【課題】折り畳んだ状態から使用状態に簡単に展開することができ、また男性器に好適に宛がうことができるように一方側に膨らんだ形状に容易に形成できる男性用失禁パッドを提供する。
【解決手段】吸収体2と、吸収体2の肌側に配された液透過性の表面シート6と、吸収体2の外側に配された液不透過性の裏面シート7とを有する男性用失禁パッド1であって、男性用失禁パッド1は、第1の方向vに延びる折り目Fで表面シート6を内側にして折り返されており、吸収体2の外側面には、第1の方向Fの両端部Sに、折り目Fと交差して延びる弾性部材8が取り付けられている。
前記表面シートは、前記吸収体の前記折り目における前記第1の方向の両端縁で前記裏面シート側に折り返されて、男性用失禁パッドの前記折り目における前記第1の方向の両端縁を形成している請求項4に記載の男性用失禁パッド。
前記裏面シートは、前記折り目上において、前記第1の方向の端縁から前記弾性部材と重なる部分までの範囲で、前記吸収体と前記表面シートと前記弾性部材のいずれにも固定されていない請求項1〜5のいずれか一項に記載の男性用失禁パッド。
前記吸収体の肌側面には、前記第1の方向の両端部に取り付けられた前記弾性部材の間に、前記折り目と交差して延びる溝が形成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の男性用失禁パッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
男性用失禁パッドはまだ広く普及しておらず、その使用方法は一般の人に周知されているものではない。特に、特許文献1に開示されるように、使用前に折り畳まれている男性用失禁パッドでは、使用の際、男性用失禁パッドの折り畳みをどのように展開すればよいか使用者が迷う場面がある。なお特許文献1には、男性用失禁パッドの一の方向の端部に、当該一の方向に直交する方向に沿って伸縮材を配設してもよいことが記載されているが、当該伸縮材は吸収体と重なって設けられておらず、また折り曲げ線を跨ぐようには設けられていない。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、折り畳んだ状態から使用状態に簡単に展開することができ、また男性器に好適に宛がえるように一方側に膨らんだ形状に容易に形成できる男性用失禁パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の男性用失禁パッドとは、吸収体と、吸収体の肌側に配された液透過性の表面シートと、吸収体の外側に配された液不透過性の裏面シートとを有する男性用失禁パッドであって、男性用失禁パッドは、第1の方向に延びる折り目で表面シートを内側にして折り返されており、吸収体の外側面に、第1の方向の両端部に、折り目と交差して延びる弾性部材が取り付けられているところに特徴を有する。
【0007】
本発明の男性用失禁パッドは、吸収体の外側面に折り目と交差して延びる弾性部材が取り付けられているため、男性用失禁パッドを展開する際、弾性部材の収縮力によって男性用失禁パッドを展開しやすくなり、男性用失禁パッドを折り畳んだ状態から使用状態に簡単に展開することができる。また、男性用失禁パッドを展開した状態では、弾性部材の収縮力によって吸収体の周縁の長さが縮まり、男性用失禁パッドを外側に膨らんだ形状に形成しやすくなるため、男性用失禁パッドを男性器に好適に宛がうことができる。
【0008】
吸収体は繊維集合体が被覆シートに包まれて構成され、弾性部材は、被覆シートに取り付けられていることが好ましい。弾性部材が吸収体の被覆シートに取り付けられていれば、弾性部材が吸収体に安定して固定化され、弾性部材の収縮力が吸収体に伝わりやすくなる。
【0009】
吸収体は白色以外の色を有していることが好ましい。吸収体が白色以外の色を有していれば、男性用失禁パッドを表面シート側から見て吸収体の存在部分を視認しやすくなり、男性用失禁パッドを装着する際に、男性用失禁パッドを着用者の股間の適切な位置に合わせやすくなる。
【0010】
表面シートは、男性用失禁パッドの折り目における第1の方向の両端縁で裏面シート側に折り返されており、弾性部材が、折り返された表面シートと吸収体の間に配されていることが好ましい。このように男性用失禁パッドが形成されていれば、男性用失禁パッドは、折り目上の両端縁が鋭利に形成されにくくなり、当該部分が着用者の肌に当たっても、着用者が違和感や痛みを覚えにくくなる。また、吸収体と表面シートが一体的に形成されるため、男性用失禁パッドを展開した際に、表面シート側に深いくぼみが形成されやすくなる。
【0011】
表面シートは、吸収体の折り目における第1の方向の両端縁で裏面シート側に折り返されて、男性用失禁パッドの折り目における第1の方向の両端縁を形成していることが好ましい。このように男性用失禁パッドが形成されていれば、男性用失禁パッドの折り目上の両端縁が着用者の肌に当たっても、吸収体のクッション性によって、着用者が違和感や痛みを覚えにくくなり、男性用失禁パッドの着用感が向上する。
【0012】
裏面シートは、折り目上において、第1の方向の端縁から弾性部材と重なる部分までの範囲で、吸収体と表面シートと弾性部材のいずれにも固定されていないことが好ましい。このように男性用失禁パッドが形成されていれば、弾性部材の収縮力が裏面シートに及びにくくなり、裏面シートに大きな皺が形成されにくくなる。そのため、裏面シートの皺が着用者の肌に接触して着用者に違和感を与えることが低減される。
【0013】
吸収体の肌側面には、第1の方向の両端部に取り付けられた弾性部材の間に、折り目と交差して延びる溝が形成されていることが好ましい。このように吸収体の肌側面に溝が形成されていれば、第1の方向に延びる折り目と協働して、男性用失禁パッドを外側に膨らんだ形状に形成しやすくなる。
【0014】
裏面シートの外側面には、折り目を挟んだ一方側と他方側にそれぞれ粘着層が設けられていることが好ましい。このように粘着層が設けられていれば、粘着層が折り目上に位置せず、粘着層によって男性用失禁パッドを安定してパンツの内側に固定することができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の男性用失禁パッドは、第1の方向に延びる折り目で表面シートを内側にして折り返され、吸収体の外側面に、第1の方向の両端部に、折り目と交差して延びる弾性部材が取り付けられているため、男性用失禁パッドを展開する際、弾性部材の収縮力によって男性用失禁パッドを展開しやすくなり、男性用失禁パッドを折り畳んだ状態から使用状態に簡単に展開することができる。また、男性用失禁パッドを展開した状態では、弾性部材の収縮力によって吸収体の周縁の長さが縮まり、男性用失禁パッドを外側に膨らんだ形状に形成しやすくなるため、男性用失禁パッドを男性器に好適に宛がうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の男性用失禁パッドについて、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0018】
図1〜
図5には、本発明の男性用失禁パッドの一例を示す。
図1は、展開した状態の男性用失禁パッドを肌側面から見た斜視図を表す。
図2は、展開した状態の男性用失禁パッドを肌側面から見た平面図を表し、
図3は、それを外側面から見た平面図を表す。
図4は、
図2および
図3に示した男性用失禁パッドの折り目に沿った断面図を表す。
図5は、折り返した状態の男性用失禁パッドの斜視図を表す。
【0019】
まず、折り返しを展開した状態の男性用失禁パッドを示した
図1〜
図4を用いて、本発明の男性用失禁パッドの基本構成を説明する。
図1〜
図4は、男性用失禁パッドの使用状態を表している。
【0020】
男性用失禁パッド1は、吸収体2と、吸収体2の肌側に配された液透過性の表面シート6と、吸収体2の外側に配された液不透過性の裏面シート7とを有する。すなわち男性用失禁パッド1は、表面シート6と、裏面シート7と、表面シート6と裏面シート7の間に配された吸収体2を有する。男性用失禁パッド1は男性器に宛がって使用され、男性用失禁パッドを装着した際に着用者の肌に面する側を肌側と称し、その反対側すなわち装着した際にパンツの内側等に面する側を外側と称する。
【0021】
男性用失禁パッドの形状は特に限定されないが、着用者の股間に装着したときに邪魔になりにくくする点から、略円形、楕円形、長円形、卵形、角の丸まった多角形、これらの形状の一部を直線で切除した形等であることが好ましい。
【0022】
男性用失禁パッドの大きさは、男性器を宛がうことができ、またパンツの内側に取り付けた際にあまり邪魔にならない大きさであることが好ましく、例えば、後述する第1の方向に対する長さとそれに直交する第2の方向に対する長さが、8cm以上であることが好ましく、10cm以上がより好ましく、また18cm以下が好ましく、15cm以下がより好ましい。なお、前記説明した男性用失禁パッドの大きさは、折り返しを展開した状態で、男性用失禁パッドに設けられる弾性部材を完全に伸張させた状態での大きさを意味する。
【0023】
表面シート6は、男性用失禁パッドを装着した際に主に着用者の肌に面するように位置するシートであり、液透過性である。表面シート6としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、表面シート6として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0024】
裏面シート7は、男性用失禁パッドを装着した際に主に着用者とは反対側すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性である。裏面シート7としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0025】
表面シート6や裏面シート7として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0026】
吸収体2は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体2としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0027】
吸収体2は、少なくとも繊維集合体3を有していることが好ましい(
図4を参照)。吸収体2が繊維集合体3を有していれば、吸収体2にクッション性が付与され、男性用失禁パッドの着用感が向上する。好ましくは、吸収体2の繊維集合体3は親水性であり、より好ましくは、吸収体2は、親水性繊維集合体3に吸水性樹脂が混合または散布されて構成される。
【0028】
吸収体2は、繊維集合体3が被覆シート4に包まれて構成されていることが好ましい。このように吸収体2が構成されていれば、繊維集合体3から繊維が脱落しにくくなり、また後述するように、吸収体2の外側面に弾性部材8を取り付けた際に、弾性部材8が吸収体2に安定して固定化されやすくなる。被覆シート4としては、尿を速やかに透過させる点で、ティッシュや薄葉紙等を用いることが好ましい。
【0029】
男性用失禁パッド1は、使用前、第1の方向vに延びる折り目Fで、表面シート6を内側にして折り返されており、その結果、
図5に示すように折り畳まれた状態となる。そして使用の際は、
図1に示すように、男性用失禁パッド1は折り目Fが完全に展開された状態となる。男性用失禁パッド1は、折り目Fで折り返した際に対向する部分どうしが接合していないことが好ましい。
【0030】
第1の方向vの向きは特に限定されないが、男性用失禁パッドを装着した際に着用者の前後方向または幅方向に概ね一致することが好ましい。第1の方向vがこのように規定されていれば、男性用失禁パッドを装着した際の着用感が向上する。なお男性用失禁パッドにおいて、男性用失禁パッドの面上にあり、第1の方向vと直交する方向を、第2の方向wと規定する。
【0031】
男性用失禁パッド1は、吸収体2の外側面の第1の方向vの両端部Sに、折り目Fと交差して延びる弾性部材8が取り付けられている(
図3〜
図5を参照)。具体的には、吸収体2の外側面には、第1の方向vに対する一方側の端部S
1と他方側の端部S
2に、弾性部材8がそれぞれ取り付けられている。弾性部材8は、吸収体2の折り目Fを挟んだ一方側を第1領域とし他方側を第2領域としたときに、第1領域と第2領域に跨がって吸収体2に取り付けられている。なお、吸収体2の第1の方向vの両端部Sとは、吸収体2を第1の方向vに3等分した際の中央部Cの両側の部分を意味する。
【0032】
男性用失禁パッド1は、このように吸収体2に弾性部材8が取り付けられているため、男性用失禁パッド1の折り返しを展開することが容易になるとともに、展開した男性用失禁パッド1を外側に向かって膨らんだ形状に形成しやすくなる。これについて具体的に説明すると、男性用失禁パッド1は、使用前、
図5に示すように、第1の方向vに延びる折り目Fで表面シート6を内側にして(すなわち裏面シート7を外側にして)折り返されているが、吸収体2の外側面に折り目Fと交差して延びる弾性部材8が取り付けられているため、男性用失禁パッド1を展開する際、弾性部材8の収縮力によって男性用失禁パッド1を展開しやすくなり、男性用失禁パッド1を折り畳んだ状態から使用状態に簡単に変形することができる。また、弾性部材8が、吸収体2の外側面の第1の方向vの両端部Sに折り目Fと交差して延びるように取り付けられているため、弾性部材8の収縮力によって、吸収体2の周縁の長さが縮まり、男性用失禁パッド1を一方側に膨らんだ形状に形成しやすくなる。この際、男性用失禁パッド1は、使用前、表面シート6を内側にして折り返されているため、これを展開することにより、
図1に示すように、男性用失禁パッド1を外側に向かって膨らんだ形状に形成しやすくなる。
【0033】
弾性部材8は、男性用失禁パッド1を展開した状態で、伸張状態で吸収体2に取り付けられることが好ましい。また弾性部材8は、第1の方向vに対して略垂直に延びていることが好ましい。なお、吸収体2には、第1の方向vの中央部Cに弾性部材が設けられないことが好ましい。吸収体2において、第1の方向vの中央部Cに弾性部材が設けられていなければ、男性用失禁パッドを外側に大きく膨らんだ形状に形成しやすくなるとともに、男性器が当たる部分に弾性部材が存在しにくくなり、男性用失禁パッドの着用感が向上する。弾性部材8は、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の吸収性物品に用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。
【0034】
弾性部材8は、吸収体2を横切って設けられることが好ましい。具体的には、弾性部材8は、両端部(弾性部材8の延びる方向に対する両端部)が吸収体2と重ならずに、表面シート6および/または裏面シート7に取り付けられていることが好ましい。このように弾性部材8が設けられていれば、弾性部材8の収縮力によって吸収体2の周縁がより縮まり、男性用失禁パッド1を外側に膨らんだ形状に形成しやすくなる。なお、この場合、弾性部材8の両端部は男性用失禁パッド1の外縁まで延在していないことが好ましく、これにより、男性用失禁パッド1には吸収体2の外方部分にあまりギャザーが形成されず、男性用失禁パッドの着用感を大きく損なわないようにすることができる。
【0035】
弾性部材8は、吸収体2の第1の方向vの端縁2Eから20mm以内の領域に設けられることが好ましく、15mm以内の領域に設けられることがより好ましい。このように弾性部材8が設けられていれば、男性用失禁パッドを広い範囲で外側に膨らんだ形状に形成しやすくなる。
【0036】
弾性部材8は、接着剤等の公知の接合手段により吸収体2の外側面に取り付けられていればよい。なお弾性部材8は、
図4に示すように、吸収体2の被覆シート4に取り付けられていることが好ましい。弾性部材8が吸収体2の被覆シート4に取り付けられていれば、弾性部材8の収縮力が吸収体2に伝わりやすくなり、弾性部材8による効果が好適に発現しやすくなる。
【0037】
折り目Fは、第2の方向wの中心線上に形成されていることが好ましい。このように折り目Fが形成されていれば、男性用失禁パッド1を折り目Fで折り返した際に、コンパクトに折り畳むことができる。また、男性用失禁パッド1を展開した際に、当該折り目Fを利用して、男性用失禁パッド1の中央部が大きく膨らんだカップ形状に形成しやすくなる。
【0038】
男性用失禁パッド1は、使用前、第1の方向vに延びる折り目Fで折り返されて、2つ折りに折り畳まれていることが好ましい。すなわち男性用失禁パッド1には、折り目として、折り目Fのみが形成されていることが好ましい。男性用失禁パッドに折り目が1つだけ形成されていれば、当該折り目を利用して男性用失禁パッドを外側に膨らんだ形状に形成しやすくなる。
【0039】
吸収体2の肌側面には、弾性部材8の間に、折り目Fと交差して延びる溝5が形成されていることが好ましい(
図1、
図2、
図4を参照)。すなわち、吸収体2の折り目Fを挟んだ一方側を第1領域とし他方側を第2領域としたときに、吸収体2の肌側面の弾性部材8の間の部分に、溝5が第1領域と第2領域に跨がって形成されていることが好ましい。このように吸収体2の肌側面に溝5が形成されていれば、第1の方向vに延びる折り目Fと協働して、男性用失禁パッド1を外側に膨らんだ形状に形成しやすくなる。
【0040】
吸収体2の肌側面に形成される溝5は、底を有する凹溝であることが好ましい。溝5は、当該部分での吸収体2の目付を小さくしたり、当該部分で吸収体2を押圧することにより形成することができ、好ましくは後者の方法により形成される。このように溝5が形成されれば、溝5の部分で尿の透過性が極端に高まることが防止され、尿の裏面シート側への漏れが起こりにくくなる。
【0041】
溝の数は特に限定されないが、溝を多く設けても尿の吸収速度が低下するおそれがあることから、溝の数は4個以下が好ましく、3個以下がより好ましく、1個または2個がさらに好ましい。
【0042】
溝の数が1個の場合は、溝は吸収体2の第1の方向vの中心線上(すなわち第2の方向wに延びる中心線上)に、折り目Fと交差して延びるように形成されることが好ましい。このように溝が形成されていれば、男性用失禁パッドを中央部が大きく膨らんだカップ形状に形成しやすくなる。
【0043】
溝の数が2個の場合は、溝は、吸収体2の第1の方向vの一方側と他方側に、折り目Fと交差して延びるように形成されることが好ましい。このように溝が形成されていれば、男性用失禁パッドを装着した際に、男性器の尿道口が吸収体の溝以外の部分に当たりやすくなって、違和感を覚えにくくなるとともに、速やかな尿の吸収を実現できる。図面に示した男性用失禁パッドには、このように溝が形成されている。
【0044】
図1や
図2に示すように、溝5が、吸収体2の第1の方向vの一方側と他方側に設けられる場合、溝5は、第1の方向vの内方に向かう凸形状で設けられることが好ましく、より好ましくは、第1の方向vの内方に湾曲して設けられる。このように溝5が形成されていれば、男性用失禁パッドを外側に膨らんだカップ形状に形成しやすくなる。
【0045】
溝は、吸収体のみに形成されていてもよく、表面シートと一体的に形成されていてもよい。なお、溝は後者のように形成されていることが好ましく、これにより、男性用失禁パッドを表面シート側から見たときに、着用者が溝の存在を認識しやすくなり、着用者が、溝を利用して男性用失禁パッドを好適にカップ形状に形成しやすくなる。
【0046】
吸収体2は、白色以外の色を有していることが好ましい。簡便には、吸収体2の被覆シート4が白色以外の色を有していることが好ましい。吸収体が白色以外の色を有していれば、男性用失禁パッドを表面シート側から見て吸収体の存在部分を視認しやすくなり、男性用失禁パッドを装着する際に、男性用失禁パッドを着用者の股間の適切な位置に合わせやすくなる。
【0047】
吸収体(特に被覆シート)の色は、白色以外であれば特に限定されないが、比較的暗い色であることが好ましい。吸収体が比較的暗い色を有していれば、表面シート側から見て吸収体の位置を認識しやすくなる。また、尿が吸収体に吸収されても吸収体の着色が目立ちにくくなり、男性用失禁パッドの使用に対する着用者の心理的負荷を低減することができる。吸収体(特に被覆シート)の色は、具体的には、L
*a
*b
*表色系による明度(L
*)が25以下であることが好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。明度(L
*)=0の場合は黒色となり、明度(L
*)=100の場合は白色となる。なお、L
*a
*b
*表色系による色表示はJIS Z 8729に準拠し、日本電色工業株式会社製のハンディ型分光色差計NF333により測定した値を用いる。
【0048】
吸収体(特に被覆シート)の色は、彩度(C
*)が30以下であることが好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。彩度(C
*)は、L
*a
*b
*表色系のa
*とb
*の値から、次式により求めることができる:彩度(C
*)=[(a
*)
2+(b
*)
2]
1/2。彩度(C
*)が30以下であれば、吸収体はくすんだ色あるいは無彩色に近づく。
【0049】
吸収体(特に被覆シート)は活性炭を含有していてもよい。吸収体が活性炭を含有していれば、活性炭によって吸収体を黒色〜灰色に着色することができるとともに、活性炭による消臭効果も期待できる。
【0050】
なお、表面シート6は白を基調としたものであることが好ましく、表面シート6を通じて吸収体2の色が視認可能であることが好ましい。表面シートは、例えば、明度(L
*)が75以上であることが好ましく、80以上がより好ましく、85以上がさらに好ましい。彩度(C
*)は25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。表面シートはある程度の光透過性を有することが好ましく、例えば、全光線透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。全光線透過率はJIS K 7361に準拠し、日本電色工業株式会社製のヘーズメーターNDH4000により測定する。
【0051】
表面シート6は、
図4に示すように、男性用失禁パッド1の折り目Fにおける第1の方向vの両端縁で、裏面シート7側に折り返されていることが好ましい。男性用失禁パッド1は、使用前、第1の方向vに延びる折り目Fで折り返されているため、例えば、表面シート6と裏面シート7の両方が男性用失禁パッド1の折り目F上の端縁で切断されて形成されていると、折り目F上の第1の方向vの端縁が比較的鋭利に形成されやすくなる。この場合、表面シート6や裏面シート7の切断縁が着用者の肌に当たって、着用者が違和感や痛みを覚えるおそれがある。そのため、折り目F上の第1の方向vの両端縁では、表面シート6が裏面シート7側に折り返されていることが好ましい。表面シート6を、男性用失禁パッド1の折り目F上の第1の方向vの両端縁で裏面シート7側に折り返すことにより、男性用失禁パッド1は、折り目F上の両端縁が鋭利に形成されにくくなる。そのため、男性用失禁パッド1の折り目F上の両端縁が着用者の肌に当たっても、着用者が違和感や痛みを覚えにくくなり、着用感が向上する。
【0052】
表面シート6が、男性用失禁パッド1の折り目Fにおける第1の方向vの両端縁で裏面シート7側に折り返される場合、表面シート6は吸収体2の外側面に折り返されることが好ましい。具体的には、折り返された表面シート6は、吸収体2と裏面シート7の間に配されることが好ましい。そして、弾性部材8は、折り返された表面シート6と吸収体2の間に配されていることが好ましい。この際、弾性部材8は、吸収体2と表面シート6に取り付けられていることが好ましい。このように男性用失禁パッドが形成されていれば、吸収体と表面シートが一体的に形成され、男性用失禁パッドを展開した際に、表面シート側に深いくぼみが形成されやすくなる。
【0053】
表面シート6は、吸収体2の折り目Fにおける第1の方向vの両端縁で裏面シート7側に折り返されて、男性用失禁パッド1の折り目Fにおける第1の方向vの両端縁を形成していることが好ましい。この場合、男性用失禁パッド1の折り目Fにおける第1の方向vの両端縁では、吸収体2が表面シート6に覆われて存在することとなる。そのため、男性用失禁パッド1の折り目F上の両端縁が着用者の肌に当たっても、吸収体2のクッション性によって、着用者が違和感や痛みを覚えにくくなり、着用感が向上する。
【0054】
裏面シート7は、折り目F上において、第1の方向vの端縁から弾性部材8と重なる部分までの範囲で、吸収体2と表面シート6と弾性部材8のいずれにも固定されていないことが好ましい。このように男性用失禁パッド1が形成されていれば、弾性部材8の収縮力が裏面シート7に及びにくくなり、裏面シート7に大きな皺が形成されにくくなる。そのため、裏面シート7の皺が着用者の肌に接触して着用者に違和感を与えることが低減される。また、後述するように裏面シート7に粘着層9が設けられる場合は、裏面シート7の皺によって粘着層9の接合力が低下することを抑えることができる。
【0055】
裏面シート7の外側面には粘着層9が設けられていることが好ましく、これにより、男性用失禁パッド1を着用者のパンツの内側に固定することができる。なお、粘着層9は、
図3や
図5に示すように、折り目Fを挟んだ一方側と他方側にそれぞれ設けられていることが好ましい。この場合、粘着層9は折り目Fに重ならずに設けられ、粘着層9によって男性用失禁パッドを安定してパンツの内側に固定することができるようになる。
【0056】
図1〜
図4に示すように、吸収体2の肌側面に溝5が2個形成されている場合は、粘着層9は2個の溝5の間、すなわち第1の方向vに対して溝5よりも内方に設けられることが好ましい。このように粘着層9が設けられていれば、粘着層9によって男性用失禁パッド1をパンツの内側に取り付けて着用した際、男性用失禁パッドが外側に膨らんだカップ形状に維持されやすくなる。