特開2016-124549(P2016-124549A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-124549(P2016-124549A)
(43)【公開日】2016年7月11日
(54)【発明の名称】食品用脱気袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20160613BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20160613BHJP
   B65D 33/01 20060101ALI20160613BHJP
【FI】
   B65D85/50 A
   B32B27/00 H
   B65D33/01
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-263982(P2014-263982)
(22)【出願日】2014年12月26日
(11)【特許番号】特許第5770356号(P5770356)
(45)【特許公報発行日】2015年8月26日
(71)【出願人】
【識別番号】511158683
【氏名又は名称】株式会社MIB
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕之
【テーマコード(参考)】
3E035
3E064
4F100
【Fターム(参考)】
3E035AA19
3E035AA20
3E035BA08
3E035BB02
3E035BC02
3E035BD02
3E035CA07
3E064AA01
3E064AA09
3E064AB11
3E064BA26
3E064BB03
3E064BC08
3E064EA18
3E064EA30
3E064FA01
3E064HD03
3E064HD08
3E064HE01
4F100AA20C
4F100AB10C
4F100AK04D
4F100AT00A
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CB00B
4F100DC11C
4F100DC11D
4F100DC22B
4F100EH66C
4F100GB23
4F100JD03C
4F100JL11B
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】発生量の異なる炭酸ガスに対応して安定したガス抜き作用を有し、収納袋の内圧が低い場合でもガス抜き効果が得られる食品用脱気袋を提供する。
【解決手段】収納袋を包装フィルム層1と脱気層2とで構成する。ポリエチレン層2Aと酸素バリヤー層2Bとで脱気層2を構成する。該脱気層2にガス抜き用の貫通孔4を開穿する。包装フィルム層1と脱気層2のポリエチレン層2Aとを接着層3が接着する。接着層3に縞模様のパターンを成す非接着部を連続形成する。非接着部が収納袋の外に通じる脱気口を形成する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシールで封止される収納袋が包装フィルム層と該包装フィルム層の内側に接着される脱気層とで構成された食品用脱気袋において、脱気層は、ポリエチレン層と酸素バリヤー層とで構成されると共に、該脱気層を貫通するガス抜き用の貫通孔が開穿され、包装フィルム層と脱気層の酸素バリヤー層とを接着する接着層に縞模様のパターンを成す非接着部が連続形成され、該非接着部が収納袋の外に通じる脱気口を形成したことを特徴とする食品用脱気袋。
【請求項2】
前記接着層は、接着剤が塗布された接着部と接着剤が塗布されない非接着部との面積比を3対2に設定した請求項1記載の食品用脱気袋。
【請求項3】
前記非接着部は、0.25mm〜0.35mm幅の帯形状を成し、前記貫通孔は、前記脱気層を貫通する幅2mm、長さ3mmの孔として周囲4mm間隔で形成された請求項1又は2記載の食品用脱気袋。
【請求項4】
前記酸素バリヤー層は、アルミ蒸着層又はシリカ蒸着層で形成された請求項1記載の食品用脱気袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆や味噌などの食品を収納する食品用脱気袋に係り、梱包中に食品から発生した炭酸ガスを脱気することができる食品用脱気袋に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、コーヒー豆を袋詰めした場合、コーヒー豆から発生する炭酸ガスが袋内に充満し袋が破裂するおそれがある。そこで従来では、袋に特殊なバルブを装着して適度なガス抜きを行い、袋の内圧を調整している。
【0003】
このような特殊なバルブを装着した袋は、バルブの構成が嵩張り、袋の表面に凹凸ができてしまう不都合が生じる。しかも、袋に別部材のバルブを装着するため、製造コストが極めて高くなってしまう。
【0004】
一方、ガス抜き作用を有する包装袋が特許文献1に記載されている。この包装袋は、酸素バリヤー性を有する非通気性の外側フィルムと、酸素を透過する通気性の内側フィルムとを重合し、外側のフィルムにガス抜きの孔部を設けたものである。
【0005】
ところが、特許文献1に記載の包装袋は、酸素バリヤー性を有する外側のフィルムに、通気性を持つ内側のフィルムを重合するものであるから、ガス抜き作用を有するフィルムの製造に多くの工程を要するものであった。
【0006】
そこで当出願人は、特許文献2に記載のように、先に、袋体を形成する包装フィルムの内側フィルム相互を接合した部分の一方の包装フィルムにガス抜きの孔部を貫通形成した食品用脱気袋を提案している。
【0007】
この食品用脱気袋により、袋体の本体部分に孔部が形成されないので、見栄えの良い食品用脱気袋を提供することに成功した。また、内側フィルム相互を接合した部分に孔部を形成するので、孔部が変形するおそれも解消されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-167335号公報
【特許文献2】実用新案登録第3184474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献2に記載の食品用脱気袋は、包装フィルムに貫通形成するガス抜きの孔部を、接合した部分の一方の包装フィルムに貫通させていたので、レーザー加工によって重ねた2枚のフィルムを半貫通させる必要があった。そのため、レーザー加工が難しく、孔部の加工が安定しないという課題があった。
【0010】
しかも、ガス抜きの孔部を部分的に配置していると、内圧が25atm以上にならないと脱気することができず、珈琲豆や発酵食品など、発生量の異なる炭酸ガスに対応して脱気することが困難であった。
【0011】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、発生量の異なる炭酸ガスに対応して安定したガス抜き作用を有し、しかも、収納袋の内圧が低い場合でもガス抜き効果が得られる食品用脱気袋の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、ヒートシールで封止される収納袋10が包装フィルム層1と、該包装フィルム層1の内側に接着される脱気層2とで構成された食品用脱気袋において、脱気層2は、ポリエチレン層2Aと酸素バリヤー層2Bとで構成されると共に、該脱気層2を貫通するガス抜き用の貫通孔4が開穿され、包装フィルム層1と脱気層2の酸素バリヤー層2Bとを接着する接着層3に縞模様のパターンを成す非接着部3Bが連続形成され、該非接着部3Bが収納袋10の外に通じる脱気口を形成したことにある。
【0013】
第2の手段において、前記接着層3は、接着剤が塗布された接着部3Aと接着剤が塗布されない非接着部3Bとの面積比を3対2に設定したものである。
【0014】
第3の手段の前記非接着部3Bは、0.25mm〜0.35mm幅の帯形状を成し、前記貫通孔4は、前記脱気層2を貫通する幅2mm、長さ3mmの孔として周囲4mm間隔で形成されている。
【0015】
第4の手段において、酸素バリヤー層2Bは、アルミ蒸着層又はシリカ蒸着層で形成されたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1のごとく、脱気層2は、ポリエチレン層2Aと酸素バリヤー層2Bとで構成されると共に、該脱気層2を貫通するガス抜き用の貫通孔4が開穿され、包装フィルム層1と脱気層2のポリエチレン層2Aとを接着する接着層3に縞模様のパターンを成す非接着部3Bが連続形成され、該非接着部3Bが収納袋10の外に通じる脱気口を形成したことにより、収納袋10の内圧の変化にかかわらず、ガス抜き効果が得られるものである。この結果、発生量の異なる炭酸ガスに対応して安定したガス抜きが可能になった。
【0017】
請求項2のように、接着剤が塗布された接着部3Aと接着剤が塗布されない非接着部3Bとの面積比を3対2に設定した接着層3を設けることで、内圧が1atm程度の場合でも脱気することが可能になった。したがって、珈琲豆や発酵食品など、発生量の異なる炭酸ガスに対応して脱気することができる。
【0018】
請求項3のごとく、非接着部3Bは、0.25mm〜0.35mm幅の帯形状を成し、貫通孔4は、脱気層2を貫通する幅2mm、長さ3mmの孔として周囲4mm間隔で形成したことで、収納袋10の内圧が高まった場合でも、包装フィルム層1から脱気層2が分離せず、しかも、内圧の変化に対応して常に安定した脱気が可能になるものである。
【0019】
請求項4のように、酸素バリヤー層2Bとして、アルミ蒸着層又はシリカ蒸着層で形成することで、十分な酸素バリヤー効果が得られる。また、アルミ蒸着層にて酸素バリヤー層2Bを形成すると、特に、遮光性に優れた特性を有するので、光によって変化しやすい食材や、みそなどの発酵食品の発酵を押えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明袋体の一実施例を示す背面図である。
図2】本発明の脱気層に孔部が貫通形成された状態の要部断面図である。
図3】本発明袋体の一実施例を示す要部断面図である。
図4】本発明のヒートシール部で脱気層を合わせた状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
このように本発明によると、発生量の異なる炭酸ガスに対応して安定したガス抜き作用を有し、しかも、収納袋の内圧が低い場合でもガス抜き効果が得られるなどといった当初の目的を実現した。
【0022】
以下、本発明の実施例を説明する。図において示される符号10は、コーヒー豆や味噌など炭酸ガスが発生する食品を収納する収納袋である(図1参照)。この収納袋10は、包装フィルム層1と、該包装フィルム層1の内側に接着される複数層の脱気層2とで構成され、ヒートシールにより閉じられたものである。
【0023】
包装フィルム層1は、印刷1Aが施されたポリエステルにて形成されるもので、この包装フィルム層1の内側に接着層3を介して複数層の脱気層2が接着されている(図3参照)。
【0024】
脱気層2は、ポリエチレン層2Aと酸素バリヤー層2Bとを積層した二層構造を成す。ポリエチレンは、通気性を有する材質なので、収納袋10内に発生するガスは、ポリエチレン層2Aを透過して排出される。一方、酸素バリヤー層2Bは、高いガスバリヤー性を有する材質で形成されるもので、アルミ蒸着層又はシリカ蒸着層で形成される。酸素バリヤー層2Bにアルミ蒸着層を使用すると、コーヒー豆や茶葉のような香りを封印することも可能である。
【0025】
また、脱気層2には、予め脱気層2を貫通するガス抜き用の貫通孔4が開穿されている(図2参照)。この貫通孔4は、脱気層2に向けて照射したレーザーにてポリエチレン層2Aと酸素バリヤー層2Bとを貫通したものである。図示の貫通孔4は、脱気層2を貫通する幅2mm、長さ3mmの孔として周囲4mm間隔で形成している。そして、脱気層2の酸素バリヤー層2Bに接着層3を設けて包装フィルム層1に接着する。尚、貫通孔4の形状は楕円形や長方形など任意に設定することができる。
【0026】
接着層3は、酸素バリヤー層2Bと包装フィルム層1とを接着する層で、酸素バリヤー層2Bの側に感圧接着剤を塗布する。この接着層3は、感圧接着剤が塗布された接着部3Aと、塗布されない非接着部3Bとで縞模様状を成している(図2参照)。この非接着部3Bが収納袋10の外に通じる脱気口を形成する。
【0027】
接着層3の接着部3Aは感圧接着剤を塗布して乾燥後、包装フィルム層1と脱気層2とを重ねてロールで巻き上げて加圧し、接着する。また非接着部3Bは、感圧接着剤が塗布されていないので、圧着されているだけの状態である。
【0028】
このような接着層3において、接着部3Aと非接着部3Bとの面積比を3対2に設定している。実験によると、接着部3Aと非接着部3Bとの面積比を2対1にした場合、十分な脱気ができなかった。同様に、接着部3Aと非接着部3Bとの面積比を1対1にした場合は、接着強度が低下することが判明した。更に、非接着部3Bを、0.25mm〜0.35mm幅の帯形状に形成することで、内圧の変化に対応して常に安定した脱気が可能になった。このとき、貫通孔4は、幅2mm、長さ3mmの孔として周囲4mm間隔で形成したものである。
【0029】
本発明によると、収納袋10内で発生した炭酸ガスは、脱気層2を貫通する貫通孔4から接着層3に至り、接着層3の非接着部3Bから外部に排出されるものである(図3参照)。また、収納袋10の背面部のように、脱気層2のポリエチレン層2Aを合わせてヒートシール部11を形成すると、貫通孔4やポリエチレン層2Aが重合するので脱気能力がより高い構造になる(図4参照)。
【0030】
尚、収納袋10の形状は図示例に限定されるものではなく、例えば底部や側面にマチがついた収納袋10など、包装フィルム層1と、脱気層2との複層構造を有する収納袋10であれば適用可能である。また、収納袋10に収納する食品は珈琲豆やみそなどの外、二酸化酸素を発生する各種の食品を収納することができるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 包装フィルム層
1A 印刷
2 脱気層
2A ポリエチレン層
2B 酸素バリヤー層
3 接着層
3A 接着部
3B 非接着部
4 貫通孔
10 収納袋
11 ヒートシール部
図1
図2
図3
図4