表面処理液及び表面処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-11393(P2016-11393A)
(43)【公開日】2016年1月21日
(54)【発明の名称】表面処理液の製造方法、表面処理液及び表面処理方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/18 20060101AFI20151218BHJP
   C04B 41/63 20060101ALI20151218BHJP
【FI】
   C09K3/18 102
   C04B41/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-134475(P2014-134475)
(22)【出願日】2014年6月30日
(71)【出願人】
【識別番号】592088622
【氏名又は名称】マチダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】新井 建人
(72)【発明者】
【氏名】町田 錦士郎
(72)【発明者】
【氏名】本田 隆
【テーマコード(参考)】
4G028
4H020
【Fターム(参考)】
4G028CA01
4G028CB04
4G028CC01
4G028CD02
4H020AA04
4H020AB01
4H020BA13
(57)【要約】
【課題】撥水性、撥油性及び防カビ性に優れる表面を形成することが可能な表面処理液を提供する。
【解決手段】表面処理液の製造方法は、防カビ剤の水分散液を調製する工程と、防カビ剤の水分散液に防汚剤を加える工程を有し、防カビ剤の水分散液中の防カビ剤の含有量は、10質量%以下であり、防カビ剤は、イミダゾール系化合物及び/又はトリアゾール系化合物であり、防汚剤は、フルオロアルキルアクリレートコポリマーである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防カビ剤の水分散液を調製する工程と、
該防カビ剤の水分散液に防汚剤を加える工程を有し、
前記防カビ剤の水分散液中の前記防カビ剤の含有量は、10質量%以下であり、
前記防カビ剤は、イミダゾール系化合物及び/又はトリアゾール系化合物であり、
前記防汚剤は、フルオロアルキルアクリレートコポリマーであることを特徴とする表面処理液の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表面処理液の製造方法により製造されていることを特徴とする表面処理液。
【請求項3】
水の含有量が80.0質量%以上99.6質量%以下であり、
前記防カビ剤の含有量が0.1質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の表面処理液。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の表面処理液を、コンクリート又はモルタルの表面に塗装する工程を有することを特徴とする表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理液の製造方法、表面処理液及び表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートブロックを汚れやカビの発生から保護することが求められている。
【0003】
しかしながら、撥水性、撥油性及び防カビ性に優れるコンクリートブロックは開発されていなかった。
【0004】
特許文献1には、溶媒中に撥水・撥油性を有する防汚剤と耐アルカリ性の防カビ剤を溶解あるいは分散させた表面処理加工液をコンクリートブロック表面に付着浸透させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−290920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撥油性をさらに向上させることが望まれている。
【0007】
本発明の一態様は、上記従来技術が有する問題に鑑み、撥水性、撥油性及び防カビ性に優れる表面を形成することが可能な表面処理液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、表面処理液の製造方法において、防カビ剤の水分散液を調製する工程と、該防カビ剤の水分散液に防汚剤を加える工程を有し、前記防カビ剤の水分散液中の前記防カビ剤の含有量は、10質量%以下であり、前記防カビ剤は、イミダゾール系化合物及び/又はトリアゾール系化合物であり、前記防汚剤は、フルオロアルキルアクリレートコポリマーである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、撥水性、撥油性及び防カビ性に優れる表面を形成することが可能な表面処理液を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】表面処理コンクリートブロックの撥水・撥油性の評価結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
【0012】
表面処理液の製造方法は、防カビ剤の水分散液を調製する工程と、防カビ剤の水分散液に防汚剤を加える工程を有する。これにより、防カビ剤及び防汚剤を水中に溶解又は分散させることができる。その結果、撥水性、撥油性及び防カビ性に優れる表面を形成することができる。
【0013】
防汚剤は、フルオロアルキルアクリレートコポリマーである。このため、表面の撥油性をさらに向上させることができる。
【0014】
防カビ剤は、イミダゾール系化合物及び/又はトリアゾール系化合物である。
【0015】
イミダゾール系化合物としては、特に限定されないが、チアベンダゾール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0016】
トリアゾール系化合物としては、特に限定されないが、テブコナゾール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0017】
防カビ剤の水分散液中の防カビ剤の含有量は、10質量%以下であり、5質量%以下であることが好ましい。防カビ剤の水分散液中の防カビ剤の含有量が10質量%を超えると、防汚剤を加える際に、防カビ剤が凝集してフロックを形成するため、防カビ性が低下する。
【0018】
表面処理液中の水の含有量は、通常、80.0〜99.6質量%であり、90.0〜95.0質量%であることが好ましい。
【0019】
表面処理液中の防カビ剤の含有量は、通常、0.1〜5.0質量%であり、0.3〜2.0質量%であることが好ましい。
【0020】
表面処理液は、水と混和することが可能な有機溶媒をさらに含んでいてもよい。
【0021】
水と混和することが可能な溶媒としては、特に限定されないが、エタノール等が挙げられる。
【0022】
表面処理方法は、表面処理液を、コンクリート又はモルタルの表面に塗装する工程を有する。
【0023】
表面処理液の塗装方法としては、特に限定されないが、吹き付け塗装法、ローラー塗装法等が挙げられる。
【実施例】
【0024】
なお、本実施例中、部は、質量部を意味する。
【0025】
[実施例1]
防カビ剤としてのチアベンダゾールの30質量%水分散液(市販品)1部を水89部で希釈し、チアベンダゾールの0.33質量%水分散液を得た。次に、防汚剤としてのフルオロアルキルアクリレートコポリマーの25質量%水分散液(市販品)10部を加えて混合し、表面処理液を得た。その結果、防カビ剤及び防汚剤は良好に分散していた。
【0026】
[比較例1]
防汚剤としての部分フッ素化アルコールのリン酸エステルのアンモニウム塩の20質量%水溶液(市販品)10部を水89部で希釈した後、防カビ剤としてのチアベンダゾールの30質量%水分散液(市販品)1部を加えて混合し、表面処理液を得た。その結果、防カビ剤及び防汚剤は良好に分散していた。
【0027】
[比較例2]
防汚剤としてのフルオロアルキルアクリレートコポリマーの25質量%水分散液(市販品)10部を水89部で希釈した後、防カビ剤としてのチアベンダゾールの30質量%水分散液(市販品)1部を加えて混合し、表面処理液を得た。その結果、防カビ剤が凝集してフロックを形成していた。
【0028】
[撥水性及び撥油性]
コンクリートブロックの表面に表面処理液を吹き付けコートした後、乾燥させ、表面処理コンクリートブロックを得た。
【0029】
表面処理コンクリートブロックの表面に、メチレンブルーを含む水及び食用油を滴下し、撥水・撥油性を評価した。
【0030】
図1(a)、(b)及び(c)に、実施例1、比較例1及び比較例2の表面処理液により表面が処理されたコンクリートブロックの撥水・撥油性の評価結果を示す。なお、図中、上段及び下段は、それぞれメチレンブルーを含む水及び食用油である。
【0031】
図1から、実施例1及び比較例2の表面処理液により表面が処理されたコンクリートブロックは、撥水性及び撥油性に優れることがわかる。
【0032】
これに対して、比較例1の表面処理液により表面が処理されたコンクリートブロックは、防汚剤として、部分フッ素化リン酸エステルアンモニウムが用いられているため、撥水性及び撥油性が低下することがわかる。
【0033】
[防カビ性]
モルタル片の表面に表面処理液を吹き付け塗装した後、乾燥させ、表面処理モルタル片を得た。
【0034】
JIS Z 2911:2000(カビ抵抗性試験方法)に準拠して、表面処理モルタル片の防カビ性を評価した。具体的には、表面処理モルタル片をポテトデキストロース寒天培地の中央に置き、培地と表面処理モルタル片に混合胞子懸濁液1mlをまきかけた後、蓋をして28±2℃、90%RH以上に調整した恒温恒湿槽に入れて培養した。なお、表面処理モルタル片の接した部分に菌糸の発育が認められない場合を0、表面処理モルタル片の接した部分に認められる菌糸の発育部分の面積が全面積の1/3未満である場合を1、表面処理モルタル片の接した部分に認められる菌糸の発育部分の面積が全面積の1/3以上である場合を2として、判定した。
【0035】
表1に、表面処理モルタル片の防カビ性の評価結果を示す。
【0036】
【表1】
表1から、実施例1、比較例1の表面処理液により表面が処理されたモルタル片は、防カビ性に優れることがわかる。
【0037】
これに対して、比較例2の表面処理液により表面が処理されたモルタル片は、抗菌・防カビ剤が凝集してフロックを形成したため、防カビ性が低下する。
図1