【解決手段】バルクローリは、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10にLPG(液化プロパンガス)の供給先を示す顧客ID74bc1と、LPGの予定供給量74bc3とを記憶する。作業者がタッチパネルディスプレイに供給作業画面を表示させた場合、CPUが供給処理を実行することにより、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10から予定供給量74bc3が取得され、その予定供給量74bc3のLPGがポンプによって車載タンクから貯留タンクへと供給される。従って、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10から自動的に取得された予定供給量74bc3のLPGが、貯留タンクに供給されるので、作業者は効率よくLPGの定量供給を行うことができる。
液体を積載する車載タンクと、その車載タンク内の液体を外部に設置された貯留タンクに供給する供給装置とを備える運搬車両と、各種情報処理を行うコンピュータと、を備える運搬システムにおいて、
前記コンピュータは、
前記貯留タンクを識別する供給先情報を複数記憶する供給先記憶手段と、
その供給先記憶手段に記憶された複数の供給先情報の一部で構成され、その一部の供給先情報の各々に対して前記液体の供給を行う順番が付与されたものであるルート情報を、複数出力するルート出力手段と、を備え、
前記運搬車両は、
前記ルート出力手段により出力された複数のルート情報を記憶するルート記憶手段と、
前記ルート記憶手段に記憶されたルート情報を構成する供給先情報と関連付けて、供給する前記液体の予定量を記憶する予定量記憶手段と、
前記ルート記憶手段に記憶された複数のルート情報のうち、いずれのルート情報を選択するかの作業者の指示を受け付ける受付手段と、
その受付手段により受け付けられた作業者の指示に基づいて、前記ルート記憶手段に記憶された複数のルート情報から、1のルート情報を決定するルート決定手段と、
そのルート決定手段により決定されたルート情報を構成する供給先情報から、1の供給先情報を選択するものであって、1の前記貯留タンクへの前記液体の供給が完了した場合に、前記ルート情報において供給先情報に付与された順番に従って、次の供給先情報を選択する選択手段と、
その選択手段により選択された供給先情報と関連付けて前記予定量記憶手段に記憶された予定量を取得する予定量取得手段と、
その予定量取得手段により取得された予定量の液体を、前記車載タンクから前記貯留タンクへと供給するように前記供給装置を制御する定量供給手段とを備える運搬システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態として、運搬車両の一例であるバルクローリ1の構成を表す模式図である。バルクローリ1は、予め定めた量(以下「予定供給量」と称す)のLPGを貯留タンク90に対して供給するものである。特に、バルクローリ1は、計画された順序に従って複数の貯留タンク90を巡回して、各貯留タンク90に対して効率よく予定供給量のLPGを供給できるものである。貯留タンク90を巡回する順序は、貯留タンク90の所在地や業務効率等を参酌して、運搬業務の開始前に予め計画される。
【0016】
バルクローリ1は車載タンク2を有し、その車載タンク2には、供給基地(ガス製造工場など)において、不図示の充填系統を介してLPGが充填される。
【0017】
車載タンク2には供給系統として、エンジンの動力を利用して駆動するポンプ64が接続されている。ポンプ64には、先端にカップリング4を有する供給ホース3が接続されている。カップリング4を外部に設置された貯留タンク90の接続口91に接続し、ポンプ64を駆動させることによって、車載タンク2内のLPGが貯留タンク90へと供給される。供給ホース3の途中には流量計63が取り付けられ、流量計63を通過したLPGの積算流量が計測される。また、車載タンク2の内部には、フロートセンサ65が取り付けられ、そのフロートセンサ65によって車載タンク2内のLPGの量(以下「積載量」と称す)が計測される。これらのフロートセンサ65と流量計63とポンプ64とはそれぞれ、不図示の信号線により制御装置70に接続され、制御装置70によって制御される。なお、制御装置70の詳細については
図2を参照して後述する。
【0018】
制御装置70には、その他にも、リモコン62とタッチパネルディスプレイ61とプリンタ66とが接続されている。リモコン62は、開始スイッチ62aと停止スイッチ62bとを有し、ポンプ64の駆動に関する指示を制御装置70に入力するための入力装置である。開始スイッチ62a及び停止スイッチ62bの押下に基づくポンプ64の制御については、
図7を参照して後述する。
【0019】
タッチパネルディスプレイ61は、文字や図形を用いて情報を表示するとともに、作業者による操作の情報を制御装置70に入力する入出力装置である。また、プリンタ66はLPGの供給量等を記載した伝票を印刷するための印刷装置である。
【0020】
次に
図2を参照してバルクローリ1の電気的構成を説明する。
図2は、本実施形態におけるバルクローリ1の電気的構成を示したブロック図である。バルクローリ1は前述した制御装置70を備える。制御装置70は、CPU71とROM72とRAM73とフラッシュメモリ74とを有し、これらがバスライン75を介して入出力ポート76にそれぞれ接続されている。入出力ポート76には、前述したタッチパネルディスプレイ61とリモコン62と流量計63とポンプ64とフロートセンサ65とプリンタ66とが接続されている。
【0021】
CPU71は、バスライン75に接続された各要素を制御する演算装置であり、入出力ポート76に接続された各種装置との間で信号の入出力が可能に構成される。例えばCPU71は、流量計63から前述の積算流量を取得可能であり、フロートセンサ65から前述の積載量を取得可能である。また、CPU71は、流量計63に対してリセット信号を出力することで、流量計63の積算流量をリセットできる。
【0022】
ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、
図5から
図9に示す処理を実行させるプログラム)や固定値データ(例えば、車載タンク2の最大積載量)を記憶した書き換え不能な不揮発性メモリである。
【0023】
RAM73は各種のワークデータやフラグ値等を書き換え可能に記憶する揮発性メモリである。RAM73には、ワーク顧客ID73aとワーク顧客名称73bとワーク予定供給量73cとワーク実績供給量73dとを記憶する領域が設けられる。詳細は後述するが、供給処理(
図7のS300)では、LPGを供給しようとする貯留タンク90についての顧客ID74bc1と予定供給量74bc3とが選択ルートテーブル74bS(
図3(b)参照)から取得される。その取得された顧客ID74bc1がワーク顧客ID73aであり、取得された予定供給量74bc3がワーク予定供給量73cである。ワーク顧客名称73bは、同じく供給処理(S300)において、顧客テーブル74a(
図3(a)参照)から取得される顧客名称74ac2である。
【0024】
ワーク実績供給量73dは、供給処理(S300)において流量計63から取得される積算流量である。ワーク顧客ID73a、ワーク顧客名称73b、ワーク予定供給量74c、ワーク実績供給量73dは、供給処理(S300)において、後述する供給作業画面200(
図4(b)参照)への表示や、LPGの定量供給の制御のためにCPU71によって用いられる。
【0025】
フラッシュメモリ74は、CPU71が制御プログラムの実行時に参照する情報を書き換え可能に記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ74には、顧客テーブル74aと第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10と選択ルートフラグ74cとルートカウンタ74dとを記憶する領域が設けられる。
【0026】
ここで、
図3を参照して、顧客テーブル74a及び第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10を説明する。
図3(a)に示す顧客テーブル74aは、貯留タンク90を所有する顧客の情報であり、顧客ID74ac1と顧客名称74ac2とを有するレコード74arで構成されるテーブルである。顧客ID74ac1は1の顧客を識別する、顧客テーブル74aにおいて重複のない一意な値である。顧客名称74ac2は、顧客ID74ac1により識別される顧客の名称である。なお、1の顧客が複数の貯留タンク90を所有する場合には、貯留タンク90ごとに複数のレコード74arが作成されるものとし、顧客ID74ac1によって1の貯留タンク90を識別できるよう構成される。
【0027】
図3(b)に示す第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10は、LPGの供給が予定される貯留タンク90を所有する顧客を、液体の供給を行うルート(以下「運搬ルート」と称す)に区分して管理するためのテーブルであり、それぞれ顧客テーブル74aから選択された一部の顧客ID74ac1等で構成される。本実施形態では、複数の運搬ルートを管理するために第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10の10個のルートテーブルが用意されている。複数のルートテーブルを同時に記憶可能とすることで、例えば数日分の運搬ルートを1度に登録しておくことができるので、至便である。なお、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10のそれぞれには、「1」〜「10」のテーブル番号(
図3(b)に示す丸付き数字)が付されており、そのテーブル番号によって各ルートテーブル、即ち、各運搬ルートが識別される。
【0028】
第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10のいずれが現在の運搬業務における運搬ルートを管理するものであるかは、選択ルートフラグ74c(
図2参照)によって決定される。詳細については後述するが、選択ルートフラグ74cは、業務準備処理(
図6のS100)において、前述したテーブル番号が、作業者の選択に基づいて設定されるものである。例えば、選択ルートフラグ74cが「1」であれば、第1ルートテーブル74b1が現在の運搬ルートを管理するものである。以下、この選択ルートフラグ74cにより、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10から決定されるルートテーブルを「選択ルートテーブル74bS」と称す。これにより作業者は、複数設定された運搬ルートから選択した1の運搬ルートに基づいて、LPGの運搬業務を行うことができる。
【0029】
第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10はそれぞれ、顧客ID74bc1と順序番号74bc2と予定供給量74bc3と供給済みフラグ74bc4とを有するレコード74brで構成される。顧客ID74bc1は、顧客テーブル74aの顧客ID74ac1と同様に1の顧客を識別するものであり、顧客テーブル74aのいずれかの顧客ID74ac1と一致する値である。
【0030】
順序番号74bc2は、レコード74brが何番目に順序付けられているかを示す番号であり、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10のそれぞれにおいて、1から順に1ずつ増加する値が各レコード74br間で重複することなく設定されるものである。順序番号74bc2は、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10毎に、即ち、運搬ルート毎に、計画された供給の順序に従って予め設定される。
【0031】
予定供給量74bc3は、予め設定されたLPGの供給量であり、
図7に示す処理においてポンプ63の駆動を制御するために参照される。なお、予定供給量74bc3の値は予め設定されるものではあるが、タッチパネルディスプレイ61を介した作業者の操作等により変更可能としてもよい。実際に確認した貯留タンク90内のLPGの残量等に応じて、供給するLPGの量を変更したい場合もあるからである。
【0032】
供給済みフラグ74bc4は、LPGの運搬業務開始時にCPU71により実行される業務準備処理(
図6のS100)において0にリセットされ、LPGの供給が完了した場合にCPU71により実行される供給完了時処理(
図8のS500)において1に設定されるものである。即ち、供給済みフラグ74bc4は、0である場合にはLPGの供給前であることを、1である場合にはLPGの供給済みであることを示す。なお、この供給済みフラグ74bc4は、特許請求の範囲に記載された「完了情報」に相当する。
【0033】
また、
図3(b)に示す選択ルートテーブル74bSでは、上から2件のレコード74brの顧客ID74bc1がともに同一の「101」である。このように、本実施形態では、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10はそれぞれにおいて顧客ID74bc1を重複して記憶できるよう構成される。顧客ID74bc1が重複するレコード74brのそれぞれについて、順序番号74bc2および予定供給量74bc3が設定される。従って、1の貯留タンク90に対して複数回のLPGの供給が予定される場合であっても(例えば朝供給して、夕方にも供給する等)、選択ルートテーブル74bSを用いて、供給の順序および供給するLPGの量を適切に管理できる。
【0034】
なお、顧客テーブル74a及び第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10の内容は、公知の種々の手段によって登録されるものである。例えば、事務所に設置されたコンピュータによってこれらのテーブルに設定するデータを作成し、SDカードを介してそのデータを車載装置70に読み込ませることで、顧客テーブル74a及び第1〜10ルートテーブル74b1〜74b10の内容を設定する。また、タッチパネルディスプレイ61に表示される編集画面において作業者が編集できるようにしてもよいし、インターネットからこれらのテーブルに記憶させるデータをダウンロードするようにしてもよい。
【0035】
以上説明した通り、本実施形態では、顧客テーブル74aと、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10と、の2種類のテーブルで、LPGの供給先である貯留タンク90を管理するようにしたので、顧客テーブル74aにより、貯留タンク90を所有する顧客を一元的に管理できる。特に、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10のうち、複数のルートテーブルに1の顧客を該当させる場合にも、顧客の名前は顧客テーブル74aの顧客名称74ac2により一元的に管理される。従って、貯留タンク90を所有する顧客の管理を容易化できる。また、いずれかのルートテーブルに新たに顧客を追加する場合にも、作業者は顧客テーブル74aから顧客ID74ac1を選択すれば、その顧客ID74ac1を第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10の顧客ID74bc1として、容易に追加できる。
【0036】
図2に戻り、バルクローリ1の他の電気的構成を説明する。フラッシュメモリ74に記憶されるルートカウンタ74dは、選択ルートテーブル74bSの1のレコード74brを選択状態として扱うために、前述した順序番号74bc2が設定されるものである。選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、順序番号74bc2がルートカウンタ74dと一致するレコード74brが、選択状態として扱われる。詳細は後述するが、ルートカウンタ74dは、LPGの運搬業務開始時に実行される業務準備処理(
図6のS100)において1に設定され、1の顧客についてLPGの供給が完了した際に実行される供給完了時処理(
図8のS500)において1ずつ増加させられる。このようにルートカウンタ74dを変化させることで、LPGの運搬業務を開始する際に選択ルートテーブル74bSにおいて最初に順序付けられたレコード74brを選択状態とでき、以後貯留タンク90への供給が完了する毎に、順序番号74bc2に従って、次のレコード74brを選択状態とできる。
【0037】
次に
図4及び
図5を参照して、CPU71の制御によってタッチパネルディスプレイ61に表示される画面とその画面に関する制御とを説明する。
図4は、(a)機能選択画面100と、(b)供給作業画面200と、(c)集計画面500との3つの画面を示した説明図である。
図5は、制御装置70のCPU71によって実行される画面制御処理(S10)のフローチャートである。画面制御処理(S10)は、制御装置70が起動している間、実行され続ける処理であり、タッチパネルディスプレイ61への画面の表示と、タッチパネルディスプレイ61を介したユーザの操作に基づく各種処理の実行とを制御するものである。以下、
図5に示すフローチャートに沿い、必要に応じて
図4を参照して説明する。
【0038】
画面制御処理(S10)において、CPU71は、
図4(a)に示す機能選択画面100をタッチパネルディスプレイ61に表示する(S11)。
【0039】
機能選択画面100は、各種の機能を作業者が選択するための画面である。機能選択画面100には、
図4(a)に示す通り、業務準備ボタン101と供給作業ボタン102と集計表示ボタン103と各種設定ボタン104とが表示され、CPU71は、いずれのボタンがタッチ操作されたかを判断する(S12)。
【0040】
CPU71は、業務準備ボタン101がタッチ操作されたと判断した場合(S12:業務準備ボタン101)、後述する業務準備処理(
図6のS100)を実行する。業務準備処理(
図6のS100)は、運搬業務に関する初期セットアップを行う処理であり、作業者は供給基地出発時等の運搬業務を開始する際に、業務準備ボタン101をタッチ操作して業務準備処理(S100)をCPU71に実行させる。CPU71は、業務準備処理(S100)を実行した後、処理をS11に戻して画面制御を再開する。
【0041】
S12の判断において、CPU71は供給作業ボタン102がタッチ操作されたと判断した場合(S12:供給作業ボタン102)、タッチパネルディスプレイ61に供給作業画面200を表示し(S13)、供給処理(
図7のS300)を実行する。供給処理(S300)は、選択ルートテーブル74bSから予定供給量74bc3の取得等を行い、貯留タンク90へのLPGの供給を行う処理である。
【0042】
ここで、
図4(b)を参照して供給作業画面200について説明する。供給作業画面200はLPGの定量供給に関する情報が、供給処理(S300)による制御によって表示される画面である。供給作業画面200には、顧客ID欄201と顧客名称欄202と予定供給量欄203と実績供給量欄204とが表示される。詳細には後述するが、顧客ID欄201、顧客名称欄202、予定供給量欄203、実績供給量欄204にはそれぞれ、供給処理(S300)において設定されるワーク顧客ID73a、ワーク顧客名称73b、ワーク予定供給量73c、ワーク実績供給量73dが表示される。これにより、作業者は、顧客ID欄201及び顧客名称欄202によってLPGの供給先を把握でき、予定供給量欄203によって供給されるLPGの量を把握できる。また、作業者は実績供給量欄204によって、実際に供給されたLPGの量を把握できる。
【0043】
供給作業画面200には他にも、
図4(b)に示す供給完了ボタン212が表示される。供給完了ボタン212は貯留タンク90へのLPGの供給が済んだ場合に作業者によってタッチ操作されるボタンである。
図5に示すように、CPU71は供給処理(S300)を実行した後、即ち、LPGの貯留タンク90への供給が完了した後、前述した供給完了ボタン212がタッチ操作されるまで待機する(S14:No)。
【0044】
CPU71は、供給完了ボタン212がタッチ操作された場合(S14:Yes)、
図8を参照して後述する供給完了時処理(S500)を実行する。供給完了時処理(S500)では、顧客に渡す伝票を出力するとともに、ルートカウンタ74dを更新して選択ルートテーブル74bSにおける選択状態のレコード74brを次のレコード74brとする処理が行われる。CPU71は、供給完了時処理(S500)を実行した後、処理をS11へと戻す。これにより、タッチパネルディスプレイ61には機能選択画面100が表示される(S11)。
【0045】
CPU71は、S12の判断において集計ボタン103がタッチ操作されたと判断した場合(S12:集計ボタン103)、タッチパネルディスプレイ61に
図4(c)に示す集計画面500を表示する(S15)。集計画面500は、種々の集計を行った結果が表示される画面である。
図4(c)に示す通り、集計画面500には、合計量欄501と必要量欄502と積載量欄503と過不足量欄504とが表示される。なお、S15で集計画面500が表示された時点では、合計量欄501と必要量欄502と積載量欄503と過不足量欄504とは空欄である。
【0046】
CPU71は、集計画面500を表示した後(S15)、その集計画面500の各欄に表示する値を計算すべく、
図9を参照して後述する集計処理(S700)を実行する。これにより、合計量欄501には、選択ルートテーブル74bSの予定供給量74bc3の合計、即ち、現在の運搬ルート全体に亘り供給が予定されるLPGの総量が表示される。また、必要量欄502には、選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、供給済みフラグ74bc4が1でないレコード74brの予定供給量74bc3の合計、即ち、現在の運搬ルートにおいて以後供給が予定されるLPGの総量が表示される。積載量欄503には、車載タンク2内のLPGの量が表示される。過不足量欄504には、積載量欄503に表示された量から必要量欄502に表示された量を減じた量、即ち、現在の運搬ルートにおけるLPGの過不足量が表示される。作業者は、合計量欄501又は必要量欄502の表示によって必要なLPGの量を容易に把握でき、過不足量欄504の表示によって車載タンク2内のLPGの過不足を容易に把握できる。
【0047】
集計画面500には他にも、
図4(c)に示す戻るボタン511が表示される。CPU71は集計処理(S700)を実行した後、戻るボタン511がタッチ操作されるまで待機し(S16:No)、戻るボタン511がタッチ操作された場合に(S16:Yes)、処理をS11へと戻す。これにより、タッチパネルディスプレイ61に機能選択画面100が表示される(S11)。
【0048】
S12の判断において、CPU71は、各種設定ボタン104がタッチ操作されたと判断した場合(S12:各種設定ボタン104)、タッチパネルディスプレイ61に不図示の設定画面を表示し(S17)、作業者によるタッチパネルディスプレイ61を介した入力に基づいてRAM73やフラッシュメモリ74に記憶された種々の設定値を編集する(S18)。前述した顧客テーブル74a及び第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10の内容についても当該設定画面において編集可能とされる。その後、CPU71は、処理をS11へと戻し、タッチパネルディスプレイ61に機能選択画面100を表示する(S11)。
【0049】
次に、
図6のフローチャートを参照して業務準備処理(S100)を説明する。業務準備処理(S100)は、前述した通り、機能選択画面100において業務準備ボタン101がタッチ操作された場合に(
図5のS12:業務準備ボタン101)、CPU71によって実行される処理である。業務準備処理(S100)では、LPGの運搬業務に関する初期セットアップが行われる。
【0050】
業務準備処理(S100)においてCPU71はまず、タッチパネルディスプレイ61に不図示のルート選択画面を表示して(S101)、作業者に第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10から、今回の運搬ルートを管理するものとして使用するルートテーブルを選択させる。CPU71は、いずれかのルートテーブルが選択されるまで待機し(S102:No)、1のルートテーブルが選択された場合(S102:Yes)、選択されたルートテーブルを示すテーブル番号を選択ルートフラグ74cに設定する(S103)。これにより、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10のうちの1つが「選択ルートテーブル74bS」として決定される。作業者は、フラッシュメモリ74に記憶されている複数の(本実施形態では10個)ルートテーブルの1つを選択すれば、以後の運搬業務における運搬ルートを決定できるので、運搬業務の準備を容易化できる。
【0051】
次にCPU71は、選択ルートテーブル74bSの全てのレコード74brの供給済みフラグ74bc4を0に設定する(S104)。前述した通り、供給済みフラグ74bc4は1である場合にLPGの供給済みであることを示すものなので、S104の処理により、全てのレコード74brについてLPGの供給前である状態とされる。
【0052】
次にCPU71は、ルートカウンタ74dに1を設定する(S105)。前述した通り、ルートカウンタ74dは選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、いずれのレコード74brが選択状態であるかを示すものである。従ってS105の処理により、選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、順序番号74bc2が1であるレコード74br、即ち、現在の運搬ルートにおいて最初に順序付けられたレコード74brが選択状態とされる。その後、CPU71は、業務準備処理(S100)を終了する。
【0053】
次に、
図7を参照して供給処理(S300)を説明する。供給処理(S300)は、
図5に示すように、1の貯留タンク90へのLPGの定量供給を行う際に作業者によって機能選択画面100の供給作業ボタン102がタッチ操作され(S12:供給作業ボタン102)、供給作業画面200が表示された場合に(S13)、CPU71によって実行される処理である。供給処理(S300)では、選択ルートテーブル74bSにおいて設定された予定供給量74bc3のLPGを、車載タンク2から貯留タンク90へと供給する制御が行われる。
【0054】
供給処理(S300)においてCPU71はまず、選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、順序番号74bc2がルートカウンタ74dと一致するレコード74brの顧客ID74bc1と予定供給量74bc3とを取得する(S301)。CPU71は、取得した顧客ID74bc1をワーク顧客ID73aに設定し、取得した予定供給量74bc3をワーク予定供給量74cに設定する(S302)。CPU71は、顧客テーブル74aのレコード74arのうち、顧客ID74ac1がワーク顧客ID73aと一致するレコード74arの顧客名称74ac2を取得し(S303)、その顧客名称74ac2をワーク顧客名称73bに設定する(S304)。
【0055】
CPU71は、供給作業画面200の顧客ID欄201、顧客名称欄202、予定供給量欄203のそれぞれに、ワーク顧客ID73a、ワーク顧客名称73b、ワーク予定供給量73cを表示する(S305)。
【0056】
CPU71は、リモコン62の開始スイッチ62aが押下されたかを判断し(S306)、開始スイッチ62aが押下されたと判断するまで待機する(S306:No)。なお、リモコン62の開始スイッチ62aが押下されるまでの間においては、タッチパネルディスプレイ62を介した作業者の入力に基づいて、ワーク予定供給量73c等を更新可能としてもよい。そのようにすれば、貯留タンク90におけるLPGの残量を確認して適宜供給量を調整できる。
【0057】
CPU71は、開始スイッチ62aが押下されたと判断した場合(S306:Yes)、処理をS307へと進めてLPGの定量供給を開始する。CPU71はLPGの定量供給を開始するに当たり、流量計63にリセット信号を出力して流量計63の積算流量をリセットする(S307)。これにより、CPU71は、S307の処理以後にポンプ64によって供給ホース3を通じて貯留タンク90へと供給されたLPGの積算流量を、流量計63から取得可能となる。次にCPU71はポンプ64の駆動を開始して(S308)、車載タンク2から貯留タンク90へのLPGの供給を開始する。
【0058】
LPGの供給が開始された後、CPU71はLPGの積算流量を流量計63から取得し(S309)、その積算流量をワーク実績供給量73dに設定する(S310)。CPU71は、ワーク実績供給量73dを供給作業画面200の実績供給量欄204に表示する(S311)。作業者は実績供給量欄204の表示を確認すれば、供給されたLPGの量をリアルタイムに把握できる。
【0059】
次にCPU71は、ワーク実績供給量73dとワーク予定供給量73cとを比較する(S313)。CPU71は、ワーク実績供給量73dがワーク予定供給量73c以上であると判断した場合(S313:Yes)、LPGの供給量がワーク予定供給量73cに達したものとして、ポンプ64の駆動を停止する(S315)。また、CPU71は、積算流量がワーク予定供給量73c未満であると判断した場合(S313:No)、リモコン62の停止スイッチ62bが押下されたかを判断する(S314)。CPU71は、リモコン62の停止スイッチ62bが作業者によって押下されたと判断した場合(S314:Yes)、作業者によって緊急停止の指示(例えば貯留タンク90が一杯になった場合等)がなされたものとして、ポンプ64の駆動を停止する(S315)。CPU71はポンプの駆動を停止させた場合には(S315)、供給処理(S300)を終了する。
【0060】
一方、CPU71はS313の判断においてワーク実績供給量73dがワーク予定供給量73c未満であると判断し(S313:No)、且つ、停止スイッチ62bも押下されていないと判断した場合には(S314:No)、供給したLPGの量がワーク予定供給量73cに達しておらず、作業者による停止の指示もないので、処理をS309へと戻してLPGの供給を継続する。
【0061】
以上説明した供給処理(S300)によれば、ワーク予定供給量73cのLPGが、車載タンク2から貯留タンク90へと供給されるようにポンプ64が制御されるので、作業者は容易にワーク予定供給量73cのLPGを供給できる。
【0062】
また、ワーク予定供給量73cは、S301,S302の処理においてルートカウンタ74dに基づいて選択ルートテーブル74bSから自動的に取得されるので、作業者は供給する量を入力することなくLPGの定量供給を開始でき、作業性がよい。また、作業者の手入力に依存しないワーク予定供給量73cに基づいてポンプ64の駆動が制御されるので、作業者の誤入力に起因して、誤った量のLPGを貯留タンク90に供給してしまうことを防止できる。
【0063】
次に
図8のフローチャートを参照して、供給完了時処理(S500)を説明する。供給完了時処理(S500)は、供給作業画面200の供給完了ボタン212がタッチ操作された場合に、CPU71によって実行される処理である。供給完了時処理(S500)では、1の貯留タンク90に対してLPGの供給が完了した場合に、選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、現在選択状態のレコード74brの次のレコード74brを選択状態とする処理等が行われる。
【0064】
CPU71は、RAM73に記憶されたワーク顧客名称73b及びワーク実績供給量73d、即ち、直前に実施したLPGの供給についての顧客の名称および実際に供給したLPGの量(
図7参照)を記載した所定様式の伝票を、プリンタ66を制御して印刷する(S502)。印刷された伝票はLPGの引き渡しの証明として作業者から顧客へと渡される。
【0065】
CPU71は選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、順序番号74bc2がルートカウンタ74dと一致するレコード74br、即ち、現在選択状態のレコード74brの供給済みフラグ74bc4を1に設定する(S503)。これにより、そのレコード74brの顧客ID74bc1により識別される貯留タンク90については現在の運搬ルートにおけるLPGの供給が済んでいることが示される。
【0066】
次にCPU71は、ルートカウンタ74dに1を加算する(S508)。前述したが、ルートカウンタ74dは選択ルートテーブル74bSにおいて選択状態とするレコード74brの順序番号74bc2を記憶するものである。従ってS508の処理により、選択ルートテーブル74bSにおいては、現在選択状態のレコード74brより順序番号74bc2が1だけ大きいレコード74br、即ち、次の順序番号74bc2を有するレコード74brが選択状態とされる。よって、バルクローリ1が次の貯留タンク90に到着して、作業者が機能選択画面100の供給作業ボタン102をタッチ操作した場合には(
図5のS12:供給作業ボタン102)、供給処理(
図7のS300)がCPU71によって実行されることにより、次の顧客についての予定供給量74bc3が自動的に、ワーク予定供給量73cに設定される。従って、1の顧客についてLPGの供給が完了した場合には、自動的に次の顧客の予定供給量74bc3が取得される状態とできるので、作業者は予定した順序に従って効率よくLPGの定量供給を行うことができる。
【0067】
CPU71はS508の処理の後、ルートカウンタ74dが選択ルートテーブル74bSのレコード74brの数より大きいかを判断し(S509)、ルートカウンタ74dが選択ルートテーブル74bSのレコード74brの数より大きいと判断した場合は(S509:Yes)、予定した全ての顧客についてLPGの供給が済んでいる旨をタッチパネルディスプレイ61に表示して(S510)、供給完了時処理(S500)を終了する。
【0068】
一方、CPU71はルートカウンタ74dが選択ルートテーブル74bSのレコード74brの数以下であると判断した場合には(S509:No)、メッセージの表示を行わずに供給完了時処理(S500)を終了する。S509及びS510の処理が行われることによって、作業者は予定された全ての顧客についてLPGの供給が済んでいるのか、供給前の顧客が残っているのかを、容易に把握できる。
【0069】
次に
図9のフローチャートを参照して、集計処理(S700)を説明する。集計処理(S700)は、集計画面500が表示された場合に、CPU71によって実行される処理である。集計処理(S700)では、各種の集計を行い、その結果を集計画面500に表示する処理が行われる。集計処理(S700)においてCPU71はまず、作業用の変数Xと変数Yとに0を設定し、変数iに1を設定する(S701)。
【0070】
CPU71は、選択ルートテーブル74bSのi番目のレコード74brの予定供給量74bc3と供給済みフラグ74bc4とを取得する(S703)。CPU71は、取得した予定供給量74bc3を変数Xに加算する(S704)。次にCPU71は、取得した供給済みフラグ74bc4が1であるかを判断し(S705)、供給済みフラグ74bc4が1でなければ(S705:No)、S703の処理で取得した予定供給量74bc3を変数Yに加算する(S706)。
【0071】
一方、CPU71は供給済みフラグ74bc4が1であると判断した場合は(S705:Yes)、変数Yを更新せずに処理をS707へと進める。
【0072】
CPU71は変数iに1を加算し(S707)、その結果、変数iが選択ルートテーブル74bSのレコード74brの数以下であれば(S708:Yes)、処理をS703へと戻す。即ち、CPU71は、S708の判断において変数iが選択ルートテーブル74bSのレコード74brの数より大きいと判断されるまで(S708:No)、S703からS708の処理を繰り返す。CPU71が変数iを1ずつ変化させながらS703からS708の処理を繰り返すことによって、変数Xは選択ルートテーブル74bSの全てのレコード74brの予定供給量74bc3の合計、即ち、現在の運搬ルート上の全ての顧客に対して供給するLPGの量の合計とされる。一方、変数Yは選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、供給済みフラグ74bc4が1でないレコード74brの予定供給量74bc3の合計、即ち、現在の運搬ルートにおいて供給前のLPGの予定供給量の合計とされる。
【0073】
CPU71は、S708の判断において変数iが選択ルートテーブル74bSのレコード74brの数より大きいと判断した場合(S708:No)、S703からS708の処理の繰り返しを終了し、変数Xを集計画面500の合計量欄501に表示する(S709)。作業者は合計量欄501の表示を確認すれば、今回の運搬ルート全体を通して必要なLPGの総量を容易に把握でき、例えば過不足のない適切な量のLPGを車載タンク2に積載して、供給基地を出発できる。また、作業者は、合計量欄501の表示が車載タンク2の最大積載量を超えるかどうかを判断して、運搬業務の途中で供給基地に帰還する必要があるかを容易に把握することもできる。なお、合計量欄501に表示した値と、ROM72に記憶された車載タンク2の最大積載量(固定値データ)とを比較し、合計量欄501に表示した値の方が大きければ、運搬業務の途中で供給基地に帰還する必要があることを報知するメッセージをタッチパネルディスプレイ61に表示するようにしてもよい。
【0074】
次にCPU71は、変数Yを集計画面500の必要量欄502に表示する(S710)。変数Yは、前述した通り、供給前の予定供給量の合計であるので、作業者は必要量欄502の表示を確認すれば、以後の供給に必要なLPGの総量を容易に把握できる。
【0075】
次にCPU71は、フロートセンサ65から車載タンク2内のLPGの積載量を取得し(S711)、取得した積載量を集計画面500の積載量欄503に表示する(S712)。CPU71は、S713の処理で取得した積載量から変数Yを減算して「過不足量」を算出し(S713)、算出した過不足量を集計画面500の過不足量欄504に表示する(S714)。過不足量は、積載量から必要量欄502に表示した変数Yを減算した値であり、以後の供給に必要なLPGの総量に対する車載タンク2内のLPGの過不足を示すものである。
【0076】
例えば、貯留タンク90内のLPGが想定以上に消費されていた場合など、予定した量を超えて車載タンク2内のLPGを貯留タンク90へと供給する場合が考えられる。また逆に、貯留タンク90内に想定以上のLPGが残存していた場合など、予定した量のLPGを供給できない場合も考えられる。これらの場合、当初は運搬ルートを通じて適当な量のLPGを積載していたとしても、運搬業務の進行に伴ってLPGの過不足が生じ得る。しかしながら、過不足量欄504に表示された過不足量を確認すれば、作業者は車載タンク2内のLPGの過不足を容易かつ早期に把握できるので、供給基地への帰還の要否等を適切に判断できる。
【0077】
CPU71は過不足量を集計画面500に表示した後(S714)、過不足量が0未満であるかを判断する(S715)。CPU71は過不足量が0より大きいと判断した場合(S715:No)、集計処理(S700)を終了する。一方、CPU71は過不足量が0未満であると判断した場合には(S715:Yes)、タッチパネルディスプレイ61に積載量が不足している旨の警告メッセージを表示する(S716)。これにより、作業者は残りの運搬業務において必要なLPGに対して車載タンク2内のLPGが不足することを容易に認知できるので、供給基地への帰還の要否をより適切に判断できる。その後、CPU71は集計処理(S700)を終了する。
【0078】
なお、S715の処理においてCPU71は、過不足量が「0未満」であるかを判断するものとしたが、この条件は適宜変更してもよい。例えば、過不足量が「10未満」であるかを判断するようにして、所定の余剰がなくなった場合に積載量の不足を報知するものとしてもよい。
【0079】
以上説明した集計処理(S700)によれば、合計量と必要量と積載量と過不足量とが集計画面500の対応する欄に表示される。作業者はこれらの表示によりLPGの運搬業務において必要なLPGの総量や、車載タンク2内のLPGの量を容易に把握できる。また、作業者は車載タンク2内のLPGの過不足を容易に把握できるので、供給基地に帰還して車載タンク2にLPGを追加で積載する必要があるのか等を適切に判断できる。
【0080】
次に
図10を参照して、本発明の第2実施形態であるLPG供給システム20を説明する。LPG供給システム20は、バルクローリ1と、コンピュータ80と、で構成されるものである。本実施形態は、上記第1実施形態に対して、バルクローリ1のフラッシュメモリ74に記憶された顧客テーブル74aを、コンピュータ80に記憶させるように変更したものである。顧客テーブル74aは全ての顧客の情報を記憶する、所謂「マスター」に相当するものであるので、記憶容量が大きくなり易い。この点、本実施形態のように、顧客テーブル74aに相当する情報をコンピュータ80に保持させることで、フラッシュメモリ74の記憶容量を節約できる。また、コンピュータ80において顧客の情報を集中管理することで、複数のバルクローリ1において顧客の情報を共有することもできる。
【0081】
図10(a)は、LPG供給システム20を構成するバルクローリ1の制御装置70とコンピュータ80との電気的構成を示すブロック図である。
図10(a)においては、上記第1実施形態のバルクローリ1が備える制御装置70に含まれる構成についての記載を一部省略する。本実施形態の制御装置70は、第1実施形態の制御装置70に対して、フラッシュメモリ74に設けた顧客テーブル74aを削除した点、及び、入出力ポート76にSDカード50に対する読み書きが可能なSDカード装置67が接続されている点が変更されている。
【0082】
また、本実施形態の制御装置70には、顧客テーブル74aを記憶させないこととしたので、
図7のS303の処理において顧客名称74ac2が取得できない。そこで、
図10(b)に示すように第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10に「顧客名称74bc5」を追加し、
図7のS303の処理では、この顧客名称74bc5を取得するように変更する。
【0083】
コンピュータ80では、演算装置であるCPU81と、情報を書き換え不能に記憶するROM82と、情報を書き換え可能に記憶する揮発性のRAM83と、情報を書き換え可能に記憶する不揮発性のハードディスク84とが、バスライン85を介して相互に接続されている。第1実施形態において制御装置70のフラッシュメモリ74に記憶されていた顧客テーブル74aと同様の情報が、ハードディスク84の顧客テーブル84aに記憶されている。
【0084】
また、コンピュータ80のバスライン85には入出力ポート86が接続されており、その入出力ポート86には、制御装置70のSDカード装置67と同様の、SDカード装置89が接続されている。
【0085】
制御装置70のSDカード装置67及びコンピュータ80のSDカード装置89に装着されるSDカード50には、第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10が記憶される。第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10は、制御装置70のフラッシュメモリ74bに記憶される第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10と同様の構成のテーブルである。即ち、第1実施形態の第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10に対して顧客名称74bc5を追加した構成である。
【0086】
SDカード50の第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10は、コンピュータ80のCPU81によって実行される不図示の専用プログラムによって記憶されるものである。当該専用プログラムを実行するCPU81により、顧客テーブル84aからLPGの供給が予定される顧客についての顧客ID74ac1及び顧客名称74ac2が抽出され、これらが第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10の顧客ID74bc1及び顧客名称74bc5に設定される。これに加え、各顧客ID74bc1についての予定供給量74bc3が設定される。この予定供給量74bc3に設定される値としては、予めハードディスク84等に記憶されたものや、CPU81による所定の演算によって算出されたものがある。また、第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10にそれぞれにおいて、1から始まる連続した整数値が、順序番号74bc2に設定される。このようにして編集された第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10が、SDカード50に記憶される。
【0087】
コンピュータ80により第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10が記憶されたSDカード50が制御装置70のSDカード装置67に装着されると、第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10がCPU71によって読み込まれる。CPU71は、読み込んだ第1〜第10ルートテーブル50a1〜50a10を、フラッシュメモリ74の第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10に上書きする。これにより、バルクローリ1においては、第1実施形態と同様に第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10を用いたLPGの定量供給に関する制御(
図5〜
図9)を行うことができる。
【0088】
なお、本実施形態では、予定供給量74bc3をコンピュータ80において設定することを説明したが、バルクローリ1の制御装置70において設定するようにしても良い。また、制御装置70において、SDカード50から読み込んだ順序番号74bc2を変更できるようにしても良い。制御装置70において予定供給量74bc3や順序番号74bc2を編集可能とすることで、作業者は運搬業務中においても、LPGの運搬の計画を変更できる。
【0089】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0090】
例えば上記各実施形態では、LPGを積載する車載タンク2を備えるバルクローリ1に本発明を適用することを説明したが、LPGやガソリン等の液体燃料の他、飲料や薬品等の種々の液体を車載タンクに積載して運搬する運搬車両に本発明を適用することは当然可能である。また、上記実施形態では、顧客が所有する貯留タンク90にLPGを供給することを説明したが、液体の供給先は必ずしも固定的に設置されたタンクでなくてもよく、例えばドラム缶への灯油の供給であってもよい。液体の種類や供給先の態様に依らず、予め定められた量の液体を供給する制御は本発明と同様に可能だからである。
【0091】
また、上記各実施形態では、LPGの供給先に関する情報を顧客テーブル74a及び第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10で構成されるテーブル群により管理することを説明したが、ルートテーブルの数を可変とすることも可能である。複数のルートテーブルのうち、いずれのルートテーブルを使用するかを決定する、選択ルートフラグ74cのような構成を有する限り、上記各実施形態と同様に制御することが可能だからである。管理すべき運搬ルートの数に応じてルートテーブルを増減させることで、運搬ルートが少ない場合には記憶容量の節約を図ることができる。
【0092】
また、運搬ルートを区分するために10個の第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10を用意することを説明したが、例えば、1のルートテーブルにおいて、運搬ルートを区分するための属性を各レコードに持たせるよう構成することも可能である。この場合、ルートを区分するための「ルート番号」等の属性値を設け、同一の属性値(ルート番号)を有するレコード群を、1の運搬ルートに区分されたものとみなせばよい。複数のルートテーブルにより運搬ルートを区分するのではなく、レコードに付した属性値により運搬ルートを区分すれば、運搬ルートの数の増減をその属性値に設定され得る値のバリエーションの増減によって調整できるため、ルートテーブルを複数作成し、管理する必要がなくなり、処理プログラムの実装を簡素化できる。
【0093】
また、上記第1実施形態では、予定供給量74bc3は所定の画面への入力や、SDカードからの読み込み等、公知の手段で設定されるものであることを説明したが、例えば、貯留タンク90毎の過去の供給量に基づいて算出した値を予定供給量74bc3に設定するように構成することも可能である。例えば、過去5回分の供給量の平均値や最大値、最頻値等、適当な集計処理により算出した値を予定供給量74bc3に設定することで、過去の実績に即した精度のよい量のLPGを供給することができる。また、そのように算出された値に更に所定の割合の上積みを行った値を予定供給量74bc3に設定して、供給されるLPGが過少となることを防止してもよい。
【0094】
また、上記各実施形態では、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10の各レコード74brを順序番号74bc2によって順序付けることを説明したが、順序付けの方法としては他の方法に換えることも当然可能である。例えば、第1〜第10ルートテーブル74b1〜74b10におけるレコード74brの記憶順をLPGの供給順として扱ってもよい。また、選択ルートテーブル74bSのレコード74brのうち、いずれのレコード74brが選択状態にあるかをルートカウンタ74dによって管理することを説明したが、1のレコード74brに選択状態を示すフラグを付す方法や、供給済みフラグ74bc4が1でないレコード74br中で最小の順序番号74bc2を持つレコード74brを選択状態として扱う方法等、種々の方法によってレコード74brの選択状態を管理することも可能である。
【0095】
また、上記各実施形態の集計処理(
図9のS700)では、タッチパネルディスプレイ61に表示された集計画面500に合計量や必要量等を表示することを説明したが、これらを作業者等に報知する方法としては、音声による報知やレベルゲージによる表示など、種々の報知方法に換えることも当然可能である。また、S716(
図9)の処理等におけるタッチパネルディスプレイ61へのメッセージの表示についても、音(ブザー等)や発光(LED等)による報知に換えることも当然可能である。
【0096】
また、集計処理(S700)において予定供給量74bc3の合計を算出することを説明したが、例えば、業務準備処理(
図6のS100)において上記各実施形態の集計処理(S700)と同様に予定供給量74bc3の合計を算出し、算出した合計をタッチパネルディスプレイ61に表示させてもよい。これに併せ、ROM72に記憶された車載タンク2の最大積載量(固定値データ)を表示させれば、予定しているLPGの供給を1度の巡回で全て行えるのかを業務準備の段階で容易に把握できる。