【課題】選択可能な検査アルゴリズムが多数ある場合でもユーザが各検査アルゴリズムの特性を容易に把握でき、検査に適した検査アルゴリズムを容易に決定することができるX線検査装置を提供すること。
【解決手段】X線検査装置1は、複数の検査アルゴリズムを施した結果の濃淡画像である検査画像Wkと、検査画像Wkの搬送方向と直交する方向の濃淡レベルの各ピーク値を搬送方向に沿って描画した2次元断面波形画像である射影画像Wsとを生成する画像処理部43と、複数の検査アルゴリズム毎の射影画像Wsを縮小した縮小射影画像Wssを並べて同時に表示器41に表示させる表示制御部47と、を備えている。
X線を照射し、被検査物(W)を透過したX線を検出して得られた透過画像に対して、複数の画像フィルタを組み合わせてなる複数の検査アルゴリズムを施し、前記被検査物を検査するX線検査装置において、
前記複数の検査アルゴリズムを施した結果の濃淡画像である検査画像(Wk)と、前記検査画像の搬送方向と直交する方向の濃淡レベルの各ピーク値を搬送方向に沿って描画した2次元断面波形画像である射影画像(Ws)とを生成する画像処理部(43)と、
前記複数の検査アルゴリズム毎の前記射影画像を縮小した縮小射影画像(Wss)を並べて同時に表示器(41)に表示させる表示制御部(47)と、を備えたことを特徴とするX線検査装置。
前記表示器には、前記検査画像を表示するための検査画像表示部(41h)と、前記射影画像を表示するための射影画像表示部(41q)とが、搬送方向の位置に一致するように、互いに上下に配置され、
前記表示制御部は、前記複数の検査アルゴリズムの何れかを選択する操作に応じて、選択された該検査アルゴリズムでの前記射影画像を前記射影画像表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
前記表示制御部は、前記選択する操作で選択された前記検査アルゴリズムでの前記検査画像を前記射影画像と同時に前記表示器に表示させることを特徴とする請求項2に記載のX線検査装置。
前記表示制御部は、前記複数の検査アルゴリズム毎の縮小射影画像に、前記検査画像を用いて良否判定するための閾値レベルを表示させることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のX線検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のX線検査装置において、選択可能な検査アルゴリズムが多数ある場合、ユーザが各検査アルゴリズムの特性を全て把握することは困難であった。特に、食品や医薬品などの生産ラインに組み込まれて、生産される製品の品質を検査するX線検査装置の分野では、画像処理技術の向上や検査アルゴリズムの高度化により検査項目や検査内容がより多様化してきている。このため、ユーザは各検査アルゴリズムの特性を把握するまで多くの時間を費やしてしまい、検査に適した検査アルゴリズムを容易に決定することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、選択可能な検査アルゴリズムが多数ある場合でもユーザが各検査アルゴリズムの特性を容易に把握でき、検査に適した検査アルゴリズムを容易に決定できるX線検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るX線検査装置は、X線を照射し、被検査物を透過したX線を検出して得られた透過画像に対して、複数の画像フィルタを組み合わせてなる複数の検査アルゴリズムを施し、前記被検査物を検査するX線検査装置において、前記複数の検査アルゴリズムを施した結果の濃淡画像である検査画像と、前記検査画像の搬送方向と直交する方向の濃淡レベルの各ピーク値を搬送方向に沿って描画した2次元断面波形画像である射影画像とを生成する画像処理部と、前記複数の検査アルゴリズム毎の前記射影画像を縮小した縮小射影画像を並べて同時に表示器に表示させる表示制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成により、画像処理部は検査中の被検査物に基づく実際の射影画像を生成し、表示制御部は、複数の検査アルゴリズム毎の射影画像を縮小した縮小射影画像を並べて同時に表示器に表示させるので、ユーザは、各縮小射影画像を同時に比較することで、各検査アルゴリズムの特性を容易に把握することができる。このため、選択可能な検査アルゴリズムが多数ある場合でもユーザが各検査アルゴリズムの特性を容易に把握でき、検査に適した検査アルゴリズムを容易に決定することができる。
【0011】
また、本発明に係るX線検査装置において、前記表示器には、前記検査画像を表示するための検査画像表示部と、前記射影画像を表示するための射影画像表示部とが、搬送方向の位置に一致するように、互いに上下に配置され、前記表示制御部は、前記複数の検査アルゴリズムの何れかを選択する操作に応じて、選択された該検査アルゴリズムでの前記射影画像を前記射影画像表示部に表示させることを特徴とする。
【0012】
この構成により、被検査物に異物が含まれている場合に、検査画像と射影画像を同時に参照することで、被検査物の平面上の異物の位置と被検査物の幅方向の異物の位置を容易に把握できるとともに、射影画像から異物の検出状態を把握することができる。
【0013】
また、本発明に係るX線検査装置において、前記表示制御部は、前記選択する操作で選択された前記検査アルゴリズムでの前記検査画像を前記縮小射影画像と同時に前記表示器に表示させることを特徴とする。
【0014】
この構成により、被検査物に異物が含まれている場合に、検査画像から被検査物の平面上の異物の位置を把握でき、縮小射影画像または射影画像から被検査物の幅方向の異物の有無または異物の位置を把握することができる。
【0015】
また、本発明に係るX線検査装置において、前記表示器は、前記検査画像を表示する検査画像表示部と、前記縮小射影画像を表示する縮小射影画像表示部と、を有し、前記検査画像表示部の領域に前記縮小射影画像表示部が含まれていることを特徴とする。
【0016】
この構成により、検査画像表示部の領域外に縮小射影画像表示部を配置する場合と比較して、縮小射影画像表示部の領域を大きくすることができる。このため、各縮小射影画像を大きく表示できるので、縮小射影画像からアルゴルズムの特性を容易に把握することができる。
【0017】
また、本発明に係るX線検査装置において、前記表示制御部は、前記縮小射影画像を前記検査画像に重ねて表示させることを特徴とする。
【0018】
この構成により、縮小射影画像を検査画像に重ならないように表示する場合と比較して、各縮小射影画像をより大きく表示できるので、縮小射影画像から検査アルゴリズムの特性をより容易に把握できる。
【0019】
また、本発明に係るX線検査装置において、前記表示制御部は、前記複数の検査アルゴリズム毎の縮小射影画像に、前記検査画像を用いて良否判定するための閾値レベルを表示させることを特徴とする。
【0020】
この構成により、ユーザは、検出リミット値と縮小射影画像とを比較し、閾値レベルと縮小射影画像との間隔である余裕度を把握することができる。
【0021】
また、本発明に係るX線検査装置は、前記表示器がタッチパネルからなり、前記表示制御部は、前記縮小射影画像の何れかに対して選択操作が行われたことを条件として、複数の前記縮小射影画像を消去するとともに、複数の前記検査アルゴリズムの何れかを選択する選択ボタンを前記表示器に表示させることを特徴とする。
【0022】
この構成により、縮小射影画像の何れかに対する選択操作が行われて縮小射影画像の表示を終了した後は、選択ボタンにより検査アルゴリズムを選択することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、選択可能な検査アルゴリズムが多数ある場合でもユーザが各検査アルゴリズムの特性を容易に把握でき、検査に適した検査アルゴリズムを容易に決定することができるX線検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、構成を説明する。
【0026】
図1において、X線検査装置1は、搬送部2と検査部3とを筐体4の内部に備えており、表示器41を筐体4の前面上部に備えている。
【0027】
搬送部2は、本発明の被検査物を構成する被検査物Wを、所定間隔をおいて順次搬送するものであり、搬送部2は、例えば、筐体4の内部で水平に配置されたベルトコンベアにより構成されている。
【0028】
搬送部2は、
図1に示す駆動モータ6の駆動により予め設定された搬送速度で搬入口7から搬入された被検査物Wを、搬出口8側(
図1中、X方向)に向けて搬送面としてのベルト面2a上を搬送させる。筐体4の内部において、ベルト面2a上を搬入口7から搬出口8まで貫通する空間は、搬送路21を形成する。
【0029】
検査部3は、順次搬送される被検査物Wに対し、搬送路21の途中の検査空間22においてX線を照射するとともに被検査物Wを透過するX線を検出するものであり、搬送路21の途中の検査空間22の上方に所定高さで離隔して配置されたX線発生器9と、搬送部2内にX線発生器9と対向して配置されたX線検出器10とを備えている。
【0030】
X線発生器9は、金属製の箱体11の内部に設けられた円筒状のX線管12を図示しない絶縁油に浸漬した構成を有しており、X線管12の陰極からの電子ビームを陽極のターゲットに照射させてX線を生成している。
【0031】
X線管12は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(X方向)となるよう配置されている。X線管12により生成されたX線は、下方のX線検出器10に向けて、図示しないスリットにより略三角形状のスクリーン状となって搬送方向(X方向)を横切るように照射される。
【0032】
図2に示すように、X線発生器9から照射されるX線は、下方のX線検出器10に到達するようになっており、X線検出器10は、X線を検出するためのX線ラインセンサ51を備えている。X線ラインセンサ51は、図示しないシンチレータおよびフォトダイオードアレイを備えており、X線をシンチレータで光に変換し、この光をフォトダイオードアレイで電気信号に変換してX線透過データを出力する。
【0033】
搬送路21内の天井部21aには、搬送方向(X方向)に沿って複数個所にX線遮蔽用の遮蔽カーテン16が吊り下げ配置されている。遮蔽カーテン16は、X線を遮蔽する鉛粉を混入したゴムシートをのれん状(上部が繋がっており下部が帯状に分割された状態)に加工したものから構成されており、遮蔽カーテン16は、検査空間22から搬送路21を介してX線が筐体4の外部に漏洩することを防止する。
【0034】
遮蔽カーテン16は、本実施形態では、搬入口7と検査空間22との間、および検査空間22と搬出口8との間にそれぞれ2枚ずつ設けられており、1つの遮蔽カーテン16が被検査物Wと接触して弾性変形して隙間が生じた場合でも、他の遮蔽カーテン16がX線を遮蔽するので、漏洩基準量を超えることなくX線の漏洩を防止できる。本実施形態のX線検査装置1は、搬送路21における遮蔽カーテン16により囲まれた内側の空間が検査空間22を構成している。
【0035】
X線検査装置1は、制御回路40と表示器41とを備えている。制御回路40は、X線検出器10からのX線透過データが画像化した透過画像が入力されるとともに被検査物W中の異物や欠陥の有無を検査するようになっている。
【0036】
表示器41は、タッチパネルとして構成されており、制御回路40による検査結果等を表示出力する表示部と、制御回路40への各種パラメータ等の設定入力を行う操作部とが一体的に設けられている。
【0037】
図4において、表示器41は、画像表示領域41Aを備えており、画像表示領域41Aは、品種番号表示部41aと、検査結果表示部41bと、検査内容表示部41cと、検出リミット値表示部41dと、スタートボタン41eと、ストップボタン41fと、表示モード切り換えボタン41gと、検査画像表示部41hと、照射状態表示部41iと、コンベア動作状態表示部41jと、設定調整ボタン41kと、生産管理ボタン41mと、動作確認ボタン41nとを備えている。
【0038】
品種番号表示部41aは、被検査物Wの品種(例えば、肉、魚、加工食品、医薬品)に応じて番号を設定するとともに、設定された品種に応じた番号を表示する。検査結果表示部41bは、被検査物Wの良否判定結果を「OK」や「NG」等の文字または記号で表示する。
【0039】
検査内容表示部41cは、被検査物Wの検査総数と検査総数に対する良品の総数と不良品の総数とを表示する。検出リミット値表示部41dにおいて、被検査物Wの品種や検出対象となる異物の種類等に応じて異なる複数の値(閾値)の設定が可能となっており、検出リミット値表示部41dが操作されることで、検出リミット値が適宜設定され、検出リミット値表示部41dには設定された検出リミット値が表示される。検出リミット値の設定は、検査アルゴリズム選択ボタン表示部41rで選択された検査アルゴリズムに対して行われる。
【0040】
スタートボタン41eは、X線検査装置1の運転の開始を指示するときに操作され、ストップボタン41fは、X線検査装置1の運転の停止を指示するときに操作される。表示モード切り換えボタン41gは、検査画像表示部41hに表示される表示形態(表示モード)を選択するときに操作される。
【0041】
検査画像表示部41hは、被検査物Wの検査画像(
図5に示す検査画像Wk)に関する情報を表示する。照射状態表示部41iは、X線の照射中であるか否かを表示し、コンベア動作状態表示部41jは、搬送部2が動作中であるか否かを表示する。
【0042】
設定調整ボタン41kは、被検査物Wの品種の切り換え等の設定、検出リミット、画像処理部43で用いる検査アルゴリズム等のパラメータの設定および調整を行う設定調整画面を呼び出す。生産管理ボタン41mは、生産管理のための統計データ等を表示する生産管理画面を呼び出す。動作確認ボタン41nは、X線検査装置1の検出感度等を確認する動作確認画面を呼び出す。
【0043】
画像表示領域41Aにおいて、品種番号表示部41a、検査結果表示部41b、検査内容表示部41c、検出リミット値表示部41d、スタートボタン41eおよびストップボタン41fは、検査画像表示部41hに対して
図4中、右側の領域に設けられている。
【0044】
画像表示領域41Aにおいて、照射状態表示部41iおよびコンベア動作状態表示部41jは、検査画像表示部41hの上方に設けられており、表示モード切り換えボタン41g、設定調整ボタン41k、生産管理ボタン41mおよび動作確認ボタン41nは、検査画像表示部41hの下方に設けられている。
【0045】
図2において、制御回路40は、X線画像記憶部42、画像処理部43、判定部44、制御部46および表示制御部47を備えている。
【0046】
X線画像記憶部42は、X線検出器10から受け取ったX線画像を一時的に記憶する。画像処理部43は、X線画像記憶部42から読み出した透過画像に対して特徴抽出や異物強調のためのフィルタ処理等の画像処理を施す。
【0047】
画像処理部43は、
図3に示すように、入力される透過画像に対して並列に画像処理ブロック31を複数備えている。各画像処理ブロックは、フィルタ処理部32と検査画像生成部33と射影画像生成部34とを有している。画像処理部43は、互いに異なる複数(本実施形態では11個)の検査アルゴリズムを記憶しており、検査アルゴリズムの数だけ画像処理ブロック31を備えている。
図3では、説明を簡単にするため3つの画像処理ブロック31を表している。
【0048】
各画像処理ブロック31において、フィルタ処理部32は、透過画像に対して複数の検査アルゴリズムの何れかを用いて特徴抽出や異物強調のためのフィルタ処理等を組み合わせた画像処理を行う。検査画像生成部33は、画像処理済の濃淡画像から、被検査物Wの平面視に対応する2次元画像である検査画像(
図6の検査画像Wkを参照)を生成する。射影画像生成部34は、画像処理済の濃淡画像から検査画像の搬送方向と直交する方向の濃淡レベルの各ピーク値を搬送方向に沿って描画した2次元断面波形画像である射影画像(
図6の射影画像Wsを参照)を生成する。
【0049】
画像処理部43は、各検査アルゴリズムに対応する全ての射影画像と検査画像を出力する。また、画像処理部43は射影画像セレクタ35を備えており、この射影画像セレクタ35は、各画像処理ブロック31の射影画像生成部34で生成された射影画像が入力されるとともに、入力された射影画像の何れかを出力する。すなわち、画像処理部43は、各射影画像生成部34で生成された全ての射影画像と、射影画像セレクタ35で選択された射影画像の両方を出力する。
【0050】
各射影画像生成部34で生成された検査アルゴリズム数分の全ての射影画像は表示制御部47に入力される。射影画像セレクタ35で選択された射影画像は、表示制御部47に入力される。
【0051】
また、画像処理部43は検査画像セレクタ36を備えており、この検査画像セレクタ36は、各画像処理ブロック31の検査画像生成部33で生成された検査アルゴリズム数分の検査画像が入力されるとともに、入力された検査画像の何れかを出力する。検査画像セレクタ36で選択された検査画像は、表示制御部47に入力される。
【0052】
判定部44は、画像処理部43によって画像処理済の検査画像と、検出リミット値表示部41dにより検査アルゴリズム毎に予め設定された検出リミット値とを比較し、この比較結果に基づいて被検査物Wの異物混入の有無や欠陥の有無を判別している。そして、判定部44は、検査に用いる各検査アルゴリズムで、画像処理済の検査画像が検出リミット値を超えたときに、その被検査物Wが不良品であると判断する。
【0053】
表示制御部47は、X線画像記憶部42に格納された各被検査物Wの透過画像、画像処理部43から出力される画像処理済の検査画像と射影画像、および異物の判別結果に基づいて、被検査物Wの検査結果の画像を作成する。
【0054】
表示制御部47は、判定部44の良否判別結果と、画像処理部43で生成された検査画像とに基づき、これら検査画像および良否判別結果を含む画像が画像表示領域41Aの検査画像表示部41hに表示されるように表示器41を制御する。
【0055】
被検査物Wの検査停止中においては、
図4に示すように、表示制御部47は、画像表示領域41Aに初期画面61を表示する。初期画面61において、検査画像表示部41h、検査結果表示部41bおよび検査内容表示部41cは空白となっている。この状態からスタートボタン41eが操作されることで、被検査物Wの検査が開始される。被検査物Wの検査中は、
図5に示すように、画像表示領域41Aには検査中の検査画面62が表示される。
【0056】
被検査物Wの検査中においては、
図5に示すように、表示制御部47は、被検査物Wの検査画像Wkと、被検査物Wの良否判定結果(「NG」の文字)を表示器41に表示させている。ここでは、被検査物WとしてパッケージPに4つの内容物N1〜N4が収容されたものを例にしている。検査画像Wkにおいては、内容物N2、N3に異物71が混入されている状態が表示されている。
【0057】
また、表示制御部47は、検査中の被検査物Wの良否判別結果を示す画像が検査画像表示部41hに表示されるように表示器41を制御するとともに、被検査物Wの検査毎に、被検査物Wの総検査数、良品数、NG総数等の検査結果を更新し、更新された総検査数、良品数、NG総数等の検査結果がそれぞれ検査内容表示部41cに表示されるように表示器41を制御する。
【0058】
被検査物Wの検査中に設定調整ボタン41kが操作されて検査アルゴリズム選択画面の呼び出しが指示された場合、表示制御部47は、
図6に示すように、検査アルゴリズム選択画面63を表示器41の画像表示領域41Aに表示させる。
【0059】
図6において、表示制御部47は、複数の検査アルゴリズムにそれぞれ対応する射影画像を縮小した縮小射影画像Wssを並べて同時に表示器41に表示させる。言い換えると、表示制御部47は、検査アルゴリズムの選択のための縮小射影画像Wssを一覧形式で表示器41に表示させる。なお、射影画像を画面縦方向に縮小する場合、検査アルゴリズム数に応じて縮小率を連続的に変化させるのが好ましい。また、射影画像を画面横方向に縮小する場合、表示列数に応じて段階的に射影画像を1/2、1/3、...の大きさに縮小するのが好ましい。
【0060】
画像表示領域41Aの検査画像表示部41hには、11個の検査アルゴリズムを識別するためのCT0〜CT10の文字とともに、各検査アルゴリズムに対応する縮小射影画像Wssが一覧形式で表示されている。
【0061】
検査画像表示部41hには、CT0〜CT5の6つの検査アルゴリズムにそれぞれ対応する縮小射影画像Wssが、検査画像表示部41hの左半分に上部から下部に向って昇順に配置されている。また、検査画像表示部41hには、CT6〜CT10の5つの検査アルゴリズムにそれぞれ対応する縮小射影画像Wssが、検査画像表示部41hの右半分に上部から下部に向って昇順に配置されている。
【0062】
各縮小射影画像Wssには、良否判定するための閾値レベルである検出リミット値Lが表示されている。検出リミット値Lが表示されることで、ユーザは、この検出リミット値Lと縮小射影画像Wssとを比較し、検出リミット値Lと縮小射影画像Wssとの間隔である余裕度を把握することができる。各縮小射影画像Wssの左方には、検出リミット値Lと縮小射影画像Wssとの間隔に応じた色彩で、余裕度を表す余裕度マークYが表示されている。余裕度マークYは、余裕度が小さくなるに連れて色彩が緑、橙、赤に順次変化するようになっている。余裕度がゼロのときは余裕度マークが赤の色彩で表示される。
【0063】
また、表示制御部47は、表示器41に一覧形式で表示されたCT0〜CT10の縮小射影画像Wssに対する選択操作に応じて、選択された縮小射影画像Wssの縮小前の射影画像Wsを表示器41の画像表示領域41Aに表示させる。縮小射影画像Wssに対する選択操作は、所望の縮小射影画像Wssをタッチすることで行われる。
【0064】
一覧形式で表示された各縮小射影画像Wssのうち、CT0の検査アルゴリズムに対応する縮小射影画像Wssに対してユーザにより選択操作が行なわれている。これにより、表示器41の画像表示領域41Aの下部には、CT0の検査アルゴリズムに対応する縮小前の射影画像Wsが表示される。
【0065】
また、表示制御部47は、ユーザにより選択された縮小射影画像Wssの検査アルゴリズムでの検査画像Wkを、縮小射影画像Wssと同時に表示器41の画像表示領域41Aに表示させる。
【0066】
表示器41の画像表示領域41Aには、ユーザによる選択操作で選択されたCT0の検査アルゴリズムに対応する検査画像Wkが表示されている。
【0067】
表示器41は縮小射影画像Wssを表示する縮小射影画像表示部41pを更に有している。
図6において、縮小射影画像表示部41pは、検査画像表示部41hの領域内に含まれている。なお、縮小射影画像表示部41pは、検査画像表示部41hの領域と一致していてもよい。
【0068】
また、表示制御部47は、画像表示領域41Aにおいて、縮小射影画像Wssを検査画像Wkに重ねて表示させる。
図6において、CT2〜CT5に対応する縮小射影画像Wssは、検査画像Wkに重なっている。なお、被検査物Wの良否判定は、検査画像Wkとリミット値との比較により行われているため、画像表示領域41Aの表示態様は良否判定結果に影響しない。
【0069】
表示器41の画像表示領域41Aは、射影画像Wsを表示する射影画像表示部41qを更に有しており、この射影画像表示部41qは、検査画像表示部41hの下方に配置されている。なお、射影画像表示部41qは、検査画像表示部41hの上方に配置されていてもよい。
【0070】
表示器41には、検査画像Wkを表示するための検査画像表示部41hと、射影画像Wsを表示するための射影画像表示部41qとが、被検査物Wの搬送方向の位置に一致するように、互いに上下に配置されている。ここで、検査画像Wkおよび射影画像Wsは、搬送部2による被検査物Wの移動に合わせて検査画像表示部41h上を被検査物Wの移動方向と同方向に移動するように検査画像表示部41hに表示されてもよいし、検査画像表示部41hの左右方向中央部に静止するように表示させてもよい。
【0071】
検査画像Wkおよび射影画像Wsを検査画像表示部41hの左右方向中央部に静止させる場合、検査中の被検査物Wの次の被検査物Wが検査空間22に搬送されたタイミングで、次の被検査物Wの検査画像Wkおよび射影画像Wsに表示が更新される。
【0072】
また、表示制御部47は、表示器41に一覧形式で表示された縮小射影画像Wssの何れかを選択する操作が行われたことを条件として、
図7に示すように、画像表示領域41Aの表示内容を射影画像表示画面64に切り換える。
【0073】
表示制御部47は、
図7の射影画像表示画面64において、
図6の検査アルゴリズム選択画面63と同様に、検査画像Wkおよび射影画像Wsを、被検査物Wの搬送方向の位置が一致するように表示させている。また、表示制御部47は、CT0〜CT10の各検査アルゴリズムに対応する選択ボタンBを表示器41に表示させる。すなわち、画像表示領域41Aは検査内容表示部41cと検出リミット値表示部41dの間に検査アルゴリズム選択ボタン表示部41rを有し、縮小射影画像Wssをタッチすることで所望の検査アルゴリズムが選択された後は、選択ボタンBによって直接的に検査アルゴリズムの選択が可能となる。また、縮小射影画像Wssをタッチすることで所望の検査アルゴリズムが選択された後は、縮小射影画像Wssが消去される。
【0074】
なお、
図6において、射影画像Wsは、縮小射影画像Wssへのタッチ操作により選択された検査アルゴリズムでの射影画像に、タッチ操作前に設定されていた検査アルゴリズムの射影画像を重ねたり、所定時間間隔で交互に切り換えたり、色彩を異ならせる態様で表示してもよい。
【0075】
本実施形態のX線検査装置1によれば、複数の検査アルゴリズムを施した結果の濃淡画像である検査画像Wkと、検査画像Wkの搬送方向と直交する方向の濃淡レベルの各ピーク値を搬送方向に沿って描画した2次元断面波形画像である射影画像Wsとを生成する画像処理部43と、複数の検査アルゴリズム毎の射影画像Wsを縮小した縮小射影画像Wssを並べて同時に表示器41に表示させる表示制御部47と、を備えている。
【0076】
この構成により、画像処理部43は検査中の被検査物Wに基づく実際の射影画像を生成し、表示制御部47は、複数の検査アルゴリズム毎の射影画像Wsを縮小した縮小射影画像Wssを並べて同時に表示器41に表示させるので、ユーザは、各縮小射影画像Wssを同時に比較することで、各検査アルゴリズムの特性を容易に把握することができる。
【0077】
このため、選択可能な検査アルゴリズムが多数ある場合でもユーザが各検査アルゴリズムの特性を容易に把握でき、検査に適した検査アルゴリズムを容易に決定することができる。
【0078】
また、本実施形態のX線検査装置1によれば、表示器41には、検査画像Wkを表示するための検査画像表示部41hと、射影画像Wkを表示するための射影画像表示部41qとが、搬送方向の位置に一致するように、互いに上下に配置され、表示制御部47は、複数の検査アルゴリズムの何れかを選択する操作に応じて、選択された検査アルゴリズムでの射影画像Wsを射影画像表示部41qに表示させる
【0079】
この構成により、被検査物Wに異物が含まれている場合に、検査画像Wkと射影画像Wsを同時に参照することで、被検査物Wの平面上の異物の位置と被検査物Wの幅方向の異物の位置を容易に把握できるとともに、射影画像Wsから異物の検出状態を把握することができる。
【0080】
また、本実施形態のX線検査装置1によれば、表示制御部47は、選択する操作で選択された検査アルゴリズムでの検査画像Wkを縮小射影画像Wssと同時に表示器41に表示させる。
【0081】
この構成により、被検査物Wに異物が含まれている場合に、検査画像Wkから被検査物Wの平面上の異物の位置を把握でき、縮小射影画像Wssまたは射影画像Wsから被検査物Wの幅方向の異物の有無または異物の位置を把握することができる。
【0082】
また、本実施形態のX線検査装置1によれば、表示器41は、検査画像Wkを表示する検査画像表示部41hと、縮小射影画像Wssを表示する縮小射影画像表示部41pと、を有し、検査画像表示部41hの領域に縮小射影画像表示部41pが含まれている。
【0083】
この構成により、検査画像表示部41hの領域外に縮小射影画像表示部41pを配置する場合と比較して、縮小射影画像表示部41pの領域を大きくすることができる。このため、各縮小射影画像Wssを大きく表示できるので、縮小射影画像Wssからアルゴルズムの特性を容易に把握することができる。
【0084】
また、本実施形態のX線検査装置1によれば、表示制御部47は、縮小射影画像Wssを検査画像Wkに重ねて表示させる。
【0085】
この構成により、縮小射影画像Wssを検査画像Wkに重ならないように表示する場合と比較して、各縮小射影画像Wssをより大きく表示できるので、縮小射影画像Wssから検査アルゴリズムの特性をより容易に把握できる。
【0086】
また、本実施形態のX線検査装置1によれば、表示制御部47は、複数の検査アルゴリズム毎の縮小射影画像Wssに、検査画像Wkを用いて良否判定するための検出リミット値Lを表示させる。
【0087】
この構成により、ユーザは、検出リミット値Lと縮小射影画像Wssとを比較し、検出リミット値Lと縮小射影画像Wssとの間隔である余裕度を把握することができる。
【0088】
また、本実施形態のX線検査装置1によれば、表示器41がタッチパネルからなり、表示制御部47は、縮小射影画像Wssの何れかに対して選択操作が行われたことを条件として、複数の縮小射影画像Wssを消去するとともに、複数の検査アルゴリズムの何れかを選択する選択ボタンBを表示器41に表示させる。
【0089】
この構成により、縮小射影画像Wssの何れかに対する選択操作が行われて縮小射影画像Wssの表示を終了した後は、選択ボタンBにより検査アルゴリズムを選択することができる。