(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-119275(P2016-119275A)
(43)【公開日】2016年6月30日
(54)【発明の名称】端子台装置
(51)【国際特許分類】
H01R 9/00 20060101AFI20160603BHJP
H01R 4/60 20060101ALI20160603BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20160603BHJP
【FI】
H01R9/00 Z
H01R4/60
H01R31/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-259794(P2014-259794)
(22)【出願日】2014年12月24日
(71)【出願人】
【識別番号】514017666
【氏名又は名称】株式会社クライオエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 玲仁
(72)【発明者】
【氏名】北川 学
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086CC46
5E086DD10
5E086DD33
5E086DD49
5E086JJ21
5E086LL04
5E086LL16
5E086LL17
(57)【要約】
【課題】小型で保守性に優れた端子台装置を提供する。
【解決手段】絶縁性のベース100には、入り口に雌ねじが形成された貫通孔101が複数設けられており、各貫通孔101の中央部には導電性のレセクタプル110が固定されている。レセクタプル110は、当該貫通孔101の一方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグ401と、当該一方の開口側で嵌合すると共に、当該貫通孔の他方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグ401と、当該他方の開口側で嵌合する。各貫通孔101の入り口から挿入されたケーブルは、各貫通孔の入り口の雌ねじにスリーブ130を螺合することにより、端子台装置10に対して固定される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にプラグを有する二つのケーブルを一組として、複数の組について、各組の二つのケーブル間の接続を行う端子台装置であって、
貫通孔を複数有する、絶縁性を備えたベース部材と、
前記各貫通孔の中央部に固定した導電性のレセクタプルと
各貫通孔の入り口に脱着可能に装着された、絶縁性の固定部材とを有し、
各貫通孔の中央部に固定された前記レセクタプルは、当該貫通孔の一方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと、当該一方の開口側で嵌合すると共に、当該貫通孔の他方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと、当該他方の開口側で嵌合し、
各貫通孔の入り口に装着された前記固定部材は、当該入り口から挿入された前記ケーブルを当該端子台装置に対して固定することを特徴とする端子台装置。
【請求項2】
請求項1記載の端子台装置であって、
前記ケーブルの前記プラグの根本にはフランジが形成されており、
前記各貫通孔の各入り口には雌ねじが形成されており、
前記固定部材は、前記ケーブルが挿通される管状の、外周に雄ネジが形成された部材であり、
当該固定部材は、当該固定部材の雄ねじを、前記貫通孔の入り口の雌ねじに螺合することにより、当該貫通孔の入り口に装着されると共に、当該装着された当該固定部材の先端が前記ケーブルのフランジと当接して当該ケーブルを当該端子台装置に対して固定することを特徴とする端子台装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の端子台装置であって、
前記各レセクタプルは管状形状を有し、
各貫通孔の中央部に固定された前記レセクタプルの前記貫通孔の一方の開口側の部分は、当該部分に挿入された前記一方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと嵌合し、当該レセクタプルの前記貫通孔の他方の開口側の部分は、当該部分に挿入された前記他方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと嵌合することを特徴とする端子台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの接続に好適な端子台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルの接続の技術としては、電力ケーブルの丸端子を雄ネジで接続する雌ネジ部を複数備えた端子台を用いて電力ケーブルを接続する技術(たとえば、特許文献1)や、コネクタを用いて電力ケーブルを接続する技術(たとえば、特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014- 32865号
【特許文献2】特開2004-259461号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力ケーブルの丸端子を雄ネジで接続する雌ネジ部を複数備えた端子台を用いて電力ケーブルの接続を行う技術によれば、空気絶縁によって絶縁が確保されるため、高電圧の電力供給を行う電力ケーブルの接続に適用する場合には、必要な絶縁距離を確保のために端子台を大型化する必要が生じる。一方、絶縁の確保のために、導電部分が露出しないように絶縁材で封止してしまうと、電力ケーブルの脱着を容易に行えなくなり、保守性が低下する。
【0005】
また、電力ケーブルをコネクタを用いて接続する技術によれば、コネクタによる接続は、端子台を用いた電力ケーブルの堅固な接続に比べると、用途によっては、接続の信頼性を必ずしも充分に確保できないことがある。
そこで、本発明は、小型で保守性に優れた端子台装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、先端にプラグを有する二つのケーブルを一組として、複数の組について、各組の二つのケーブル間の接続を行う端子台装置を、貫通孔を複数有する、絶縁性を備えたベース部材と、前記各貫通孔の中央部に固定した導電性のレセクタプルと各貫通孔の入り口に脱着可能に装着された、絶縁性の固定部材とより構成したものである。ただし、各貫通孔の中央部に固定された前記レセクタプルは、当該貫通孔の一方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと、当該一方の開口側で嵌合すると共に、当該貫通孔の他方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと、当該他方の開口側で嵌合するものであり、各貫通孔の入り口に装着された前記固定部材は、当該入り口から挿入された前記ケーブルを当該端子台装置に対して固定するものである。
【0007】
このような端子台装置によれば、端子台装置で接続しないケーブル間の電気的沿面距離は、レセクタプル間の沿面距離となり、この沿面距離は、貫通孔の入り口からレセクタプルまでの距離の2倍以上となるので、端子台装置を大型化しなくても充分な絶縁距離を確保することができる。また、端子台装置に各ケーブルを固定して堅固に接続するので、信頼性あるケーブルの接続を実現できる。
【0008】
ここで、このような端子台装置は、前記ケーブルの前記プラグの根本にフランジを形成すると共に、前記各貫通孔の各入り口には雌ねじを形成し、前記固定部材を、前記ケーブルが挿通される管状の、外周に雄ネジが形成された部材としてもよい。ただし、この場合、当該固定部材は、当該固定部材の雄ねじを、前記貫通孔の入り口の雌ねじに螺合することにより、当該貫通孔の入り口に装着されるものであり、当該装着された当該固定部材の先端が前記ケーブルの先端のプラグのフランジと当接して当該ケーブルを当該端子台装置に対して固定するものである。
【0009】
このようにスリーブをベース部材の貫通孔の入り口に螺合することにより、ケーブルをベース部材に固定することにより、容易に、ケーブルのベース部材への接続とベース部材からの取り外しを行うことができるようになり、良好な保守性を確保することができる。
また、以上の端子台装置は、前記各レセクタプルは管状形状を有するものとしてもよい。ただし、各貫通孔の中央部に固定された前記レセクタプルの前記貫通孔の一方の開口側の部分は、当該部分に挿入された前記一方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと嵌合し、当該レセクタプルの前記貫通孔の他方の開口側の部分は、当該部分に挿入された前記他方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと嵌合するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、小型で保守性に優れた端子台装置を提供することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る端子台装置の適用例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る接続箱を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る端子台装置を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る端子台装置のベースを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るレセクタプルとスリーブとケーブル端部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
以下では、一例として液化ガスを貯留したタンク内への電力供給を行う電力ケーブルの接続への適用を例にとり本実施形態を説明する。
図1において、200は、LNG、LNG、液体水素などの低温のタンクであり、201は、タンク200の上部壁を気密に貫通した液化ガス汲揚用管である。
液化ガス汲揚用管201の下端は、当該下端がタンク200の床の幾分上方の位置となるように、タンク200の屋根より吊り下げられており、液化ガス汲揚用管201の下部には、サブマージドポンプ202が配置されている。
また、タンク200外に配置された液化ガス汲揚用管201の上端の開口は、フィードスルー203によって気密に封止されている。
フィードスルー203の外側と内側(液化ガス汲揚用管201側)には、それぞれ、電力ケーブル302、303が連結されており、フィードスルー203は、液化ガス汲揚用管201の外側と内側の電力ケーブル302、303間を電気的に接続する。
また、フィードスルー203の液化ガス汲揚用管201の外側に連結された電力ケーブル302は、接続箱204に収容されている端子台装置によって、電源205に接続している電力ケーブル301に接続されている。
また、フィードスルー203の液化ガス汲揚用管201の内側に連結された電力ケーブル303は、サブマージドポンプ202に接続されている。
したがって、電源205の電力は、電力ケーブル301、接続箱204に収容された端子台装置、電力ケーブル302、フィードスルー203、電力ケーブル303を経由して、サブマージドポンプ202に供給される。なお、電力ケーブル301、302、303は、それぞれ三相電力用の電力ケーブルである。
【0013】
そして、サブマージドポンプ202は、供給された電力によって稼働して液化ガスを汲揚げ、液化ガス汲揚用管201の上部付近に設けた排出路206に液化ガスを排出する。
次に、接続箱204と、接続箱204に収容された端子台装置について説明する。
図2に、接続箱204の構造を模式的に示す。
ここで、接続箱204は絶縁性のケースであり
図2には、便宜上、接続箱204の内部のようすも表す。
さて、接続箱204は、施設設備に対して固定される本体部2041と、本体部2041に取り外し可能にネジ止めされた蓋部2042と、防水フード400より構成される。
また、接続箱204は、二つの開口を有し、一方の開口2043は、当該開口2043を通って、電源205に接続する電力ケーブル301が接続箱204の内部に導入された形態で封止され、他方の開口2044は、当該開口2044を通って、フィードスルー203に接続する電力ケーブル302が接続箱204の内側に導入された形態で封止されている。
【0014】
そして、接続箱204の内部において、接続箱204の本体部2041には端子台装置10が固定されている。また、端子台装置10には、電源205に接続する電力ケーブル301の三相電力の各相のケーブル3011-3013と、フィードスルー203に接続する電力ケーブル302の三相電力の各相のケーブル3021-3023が接続されている。
【0015】
そして、端子台装置10は、電源205に接続する電力ケーブル301の三相電力の各相のケーブル30113013の各々を、フィードスルー203に接続する電力ケーブル302の同相のケーブル30213023に接続する。
以下、このような端子台装置10の詳細について説明する。
図3に、端子台装置10の構造を示す。
図3aは、端子台装置10の三面図であり、
図3bは
図3a中のA-A線による断面を、
図3cは
図3a中のB-B線による断面を表している。
ここで、以下では、便宜上、図中に示した上下左右前後方向を端子台装置10の上下左右前後方向として説明を行う。
図示するように、端子台装置10は、絶縁性のベース100、導電性の3つのレセクタプル110、3つのロックナット120、絶縁性の6つのスリーブ130を有する。
ここで、
図4aに絶縁性のベース100の三面図を、
図4bに
図4a中のA-A線によるベース100の断面を、
図4cは
図4a中のB-B線によるベース100の断面を示すように、ベース100は概略直方体形状を有し、前後方向に貫通した3つの貫通孔101を備えている。
【0016】
そして、各貫通孔101の入り口と貫通孔101の中央との間には、径が段々と小さくなるように二つの段差が設けられている。また、各貫通孔101の入り口には雌ネジが形成されている。
次に、
図5a1にレセクタプル110の3面図を、
図5a2にレセクタプル110の断面図を示すように、レセクタプル110は一方の端部にフランジ111が設けられた管状の部材であり、レセクタプル110の他方の端部には、
図5bに示すようにロックナット120と螺合する雄ネジが形成されている。また、レセクタプル110の内部には、たとえば、
図5cに、その2面図を示すような形状を有するスリップリング112が挿入されている。
【0017】
次に、
図5c1にスリーブ130の3面図を、
図5c2にスリーブ130の断面図を示すように、スリーブ130は一方の端部に、頭部が設けられた管状の部材であり、頭部は、他の部よりも径が大きく形成されている。そして、頭部の根本周辺には、ベース100の貫通孔101の入り口の雌ネジと螺合する雄ネジが形成されている。
【0018】
次に、
図5d1に、ケーブル30113013、30213023の端部の形状を、
図5d2に、当該端部の断面図を示す。
図示するように、ケーブル30113013、30213023の先端にはプラグ401が連結されており、プラグ401の根本にはフランジ402が設けられている。また、ケーブル30113013、30213023の端部は、絶縁テープなどの絶縁材403で封止されている。
【0019】
ここで、図示するように、ケーブル30113013、30213023の先端への、プラグ401及びフランジ402の取り付けは、ケーブル30113013、30213023をスリーブ130に挿通した上で行う。また、スリーブ130の内径は、絶縁材403部分の外径より大きく、フランジ402の外径より小さく設定されている。
【0020】
さて、
図3a、b、cに戻り、レセクタプル110をベース100の貫通孔101の中央の径の最も小さい部分に挿入した状態で、ロックナット120をレセクタプル110の雄ネジと螺合して、レセクタプル110のフランジ111とロックナット120で、貫通孔101の内側の二つの段差を挟み込むことにより、各レセクタプル110はベース100の貫通孔101の中央に固定される。
【0021】
また、以上のように、レセクタプル110をベース100の貫通孔101の中央部に固定した状態で、端子台装置10で接続される二つのケーブルの端部(ケーブル3011とケーブル3021、または、ケーブル312とケーブル3022、または、ケーブル3013とケーブル3023)は、それぞれ、同じ貫通孔101の反対側から、各ケーブルのプラグ401がレセクタプル110内に嵌め込まれるように挿入される。ここで、レセクタプル110内に嵌め込まれ各ケーブルのプラグ401はレセクタプル110内のスリップリング112によりレセクタプル110と確実に接続し、また、これにより二つのケーブルは電気的に接続する。
【0022】
そして、以上のように各ケーブルの端部をベース100に挿入した状態で、6つのスリーブ130は、ベース100の3つの貫通孔101の6つの入り口から貫通孔101に挿入されて、スリーブ130の雄ネジが貫通孔101の入り口の雌ネジとが螺合した状態で、ベース100に固定される。また、スリーブ130は、スリーブ130の先端と、貫通孔101の当該スリーブ130を挿入した入り口側の段差との間で、当該貫通孔101に挿入したケーブルのフランジ402を挟み込んで固定するように、ベース100の貫通孔101の入り口の雌ネジにねじ込まれている。
【0023】
そして、これにより、各ケーブル30113013、30213023は、先端のプラグ401がレセクタプル110と接続した状態、すなわち、同じ貫通孔101に挿入された他のケーブルと電気的に接続した状態で、ベース100に固定される。
以上、端子台装置10について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、異なる相のケーブル間の電気的沿面距離は、レセクタプル110間の沿面距離となり、この沿面距離は、
図3bに符号Lで示したように、貫通孔101の入り口からレセクタプル110までの距離の2倍以上となるので、端子台装置10を大型化しなくても充分な絶縁距離を確保することができる。
【0024】
また、本実施形態によれば、スリーブ130をベース100に螺合することにより、各ケーブル30113013、30213023をベース100に固定する機構を採用しているので、保守時などに、容易に、各ケーブル30113013、30213023のベース100への接続とベース100からの取り外しを行うことができる。
【0025】
また、端子台装置10に各ケーブル30113013、30213023を固定して堅固に接続するので、信頼性あるケーブルの接続を実現できる。
【符号の説明】
【0026】
10…端子台装置、100…ベース、110…レセクタプル、112…スリップリング、120…ロックナット、130…スリーブ、200…タンク、201…液化ガス汲揚用管、202…サブマージドポンプ、203…フィードスルー、204…接続箱、205…電源、206…排出路、400…取付台、401…プラグ、2041…本体部、2042…蓋部。
【手続補正書】
【提出日】2014年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの接続に好適な端子台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルの接続の技術としては、電力ケーブルの丸端子を雄ネジで接続する雌ネジ部を複数備えた端子台を用いて電力ケーブルを接続する技術(たとえば、特許文献1)や、コネクタを用いて電力ケーブルを接続する技術(たとえば、特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014- 32865号
【特許文献2】特開2004-259461号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力ケーブルの丸端子を雄ネジで接続する雌ネジ部を複数備えた端子台を用いて電力ケーブルの接続を行う技術によれば、空気絶縁によって絶縁が確保されるため、高電圧の電力供給を行う電力ケーブルの接続に適用する場合には、必要な絶縁距離を確保のために端子台を大型化する必要が生じる。一方、絶縁の確保のために、導電部分が露出しないように絶縁材で封止してしまうと、電力ケーブルの脱着を容易に行えなくなり、保守性が低下する。
【0005】
また、電力ケーブルをコネクタを用いて接続する技術によれば、コネクタによる接続は、端子台を用いた電力ケーブルの堅固な接続に比べると、用途によっては、接続の信頼性を必ずしも充分に確保できないことがある。
そこで、本発明は、小型で保守性に優れた端子台装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、先端にプラグを有する二つのケーブルを一組として、複数の組について、各組の二つのケーブル間の接続を行う端子台装置を、貫通孔を複数有する、絶縁性を備えたベース部材と、前記各貫通孔の中央部に固定した導電性のレセクタプルと各貫通孔の入り口に脱着可能に装着された、絶縁性の固定部材とより構成したものである。ただし、各貫通孔の中央部に固定された前記レセクタプルは、当該貫通孔の一方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと、当該一方の開口側で嵌合すると共に、当該貫通孔の他方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと、当該他方の開口側で嵌合するものであり、各貫通孔の入り口に装着された前記固定部材は、当該入り口から挿入された前記ケーブルを当該端子台装置に対して固定するものである。
【0007】
このような端子台装置によれば、端子台装置で接続しないケーブル間の電気的沿面距離は、レセクタプル間の沿面距離となり、この沿面距離は、貫通孔の入り口からレセクタプルまでの距離の2倍以上となるので、端子台装置を大型化しなくても充分な絶縁距離を確保することができる。また、端子台装置に各ケーブルを固定して堅固に接続するので、信頼性あるケーブルの接続を実現できる。
【0008】
ここで、このような端子台装置は、前記ケーブルの前記プラグの根本にフランジを形成すると共に、前記各貫通孔の各入り口には雌ねじを形成し、前記固定部材を、前記ケーブルが挿通される管状の、外周に雄ネジが形成された部材としてもよい。ただし、この場合、当該固定部材は、当該固定部材の雄ねじを、前記貫通孔の入り口の雌ねじに螺合することにより、当該貫通孔の入り口に装着されるものであり、当該装着された当該固定部材の先端が前記ケーブルの先端のプラグのフランジと当接して当該ケーブルを当該端子台装置に対して固定するものである。
【0009】
このようにスリーブをベース部材の貫通孔の入り口に螺合することにより、ケーブルをベース部材に固定することにより、容易に、ケーブルのベース部材への接続とベース部材からの取り外しを行うことができるようになり、良好な保守性を確保することができる。
また、以上の端子台装置は、前記各レセクタプルは管状形状を有するものとしてもよい。ただし、各貫通孔の中央部に固定された前記レセクタプルの前記貫通孔の一方の開口側の部分は、当該部分に挿入された前記一方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと嵌合し、当該レセクタプルの前記貫通孔の他方の開口側の部分は、当該部分に挿入された前記他方の開口から挿入されたケーブルの先端のプラグと嵌合するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、小型で保守性に優れた端子台装置を提供することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る端子台装置の適用例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る接続箱を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る端子台装置を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る端子台装置のベースを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るレセクタプルとスリーブとケーブル端部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
以下では、一例として液化ガスを貯留したタンク内への電力供給を行う電力ケーブルの接続への適用を例にとり本実施形態を説明する。
図1において、200は、LNG、LNG、液体水素などの低温のタンクであり、201は、タンク200の上部壁を気密に貫通した液化ガス汲揚用管である。
液化ガス汲揚用管201の下端は、当該下端がタンク200の床の幾分上方の位置となるように、タンク200の屋根より吊り下げられており、液化ガス汲揚用管201の下部には、サブマージドポンプ202が配置されている。
また、タンク200外に配置された液化ガス汲揚用管201の上端の開口は、フィードスルー203によって気密に封止されている。
フィードスルー203の外側と内側(液化ガス汲揚用管201側)には、それぞれ、電力ケーブル302、303が連結されており、フィードスルー203は、液化ガス汲揚用管201の外側と内側の電力ケーブル302、303間を電気的に接続する。
また、フィードスルー203の液化ガス汲揚用管201の外側に連結された電力ケーブル302は、接続箱204に収容されている端子台装置によって、電源205に接続している電力ケーブル301に接続されている。
また、フィードスルー203の液化ガス汲揚用管201の内側に連結された電力ケーブル303は、サブマージドポンプ202に接続されている。
したがって、電源205の電力は、電力ケーブル301、接続箱204に収容された端子台装置、電力ケーブル302、フィードスルー203、電力ケーブル303を経由して、サブマージドポンプ202に供給される。なお、電力ケーブル301、302、303は、それぞれ三相電力用の電力ケーブルである。
【0013】
そして、サブマージドポンプ202は、供給された電力によって稼働して液化ガスを汲揚げ、液化ガス汲揚用管201の上部付近に設けた排出路206に液化ガスを排出する。
次に、接続箱204と、接続箱204に収容された端子台装置について説明する。
図2に、接続箱204の構造を模式的に示す。
ここで、接続箱204は絶縁性のケースであり
図2には、便宜上、接続箱204の内部のようすも表す。
さて、接続箱204は、施設設備に対して固定される本体部2041と、本体部2041に取り外し可能にネジ止めされた蓋部2042と、防水フード400より構成される。
また、接続箱204は、二つの開口を有し、一方の開口2043は、当該開口2043を通って、電源205に接続する電力ケーブル301が接続箱204の内部に導入された形態で封止され、他方の開口2044は、当該開口2044を通って、フィードスルー203に接続する電力ケーブル302が接続箱204の内側に導入された形態で封止されている。
【0014】
そして、接続箱204の内部において、接続箱204の本体部2041には端子台装置10が固定されている。また、端子台装置10には、電源205に接続する電力ケーブル301の三相電力の各相のケーブル3011
〜3013と、フィードスルー203に接続する電力ケーブル302の三相電力の各相のケーブル3021
〜3023が接続されている。
【0015】
そして、端子台装置10は、電源205に接続する電力ケーブル301の三相電力の各相のケーブル3011
〜3013の各々を、フィードスルー203に接続する電力ケーブル302の同相のケーブル3021
〜3023に接続する。
以下、このような端子台装置10の詳細について説明する。
図3に、端子台装置10の構造を示す。
図3aは、端子台装置10の三面図であり、
図3bは
図3a中のA-A線による断面を、
図3cは
図3a中のB-B線による断面を表している。
ここで、以下では、便宜上、図中に示した上下左右前後方向を端子台装置10の上下左右前後方向として説明を行う。
図示するように、端子台装置10は、絶縁性のベース100、導電性の3つのレセクタプル110、3つのロックナット120、絶縁性の6つのスリーブ130を有する。
ここで、
図4aに絶縁性のベース100の三面図を、
図4bに
図4a中のA-A線によるベース100の断面を、
図4cは
図4a中のB-B線によるベース100の断面を示すように、ベース100は概略直方体形状を有し、前後方向に貫通した3つの貫通孔101を備えている。
【0016】
そして、各貫通孔101の入り口と貫通孔101の中央との間には、径が段々と小さくなるように二つの段差が設けられている。また、各貫通孔101の入り口には雌ネジが形成されている。
次に、
図5a1にレセクタプル110の3面図を、
図5a2にレセクタプル110の断面図を示すように、レセクタプル110は一方の端部にフランジ111が設けられた管状の部材であり、レセクタプル110の他方の端部には、
図5bに示すようにロックナット120と螺合する雄ネジが形成されている。また、レセクタプル110の内部には、たとえば、
図5cに、その2面図を示すような形状を有するスリップリング112が挿入されている。
【0017】
次に、
図5c1にスリーブ130の3面図を、
図5c2にスリーブ130の断面図を示すように、スリーブ130は一方の端部に、頭部が設けられた管状の部材であり、頭部は、他の部よりも径が大きく形成されている。そして、頭部の根本周辺には、ベース100の貫通孔101の入り口の雌ネジと螺合する雄ネジが形成されている。
【0018】
次に、
図5d1に、ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023の端部の形状を、
図5d2に、当該端部の断面図を示す。
図示するように、ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023の先端にはプラグ401が連結されており、プラグ401の根本にはフランジ402が設けられている。また、ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023の端部は、絶縁テープなどの絶縁材403で封止されている。
【0019】
ここで、図示するように、ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023の先端への、プラグ401及びフランジ402の取り付けは、ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023をスリーブ130に挿通した上で行う。また、スリーブ130の内径は、絶縁材403部分の外径より大きく、フランジ402の外径より小さく設定されている。
【0020】
さて、
図3a、b、cに戻り、レセクタプル110をベース100の貫通孔101の中央の径の最も小さい部分に挿入した状態で、ロックナット120をレセクタプル110の雄ネジと螺合して、レセクタプル110のフランジ111とロックナット120で、貫通孔101の内側の二つの段差を挟み込むことにより、各レセクタプル110はベース100の貫通孔101の中央に固定される。
【0021】
また、以上のように、レセクタプル110をベース100の貫通孔101の中央部に固定した状態で、端子台装置10で接続される二つのケーブルの端部(ケーブル3011とケーブル3021、または、ケーブル312とケーブル3022、または、ケーブル3013とケーブル3023)は、それぞれ、同じ貫通孔101の反対側から、各ケーブルのプラグ401がレセクタプル110内に嵌め込まれるように挿入される。ここで、レセクタプル110内に嵌め込まれ各ケーブルのプラグ401はレセクタプル110内のスリップリング112によりレセクタプル110と確実に接続し、また、これにより二つのケーブルは電気的に接続する。
【0022】
そして、以上のように各ケーブルの端部をベース100に挿入した状態で、6つのスリーブ130は、ベース100の3つの貫通孔101の6つの入り口から貫通孔101に挿入されて、スリーブ130の雄ネジが貫通孔101の入り口の雌ネジとが螺合した状態で、ベース100に固定される。また、スリーブ130は、スリーブ130の先端と、貫通孔101の当該スリーブ130を挿入した入り口側の段差との間で、当該貫通孔101に挿入したケーブルのフランジ402を挟み込んで固定するように、ベース100の貫通孔101の入り口の雌ネジにねじ込まれている。
【0023】
そして、これにより、各ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023は、先端のプラグ401がレセクタプル110と接続した状態、すなわち、同じ貫通孔101に挿入された他のケーブルと電気的に接続した状態で、ベース100に固定される。
以上、端子台装置10について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、異なる相のケーブル間の電気的沿面距離は、レセクタプル110間の沿面距離となり、この沿面距離は、
図3bに符号Lで示したように、貫通孔101の入り口からレセクタプル110までの距離の2倍以上となるので、端子台装置10を大型化しなくても充分な絶縁距離を確保することができる。
【0024】
また、本実施形態によれば、スリーブ130をベース100に螺合することにより、各ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023をベース100に固定する機構を採用しているので、保守時などに、容易に、各ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023のベース100への接続とベース100からの取り外しを行うことができる。
【0025】
また、端子台装置10に各ケーブル3011
〜3013、3021
〜3023を固定して堅固に接続するので、信頼性あるケーブルの接続を実現できる。
【符号の説明】
【0026】
10…端子台装置、100…ベース、110…レセクタプル、112…スリップリング、120…ロックナット、130…スリーブ、200…タンク、201…液化ガス汲揚用管、202…サブマージドポンプ、203…フィードスルー、204…接続箱、205…電源、206…排出路、400…取付台、401…プラグ、2041…本体部、2042…蓋部。