【実施例】
【0016】
本発明の効果に関して以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
以下の方法により本件発明の一般式(1)に関わる物質を製造した。
【0017】
合成例1 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
12−ヒドロキシステアリン酸(0.15mol)とモノエタノールアミン(0.30mol)を混合し、副生する水を留出させながら180〜195℃で2時間反応させた。アミド化が終了したら、減圧下に過剰のモノエタノールアミンを留出した。冷却後、オレイン酸42.4g(0.15mol)を混合し、減圧度を100Torrとして加熱昇温し水を留去しながら185〜195℃で2時間反応させた。反応終了後、冷却し褐色ロウ状生成物94.0gを得た。IRスペクトル:3309cm-1(N-H, O-H)、3004cm-1(C=C)、1736cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度1.15
【0018】
合成例2 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
オレイン酸の量を31.1(0.11mol)として実施例1と同様に反応させ、灰褐色ロウ状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度1.19
【0019】
合成例3 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドイソステアリン酸エステルの合成
合成例1のオレイン酸の部分をイソステアリン酸として同様に反応させ、茶褐色ロウ状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0020】
合成例4 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドイソステアリン酸エステルの合成
合成例2のオレイン酸の部分をイソステアリン酸として同様に反応させ、灰褐色ロウ状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0021】
合成例5 ステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
合成例1の12-ヒドロキシステアリン酸部をステアリン酸として同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0022】
合成例6 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドステアリン酸エステルの合成
合成例1のオレイン酸の部分をステアリン酸として同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0023】
合成例7 ステアリン酸モノエタノールアミドステアリン酸エステルの合成
合成例1の12-ヒドロキシステアリン酸部をステアリン酸とし、さらにオレイン酸の部分をステアリン酸として同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0024】
合成例8 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド12−ヒドロキシステアリン酸エステルの合成
合成例1のオレイン酸の部分を12-ヒドロキシステアリン酸として同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0025】
合成例9 12−ヒドロキシステアリン酸N-メチルエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
合成例1のモノエタノールアミンの部分をN-メチルエタノールアミンとして同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0026】
合成例10 12−ヒドロキシステアリン酸ジエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
合成例1のモノエタノールアミンの部分をジエタノールアミンとして同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0027】
合成例11 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
オレイン酸の量を0.075molとして実施例1と同様に反応させ、茶褐色結晶状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度0.78
【0028】
合成例12 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
オレイン酸の量を0.30molとして実施例1と同様に反応させ、茶褐色液状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度1.33
【0029】
合成例13 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドイソステアリン酸エステルの合成
イソステアリン酸の量を0.075molとして実施例1と同様に反応させ、茶褐色結晶状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度0.79
【0030】
合成例14 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
イソステアリン酸の量を0.30molとして実施例1と同様に反応させ、茶褐色液状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度1.40
上述した化合物1〜14を各種油剤に添加して、その性能を評価し、表1、表2および表3にまとめた。なお、測定項目の測定条件は以下の方法に従った。
【0031】
融点測定
ヤマト科学(株)製融点測定器MP−21を使用して融点を測定した。
【0032】
溶解温度の確認
各種サンプルを油剤に添加後、オイルバスで加熱していき、完全に溶解する際の温度を読み取った。
【0033】
ゲル形成の確認
各種サンプルを油剤に溶解後、一晩静置し、ゲル化しているか否かを確認した。
評価は以下の2段階とした。
○ 容器を傾けた時、流動性を帯びないもの
△ 容器を傾けた時、トロミ程度の流動性があるもの
× 容器を傾けた時に流動性があるもの、または結晶析出のあるもの
【0034】
ゲル強度測定
測定装置:レオメーターCR−500DX−L((株)サン科学社製)
測定温度:25℃
【0035】
表1は油剤に流動パラフィンを用いた時の結果である。
実施例群と比較例群を比較すると、実施例群の化合物1〜4は融点が65〜75℃にあり、且つ、油剤への溶解温度が58〜66℃と比較的低い温度であるため油剤への溶解性が高いということが確認できる。溶解性が高いものの冷却によってゲル化が起こる。また、添加量が3.0重量%であってもゲル化可能であることが確認できる。比較例1〜6では、融点や溶解温度が比較的低いもののゲル化能力が全くないことが認められる。
【表1】
(注1) ジブチルラウロイルグルタミド:GP−1(味の素(株))
(注2) パルミチン酸デキストリン:レオパールKL2(千葉製粉(株))
【0036】
表2は、合成例1並びに合成例3の化合物を用い、様々な油剤に対するゲル化能を確認した時の結果である。炭化水素油、極性油、シリコーン油など油剤の種類を問わずゲル化できることが確認できる。また、本特許ゲル化剤の配合濃度が低い比較例9,10からもわかる通り、濃度が低すぎると可溶化のみが起こりゲル化が発現しない。
【表2】
【0037】
表3は、12-ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドに対する脂肪酸エステル置換度とゲル化能の比較を行った結果である。エステル置換度1である製造例1、3の化合物を用いた実施例3・9、エステル置換度0.75である製造例2〜4の化合物を用いた実施例6〜12と、エステル置換度0.5である製造例11・13の化合物を用いた比較例11・13、エステル置換度2.0である製造例12・14の化合物を用いた比較例12・14をそれぞれ比較すると、実施例の範囲を外れるとゲル化能が低下することが明白である。
【表3】
【0038】
実施例21 スティック状リップスティック
試料名 重量%
合成例1の化合物 10.0
オクチルドデカノール 20.0
リンゴ酸ジイソステアリル 17.0
シクロペンタシロキサン 3.0
水添ポリイソブテン 49.95
防腐剤 0.05
【0039】
実施例22 ヘアコンディショナー
試料名 重量%
合成例3の化合物 0.5
ステアリルトリモニウムクロリド 2.0
グリセリン 5.0
ステアリルアルコール 5.0
ジメチコン 2.0
アモジメチコン 1.0
ミリスチン酸イソプロピル 1.0
乳酸 pH3.5に調整
水 100%になる量