(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-1175(P2016-1175A)
(43)【公開日】2016年1月7日
(54)【発明の名称】自動車レーダー用の混成型データ適応及び決定適応アンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/02 20060101AFI20151204BHJP
G01S 13/93 20060101ALI20151204BHJP
【FI】
G01S7/02 216
G01S13/93 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-113754(P2015-113754)
(22)【出願日】2015年6月4日
(31)【優先権主張番号】14/297,690
(32)【優先日】2014年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】リー リーピーン
(72)【発明者】
【氏名】ポール ドナルド シュマレンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】リ チェ ソン
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AD02
5J070AD09
5J070AF03
5J070AG04
5J070AK08
5J070AK22
5J070BF16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低演算負荷を伴う小型の経済的な、自動車レーダー用の混成型データ適応及び決定適応アンテナアレイを提供する。
【解決手段】操向可能なトランスミッタアンテナ12及びレシーバアンテナ14を含む。レシーバアンテナは、データ適応及び決定適応デジタルビーム形成処理のために、サブアレイとして構成されている。制御可能な移相器は、それぞれのレシーバアンテナサブアレイ内において、それぞれのレシーバアンテナと加算ネットワークの間に結合されている。複数のサブアレイ加算ネットワークは、ミキサ内においてレシーバ方向基準信号と組み合わせられ、且つ、A/Dコンバータ16を通じてデジタルビーム形成器プロセッサ18に対して出力される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のレーダー装置であって、
複数のアンテナ要素を有するアンテナアレイの形態のトランスミッタアンテナアレイと、
複数のアンテナ要素を有する少なくとも1つの平面アレイアンテナの形態のレシーバアンテナアレイであって、前記レシーバアンテナアレイは、複数のレシーバサブアレイから形成され、それぞれのレシーバサブアレイは、複数のアンテナ要素を含み、前記複数のアンテナ要素のそれぞれは、加算ネットワーク、ミキサ、及びA/Dコンバータに結合されたアンテナ及び移相器を有する、レシーバアンテナアレイと、
を有し、
前記A/Dコンバータは、デジタルビーム形成器に結合されており、前記デジタルビーム形成器は、検出されたターゲットに対応する出力を生成し、前記出力は、前記トランスミッタアンテナアレイ及び前記レシーバアンテナアレイに対して追跡信号として供給される、装置。
【請求項2】
前記デジタルビーム形成器が、サイドローブクラッタを極小化するべく、データ適応アルゴリズムを使用することにより、前記トランスミッタアンテナアレイ及び前記レシーバアンテナアレイの操向制御を提供する、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項3】
前記レシーバサブアレイは、前記加算ネットワークと、それぞれの加算ネットワークに結合された前記ミキサと、を含み、これにより、決定適応レーダー信号処理を提供する請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項4】
レーダー装置は、混成型の決定適応及びデータ適応レーダー装置である請求項3に記載のレーダー装置。
【請求項5】
前記デジタルビーム形成器及び前記決定適応レーダー信号処理は、複数のターゲットの同時検出及び追跡を可能にする、請求項3に記載のレーダー装置。
【請求項6】
前記トランスミッタアンテナアレイは、単一の線形に構成されたアンテナアレイである請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項7】
前記デジタルビーム形成器が、検出されたターゲットに応答し、位相シフト角の予め保存された重みを利用して前記トランスミッタアンテナアレイ及びレシーバアンテナアレイビーム追跡用の追跡信号を生成する、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項8】
前記レシーバサブアレイが、レシーバサブアレイの単一の平面構成及び複数の離隔した積層された平面構成のうちの1つにおいて構成される、請求項1に記載のレーダー装置。
【請求項9】
前記レシーバサブアレイの複数の離隔した積層された平面構成は、ターゲット検出用の垂直方向の視野を提供する、請求項8に記載のレーダー装置。
【請求項10】
車両用のレーダー装置であって、
複数のアンテナ要素を有するアンテナアレイの形態のトランスミッタアンテナアレイと、
複数のアンテナ要素を有する少なくとも1つの平面アレイアンテナの形態のレシーバアンテナアレイであって、前記アンテナアレイは、複数のレシーバサブアレイから形成され、それぞれのレシーバサブアレイは、複数のアンテナ要素を含み、前記複数のアンテナ要素のそれぞれは、加算ネットワーク、ミキサ、及びA/Dコンバータに結合されたアンテナ及び移相器を有する、レシーバアンテナアレイと、
を有し、
前記コンバータは、デジタルビーム形成器に結合され、前記デジタルビーム形成器は、検出されたターゲットに対応した出力を生成し、前記出力は、前記トランスミッタアンテナアレイ及び前記レシーバアンテナアレイに対して追跡信号として供給され、
前記デジタルビーム形成器は、前記ターゲット信号内のサイドローブを極小化するべく、データ適応アルゴリズムを使用することにより、前記トランスミッタアンテナアレイ及び前記レシーバアンテナアレイの操向制御を提供し、且つ、
前記レシーバサブアレイは、前記加算ネットワークと、それぞれの加算ネットワークに結合された前記ミキサと、を含み、これにより、適応レーダー信号処理を提供する、装置。
【請求項11】
前記デジタルビーム形成器及び前記決定適応レーダー信号処理は、複数のターゲットの同時検出及び追跡を可能にする、請求項10に記載のレーダー装置。
【請求項12】
前記デジタルビーム形成器が、検出されたターゲットに応答し、位相シフト角の予め保存された重みを利用して前記トランスミッタアンテナアレイ及びレシーバアンテナアレイビーム追跡用の追跡信号を生成する、請求項10に記載のレーダー装置。
【請求項13】
前記レシーバサブアレイが、レシーバサブアレイの単一の平面構成及び複数の離隔した積層された平面構成のうちの1つにおいて構成される、請求項10に記載のレーダー装置。
【請求項14】
前記レシーバサブアレイの複数の離隔した積層された平面構成は、ターゲット検出用の垂直方向の視野を提供する、請求項13に記載のレーダー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダー装置に関し、且つ、更に詳しくは、フェーズアレイレーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダー装置は、自動車における衝突回避及び改善された車両走行制御などの様々な用途に使用されている。
【0003】
決定適応レーダーとは、形成された主要ビームを望ましい推定されたターゲット場所に向かってほぼ操向することができるように、追跡アルゴリズムの出力によってアンテナアレイの重みベクトルを初期化するレーダー装置を意味している。
【0004】
データ適応レーダー装置とは、データの構造により、ターゲット角の推定において微細な角度分解能を提供するレーダー装置を意味している。又、これは、デジタルビーム形成(Digital Beam Forming:DBF)とも呼称される。自動車レーダーアンテナアレイにおいてデータ適応(DBF)レーダーを使用することにより、到来方向の推定を実行することができる。
【0005】
純粋な決定適応アンテナアレイ処理は、実装が単純且つ容易であり、更には、空間効率性に優れているが、角度分解能が乏しく、その理由は、アレイの角度分解能がアレイの主ビームの幅によって制限されているからである。フルデータ適応アンテナアレイ処理は、ターゲット検出を実行する際には、良好な角度分解能を有しているが、演算負荷が大きく、且つ、実装が複雑であり、更には、費用を所要する。通常、DBFアンテナアレイ構造は、A/Dコンバータ及び関係する回路に対して接続されたそれぞれのアレイ要素を有し、この結果、大きな演算負荷に加えて、全体システムが大きく且つ高価なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの欠点に対処する改善されたレーダー装置を開発することが有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
自動車用のレーダー装置は、複数の隣接した離隔したアンテナ要素を有する平面状に構成されたアンテナアレイの形態のトランスミッタアンテナアレイと、複数の隣接したアンテナ要素の少なくとも1つの平面アンテナアレイの形態のレシーバアンテナアレイと、を含む。レシーバアレイは、サブアレイに分割され、それぞれのサブアレイは、アンテナと、A/Dコンバータに結合された移相器、加算ネットワーク、及びダウン変換ミキサと、から形成されたアンテナ要素を含む。
【0008】
レーダー装置は、受け取った信号内のサイドローブクラッタを極小化するべく、トランスミッタアンテナアレイ及び受信アンテナアレイの操向制御を含む。
【0009】
レシーバアンテナサブアレイは、サブアレイの単一の平面サブアレイ構成又は複数の垂直方向において離隔すると共に積層された平面構成のうちの1つにおいて構成することができる。複数の離隔した積層された平面レシーバサブアレイは、ターゲット検出のための垂直方向の三次元エンベロープ視野を提供する。
【0010】
加算ネットワーク、ミキサ、及びA/Dコンバータを含む受信アンテナサブアレイは、トランスミッタアンテナアレイ信号入力に結合された基準追跡信号を使用することにより、決定適応レーダーレシーバを形成する。
【0011】
一態様において、レーダー装置は、混成型の決定適応及びデータ適応レーダー装置である。レーダー装置は、複数のターゲットの同時検出及び追跡を可能にするべく、デジタルビーム形成器及びデータ適応処理を含む。
【0012】
トランスミッタアンテナアレイは、単一の線形に構成されたアンテナアレイであってもよい。
【0013】
レーダー装置は、検出されたターゲットに応答して、予め保存されている重み又は位相シフト角を利用してトランスミッタ及びレシーバビーム追跡のための基準信号を生成する、デジタルビーム形成器を含む。
【0014】
以下の詳細な説明及び添付図面を参照することにより、本レーダー装置の様々な特徴、利点、及びその他の使用法について更に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】混成型のデータ及び決定適応レーダー処理装置に伴うブロックダイアグラムである。
【
図2】
図1に示されている装置の一部分の拡大ブロックダイアグラムである。
【
図3B】異なる利得制御を伴う移相器の概略図である。
【
図4】混成型データ及び決定適応方式の作動原理の概略図である。
【
図5】決定適応操向ビーム及びデータ適応アルゴリズムを示すグラフである。
【
図6A】混成型データ適応及び決定適応処理の使用を伴わないフェーズアレイレーダー出力の概略図であり、誤ったターゲット画像を示している。
【
図6B】検出された実際のターゲットのみを示す混成型のデータ適応且つ決定適応フェーズアレイレーダー装置の概略図である。
【
図7】レシーバフェーズサブアレイの単一の線形構成の概略図である。
【
図8】垂直方向において積層された線形レシーバフェーズサブアレイの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
混成型のデータ適応及び決定適応アンテナアレイは、自動車レーダー装置における問題点を改善する低演算負荷を伴う小型の経済的なパッケージにおいて、決定適応及びデータ適応アンテナアレイ処理を組み合わせている。
【0017】
決定適応処理は、トランスミッタアレイの概略的な操向を提供し、この場合に、トランスミッタアレイは、追跡モジュールの出力と予め算出された移相器の重みにより、操向されている。それぞれのアンテナ要素用ごとに移相器をそれぞれが有すると共にそれぞれのサブアレイごとにミキサ及びA/Dコンバータを有する受信サブアレイを収容するアンテナアレイを使用した決定適応処理は、デジタルビーム形成器を生成する。データ適応及び決定適応技法の組合せは、両方の処理の欠点の多くを克服しつつ、両方の処理の利点を維持している。
【0018】
次に、添付図面を、且つ、具体的には、
図1、
図2、
図3A、及び
図3Bを参照すれば、トランスミッタアレイ12及びレシーバアレイ14を含むフェーズアレイレーダー装置であるレーダー装置10が示されている。A/Dコンバータ16、以下において「DBF」と呼称されるデジタルビーム形成器プロセッサ18、ターゲット検出処理20、ターゲット追跡処理22が存在しており、ターゲット追跡処理22は、システム出力24と、追跡基準28及び重みライブラリ30からの重みに基づいてビーム選択追跡制御を提供するアレイコントローラ26と、の両方に供給している。ビーム選択25の出力は、それぞれのトランスミッタアンテナ38用の移相器36及びそれぞれのレシーバ14のサブアレイ内の位相シフト60を調節する、アレイコントローラ基準28に供給している。
【0019】
図2に示されているように、アレイコントローラモジュール28の操向角出力29は、トランスミッタアレイ12の移相器36に送信される信号である。PLL発振器からのレーダー信号32は、トランスミッタアレイ12の分割ネットワーク34を通じて個々の移相器36に供給されており、これらの個々の移相器36は、個々のトランスミッタアンテナ38に対して供給している。
【0020】
又、
図2は、混成型の決定適応/データ適応レーダー装置用に構成されたレシーバアレイ14用のアンテナアレイフロントエンド構造の一例をも示している。この例においては、16個のアンテナ要素が示されており、且つ、この混成型設計の場合には、レシーバアレイ14は、4つのサブアレイに分割され、それぞれのサブアレイには、4つの要素が存在している。
【0021】
レーダー又は信号入力32に結合された基準信号40は、ミキサ42に供給されており、例えば、4つのミキサ42が、並列に構成されるものとして示されている。レシーバ14のサブアレイは、移相器60に供給しているアンテナ58を通じて検出された物体から反射された信号を受け取る。移相器60の出力は、サブアレイにグループ化され、且つ、ミキサ42によって制御されている個々の加算ネットワーク62に供給される。ミキサ42の出力は、A/Dコンバータ16を通じてデジタルビーム形成器プロセッサ18に供給され、デジタルビーム形成器プロセッサ18は、アレイコントローラ28を通じてトランスミッタアレイ12及びレシーバアレイ14に返送されるターゲット検出データ並びに追跡情報を生成するべく、信号をターゲット検出回路20及びターゲット追跡回路22に対して出力している。
【0022】
図3A及び
図3Bは、移相器60用の移相器回路の異なる例を示している。
図3Aにおいては、それぞれの移相器60は、ビット制御された移相器70である。
図3Bにおける移相器は、アナログ電圧制御された移相器72を示している。これらの移相器制御の例のいずれの場合にも、それぞれの移相器は、0°から360°に信号の位相をシフトさせる能力を有している。
【0023】
更には、移相器60によれば、レシーバ14のサブアレイの操向が可能となり、且つ、振幅制御により、サイドローブ及びナル(null)を調節することができる。更には、干渉用の零調又は追跡用の再配置などの従来の知識に基づいて、ビームを最適に変更することもできる。
【0024】
図4は、異なる位相角におけるレーダー装置10内の決定適応操向ビーム82を示しており、且つ、
図5は、それぞれのレーダービーム80内の形成された信号82を示している。
【0025】
レーダー装置10は、同時に複数のターゲットを検出及び追跡することができる。アンテナの動作は、別個の決定適応及びデータ適応ステップに分割される。決定適応ステップは、ターゲット追跡22の出力によって駆動され、且つ、相対的に広範囲の角度をカバーしている。例えば、CaponのアルゴリズムやMUSICアルゴリズムなどのようなデジタルビーム形成アルゴリズムを実行することにより、特定のターゲット方向がデータ適応セクションにおいて算出される。
図5には、決定適応操向ビーム80が実線で示されている。データ適応ビームのデータ信号は、破線の波形82によって示されている。
【0026】
レーダー装置10は、決定適応及びデータ適応アンテナアレイ処理方法を組み合わせることにより、例えば、自動車の衝突回避レーダー装置において使用可能な新しいWバンドフェーズアレイアーキテクチャを使用した、混成型のビーム形成及び処理方法を形成する。
【0027】
決定適応処理シーケンスは、混成型レーダーシステムの検出フェーズにおいて稼働する。デジタルビーム形成器26は、予め算出された重みライブラリ30及びビーム選択基準28にアクセスし、ターゲット処理追跡モジュール22からターゲット情報を取得し、且つ、物体問合せの概略的なビーム方向を提供する。
【0028】
トランスミッタアレイ12は、メインビームサイドローブを抑制するべく、レシーバアレイと同一の方向に向って操向される。
【0029】
このプロセスは、ターゲット追跡モジュール22の出力によって決定された操向方向を伴う「決定適応」と呼称され、且つ、位相シフト角用の予め算出された重みは、重みライブラリ30内において保存されている。このプロセスは、大規模な時間的に正確な計算及び処理を必要としてはおらず、従って、これは、非常に効率的且つ迅速に実現することができる。
【0030】
図1に示されているレーダー装置10においては、トランスミッタアレイ12及びそれぞれのレシーバ14のサブアレイ内の要素は、概略的スキャニングを実装するべく、位相及び振幅の両方との関係において重み付けされている。
【0031】
図4は、−40°、−20°、0°、20°、40°という方向における決定適応操向の一例を示している。
【0032】
データ適応処理は、
図4に示されている決定適応プロセスによって決定された方向の検出エリア内において高精度のターゲット角情報を見出すべく、デジタルビーム形成法を利用している。
【0033】
レーダー装置10内において、レシーバ14のサブアレイからの出力は、デジタルビーム形成器26に必要とされるデータセットを提供している。更なるチャネルがレーダー装置10に追加されるのに伴って、DBFアルゴリズムは、更に多くの計算を必要とすることになる。更には、多くのチャネルは、費用を所要し、且つ、構築するのが複雑である。
【0034】
従って、混成型のレーダー装置10がアクセスを要するのは、それぞれのアンテナ要素からのデータ出力の代わりに、決定適応サブアレイの出力に対してのみである。この結果、フルデジタルビーム形成に匹敵する高分解能レートを維持しつつ、レーダー装置内において必要とされるチャネルの数が大幅に低減され、構築費用及び演算負荷が極小化される。
【0035】
この混成型レーダー装置10においては、レシーバサブアレイのメインビーム内において、隣接するサブアレイの間の距離に対して格子ローブが発生する可能性があり、且つ/又は、それぞれのサブアレイ内の個々の要素の間の間隔は、0.5λ(すべての格子ローブを除去する距離)を上回っている。この問題は、格子ローブの影響が低減されるように、
図7Bに示されているように、制御をトランスミッタアレイ12に対して適用することにより、トランスミッタアレイ12を通じて事実上軽減することができる。混成型のデータ適応及び決定適応レーダー装置10は、トランスミッタアレイ12に供給されるビーム追跡信号をレシーバサブアレイ14のミキサ42に供給される基準入力信号40と関連付けることにより、格子ローブを部分的に抑制している。
【0036】
図6Aは、角度制御に対するトランスミッタアレイ12の適用を伴わない物体検出を示している。実際のターゲット又は物体98及び100と共に、誤ったターゲット92及び94が検出されている。
【0037】
図6Bにおいては、操向角度制御がトランスミッタアレイ12に供給された後に、実際のターゲット98及び100のみが検出されている。
【0038】
図7は、複数のレシーバサブアレイ要素58、60、及び62の単一の線形構成の一例を示している。それぞれのサブアレイアンテナ58は、単一プレーン内において視野110内において物体検出ビームを受け取るように位置決めされている。単一のプレーン又は視野110の場合には、検出された物体又はターゲットの高さを判定することが困難である。
【0039】
図8においては、同一のレシーバ14のサブアレイが、第1下部サブアレイグループ112及び上部サブアレイグループ114を含む2つの平行に構成されたサブアレイの線形のグループとして構成されている。このレシーバサブアレイ112及び114の積層された構成は、上部平面検出プレーン116及び離隔した下部検出プレーン118を有する物体検出用の3次元エンベロープを形成している。この結果、検出された信号において相対的に高い分解能が得られ、その理由は、積層されたレシーバサブアレイ112及び114が垂直方向のスキャニング又は傾斜の尺度を提供するからである。
【外国語明細書】