【実施例1】
【0012】
本発明のガス充填包装機における不活性ガス充填方法を、
図1ないし
図4に示した本発明を適用したガス充填包装機1を用いて説明する。
この実施例のガス充填包装機1における不活性ガス充填方法は、液化した不活性ガスを包装袋a内に滴下する液化ガス滴下工程と、被包装物と液化ガスを充填した包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態で施封する仮付シール工程と、包装袋a内に滴下された液化ガスの気化を促進するための加温工程と、包装袋aの底部を振動させる底部振動工程と、液化ガスの気化膨張により膨らんだ包装袋aを表裏からそれぞれ押圧して整形する袋整形工程と、被包装物と不活性ガスを充填した包装袋aを密封するトップシール工程とを有している。以下、各工程について順次詳述する。
【0013】
なお、本発明を適用したガス充填包装機1は、包装袋aの袋口を開口して被包装物を充填すると共に、不活性ガスを充填して施封する装置である。具体的には、ガス充填包装機1は、
図1または
図3に示すように、それぞれのステーション(第1ないし第10ステーション)において、包装袋aを包装機内に供給する給袋工程(第1工程)、賞味期限等を印字する印字工程(第2工程)、袋口開口・印字確認工程(第3工程)、被包装物充填・押込み工程(第4工程)、第2押し込み・吹き飛ばし・系外排出工程(第5工程)、包装袋a内に液化ガス(この実施例の場合は液体窒素)を滴下する液化ガス滴下工程(第6工程)、仮付シール・加温・もみほぐし工程(第7工程)、加温・もみほぐし工程(第8工程)、トップシール・袋整形工程(第9工程)、シールチェック工程(第9工程)〜(第10工程)およびシール冷却・製品排出工程(第10工程)の10工程を行う装置である。
【0014】
また、このガス充填包装機1は、
図1または
図2に示すように、垂直方向に延在する間欠回転軸8を回転自由に支持するスタンド9が機台10上に設けられ、その間欠回転軸8の上部に取り付けられた移動体(円盤状回転体)3には、包装袋aを掴着又は釈放するための10個のグリップ対(袋把持手段)2が間欠回転軸8を中心として等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。グリップ対2は、包装袋aの袋口の両側付近を把持して、移動体3と共に包装工程毎に間欠移動する。なお、本発明を適用したこの実施例のガス充填包装機1は移動体(円盤状回転体)3を間欠回転駆動させるロータリー方式の包装機であるが、本発明を公知の直線移動方式の包装機に適用することも可能である。
【0015】
そして、液化した不活性ガスを包装袋a内に滴下する液化ガス滴下工程は、液化ガス滴下装置4が配置された第6工程が行われる第6ステーションにて行われる。
【0016】
液化ガス滴下装置4は、液化した不活性ガスをグリップ対2に垂直姿勢で支持された包装袋a内に滴下するための液化ガス滴下装置である。この工程は、
図4に示すように、グリップ対2に垂直姿勢で支持された包装袋aが間欠移動して第6工程が行われる第6ステーションに停止すると、開口された袋口から液化ガス滴下装置4の液化ガス滴下装置(液体窒素滴下ノズル)4bにより例えば0.2〜5cc程度の窒素ガス(液化ガス)が袋内底部に滴下されることにより行われる。
【0017】
この実施例における液化ガス滴下装置4は液体窒素滴下装置であり、液化ガスは液体窒素である。液体窒素は包装袋aの底部に滴下されると気化して700〜800倍の容積の窒素ガスに膨張することで包装袋a内に窒素ガスが充填される。
【0018】
液体窒素滴下装置4は、
図2に示すように、制御部を備えた本体部4aと、本体部内と連通した液体窒素滴下ノズル4bとを有し、本体部4aは真空断熱フレキシブル配管(図示しない)等を介して液体窒素タンク(図示しない)に連通されている。
【0019】
このように、ガス充填包装機1における不活性ガス充填方法では、液化ガスを滴下することにより包装袋a内にガスを充填するため、従来のように不活性ガスを長く吹き出し続けることがないため、装置を簡素化でき設置面積も狭小化できて包装コストを軽減できると共に、ガス充填に際して軽量な被包装物であっても包装袋から噴き出すことがなく、それに起因する清掃も不要で生産能力も向上させることができる。
【0020】
なお、この実施例におけるガス充填包装機1における不活性ガス充填方法は、液化ガス滴下装置4により液体窒素滴下するものであるが、これに限定されるものではなく、窒素ガス以外の不活性ガスを液化した液化ガスを滴下するものでもよい。
【0021】
被包装物と液化ガスを充填した包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態で施封する仮付シール工程は、仮付シール装置5が配置された第7工程が行われる第7ステーションにて行われる。
【0022】
仮付シール装置5は、被包装物と液化ガスを充填した包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態で施封するためのものである。ガス充填包装機1における不活性ガス充填方法が、このような仮付シール装置5による仮付け工程を有することにより、ガス充填時に包装袋aの外部と内部の接触部が小さくなることに加え、底部から気化する不活性ガスが包装袋a内の空気を押し上げて袋口付近の空気開放部から押し出されることでガス置換率をより向上させることができると共に、空気開放部を小さくすることで削り節のような軽量な被包装物でも包装袋から噴き出すことをより抑制できる。
【0023】
仮付シール装置5は、
図4の第7工程に示すように、グリップ対2に支持された包装袋aの表裏からそれぞれ袋口付近を挟持して施封する一対の挟持体5a,5bを有している。これら一対の挟持体5a,5bは、
図6(A)に示すように、往復動機構(図示しない)により包装袋aの表裏からそれぞれ包装袋aに密着するヒートブロック5dを有している。そして、第7工程が行われる第7ステーションに停止した包装袋aを一対の挟持体5a,5bが挟持することにより挟持部分が施封されるように構成されている。
【0024】
さらに、これら一対の挟持体5a,5bは、
図6(A)に示すように、それぞれ包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態とするためのクリアランス部5cを有している。このクリアランス部5cは、一対の挟持体5a,5bが包装袋aを挟持した際に、挟持せず施封しない部分を形成するための部位であり、このようなクリアランス部5cを設けることにより、包装袋aに空気開放部を簡素な構造で容易に形成できる。
【0025】
クリアランス部5cは、一対の挟持体5a,5bの中央付近に設けられており、これにより、包装袋aの袋口付近の中央部に空気開放部が形成されるため、包装袋aの内部に存在する空気がより確実に外部に押し出される。
【0026】
また、一対の挟持体5a,5bは、
図6(A)に示すように、クリアランス部5cに向かって徐々に上昇する底部5eを有している。これにより、包装袋aの内部に存在する空気は一対の挟持体5a,5bの底部5eに沿って空気開放部に移動するため、包装袋a内の空気がより確実に外部に押し出される。
【0027】
包装袋a内に滴下された液化ガスの気化を促進するための加温工程は、
図1に示すように、加温装置7が配置された第7工程および第8工程が行われる第7および第8ステーションにて行われる。
【0028】
加温装置7は、包装袋a内に滴下された液化ガスの気化を促進するためのものであり、
図4に示すように、グリップ対2に支持された包装袋aの下部付近を表裏からそれぞれ所定間隔を置いて対向するように配される一対のヒートブロック7a,7bを有している。
【0029】
これら一対のヒートブロック7a,7bは往復動機構(図示しない)により包装袋aの表裏側からそれぞれ所定位置まで接近し、包装袋aの下部付近を加温した後は、離間する方向に移動して初期位置に戻るように構成されている。
【0030】
一対のヒートブロック7a,7bは、カートリッジヒーター(図示しない)とカートリッジヒーターの温度を測定するための熱電対(図示しない)を備えている。なお、ヒートブロック7a,7bの包装袋a側の表面温度は、包装袋の材質や滴下する液化ガスの種類によって異なるが、50〜150℃程度が好適である。
【0031】
ガス充填包装機1におけるガス充填方法がこのような加温工程を有することで、凍結した液体窒素などの気化を促進して膨張を速め、窒素ガスなど気体の流れを包装袋a内に生じさせて空気を効果的に外部へ押し出させることができ、これにより、生産効率およびガス置換率をより向上させることができる。
【0032】
包装袋aの底部を振動させる底部振動工程は、袋底部振動装置12が配置された第7工程および第8工程が行われる第7および第8ステーションにて行われる。
【0033】
袋底部振動装置12は、包装袋aの底部を振動させることで、被包装物の隙間に残存している空気を押し出すためのものであり、
図4に示すように、振動受体12aと、この振動受体12aに連結された振動棒(図示しない)と、振動棒を往復動させる往復動手段(図示しない)とを有しており、振動受体12aを振動させることで包装袋aの底部を振動させることができるように構成されている。
【0034】
液化ガスの気化膨張により膨らんだ包装袋aを表裏からそれぞれ押圧して整形する袋整形工程は、第9工程が行われる第9ステーションにて行われる。
【0035】
袋整形装置13は、液化ガスの気化膨張により膨らんだ包装袋aを表裏からそれぞれ押圧して整形するためのものであり、
図4に示すように、グリップ対2に支持された包装袋aの中間部付近を表裏からそれぞれ押圧する一対の袋整形板13a,13bを有している。これら一対の袋整形板13a,13bは往復動機構(図示しない)により包装袋aの表裏からそれぞれ膨張した包装袋aを押圧して整形するよう構成されている。
【0036】
被包装物と不活性ガスを充填した包装袋aを密封するトップシール工程は、トップシール装置6が配置された第9工程が行われる第9ステーションにて行われる。
【0037】
トップシール装置6は、被包装物と不活性ガスを充填した包装袋aを袋口付近で密封するためのものであり、
図4に示すように、グリップ対2に支持された包装袋aの表裏からそれぞれ袋口付近を挟持して密封する一対の挟持体(水平バー)6a,6bを有している。一対の挟持体6a,6bは往復動機構(図示しない)により包装袋aの表裏からそれぞれ密着するヒートブロックを有しており、第9工程が行われる第ステーション9に停止した包装袋aを一対の挟持体6a,6bが挟持することにより挟持部分が密封される。
【0038】
このように、ガス充填包装機1におけるガス充填方法は、液化ガス滴下装置4にて液化した不活性ガスをグリップ対2に支持された包装袋a内に滴下する液化ガス滴下工程によりガス充填を行うものであり、包装袋a内への長時間のガス吹き出しを行わないため、装置を簡素化でき設置面積も従来機の半分程度に狭小化できて包装コストを軽減できる。また、包装袋a内への長時間のガス吹き出しを行わないことにより、削り節などの軽量な被包装物であっても包装袋から噴き出すことがなくそれに起因する清掃も不要となる。さらに、ガス充填は液化ガス滴下装置4による包装袋a内への滴下によるため、より低廉に短時間で行うことができ、生産能力も向上させることができる。
【0039】
つぎに、本発明を適用するガス充填包装機の仮付シール工程における他の実施例について順次説明する。
前述したガス充填包装機1の仮付シール装置5は、
図5に示すように、被包装物の充填工程(第4工程および第5工程)の後、液化ガス滴下工程(第6工程)を経て、
図5(A)および
図6(A)に示すように、仮付シール装置5の一対の挟持体5a,5bによる仮付シールが行われる。一対の挟持体5a,5bは、
図6(A)に示すように、それぞれ包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態とするためのクリアランス部5cを有している。また、このクリアランス部5cは、一対の挟持体5a,5bの中央付近に設けられている。さらに、一対の挟持体5a,5bは、クリアランス部5cに向かって徐々に上昇する底部5eを有している。
【0040】
これに対して、
図5(B)および
図6(B)に示した仮付シール装置の一対の挟持体15a,15bは、包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態とするためのクリアランス部15cが一対の挟持体15a,15bの中央付近に設けられている点は同様であるが、一対の挟持体15a,15bの底部15eは、水平方向に延在している点で仮付シール装置5の一対の挟持体5a,5bと異なる。このような仮付シール装置の一対の挟持体15a,15bを有するガス充填包装機によって仮付け工程を行うものも本発明の範疇に包含される。なお、包装袋aの袋口付近に形成された空気開放部は、第9工程においてトップシール装置6により密封される。
【0041】
図5(C)および
図6(C)に示した仮付シール装置の一対の挟持体25a,25bは、包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態とするためのクリアランス部は有しておらず、代わりに挟持体25aが中央付近に、包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態とする穿孔部を形成するための切断手段(この実施例の場合はカッター)25cを有し、対向して配された挟持体25bが、包装袋aを貫通し穿孔部(空気開放部に代わるもの)を形成した切断手段25cを受け入れるためのガイド部(凹状部)25dを有している点が、前述した一対の挟持体15a,15bと異なる。一対の挟持体25a,25bがこのような切断手段25cおよびガイド部(凹状部)25dを有することにより、包装袋aに容易に穿孔部(空気開放部に代わるもの)を形成することができ、このような仮付シール装置の一対の挟持体25a,25bを有するガス充填包装機によって仮付け工程を行うものも本発明の範疇に包含される。なお、切断手段25cにより包装袋aの袋口付近に形成された穿孔部は、第9工程においてトップシール装置6により密封される。
【0042】
図5(d)および
図6(d)に示した仮付シール装置の一対の挟持体35a,35も、包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態とするためのクリアランス部は有しておらず、代わりに挟持体35aが両側付近にそれぞれ、包装袋aの袋口付近の一部を開放した状態とする穿孔部を形成するための切断手段(この実施例の場合はノッチ)25cを有し、対向して配された挟持体35bが、包装袋aを貫通し穿孔部(空気開放部に代わるもの)を形成した切断手段35cを受け入れるためのガイド部(凹状部)35dを有している点が、前述した一対の挟持体15a,15bと異なる。
【0043】
一対の挟持体35a,35bがこのような切断手段35cおよびガイド部(凹状部)35dを有することにより、包装袋aに容易に穿孔部(空気開放部に代わるもの)を形成することができ、また、包装袋aの袋口付近の穿孔部(空気開放部に代わるもの)を包装袋aの両側に設けることで、包装袋aの内部に存在する空気をより確実的に外部に押し出すことができる。そして、このような仮付シール装置の一対の挟持体35a,35bを有するガス充填包装機によって仮付け工程を行うものも本発明の範疇に包含される。なお、切断手段35cにより包装袋aの袋口付近に形成された2つの穿孔部は、第9工程においてトップシール装置6により密封される。
【0044】
さらに、本発明のガス充填包装機1における各包装工程について説明する。
ガス充填包装機1における各包装工程は、包装袋aを包装機内に供給する給袋工程(第1工程)、賞味期限等を印字する印字工程(第2工程)、包装袋aの袋口を開口すると共に印字検査を行う袋口開口・印字確認工程(第3工程)、被包装物充填・押込み工程(第4工程)、第2押し込み・吹き飛ばし・系外排出工程(第5工程)、液化ガス滴下工程(第6工程)、仮付シール・加温・もみほぐし工程(第7工程)、加温・もみほぐし工程(第8工程)、トップシール・袋整形工程(第9工程)、シールチェック工程(第9工程)〜(第10工程)およびシール冷却・製品排出工程(第10工程)の全10工程である。以下、各工程について説明する。
【0045】
給袋工程(第1工程)は、
図1に示した第1ステーションにおいて、
図1ないし
図3に示すように、給袋コンベア14によって順次搬送される包装袋aを、給袋装置15によって一枚ずつ間欠移動してくるグリップ対2に把持させることにより行われる。
【0046】
印字工程(第2工程)は、第2ステーションにおいて、グリップ対2に垂直姿勢で支持された包装袋aの裏面側に、
図3に示すように、印字装置16にて賞味期限等を印字することにより行われる。
【0047】
袋口開口・印字確認工程(第3工程)は、第3ステーションにおいて、
図3に示すように、グリップ対2に垂直姿勢で支持された包装袋aの表裏面をそれぞれ吸盤17にて吸着して袋口を開口させると共に、カメラ18によって印字部分を撮影して印字の良否を検査することにより行われる。
【0048】
被包装物充填・押込み工程(第4工程)は、第4ステーションにおいて、
図1ないし
図3に示すように、充填機11により被包装物を充填した後、第1押し込み棒19にて被包装物を包装袋a内に押し込むことにより行われる。
【0049】
第2押し込み・吹き飛ばし・系外排出工程(第5工程)は、第5ステーションにおいて、
図3に示すように、被包装物を第2押し込み棒20にて包装袋aの奥まで押し込み、袋口の周辺に付着した被包装物を吹き飛ばし装置(図示しない)により吹き飛ばし、さらに、第3工程の印字検査で不良と判定された包装袋aを系外に排出することにより行われる。
【0050】
液化ガス滴下工程(第6工程)、仮付シール・加温・もみほぐし工程(第7工程)、加温・もみほぐし工程(第8工程)およびトップシール・袋整形工程(第9工程)は、
図1に示した第6ステーションないし第9ステーションにおいてそれぞれ行われるが、前述したガス充填包装機1におけるガス充填方法で説明した通りであり説明を省略する。
【0051】
トップシールの良否をチェックするシールチェック工程(第9工程)は、
図3示したセンサ21によりトップシールの良否をチェックすることにより行われる。
【0052】
シール冷却・製品排出工程(第10工程)は、
図3に示すように、トップシール部分が冷却装置22の一対の冷却バー22a,22bが包装袋aの表裏から押し当てられて冷却されると共に、被包装物が包装された包装袋aが機外に排出されることで行われる。そして、これら一連の包装工程が移動体3の間欠回転によって間欠移動してくるグリップ対2に支持された包装袋aに順次行われることにより被包装物の包装製品が量産される。
【0053】
なお、このガス充填包装機1における包装工程では、包装袋a内に被包装物を充填する工程(第4工程および第5工程)の後、液化ガス滴下工程(第6工程)が行われるが、
図7に示したように、液化ガス滴下工程(A)の後に、包装袋内に被包装物を充填する工程(B,C)を行ってもよい。