特開2016-121467(P2016-121467A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016121467-施工機用ロッド支持装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-121467(P2016-121467A)
(43)【公開日】2016年7月7日
(54)【発明の名称】施工機用ロッド支持装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 19/24 20060101AFI20160610BHJP
   E02D 7/00 20060101ALI20160610BHJP
【FI】
   E21B19/24
   E02D7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-261291(P2014-261291)
(22)【出願日】2014年12月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050BB01
2D050CB05
2D050EE10
2D050EE17
2D129AA00
2D129AB21
2D129BA13
2D129DA12
2D129DC01
2D129DC13
2D129EB29
(57)【要約】
【課題】 寸法的に小さく、シンプルな構造と操作で、下部ガイド機能と下部チャック機能とを切り替えることのできる施工機用ロッド支持装置を提供する。
【解決手段】 施工機用ロッド支持装置21は、リーダ13に設けたブラケット22に開閉可能に取り付けられた開閉フレーム23,24と、該開閉フレーム23,24の内部をロッド径方向に移動可能な一対のロッドガイドブロック28,29と、該ロッドガイドブロック内をロッド径方向に移動可能な一対のロッドチャックブロック30,31と、該ロッドチャックブロックを開閉駆動する油圧シリンダ32,33と、ロッドチャックブロック30,31とロッドガイドブロック28,29との間に設けられ、ロッドチャックブロック30,31をロッド径方向外側に付勢する弾性部材36とを備えている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工機に立設したリーダの下部に設けられ、前記リーダに昇降可能に設けられた駆動装置によって回転するロッドの回転駆動時の振れを防止するガイド手段と前記ロッドの掴み替え時に前記ロッドを固定するチャック手段とを備えた施工機用ロッド支持装置であって、

前記リーダに設けたブラケットに開閉可能に取り付けられた開閉フレームと、
該開閉フレームの内部をロッド径方向に移動可能な一対のロッドガイドブロックと、
該ロッドガイドブロック内をロッド径方向に移動可能な一対のロッドチャックブロックと、
該ロッドチャックブロックを開閉駆動する油圧シリンダと、
前記ロッドチャックブロックと前記ロッドガイドブロックとの間に設けられ、前記ロッドチャックブロックをロッド径方向外側に付勢する弾性部材とを
備え、
前記油圧シリンダがシリンダ伸時には、前記ロッドチャックブロックが前記弾性部材を圧縮しながら、前記ロッドを固定する把持位置に移動してチャック手段として機能し、
前記油圧シリンダが中間時には、前記ロッドチャックブロックがロッド径方向外側に移動し、前記ロッドガイドブロックによってガイド手段として機能し、
前記油圧シリンダがシリンダ縮時には、前記ロッドチャックブロック及び前記ロッドガイドブロックが前記開閉フレームのロッド径方向外側に引き込まれ、前記ロッドの角軸部を挿通可能にする
ことを特徴とする施工機用ロッド支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工機用ロッド支持装置に関し、詳しくは、リーダに昇降可能に設けられた駆動装置によって回転するロッドの振れを防止するガイド手段とロッドの掴み替え時にロッドを固定するチャック手段とを備えた施工機用ロッド支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
杭打機等の施工機による地盤改良作業は、施工機に立設したリーダにロッドを回転駆動する駆動装置を昇降可能に設け、その駆動装置に把持させたロッドを回転させながら押し下げ、ロッド先端に設けた掘削具と撹拌具とにより、掘削しながら地盤改良剤が注入され、地盤改良が行われる。リーダの下部には、回転時のロッドの振れを防止して鉛直性を確保するための下部ガイドと、ロッドの掴み替え時にロッドを把持する下部チャックとが設けられている。
【0003】
上述の下部ガイドと下部チャックとを上下2段に一体的に積層した構造の施工機用ロッド支持装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、ストッパの脱着により、下部ガイド機能と下部チャック機能とを切り替える施工機用ロッド支持装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4567519号公報
【特許文献2】特開2002−220382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の施工機用ロッド支持装置では、下部ガイド内のガイドブロックを移動させるための油圧シリンダと、下部チャック内のチャックブロックを移動させるための油圧シリンダとが必要となり、部品点数が多くなってしまう。また、上下2段の積層構造となっているため寸法も大きくなる。また、特許文献2記載の施工機用ロッド支持装置では、下部ガイド機能と下部チャック機能とを切り替えるために作業員が手動でストッパの脱着をしなければならず、作業効率が悪くなるおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、寸法的にも小さく、シンプルな構造と操作で、下部ガイド機能と下部チャック機能とを切り替えることのできる施工機用ロッド支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の施工機用ロッド支持装置は、施工機に立設したリーダの下部に設けられ、前記リーダに昇降可能に設けられた駆動装置によって回転するロッドの回転駆動時の振れを防止するガイド手段と前記ロッドの掴み替え時に前記ロッドを固定するチャック手段とを備えた施工機用ロッド支持装置であって、前記リーダに設けたブラケットに開閉可能に取り付けられた開閉フレームと、該開閉フレームの内部をロッド径方向に移動可能な一対のロッドガイドブロックと、該ロッドガイドブロック内をロッド径方向に移動可能な一対のロッドチャックブロックと、該ロッドチャックブロックを開閉駆動する油圧シリンダと、前記ロッドチャックブロックと前記ロッドガイドブロックとの間に設けられ、前記ロッドチャックブロックをロッド径方向外側に付勢する弾性部材とを備え、前記油圧シリンダがシリンダ伸時には、前記ロッドチャックブロックが前記弾性部材を圧縮しながら、前記ロッドを固定する把持位置に移動してチャック手段として機能し、前記油圧シリンダが中間時には、前記ロッドチャックブロックがロッド径方向外側に移動し、前記ロッドガイドブロックによってガイド手段として機能し、前記油圧シリンダがシリンダ縮時には、前記ロッドチャックブロック及び前記ロッドガイドブロックが前記開閉フレームのロッド径方向外側に引き込まれ、前記ロッドの角軸部を挿通可能にすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の施工機用ロッド支持装置によれば、ロッドチャックブロックをロッドガイドブロック内に移動可能にするとともに、ロッドチャックブロックとロッドガイドブロックとの間に弾性部材を設けることによって、ロッドチャックブロックを開閉駆動する油圧シリンダの伸縮のみで、チャック手段とガイド手段との切り替え及びロッド角軸部の挿通を可能にすることができ、部品点数も少なく、シンプルな構造と操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一形態例を示す施工機用ロッド支持装置を備えた施工機の側面図である。
図2】同じく施工機の地盤改良状態を示す側面図である。
図3】本発明の一形態例を示す施工機用ロッド支持装置の平面図である。
図4】同じく側面図である。
図5】チャック手段として機能している状態を示す施工機用ロッド支持装置の一部概略平面図である。
図6】ガイド手段として機能している状態を示す施工機用ロッド支持装置の一部概略平面図である。
図7】ロッドの角軸部が挿通可能な状態を示す施工機用ロッド支持装置の一部概略平面図である。
図8】施工機用ロッド支持装置の油圧シリンダに接続される油圧回路の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図7は、本発明の施工機用ロッド支持装置の一形態を示すものである。施工機11は、下部走行体12aと該下部走行体12aの上部に旋回可能に設けられた上部旋回体12bとからなるベースマシン12と、該ベースマシン12の前部に立設したリーダ13とを備えている。前記リーダ13には、ロッド14を回転駆動する駆動装置15が昇降可能に設けられている。
【0011】
ロッド14は、内部軸方向に地盤改良剤の注入孔を有するパイプ状のものであり、断面円形の丸軸部14aと、駆動装置15に把持させるための断面多角形状の角軸部14bとを有するものである。また、ロッド14の下端には、掘削具16と撹拌具17とが設けられている。
【0012】
また、ロッド14の上端には、注入ホース18からロッド14内の注入孔に地盤改良剤を導入するスイベルジョイント19が設けられ、該スイベルジョイント19のつれ回りを防止する回り止めロッド20の一端が駆動装置15に固設され、他端がロッド14の上端に設けられた取付部材に取り付けられている。
【0013】
また、リーダ13の下部には、ロッド支持装置21が設けられている。施工機11による地盤改良では、駆動装置15に把持させたロッド14を回転させながら押し下げ、掘削具16で掘削しながら、地盤改良剤を注入し、撹拌具17で撹拌しながら地盤改良が行われる。ロッド支持装置21は、回転駆動時のロッド14の振れを防止して鉛直性を確保するためのガイド手段として機能する。
【0014】
図2に示されるように、ロッド14を把持した駆動装置15がリーダ13の下端部に到達したときに、より深く掘り進めるには、ロッド14の把持を解除した駆動装置15を上昇させて、上側の角軸部14bを把持し直すいわゆるロッドの掴み替えが行われる。この際、ロッド14が自重によって沈み込まないように、ロッド14を固定するために、ロッド支持装置21がチャック手段として機能する。
【0015】
ロッド支持装置21は、リーダ13に取り付け可能なブラケット22に一対の開閉フレーム23,24が一方で回転ピン25,26に軸支され、閉じた状態で他方に固定ピン27が挿入されて一体となるように装置本体が構成されている。開閉フレーム23,24は、互いに内側が開口した箱型状に形成されたものであり、突き合わされた状態(閉じた状態)でロッド14の丸軸部14aより広径な角軸部14bが挿通可能な円形になるように、内側開口部には略半円状の切り欠き23a,24aが形成されている。
【0016】
開閉フレーム23,24の内部には、それぞれロッドガイドブロック28,29がロッド14の径方向(ロッド14に対して直交方向)に摺動可能に挿入されている。ロッドガイドブロック28,29は、対向面にロッド14の丸軸部14aの半径より僅かに大きな半径の円弧面からなるガイド面28a,29aをそれぞれ有している。
【0017】
また、ロッドガイドブロック28,29のロッド径方向外側には、ロッドチャックブロック30,31の本体部30a,31aを収容するための直方体状の収容部28b,29bが開口されている。さらにガイド面28a,29aと収容部28b,29bとの間にロッドチャックブロック30,31の本体部30a,31aからロッド径方向内側に突出する突出部30b,31bを挿通するための挿通部28c,29cが形成されている。
【0018】
ロッドチャックブロック30,31は、開閉フレーム23,24に固定された油圧シリンダ32,33のピストンロッド34,34に連結され、ロッドガイドブロック28,29内を移動可能となっている。突出部30b,31bの先端は、ロッドを把持するための凹凸面が形成されている。また、ロッドガイドガイドブロック28,29のロッド径方向外側の端面には、ピストンロッド34,34を縮めた際にロッドチャックブロック30,31が係合し、ロッドチャックブロック30,31の移動に伴ってロッドガイドブロック28,29が移動するための係合板35,35がボルト止めされている。
【0019】
また、収容部28b,29bには、ロッドチャックブロック30,31をロッド径方向外側に付勢するゴムパッキン36が設けられている。
【0020】
油圧シリンダ32,33のピストンロッド34,34を伸ばした状態(シリンダ伸時)では、図5に示すように、ロッドチャックブロック30がゴムパッキン36を圧縮し、突出部30bの先端面が、ロッドガイドブロック28のガイド面28aの位置(本発明の把持位置)まで移動し、ロッド14の丸軸部14aの外周面を把持することでチャック手段として機能する。また、ロッドガイドブロック28もロッド径方向内側に移動するため、ガイド面28aも丸軸部14aの外周面と接するようになり、ロッド14の変形防止にも効果がある。
【0021】
油圧シリンダ32,33のピストンロッド34,34が中間位置にある状態では、図6に示すように、ロッドチャックブロック30がゴムパッキン36によりロッド径方向外側に付勢されるため、突出部30bがガイド面28aの位置まで突出することはなく、ガイド手段として機能する。
【0022】
さらに、油圧シリンダ32,33のピストンロッド34,34を縮めた状態(シリンダ縮時)では、図7に示すように、ロッドチャックブロック30がロッド径方向外側に移動するのに伴って、係合板35により、ロッドガイドブロック28もロッド径方向外側に引き出され、角軸部14bが通過可能な状態となる。
【0023】
図8は、油圧シリンダ32に接続される油圧回路の一例を示した図である。油圧シリンダ32のシリンダチューブ37には、ピストン38を挟んだヘッド側とロッド側とに油圧ホース39,40が接続されており、ピストンロッド34が伸縮する双方向に油圧がかかるようになっている。この油圧回路では、油圧シリンダ32に対する油圧の供給及び排出を行うため、油圧源Pとタンク42とをシリンダチューブ37のロッド側とヘッド側とに切り換えて接続できるように、2つのコントロールバルブ43,44を介して連結されている。
【0024】
また、この油圧回路では、ロッドチャックブロック30の開閉を操作するメインスイッチ45と、ガイド手段とチャック手段とを切り替える切替スイッチ46とが設けられている。また、切替スイッチ46がガイド手段に接続されるときに作動するストロークセンサ47がシリンダチューブ37に設けられている。さらに、シリンダチューブ37には、ロッドチャックブロック30がロッド径方向の最も外側に移動したことを知らせるランプを点灯させるための最大開時ランプセンサ48が設けられている。
【0025】
切替スイッチ46でチャック手段を選択した状態で、メインスイッチ45によりロッドチャックブロック30を閉じるように選択すると、コントロールバルブ43が作動し、制御用油圧ポンプ41からコントロールバルブ44に作動油が送られコントロールバルブ44が作動し、油圧源Pからの作動油が油圧ホース39を介して送られ、ピストン38がヘッド側から加圧されてピストンロッド34が伸びる。これにより、ロッドガイドブロック28内を摺動したロッドチャックブロック30が、ゴムパッキン36を圧縮しながら、ロッドガイドブロック28と共にロッド径方向内側に摺動し、図5に示すように把持位置まで移動し、ロッド14を固定する。
【0026】
一方、切替スイッチ46でガイド手段を選択した状態で、メインスイッチ45によりロッドチャックブロック30を閉じるように選択した場合には、ピストンロッド34が伸びても、ストロークセンサ47が作動し、図6で示した状態となるようにピストンロッド34がそれ以上伸びようとするのを止める。
【0027】
また、メインスイッチ45によりロッドチャックブロック30を開くように選択すると、コントロールバルブ43,44の切り換えにより、油圧シリンダ32のロッド側に油圧ポンプ41が接続され、ヘッド側にタンク42が接続されれば、ピストンロッド34が縮められてロッドチャックブロック30が後退し、図7に示す状態となる。
ロッドチャックブロック30がロッド径方向の最も外側に移動すると、最大開時ランプセンサ48が作動し、ランプが点灯されるため、作業者が角軸部14bを通過させてもよい状態であることを把握できる。
【0028】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、ゴムパッキン36に代えて、バネ等の弾性部材を用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
11…施工機、12…ベースマシン、12a…下部走行体、12b…上部旋回体、13…リーダ、14…ロッド、14a…丸軸部、14b…角軸部、15…駆動装置、16…掘削具、17…撹拌具、18…注入ホース、19…スイベルジョイント、20…回り止めロッド、21…ロッド支持装置、22…ブラケット、23,24…開閉フレーム、25,26…回転ピン、27…固定ピン、28,29…ロッドガイドブロック、28a,29a…ガイド面、28b,29b…収容部、28c,29c…挿通部、30,31…ロッドチャックブロック、30a,31a…本体部、30b,31b…突出部、32,33…油圧シリンダ、34…ピストンロッド、35…係合板、36…ゴムパッキン、37…シリンダチューブ、38…ピストン、39,40…油圧ホース、41…制御用油圧ポンプ、42…タンク、43,44…コントロールバルブ、45…メインスイッチ、46…切替スイッチ、47…ストロークセンサ、48…最大開時ランプセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8