【課題】二重標識固定化プローブ及びそのDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性を利用して固相でターゲット核酸配列を検出する新規な方法の提供。
【解決手段】本発明は、内部ヌクレオチドの塩基成分の標識によるヌクレアーゼに対する抵抗性により、標識が固相基質上に残留するため、固相基質上に標識が残留するよう適した位置を考慮する必要がない。本発明は、プローブ上の内部標識の位置を自由に決定することができるため、プローブ上二重標識システムのクエンチング効率を最大化するに適した部位に標識を位置させることにより、バックグラウンドシグナルを最小化する。
DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有する二重標識プローブを利用して固相でDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列を固定化プローブにハイブリッド形成させる工程であって、前記固定化プローブは、前記ターゲット核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、3’−末端を通じて固相基質に固定化された前記プローブは、レポーター分子及びクエンチャー分子を含む相互作用的二重標識を有し、前記相互作用的二重標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子間のエネルギークエンチングを誘導できるように前記固定化プローブに位置し、第1標識及び第2標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子から選択され、前記第1標識は、前記固定化プローブの5’−末端に結合し、前記第2標識は、前記第1標識の下流に位置したヌクレオチドの塩基であるチミン又はシトシンに結合し、このような前記第2標識の結合は、前記ヌクレオチドが前記DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有するようにする工程と、
(b)前記工程(a)の結果物を前記固定化プローブの切断が発生する条件下でプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼと接触させる工程であって、前記ターゲット核酸配列にハイブリッド形成された前記固定化プローブは、前記DNAポリメラーゼのエキソ核酸切断反応により切断され、前記第1標識が前記固定化プローブから解離して、前記固相基質上のシグナルの変化を引き起こす工程と、
(c)前記DNAポリメラーゼの前記エキソ切断反応を、前記第2標識で標識された前記ヌクレオチドで終了させる工程であって、前記エキソ核酸切断反応の終了は、前記第2標識が結合したチミン又はシトシンを有する前記ヌクレオチドの抵抗性により誘導され、前記第2標識と前記チミン又はシトシンとの結合は、前記第2標識が結合したチミン又はシトシンを有する前記ヌクレオチドに前記DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性を付与し、前記第2標識は、前記固相基質上に残留する工程と、
(d)前記固相基質上におけるシグナルの変化を検出する工程であって、前記固定化プローブの前記切断による前記シグナルの変化は、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
前記第2標識は、プライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断される固定化プローブ上の切断部位により前記第1標識から分離する請求項1に記載の方法。
前記プライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する前記DNAポリメラーゼは、プライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである請求項1に記載の方法。
前記工程(a)は、前記固定化プローブにハイブリッド形成される前記ターゲット核酸配列のコピーを生成するための逆方向プライマーを追加的に含む請求項1に記載の方法。
DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有する二重標識プローブを利用して固相でDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する請求項1から10のいずれかに記載の方法の実施における使用のためのキットであって、
(a)固相基質と、
(b)前記ターゲット核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する固定化プローブであって、その3’−末端を通じて固相基質上に固定化された前記プローブは、レポーター分子及びクエンチャー分子を含む相互作用的二重標識を有し、前記相互作用的二重標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子間のエネルギークエンチングを誘導できるように前記固定化プローブに位置し、第1標識及び第2標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子から選択され、前記第1標識は、前記固定化プローブの5’−末端に結合し、前記第2標識は、前記第1標識の下流に位置したヌクレオチドの塩基であるチミン又はシトシンに結合し、このような前記第2標識の結合は、前記ヌクレオチドが前記DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有するようにする前記固定化プローブと、
(c)プライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する前記DNAポリメラーゼと、
を含むことを特徴とするキット。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ターゲット検出方法に関し、プローブオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの塩基に標識を結合させることにより付与される、DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’ヌクレアーゼ活性に対する独特な抵抗性を利用する。
【0024】
本発明の一様態によると、本発明は、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有する二重標識プローブを利用して固相でDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出する方法であって、
(a)ターゲット核酸配列を固定化プローブにハイブリッド形成させる工程であって、前記固定化プローブは、前記ターゲット核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、3’−末端を通じて固相基質に固定化された前記プローブは、レポーター分子及びクエンチャー分子を含む相互作用的二重標識を有し、前記相互作用的二重標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子間のエネルギークエンチングを誘導できるように前記固定化プローブに位置し、第1標識及び第2標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子から選択され、前記第1標識は、前記固定化プローブの5’−末端に結合し、前記第2標識は、前記第1標識の下流に位置したヌクレオチドの塩基に結合し、このような前記第2標識の結合は、前記ヌクレオチドが前記DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有するようにする工程と、
(b)前記工程(a)の結果物を前記固定化プローブの切断が発生する条件下で5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼと接触させる工程であって、前記ターゲット核酸配列にハイブリッド形成された前記固定化プローブは、前記DNAポリメラーゼのエキソ核酸切断反応により切断され、前記第1標識が前記固定化プローブから解離して、前記固相基質上のシグナルの変化を引き起こす工程と、
(c)前記DNAポリメラーゼの前記エキソ切断反応を、前記第2標識で標識された前記ヌクレオチドで終了させる工程であって、前記エキソ核酸切断反応の終了は、前記第2標識が結合した塩基を有する前記ヌクレオチドの抵抗性により誘導され、前記第2標識は、前記固相基質上に残留する工程と、
(d)前記固相基質上におけるシグナルの変化を検出する工程であって、前記固定化プローブの前記切断による前記シグナルの変化は、前記ターゲット核酸配列の存在を示す工程と、
を含む方法を提供する。
【0025】
本発明者は、相互作用的二重標識を有するプローブを利用して、固相でより簡便な方式で偽陽性及び偽陰性結果無しにターゲット核酸配列を検出、識別及び定量できる新規なターゲット検出技術を開発するために鋭意研究した。その結果、本発明者は、二重標識プローブ上の標識の結合位置及びパターンを多様に調節した。興味深いことに、本発明者は、DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’ヌクレアーゼ活性に対する塩基−標識ヌクレオチドの抵抗性を見出し、また、ターゲット核酸配列を検出するに好適に適用できる二重標識プローブ上の標識の結合位置及びパターンを見出し、これは、二重標識のうち、第1標識は、プローブの5’−末端に結合し、第2標識は、第1標識の下流に位置したヌクレオチドの塩基に結合するものである。
【0026】
本発明の独特の標識方式は、プローブがターゲット核酸配列の存在有無によってシグナルを発生(シグナル発生、増加又は減少を含む)するように誘導するだけではなく、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有するようにする。
【0027】
本発明の内的ブロッキング二重標識プローブ(internally blocked dual−labeled probe)は、内部標識(即ち、第2標識)の位置を自由に決定できるようにして、偽陽性及び偽陰性データ無しに、再現性あるように固相基質上に最終的に残留した標識からシグナルが得られるようにする。本発明者は、本発明が、プローブを利用して固相基質上でターゲット核酸配列を検出するために、非常に最適化されたプロトコールを提供すると判断する。
【0028】
本発明者は、DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を調節するために鋭意研究し、興味深いことに、その塩基に標識が結合したヌクレオチドは、DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有することを見出した。
【0029】
このような発見に基づいて、本発明者は、DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性をオリゴヌクレオチドに付与する新規なアプローチを確立した。
【0030】
また、本発明者は、このような発見を固定化された二重標識プローブに適用し、標識位置の制限無しに、固相で二重標識プローブを利用した新規なターゲット検出方法を確立した。本発明者が知る限りでは、このようなアプローチは、本発明者によって最初に提示され、これにより、より効率的で正確にターゲット核酸配列が検出されるようになる。
【0031】
二重標識プローブの切断反応を利用する従来の固相方法において、ターゲット核酸配列は、切断反応でプローブ上の内部ヌクレオチドに結合した標識が固相基質上に残留する場合にのみ検出することができる。DNAポリメラーゼのプライマー依存的5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用するTaqManプローブに基づく方法において、切断反応で徐々に短くなるプローブは、プローブ配列及び反応条件によってターゲット核酸配列から変性(denaturation)されて、プローブ上に非切断部位の形成を生じることができる。したがって、標識がプローブ上の非切断部位に位置する場合、標識は、最終的に固相基質上に残留することができる。しかし、このような方法は、プローブ上の内部ヌクレオチドに結合した標識が非切断部位上に位置するように反応条件を考慮しなければならないという深刻な問題点がある。このような限界のため、二重標識が非常に離隔されるように二重標識プローブをデザインする必要がある。プローブ上の二重標識の距離が遠いほど、二重標識システムのクエンチング効率は低くなる。低いクエンチング効率は、スポットによって異なるバックグラウンドシグナルの発生を引き起こし、最終的に誤った結果を示す。
【0032】
本発明は、上述の従来方法の問題点を克服し、二重標識プローブを利用して固相でターゲット核酸配列が検出されるようにする。本発明によると、プローブの内部ヌクレオチドの塩基と標識の結合は、内部ヌクレオチドがDNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有するようにする。固相基質上に固定化されたプローブは、DNAポリメラーゼの切断反応を経て、内部ヌクレオチドの塩基に結合した標識は、抵抗性により固相基質上に残留するようになる。DNAポリメラーゼのプライマー依存的5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用するTaqManプローブベースの方法とは異なって、本発明は、反応条件によって非切断部位を考慮する必要無しに、プローブ上の内部標識の位置を自由に決定できるようにし、プローブ上二重標識システムのクエンチング効率の最大化に適した部位に標識を位置させることにより、バックグラウンドシグナルを最小化する。
【0033】
好ましくは、本発明に利用される固定化プローブは、固相基質上のその3’−末端を通じて固定化される。相互作用的二重標識の一つは、固定化プローブの5’−末端にある塩基を除いたヌクレオチドの構造にカーボンスペーサーを通じて結合して、他の一つは、内部ヌクレオチドの塩基に連結される。本発明によると、ターゲット核酸配列とハイブリッド形成される固定化プローブは、DNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、その5’−末端で5’→3’方向に徐々に切断されて、その5’−末端にある第1標識が解離される。前記酵素が塩基成分に標識された内部ヌクレオチドと会うと、その抵抗性により切断反応は終了されて、内部ヌクレオチドの標識は、最終的に固相基質に残留するようになる。
【0034】
一般に、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、上流ヌクレオチド依存的活性及び上流オリゴヌクレオチド非依存的活性に分類される。上流オリゴヌクレオチドは、プライマー、プライマーの伸長産物及び切断されるオリゴヌクレオチドの上流に位置するプローブを含む。本発明は、上流オリゴヌクレオチド非依存的活性を利用するため、本明細書で使用される用語‘DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性’は、特に言及しない限り、DNAポリメラーゼの上流オリゴヌクレオチド非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を意味する。
【0035】
本発明を詳細に説明すると、以下の通りである。
【0036】
本発明によると、ターゲット核酸配列は、固相基質上に固定化された二重標識プローブにハイブリッド形成される。
【0037】
本明細書で使用された用語‘ターゲット核酸’、‘ターゲット核酸配列’又は‘ターゲット配列’は、検出しようとする核酸配列を意味し、ハイブリッド形成、アニーリング又は増幅条件下でプローブ又はプライマーとアニーリング又はハイブリッド形成される。
【0038】
本明細書で使用される用語‘プローブ(probe)’は、ターゲット核酸配列に実質的に相補的な部位又は部位を含む一本鎖核酸分子を意味する。好ましくは、プローブは、一本鎖デオキシリボヌクレオチド分子である。また、プローブは、リボヌクレオチドを含むことができる。
【0039】
本明細書で使用される用語‘プライマー’は、オリゴヌクレオチドを意味するものであり、核酸鎖(鋳型)に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件、即ち、ヌクレオチドとDNAポリメラーゼのような重合剤の存在、そして適した温度とpHの条件で合成の開始点として作用できる。好ましくは、プライマーは、増幅において最大効率を有する一本鎖である。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。
【0040】
本発明で利用されるプローブ又はプライマーは、天然(naturally occurring)dNMP(即ち、dAMP、dGMP、dCMP及びdTMP)、修飾ヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドが含まれる。修飾ヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドは、修飾又は非天然塩基を含むことができる。
【0041】
プライマーは、重合剤の存在下で伸長産物の合成をプライミングさせることができるほど十分長くなければならない。プライマーの適した長さは、例えば、温度、応用分野及びプライマーのソース(source)を含む複数の要素によって決定される。本明細書で使用される用語‘アニーリング’又は‘プライミング’は、鋳型核酸にオリゴデオキシヌクレオチド又は核酸が並置(apposition)されることを意味し、前記並置は、ポリメラーゼがヌクレオチドを重合させて、鋳型核酸又はその一部分に相補的な核酸分子を形成するようにする。
【0042】
本明細書で使用された用語‘ハイブリッド形成(hybridization)’は、相補的な一本鎖核酸が二本鎖核酸を形成することを意味する。ハイブリッド形成は、二つの核酸鎖間の相補性が完全である場合(perfect match)に起こるか、又は一部ミスマッチ(mismatch)塩基が存在しても起こり得る。ハイブリッド形成に必要な相補性の程度は、ハイブリッド形成条件によって変わり、特に温度によって調節され得る。
【0043】
本明細書で使用された用語‘アニーリング’と‘ハイブリッド形成’に差はなく、本明細書で混用される。
【0044】
本発明で利用される固定化プローブは、ターゲット核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する。用語‘相補的’は、所定のアニーリング条件又は厳格条件(stringent conditions)下でプライマー又はプローブがターゲット核酸配列に選択的にハイブリッド形成するほど十分相補的なことを意味し、‘実質的に相補的(substantially complementary)’及び‘完全に相補的(perfectly complementary)’を包括する意味を有し、好ましくは、完全に相補的なことを意味する。
【0045】
本発明で利用される固定化プローブは、その3’−末端を通じて固相基質上に固定化される。好ましい固相基質は、適した固相又は半−固相支持体を含み、例えば、膜、フィルター、チップ、スライド、ウェハー、ファイバー、磁性又は非磁性ビーズ、ゲル、管、プレート、高分子、極微粒子及び毛細管である。例え一部具現例において、異なる化合物のための合成領域、例えば、ウェル、隆起した領域(raised region)、ピン、エッチングされた溝(etched trench)などの領域を物理的に分離させることが望ましいかもしれないが、多数の具現例では、固相基質の少なくとも一つの表面は、実質的に平面であってもよい。本発明の他の具現例によると、固相基質は、ビーズ、樹脂、ゲル、マイクロスフィア、又は他の幾何学的配列の形態を有する。
【0046】
好ましくは、固相基質は、マイクロアレイを含む。プローブは、固相基質の表面に直接的又は間接的に固定化されて、好ましくは、間接的に固定化される。また、プローブは、共有又は非共有結合方式で固相基質の表面に固定化できる。プローブが間接的に固相基質の表面に固定化される場合、適したリンカーを利用することができる。本発明で使用できるリンカーは、マイクロアレイでプローブを固定化するために利用される如何なるリンカーも含む。例えば、アミン基を有するアルキル又はアリール化合物、又はチオール基を有するアルキル又はアリール化合物がプローブ固定化のためのリンカーとして利用される。また、ポリ(T)塩基又はポリ(A)塩基がリンカーとして利用されて、酵素作用(例えば、酵素的切断反応)を抑制する可能性の高い空間的妨害(space hindrance)を減少させるか、又はハイブリッド形成効率を増加させることができる。ポリ(T)テール又はポリ(A)テールは、プローブの配列に含まれない。
【0047】
本発明に利用される固定化プローブは、レポーター分子及びクエンチャー分子を含む相互作用的二重標識システムを有する。
【0048】
前記相互作用的標識システムは、供与体分子(レポーター分子)及び受容体分子(クエンチャー分子)間にエネルギーが非放射能的(non−radioacively)に伝達されるシグナル発生システムである。
【0049】
相互作用的標識システムの代表的例として、FRET(fluorescence resonance energy transfer)標識システムは、レポーター分子(供与体分子)及びクエンチング分子(受容体分子)を含む。FRETにおいて、エネルギー供与体は蛍光性であるが、エネルギー受容体は、蛍光性又は非蛍光性である。
【0050】
相互作用的標識システムの他の形態において、エネルギー供与体は、非蛍光性、例えば、発色団(chromophore)であり、エネルギー受容体は、蛍光性である。相互作用的標識システムのまた他の形態において、エネルギー供与体は、発光性、例えば、生物発光性、化学発光性又は電気化学発光性であり、受容体は、蛍光性である。
【0051】
より好ましくは、ターゲット核酸配列を示すシグナルは、相互作用的標識により発生し、最も好ましくは、FRET標識システムである。
【0052】
プローブにおいて有用なレポーター分子及びクエンチャー分子は、当業界に知られた如何なる分子でも含むことができる。その例は、下記の通りである:Cy2
TM(506)、YO−PRO
TM−1(509)、YOYO
TM−1(509)、Calcein(517)、FITC(518)、FluorX
TM(519)、Alexa
TM(520)、Rhodamine110(520)、Oregon Green
TM500(522)、Oregon Green
TM488(524)、RiboGreen
TM(525)、Rhodamine Green
TM(527)、Rhodamine 123(529)、Magnesium Green
TM(531)、Calcium Green
TM(533)、TO−PRO
TM−1(533)、TOTO1(533)、JOE(548)、BODIPY530/550(550)、Dil(565)、BODIPY TMR(568)、BODIPY558/568(568)、BODIPY564/570(570)、Cy3
TM(570)、Alexa
TM546(570)、TRITC(572)、Magnesium Orange
TM(575)、Phycoerythrin R&B(575)、Rhodamine Phalloidin(575)、Calcium Orange
TM(576)、Pyronin Y(580)、Rhodamine B(580)、TAMRA(582)、Rhodamine Red
TM(590)、Cy3.5
TM(596)、ROX(608)、Calcium Crimson
TM(615)、Alexa
TM594(615)、Texas Red(615)、Nile Red(628)、YO−PRO
TM−3(631)、YOYO
TM−3(631)、R−phycocyanin(642)、C−Phycocyanin(648)、TO−PRO
TM−3(660)、TOTO3(660)、DiD DilC(5)(665)、Cy5
TM(670)、Thiadicarbocyanine(671)、Cy5.5(694)、HEX(556)、TET(536)、Biosearch Blue(447)、CAL Fluor Gold 540(544)、CAL Fluor Orange 560(559)、CAL Fluor Red 590(591)、CAL Fluor Red 610(610)、CAL Fluor Red 635(637)、FAM(520)、Fluorescein(520)、Fluorescein−C3(520)、Pulsar 650(566)、Quasar 570(667)、Quasar 670(705)及びQuasar 705(610)。括弧の数字は、ナノメートル単位で表示した最大発光波長である。
【0053】
適したレポーター−クエンチャー対は、下記のようなたくさんの文献に開示されている:Pesceら、editors,Fluorescence Spectroscopy(Marcel Dekker,New York,1971);Whiteら、Fluorescence Analysis:A Practical Approach(Marcel Dekker,New York,1970);Berlman,Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules,2
nd Edition(Academic Press,New York,1971);Griffiths,Color AND Constitution of Organic Molecules(Academic Press,New York,1976);Bishop,editor,Indicators(Pergamon Press,Oxford,1972);Haugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes,Eugene,1992);Pringsheim,Fluorescence and Phosphorescence(Interscience Publishers,New York,1949);Haugland,R.P.,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,6
th Edition,Molecular Probes,Eugene,Oreg.,1996;米国特許第3,996,345号及び第4,351,760号。
【0054】
レポーター分子及びクエンチャー分子は、それぞれ蛍光性であり得る。また、レポーター分子は、蛍光性であるが、クエンチャー分子は非蛍光性でありえる。例えば、広範囲波長又は特定波長の蛍光をクエンチングできる非蛍光性ダーククエンチャーを本発明で利用できる。クエンチャー分子が蛍光性である場合、蛍光性クエンチャー分子のシグナル変化からターゲット核酸配列を検出することができる。
【0055】
固定化プローブ上の二重標識システムにおいて、レポーターは、FRETの供与体を含み、クエンチャーは、FRETのその他のパートナー(受容体)を含む。例えば、フルオレセイン色素(fluorescein dye)は、レポーター分子として利用されて、ロダミン色素(rhodamine dye)は、クエンチャー分子として利用される。
【0056】
レポーター分子及びクエンチャー分子は、従来の方法により連結できる。例えば、レポーター分子及びクエンチャー分子は、少なくとも3個の炭素原子を含むスペーサー(例えば、3−炭素スペーサー、6−炭素スペーサー、9−炭素スペーサー又は12−炭素スペーサー)を通じてプローブに連結され得る。
【0057】
本発明に利用される固定化プローブにおいて、レポーター分子及びクエンチャー分子から選択された第1標識は、固定化プローブの5’−末端に結合し、レポーター分子及びクエンチャー分子から選択された第2標識は、前記第1標識の下流に位置したヌクレオチドの塩基に結合する。
【0058】
好ましくは、固定化プローブの5’−末端に結合した第1標識は、5’−末端のホスフェート基に直接的又は間接的(例えば、リンカーを通じて)に結合できる。択一的に、第1標識は、5’−末端のリボース(ribose)に結合でき、好ましくは、リボースの5−炭素である。
【0059】
固定化プローブ上の第2標識は、第1標識の下流に位置したヌクレオチドの塩基に結合する。第2標識は、アデニン、グアニン、シトシン又はチミンに結合でき、好ましくは、チミンである。
【0060】
第2標識による塩基の標識は、塩基が水素結合をする位置以外の位置に結合することが好ましい。例えば、第2標識は、チミンの5番又は6番炭素に結合でき、好ましくは、チミンの5番炭素のメチル基である。
【0061】
興味深いことに、本発明者は、第2標識による塩基の標識は、標識されたヌクレオチドにDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性を付与することを見出した。
【0062】
本明細書で使用される用語‘抵抗性’は、ヌクレオチド分子がDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によりほとんど切断されないか、全く切断されないことを意味し、好ましくは、全く切断されないことである。
【0063】
本発明の好ましい具現例によると、第1標識は、クエンチャー分子であり、第2標識は、レポーター分子である。択一的に、第1標識は、レポーター分子であり、第2標識は、クエンチャー分子である。
【0064】
本発明に利用される第1標識及び第2標識は、相互作用的二重標識システムを提供する。二重標識は、特に、固定化プローブが分析しようとする試料の核酸配列にハイブリッド形成されない場合に、二重標識間のエネルギークエンチングが発生し得る、固定化プローブの部位に位置する。
【0065】
エネルギークエンチングのために、二重標識は、特定距離又は3次元的構造(例えば、ランダムコイル又はヘアピン構造)でプローブ上に位置する。ターゲット核酸配列とハイブリッド形成される固定化プローブは、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によりその5’−末端で5’→3’方向に徐々に切断され、その5’−末端にある第1標識が解離する。最終的に、第2標識は、固相基質に残留するようになり、第1標識及び第2標識間のエネルギークエンチングがそれ以上発生せず、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナル変化(シグナル発生、消滅、増加又は減少)が引き起こされる。
【0066】
第1標識がクエンチャー分子で、第2標識がレポーター分子である場合、固定化プローブの5’−末端がエキソ核酸切断反応によって切断され、第1標識は解離して、第2標識は固相基質上に残留するようになる。第2標識であるレポーター分子からのシグナルを測定してターゲット核酸配列を検出する。
【0067】
第1標識がレポーター分子で、第2標識がクエンチャー分子である場合、固定化プローブの5’−末端がエキソ核酸切断反応によって切断され、第1標識は解離して、第2標識は固相基質上に残留するようになる。クエンチャー分子が蛍光性である場合、固相基質上に残留したクエンチャーは、第1標識が解離される前の初期シグナルと異なる蛍光シグナルを発生させ、これによりターゲット核酸配列が検出される。第2標識であるレポーター分子からのシグナルを測定してターゲット核酸配列を検出する。
【0068】
本発明の最も主要な利点は、制限無しに内部標識の位置を決定することができることである。DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する内部標識起因抵抗性(internal label−caused resistance)のため、内部標識は、固定化プローブの5’−末端から離隔されたどんな位置にも配置することができる。好ましくは、内部標識は、二重標識のクエンチング効率を最大化するに十分な位置に位置する。
【0069】
本発明の好ましい具現例によると、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が第1標識と第2標識間の部位に作用する程度に、第1標識と第2標識は互いに離隔されている。
【0070】
本発明の好ましい具現例によると、第2標識は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断される固定化プローブ上の切断部位により第1標識から分離される。
【0071】
本発明の好ましい具現例によると、第2標識は、特定反応条件下で抵抗性により切断反応を終了させるのに適した位置に位置する。
【0072】
好ましくは、第2標識は、第1標識から少なくとも2ヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも3ヌクレオチド、さらに好ましくは、4ヌクレオチド離隔された位置にある。
【0073】
好ましくは、第2標識は、第1標識から2−25ヌクレオチド、2−20ヌクレオチド、2−15ヌクレオチド、3−25ヌクレオチド、3−20ヌクレオチド、3−15ヌクレオチド、4−25ヌクレオチド、4−20ヌクレオチド又は4−15ヌクレオチド離隔された位置にある。
【0074】
本発明の好ましい具現例によると、第2標識は、ターゲット核酸配列から切断されたプローブが変性されることにより切断されなくなる部位(非切断部位)に位置しない。このような理由で、非切断部位は、反応条件又はプローブ配列に依存的であり、これは、第2標識の位置を決定する決定要因になる。
【0075】
本発明の好ましい具現例によると、第2標識は、固定化プローブの3’−末端から少なくとも10ヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド、さらに好ましくは、少なくとも20ヌクレオチド、よりさらに好ましくは、少なくとも25ヌクレオチド離隔された位置にある。
【0076】
本発明により検出されるターゲット核酸配列は、特に制限されず、DNA(gDNA又はcDNA)又はRNA分子を含む。また、本発明は、検出及び/又は増幅しようとするターゲット核酸配列が、ある特定配列又は長さを有する必要がない。mRNAを初期物質として利用する場合、アニーリング工程の実施以前に逆転写工程が必須であり、これの詳細な内容は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001); 及びNoonan,K. F.ら、Nucleic Acids Res. 16:10366 (1988)に開示されている。逆転写反応のためには、ランダムヘキサマー又はmRNAにハイブリッド形成されるオリゴヌクレオチドdTプライマーが利用される。本発明で検出できるターゲット核酸配列は、あらゆる天然(Naturally occurring)の原核細胞核酸、真核細胞(例えば、原生動物と寄生動物、菌類、酵母、高等植物、下等動物、及び哺乳動物と人間を含む高等動物)核酸、ウイルス(例えば、ヘルペスウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、Epstein−Barrウイルス、肝炎ウイルス、ポリオウイルスなど)核酸、又はウイロイド核酸を含む。
【0077】
プローブ又はプライマーのアニーリング又はハイブリッド形成は、当業界に公知の多様なハイブリッド形成過程により行うことができる。本発明の適したハイブリッド形成条件は、最適化手順により一連の過程で決定できる。温度、成分の濃度、ハイブリッド形成及び洗浄時間、バッファー成分及びこれらのpH及びイオン強度のような条件は、多様な因子、例えば、プローブ及びターゲット核酸配列のようなオリゴヌクレオチドの長さ及びGC量によって多様である。ハイブリッド形成の詳細な条件は、Joseph Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor5 ,N.Y.(2001);及びM.L.M. Anderson,Nucleic Acid Hybridization,Springer−Verlag New York Inc. N.Y.(1999)で確認できる。
【0078】
例えば、ターゲット核酸配列と固定化プローブのハイブリッド形成温度は、40℃〜80℃であり、より好ましくは、45℃〜75℃であって、さらに好ましくは、50℃〜72℃である。
【0079】
ハイブリッド形成反応に続いて、工程(a)の結果物を、固定化プローブの切断が発生する条件下で5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼと接触させる。固定化プローブがターゲット核酸配列にハイブリッド形成された場合にのみ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼにより切断され、固定化プローブから第1標識が解離し、これは、固相基質上のシグナルの変化を引き起こす(参照:
図1)。このようなシグナルの変化は、ターゲット核酸配列の存在を示す。
【0080】
本明細書の表現‘固定化プローブの切断が発生する条件’は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼにより固定化プローブの切断が発生する反応条件を意味し、例えば、温度、pH、イオン強度、緩衝液、プローブ長さと配列及びエキソヌクレアーゼの種類を含む。例えば、Taq DNAポリメラーゼが利用される場合、固定化プローブの切断が発生する条件は、Tris−HCl緩衝液、KCl、MgCl
2及び温度を含む。
【0081】
本発明で利用する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼは、ターゲット核酸配列とのハイブリッド形成に係わるプローブに作用し、5’→3’方向にエキソ核酸切断反応を促進する酵素を含む。
【0082】
本発明で利用される5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ(例えば、E.coli DNAポリメラーゼI、熱安定性DNAポリメラーゼ及びバクテリオファージT7 DNAポリメラーゼ)は、好ましくは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼであり、例えば、Thermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilus、Thermus filiformis、Thermus flavus、Thermus antranikianii、Thermus caldophilus、Thermus chliarophilus、Thermus igniterrae、Thermus lacteus、Thermus oshimai、Thermus ruber、Thermus rubens、Thermus scotoductus、Thermus silvanus、Thermus species Z05及びThermus species sps 17を含む。
【0083】
ターゲット核酸配列にハイブリッド形成された固定化プローブは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼにより切断され、固定化プローブから第1標識が解離し、これにより固相基質上のシグナルの変化を引き起こす。
【0084】
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼによる固定化プローブのエキソ核酸切断反応後、前記反応は、第2標識が結合したヌクレオチドで終了される。エキソ核酸切断反応の終了は、第2標識が結合したヌクレオチドの抵抗性により誘導され、最終的に、第2標識は、固相基質上に残留するようになる。
【0085】
エキソ核酸切断反応の終了に続いて、固相基質上でシグナルの変化(シグナル増加又は減少)を検出し、固定化プローブの前記切断によるシグナルの変化は、ターゲット核酸配列の存在を示す。
【0086】
シグナルは、各標識に対する従来の方法により検出又は測定できる。例えば、蛍光シグナルは、従来の方法、例えば、蛍光測定器により検出又は測定できる。
【0087】
最終的に、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナル変化が固相で検出される。好ましくは、固定化プローブの切断によるシグナル変化は、固相基質上のシグナル増加である。
【0088】
本発明の反応環境を提供する固相基質、好ましくは、マイクロアレイは、当業界に公知である如何なるマイクロアレイも含む。本発明の全ての過程、即ち、ターゲット配列とのアニーリング、伸長/切断反応及び蛍光の検出は、マイクロアレイ上でなされる。マイクロアレイで固定化プローブは、ハイブリッド形成アレイ要素(Hybridizable array element)として利用される。マイクロアレイを製作するための固相基質は、例えば、金属(例えば、金、金と銅の合金、アルミニウム)、金属オキシド、ガラス、セラミック、石英、シリコン、半導体、Si/SiO
2ウェハー、ゲルマニウム、ガリウムアルセニド、カーボン、炭素ナノチューブ、ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド)、セファロース、アガロース及びコロイドを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の複数の固定化プローブは、固相基質上の一つのアドレサブル(addressable)領域(region)又は複数のアドレサブル領域に固定化されて、固相基質は、2〜1,000,000個のアドレサブル領域を含むことができる。フォトリソグラフィー、インクジェッティング、機械的マイクロスポッティング及びその類似方法のような従来の製作技術により、アレイ又は特定応用のためのアレイを提供するために、固定化プローブが製作(fabricate)され得る。
【0089】
本発明は、固相基質上の固定化プローブは、互いに物理的に離隔されているため、一種類の二重標識を利用するとしても、多数のターゲット核酸配列を固相基質上で同時に検出することができる。このような点で、本発明により固相で検出されるターゲット核酸配列の数は制限されない。
【0090】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、前記工程(a)−(b)又は(a)−(c)を反復する工程(好ましくは2回、より好ましくは、少なくとも5回、さらに好ましくは、少なくとも10回)と、その反復サイクルの間に変性過程とをさらに含む。
【0091】
工程(a)−(b)又は(a)−(c)を反復する場合、本発明は、ターゲット核酸配列の二本鎖を一本鎖に変性する過程をさらに含むことが好ましい。
【0092】
工程(a)−(b)又は(a)−(c)を反復して反復的エキソ核酸切断反応を誘導する場合、シグナル変化程度は、ターゲット核酸配列の量によって増加し、ターゲット核酸配列の定量を可能にする。本発明を反復的エキソ核酸切断反応によって実施する場合、工程(d)の検出は、反復の終了時点で(即ち、エンドポイント方式)、反復の各サイクルで(即ち、リアルタイム方式)、又は反復の間、所定の時間間隔のそれぞれにおいて実施することができる。リアルタイム検出は、ターゲット核酸配列を定量化するに適している。
【0093】
洗浄工程は、工程(d)以前に実施できる。しかし、本発明は、固相基質上の二重標識プローブから解離した標識分子の干渉がなく、固相基質を洗浄しない共焦点レーザースキャナのような適した機器を利用して、固相基質上に存在するシグナルのみを検出することができる。
【0094】
本発明の好ましい具現例によると、工程(a)は、固定化プローブにハイブリッド形成されるターゲット核酸配列を生成するための逆方向プライマーを追加的に含む。ターゲット核酸配列の追加的な生成は、シグナル変化が強く発生されるようにする。
【0095】
例えば、少なくとも2種の増幅プライマーを利用して少なくとも2種のターゲット核酸配列をマルチプレックス増幅して、少なくとも2種の固定化プローブにハイブリッド形成させ、少なくとも2種の逆方向プライマー及び5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを利用して伸長及び切断反応を実施すると、最終的に、逆方向プライマーを使用しない反応より増加されたシグナル変化を得る。
【0096】
本発明の好ましい具現例によると、固定化プローブは、修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有する。mDSO構造は、標準的なプローブより非常に高いターゲット特異性を有する(参照:WO2011/028041)。
【0097】
本発明の好ましい具現例によると、前記固定化プローブは、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別するようにする下記一般式Iの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有するターゲット区別性プローブ(target discriminative probe:TDプローブ)である方法を提供する。
5’−X’
p−Y’
q−Z’
r−3’ (I)
(式中、X’
pは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する5’−第2ハイブリッド形成部位であり、Y’
qは、少なくとも三つのユニバーサル塩基を含む分割部位であり、Z’
rは、前記ターゲット核酸配列と相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列を有する3’−第1ハイブリッド形成部位であり、前記TDプローブは、レポーター分子及びクエンチャー分子を含む相互作用的二重標識を有し、前記相互作用的二重標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子間のエネルギークエンチングを誘導できるように前記固定化プローブに位置し、第1標識及び第2標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子から選択され、前記第1標識は、前記5’−第2ハイブリッド形成部位の5’−末端に結合し、前記第2標識は、前記第1標識の下流に位置したヌクレオチドの塩基に結合して、p、q及びrは、ヌクレオチドの数を示し、X’、Y’及びZ’は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−第2ハイブリッド形成部位のT
mは、前記3’−第1ハイブリッド形成部位のT
mより低く、前記分割部位は、前記X’
p、Y’
q、Z’
rの三つの部位のうち、最も低いT
mを有し、前記分割部位は、前記ターゲット核酸配列に対するハイブリッド形成に関して、前記5’−第2ハイブリッド形成部位が前記3’−第1ハイブリッド形成部位から分割し、これにより、前記TDプローブのハイブリッド形成特異性は、前記5’−第2ハイブリッド形成部位及び前記3’−第1ハイブリッド形成部位により二重的に決定されるようにして、これは結局、前記TDプローブの全体ハイブリッド形成特異性を向上させ、前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列とハイブリッド形成される場合は、前記5’−第2ハイブリッド形成部位及び前記3’−第1ハイブリッド形成部位が両方ともターゲット核酸配列とハイブリッド形成し、前記5’−第2ハイブリッド形成部位の5’−末端が前記DNAポリメラーゼのエキソ核酸切断反応により切断され、前記第1標識が前記TDプローブから解離して前記固相基質上のシグナルの変化を引き起こし、前記第2標識が結合した塩基を有する前記ヌクレオチドの抵抗性により、前記第2標識が前記固相基質上に残留し、前記TDプローブが非ターゲット核酸配列とハイブリッド形成される場合は、前記5’−第2ハイブリッド形成部位及び前記分割部位が両方とも一本鎖を形成し、前記5’−第2ハイブリッド形成部位がDNAポリメラーゼにより切断されず、前記固相基質上におけるシグナルの変化を引き起こさず、これにより、前記TDプローブが前記ターゲット核酸配列及び非ターゲット核酸配列を区別して、前記固相基質上における前記シグナル変化は、前記ターゲット核酸配列の存在を示す)。
【0098】
本明細書で使用される用語‘ターゲット区別性プローブ(Target discriminative probe)’は、上述のmDSO構造を有して、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列に互いに異なるパターンでハイブリッド形成され、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列を区別できるようにするプローブを意味する。
【0099】
前記mDSO構造を有する本発明で利用されるTDプローブは、(i)ターゲット核酸配列に相補的なハイブリッド形成ヌクレオチド配列;及び(ii)ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列の区別に決定的な役割をする5’−第2ハイブリッド形成部位と分割部位を含む。
【0100】
前記mDSO構造は、DSO(dual specificity oligonucleotide)構造の新しい修飾形態であって、前記DSOは、本発明者によって最初に提示された(WO2006/095981)。また、前記DSO構造がプライマー役割をする場合は、dual priming oligonucleotide(DPO)と命名される(Chun et al.,Dual priming oligonucleotide system for the multiplex detection of respiratory viruses and SNP genotyping of CYP2C19 gene,Nucleic Acid Research,35:6e40(2007))。DSOは、ハイブリッド形成又はアニーリングが分割領域により互いに分離された5’−高T
m特異性部位(又は5’−第1ハイブリッド形成部位、5’−第1プライミング部位)及び3’−低T
m特異性部位(又は3’−第2ハイブリッド形成部位、3’−第2プライミング部位)により二重的に決定されるようにする新規な概念を具現したもので、非常に向上されたハイブリッド形成特異性を示す(参照WO 2006/095981;Kim et al.,Direct detection of lamivudine−resistant hepatitis B virus mutants by multiplex PCR using dual−priming oligonucleotide primers,Journal of Virological Methods,149:76−84(2008);Kim,et. al.,Rapid detection and identification of 12 respiratory viruses using a dual priming oligonucleotide system−based multiplex PCR assay,Journal of Virological Methods,doi:10.1016/j.jviromet.2008.11.007(2008); Horii et. al.,Use of dual priming oligonucleotide system to detect multiplex sexually transmitted pathogens in clinical specimens,Letters in Applied Microbiology,doi:10.111/j.1472−765X2009.02618x(2009)))。上述のように、前記DSOは、互いに異なるハイブリッド形成特性を有する二つの断片を究極的に有するようになる:初期の安定したハイブリッド形成を生じる5’−第1ハイブリッド形成部位;及びターゲット特異性を決定する3’−第2ハイブリッド形成部位。このDSOは、二重的にハイブリッド形成が決定されるため、大いに向上されたハイブリッド形成特異性を示すことができる。
【0101】
前記mDSO構造は、前記DSO構造が逆転されたものである:ターゲット特異性を決定する5’−第2ハイブリッド形成部位及び初期の安定したハイブリッド形成を生じる3’−第1ハイブリッド形成部位。TDプローブの5’−第2ハイブリッド形成部位がターゲット核酸配列に完璧にハイブリッド形成される場合にのみ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼによりプローブの5’−末端が切断されて、これは、TDプローブの驚くべきターゲット特異性に寄与する。
【0102】
本発明において、TDプローブは、ターゲット核酸配列の検出、特にターゲット核酸配列のマルチプレックス検出において、偽陽性データの除去に部分的に寄与して、これは、TDプローブがターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列に対して明確に異なるハイブリッド形成の性質(behavior)を示すからである。
【0103】
TDプローブがターゲット核酸配列にハイブリッド形成される場合、TDプローブの5’−第2ハイブリッド形成部位及び3’−第1ハイブリッド形成部位がターゲット核酸配列と二本鎖を形成する。TDプローブが非ターゲット核酸配列にハイブリッド形成される場合(即ち、非ターゲットハイブリッド形成又は結合)、その3’−第1ハイブリッド形成部位が優勢的に非ターゲット核酸配列に結合するが、5’−第2ハイブリッド形成部位及び分割部位の両方とも、非ターゲット核酸にハイブリッド形成されず、一本鎖を形成するようになる。
【0104】
TDプローブがターゲット核酸配列にハイブリッド形成される場合、その5’−第2ハイブリッド形成部位は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼにより切断され、第1標識(例えば、クエンチャー分子)は解離して、シグナル変化が発生する。第2標識で標識されたヌクレオチドの抵抗性のため、第2標識は、固相基質上に残留するようになる。したがって、固相基質上でターゲットか核酸配列の存在を示すシグナル変化が得られ、これによりターゲット核酸配列の存在が決定される。
【0105】
これと対照的に、TDプローブが非ターゲット核酸配列にハイブリッド形成される場合、5’−第2ハイブリッド形成部位及び分割部位の両方とも一本鎖を形成し、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼにより切断されない。TDプローブの切断反応が発生しないと、結局シグナル変化も発生しない。
【0106】
本発明の好ましい具現例によると、第2標識は、TDプローブの5’−第2ハイブリッド形成部位に位置する。第2標識で標識されたヌクレオチドの抵抗性のため、TDプローブがターゲット核酸配列にハイブリッド形成された後、切断される場合にも、5’−第2ハイブリッド形成部位の第2標識は、切断されず、固相基質上に残留する。
【0107】
本発明の好ましい具現例によると、分割部位に位置するユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、イノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、2’−OMeイノシン、2’−Fイノシン、デオキシ3−ニトロピロール、3−ニトロピロール、2’−OMe3−ニトロピロール、2’−F3−ニトロピロール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、デオキシ5−ニトロインドール、5−ニトロインドール、2’−OMe5−ニトロインドール、2’−F5−ニトロインドール、デオキシ4−ニトロベンズイミダゾール、4−ニトロベンズイミダゾール、デオキシ4−アミノベンズイミダゾール、4−アミノベンズイミダゾール、デオキシネブラリン、2’−Fネブラリン、2’−F4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−5−イントロインドール、PNA−ネブラリン、PNA−イノシン、PNA−4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−3−ニトロピロール、モルフォリノ−5−ニトロインドール、モルフォリノ−ネブラリン、モルフォリノ−イノシン、モルフォリノ−4−ニトロベンズイミダゾール、モルフォリノ−3−ニトロピロール、ホスホルアミデート−5−ニトロインドール、ホスホルアミデート−ネブラリン、ホスホルアミデート−イノシン、ホスホルアミデート−4−ニトロベンズイミダゾール、ホスホルアミデート−3−ニトロピロール、2’−O−メトキシエチルイノシン、2’−O−メトキシエチルネブラリン、2’−O−メトキシエチル5−ニトロインドール、2’−O−メトキシエチル4−ニトロ−ベンズイミダゾール、2’−O−メトキシエチル3−ニトロピロール、及び前記塩基の組み合せからなる群から選択される。より好ましくは、分割領域に位置するユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、イノシン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール又は5−ニトロインドールであり、最も好ましくは、デオキシイノシンである。
【0108】
好ましくは、前記分割部位は、少なくとも3個のユニバーサル塩基、より好ましくは、少なくとも4個のユニバーサル塩基、最も好ましくは、少なくとも5個のユニバーサル塩基を有するヌクレオチドを含む。より好ましくは、前記分割部位は、少なくとも3個のユニバーサル塩基、より好ましくは、少なくとも4個のユニバーサル塩基、最も好ましくは、少なくとも5個のユニバーサル塩基を有する連続したヌクレオチドを含む。選択的に、分割部位は、3〜10個、3〜8個、4〜7個又は4〜5個の連続したユニバーサル塩基を含む。
【0109】
好ましくは、前記3’−第1ハイブリッド形成部位の長さは、5’−第2ハイブリッド形成部位より長い。3’−第1ハイブリッド形成部位は、好ましくは、15〜60ヌクレオチドの長さを有し、より好ましくは、15〜40ヌクレオチドの長さを有し、さらに好ましくは、15〜30ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、5’−第2ハイブリッド形成部位は、少なくとも3ヌクレオチド、より好ましくは、5ヌクレオチド、さらに好ましくは、6ヌクレオチドの長さを有する。5’−第2ハイブリッド形成部位は、好ましくは、多くとも15ヌクレオチド、より好ましくは、多くとも13ヌクレオチド、さらに好ましくは、多くとも12ヌクレオチドの長さを有する。5’−第2ハイブリッド形成部位は、好ましくは、3〜15ヌクレオチドの長さを有して、より好ましくは、3〜13ヌクレオチド、さらに好ましくは、4〜12ヌクレオチド、最も好ましくは、5〜11ヌクレオチドの長さを有する。分割部位は、好ましくは、3〜10ヌクレオチド、より好ましくは、3〜8ヌクレオチド、さらに好ましくは、4〜7ヌクレオチド、最も好ましくは、4〜5ヌクレオチドの長さを有する。5’−第2ハイブリッド形成部位及び分割部位の長さは、少なくとも6ヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも9ヌクレオチド、さらに好ましくは、少なくとも12ヌクレオチド、最も好ましくは、少なくとも15ヌクレオチドの長さを有する。
【0110】
本発明の好ましい具現例によると、3’−第1ハイブリッド形成部位は、40℃〜80℃のT
mを有して、より好ましくは、45℃〜70℃のT
mを有する。5’−第2ハイブリッド形成部位は、好ましくは、6℃〜40℃のT
mを有して、より好ましくは、10℃〜40℃のT
mを有する。前記分割部位は、好ましくは、2℃〜15℃のT
mを有し、より好ましくは、3℃〜15℃のT
mを有する。
【0111】
本発明の好ましい具現例によると、第2標識は、TDプローブの5’−第2ハイブリッド形成部位に位置する。より好ましくは、5’−第2ハイブリッド形成部位上の第2標識は、5’−第2ハイブリッド形成部位の5’−末端に結合した第1標識から2〜15ヌクレオチド、より好ましくは、2〜10ヌクレオチド離隔された位置にある。
【0112】
本発明の好ましい具現例によると、本発明に利用されるターゲット核酸配列は、増幅用プライマーにより前増幅された核酸配列である。前増幅された核酸配列の利用は、本発明のターゲット検出の感度と特異性を増加させる。
【0113】
本発明の好ましい具現例によると、逆方向プライマー又は増幅用プライマーは、二重プライミングオリゴヌクレオチド(DPO)構造を有する。DPO構造は、本明細書全体に参照として取り込まれたWO2006/095981で開示したように、標準的なプライマーより非常に高いターゲット特異性を有する。
【0114】
プライマー又はプローブを言及しながら使用される用語‘標準的な’は、mDSO構造又はDPO構造を有しないあらゆるプライマー又はプローブを意味する。それらは、本明細書において標準的なプライマー又はプローブとして説明される。
【0115】
本発明は、少なくとも2種のターゲット核酸配列の同時(マルチプレックス)検出にもよく適用される。本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み(より好ましくは、少なくとも3種、さらに好ましくは、少なくとも5種)、プローブ(及び/又は逆方向プライマー)は、少なくとも2種のプローブを含む(より好ましくは、少なくとも3種、さらに好ましくは、少なくとも5種)。
【0116】
さらに、本発明は、ヌクレオチド変異の検出にも非常に有用である。本発明で使用される用語‘ヌクレオチド変異(nucleotide variation)’は、連続的DNA断片又は配列の類似したDNA断片において、特定位置に存在するDNA配列のヌクレオチド多型を意味する。そのような連続的DNA断片は、一つの遺伝子又は一つの染色体のある他の部位を含む。例えば、本発明で検出されるヌクレオチド変異は、SNP(一塩基多型、single nucleotide polymorphism)、欠失、挿入、置換及びトランスロケーションを含む。ヌクレオチド変異の例は、ヒトゲノムにある多様な変異(例えば、MTHFR(methylenetetrahydrofolate reductase)遺伝子の変異)、病原体の薬剤耐性に係わる変異及び癌発生−関連ヌクレオチドの変異を含む。本発明の好ましい具現例によると、固定化プローブは、ヌクレオチド変異に相補的な又は該当するヌクレオチドを含む。
【0117】
本発明の他の様態によると、本発明は、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有する二重標識プローブを利用して固相でDNA又は核酸混合物からターゲット核酸配列を検出するキットであって、(a)固相基質と、(b)前記ターゲット核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する固定化プローブであって、その3’−末端を通じて固相基質上に固定化された前記プローブは、レポーター分子及びクエンチャー分子を含む相互作用的二重標識を有して、前記相互作用的二重標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子間のエネルギークエンチングを誘導できるように前記固定化プローブに位置して、第1標識及び第2標識は、前記レポーター分子及び前記クエンチャー分子から選択されて、前記第1標識は、前記固定化プローブの5’−末端に結合し、前記第2標識は、前記第1標識の下流に位置したヌクレオチドの塩基に結合して、このような前記第2標識の結合は、前記ヌクレオチドが前記DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有するようにする前記固定化プローブと、(c)5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する前記DNAポリメラーゼと、を含むキットを提供する。
【0118】
本発明のキットは、上述の本発明の検出方法を実施するために製作されたもので、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0119】
本発明の好ましい具現例によると、第1標識は、クエンチャー分子であり、第2標識は、レポーター分子である。択一的に、第1標識は、レポーター分子であり、第2標識は、クエンチャー分子である。
【0120】
本発明の好ましい具現例によると、第2標識は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断される固定化プローブ上の切断部位により第1標識から分離される。好ましくは、第2標識は、第1標識から2〜20ヌクレオチド離隔された位置にある。より好ましくは、第2標識は、第1標識から4〜15ヌクレオチド離隔された位置にある。
【0121】
本発明の好ましい具現例によると、第1標識は、固定化プローブの5’−末端のホスフェート基に結合する。
【0122】
本発明の好ましい具現例によると、第2標識は、前記固定化プローブにおけるチミジンヌクレオチドのチミンに結合する。
【0123】
本発明の好ましい具現例によると、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼである。
【0124】
本発明の好ましい具現例によると、本キットは、固定化プローブにハイブリッド形成されるターゲット核酸配列を生成するための逆方向プライマーを追加的に含む。
【0125】
本発明の好ましい具現例によると、固定化プローブは、ターゲット核酸配列と非ターゲット核酸配列とを区別するようにする一般式Iの修飾二重特異性オリゴヌクレオチド(mDSO)構造を有するターゲット区別性プローブ(target discriminative probe:TDプローブ)である。
【0126】
好ましくは、本キットは、ターゲット核酸配列増幅用プライマーセットを追加的に含み、前記ターゲット核酸配列は、前増幅された核酸配列である。
【0127】
本発明の好ましい具現例によると、ターゲット核酸配列は、少なくとも2種の核酸配列を含み、固定化プローブは、少なくとも2種のプローブを含む。好ましくは、ターゲット核酸配列は、ヌクレオチド変異を含む。
【0128】
本発明のキットは、バッファー、DNAポリメラーゼ助因子及びデオキシリボヌクレオチド−5−トリホスフェートのようなターゲット増幅PCR反応(例えば、PCR反応)に必要な試薬を選択的に含むことができる。選択的に、本発明のキットは、多様なポリヌクレオチド分子、逆転写酵素、多様なバッファー及び試薬、及びDNAポリメラーゼ活性を抑制する抗体を含むことができる。
【0129】
また、本発明のキットは、陽性対照群及び陰性対照群反応を実施するために必要な試薬を含むことができる。特定反応で使用される試薬の最適量は、本明細書の開示事項を習得した当業者により容易に決定できる。典型的に、本発明のキットは、上記言及された構成成分を含む別途の包装又は区分で製作される
【0130】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性をオリゴヌクレオチドに付与する方法であって、(a)前記オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する工程と、(b)前記オリゴヌクレオチドのうち一つのヌクレオチドの塩基に標識を有するオリゴヌクレオチドを合成する工程(これにより、前記ヌクレオチドは、前記DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有する)と、を含む方法を提供する。
【0131】
本発明は、上述の検出方法に利用されるDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する塩基−標識ヌクレオチドの抵抗性に係わるもので、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0132】
オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、ターゲット核酸配列に相補的な配列を有するように決定できる。ヌクレオチドがターゲット核酸配列に特異的にハイブリッド形成できる範囲内で、ヌクレオチド配列は、ターゲット核酸配列に対する一つ又はそれ以上のミスマッチヌクレオチドを有することができる。
【0133】
本発明の好ましい具現例によると、オリゴヌクレオチドは、プローブである。
【0134】
オリゴヌクレオチドの合成は、開示された従来の方法によって実施できる(例えば、Needham−VanDevanterらがNucleic Acids Res.,12:6159−6168(1984)で開示した自動合成機を利用する固相ホスホラミダイトトリエステル方法(solid phase phosphoramidite triester method,Beaucage and Caruthers,Tetrahedron Letts.,22(20):1859−1862(1981))。
【0135】
本発明の好ましい具現例によると、標識が結合した塩基を有するヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの内部ヌクレオチドである。
【0136】
ヌクレオチドの塩基成分と標識の結合は、開示された従来の方法によって実施できる(Nelsonら,Nucleic Acids Research 20(23):6253−6259(1992);米国特許第4,757,141号、第5,559,767号及び第5,231,191号;及びHaralambidisら,Nucleic Acids Research,15:4856−4876(1987))。
【0137】
標識が結合する塩基成分は、アデニン、グアニン、シトシン及びチミンを含み、好ましくは、チミンである。
【0138】
標識による塩基成分の標識は、ターゲット核酸配列が水素結合をする位置以外の位置に結合することが好ましい。例えば、標識は、チミンの5番又は6番炭素に結合でき、好ましくは、チミンの5番炭素のメチル基である。
【0139】
本発明の特徴及び利点を要約すると、以下の通りである:
(a)本発明は、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの塩基成分と標識の結合が、オリゴヌクレオチドがDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有するようにするという独特な特徴を利用する。本発明は、固相に固定化されたプローブ上の二重標識システムと共に、このような独特な特徴をターゲット検出システムに適用する。その5’−末端及び内部部位に標識を有する固定化プローブがターゲット核酸配列にハイブリッド形成される場合、固定化プローブは、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、その5’−末端で5’→3’方向に徐々に切断されて、その5’−末端にある標識が解離する。抵抗性により塩基成分に標識された内部ヌクレオチドで切断反応は終了して、結局、内部ヌクレオチドの標識は、固相基質に残留するようになり、最終的に、ターゲット核酸配列の存在を示すシグナル変化が提供される。
(b)本発明は、内部ヌクレオチドの塩基成分の標識によるDNAポリメラーゼのプライマー非依存的5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性により、固相基質上に第2標識が残留するよう適した位置を考慮する必要がない。これとは異なって、DNAポリメラーゼのプライマー依存的5’→3’ヌクレアーゼ活性を利用する固相基質におけるTaqManプローブに基づく方法は、固相基質に第2標識を残留させるために、反応条件を考慮し、第2標識の位置を厳格に決定しなければならない。
(c)本発明は、プローブ上の内部標識の位置を自由に決定することができるため、二重標識システムのクエンチング効率を最大化するために適したプローブ上の位置に標識を位置させることにより、バックグラウンドシグナルを最小化する。
(d)本発明で使用される好ましいプローブであるmDSO構造を有するTDプローブは、標準的なプローブが非ターゲット核酸配列に非特異ハイブリッド形成することにより、一般的に発生する偽陽性シグナルの除去に部分的に寄与する。
(e)相互作用的二重標識を利用する本発明は、エンドポイント又はリアルタイム方式で固相におけるシグナル変化(シグナル減少又は増加)を測定することができ、ターゲット核酸配列の定性的分析だけではなく、定量的な分析もできる。
(f)本発明は、プローブ及びターゲット核酸配列間のハイブリッド形成だけではなく、酵素反応(DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性による)によるシグナル変化を提供する。即ち、本発明のターゲット特異性は、二重に決定され、プローブの非特異的ハイブリッド形成による偽陽性結果問題が成功的に解決される。しかも、本発明のサイクリック反復は、固定化プローブがシグナル変化を提供するようにして、これにより、シグナルの変化程度を最大化することができる。
(g)本発明は、TaqManプローブに基づく方法と異なり、プライマーの使用無しに、固定化されたプローブのみを利用して実施できる。したがって、本発明は、多数のオリゴヌクレオチドの配列決定及び反応条件の最適化における困難性及び費用に対する非効率性のような、オリゴヌクレオチドを利用する方法でみられる多くの問題点から完璧に自由である。このような利点は、マルチプレックスターゲット検出において、より明確に認識される。
(h)本発明は、固相基質上の固定化プローブが互いに物理的に離隔されているため、一種類の二重標識を利用するとしても、多数のターゲット核酸配列を固相基質上で同時に検出することができる。
【実施例】
【0140】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【0141】
実施例1:DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性の評価
本発明者は、その塩基に標識が結合したヌクレオチドがDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有するかどうかを評価した。
【0142】
このような評価のために、Staphylococcus aureus(SA)遺伝子の合成オリゴヌクレオチドを鋳型として使用した。5’ヌクレアーゼ活性を有するTaq、Tth及びTfl DNAポリメラーゼを5’→3’エキソ核酸切断反応(5’→3’exonucleolytic reaction)に利用した。二重標識プローブをこの評価に利用した。前記プローブは、その5’−末端にあるホスフェート基(SEQ ID NO:2)又はチミジンヌクレオチドのチミン(SEQ ID NOs:3、4、5、6及び7)に結合した蛍光レポーター分子(fluorescent reporter molecule,FAM)を有し、その3’−末端には、クエンチャー分子(BHQ−1)を有する。本実施例で利用されたプローブは、Biosearch Technologies Inc.(USA)から提供してもらった。カーボンスペーサー(C6スペーサー)を含んでいるFAMをプローブ(Biosearch Technologies Inc.、USA)製作に利用した。
【0143】
本実施例で利用した合成鋳型及びプローブの配列は、下記の通りである:
SA−T 5’−GGTGTAGGTGGTGGCGGTAACAACGCCGTAAACCGAATGATTGACCACGGAATGAATAATGTTGAA
TTTA−3’(SEQ ID NO:1)
SA−Con−M1 [FAM]TCAATCATTCGGTTTACGGCGTTG[BHQ−1](SEQ ID NO:2)
SA−Con−D0(dT) [
T(FAM)]CAATCATTCGGTTTACGGCGTTG[BHQ−1](SEQ ID NO:3)
SA−Con−D1(dT) G[
T(FAM)]CAATCATTCGGTTTACGGCGTTG[BHQ−1](SEQ ID NO:4)
SA−Con−D3(dT) TGG[
T(FAM)]CAATCATTCGGTTTACGGCGTTG[BHQ−1](SEQ ID NO:5)
SA−Con−D5(dT) CGTGG[
T(FAM)]CAATCATTCGGTTTACGGCGTTG[BHQ−1](SEQ ID NO:6)
SA−Con−D8(dT) TTCCGTGG[
T(FAM)]CAATCATTCGGTTTACGGCGTTG[BHQ−1](SEQ ID NO:7)
(下線の文字は、蛍光レポーター分子が結合したチミンを示す)
【0144】
SAに対する合成鋳型(SEQ ID NO:1)0.5pmole、プローブ(SEQ ID NOs:2、3、4、5、6又は7)5pmole、10×反応バッファー(5mM MgCl
2)2μL、dNTPsそれぞれ50μM、Taq(Solgent、Korea)、Tth(Epicentre Biotechnologies、US)又はTfl DNAポリメラーゼ(Epicentre Biotechnologies、US)2unitを含有した20μLの最終容量で反復的エキソ核酸切断反応を行った。前記反応混合物を含有しているチューブをリアルタイムサーマルサイクラー(CFX96、Bio−Rad)に設置し;前記反応混合物を95℃で2分間変性させた後、95℃で20秒間、55℃で20秒間の過程を50回反復した。各サイクルの55℃でシグナルを検出した。
【0145】
図2、3及び4から分かるように、ターゲット核酸が存在する場合、5’−末端にあるホスフェート基に蛍光レポーター分子が結合したプローブ(SEQ ID NO:2)は、蛍光シグナルが発生した。しかし、ターゲット核酸が存在するとしても、チミジンヌクレオチドのチミンに蛍光レポーター分子が結合したプローブ(SEQ ID NOs:3、4、5、6及び7)は、蛍光シグナルが発生しなかった。ターゲット核酸がない場合、蛍光シグナルは、発生しなかった。
【0146】
このような結果は、塩基に標識を有するヌクレオチドがDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性を有することを示す。
【0147】
実施例2:二重標識プローブ及びDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性を利用したマイクロアレイ上におけるターゲット核酸配列の検出
本発明者は、二重標識プローブを利用した固相におけるターゲット核酸配列検出に、塩基に標識が結合したヌクレオチドの抵抗性を適用した。5’−ヌクレアーゼ活性を有するTaq DNAポリメラーゼを5’→3’エキソ核酸切断反応に利用した。
【0148】
二重標識プローブは、その5’−末端にクエンチャー分子(BHQ−2)を有し、且つ内部チミジンヌクレオチドのチミンに結合した蛍光レポーター分子(Quasar570)を有する。カーボンスペーサー(C6スペーサー)を含んでいるQuasar570を利用して、前記プローブ(Biosearch Technologies Inc.、USA)を製作した。追加的に挿入されたカーボンスペーサー(C6スペーサー)を通じてBHQ−2を結合した。プローブの3’−末端にあるアミノ基(AminnoC7)を利用してプローブをガラススライド上に固定化させた。5’−末端に蛍光レポーター分子(Quasar570)を有するマーカープローブをその3’−末端にあるアミノ基を利用してガラススライド上に固定化させた。Staphylococcus aureus(SA)に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。
【0149】
本実施例で利用した合成鋳型、二重標識プローブ及びマーカーの配列は、下記の通りである:
SA−T 5’−GGTGTAGGTGGTGGCGGTAACAACGCCGTAAACCGAATGATTGACCACGGAATGAATAATGTTGAA
TTTA−3’(SEQ ID NO:1)
SA−Con−M [BHQ−2][C6スペーサー]TCATTCCG[
T(Quasar570)]GGTCAATCATTCGGTTTACGGCGTTG
TTACCTTTTT[AminoC7](SEQ ID NO:8)
Marker [Quasar570]ATATATATAT[AminoC7](SEQ ID NO:9)
(下線の文字は、蛍光レポーター分子が結合したチミンを示す)
【0150】
NSB9 NHSスライド(NSBPOSTECH、Korea)を前記二重標識プローブ(SEQ ID NO:8)及びマーカー(SEQ ID NO:9)の製作に利用した。NSBスポッティングバッファーで最終濃度50μMになるように溶解させた前記二重標識プローブ及びマーカーを、PersonalArrayer
TM16 Microarray Spotter(CapitalBio、China)を利用してNSB9 NHSスライド上にプリントした。前記二重標識プローブ及びマーカーを2×1フォーマット(duplicate spots)で並べてスポッティングして、このようにして製作したスライドを約85%湿度のチャンバに一晩中インキュベートした。非特異的に結合した二重標識プローブ及びマーカーを除去するために、前記スライドを2×SSPE(0.3M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸水素ナトリウム及び2.0mM EDTA)、pH7.4及び7.0mM SDSを含有したバッファー溶液に37℃で30分間洗浄し、蒸留水で洗浄した。その後、スライド遠心分離機を利用して、前記DNA機能化された(DNA−functionalized)スライドを乾燥させて、使用前まで4℃暗室で保管した。
【0151】
SAに対する合成鋳型(SEQ ID NO:1)10pmole、10×反応バッファー(6mM MgCl
2)3μL、dNTPsそれぞれ200μL及びDiastar−Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)1.2unitを含有した30μLの最終容量で、エキソ核酸切断反応を行った;前記二重標識プローブ(SEQ ID NO:8)が交互結合(cross−linked)されたスライドの表面上に組み立てられたチャンバに前記全混合物を適用した。スライドをin situブロック方式でサーマルサイクラー(Genepro B4I、China)に設置した。前記反応を下記のように実施した:95℃で2分間変性及び55℃で60分間。最終的に前記スライドを100℃で蒸留水で1分間洗浄した。それぞれ洗浄した後、イメージ獲得は、共焦点レーザースキャナーAxon GenePix4100A(molecular Device、US)を利用し、10μmピクセル解像度のスキャニングで行った。蛍光強度は、定量的なマイクロアレイ分析ソフトウェア、GenePix pro6.0ソフトウェア(molecular Device、US)を利用して分析した。蛍光強度は、周辺バックグラウンドを除去した後、スポット−中央値で表現した。再現性を調べるために、各スポットは、2個ずつスポッティングした。蛍光強度を、2個のスポットの平均値で示した。
【0152】
図5から分かるように、ターゲット核酸が存在する場合、蛍光シグナルが発生した(RFU:65,486±0.7)。ターゲット核酸がない場合は、蛍光シグナルが発生しなかった。
【0153】
実施例3:二重標識TDプローブ及びDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性を利用したマイクロアレイ上におけるターゲット核酸配列の検出
本発明者は、二重標識TDプローブを利用した固相におけるターゲット核酸配列検出に、塩基に標識が結合したヌクレオチドのDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に対する抵抗性を適用した。5’−ヌクレアーゼ活性を有するTaq DNAポリメラーゼを5’→3’エキソ核酸切断反応に利用した。
【0154】
二重標識TDプローブは、その5’−末端にクエンチャー分子(BHQ−2)を有し、且つ5’−第2ハイブリッド形成部位に位置した内部チミジンヌクレオチドのチミンに結合した蛍光レポーター分子(Quasar570)を有する。カーボンスペーサー(C6スペーサー)を含んでいるQuasar570を利用して、前記プローブ(Biosearch Technologies Inc.、USA)を製作した。追加的に挿入されたカーボンスペーサー(C6スペーサー)を通じてBHQ−2を結合した。TDプローブの3’−末端にあるアミノ基(AminnoC7)を利用してTDプローブをガラススライド上に固定化させた。5’−末端に蛍光レポーター分子(Quasar570)を有するマーカープローブをその3’−末端にあるアミノ基を利用してガラススライド上に固定化させた。Staphylococcus aureus(SA)に対する合成オリゴヌクレオチドを鋳型として利用した。
【0155】
本実施例で利用した合成鋳型、二重標識TDプローブ及びマーカーの配列は、下記の通りである:
SA−T 5’−GGTGTAGGTGGTGGCGGTAACAACGCCGTAAACCGAATGATTGACCACGGAATGAATAATGTTGAA
TTTA−3’(SEQ ID NO:1)
SA−TD−M [BHQ2][C6スペーサー]TCATTCCG[
T(Quasar570)]GGIIIII CATTCGGTTTACGGCGTTGTTACCTTTTT[AminoC7](SEQ ID NO:10)
Marker [Quasar570]ATATATATAT[AminoC7](SEQ ID NO:9)
(下線の文字は、蛍光レポーター分子が結合したチミンを示す)
【0156】
NSB9 NHSスライド(NSBPOSTECH、Korea)を前記二重標識TDプローブ(SEQ ID NO:10)及びマーカー(SEQ ID NO:9)の製作に利用した。NSBスポッティングバッファー(NSB spotting buffer)で最終濃度50μMになるように溶解させた前記二重標識TDプローブ及びマーカーを、PersonalArrayer
TM16 Microarray Spotter(CapitalBio、China)を利用してNSB9 NHSスライド上にプリントした。前記二重標識TDプローブ及びマーカーを2×1フォーマット(duplicate spots)で並べてスポッティング(spotting)して、このようにして製作されたスライドを約85%湿度のチャンバに一晩中インキュベートした。非特異的に結合した二重標識TDプローブ及びマーカーを除去するために、前記スライドを2×SSPE(0.3M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸水素ナトリウム及び2.0mM EDTA)、pH7.4及び7.0mM SDSを含有したバッファー溶液に37℃で30分間洗浄して、蒸留水で洗浄した。その後、スライド遠心分離機を利用して、前記DNA機能化された(DNA−functionalized)スライドを乾燥させて、使用前まで4℃暗室で保管した。
【0157】
SAに対する合成鋳型(SEQ ID NO:1)10pmole、10×反応バッファー(6mM MgCl
2)3μL、dNTPsそれぞれ200μL及びDiastar−Taq DNAポリメラーゼ(Solgent、Korea)1.2unitを含有した30μLの最終容量で、エキソ核酸切断反応を行った;前記二重標識TDプローブ(SEQ ID NO:10)が交互結合(cross−linked)されたスライドの表面上に組み立てられたチャンバに前記全体混合物を適用した。スライドをin situブロック方式でサーマルサイクラー(Genepro B4I、China)に設置した。前記反応を下記のように実施した:95℃で2分間変性及び55℃で60分。最終的に前記スライドを100℃で蒸留水で1分間洗浄した。それぞれ洗浄した後、イメージ獲得は、共焦点レーザースキャナーAxon GenePix4100A(molecular Device、US)を利用し、10μmピクセル解像度のスキャニングで行った。蛍光強度は、定量的なマイクロアレイ分析ソフトウェア、GenePix pro6.0ソフトウェア(molecular Device、US)を利用して分析した。蛍光強度は、周辺バックグラウンドを除去した後、スポット−中央値で表現した。再現性を調べるために、各スポットは、2個ずつスポッティングした。蛍光強度を、2個のスポットの平均値で示した。
【0158】
図6から分かるように、ターゲット核酸が存在する場合、蛍光シグナルが発生した(RFU:65,486±0.0)。ターゲット核酸がない場合は、蛍光シグナルが発生しなかった。
【0159】
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。