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特開2016-116481煎餅食品,煎餅食品の製造方法及び成形型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-116481(P2016-116481A)
(43)【公開日】2016年6月30日
(54)【発明の名称】煎餅食品,煎餅食品の製造方法及び成形型
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/48 20060101AFI20160603BHJP
   A23G 3/50 20060101ALI20160603BHJP
【FI】
   A23G3/00 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-258229(P2014-258229)
(22)【出願日】2014年12月22日
(71)【出願人】
【識別番号】514326476
【氏名又は名称】鶴城酒造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】菅野 慶四郎
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GE02
4B014GG03
4B014GG17
4B014GP15
4B014GP20
4B014GQ05
4B014GU06
(57)【要約】
【課題】 具材を内部に封じ込めて一体化し、はみ出ないようにするとともに、旧来にない斬新な形状で斬新な味の煎餅食品を提供する。
【解決手段】 穀類を主原料とする生地が一方型及び他方型からなる成形型に入れられ焼成されて製造され、円盤状の本体1と、本体1の外周に一体形成され本体1よりも薄い耳部2とを備えた煎餅食品Sにおいて、本体1を形成する生地内に軟質の具材Gを包容して焼成し、具材Gを生地の焼成により硬質となった外側の主材3内に封入した。本体1は、一方型により膨出成形される一方部1aと、他方型により一方部1aの外形と対称に且つ同形状に膨出形成される他方部1bとを備えて構成し、耳部2を一方部1aと他方部1bとの外周の境界から放射方向に延びる鍔状に成形した。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀類を主原料とする生地が一方型及び他方型からなる成形型に入れられ焼成されて製造され、盤状の本体と該本体の外周に一体形成され該本体よりも薄い耳部とを備えた煎餅食品において、
上記本体を形成する生地内に軟質の具材を包容して焼成し、該具材を生地の焼成により硬質となった外側の主材内に封入したことを特徴とする煎餅食品。
【請求項2】
上記本体を、上記一方型により膨出成形される一方部と、上記他方型により上記一方部の外形と対称に且つ同形状に膨出形成される他方部とを備えて構成し、上記耳部を上記一方部と他方部との外周の境界から放射方向に延びる鍔状に成形したことを特徴とする請求項1記載の煎餅食品。
【請求項3】
上記一方部の外形を、平面状の天面と、該天面の外周縁に連続し上記他方部側に向けて末広がりに傾斜した側面とを備えて構成し、上記他方部の外形を、上記一方部の天面と平行な平面状の天面と、該天面の外周縁に連続し上記一方部側に向けて末広がりに傾斜した側面とを備えて構成したことを特徴とする請求項2記載の煎餅食品。
【請求項4】
上記耳部の一方面及び他方面の何れか一方に、周方向に沿い型成形される凹部を形成し、上記耳部の一方面及び他方面の何れか他方に、周方向に沿い上記凹部とともに型成形され上記凹部に対応した凸部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の煎餅食品。
【請求項5】
上記具材は、少なくとも肉の加工品若しくは魚介類の加工品を含むことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の煎餅食品。
【請求項6】
上記肉の加工品は、牛タンの調理品であることを特徴とする請求項5記載の煎餅食品。
【請求項7】
上記牛タンの調理品は、生の牛タンを酒の諸味若しくは酒粕に漬け込んで熟成する工程を含んで調理されていることを特徴とする請求項6記載の煎餅食品。
【請求項8】
上記生地は、酒の諸味若しくは酒粕を混合して熟成する工程を含んで作成されていることを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の煎餅食品。
【請求項9】
表面に金箔の小片を多数付着させたことを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載の煎餅食品。
【請求項10】
上記耳部の表面のみに金箔の小片を多数付着させたことを特徴とする請求項9記載の煎餅食品。
【請求項11】
上記請求項1乃至10何れかに記載の煎餅食品を製造する煎餅食品の製造方法において、
成形型として、一方型及び他方型を備え、該一方型及び他方型を、夫々、互いに対峙して本体を成形する本体成形部と、該本体成形部の外周に連設され互いに生地を押圧して耳部を圧延成形する平面状の耳部成形部とを備えて構成し、
所要量の生地を平板状に延展した延展生地を一対用意し、一方型に一方の延展生地を対応させ、他方型に他方の延展生地を対応させ、具材を一方の延展生地と他方の延展生地との間に挟み、一方型と他方型とを相対的に他方へ押圧しながら生地を焼成することを特徴とする煎餅食品の製造方法。
【請求項12】
上記請求項1乃至10何れかに記載の煎餅食品を成形する成形型において、
一方型及び他方型を備え、該一方型及び他方型を、夫々、互いに対峙して本体を成形する本体成形部と、該本体成形部の外周に連設され互いに生地を押圧して耳部を圧延成形する平面状の耳部成形部とを備えて構成し、
上記一方型及び他方型の何れか一方の耳部成形部に、周方向に沿う凹条を形成し、上記一方型及び他方型の何れか他方の耳部成形部に、周方向に沿い上記凹条に対応して突出し耳部となる生地を該凹条内に押し込む凸条を形成したことを特徴とする成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀類を主原料とする生地を成形型に入れて焼成して製造される耳付きの煎餅食品,煎餅食品の製造方法及び煎餅食品の成形に用いられる成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来、この種の煎餅食品としては、例えば、旧来から東北地方の南部煎餅などを代表として知られた周知の板状煎餅がある。この板状煎餅は、穀類を主原料とする生地が一方型及び他方型からなる成形型に入れられ焼成されて製造され、円盤状の本体と本体の外周に一体形成され本体よりも薄い耳部とを備えている(例えば特公昭46−41187号公報など参照)。
ところで、近年、このような板状煎餅の味を多様に楽しむために、一対の板状煎餅間に種々の具材(フィリング)を挟んで食することを行っている(例えば特開2003−61630号公報など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭46−41187号公報
【特許文献2】特開2003−61630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の煎餅間に種々の具材を挟んだ煎餅食品にあっては、煎餅と具材との一体性がなく、ばらけ易いとともに、一対の煎餅で具材を押えるようにすると具材が煎餅間からはみ出てしまい、食べにくいという問題があった。また、旧来からある耳付きの煎餅に具を挟む場合には、耳が二重になってしまい、益々食べにくくなってしまう。
本発明は上記の点に鑑みて為されたもので、具材を内部に封じ込めて一体化し、はみ出ないようにした煎餅食品,煎餅食品の製造方法及び煎餅食品の成形に用いられる成形型を提供することを目的とする。また、必要に応じ、旧来にない斬新な形状で斬新な味の煎餅食品を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するための本発明の煎餅食品は、穀類を主原料とする生地が一方型及び他方型からなる成形型に入れられ焼成されて製造され、盤状の本体と該本体の外周に一体形成され該本体よりも薄い耳部とを備えた煎餅食品において、
上記本体を形成する生地内に軟質の具材を包容して焼成し、該具材を生地の焼成により硬質となった外側の主材内に封入した構成としている。
【0006】
これにより、本体を形成する生地内に軟質の具材が包容されて焼成されるので、具材が本体の生地が焼成された主材と一体化するとともに、主材内に封入されることから、常態時において具材がばらけてはみ出してくる事態を防止することができる。また、これを食するときも具材がはみ出しにくくなり、極めて食し易くなる。特に、本体の外周には耳部が形成されているので、本体の外周部の剛性が高いものになっており、具材がばらけてはみ出す事態を確実に阻止することができる。
【0007】
また、煎餅の食感と具材の食感とが相まって斬新な食感を呈することができるとともに、具材の選択により味も斬新なものにすることができる。更に、本煎餅食品の形状が、旧来からある耳付きの煎餅と同様に耳付きであり、その耳付きの煎餅内に具材が封じ込められているので、食するものに驚きがあり、且つ、楽しめるようになる。そのため、商品価値の向上を図ることができる。更にまた、軟質の具材が硬質の主材に封じ込められるので、衛生上も好ましく、お土産品などとして応用範囲も広くなり、より一層商品価値を高めることができる。
【0008】
そして、必要に応じ、上記本体を、上記一方型により膨出成形される一方部と、上記他方型により上記一方部の外形と対称に且つ同形状に膨出形成される他方部とを備えて構成し、上記耳部を上記一方部と他方部との外周の境界から放射方向に延びる鍔状に成形した構成としている。一方部と他方部とが対称に且つ同形状に膨出形成され、しかも、その境界から耳部が突出しているので、形状が安定し、また、所謂UFOの円盤の如くも見え、この点でも、驚きがあり、且つ、楽しめるようになる。
【0009】
また、必要に応じ、上記一方部の外形を、平面状の天面と、該天面の外周縁に連続し上記他方部側に向けて末広がりに傾斜した側面とを備えて構成し、上記他方部の外形を、上記一方部の天面と平行な平面状の天面と、該天面の外周縁に連続し上記一方部側に向けて末広がりに傾斜した側面とを備えて構成している。平面状の天面としたので、扁平であり、そのため、食し易くなるとともに、取り扱いも容易になる。
【0010】
更に、必要に応じ、上記耳部の一方面及び他方面の何れか一方に、周方向に沿い型成形される凹部を形成し、上記耳部の一方面及び他方面の何れか他方に、周方向に沿い上記凹部とともに型成形され上記凹部に対応した凸部を形成した構成としている。これにより、耳部に凹部及び凸部からなる謂わばリブが形成されることになるので、耳部の剛性が高くなることから、より一層、本体の外周部の剛性を高いものにして、具材がばらけてはみ出す事態を確実に阻止することができる。
【0011】
そしてまた、上記具材は、少なくとも肉の加工品若しくは魚介類の加工品を含む構成としている。煎餅の食感と具材の食感とが相まって斬新な食感を呈することができるとともに、味も斬新なものにすることができる。
【0012】
この場合、必要に応じ、上記肉の加工品は、牛タン(牛の舌の肉)の調理品である構成としている。牛タンは、スライスしたものを用いることが有効である。盤状の本体に封入し易くなる。また、煎餅の食感と具材の食感とが相まって斬新な食感を呈することができるとともに、味も斬新なものにすることができる。特に、牛タンと煎餅の組み合わせなので、食するものに驚きがあり、且つ、楽しめるようになる。そのため、商品価値の向上を図ることができる。
また、この場合、必要に応じ、上記牛タンの調理品は、生の牛タンを酒の諸味若しくは酒粕に漬け込んで熟成する工程を含んで調理されている構成としている。牛タンの味が、まろやかになるとともに、風味豊かになり、より一層、斬新な味にすることができる。
【0013】
更に、必要に応じ、上記生地は、酒の諸味若しくは酒粕を混合して熟成する工程を含んで作成されている構成としている。生地を焼成した主材の味が、まろやかになるとともに、風味豊かになり、より一層、斬新な味にすることができる。
【0014】
更にまた、必要に応じ、表面に金箔の小片を多数付着させた構成としている。ここで、小片とは偏平片はもとより粉末も含む概念である。高級感を創出できるとともに、食べてみたくなる等の興味を引くことができる。
この場合、上記耳部の表面のみに金箔の小片を多数付着させたことが有効である。耳部はリング状になって本体を囲繞しているので、本体がリング状の金色に囲まれるようになることから、より一層高級感を創出することができ、食べてみたくなる等の興味を引くことができる。
【0015】
また、上記目的を達成するため、上記の煎餅食品を製造する煎餅食品の製造方法において、成形型として、一方型及び他方型を備え、該一方型及び他方型を、夫々、互いに対峙して本体を成形する本体成形部と、該本体成形部の外周に連設され互いに生地を押圧して耳部を圧延成形する平面状の耳部成形部とを備えて構成し、
所要量の生地を平板状に延展した延展生地を一対用意し、一方型に一方の延展生地を対応させ、他方型に他方の延展生地を対応させ、具材を一方の延展生地と他方の延展生地との間に挟み、一方型と他方型とを相対的に他方へ押圧しながら生地を焼成する構成としている。
【0016】
これにより、延展生地を一対用意して、この延展生地間に具材を入れて成形,焼成するので、具材を封入し易くなり、製造効率が向上させられる。また、上記と同様に、本体を形成する生地内に軟質の具材が包容されて焼成されるので、具材が本体の生地が焼成された主材と一体化するとともに、主材内に封入されることから、常態時において具材がばらけてはみ出してくる事態を防止することができる。また、これを食するときも具材がはみ出しにくくなり、極めて食し易くなる。特に、本体の外周には耳部が形成されているので、本体の外周部の剛性が高いものになっており、具材がばらけてはみ出す事態を確実に阻止することができる。
【0017】
更に、上記目的を達成するため、上記煎餅食品を成形する成形型において、一方型及び他方型を備え、該一方型及び他方型を、夫々、互いに対峙して本体を成形する本体成形部と、該本体成形部の外周に連設され互いに生地を押圧して耳部を圧延成形する平面状の耳部成形部とを備えて構成し、上記一方型及び他方型の何れか一方の耳部成形部に、周方向に沿う凹条を形成し、上記一方型及び他方型の何れか他方の耳部成形部に、周方向に沿い上記凹条に対応して突出し耳部となる生地を該凹条内に押し込む凸条を形成した構成としている。これにより、煎餅食品の耳部に凹部及び凸部からなる謂わばリブが形成されることになるので、耳部の剛性が高くなることから、本体の外周部の剛性を高いものにして、具材がばらけてはみ出す事態を確実に阻止することができる。また、上記の煎餅食品の製造方法において、この成形型を用いる場合には、一対の延展生地の耳部に対応する部位を押圧により接合するが、その際に、凸部が耳部となる生地を凹条内に押し込むので、それだけ、接合が強固になり、より一層、具材がばらけてはみ出す事態を確実に阻止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、本体を形成する生地内に軟質の具材が包容されて焼成されるので、具材が本体の生地が焼成された主材と一体化するとともに、主材内に封入されることから、常態時において具材がばらけてはみ出してくる事態を防止することができる。また、これを食するときも具材がはみ出しにくくなり、極めて食し易くなる。特に、本体の外周には耳部が形成されているので、本体の外周部の剛性が高いものになっており、具材がばらけてはみ出す事態を確実に阻止することができる。
【0019】
また、煎餅の食感と具材の食感とが相まって斬新な食感を呈することができるとともに、具材の選択により味も斬新なものにすることができる。更に、本煎餅食品の形状が、旧来からある耳付きの煎餅と同様に耳付きであり、その耳付きの煎餅内に具材が封じ込められているので、食するものに驚きがあり、且つ、楽しめるようになる。そのため、商品価値の向上を図ることができる。更にまた、軟質の具材が硬質の主材に封じ込められるので、衛生上も好ましく、お土産品などとして応用範囲も広くなり、より一層商品価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る煎餅食品を示す一部切欠き斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る煎餅食品を成形する成形型を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る煎餅食品の構成を成形型の構造とともに示す断面図である。
図4】本発明の実施の形態係る煎餅食品の製造方法を示す工程図である。
図5】本発明の実施の形態係る煎餅食品の製造方法において成形型による成形,焼成時の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る煎餅食品,煎餅食品の製造方法及び成形型について詳細に説明する。
図1乃至図5に示すように、本発明の実施の形態に係る煎餅食品Sは、後述の本発明の実施の形態に係る成形型Kを用いた本発明の実施の形態に係る煎餅食品の製造方法により製造される。
【0022】
実施の形態に係る煎餅食品Sは、穀類を主原料とする生地が一方型Ka及び他方型Kbからなる成形型Kに入れられ焼成されて製造され、図1及び図3に示すように、盤状(実施の形態では円盤状)の本体1と、本体1の外周に一体形成され本体1よりも薄い耳部2とを備えている。耳部2はリング状に形成されて本体1を囲繞している。そして、この煎餅食品Sは、本体1を形成する生地W内に軟質の具材Gを包容して焼成され、具材Gが生地Wの焼成により硬質となった外側の主材3内に封入されている。図4及び図5に示すように、所要量の生地Wを平板状に延展した延展生地Wa,Wbが一対用意され、一方の延展生地Waと他方の延展生地Wbとの間に具材Gを包容して合わせ、その後、成形型Kにより成形しながら焼成されて、本体1及び耳部2が形成される。
【0023】
詳しくは、本体1は、一方型Kaにより膨出成形される一方部1aと、他方型Kbにより一方部1aの外形と対称に且つ同形状に膨出形成される他方部1bとを備えて構成されている。耳部2は、一方型Kaに接して偏平状に成形される一方耳部2aと、他方型Kbに接して偏平状に成形され一方耳部2aに接合される他方耳部2aとを備え、本体1の一方部1aと他方部1bとの外周の境界から放射方向に延びる鍔状に成形されている。尚、耳部2の外周縁部2c(図3)は、成形後そのままでも良いが、後加工により取り除いて、真円状に整形してよい。
【0024】
また、上記一方部1aの外形は、平面状の天面4と、天面4の外周縁に連続し他方部1b側に向けて末広がりに傾斜した側面5とを備えて構成され、他方部1bの外形は、一方部1aの天面4と平行な平面状の天面4と、この天面4の外周縁に連続し一方部1a側に向けて末広がりに傾斜した側面5とを備えて構成されている。実施の形態では、本体1は、例えば、側面5の基端の直径が70〜90mm、厚さが9〜12mmに形成され、耳部2は、例えば、その半径方向の幅が8〜12mm、厚さが1〜4mm程度に形成される。大きさはこれに限定されるものではない。
【0025】
更に、耳部2の一方面6a及び他方面6bの何れか一方(実施の形態では他方面6b)に、周方向に沿い型成形される凹部7が形成され、耳部2の一方面6a及び他方面6bの何れか他方(実施の形態では一方面6a)に、周方向に沿い凹部7とともに型成形され凹部7に対応した凸部8が形成されている。
更にまた、本煎餅食品Sは、表面に金箔の小片Pを多数付着させた構成としている。特に、耳部2の表面のみ(実施の形態では他方面6bのみ)に金箔の小片Pを多数付着させている。
【0026】
また、具材Gは、少なくとも肉の加工品若しくは魚介類の加工品を含む。実施の形態では、肉の加工品であって、図4に示すように、特に、牛タンの調理品が用いられる。牛タンの調理品は、生の牛タンを酒の諸味若しくは酒粕に漬け込んで熟成する工程を含んで調理されている。また、熟成後に、加熱調理され、即ち、煮られて味付けがなされる。更に、加熱調理の前後において、牛タンは例えば厚さが3〜6mmにスライスされ、シート状に形成される。
【0027】
また、生地Wは、小麦粉,米粉,そば粉などの穀類を主原料とし、混捏の際、酒の諸味若しくは酒粕を混合して熟成する工程を含んで作成されている。そして、1つの煎餅食品Sあたり、図4及び図5に示すように、所要量の生地Wが平板状に延展された延展生地Wa,Wbが一対用意される。
【0028】
次に、本発明の実施の形態に係る煎餅食品Sの製造方法について説明する。本製造方法においては、本発明の実施の形態に係る成形型Kが用いられる。
この成形型Kは、図2乃至図5に示すように、煎餅食品Sを一個一個作成する手動操作タイプのもので、一方型Ka及び他方型Kbを備え、一方型Ka及び他方型Kbは、夫々、互いに対峙して本体1を成形する本体成形部10と、本体成形部10の外周に連設され互いに生地Wを押圧して耳部2を圧延成形する平面状の耳部成形部11とを備えて構成されている。一方型Ka及び他方型Kbは、その一端が互いにヒンジ12を介して開閉可能に接続されており、他端に把持可能な柄13を備えている。
【0029】
また、一方型Ka及び他方型Kbの何れか一方(実施の形態では一方型Ka)の耳部成形部11に、周方向に沿う凹条14が形成され、一方型Ka及び他方型Kbの何れか他方(実施の形態では他方型Kb)の耳部成形部11に、周方向に沿い凹条14に対応して突出し耳部2となる生地Wを凹条14内に押し込む凸条15が形成されている。
【0030】
次にまた、本発明の実施の形態に係る煎餅食品Sの製造方法について説明する。
<具材作成工程>
図4に示すように、実施の形態では、具材Gとして、肉の加工品であって、牛タンの調理品を作成する。牛タンの調理品は、先に、生の牛タンを酒の諸味若しくは酒粕に漬け込んで熟成し、熟成後に、加熱調理され、即ち、煮られて味付けがなされる。加熱調理の前後において、牛タンは例えば厚さが3〜6mmにスライスされ、シート状に形成される。
【0031】
<生地作成工程>
例えば、南部煎餅と同等の小麦粉等を用いる。図4に示すように、混捏の際、酒の諸味若しくは酒粕を混合して熟成する。その後、1つの煎餅食品Sあたり、所要量の生地Wが平板状に延展された延展生地Wa,Wbが一対用意される。
【0032】
<成形,焼成工程>
上記の成形型Kを用い、図5(a)に示すように、一方型Kaに一方の延展生地Waを載せ、図5(b)に示すように、この一方の延展生地Waに具材Gを載せる。次に、図5(c)に示すように、この具材Gを包容するように他方の延展生地Wbを一方の延展生地Waに載せる。この場合、具材Gである、牛タンは、スライスしたものを用いているので、円盤状の本体1に封入し易くなる。また、耳部2の他方面6bに相応する面に金箔の小片Pを降りかけて多数付着させる。この場合、本体1側に降りかからないように、本体1を円筒部材で覆うようにすると良い。それから、図5(d)に示すように、他方型Kbを一方型Kaに対峙させて一方の延展生地Waと他方の延展生地Wbとを具材Gを包容して合わせ、その後、他方型Kbを相対的に一方型Ka側に押圧しながら生地Wを焼成する。
【0033】
この場合、一対の延展生地Wa,Wbの耳部2に対応する部位(一方耳部2a及び他方耳部2b)が成形型Kの耳部成形部11によって押圧されて接合していく。この際、凸条15が耳部2となる生地Wを凹条14内に押し込むので、それだけ、接合が強固になる。また、この工程では、延展生地Wa,Wbを一対用意して、この延展生地Wa,Wb間に具材Gを入れて成形,焼成するので、具材Gを封入し易くなり、製造効率が向上させられる。所要時間焼成したならば、煎餅食品Sの製品を取り出す。尚、耳部2の外周縁部2c(図3)は、成形後そのままでも良いが、後加工により取り除いて、真円状に整形してよい。
【0034】
この煎餅食品Sにおいては、本体1を形成する生地W内に軟質の具材Gが包容されて焼成されるので、具材Gが本体1の生地Wが焼成された主材3と一体化するとともに、主材3内に封入されることから、常態時において具材Gがばらけてはみ出してくる事態を防止することができる。また、これを食するときも具材Gがはみ出しにくくなり、極めて食し易くなる。特に、本体1の外周には耳部2が形成されているので、本体1の外周部の剛性が高いものになっており、具材Gがばらけてはみ出す事態を確実に阻止することができる。更に、耳部2に凹部7及び凸部8からなる謂わばリブが形成されることになるので、耳部2の剛性が高くなることから、より一層、本体1の外周部の剛性を高いものにして、具材Gがばらけてはみ出す事態を確実に阻止することができる。
【0035】
また、煎餅の食感と具材Gの食感とが相まって斬新な食感を呈することができるとともに、具材Gの選択により味も斬新なものにすることができる。即ち、具材Gは、肉の加工品として、牛タンの調理品なので、煎餅の食感と具材Gの食感とが相まって斬新な食感を呈することができるとともに、味も斬新なものにすることができる。特に、牛タンと煎餅の組み合わせなので、食するものに驚きがあり、且つ、楽しめるようになる。そのため、商品価値の向上を図ることができる。
【0036】
更に、この場合、牛タンの調理品は、生の牛タンを酒の諸味若しくは酒粕に漬け込んで熟成する工程を含んで調理されているので、牛タンの味が、まろやかになるとともに、風味豊かになり、より一層、斬新な味にすることができる。更にまた、生地Wは、酒の諸味若しくは酒粕を混合して熟成する工程を含んで作成されているので、生地Wを焼成した主材3の味が、まろやかになるとともに、風味豊かになり、より一層、斬新な味にすることができる。
【0037】
そしてまた、本煎餅食品Sの形状が、旧来からある耳付きの煎餅と同様に耳付きであり、その耳付きの煎餅内に具材Gが封じ込められているので、食するものに驚きがあり、且つ、楽しめるようになる。また、本体1の一方部1aと他方部1bとが対称に且つ同形状に膨出形成され、しかも、その境界から耳部2が突出しているので、形状が安定し、また、所謂UFOの円盤の如くも見え、この点でも、驚きがあり、且つ、楽しめるようになる。更に、一方部1a及び他方部1bの各天面4を平面状としたので、扁平であり、そのため、食し易くなるとともに、取り扱いも容易になる。更に、耳部2の表面のみ(実施の形態では他方面6bのみ)に金箔の小片Pを多数付着させているので、耳部2はリング状になって本体1を囲繞していることから、本体1がリング状の金色に囲まれるようになり、そのため、高級感を創出することができ、食べてみたくなる等の興味を引くことができる。この結果、商品価値の向上を図ることができる。また、軟質の具材Gが硬質の主材3に封じ込められるので、衛生上も好ましく、お土産品などとして応用範囲も広くなり、より一層商品価値を高めることができる。
【0038】
尚、上記実施の形態においては、成形型Kに他方の延展生地Wbを入れる際に、これを具材Gを包容するように一方の延展生地Waに載せたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他方型Kbに他方の延展生地Wbを載せ、それから、他方型Kbを一方型Kaに対峙させて一方の延展生地Waと他方の延展生地Wbとを具材Gを包容して合わせても良く、また、予め、具材Gを一方の延展生地Waと他方の延展生地Wbとの間に挟んだものを成形型Kに入れるようにしても良く、適宜変更して差支えない。
【0039】
更に、上記実施の形態では、成形型Kを煎餅食品Sを一個一個作成する手動タイプのもので構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、一方型Kaを複数連続形成したブロック状の下型と、他方型Kbを複数連続形成し下型に対して自動開閉可能なブロック状の上型等を備えた規模の大きい装置で構成しても良く、適宜変更して差支えない。更にまた、上記実施の形態において、耳部2の他方面6bのみに金箔の小片Pを多数付着させたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、一方面6aにも付着させ、あるいは、本体1にも付着させ、あるいは、本体1のみに付着させるなど、適宜変更して差支えない。
【0040】
また、具材Gは、上記の牛タンのスライスに限らず、ミンチ状にしたものや、他の具材と混合して調理したものなど、どのようなものでも良い。また、牛タンに限らず、どのような材料を用いて具材を構成してもよい。更に、生地Wの成分も上述したものに限定されるものではなく、煎餅の生地であればどのようなものでも良い。また、生地W内に、南部煎餅のようなゴマやピーナツなどを入れるなど、種々の材料を混合して良いことは勿論である。また、本体1の形状も偏平円盤状に限定されるものではなく、三角形,矩形,六角形など、また、球状に膨出形成するなど、どのような形状でも良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
S 煎餅食品
W 生地
Wa 一方の延展生地
Wb 他方の延展生地
G 具材
1 本体
1a 一方部
1b 他方部
2 耳部
2a 一方耳部
2b 他方耳部
2c 外周縁部
3 主材
4 天面
5 側面
6a 一方面
6b 他方面
7 凹部
8 凸部
P 金箔の小片
K 成形型
Ka 一方型
Kb 他方型
10 本体成形部
11 耳部成形部
12 ヒンジ
13 柄
14 凹条
15 凸条
図1
図2
図3
図4
図5