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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-125320(P2016-125320A)
(43)【公開日】2016年7月11日
(54)【発明の名称】シールド掘進機
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/093 20060101AFI20160613BHJP
【FI】
   E21D9/093 G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-2193(P2015-2193)
(22)【出願日】2015年1月8日
(71)【出願人】
【識別番号】391004791
【氏名又は名称】カジマメカトロエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】天野 潤
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC01
2D054GA08
2D054GA23
2D054GA24
2D054GA56
2D054GA63
2D054GA65
(57)【要約】
【課題】特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止可能なシールド掘進機を提供する。
【解決手段】同調用油圧測定手段68A〜68Fは、ジャッキ選択操作手段52および同調選択操作手段53により同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、掘進選択ジャッキ(例えば、第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30L)と近接した同調選択ジャッキ(例えば、第2シールドジャッキ30Bおよび第5シールドジャッキ30E)に供給される同調用作動油の油圧力を、他の同調選択ジャッキ(例えば、第3〜第4シールドジャッキ30C〜30D)に供給される同調用作動油の油圧力よりも高い油圧力に設定可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に筒状に延びるシールドフレームと、前記シールドフレームの前端部に設けられて掘削を行うカッターヘッドと、前記シールドフレームの内周部に内周方向に沿って複数設けられ、後方へ伸縮可能な油圧式のシールドジャッキとを備えたシールド掘進機であって、
前記複数の前記シールドジャッキの中から、前記シールドフレームの後方に配設されたセグメントを押圧するように伸長作動して前記シールド掘進機を掘進させる掘進選択ジャッキおよび、前記掘進選択ジャッキよりも低い押圧力で前記セグメントに当接するように伸長作動する同調選択ジャッキを選択する操作が行われるジャッキ選択操作手段と、
前記シールドジャッキに前記掘進選択ジャッキとして作動させるための掘進用作動油を供給可能な掘進用作動油供給部および、前記シールドジャッキに前記同調選択ジャッキとして作動させるための同調用作動油を供給可能な同調用作動油供給部を有し、前記掘進用作動油供給部および前記同調用作動油供給部のうちいずれか一方に切り換えて前記シールドジャッキに前記掘進用作動油もしくは前記同調用作動油を供給可能な作動油供給手段と、
前記ジャッキ選択操作手段の操作に応じて、前記複数の前記シールドジャッキのうち前記掘進選択ジャッキに選択された前記シールドジャッキに対し前記掘進用作動油供給部に切り換えて前記掘進用作動油を供給し、前記同調選択ジャッキに選択された前記シールドジャッキに対し前記同調用作動油供給部に切り換えて前記同調用作動油を供給するように、前記作動油供給手段の作動を制御する切換制御手段と、
前記同調用作動油供給部から前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力を、前記掘進用作動油供給部から前記掘進選択ジャッキに供給される前記掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する油圧設定手段とを備え、
前記油圧設定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記複数の前記同調選択ジャッキの間で異なる前記同調用作動油の油圧力を設定可能であることを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記油圧設定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記掘進選択ジャッキと近接した前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力を、他の前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力よりも高い油圧力に設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項3】
前記掘進選択ジャッキに供給するための作動油の油圧力を測定するジャッキ油圧測定手段と、
前記同調選択ジャッキに供給するための前記同調用作動油の油圧力を測定する同調用油圧測定手段と、
前記ジャッキ油圧測定手段により測定された前記作動油の油圧力と、前記同調用油圧測定手段により測定された前記同調用作動油の油圧力とに基づいて、前記シールド掘進機の総推力および推力中心位置を推定する掘進方向推定部とを備え、
前記同調用油圧測定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記複数の前記同調選択ジャッキの間で異なる前記同調用作動油の油圧力をそれぞれ検出可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のシールド掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山を掘り進むことが可能なシールド掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシールド掘進機は、例えば図6図8に示すように、筒状に延びるシールドフレーム510の前端部に設けられたカッターヘッド520によって地山を掘削するように構成される。掘削の際、シールドフレーム510の内周部に複数設けられたシールドジャッキ530A〜530Lが伸長作動してシールドフレーム510の後方に配置されたセグメントSRを押圧することにより、シールド掘進機501が地山を掘削しながら前方へ進むことができる。
【0003】
従来のシールドジャッキの作動制御において、オペレータは、複数のシールドジャッキの中からシールド掘進機を掘進させるシールドジャッキを選択して、任意の作動速度を設定し、選択したシールドジャッキが設定した作動速度で伸長作動するように制御される。なお、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキとして選択されないシールドジャッキは、伸長作動せずに縮小状態のままか、選択したシールドジャッキに同調して伸長作動するように制御される。このように、オペレータは、複数のシールドジャッキの中からシールド掘進機を掘進させるシールドジャッキを全数もしくは任意の数だけ選択し、かつ、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキとして選択されないシールドジャッキについて同調動作を行うか否かを選択する。
【0004】
例えば、図6に示すように、複数のシールドジャッキ530A〜530Lの中からシールド掘進機を掘進させるシールドジャッキを全数選択した場合、全てのシールドジャッキ530A〜530Lが伸長作動してセグメントSRを押圧する。また、図7に示すように、複数のシールドジャッキ530A〜530Lの中からシールド掘進機を掘進させるシールドジャッキを4本選択し、かつ、同調動作を行わないように選択した場合、例えば、上側2本のシールドジャッキ530A,530Lおよび下側2本のシールドジャッキ530F,530Gが伸長作動してセグメントSRを押圧し、右側4本のシールドジャッキ530B〜530Eおよび左側4本のシールドジャッキ530H〜530Kが伸長作動せずに縮小状態となる。また、図8に示すように、複数のシールドジャッキ530A〜530Lの中からシールド掘進機を掘進させるシールドジャッキを4本選択し、かつ、同調動作を行うように選択した場合、例えば、上側2本のシールドジャッキ530A,530Lおよび下側2本のシールドジャッキ530F,530Gが伸長作動してセグメントSRを押圧し、右側4本のシールドジャッキ530B〜530Eおよび左側4本のシールドジャッキ530H〜530Kも同調して伸長作動する。
【0005】
オペレータが、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキを任意の数だけ選択し、かつ、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキとして選択されないシールドジャッキについて同調動作を行うように選択すると、同調動作を行うように選択されたシールドジャッキは、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキよりも低い油圧力で伸長作動するように制御される。同調動作の動作モードには、全同調動作モードと、計測器同調動作モードがあり、いずれか一方を任意に選択することが可能である。全同調動作モードにおいては、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキとして選択されない全てシールドジャッキについて同調動作を行う。計測器同調動作モードにおいては、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキとして選択されないシールドジャッキのうち、ストロークセンサ等により伸長量の計測が行われるシールドジャッキについてのみ同調動作を行う。
【0006】
このようなシールドジャッキの作動制御において、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキに供給される作動油の油圧力は、シールド掘進機の掘進が可能なように、(相対的に)高い油圧力に設定される。一方、同調動作を行うように選択されたシールドジャッキに供給される作動油の油圧力は、シールド掘進機の方向修正が可能なように、(相対的に)低い油圧力(固定圧力)に設定される。そのため、任意の数だけ選択されたシールドジャッキによって押圧される一部のセグメントの範囲に荷重(反力)が集中し、セグメント同士の継目が開く等の不具合の要因になることがある。なお、一部のセグメントへの集中荷重を緩和するため、シールドジャッキによって押圧されるセグメントの範囲が広くなるように、シールド掘進機を掘進させるシールドジャッキを多数選択すると、同調動作を行うように選択されるシールドジャッキの数が少なくなる。そのため、シールド掘進機の方向修正が難しくなり、シールド掘進機の方向修正時の操作が煩雑となる。
【0007】
また、従来のシールドジャッキの制御方式として、シールドフレーム内に複数設けられたシールドジャッキの個々の作動圧力と伸長量を検出し、シールド掘進機の掘進方向が指令値に従うようにシールドジャッキへの供給圧力を制御する個別制御方式が考案されている。この個別制御方式には、シールド掘進機の掘進方向を指定し、シールド掘進機の作動状態をフィードバックするフィードバック制御が用いられている。例えば、シールドジャッキの本数に応じた圧力センサと、シールドジャッキの本数に応じた圧力調整器と、シールドジャッキの本数に応じた速度センサと、シールド掘進機の位置を検出する位置センサと、シールド掘進機の姿勢角を検出する姿勢角センサと、各センサから出力される情報に基づいて制御を行う制御装置とを有して、シールド掘進機の掘進方向の制御演算を行うシステムが構築される(例えば、特許文献1を参照)。このような個別制御方式においては、高精度な制御が可能な反面、システムが煩雑かつ高価となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−8882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来のシールド掘進機においては、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止する必要があった。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止可能なシールド掘進機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的達成のため、本発明に係るシールド掘進機は、前後方向に筒状に延びるシールドフレームと、前記シールドフレームの前端部に設けられて掘削を行うカッターヘッドと、前記シールドフレームの内周部に内周方向に沿って複数設けられ、後方へ伸縮可能な油圧式のシールドジャッキとを備えたシールド掘進機であって、前記複数の前記シールドジャッキの中から、前記シールドフレームの後方に配設されたセグメントを押圧するように伸長作動して前記シールド掘進機を掘進させる掘進選択ジャッキおよび、前記掘進選択ジャッキよりも低い押圧力で前記セグメントに当接するように伸長作動する同調選択ジャッキを選択する操作が行われるジャッキ選択操作手段と、前記シールドジャッキに前記掘進選択ジャッキとして作動させるための掘進用作動油を供給可能な掘進用作動油供給部および、前記シールドジャッキに前記同調選択ジャッキとして作動させるための同調用作動油を供給可能な同調用作動油供給部を有し、前記掘進用作動油供給部および前記同調用作動油供給部のうちいずれか一方に切り換えて前記シールドジャッキに前記掘進用作動油もしくは前記同調用作動油を供給可能な作動油供給手段と、前記ジャッキ選択操作手段
の操作に応じて、前記複数の前記シールドジャッキのうち前記掘進選択ジャッキに選択された前記シールドジャッキに対し前記掘進用作動油供給部に切り換えて前記掘進用作動油を供給し、前記同調選択ジャッキに選択された前記シールドジャッキに対し前記同調用作動油供給部に切り換えて前記同調用作動油を供給するように、前記作動油供給手段の作動を制御する切換制御手段と、前記同調用作動油供給部から前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力を、前記掘進用作動油供給部から前記掘進選択ジャッキに供給される前記掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する油圧設定手段とを備え、前記油圧設定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記複数の前記同調選択ジャッキの間で異なる前記同調用作動油の油圧力を設定可能となっている。
【0012】
上述のシールド掘進機において、前記油圧設定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記掘進選択ジャッキと近接した前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力を、他の前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力よりも高い油圧力に設定可能であることが好ましい。
【0013】
上述のシールド掘進機において、前記掘進選択ジャッキに供給するための作動油の油圧力を測定するジャッキ油圧測定手段と、前記同調選択ジャッキに供給するための前記同調用作動油の油圧力を測定する同調用油圧測定手段と、前記ジャッキ油圧測定手段により測定された前記作動油の油圧力と、前記同調用油圧測定手段により測定された前記同調用作動油の油圧力とに基づいて、前記シールド掘進機の総推力および推力中心位置を推定する掘進方向推定部とを備え、前記同調用油圧測定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記複数の前記同調選択ジャッキの間で異なる前記同調用作動油の油圧力をそれぞれ検出可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、油圧設定手段は、ジャッキ選択操作手段により同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、複数の同調選択ジャッキの間で異なる同調用作動油の油圧力を設定可能であるため、特定のセグメントへの集中荷重を緩和するように、複数の同調選択ジャッキに供給される同調用作動油の油圧力を複数設定することができる。このように、同調選択ジャッキの作動油圧を調整するだけで、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することができ、簡便な構成で、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することが可能になる。
【0015】
また、油圧設定手段は、ジャッキ選択操作手段により同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、掘進選択ジャッキと近接した同調選択ジャッキに供給される同調用作動油の油圧力を、他の同調選択ジャッキに供給される同調用作動油の油圧力よりも高い油圧力に設定可能であることで、掘進選択ジャッキと同調選択ジャッキとの間におけるセグメントに対する押圧力の変動を緩和することができる。このように、同調選択ジャッキの作動油圧を調整するだけで、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することができ、簡便な構成で、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することが可能になる。
【0016】
また、ジャッキ油圧測定手段により測定された作動油の油圧力と、同調用油圧測定手段により測定された同調用作動油の油圧力とに基づいて、シールド掘進機の総推力および推力中心位置を推定する掘進方向推定部を備えることで、簡便な構成で、シールド掘進機の掘進方向を求めることができる。そのため、掘進方向推定部で求めたシールド掘進機の総推力および推力中心位置に基づいて、簡便な構成で、シールド掘進機の掘進方向を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】作動油供給手段の制御システムを示す制御ブロック図である。
図2】(a)は全同調動作モードのシールド掘進機を模式的に示す正断面図であり、(b)はシールド掘進機の側断面図である。
図3】作動油供給手段の制御フローを示すフローチャートである。
図4】(a)は計測器同調動作モードのシールド掘進機を模式的に示す正断面図であり、(b)はシールド掘進機の側断面図である。
図5】(a)は同調動作を行わないシールド掘進機を模式的に示す正断面図であり、(b)はシールド掘進機の側断面図である。
図6】(a)は従来のシールド掘進機を示す正断面図であり、(b)は従来のシールド掘進機において全てのシールドジャッキが伸長作動した状態を示す側断面図である。
図7】(a)は従来のシールド掘進機を示す正断面図であり、(b)は従来のシールド掘進機において一部のシールドジャッキが伸長作動した状態を示す側断面図である。
図8】(a)は従来のシールド掘進機を示す正断面図であり、(b)は従来のシールド掘進機において一部のシールドジャッキが伸長作動するとともに他のシールドジャッキも同調して伸長作動した状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図2を参照しながら、シールド掘進機1の概要について説明する。本実施形態のシールド掘進機1は、図2(a)に示すように、シールドフレーム10と、カッターヘッド20と、シールドジャッキ30A〜30L(図2(a)も参照)とを主体に構成される。シールドフレーム10は前後方向に延びる筒状に形成され、シールドフレーム10の前端部にカッターヘッド20が回転可能に配設される。シールドフレーム10の前部内側におけるカッターヘッド20の後方に、シールドフレーム10の内部空間を前後に仕切る隔壁11が設けられる。シールドフレーム10の内側におけるカッターヘッド20と隔壁11との間に、カッターヘッド20によって掘削された土砂が取り込まれるチャンバー室12が形成される。
【0019】
隔壁11の中央部に、カッターヘッド20を回転可能に支持する回転支持部21が設けられる。カッターヘッド20は、回転支持部21に設けられた油圧式の駆動モータ22により回転駆動されて地山を掘削し、掘削した土砂をチャンバー室12内に取り込むようになっている。シールドフレーム10の内側に、チャンバー室12内に取り込まれた土砂を隔壁11の下部から後方に搬送するスクリューコンベヤ13が設けられる。
【0020】
シールドジャッキ30A〜30Lは、油圧シリンダを用いて構成され、図2(a)に示すように、シールドフレーム10の内周方向に沿って複数(例えば、12本)並んで配設される。シールドジャッキ30A〜30Lは、シールドフレーム10の内周部に固定されて後方へ伸縮可能に構成される。以降、油圧式のシールドジャッキ30A〜30Lについて、説明の便宜上、シールドフレーム10の上部右側のシールドジャッキから時計回りの順に、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lと称して説明を行う場合がある。また、シールドフレーム10の後部内側に、複数のセグメントSGを組み込んでセグメントリングSRを構築するエレクタ装置(図示せず)が設けられる。
【0021】
このようなシールド掘進機1において、トンネルを掘削形成する際、駆動モータ22によりカッターヘッド20を回転させながら、シールドジャッキ30A〜30Lを後方へ伸長させて既設のセグメントリングSRを構成するいずれかのセグメントSGに当接させる。これにより、回転するカッターヘッド20が前方の地山を掘削しつつ、シールドジャッキ30A〜30LがセグメントSGを押圧する際の反力によってシールドフレーム10が前進する。そして、シールドジャッキ30A〜30Lを縮小させて既設のセグメントリングSRとの間に間隙部を形成し、エレクタ装置(図示せず)により当該間隙部に複数のセ
グメントSGを組み込んで新たなセグメントリングSRを構築する。この作業を繰り返すことによってトンネルが掘削形成される。
【0022】
なお、カッターヘッド20によって掘削された土砂は、チャンバー室12内に取り込まれる。チャンバー室12内に取り込まれた土砂は、スクリューコンベヤ13によって後方に搬送されて外部に排出される。掘削の際、隔壁11に設けられた土圧計(図示せず)を用いてチャンバー室12内の土圧を測定し、チャンバー室12内の土圧が所定範囲内になるように掘削を行う。
【0023】
次に、油圧式のシールドジャッキ30A〜30Lに作動油を供給する作動油供給手段40について、図1を参照しながら説明する。作動油供給手段40は、作動油が貯留された作動油タンク41と、作動油タンク41から延びるタンク通路部44と、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lと、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lとを有し、シールドフレーム10の内側に設けられる。タンク通路部44には、油圧ポンプ42と、伸縮切換手段61とが配設される。油圧ポンプ42は、電動モータ43により駆動され、作動油タンク41に貯留された作動油を第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lに供給する。
【0024】
伸縮切換手段61は、電磁弁である方向切換弁を用いて構成され、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの作動を停止させる停止切換状態と、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lを伸長させる伸長切換状態と、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lを縮小させる縮小切換状態とに、タンク通路部44の油路を切換可能に構成される。伸縮切換手段61が停止切換状態のとき、油圧ポンプ42より作動油タンク41からタンク通路部44に送られた作動油は、作動油タンク41に戻される。伸縮切換手段61が伸長切換状態のとき、油圧ポンプ42より作動油タンク41からタンク通路部44に送られた作動油は、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lを伸長作動させるように第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの油圧シリンダのキャップ側(油圧シリンダのピストンロッドが出ていない側)に供給される。伸縮切換手段61が縮小切換状態のとき、油圧ポンプ42より作動油タンク41からタンク通路部44に送られた作動油は、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lを縮小作動させるように第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの油圧シリンダのヘッド側(油圧シリンダのピストンロッドが出ている側)に供給される。なお、伸縮切換手段61には、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの油圧シリンダのヘッド側から延びる戻り通路部48も接続されるが、説明容易化のため図示を省略している。
【0025】
また、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lのうち、シールドフレーム10の上側に位置する第1シールドジャッキ30Aに、第1シールドジャッキ30の伸長量を計測可能な上側ストロークセンサ31が設けられる。シールドフレーム10の右側に位置する第4シールドジャッキ30Dに、第4シールドジャッキ30Dの伸長量を計測可能な右側ストロークセンサ32が設けられる。シールドフレーム10の下側に位置する第7シールドジャッキ30Gに、第7シールドジャッキ30Gの伸長量を計測可能な下側ストロークセンサ33が設けられる。シールドフレーム10の左側に位置する第10シールドジャッキ30Jに、第10シールドジャッキ30Jの伸長量を計測可能な左側ストロークセンサ34が設けられる。
【0026】
第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lは、タンク通路部44から分岐して延びて第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの油圧シリンダのキャップ側に接続されるようになっている。第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lには、掘進選択切換手段62が配設される。掘進選択切換手段62は、電磁弁である開閉弁を用いて構成され、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lの油路を個別に開閉
可能に構成される。
【0027】
第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lは、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lと異なる油路でタンク通路部44から分岐して延びて、下流側で第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lと合流し、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの油圧シリンダのキャップ側に接続されるようになっている。第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの下流側には、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lからの作動油の逆流を防ぐ第1〜第12逆止弁47A〜47Lが配設される。第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの上流側には、同調選択切換手段63と、同調モード切換手段64とが配設される。
【0028】
同調選択切換手段63は、電磁弁である開閉弁を用いて構成され、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの油路を個別に開閉可能に構成される。同調モード切換手段64は、電磁弁である開閉弁を用いて構成され、第2〜第3同調用作動油供給通路部46B〜46C、第5〜第6同調用作動油供給通路部46E〜46F、第8〜第9同調用作動油供給通路部46H〜46I、および第11〜第12同調用作動油供給通路部46K〜46Lの油路を一括して開閉可能に構成される。すなわち、同調モード切換手段64は、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lのうち、ストロークセンサ31〜34が設けられていないシールドジャッキに対応する同調用作動油供給通路部の油路を開閉可能に構成される。なお、第1同調用作動油供給通路部46A、第4同調用作動油供給通路部46D、第7同調用作動油供給通路部46G、および第10同調用作動油供給通路部46Jの油路は、同調選択切換手段63において常に開通状態となる。すなわち、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lのうち、ストロークセンサ31〜34が設けられたシールドジャッキに対応する同調用作動油供給通路部の油路は、同調選択切換手段63において常に開通状態となる。
【0029】
次に、作動油供給手段40の制御システムについて、図1を参照しながら説明する。作動油供給手段40の制御システムは、シールドフレーム10の内側に設けられた制御装置50を主体に構成される。制御装置50は、所定の制御処理が可能な回路基板等から構成される。制御装置50には、シールドジャッキ作動選択手段51と、ジャッキ選択操作手段52と、同調選択操作手段53と、油圧設定操作手段54と、掘進方向推定部55とが電気的に接続される。また、制御装置50には、伸縮切換手段61と、掘進選択切換手段62と、同調選択切換手段63と、同調モード切換手段64と、ジャッキ油圧設定手段65と、ジャッキ油圧測定手段66と、同調用油圧設定手段67A〜67Fと、同調用油圧測定手段68A〜68Fとが電気的に接続される。
【0030】
シールドジャッキ作動選択手段51において、シールドジャッキ30A〜30Lの作動を停止させる停止操作と、シールドジャッキ30A〜30Lを伸長作動させる伸長操作と、シールドジャッキ30A〜30Lを縮小作動させる縮小操作とが行われるようになっている。シールドジャッキ作動選択手段51は、シールドジャッキ作動選択手段51に対する操作に応じたジャッキ作動操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、シールドジャッキ作動選択手段51から入力されたジャッキ作動操作信号に基づいて、前述の停止切換状態、伸長切換状態、および縮小切換状態のうちいずれか一つに切り換えるように、伸縮切換手段61を電磁駆動する。
【0031】
ジャッキ選択操作手段52において、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの中から、シールドフレーム10の後方に配設されたセグメントSGを押圧するように伸長作動してシールド掘進機1を掘進させる掘進選択ジャッキを選択するジャッキ選択操作が行われるようになっている。ジャッキ選択操作手段52は、ジャッキ選択操作に応じたジャッキ選択操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、ジャッキ選択操作手段
52から入力されたジャッキ選択操作信号に基づいて、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lのうち、掘進選択ジャッキに選択されたシールドジャッキに対応する掘進用作動油供給通路部の油路を開通し、掘進選択ジャッキに選択されないシールドジャッキに対応する掘進用作動油供給通路部の油路を閉鎖するように、掘進選択切換手段62を電磁駆動する。
【0032】
同調選択操作手段53において、掘進選択ジャッキに選択されないシールドジャッキの中から、掘進選択ジャッキよりも低い押圧力でセグメントSGに当接するように伸長作動する同調選択ジャッキを選択する同調選択操作が行われるようになっている。具体的には、同調選択操作手段53において、掘進選択ジャッキに選択されないシールドジャッキの全てを同調選択ジャッキとして選択する全同調選択操作、もしくは、ストロークセンサ31〜34により伸長量の計測が行われるシールドジャッキのうち掘進選択ジャッキに選択されないシールドジャッキに含まれるものだけを同調選択ジャッキとして選択する計測器同調選択操作が行われる。
【0033】
同調選択操作手段53は、同調選択操作に応じた同調選択操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された同調選択操作信号に基づいて、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lのうち、掘進選択ジャッキに選択されたシールドジャッキに対応する同調用作動油供給通路部の油路を閉鎖し、掘進選択ジャッキに選択されないシールドジャッキに対応する同調用作動油供給通路部の油路を開放するように、同調選択切換手段63を電磁駆動する。また、制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された同調選択操作信号に基づいて、第2〜第3同調用作動油供給通路部46B〜46C、第5〜第6同調用作動油供給通路部46E〜46F、第8〜第9同調用作動油供給通路部46H〜46I、および第11〜第12同調用作動油供給通路部46K〜46Lの油路を一括して開閉するように、同調モード切換手段64を電磁駆動する。
【0034】
これにより、掘進選択ジャッキに選択されないシールドジャッキについて、同調動作を行うか否かを選択することができる。また、前述したように、同調動作の動作モードには、全同調動作モードと、計測器同調動作モードがあり、いずれか一方を任意に選択することが可能である。
【0035】
油圧設定操作手段54において、タンク通路部44を通る作動油の油圧力を設定するジャッキ油圧設定操作が行われるようになっている。油圧設定操作手段54は、ジャッキ油圧設定操作に応じたジャッキ油圧設定操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、油圧設定操作手段54から入力されたジャッキ油圧設定操作信号に基づいて、ジャッキ油圧設定手段65を電磁駆動する。また、油圧設定操作手段54において、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lを通る同調用作動油の油圧力を設定する同調用油圧設定操作が行われるようになっている。油圧設定操作手段54は、同調用油圧設定操作に応じた同調用油圧設定操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、油圧設定操作手段54から入力された同調用油圧設定操作信号に基づいて、第1〜第6同調用油圧設定手段67A〜67Fを電磁駆動する。
【0036】
ジャッキ油圧設定手段65は、電磁比例リリーフ弁を用いて構成され、制御装置50からの制御信号に応じて、タンク通路部44を通る作動油の油圧力を所望の設定油圧力に設定する。これにより、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lのうち、掘進選択ジャッキに選択されたシールドジャッキは、ジャッキ油圧設定手段65により設定された設定油圧力以下の油圧力で作動することが可能になる。また、ジャッキ油圧測定手段66は、油圧センサを用いて構成され、タンク通路部44における作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。
【0037】
第1〜第6同調用油圧設定手段67A〜67Fは、同調用作動油の油圧力を互いに異なる油圧力に設定可能に構成される。第1同調用油圧設定手段67Aは、電磁比例リリーフ弁を用いて構成され、制御装置50からの制御信号に応じて、第1〜第2同調用作動油供給通路部46A〜46Bを通る同調用作動油の油圧力を一括で、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する。また、第1同調用油圧測定手段68Aは、油圧センサを用いて構成され、第1〜第2同調用作動油供給通路部46A〜46Bにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。
【0038】
第2同調用油圧設定手段67Bは、電磁比例リリーフ弁を用いて構成され、制御装置50からの制御信号に応じて、第3〜第4同調用作動油供給通路部46C〜46Dを通る同調用作動油の油圧力を一括で、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する。また、第2同調用油圧測定手段68Bは、油圧センサを用いて構成され、第3〜第4同調用作動油供給通路部46C〜46Dにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。
【0039】
第3同調用油圧設定手段67Cは、電磁比例リリーフ弁を用いて構成され、制御装置50からの制御信号に応じて、第5〜第6同調用作動油供給通路部46E〜46Fを通る同調用作動油の油圧力を一括で、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する。また、第3同調用油圧測定手段68Cは、油圧センサを用いて構成され、第5〜第6同調用作動油供給通路部46E〜46Fにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。
【0040】
第4同調用油圧設定手段67Dは、電磁比例リリーフ弁を用いて構成され、制御装置50からの制御信号に応じて、第7〜第8同調用作動油供給通路部46G〜46Hを通る同調用作動油の油圧力を一括で、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する。また、第4同調用油圧測定手段68Dは、油圧センサを用いて構成され、第7〜第8同調用作動油供給通路部46G〜46Hにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。
【0041】
第5同調用油圧設定手段67Eは、電磁比例リリーフ弁を用いて構成され、制御装置50からの制御信号に応じて、第9〜第10同調用作動油供給通路部46I〜46Jを通る同調用作動油の油圧力を一括で、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する。また、第5同調用油圧測定手段68Eは、油圧センサを用いて構成され、第9〜第10同調用作動油供給通路部46I〜46Jにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。
【0042】
第6同調用油圧設定手段67Fは、電磁比例リリーフ弁を用いて構成され、制御装置50からの制御信号に応じて、第11〜第12同調用作動油供給通路部46K〜46Lを通る同調用作動油の油圧力を一括で、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する。また、第6同調用油圧測定手段68Fは、油圧センサを用いて構成され、第11〜第12同調用作動油供給通路部46K〜46Lにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。
【0043】
掘進方向推定部55は、所定の演算処理が可能な回路基板等から構成される。掘進方向推定部55は、制御装置50を介して、ジャッキ油圧測定手段66からの油圧測定信号と、第1〜第6同調用油圧測定手段68A〜68Fからの油圧測定信号とを受信する。掘進
方向推定部55は、ジャッキ油圧測定手段66により測定されたタンク通路部44における作動油の油圧力と、第1〜第6同調用油圧測定手段68A〜68Fにより測定された第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lにおける同調用作動油の油圧力と、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの座標位置とに基づいて、演算によりシールド掘進機1の総推力および推力中心位置(第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lから発生する全推力の合力(総推力)の作用点の座標位置)を推定する。
【0044】
以上のような構成の制御システムによる作動油供給手段40の作動制御について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの中から、掘進選択ジャッキの選択を行う(ステップST101)。本実施形態では、掘進選択ジャッキの一例として、図2(a)のクロスハッチングで示すように、第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30Lを選択する場合について説明する。なお、掘進選択ジャッキの選択の組み合わせは、本実施形態に限られるものではなく、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの中から、任意の掘進選択ジャッキを選択することが可能である。
【0045】
ジャッキ選択操作手段52において、掘進選択ジャッキとして第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30Lを選択するジャッキ選択操作が行われると、ジャッキ選択操作手段52は、ジャッキ選択操作に応じたジャッキ選択操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、ジャッキ選択操作手段52から入力されたジャッキ選択操作信号に基づいて、第1掘進用作動油供給通路部45Aおよび第6〜第12掘進用作動油供給通路部45F〜45Lの油路を開通し、第2〜第5掘進用作動油供給通路部45B〜45Eの油路を閉鎖するように、掘進選択切換手段62を電磁駆動する。
【0046】
次に、掘進選択ジャッキに選択されないシールドジャッキの中から、同調選択ジャッキの選択を行う(ステップST102)。本実施形態では、同調選択ジャッキの一例として、掘進選択ジャッキに選択されない第2〜第5シールドジャッキ30B〜30Eの全てを選択する場合について説明する。なお、同調選択ジャッキの選択の組み合わせは、本実施形態に限られるものではなく、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの中から、掘進選択ジャッキの選択結果に応じて同調選択ジャッキを選択することが可能である。
【0047】
同調選択操作手段53において、掘進選択ジャッキに選択されない第2〜第5シールドジャッキ30B〜30Eの全てを選択する全同調選択操作が行われると、同調選択操作手段53は、全同調選択操作に応じた同調選択操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された同調選択操作信号に基づいて、第1同調用作動油供給通路部46Aおよび第6〜第12同調用作動油供給通路部46F〜46Lの油路を閉鎖し、第2〜第5同調用作動油供給通路部46B〜46Eの油路を開放するように、同調選択切換手段63を電磁駆動する。また、制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された同調選択操作信号に基づいて、第2〜第3同調用作動油供給通路部46B〜46C、第5〜第6同調用作動油供給通路部46E〜46F、第8〜第9同調用作動油供給通路部46H〜46I、および第11〜第12同調用作動油供給通路部46K〜46Lの油路を一括して開通するように、同調モード切換手段64を電磁駆動する。
【0048】
なおこのとき、油圧設定操作手段54において、タンク通路部44を通る作動油の油圧力を設定するジャッキ油圧設定操作が行われると、油圧設定操作手段54は、ジャッキ油圧設定操作に応じたジャッキ油圧設定操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、油圧設定操作手段54から入力されたジャッキ油圧設定操作信号に基づいて、ジャッキ油圧設定手段65を電磁駆動する。ジャッキ油圧設定手段65は、制御装置50からの制御信号に応じて、タンク通路部44を通る作動油の油圧力を所望の設定油圧力に設定す
る。
【0049】
また、油圧設定操作手段54において、第2同調用作動油供給通路部46Bを通る同調用作動油の油圧力を設定する同調用油圧設定操作が行われると、油圧設定操作手段54は、同調用油圧設定操作に応じた同調用油圧設定操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、油圧設定操作手段54から入力された同調用油圧設定操作信号に基づいて、第1同調用油圧設定手段67Aを電磁駆動する。第1同調用油圧設定手段67Aは、制御装置50からの制御信号に応じて、第2同調用作動油供給通路部46Bを通る同調用作動油の油圧力を、第1掘進用作動油供給通路部45Aおよび第6〜第12掘進用作動油供給通路部45F〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力(以降、第1同調設定油圧力と称する)に設定する。
【0050】
同様に、油圧設定操作手段54において、第3〜第4同調用作動油供給通路部46C〜46Dを通る同調用作動油の油圧力を設定する同調用油圧設定操作が行われると、油圧設定操作手段54は、同調用油圧設定操作に応じた同調用油圧設定操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、油圧設定操作手段54から入力された同調用油圧設定操作信号に基づいて、第2同調用油圧設定手段67Bを電磁駆動する。第2同調用油圧設定手段67Bは、制御装置50からの制御信号に応じて、第3〜第4同調用作動油供給通路部46C〜46Dを通る同調用作動油の油圧力を、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力(以降、第2同調設定圧力と称する)に設定する。
【0051】
同様に、油圧設定操作手段54において、第5同調用作動油供給通路部46Eを通る同調用作動油の油圧力を設定する同調用油圧設定操作が行われると、油圧設定操作手段54は、同調用油圧設定操作に応じた同調用油圧設定操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、油圧設定操作手段54から入力された同調用油圧設定操作信号に基づいて、第3同調用油圧設定手段67Cを電磁駆動する。第3同調用油圧設定手段67Cは、制御装置50からの制御信号に応じて、第5同調用作動油供給通路部46Eを通る同調用作動油の油圧力を、第2同調用作動油供給通路部46Bを通る同調用作動油と同じ第1同調設定圧力に設定する。
【0052】
ここで、第1同調設定圧力は、第2同調設定圧力よりも高い油圧力、例えば、タンク通路部44を通る作動油の油圧力から求まる掘進用作動油の油圧力と、第2同調設定圧力との中間の油圧力に設定される。このように、掘進選択ジャッキ(第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30L)と近接した同調選択ジャッキ(第2シールドジャッキ30Bおよび第5シールドジャッキ30E)に供給される同調用作動油の油圧力(第1同調設定圧力)を、他の同調選択ジャッキ(第3〜第4シールドジャッキ30C〜30D)に供給される同調用作動油の油圧力(第2同調設定圧力)よりも高い油圧力に設定することで、掘進選択ジャッキと同調選択ジャッキとの間におけるセグメントSGに対する押圧力の変動を緩和することができる。そのため、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lが伸長作動する際、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することができ、セグメントSG同士の継目が開く等の不具合を防止することが可能になる。
【0053】
そして、選択した掘進選択ジャッキおよび同調選択ジャッキを作動させる(ステップST103)。シールドジャッキ作動選択手段51において、シールドジャッキ30A〜30Lを伸長作動させる伸長操作が行われると、シールドジャッキ作動選択手段51は、伸長操作に応じたジャッキ作動操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、シールドジャッキ作動選択手段51から入力されたジャッキ作動操作信号に基づいて、タンク通路部44の油路を前述の停止切換状態から伸長切換状態へ切り換えるように、伸縮切換
手段61を電磁駆動する。
【0054】
これにより、油圧ポンプ42により作動油タンク41からタンク通路部44に送られる作動油の一部は、シールドジャッキ作動選択手段51および掘進選択切換手段62を介して、第1掘進用作動油供給通路部45Aおよび第6〜第12掘進用作動油供給通路部45F〜45Lを通り、掘進用作動油として第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30Lの油圧シリンダのキャップ側に供給される。掘進用作動油が供給された第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30Lは、図2(a)のクロスハッチングで示すように掘進選択ジャッキとして伸長作動し、既設のセグメントリングSRを構成するいずれかのセグメントSGに当接する。
【0055】
一方、油圧ポンプ42により作動油タンク41からタンク通路部44に送られる作動油の残りの一部は、シールドジャッキ作動選択手段51、同調選択切換手段63、および同調モード切換手段64を介して、第2〜第5同調用作動油供給通路部46B〜46Eを通り、同調用作動油として第2〜第5シールドジャッキ30B〜30Eの油圧シリンダのキャップ側に供給される。同調用作動油が供給された第2〜第5シールドジャッキ30B〜30Eは、同調選択ジャッキとして掘進選択ジャッキと同調するように伸長作動し、既設のセグメントリングSRを構成するいずれかのセグメントSGに当接する。このとき、図2(a)のハッチングで示す第2シールドジャッキ30Bおよび第5シールドジャッキ30Eは、第3〜第4シールドジャッキ30C〜30Dよりも大きい押圧力でセグメントSGに当接する。
【0056】
このようにすれば、シールドフレーム10の中央から左側に設けられた第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30Lが掘進選択ジャッキとして伸長作動するため、シールド掘進機1は右方向に旋回しながら掘進する。なお、ジャッキ油圧測定手段66は、タンク通路部44における作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。また、第1同調用油圧測定手段68Aは、第2同調用作動油供給通路部46Bにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。第2同調用油圧測定手段68Bは、第3同調用作動油供給通路部46Cおよび第4同調用作動油供給通路部46Dにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。第3同調用油圧測定手段68Cは、第5同調用作動油供給通路部46Eにおける同調用作動油の油圧力を測定し、油圧測定信号を制御装置50に出力する。
【0057】
掘進方向推定部55は、制御装置50を介して、ジャッキ油圧測定手段66からの油圧測定信号と、第1〜第3同調用油圧測定手段68A〜68Cからの油圧測定信号とを受信する。掘進方向推定部55は、ジャッキ油圧測定手段66により測定されたタンク通路部44における作動油の油圧力と、第1〜第3同調用油圧測定手段68A〜68Cにより測定された第2〜第5同調用作動油供給通路部46B〜46Eにおける同調用作動油の油圧力と、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの位置座標とに基づいて、シールド掘進機1に作用する総推力および推力中心位置(すなわち、シールド掘進機1に作用するモーメント)を求め、シールド掘進機1の掘進方向(旋回方向)を推定する。これにより、制御装置50は、掘進方向推定部55で求めたシールド掘進機1の総推力および推力中心位置に基づいて、シールド掘進機1の掘進方向をフィードバック制御することが可能になる。
【0058】
また、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lが伸長作動した後、シールドジャッキ作動選択手段51において、第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lを縮小作動させる縮小操作が行われると、シールドジャッキ作動選択手段51は、縮小操作に応じたジャッキ作動操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、シールドジャッキ
作動選択手段51から入力されたジャッキ作動操作信号に基づいて、タンク通路部44の油路を前述の伸長切換状態から縮小切換状態へ切り換えるように、伸縮切換手段61を電磁駆動する。また、制御装置50は、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lの全ての油路を開通するように、掘進選択切換手段62を電磁駆動する。これにより、油圧ポンプ42により作動油タンク41からタンク通路部44に送られる作動油は、シールドジャッキ作動選択手段51を介して戻り通路部48を通り、縮小用作動油として第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lの油圧シリンダのヘッド側に供給される。縮小用作動油が供給された第1〜第12シールドジャッキ30A〜30Lは、それぞれ伸長した状態から元の状態に縮小作動する。
【0059】
なお、前述のステップST102において、同調選択操作手段53において計測器同調選択操作が行われると、同調選択操作手段53は、計測器同調選択操作に応じた同調選択操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された同調選択操作信号に基づいて、第1同調用作動油供給通路部46Aおよび第6〜第12同調用作動油供給通路部46F〜46Lの油路を閉鎖し、第2〜第5同調用作動油供給通路部46B〜46Eの油路を開放するように、同調選択切換手段63を電磁駆動する。また、制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された同調選択操作信号に基づいて、第2〜第3同調用作動油供給通路部46B〜46C、第5〜第6同調用作動油供給通路部46E〜46F、第8〜第9同調用作動油供給通路部46H〜46I、および第11〜第12同調用作動油供給通路部46K〜46Lの油路を一括して閉鎖するように、同調モード切換手段64を電磁駆動する。
【0060】
これにより、ストロークセンサ31〜34により伸長量の計測が行われるシールドジャッキのうち、掘進選択ジャッキに選択されない第4シールドジャッキ30Dが同調選択ジャッキとして選択される。なおこのとき、油圧設定操作手段54において、第4同調用作動油供給通路部46Dを通る同調用作動油の油圧力を設定する同調用油圧設定操作が行われると、油圧設定操作手段54は、同調用油圧設定操作に応じた同調用油圧設定操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、油圧設定操作手段54から入力された同調用油圧設定操作信号に基づいて、第2同調用油圧設定手段67Bを電磁駆動する。第2同調用油圧設定手段67Bは、制御装置50からの制御信号に応じて、第4同調用作動油供給通路部46Dを通る同調用作動油の油圧力を、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する。そして、前述のステップST103において、第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30Lが、図4(a)のクロスハッチングで示すように掘進選択ジャッキとして伸長作動し、右側ストロークセンサ32により伸長量の計測が行われる第4シールドジャッキ30Dが、図4(a)のハッチングで示すように同調選択ジャッキとして伸長作動する。
【0061】
また、掘進選択ジャッキに選択されない第2〜第5シールドジャッキ30B〜30Eについて同調動作を行わない場合、同調選択操作手段53において非同調操作が行われる。この場合、前述のステップST102において、同調選択操作手段53は、非同調操作に応じた非同調操作信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された非同調操作信号に基づいて、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの全ての油路を閉鎖するように、同調選択切換手段63を電磁駆動する。なおこのとき、同調用作動油の油圧力の設定は行われない。そして、前述のステップST103において、第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30Lのみが、図5(a)のクロスハッチングで示すように掘進選択ジャッキとして伸長作動する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、同調用油圧設定手段67A〜67Fは、ジ
ャッキ選択操作手段52および同調選択操作手段53により同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、複数の同調選択ジャッキ(例えば、第2〜第5シールドジャッキ30B〜30E)の間で異なる同調用作動油の油圧力を設定可能であるため、特定のセグメントへの集中荷重を緩和するように、複数の同調選択ジャッキに供給される同調用作動油の油圧力を複数設定することができる。このように、同調選択ジャッキの作動油圧を調整するだけで、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することができ、簡便な構成で、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することが可能になる。
【0063】
また、同調用油圧設定手段67A〜67Fは、ジャッキ選択操作手段52および同調選択操作手段53により同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、掘進選択ジャッキ(例えば、第1シールドジャッキ30Aおよび第6〜第12シールドジャッキ30F〜30L)と近接した同調選択ジャッキ(例えば、第2シールドジャッキ30Bおよび第5シールドジャッキ30E)に供給される同調用作動油の油圧力を、他の同調選択ジャッキ(例えば、第3〜第4シールドジャッキ30C〜30D)に供給される同調用作動油の油圧力よりも高い油圧力に設定可能であることで、掘進選択ジャッキと同調選択ジャッキとの間におけるセグメントSGに対する押圧力の変動を緩和することができる。このように、同調選択ジャッキの作動油圧を調整するだけで、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することができ、簡便な構成で、特定のセグメントに集中荷重が生ずるのを防止することが可能になる。
【0064】
また、ジャッキ油圧測定手段66により測定された(タンク通路部44における)作動油の油圧力と、同調用油圧測定手段68A〜68Fにより測定された同調用作動油の油圧力とに基づいて、シールド掘進機1の総推力および推力中心位置を推定する掘進方向推定部55を備えることで、簡便な構成で、シールド掘進機1の掘進方向を求めることができる。そのため、掘進方向推定部55で求めたシールド掘進機1の総推力および推力中心位置に基づいて、簡便な構成で、シールド掘進機1の掘進方向を制御することが可能になる。
【0065】
上述の実施形態において、制御装置50は、ジャッキ油圧測定手段66で測定された(タンク通路部44における)作動油の油圧力に基づいて、ジャッキ油圧設定手段65に対してフィードバック制御を行うようにしてもよい。また、制御装置50は、第1〜第6同調用油圧測定手段68A〜68Fで測定された同調用作動油の油圧力に基づいて、第1〜第6同調用油圧設定手段67A〜67Fに対してフィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0066】
上述の実施形態において、第1同調用油圧設定手段67Aは、第1〜第2同調用作動油供給通路部46A〜46Bを通る同調用作動油の油圧力を一括で設定する。第2同調用油圧設定手段67Bは、第3〜第4同調用作動油供給通路部46C〜46Dを通る同調用作動油の油圧力を一括で設定する。第3同調用油圧設定手段67Cは、第5〜第6同調用作動油供給通路部46E〜46Fを通る同調用作動油の油圧力を一括で設定する。第4同調用油圧設定手段67Dは、第7〜第8同調用作動油供給通路部46G〜46Hを通る同調用作動油の油圧力を一括で設定する。第5同調用油圧設定手段67Eは、第9〜第10同調用作動油供給通路部46I〜46Jを通る同調用作動油の油圧力を一括で設定する。第6同調用油圧設定手段67Fは、第11〜第12同調用作動油供給通路部46K〜46Lを通る同調用作動油の油圧力を一括で設定する。このように、第1〜第6同調用油圧設定手段67A〜67Fは、同調用作動油の油圧力を2本のシールドジャッキごとに設定しているが、これに限られるものではない。例えば、同調用作動油の油圧力を1本のシールドジャッキごとに個別に設定可能な同調用油圧設定手段が設けられてもよい。
【0067】
上述の実施形態において、第1〜第6同調用油圧設定手段67A〜67Fは、電磁比例
リリーフ弁を用いて構成されているが、これに限られるものではなく、設定圧力が異なる複数の減圧弁が切換可能に配置される構成であってもよい。
【0068】
上述の実施形態において、同調選択切換手段63および同調モード切換手段64が設けられているが、これに限られるものではない。例えば、同調モード切換手段64を設けずに、同調選択切換手段63のみを用いて第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの油路を個別に開閉するようにしてもよい。この場合、制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された同調選択操作信号に基づいて、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの油路を全同調選択操作もしくは計測器同調操作に応じて開閉すべきか判定して、同調選択切換手段63を電磁駆動する。
【0069】
上述の実施形態において、同調選択切換手段63は、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの油路を個別に開閉可能に構成されているが、これに限られるものではなく、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの全ての油路を一括で開閉可能に構成されてもよい。第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lよりも油圧力が低く設定される第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lに、第1〜第12逆止弁47A〜47Lが設けられているからである。この場合、制御装置50は、同調選択操作手段53から入力された同調選択操作信号に基づいて、第1〜第12同調用作動油供給通路部46A〜46Lの全ての油路を一括で開放するように、同調選択切換手段63を電磁駆動する。このようにすれば、同調選択切換手段63の構成を簡便にすることができる。
【0070】
上述の実施形態において、掘進方向推定部55は、ジャッキ油圧測定手段66により測定されたタンク通路部44における作動油の油圧力と、同調用油圧測定手段68A〜68Fにより測定された同調用作動油の油圧力とに基づいて、シールド掘進機1の総推力および推力中心位置を推定しているが、これに限られるものではない。例えば、第1〜第12掘進用作動油供給通路部45A〜45Lを通る掘進用作動油の油圧力を測定可能な掘進用油圧測定手段(図示せず)が設けられ、掘進方向推定部が、掘進用油圧測定手段により測定された掘進用作動油の油圧力と、同調用油圧測定手段68A〜68Fにより測定された同調用作動油の油圧力とに基づいて、シールド掘進機1の総推力および推力中心位置を推定するようにしてもよい。
【0071】
上述の実施形態において、12本のシールドジャッキ30A〜30Lが設けられているが、これに限られるものではなく、例えば、16本のシールドジャッキが設けられてもよく、複数のシールドジャッキが設けられる構成であればよい。
【符号の説明】
【0072】
1 シールド掘進機
10 シールドフレーム
20 カッターヘッド
30A〜30L 第1〜第12シールドジャッキ
40 作動油供給手段
45A〜45L 第1〜第12掘進用作動油供給通路部
46A〜46L 第1〜第12同調用作動油供給通路部
50 制御装置(切換制御手段)
52 ジャッキ選択操作手段
53 同調選択操作手段
54 油圧設定操作手段
55 掘進方向推定部
62 掘進選択切換手段
63 同調選択切換手段
64 同調モード切換手段
65 ジャッキ油圧設定手段
66 ジャッキ油圧測定手段
67A〜67F 同調用油圧設定手段
68A〜68F 同調用油圧測定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2016年3月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に筒状に延びるシールドフレームと、前記シールドフレームの前端部に設けられて掘削を行うカッターヘッドと、前記シールドフレームの内周部に内周方向に沿って複数設けられ、後方へ伸縮可能な油圧式のシールドジャッキとを備えたシールド掘進機であって、
前記複数の前記シールドジャッキの中から、前記シールドフレームの後方に配設されたセグメントを押圧するように伸長作動して前記シールド掘進機を掘進させる掘進選択ジャッキおよび、前記掘進選択ジャッキよりも低い押圧力で前記セグメントに当接するように伸長作動する同調選択ジャッキを選択する操作が行われるジャッキ選択操作手段と、
前記シールドジャッキに前記掘進選択ジャッキとして作動させるための掘進用作動油を供給可能な掘進用作動油供給部および、前記シールドジャッキに前記同調選択ジャッキとして作動させるための同調用作動油を供給可能な同調用作動油供給部を有し、前記掘進用作動油供給部および前記同調用作動油供給部のうちいずれか一方に切り換えて前記シールドジャッキに前記掘進用作動油もしくは前記同調用作動油を供給可能な作動油供給手段と、
前記ジャッキ選択操作手段の操作に応じて、前記複数の前記シールドジャッキのうち前記掘進選択ジャッキに選択された前記シールドジャッキに対し前記掘進用作動油供給部に切り換えて前記掘進用作動油を供給し、前記同調選択ジャッキに選択された前記シールドジャッキに対し前記同調用作動油供給部に切り換えて前記同調用作動油を供給するように、前記作動油供給手段の作動を制御する切換制御手段と、
前記同調用作動油供給部から前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力を、前記掘進用作動油供給部から前記掘進選択ジャッキに供給される前記掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する油圧設定手段とを備え、
前記油圧設定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記複数の前記同調選択ジャッキの間で異なる前記同調用作動油の油圧力を設定可能であり、前記掘進選択ジャッキと近接した前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力を、他の前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力よりも高い油圧力に設定可能であることを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記掘進選択ジャッキに供給するための作動油の油圧力を測定するジャッキ油圧測定手段と、
前記同調選択ジャッキに供給するための前記同調用作動油の油圧力を測定する同調用油圧測定手段と、
前記ジャッキ油圧測定手段により測定された前記作動油の油圧力と、前記同調用油圧測定手段により測定された前記同調用作動油の油圧力とに基づいて、前記シールド掘進機の総推力および推力中心位置を推定する掘進方向推定部とを備え、
前記同調用油圧測定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記複数の前記同調選択ジャッキの間で異なる前記同調用作動油の油圧力をそれぞれ検出可能であることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
このような目的達成のため、本発明に係るシールド掘進機は、前後方向に筒状に延びるシールドフレームと、前記シールドフレームの前端部に設けられて掘削を行うカッターヘッドと、前記シールドフレームの内周部に内周方向に沿って複数設けられ、後方へ伸縮可能な油圧式のシールドジャッキとを備えたシールド掘進機であって、前記複数の前記シールドジャッキの中から、前記シールドフレームの後方に配設されたセグメントを押圧するように伸長作動して前記シールド掘進機を掘進させる掘進選択ジャッキおよび、前記掘進選択ジャッキよりも低い押圧力で前記セグメントに当接するように伸長作動する同調選択ジャッキを選択する操作が行われるジャッキ選択操作手段と、前記シールドジャッキに前記掘進選択ジャッキとして作動させるための掘進用作動油を供給可能な掘進用作動油供給部および、前記シールドジャッキに前記同調選択ジャッキとして作動させるための同調用作動油を供給可能な同調用作動油供給部を有し、前記掘進用作動油供給部および前記同調用作動油供給部のうちいずれか一方に切り換えて前記シールドジャッキに前記掘進用作動油もしくは前記同調用作動油を供給可能な作動油供給手段と、前記ジャッキ選択操作手段の操作に応じて、前記複数の前記シールドジャッキのうち前記掘進選択ジャッキに選択された前記シールドジャッキに対し前記掘進用作動油供給部に切り換えて前記掘進用作動油を供給し、前記同調選択ジャッキに選択された前記シールドジャッキに対し前記同調用作動油供給部に切り換えて前記同調用作動油を供給するように、前記作動油供給手段の作動を制御する切換制御手段と、前記同調用作動油供給部から前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力を、前記掘進用作動油供給部から前記掘進選択ジャッキに供給される前記掘進用作動油の油圧力よりも低い油圧力に設定する油圧設定手段とを備えている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
そして、前記油圧設定手段は、前記ジャッキ選択操作手段により前記同調選択ジャッキが複数選択されている場合に、前記複数の前記同調選択ジャッキの間で異なる前記同調用作動油の油圧力を設定可能であり、前記掘進選択ジャッキと近接した前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力を、他の前記同調選択ジャッキに供給される前記同調用作動油の油圧力よりも高い油圧力に設定可能となっている。