【解決手段】基板への半田の供給に用いられる供給孔を有した略筒形状の鏝先をもつ半田鏝部として、少なくとも第1の半田鏝部および第2の半田鏝部を備え、前記供給された半田を溶融させる溶融処理、および前記鏝先に付着した半田の残留物を除去するクリーニング処理を行う半田処理装置であって、第1の半田鏝部にて前記溶融処理が行われる間に、第2の半田鏝部に対して前記クリーニング処理が行われる第1動作と、第2の半田鏝部にて前記溶融処理が行われる間に、第1の半田鏝部に対して前記クリーニング処理が行われる第2動作とを実行する半田処理装置とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし鏝先のクリーニング中には、その鏝先を用いて半田付けを実行することが出来ず、その分だけ半田付け工程の生産性が落ちるという課題があった。例えば半田付けに要する時間とクリーニングに要する時間が同等であると、1回の半田付けが完了する度にクリーニングを行う場合には、連続して半田付けを行う場合に比べて、半田付け工程の生産性が1/2になってしまう。
【0006】
なお、従来では、例えば2個の半田鏝部を備えた半田処理装置であっても、一方の半田鏝部が半田付け作業に用いられている際には、他方の半田鏝部は基板等と干渉しない位置で待機するに過ぎない。本発明は上述した課題に鑑み、鏝先のクリーニングを行いながらも、半田付け工程の生産性を良好に維持し得る半田処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半田処理装置は、基板への半田の供給に用いられる供給孔を有した略筒形状の鏝先をもつ半田鏝部として、少なくとも第1の半田鏝部および第2の半田鏝部を備え、前記供給された半田を溶融させる溶融処理、および前記鏝先に付着した半田の残留物を除去するクリーニング処理を行う半田処理装置であって、第1の半田鏝部にて前記溶融処理が行われる間に、第2の半田鏝部に対して前記クリーニング処理が行われる第1動作と、第2の半田鏝部にて前記溶融処理が行われる間に、第1の半田鏝部に対して前記クリーニング処理が行われる第2動作とを実行する構成とする。
【0008】
本構成によれば、鏝先のクリーニングを行いながらも、半田付け工程の生産性を良好に維持することが可能となる。
【0009】
また上記構成としてより具体的には、前記クリーニング処理は、前記鏝先を加熱することにより、前記残留物を焼却して除去する処理である構成としてもよい。
【0010】
また上記構成としてより具体的には、第1の半田鏝部および第2の半田鏝部は、前記基板に近接又は接触する下方位置と、該下方位置よりも上方である上方位置との間で可動であり、前記下方位置において前記溶融処理が行われ、前記上方位置において前記クリーニング処理が行われる構成としてもよい。
【0011】
また上記構成としてより具体的には、上方位置にある前記半田鏝部の下に配置され、前記除去された残留物を受ける受け皿を備えた構成としてもよい。
【0012】
また上記構成としてより具体的には、前記受け皿を移動させる受け皿移動機構を備え、前記受け皿移動機構は、第1動作の実行時において第2の半田鏝部の下に配置され、第2動作の実行時において第1の半田鏝部の下に配置されるように、前記受け皿を移動させる構成としてもよい。
【0013】
また上記構成としてより具体的には、第1の半田鏝部および第2の半田鏝部それぞれに固定された各ラックと、該各ラックに挟まれたピニオンとを有するラックアンドピニオン機構を備え、前記ラックアンドピニオン機構を用いて、第1の半田鏝部および第2の半田鏝部を上下方向に移動させる構成としてもよい。
【0014】
また上記構成としてより具体的には、第1の半田鏝部および第2の半田鏝部は、ベルトに連結されており、前記ベルトを駆動させることにより、第1の半田鏝部および第2の半田鏝部を上下方向に移動させる構成としてもよい。
【0015】
また上記構成としてより具体的には、第1の半田鏝部および第2の半田鏝部ならびに前記受け皿は、ベルトに連結されており、前記ベルトを駆動させることにより、第1の半田鏝部および第2の半田鏝部を上下方向に移動させるとともに、前記受け皿を移動させる構成としてもよい。
【0016】
また上記構成としてより具体的には、前記供給孔に空気を吹き込んで前記残留物を吹き飛ばす空気吹込み手段と、前記吹き飛ばされた残留物を回収する回収手段とを備えた構成としてもよい。また当該構成としてより具体的には、前記回収手段は、前記吹き飛ばされた残留物を吸引する吸引手段を備えている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る半田処理装置によれば、鏝先のクリーニングを行いながらも、半田付け工程の生産性を良好に維持することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、第1実施形態から第3実施形態を例に挙げ、図面を参照しながら以下に説明する。なお、本発明の内容はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。また以下の説明で用いる上下左右および前後の各方向は、
図1に示す通りである。
【0020】
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る半田処理装置Xの外観図であり、
図2は、半田処理装置Xの下に基板(配線基板)Bdを配置した状態を示す説明図である。
図1および
図2に示すように、半田処理装置Xでは、左右に並べて配置された2個のヘッド(1A、1B)が、立設された平板状の壁体11の前面に取付けられている。各ヘッド(1A、1B)は基本的に同等の構成となっている。
【0021】
また各ヘッド(1A、1B)は、上方から糸半田Wが供給され、下部に設けられた半田鏝の鏝先51を利用して、基板BdのランドLdへリード線Leを半田付けするように動作する。なお、
図2に示すように、基板Bdは、治具Gjに取り付けられている。
【0022】
各ヘッド(1A、1B)は、基板Bdに近接又は接触する下方位置と、この下方位置よりも上方である上方位置との間で、上下方向に可動である。
図1および
図2に示す状態では、ヘッド1Aが下方位置にあり、ヘッド1Bが上方位置にある。
【0023】
各ヘッド(1A、1B)の上側部分には、糸半田Wを供給する半田送り機構として、糸半田Wを送る一対の送りローラ61と、送りローラ61で送られる糸半田Wをガイドするガイド管62とを備えている。一対の送りローラ61は、糸半田Wを挟むとともに、回転することで糸半田Wを下方に送る。送りローラ61は回転角度(回転数)によって、送り出す糸半田Wの長さを決定している。
【0024】
ガイド管62は、弾性変形可能な管体であり、送りローラ61の糸半田Wが送り出される部分に近接配置されている。また、ガイド管62の下端はカッター上刃21の摺動に追従して移動する。ガイド管62はカッター上刃21が摺動する範囲で引っ張られたり、突っ張ったりしないように設けられている。
【0025】
各ヘッド(1A、1B)における半田送り機構の下方には、半田送り機構によって送られた糸半田Wを所定長さの半田片に切断するカッターユニットが設けられている。カッターユニットは、カッター下刃22と、カッター下刃22の上部に配置され、前後方向へ摺動可能に配置されたカッター上刃21とを備えている。またカッターユニットには、上下方向にプッシャーピンを駆動するためのアクチュエーター32が設けられている。
【0026】
カッター上刃21は、半田送り機構にて送られた糸半田Wが挿入される貫通した上刃孔211を備えている。上刃孔211の下端の辺縁部は切刃状に形成されている。カッター下刃22は、上刃孔211を貫通した糸半田Wが挿入される貫通した下刃孔(不図示)を備えている。下刃孔の上端の辺縁部は切刃状に形成されている。上刃孔211と下刃孔は、糸半田Wが挿入されている状態でカッター上刃21が摺動すると、糸半田Wと交差する方向にずれることで、互いの切刃によって糸半田Wを半田片に切断する。
【0027】
切断後にカッター上刃21が元の位置へ戻り、先述したプッシャーピンが駆動されると、プッシャーピンが下刃孔まで挿入される。これにより、カッターユニットによって切断された半田片が下刃孔に残っている場合でも、プッシャーピンによって下方へ押し出される。
【0028】
また各ヘッド(1A、1B)におけるカッターユニットの下方には、半田鏝部が設けられている。半田鏝部は、通電によって発熱する半田付け用のヒーター41と、ヒーター41を取り付けるためのヒーターブロック42とを備えたヒーターユニットに加え、ヒーターユニットに取り付けられた鏝先51を備えている。
【0029】
ヒーターブロック42は円筒形状を有しており、外周面には、ヒーター41が巻き付けられている。ヒーターブロック42は、軸方向の下端部に鏝先51をとりつけるための凹部と、当該凹部の底部の中心から反対側に貫通する半田供給孔とを備えている。また鏝先51は、上下方向(軸方向)に伸びる円筒形状となっており、鏝先51の中央部分には、軸方向に延びる供給孔が形成されている。カッター下刃22の下刃孔は、ヒーターブロック42の半田供給孔、および鏝先51の供給孔に連通している。
【0030】
なお、鏝先51は、高い熱伝導率を有する材質により形成されており、例えば熱伝導率が100W/m・K以上となっている。鏝先51の材質としては、窒化アルミニウム、タングステンカーバイド、またはボロンナイトライドのセラミック材質などが好適である。
【0031】
鏝先51は、ヒーターブロック42に対して着脱可能であり、装着時には上部がヒーターブロック42の凹部に挿入配置され、下端部がヒーターブロック42より下方に突出する。カッターユニットで切断された糸半田の半田片は、ヒーターブロック42の半田供給孔と鏝先51の供給孔を介して、鏝先51の下方にある基板Bd上へ供給される。
【0032】
基板Bd上にて半田付けを行う場合、ヒーターブロック42を介してヒーター41の熱が鏝先51へ伝達され、その熱で基板Bd上に供給された半田片を溶融する。なお、半田付けを行う際の各ヘッド(1A、1B)は、鏝先51の先端が基板Bdへ近接又は接触する下方位置に移動しており、基板Bd上に供給された半田片を適切に溶融させることが出来る。
【0033】
また半田処理装置Xの下方部分には、左右方向へ可動である受け皿71が設けられている。受け皿71は移動することにより、ヘッド1Aが上方位置にあるときはヘッド1Aの鏝先51の真下に配置され、ヘッド1Bが上方位置にあるときはヘッド1Bの鏝先51の真下に配置される。受け皿7の役割については、改めて詳しく説明する。
【0034】
また半田処理装置Xには、当該装置が正常に機能するように各種動作を制御する制御機構CS(不図示)が設けられている。制御機構CSは、例えばMPUやCPU等の論理回路を備え、半田処理装置Xの各部を制御する。
【0035】
制御機構CSは、基板Bdに供給された半田を溶融させる溶融処理、および鏝先51に付着したドロスを加熱することにより当該ドロスを焼却して除去するクリーニング処理が、ヘッド1Aとヘッド1Bにおいて交互に行われるようにする。すなわち、ヘッド1Aの鏝先51にて溶融処理が行われる間に、ヘッド1Bの鏝先51に対してクリーニング処理が行われる第1動作と、ヘッド1Bの鏝先51にて溶融処理が行われる間に、ヘッド1Aの鏝先51に対してクリーニング処理が行われる第2動作とが実行されるようにする。
【0036】
溶融処理は半田付けを実現させるための処理であり、より具体的には、糸半田Wから切り出された半田片が基板Bd上に供給された状態(なおかつ鏝先51の供給孔に留まっている状態)にて、ヒーター41を用いて当該半田片を加熱溶融させる処理である。この際には当該半田片が溶融するように、例えば550℃の温度設定にて、鏝先51が400℃前後となるようヒーター41が制御される。一方でクリーニング処理では、鏝先51に付着したドロスが焼却されるように、ヒーター41を用いて例えば450℃以上の温度にて、鏝先51に対し数分間の加熱がなされる。鏝先51の温度は、通常、クリーニング処理時の温度の方が溶融処理時の温度よりも高く設定される。
【0037】
なお、第1動作が行われる際には、ヘッド1Aが下方位置にあってヘッド1Bが上方位置にある状態とされ、第2動作が行われる際には、ヘッド1Aが上方位置にあってヘッド1Bが下方位置にある状態とされる。そのため各ヘッド(1A、1B)は、溶融処理を行う際には、基板Bdに近接又は接触する下方位置にあるため、溶融処理を適切に行うことが出来る。またクリーニング処理が行われる際には、基板Bdから比較的離れた上方位置にあるため、クリーニング処理での加熱の影響等が基板Bdへ極力及ばないようにすることが可能である。
【0038】
また、ヘッド1A,1Bの上下移動と同期して、一方のヘッドの鏝先温度はクリーニング処理温度に、もう一方のヘッドの鏝先温度は溶融処理温度にそれぞれ設定される。そして、前記一方のヘッドのクリーニング処理が終了すると、ヒーター41への通電が停止され自然放熱によって鏝先51の温度は溶融処理温度まで低下し次の溶融処理に備える。このとき温度低下を素早く行わせるために、ドロスを吹き飛ばす圧縮空気を利用してもよい。
【0039】
クリーニング処理温度は、要求されるクリーニング処理時間によって変更することができる。すわなち、クリーニング処理時間を短縮する場合にはクリーニング処理温度を高く設定し、クリーニング処理時間に余裕があればクリーニング処理温度を低く設定できる。
【0040】
また、ヘッド1A,1Bの交換すなわち鏝先51のクリーニング処理のタイミングは、溶融処理の回数や半田使用量などによって適宜決定すればよい。例えば、溶融処理回数や半田使用量が所定値に達すると鏝先51のクリーニング処理を行う。あるいはまた、簡易的に予め設定された時間によってクリーニング処理を行うようにしてもよい。
【0041】
また先述した通り、上方位置にある各ヘッド(1A、1B)の下には、受け皿7が配置されるようになっている。そのため各ヘッド(1A、1B)がクリーニングされる際、鏝先51から剥がれて落下するドロスは受け皿7により受け止められるため、基板Bdに付着することは回避される。
【0042】
ここで受け皿7を移動させるための受け皿移動機構について説明する。受け皿移動機構は、
図3に示すように、前後方向へ伸びた支持部材72の一端に受け皿71が設けられ、支持部材72の他端が、壁体11へ摺動可能に取付けられた構成となっている。そして支持部材72が壁体11に沿って左右方向へ摺動することにより、受け皿7が左右方向へ移動する。なお、受け皿7の移動は、各ヘッド(1A、1B)の上下移動と干渉しないように行われる。
【0043】
図4は、ヘッド1Aにて溶融処理が行われ、ヘッド1Bにてクリーニング処理が行われる状態での半田処理装置Xの断面図を示している。本図に示すように、下方位置にあるヘッド1Aでは、鏝先51が基板Bdに近接または接触して溶融処理が行われる。その間に上方位置にあるヘッド1Bでは、下方に受け皿71が配置された状態にてクリーニング処理が実行される。
【0044】
図5は、ヘッド1Bにて溶融処理が行われ、ヘッド1Aにてクリーニング処理が行われる状態での半田処理装置Xの断面図を示している。本図に示すように、下方位置にあるヘッド1Bでは、鏝先51が基板Bdに近接または接触して溶融処理が行われる。その間に上方位置にあるヘッド1Aでは、下方に受け皿71が配置された状態にてクリーニング処理が実行される。
【0045】
なお、受け皿移動機構の具体的形態は上述したものに限られず、例えば
図6に示すように、受け皿71が円弧を描くように移動する形態となっていても良い。
図6に示す受け皿移動機構によれば、一方向へ伸びた支持部材72の一端に受け皿71が設けられ、支持部材72の他端が、壁体11へ回動可能に取付けられた構成となっている。
【0046】
また半田処理装置Xを利用する際には、上側から鏝先51の供給孔へ圧縮空気を吹き込み、鏝先51に付着しているドロスを吹き飛ばすための工程が設けられても良い。このような工程について、
図7から
図9を参照しながら以下に説明する。
【0047】
図7(a)は、筐体81が鏝先51の下方に設置され、鏝先51に付着しているドロスを吹き飛ばすとともに、そのドロスを筐体81に回収させるようにした工程の形態を示している。本図に示すように、筐体81には、鏝先51から吹き飛ばされたドロスを筐体81内へ導くための案内部材82、外部に貫通した貫通孔83、および案内部材82のあるスペースと貫通孔83のあるスペースを仕切るように配置されたフィルター84を設けている。当該形態によれば、圧縮空気により吹き飛ばされたドロスを筐体81内に回収することが可能である。
【0048】
図7(b)は、筐体81内(貫通孔83とフィルター84に挟まれたスペース)にファン(吸引手段)85を設けた形態を示している。当該形態によれば、圧縮空気を鏝先51内へ吹き込むと同時に、ファン85を回転させることで、筐体81内から貫通孔83を通って外部へ向かう空気流を起こし、筐体81内へドロスを積極的に吸引することが出来る。これにより、吹き飛ばされたドロスをより確実に筐体81へ回収することが可能である。
【0049】
図8(a)および(b)は、
図7(b)に示した形態について、鏝先51の端面に付着したドロスをより除去し易くするように、案内部材82を変形した例を示している。
図8(a)に示した形態では、鏝先51の端面が案内部材82の一部へ接触するようになっており、
図8(b)に示した形態では、鏝先51の端面の外縁が案内部材82の一部へ接触するようになっている。
【0050】
図9は、
図7(b)に示した形態について、鏝先51の端面に付着したドロスをより一層除去し易くするように、案内部材82を変形した例を示している。本図に示した形態では、案内部材82の一部に凹凸が形成されており、鏝先51の端面を当該凹凸に擦り付けることが可能となっている。なお、当該凹凸は、ブラシ状になっていても良い。
【0051】
また各ヘッド(1A、1B)を上下方向へ移動させる機構としては、
図10に示すようなラックアンドピニオン機構を用いても良い。本図に示すラックアンドピニオン機構は、ヘッド1Aに固定されたラック15aと、ヘッド1Bに固定されたラック15bと、これらのラックに挟まれたピニオン16を備えている。当該ラックアンドピニオン機構によれば、ピニオン16を回転駆動させることにより、各ヘッド(1A、1B)を、上方位置と下方位置へ交互に配置されるように移動させることが可能である。
【0052】
2.第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態は、各ヘッド(1A、1B)および受け皿71を移動させる機構を除き、基本的に第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる点の説明に重点をおき、共通する点については説明を省略することがある。
【0053】
図11は、第2実施形態に係る半田処理装置Xの外観図である。なお、本図における破線枠内には、各ヘッド(1A、1B)および受け皿71を移動させる駆動機構90の主要部分を示している。駆動機構90は、壁体11の後側に設置されている。
【0054】
駆動機構90は、ベルト91、ベルト91を回転移動可能に張架支持する4個の支持体(92a〜92d)、ヘッド1Aをベルト91に連結させる連結部材93a、およびヘッド1Bをベルト91に連結させる連結部材93bを備えている。
【0055】
なお、各支持体(92a〜92d)は、長方形の四隅を形成するように配置されている。また支持体92bと支持体92cの間では、ベルト91は上下方向に伸びており、ここに連結部材93aが固定されている。支持体92cと支持体92dの間では、ベルト91は左右方向に伸びており、ここに支持部材72が固定されている。支持体92dと支持体92aの間では、ベルト91は上下方向に伸びており、ここに連結部材93bが固定されている。
【0056】
本実施形態の駆動機構90によれば、ベルト91を駆動させることにより、各ヘッド(1A、1B)を上下方向に移動させるとともに、上方位置にあるヘッドの下へ配置されるように受け皿71を移動させることが出来る。なお、駆動機構90は、移動する受け皿71が各ヘッド(1A、1B)の上下移動と干渉しないように調節されている。
【0057】
また壁体11の左方側面には、連結部材93bの可動範囲を制限する2個のストッパー95a,95bが設けられており、更に各ストッパー95a,95bには、連結部材93bを引き付けるマグネット96が設置されている。これにより、各ヘッド(1A、1B)が許容範囲を超えて移動することを防ぐとともに、各ヘッド(1A、1B)の位置決めの機能を果たすことも出来る。
【0058】
以上の説明から明らかな通り、本実施形態では、ベルト91を用いて各ヘッド(1A、1B)をベルト掛けし、ベルト91を駆動してシーソーのように各ヘッド(1A、1B)を上下させるようになっている。そして受け皿71もベルト91に連動して左右に動き、クリーニング処理の際に落下するドロスを受ける。また各ストッパー95a,95bは、各ヘッド(1A、1B)の位置検出にも利用され得る。
【0059】
3.第3実施形態
次に第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態は、各ヘッド(1A、1B)および受け皿71を移動させる機構を除き、基本的に第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる点の説明に重点をおき、共通する点については説明を省略することがある。
【0060】
図12は、第3実施形態に係る半田処理装置Xの外観図である。なお、本図における破線枠内には、各ヘッド(1A、1B)および受け皿71を移動させる駆動機構90の主要部分を示している。駆動機構90は、壁体11の後側に設置されている。
【0061】
駆動機構90は、ベルト91、ベルト91を回転移動可能に張架支持する2個の支持体(92e、92f)、ヘッド1Aをベルト91に連結させる連結部材93a、およびヘッド1Bをベルト91に連結させる連結部材93bを備えている。
【0062】
なお、各支持体(92e、92f)は、第2実施形態での支持体(92a〜92d)より大きく形成されており、支持体92eの下方に支持体92fが配置されている。支持体92eの右側と支持体92fの右側の間では、ベルト91は上下方向に伸びており、ここに連結部材93aが固定されている。
【0063】
支持体92eの左側と支持体92fの左側の間では、ベルト91は上下方向に伸びており、ここに連結部材93bが固定されている。また支持体92fの前面における外周寄りの位置には、支持部材72が固定されている。
【0064】
本実施形態の駆動機構90によれば、ベルト91を駆動させることにより、各ヘッド(1A、1B)を上下方向に移動させることが出来る。更にこのときの支持体92fの回転に伴って、上方位置にあるヘッドの下へ配置されるように受け皿71を移動させることが出来る。
【0065】
また駆動機構90は、移動する受け皿71が各ヘッド(1A、1B)の上下移動と干渉しないように調節されている。本実施形態では、一方のヘッドの下降時に受け皿71も下降するように動くため、干渉しないように調節することは容易である。更に本実施形態での受け皿71では、ドロスを受けるための窪みが表裏の両側に設けられている。
【0066】
また壁体11の左方側面には、連結部材93bの可動範囲を制限する2個のストッパー95a,95bが設けられており、更に各ストッパー95a,95bには、連結部材93bを引き付けるマグネット96が設置されている。これにより、各ヘッド(1A、1B)が許容範囲を超えて移動することを防ぐとともに、各ヘッド(1A、1B)の位置決めの機能を果たすことも出来る。
【0067】
なお、本実施形態の駆動機構90は、
図13に示すようにダストボックス99を配置しておき、鏝先51から剥離させたドロスをこのダストボックス99へ回収させる工程に好適である。すなわち
図14に示すように、支持体92fが回転することにより、受け皿71は回転しながら移動するため、受け皿71上のドロスをダストボックス99へ落とすことができる。
【0068】
より具体的には、ヘッド1Aの鏝先51から受け皿71へ落ちたドロス(
図14での「ドロスA」)は、支持体92fが時計回りに回転する間に、受け皿71からダストボックス99へ落ちる。また、ヘッド1Bの鏝先51から受け皿71へ落ちたドロス(
図14での「ドロスB」)は、支持体92fが反時計回りに回転する間に、受け皿71からダストボックス99へ落ちる。このように、支持体92fの回転に伴って受け皿71の向きが変わることを利用して、ダストボックス99内へ容易にドロスを回収することが出来る。
【0069】
4.その他
以上に説明した各実施形態の半田処理装置Xは、基板Bdへの半田片の供給に用いられる供給孔を有した略筒形状の鏝先51をもつ半田鏝部(ヘッド)として、少なくともヘッド1Aおよびヘッド1Bを備え、前記供給された半田片を溶融させる溶融処理、および鏝先51に付着したドロスを除去するクリーニング処理を行うように構成されている。
【0070】
更に半田処理装置Xは、ヘッド1Aにて溶融処理が行われる間に、ヘッド1Bに対してクリーニング処理が行われる第1動作と、ヘッド1Bにて溶融処理が行われる間に、ヘッド1Aに対してクリーニング処理が行われる第2動作とを実行する。そのため半田処理装置Xによれば、クリーニング処理のためにラインタクトが長くならないようにし、鏝先のクリーニングを行いながらも、半田付け工程の生産性を良好に維持することが可能となる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、半田処理装置Xが備えるヘッドの個数を2個としたが、3個以上を備えるようにしても構わない。このようにする場合であっても、例えば一部のヘッドにて溶融処理が行われる間に、他のヘッドに対してクリーニング処理が行われるようにすることで、本発明が適用され得る。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。