【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として1〜15モル%含有し、還元粘度が0.4〜1.4dL/gであるポリエステル系樹脂(A)と、主として結晶性の芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメントと、主として脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメントと、からなるポリエステルブロック共重合体(B)とを含有するポリエステル系樹脂組成物であって、ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して、ポリエステルブロック共重合体(B)を0.1〜25質量部含有し、270℃で測定した溶融張力が15〜50mNであるポリエステル系樹脂組成物。
エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として1〜15モル%含有し、還元粘度が0.4〜1.4dL/gであるポリエステル系樹脂(A)と、ポリエステルブロック共重合体(B)とを含有するポリエステル系樹脂組成物であって、ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して、ポリエステルブロック共重合体(B)を0.1〜25質量部含有し、270℃で測定した溶融張力が15〜50mNであることを特徴とするポリエステル系樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として1〜15モル%含有するポリエステル系樹脂(A)を主成分とするものである。
本発明におけるポリエステル系樹脂(A)は、イソフタル酸の共重合量が1〜15モル%であり、中でも2〜12モル%であることが好ましく、さらには3〜9モル%であることが好ましい。イソフタル酸を適量共重合することにより、ポリエステル系樹脂(A)の結晶化速度を射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形法に適したものに調整することができ、また、後述する変性オレフィン共重合体(B)を適量添加することにより、優れた耐衝撃性が発現される。
【0012】
イソフタル酸の共重合量が1モル%未満であると、樹脂の結晶化速度が速いものとなるため、変性オレフィン共重合体(B)を添加しても、優れた耐衝撃性を付与することが困難となる。一方、イソフタル酸の共重合量が15モル%を超えると、樹脂が非晶性のものとなるため、高温での乾燥や固相重合が困難となりやすい、あるいは、高温乾燥時や固相重合工程においてブロッキングが起こりやすくなる。
【0013】
なお、酸成分の65モル%以上がテレフタル酸であることが好ましく、中でもテレフタル酸の割合は70モル%以上、さらには80モル%以上であることが好ましい。テレフタル酸の割合が65モル%未満であると、樹脂の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすい。
【0014】
テレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
【0015】
一方、ポリエステル系樹脂(A)中のグリコール成分は、80モル%以上がエチレングリコールであり、中でも85モル%以上がエチレングリコールであることが好ましい。エチレングリコール以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を用いることができる。
【0016】
グリコール成分中のエチレングリコールの割合が80モル%未満であると、樹脂の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすいため、好ましくない。
【0017】
本発明のポリエステル系樹脂(A)は、還元粘度が0.4〜1.4dL/gであり、中でも0.6〜1.4であることが好ましい。さらには、ダイレクトブロー成形用途に用いる際には、0.8〜1.4であることが好ましい。
【0018】
還元粘度が0.4未満の場合は、樹脂の粘度が低いため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなり、成形自体が困難なものとなる。中でもダイレクトブロー成形時にはパリソンのドローダウンが顕著となる。一方、還元粘度が1.4を超える場合は、成形温度を上げる必要があり、樹脂の熱分解が促進され、得られる成形品の耐衝撃性や色調が悪くなる。また、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなり、耐衝撃性も悪くなる。
【0019】
さらに、本発明のポリエステル系樹脂(A)は、カルボキシル末端基濃度が30当量/t以下であることが好ましく、中でも28当量/t以下であることが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)のカルボキシル末端基濃度を30当量/t以下とすることによって、加工中に熱分解が生じることがなく、安定した成形が可能となる。また、耐久性にも優れた成形体を得ることが可能となる。
カルボキシル末端基濃度が30当量/tを超える場合は、加工中の熱履歴によって、樹脂の熱分解が生じる。このため、成形体が物性に劣るものになったり、着色などの外観悪化を起こすため好ましくない。また、耐久性にも劣るため好ましくない。
【0020】
次に、ポリエステルブロック共重合体(B)について説明する。本発明のポリエステルブロック共重合体(B)は、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(b1)と主として脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメント(b2)とからなるものである。
ポリエステルブロック共重合体(B)のハードセグメント(b1)は、主として芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成される結晶性の芳香族ポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4' −ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4' −ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、および3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。主として芳香族ジカルボン酸を用いるが、必要によっては、芳香族ジカルボン酸の一部を、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4' −ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸や、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、およびダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸に置換してもよい。ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、たとえば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、および酸ハロゲン化物などももちろん同等に用い得る。
【0021】
ジオールの具体例としては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、およびキシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニルプロパン、2,2' −ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、および4,4’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールは、エステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩などの形でも用い得る。
【0022】
これらのジカルボン酸、その誘導体、ジオール成分およびその誘導体は、2種以上併用してもよい。そして、好ましいハードセグメント(b1)の例は、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位である。また、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンイソフタレート単位からなるものも好ましく用いられる。
【0023】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(B)のソフトセグメント(b2)は、脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルである。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(トリメチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールなどが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルの中で、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコール、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、及びポリエチレンアジペートなどの使用が好ましく、これらの中でも特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコール、及びポリ(ε−カプロラクトン)などの使用が好ましい。
【0024】
また、これらのソフトセグメントの数平均分子量としては、共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(B)のソフトセグメント(b2)の共重合量は、15〜65質量%であることが好ましく、中でも15〜60質量%であることが好ましい。
【0025】
本発明におけるポリエステルブロック共重合体(B)において、上記のハードセグメント(b1)とソフトセグメント(b2)の好ましい組み合わせとしては、ハードセグメント(b1)にポリブチレンテレフタレートを用い、ソフトセグメント(b2)にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを用いたものや、ハードセグメント(b1)にポリブチレンテレフタレートを用い、ソフトセグメント(b2)にポリ(ε−カプロラクトン)を用いたものが挙げられる。
【0026】
さらに、本発明におけるポリエステルブロック共重合体(B)は、ハードセグメント(b1)とソフトセグメント(b2)に加えて、効果を損なわない範囲であれば、他の成分が含まれていてもよい。
他の成分としては、分散性や柔軟性付与の面から芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなるスチレン系エラストマーが好ましい。スチレン系エラストマーとしては、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン(SBBS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン(SEBS)が好ましく、中でも相溶性の観点からSEBSがより好ましい。
【0027】
このような他の成分の含有量は、ポリエステルブロック共重合体(B)中の60質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることが好ましく、さらには40質量%以下であることが好ましい。60質量%を超える場合、ポリエステルブロック共重合体(B)の耐衝撃性向上効果が小さくなるため好ましくない。
【0028】
このようなポリエステルブロック共重合体(B)の市販品としては、三菱化学社製「プリマロイAPシリーズ」、東洋紡績社製「ペルプレン」、東レ・デュポン社製「ハイトレル」、アロン化成社製「エステラール」等がある。
【0029】
ポリエステルブロック共重合体(B)は、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性や衝撃強度向上の面から、メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238により、230℃、2.16kg荷重で測定)が0.01〜40g/10分であることが好ましく、中でも0.05〜30g/10分であることが好ましく、0.1〜20g/10分であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(B)は、公知の方法で製造することができる。その具体例としては、例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、およびジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法などのいずれの方法をとってもよい。
【0031】
上記のようなポリエステルブロック共重合体(B)をポリエステル系樹脂(A)に添加することにより、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を顕著に向上させることができる。さらには、樹脂組成物中に顔料等の無機粒子を添加する場合、これらの無機粒子の分散性を向上させる効果がある。このため、通常、樹脂組成物中に含有された無機粒子の分散性が悪い場合は、衝撃強度が低下するが、本発明の樹脂組成物においては、無機粒子を比較的多く含む場合であっても、無機粒子の分散性に優れるため、良好な耐衝撃性を有するものとなる。
【0032】
ポリエステルブロック共重合体(B)の含有量は、前記ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して0.2〜25質量部であることが必要であり、中でも0.5〜20質量部であることが好ましく、さらには0.5〜15質量部であることが好ましい。含有量が0.2質量部未満である場合には、得られる樹脂組成物の衝撃強度を十分に向上させることができない。また、無機粒子の分散性を向上させる効果にも乏しいものとなる。一方、25質量部を超える場合には、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下し、ポリエステルブロック共重合体(B)の分散性が悪くなる場合がある。そのために、成形性が悪化し、特にブロー成形が困難となり、得られる成形体は厚みムラの生じたものとなったり、外観不良になる場合があるため好ましくない。
【0033】
本発明のポリエスエル系樹脂組成物は、270℃で測定した溶融張力の値が15〜50mNであり、中でも15〜40mNであることが好ましく、15〜30mNであることがさらに好ましい。溶融張力が15mN未満の場合、ブロー成形時の粘度が十分に高くないため、ドローダウンなどを起こし、外観悪化の原因となったり、厚み斑の原因となる。一方、溶融張力が50mNを超える場合、ブロー成形を行った場合、流動性が悪くなるため、成形温度を上げる必要がある。このため、樹脂の熱分解が生じ、着色や外観悪化の原因となる。
【0034】
本発明における溶融張力は以下のようにして測定するものである。東洋精機製作所製のキャピログラフ1C(シリンダーの内径9.55mm、オリフィスの内径1.0mm、長さ10.0mm)を用いて測定する。まず、シリンダーおよびオリフィスの設定温度を270℃とし、該シリンダー中にポリエステル系樹脂組成物(測定試料)を充填し、5分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として270℃の溶融樹脂をオリフィスからストランド状に押出する。このストランドを、下方の直径40mmの張力検出用プーリーの円形ガイドを通過させながら巻き取り、この円形ガイドにかかる荷重を張力計で検出する。巻き取り速度を徐々に増加させていき、ストランドが破断したときの張力(すなわち測定可能な最大の張力)を溶融張力とする。
【0035】
そして、ポリエステル系樹脂組成物の溶融張力を本発明で規定する上記範囲を満足するものとするためには、ポリエステル系樹脂組成物中に、脂肪酸エステルやヒンダードフェノール系抗酸化剤が添加されていることが好ましい。樹脂組成物中のこれらの含有量は、0.01〜1.0質量%であることが好ましく、中でも0.05〜1.0質量%であることが好ましい。
【0036】
脂肪酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等が挙げられる。中でも、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレートが好ましい。
【0037】
また、ヒンダードフェノール系抗酸化剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1’−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が用いられるが、効果とコストの点で、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが好ましい。
【0038】
また、本発明のポリエステル系樹脂組成物中には、上記のような酸化防止剤の他、着色防止剤として、例えば、亜リン酸、リン酸、トリメチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリデシルフォスフェート、トリフェニルフォスフォート等のリン化合物を用いることができ、これらのリン化合物は単独で使用しても2種以上使用しても良い。また、ポリエステル系樹脂の熱分解による着色を抑制するために酢酸コバルト等のコバルト化合物、酢酸マンガン等のマンガン化合物、アントラキノン系染料化合物、銅フタロシアニン系化合物等の添加剤が含有されていてもよい。
【0039】
本発明のポリエステル系樹脂組成物中のポリエステル系樹脂(A)とポリエステルブロック共重合体(B)の合計含有量は、80質量%以上であることが好ましく、中でも90質量%以上であることが好ましく、さらには95質量%以上であることが好ましい。
【0040】
本発明のポリエステル系樹脂組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂成分が含有されていてもよい。例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレングリコールまたはその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ナイロンその他のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等の弗化炭素樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンまたはアクリロニトリル−スチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリオキシメチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂またはグラフト、レゾール及びノボラック等のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂及びこれらの共重合体、及びこれらの混合物などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン、シリコーン、フルオロシリコーン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド、ウレア・ホルムアルデヒドおよびこれらの共重合体、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0041】
また、本発明のポリエステル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、顔料、熱安定剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等を添加してもよい。これらの添加剤は、溶融混練時あるいは重合時に加えられる。
【0042】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、下記に示すような発泡剤が含有されていてもよく、発泡ブロー成形により、本発明の成形品を発泡ブロー成形品としてもよい。
発泡剤としては、熱分解型の、例えば、アゾ、N−ニトロソ、複素環式窒素含有及びスルホニルヒドラジド基のような分解しうる基を含有する有機化合物、炭酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物を挙げることができる。その具体例としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)セミカルバジド、4−トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、5−フェニルテトラゾール、トリヒドラジノトリアジン、4−トルエンスルフォニルアザイド、4,4’−ジフェニルジスルフォニルアザイドなどが挙げられる。
【0043】
発泡剤としては、ガス状フルオロカーボン、窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、アルゴンなど常温で気体のものや、液状フルオロカーボン、ペンタンなどの常温で液体のものも使用できる。
【0044】
次に、本発明のポリエステル系樹脂組成物の製造方法について説明する。まず、本発明におけるポリエステル系樹脂(A)は、エステル化反応、溶融重合反応及び固相重合反応工程を経て得られるものであることが好ましい。エステル化反応と溶融重合反応のみでは、目標の還元粘度のポリエステル系樹脂(A)を得ることが困難となる。得られたとしても、溶融重合反応の反応時間が長くなり、得られるポリエステル樹脂組成物は色調が悪いものとなる。そして、固相重合反応における工程や条件を調整することによって、本発明におけるポリエステル系樹脂(A)を得ることができる。
【0045】
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、上記のポリエステル系樹脂(A)とポリエステルブロック共重合体(B)とを溶融混練することで得ることができる。混練方法は、特に限定されないが、例えば、工業的に最も簡便である溶融混練法を採用することができる。溶融混練には一般的な押出機を用いることができ、混練状態の向上のためには、二軸押出機を使用することが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)とポリエステルブロック共重合体(B)の押出機への供給の際には、予め全ての原料をドライブレンドしたものを一つのホッパーに供給してもよいし、2つのホッパーにそれぞれの樹脂を仕込み、ホッパー下のスクリュー等で定量しながら供給してもよい。
【0046】
このとき、ポリエステルブロック共重合体(B)の添加方法に関しては、ポリエステル系樹脂(A)中にポリエステルブロック共重合体(B)が高濃度に添加されたマスターバッチペレットを作製し、このマスターバッチペレットをポリエステル系樹脂(A)で希釈することによりポリエステル系樹脂組成物を得る方法を採用することが好ましい。このような方法を採用することで、成形体を得る際のコストが抑えられると同時に、成形体を得る際の熱履歴が少なくなるために、ポリエステル系樹脂の熱劣化が抑えられ、粘度や張力の低下を抑えることができる。これにより、成形加工性に優れ、また、得られる成形体は、より耐衝撃性に優れた成形体となり、色調にも優れたものとすることが可能となる。
【0047】
このようなマスターバッチペレットにおいて、ポリエステルブロック共重合体(B)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して、3〜40質量部であることが好ましく、中でも4〜35質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。ポリエステルブロック共重合体(B)の含有量が3質量部未満であると、本発明の樹脂組成物を得る際にマスターバッチペレットの使用量が多くなり、ポリエステルブロック共重合体(B)を高濃度に含有するマスターバッチペレットとは言えないものとなる。一方、含有量が40質量部を超えると、マスターバッチペレット作製時の操業性が低下し、ポリエステルブロック共重合体(B)の分散性が低くなり、得られるマスターバッチペレットに濃度むらが生じやすくなる。
【0048】
次に、上記したような本発明のマスターバッチペレットを製造した後、ポリエステル系樹脂(A)で希釈して、本発明のポリエステル系樹脂組成物を製造する方法について説明する。
まず、本発明のマスターバッチペレットの製造方法について説明する。押出機中に、ポリエステル系樹脂(A)と、ポリエステルブロック共重合体(B)を添加し、溶融混練する。このとき、1軸押出機あるいは2軸押出機で溶融混練を行い、シリンダー温度250〜290℃、ダイス温度260〜290℃に加熱し、樹脂組成物を溶融混練して押出して、ストランドを冷却後、ペレットサイズにカットする方法が好ましい。用いる押出機は混練能力から2軸押出機が好ましい。また、添加方法としては、ポリエステルブロック共重合体(B)を別フィーダーから添加する方法、ドライブレンドをしてホッパーから添加する方法など特に制限はないが、濃度を正確に測定でき、分散むらを抑えることができるため、それぞれ別フィーダーで計量して添加することが好ましい。
【0049】
そして、本発明のポリエステル系樹脂組成物は、上記のようにして得られたマスターバッチペレットを用い、ポリエステルブロック共重合体(B)が所望の濃度となるように、ポリエステル系樹脂(A)で希釈することにより得ることができる。具体的には、マスターバッチペレットとポリエステル系樹脂(A)をドライブレンドした後、1軸押出機あるいは2軸押出機で溶融混練を行うことが好ましい。
その際、マスターバッチペレットとポリエステル系樹脂(A)の割合は5/95〜20/80質量部であることが好ましい。
【0050】
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、上記したように、ブロー成形に適したものであるが、射出成形や延伸法を採用しても、耐衝撃性や色調に優れた成形品(射出成形体、シート、フィルム等)を得ることができる。
【0051】
次に、本発明の成形品は、本発明のポリエステル系樹脂組成物を用いて形成されたものであり、中でもブロー成形品とすることが好ましい。本発明のブロー成形品は、汎用のダイレクトブロー成形機や延伸ブロー成形機を用いて製造することが可能であり、成形機のシリンダー各部及びノズルの温度は、230〜280℃の範囲とするのが好ましい。
【0052】
そして、本発明のブロー成形品は、本発明の樹脂組成物のみを用いて形成された単層構造のブロー成形品であってもよいし、本発明の樹脂組成物を少なくとも一部に用いた多層構造のブロー成形品であってもよい。
【実施例】
【0053】
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(1)還元粘度
フェノールと四塩化エタンの等質量混合溶媒を用いて、温度20℃で測定した溶液粘度から求めた。
(2)ポリエステル系樹脂組成物の組成
得られたポリエステル系樹脂組成物を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合成分の種類と含有量を求めた。
(3)樹脂組成物の溶融張力
前記の方法で測定した。
【0054】
(4)耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)
得られたポリエステル系樹脂組成物を日精樹脂社製NEX110型射出成形機に投入し、シリンダ温度270℃、金型表面温度40℃で、一般物性測定用試験片(ISO型)及び2mm厚プレート(長さ90mm、幅50mm)を作製した。
得られた一般物性測定用試験片(ISO型)にV字型切込みを入れたものを試験サンプルとして用い、ISO 179−1に従って、シャルピー衝撃強さを測定した。シャルピー衝撃強さは、4kJ/m
2以上であることが好ましい。
(5)耐衝撃性(デュポン衝撃強度)
(4)で得られた2mm厚のプレートの中心部に直径=2.5mmの穴を空けたものを測定用サンプルとして用い、JIS K5600−5−3の「6.デュポン式」に従って耐衝撃性(耐おもり落下性)を測定した。測定によって得られた50%破壊エネルギーの値で耐衝撃性を評価した。破壊エネルギーの値は、1J以上であることが好ましく、2J以上であることがさらに好ましい。
【0055】
(6)ダイレクトブロー成形性
得られたダイレクトブロー成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
(7)延伸ブロー成形性
得られた延伸ブロー成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が30μmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
【0056】
下記の実施例及び比較例において使用した樹脂は次の通りである。
ポリエステル系樹脂(A)
A−1:製造例1に示す方法で作製した。(イソフタル酸共重合量:6モル%、還元粘度0.72)
A−2:製造例2に示す方法で作製した。(イソフタル酸共重合量:6モル%、還元粘度1.13)
a−1:製造例3に示す方法で作製した。(イソフタル酸共重合量:24モル%、還元粘度0.69)
ポリエステルブロック共重合体(B)
B−1:ポリブチレンテレフタレートとポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールのブロック共重合体〔東レ・デュポン社製『ハイトレル5077』、MFR:1.6g/10分〕
B−2:ポリブチレンテレフタレートとポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールのブロック共重合体と、スチレンエラストマーの混合品〔アロン化成社製『エステラールES−A60NX』、MFR:0.3g/10分、スチレンエラストマーの含有量は50質量%〕
その他のエラストマー(X)
X−1:SEBS〔アロン化成社製『AR−815C』、MFR:1.0g/10分〕
X−2:コアシェル型耐衝撃改良剤〔コア層成分:ブタジエン系ゴム、シェル層成分:(メタ)アクリル酸メチル重合体 三菱レイヨン社製『メタブレンC−223』〕
【0057】
製造例1:A−1の作製
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液6.1質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEDKA社製:アデカスタブAO−60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A−1)を得た。
【0058】
製造例2:A−2の作製
A−1を結晶化装置に供給し、150℃で結晶化をさせた後、乾燥機に供給して160℃で8時間乾燥後、予備加熱機に送り190℃まで加熱した後、固相重合機へ供給し、窒素ガス下にて固相重合反応を190℃で50時間行い、ポリエステル系樹脂(A−2)を得た。
【0059】
製造例3:a−1の作製
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のPETオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
PETオリゴマー45.8kgを重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液23.3kg、触媒として二酸化ゲルマニウム7.8g、コバルト化合物として酢酸コバルト7.1g、ヒンダードフェノール系抗酸化剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)120gを、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重縮合反応を行い、ポリエステル系樹脂(a−1)を得た。
【0060】
製造例4:B−1のマスターバッチペレットの作製
二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)を用い、ポリエステル系樹脂(A−2)100質量部と、ポリエステルブロック共重合体(B−1)25質量部とをドライブレンドして押出機の根元供給口から供給し、混練温度270℃、スクリュー回転数150rpm、吐出20kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。押出機先端から吐出された樹脂組成物をペレット状にカッティングし、B−1のマスターバッチペレットを得た。
得られたB−1のマスターバッチペレットを85℃×12時間熱風乾燥したものをB−1のマスターバッチペレットとして各種成形体作製に用いた。
【0061】
実施例1
二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)を用い、ポリエステル系樹脂(A−2)100質量部と、ポリエステルブロック共重合体(B−1)0.5質量部とをドライブレンドして押出機の根元供給口から供給し、混練温度270℃、スクリュー回転数150rpm、吐出20kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。押出機先端から吐出された樹脂組成物をペレット状にカッティングした。得られたペレットを85℃×12時間熱風乾燥したものをポリエステル系樹脂組成物として各種成形体作製に用いた。
また、該ポリエステル系樹脂組成物をダイレクトブロー成形機(タハラ社製)を用い、押出温度260℃で樹脂を押出して円筒形パリソンを形成し、パリソンが軟化状態にあるうちに金型で挟み、底部形成を行い、これをブローしてボトルを成形した。このとき、パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで底部形成を行い、ブロー成形して500ccの中空容器(ダイレクトブロー成形品)を得た。
さらに、該ポリエステル系樹脂組成物を、シリンダー各部およびノズル温度を260℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50TH型)を用いてプリフォームを成形した。次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形し、胴部の平均肉厚300μm、内径3.5cm、高さ15cmの円筒状のボトル(内容積150ccの中空容器;延伸ブロー成形品)を得た。
【0062】
実施例2〜5、比較例1〜4
表1に示すように、ポリエステル系樹脂(A)とポリエステルブロック共重合体(B)等の添加剤の種類と割合を変更した以外は、実施例1と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
【0063】
実施例6
ポリエステル系樹脂(A)とポリエステルブロック共重合体(B−1)の割合が表1に示すものとなるように、ポリエステル系樹脂(A)と製造例4で作製したB−1のマスターバッチペレットをドライブレントした以外は、実施例1と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品及び延伸ブロー成形品を得た。
【0064】
実施例7
ポリエステルブロック共重合体(B)として、ポリエステルブロック共重合体(B−2)を用いた以外は、実施例1と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
【0065】
実施例8
ポリエステルブロック共重合体(B)として、ポリエステルブロック共重合体(B−2)を用いた以外は、実施例3と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
【0066】
実施例9
ポリエステル系樹脂(A)として、ポリエステル系樹脂(A−1)を用い、混練温度を250℃とした以外は、実施例1と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
【0067】
実施例10
ポリエステル系樹脂(A)として、ポリエステル系樹脂(A−1)を用い、混練温度を250℃とした以外は、実施例3と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
【0068】
実施例11
ポリエステル系樹脂(A)として、ポリエステル系樹脂(A−1)を用い、混練温度を250℃とした以外は、実施例7と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
【0069】
実施例12
ポリエステル系樹脂(A)として、ポリエステル系樹脂(A−1)を用い、混練温度を250℃とした以外は、実施例8と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
【0070】
比較例5
ポリエステル系樹脂(A)として、ポリエステル系樹脂(a−1)を用い、混練温度を250℃とした以外は、実施例3と同様に行ってポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形及び延伸ブロー成形に供した。
【0071】
実施例1〜12、比較例1〜5で得られたポリエステル系樹脂組成物及び成形体の評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1から明らかなように、実施例1〜12で得られたポリエステル系樹脂組成物は、優れた耐衝撃性を有しており、ダイレクトブロー成形、延伸ブロー成形ともに良好に行うことができ、厚み斑の少ない、耐衝撃性に優れた成形体を得ることができた。
実施例9〜12で得られたポリエステル系樹脂組成物は、優れた耐衝撃性を有していたが、ポリエステル系樹脂の還元粘度が低いものであったため、ダイレクトブロー成形は行うことができなかった。ただし、延伸ブロー成形は良好に行うことができ、厚み斑の少ない、耐衝撃性に優れた成形体を得ることができた。
【0074】
一方、比較例1で得られたポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステルブロック共重合体(B)の含有量が多すぎたため、分散性が悪くなり、その結果、得られた成形体は厚み斑やブツなどが生じ、外観の悪いものとなった。比較例2で得られたポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステルブロック共重合体(B)の含有量が少なすぎたため、耐衝撃性に劣るものであった。比較例3で得られたポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステルブロック共重合体(B)に代えて、他のエラストマーを添加したため、耐衝撃性に劣るものであった。比較例4で得られたポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステルブロック共重合体(B)に代えて、他のエラストマーを添加したため、耐衝撃性に劣るものであった。さらに、溶融張力の値が15mN未満となったため、ブロー成形時にドローダウンが生じ、得られた成形品は厚み斑の生じたものとなった。比較例5で得られたポリエステル系樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が多すぎたため、耐衝撃性に劣るものであった。また、固相重合反応を行うことができず、還元粘度が低いものであったため、ダイレクトブロー成形を行うことができなかった。