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特開2016-124786油ゲル化剤、該油ゲル化剤を含有する油ゲル組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-124786(P2016-124786A)
(43)【公開日】2016年7月11日
(54)【発明の名称】油ゲル化剤、該油ゲル化剤を含有する油ゲル組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20160613BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20160613BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20160613BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20160613BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20160613BHJP
【FI】
   A61K8/42
   A61K8/31
   A61Q1/04
   A61Q5/12
   A61K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-263734(P2014-263734)
(22)【出願日】2014年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】390003001
【氏名又は名称】川研ファインケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大志田 翔
(72)【発明者】
【氏名】久保 正昭
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC692
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083BB48
4C083CC13
4C083CC33
4C083DD41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オイルゲル製造工程で過剰な高温にさらす必要が無く、且つ、油剤に少量配合することで安定性の高いゲルを形成することができる油ゲル化剤、更に該油ゲル化剤と油剤を含有する油ゲル組成物の提供。
【解決手段】式(1)で示されるアルカノールアミド誘導体よりなる油ゲル化剤、及び該油ゲル化剤と油剤を含有する油ゲル組成物。

〔RCOはヒドロキシル基を含有するC16〜22のアシル基;RCOはRCOとは異なる組成;不飽和を含有してもよいC14〜22の直鎖/分岐のアルキレン基又はポリオキシアルキレン基;XはH若しくはC1〜3のアルキル基又はヒドロキシエチル基ヒドロキシプロピル基;nは整数1〜3〕
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
〔但し式中RCOはヒドロキシル基を含有する炭素数16〜22のアシル基を示し、RCOはRCOとは異なる組成であり、不飽和を含有してもよい炭素数の14〜22の直鎖乃至は分岐のアルキレン基、またはポリオキシアルキレン基を示す。Xは水素原子若しくは炭素数1〜3のアルキル基、またはヒドロキシエチル基ヒドロキシプロピル基を示し、nは整数1〜3を示す。〕
で示されるアルカノールアミド誘導体よりなる油ゲル化剤、および該油ゲル化剤と油剤を含有する油ゲル組成物に関するものである。
【請求項2】
請求項1に記載の油ゲル化剤と、油剤とを含有することを特徴とする油ゲル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシステアリン酸誘導体からなる油ゲル化剤、該油ゲル化剤を含有する油ゲル組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品の性能として、メイクアップ効果のみならず、使用感に対する重要性も高まっている。常温で液体や固体である油性の化粧料基剤を化粧料に添加する際に、使用性を向上させるために、油剤に油ゲル化剤を添加し、ゲル化した油ゲル組成物を調整してから添加する場合がある。
【0003】
油ゲル化剤であるジブチルエチルヘキサノイルグルタミドおよびジブチルラウロイルグルタミドが、安定なフォーム等を目的とした化粧料に用いられることも報告されている(特許文献1〜4)
さらに、特許文献5には、比較的低い温度条件で油ゲル化剤を油性基剤中に均一に混合するために、特定のアミノ酸誘導体系油ゲル化剤を配合したゲル状組成物が示されている。また、特許文献6には、低極性の油剤に少量配合することで透明性の高いゲルを形成することができる油ゲル化剤として1,2−ビス(アシルアミノ)シクロヘキサン誘導体が報告されている。特許文献7には、12−ヒドロキシステアリン酸のアルキルアミドをゲル化剤とした例も報告されている。特許文献8においては、ヒドロキシステアリン酸のアルカノールアミドをゲル化剤として用いた例を報告している。これらのゲル化剤の欠点としては、ゲル化剤を油に溶解させる温度が100℃以上と高く、配合時のハンドリング性に欠ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−31170号
【特許文献2】特開2005−533105号
【特許文献3】特開2004−536083号
【特許文献4】特開2008−19200号
【特許文献5】特開2005−298635号
【特許文献6】WO2010/100939
【特許文献7】WO1995/30405
【特許文献8】特願2013−202868
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、融点が100℃以下であり、製造工程で過剰な高温にさらす必要が無く、且つ、油剤に少量配合することで安定性の高いゲルを形成することができる油ゲル化剤、更に該油ゲル化剤と油剤を含有する油ゲル組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を続けてきた結果、油剤に特定のアルカノールアミド誘導体を添加することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
一般式(1)
【化1】
〔但し式中RCOはヒドロキシル基を含有する炭素数16〜22のアシル基を示し、RCOはRCOとは異なる組成であり、不飽和を含有してもよい炭素数の14〜22の直鎖乃至は分岐のアルキレン基、またはポリオキシアルキレン基を示す。Xは水素原子若しくは炭素数1〜3のアルキル基、またはヒドロキシエチル基ヒドロキシプロピル基を示し、nは整数1〜3を示す。〕
で示されるアルカノールアミド誘導体よりなる油ゲル化剤、および該油ゲル化剤と油剤を含有する油ゲル組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油ゲル化剤は、融点が50〜100℃であり、ベースとなる油剤に容易に溶解させることができ、少量の添加で油剤をゲル化することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明において油ゲル化剤として機能する一般式(1)で示されるアルカノールアミドエステルにおいて、RCOはヒドロキシル基を含有するアシル基を示すが、ヒドロキシル基を含有しない場合、結晶性が高くなりすぎるため、油中で結晶が析出し安定性の阻害があるので好ましくない。Rは不飽和を含有してもよい炭素数の直鎖乃至は分岐の14〜22のアルキル基であるが、不飽和や分岐を含まない場合、結晶性が高すぎて油との相溶性に乏しく、乃至は結晶析出による安定性の阻害がある点で好ましくない。
【0009】
本発明の一般式(1)で表されるアルカノールアミドエステル誘導体は、アルカノールアミンに、特定の脂肪酸又はその脂肪酸アルキルエステル、あるいは硬化ひまし油などのヒドロキシル基を含有する油脂を反応させることにより容易に得ることができる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0010】
COの示す脂肪酸としては、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸などが挙げられる。RCOの示す脂肪酸としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
本発明のアルカノールアミドエステル誘導体の好適例としては、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸モノイソプロパノールアミドオレイン酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドイソステアリン酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸モノイソプロパノールアミドイソステアリン酸エステルなどが挙げられる。
【0011】
本発明における油ゲル化剤は配合する油剤に対し、0.1〜20重量%含有させることが好ましく、0.2〜15重量%がより好ましい。
本発明の油ゲル化剤の配合量が0.1重量%を下回る場合は、油剤に種類によってゲル化能が不十分であるため好ましくなく、20重量%を超えて配合された場合は白濁してしまうため好ましくない。
【0012】
本発明において好ましく用いられる油剤は、特に限定されず、以下のものが例示される。これらの油剤を1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
動植物油脂、水添動植物油脂としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、エノ油、菜種油、オリーブ油、カカオ脂、カヤ油、キョウニン油、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、ヒマワリ油、ヤシ油、大豆油、パーム油、パーム核油、ツバキ油、ホホバ油、硬化ひまし油、ひまし油、ラノリンなどが挙げられる。
【0013】
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリイソブチレン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ワセリンなどが挙げられる。
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリルなどが挙げられる。
【0014】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、フッ素変性ポリシロキサンなどが挙げられる。
【0015】
更に本発明の効果を妨害しない範囲で、化粧品に用いられる成分、例えば、直鎖乃至は分岐の低級アルコール、または高級アルコール、コレステロールやフィトステロールなどのステロール類、保湿剤、水溶性高分子、皮膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、4級アンモニウム塩や脂肪酸アミドアミンのようなコンディショニング基剤、pH 調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、抗菌剤、香料などを必要に応じて一種あるいは2種以上用いても良い。
本発明の油性ゲル組成物の用途としては、化粧料、皮膚外用剤、塗料、インク、潤滑油等を挙げることができるが、化粧料が好ましく、本発明の油ゲル組成物を配合する化粧料としては、リップスティック、リップクリーム等の口唇化粧料、油性ファンデーション、マスカラ等のメイクアップ化粧料、リンス、コンディショナー等のヘアケア製品、クリーム、美容液、美容オイル、パック等のスキンケア化粧料、制汗剤などを好適に示すことができる。

【実施例】
【0016】
本発明の効果に関して以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
以下の方法により本件発明の一般式(1)に関わる物質を製造した。
【0017】
合成例1 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
12−ヒドロキシステアリン酸(0.15mol)とモノエタノールアミン(0.30mol)を混合し、副生する水を留出させながら180〜195℃で2時間反応させた。アミド化が終了したら、減圧下に過剰のモノエタノールアミンを留出した。冷却後、オレイン酸42.4g(0.15mol)を混合し、減圧度を100Torrとして加熱昇温し水を留去しながら185〜195℃で2時間反応させた。反応終了後、冷却し褐色ロウ状生成物94.0gを得た。IRスペクトル:3309cm-1(N-H, O-H)、3004cm-1(C=C)、1736cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度1.15
【0018】
合成例2 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
オレイン酸の量を31.1(0.11mol)として実施例1と同様に反応させ、灰褐色ロウ状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度1.19
【0019】
合成例3 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドイソステアリン酸エステルの合成
合成例1のオレイン酸の部分をイソステアリン酸として同様に反応させ、茶褐色ロウ状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0020】
合成例4 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドイソステアリン酸エステルの合成
合成例2のオレイン酸の部分をイソステアリン酸として同様に反応させ、灰褐色ロウ状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0021】
合成例5 ステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
合成例1の12-ヒドロキシステアリン酸部をステアリン酸として同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0022】
合成例6 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドステアリン酸エステルの合成
合成例1のオレイン酸の部分をステアリン酸として同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0023】
合成例7 ステアリン酸モノエタノールアミドステアリン酸エステルの合成
合成例1の12-ヒドロキシステアリン酸部をステアリン酸とし、さらにオレイン酸の部分をステアリン酸として同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0024】
合成例8 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド12−ヒドロキシステアリン酸エステルの合成
合成例1のオレイン酸の部分を12-ヒドロキシステアリン酸として同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0025】
合成例9 12−ヒドロキシステアリン酸N-メチルエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
合成例1のモノエタノールアミンの部分をN-メチルエタノールアミンとして同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0026】
合成例10 12−ヒドロキシステアリン酸ジエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
合成例1のモノエタノールアミンの部分をジエタノールアミンとして同様に反応させ、白色結晶状生成物を得、IRでの反応が完結していることを確認した。
【0027】
合成例11 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
オレイン酸の量を0.075molとして実施例1と同様に反応させ、茶褐色結晶状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度0.78
【0028】
合成例12 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
オレイン酸の量を0.30molとして実施例1と同様に反応させ、茶褐色液状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度1.33
【0029】
合成例13 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドイソステアリン酸エステルの合成
イソステアリン酸の量を0.075molとして実施例1と同様に反応させ、茶褐色結晶状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度0.79
【0030】
合成例14 12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドオレイン酸エステルの合成
イソステアリン酸の量を0.30molとして実施例1と同様に反応させ、茶褐色液状生成物を得た。IRスペクトル:3308cm-1(N-H, O-H)、3220cm-1(C=C)、1737cm-1(エステルC=O)、1645、1552cm-1(アミド結合);アミド/エステルカルボニル吸光度1.40

上述した化合物1〜14を各種油剤に添加して、その性能を評価し、表1、表2および表3にまとめた。なお、測定項目の測定条件は以下の方法に従った。

【0031】
融点測定
ヤマト科学(株)製融点測定器MP−21を使用して融点を測定した。
【0032】
溶解温度の確認
各種サンプルを油剤に添加後、オイルバスで加熱していき、完全に溶解する際の温度を読み取った。
【0033】
ゲル形成の確認
各種サンプルを油剤に溶解後、一晩静置し、ゲル化しているか否かを確認した。
評価は以下の2段階とした。
○ 容器を傾けた時、流動性を帯びないもの
△ 容器を傾けた時、トロミ程度の流動性があるもの
× 容器を傾けた時に流動性があるもの、または結晶析出のあるもの
【0034】
ゲル強度測定
測定装置:レオメーターCR−500DX−L((株)サン科学社製)
測定温度:25℃
【0035】
表1は油剤に流動パラフィンを用いた時の結果である。
実施例群と比較例群を比較すると、実施例群の化合物1〜4は融点が65〜75℃にあり、且つ、油剤への溶解温度が58〜66℃と比較的低い温度であるため油剤への溶解性が高いということが確認できる。溶解性が高いものの冷却によってゲル化が起こる。また、添加量が3.0重量%であってもゲル化可能であることが確認できる。比較例1〜6では、融点や溶解温度が比較的低いもののゲル化能力が全くないことが認められる。
【表1】
(注1) ジブチルラウロイルグルタミド:GP−1(味の素(株))
(注2) パルミチン酸デキストリン:レオパールKL2(千葉製粉(株))
【0036】
表2は、合成例1並びに合成例3の化合物を用い、様々な油剤に対するゲル化能を確認した時の結果である。炭化水素油、極性油、シリコーン油など油剤の種類を問わずゲル化できることが確認できる。また、本特許ゲル化剤の配合濃度が低い比較例9,10からもわかる通り、濃度が低すぎると可溶化のみが起こりゲル化が発現しない。
【表2】
【0037】
表3は、12-ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドに対する脂肪酸エステル置換度とゲル化能の比較を行った結果である。エステル置換度1である製造例1、3の化合物を用いた実施例3・9、エステル置換度0.75である製造例2〜4の化合物を用いた実施例6〜12と、エステル置換度0.5である製造例11・13の化合物を用いた比較例11・13、エステル置換度2.0である製造例12・14の化合物を用いた比較例12・14をそれぞれ比較すると、実施例の範囲を外れるとゲル化能が低下することが明白である。
【表3】
【0038】
実施例21 スティック状リップスティック
試料名 重量%
合成例1の化合物 10.0
オクチルドデカノール 20.0
リンゴ酸ジイソステアリル 17.0
シクロペンタシロキサン 3.0
水添ポリイソブテン 49.95
防腐剤 0.05
【0039】
実施例22 ヘアコンディショナー
試料名 重量%
合成例3の化合物 0.5
ステアリルトリモニウムクロリド 2.0
グリセリン 5.0
ステアリルアルコール 5.0
ジメチコン 2.0
アモジメチコン 1.0
ミリスチン酸イソプロピル 1.0
乳酸 pH3.5に調整
水 100%になる量


【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の油ゲル化剤は、製造工程で過剰な高温にさらす必要が無く、且つ、油剤に少量配合することで安定性の高いゲルを形成することができる点に優れている。