【課題】機器筐体に設けられた収納部に対して棒型電子機器を収納して端子同士を接続する構成であっても棒型電子機器や機器筐体側の端子の品質低下や破損を防止することができる収納構造及び該収納構造を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】収納構造10は、側面に端子30が設けられたペン型入力機器14を収納する収納部18を有し、収納部18は、ペン型入力機器14を挿入して収納する収納穴32と、収納穴32の側部から該収納穴32に挿入されたペン型入力機器14に向かって進退可能に設けられると共に、ペン型入力機器14が収納穴32の所定位置まで挿入されていない状態ではペン型入力機器14の側面から離間した位置に配置される通電端子31と、ペン型入力機器14が収納穴32の所定位置より奥まで挿入された場合に、通電端子31をペン型入力機器14の側面に向かって移動させて端子30に接続させるリンク機構34とを備える。
充電式の二次電池を内蔵し、側面に前記二次電池の充電用の端子が設けられたペン型入力機器の収納部を機器筐体に有し、前記ペン型入力機器によって前記機器筐体に設けられたディスプレイをタッチ操作可能な電子機器であって、
前記収納部は、前記ペン型入力機器を挿入して収納する収納穴と、
前記収納穴の側部から該収納穴に挿入されたペン型入力機器に向かって進退可能に設けられると共に、前記ペン型入力機器が収納穴の所定位置まで挿入されていない状態では該ペン型入力機器の側面から離間した位置に配置され、前記二次電池の充電用の電力を供給するための通電端子と、
前記ペン型入力機器が収納穴の所定位置より奥まで挿入された場合に、前記通電端子をペン型入力機器の側面に向かって移動させて前記端子に接続させるリンク機構と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の構成では、ペン型入力機器の充電端子に接続されるスイッチが収納部の内面から突出した板ばね状の部材であることで、収納部に収納されたペン型入力機器の充電端子にスイッチを確実に接触させることができる。
【0006】
ところが、特許文献1の構成では、収納部にペン型入力機器を収納する際、収納部の穴の内側に突出しているスイッチに対して挿入動作中のペン型入力機器の側面が擦れるため、その外面に傷が付く。特に、基端側に充電端子を設けたペン型入力機器では、収納部に挿入する際にその側面の全長の大部分がスイッチと摺動するため、軸方向に延びた引っ掻き傷のような擦り跡を生じてしまう。また、機器本体側のスイッチはペン型入力機器の挿抜のたびに押圧力を受けて負荷がかかるため、経年的な劣化を生じ易く、充電端子に対して確実に接続することができなくなる懸念もある。
【0007】
そして、このような問題は、ペン型入力機器に限らず、例えば拡張用のメモリ機器やバッテリ機器等、機器筐体の収納部に収納された状態で通電される各種の棒型電子機器においても同様に発生する問題である。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、機器筐体に設けられた収納部に対して棒型電子機器を収納して端子同士を接続する構成であっても棒型電子機器や機器筐体側の端子の品質低下や破損を防止することができる収納構造及び該収納構造を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る収納構造は、側面に端子が設けられた棒型電子機器を機器筐体に設けられた収納部に収納する収納構造であって、前記収納部は、前記棒型電子機器を挿入して収納する収納穴と、前記収納穴の側部から該収納穴に挿入された棒型電子機器に向かって進退可能に設けられると共に、前記棒型電子機器が収納穴の所定位置まで挿入されていない状態では該棒型電子機器の側面から離間した位置に配置される通電端子と、前記棒型電子機器が収納穴の所定位置より奥まで挿入された場合に、前記通電端子を棒型電子機器の側面に向かって移動させて前記端子に接続させるリンク機構とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電子機器は、充電式の二次電池を内蔵し、側面に前記二次電池の充電用の端子が設けられたペン型入力機器の収納部を機器筐体に有し、前記ペン型入力機器によって前記機器筐体に設けられたディスプレイをタッチ操作可能な電子機器であって、前記収納部は、前記ペン型入力機器を挿入して収納する収納穴と、前記収納穴の側部から該収納穴に挿入されたペン型入力機器に向かって進退可能に設けられると共に、前記ペン型入力機器が収納穴の所定位置まで挿入されていない状態では該ペン型入力機器の側面から離間した位置に配置され、前記二次電池の充電用の電力を供給するための通電端子と、前記ペン型入力機器が収納穴の所定位置より奥まで挿入された場合に、前記通電端子をペン型入力機器の側面に向かって移動させて前記端子に接続させるリンク機構とを備えることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、棒型電子機器(ペン型入力機器)が収納穴の所定位置より奥まで挿入される前の状態では、機器筐体側の通電端子が収納穴の側部から退避して棒型電子機器の側面から離間した位置に配置されているため、収納部に挿入される棒型電子機器に通電端子が干渉しない。このため、棒型電子機器の側面に引っ掻き傷等を生じることがなく、また通電端子に継続的な摺動負荷が生じることもないため、棒型電子機器や通電端子の品質低下や破損を防止できる。しかも、棒型電子機器が収納穴の所定位置より奥まで挿入されると、これと連動するリンク機構によって通電端子が棒型電子機器の側面に向かって移動し、端子に接続される。このため、接続された通電端子及び端子を介して機器筐体側から棒型電子機器に対して充電用の電力等を確実に供給することができる。
【0012】
前記リンク機構は、前記棒型電子機器が収納穴の所定位置より奥まで挿入された場合に該棒型電子機器によって押圧されることで、該棒型電子機器の軸方向に移動するスライド部材と、前記通電端子を支持すると共に、前記スライド部材の移動に連動して前記棒型電子機器の側面に向かって進退移動することで、前記通電端子を前記棒型電子機器の側面に向かって進退させる可動部材とを有する構成であってもよい。これにより、棒型電子機器の挿入動作に対し通電端子の進退を簡素な構成で連動させることができる。
【0013】
前記可動部材は、前記スライド部材に対して相対移動可能な状態で連結されており、前記収納穴の内部を挿入方向に移動する棒型電子機器及び該棒型電子機器に押圧されて移動する前記スライド部材と共に、前記棒型電子機器の挿入方向に沿って移動しながら該棒型電子機器の側面に向かって移動し、前記通電端子を前記端子に向かって移動させる構成であってもよい。そうすると、棒型電子機器が収納穴の所定位置より奥まで挿入される挿入動作と連動し、通電端子が棒型電子機器の移動に追従するように挿入方向に移動しつつ棒型電子機器の側面に向かって進動することで端子に接続される。これにより、挿入時に通電端子によって棒型電子機器が擦れられることをより確実に防止することができる。
【0014】
前記スライド部材を前記収納穴に対する前記棒型電子機器の挿入方向とは反対側の抜去方向に向かって付勢する弾性部材を有し、前記収納穴から棒型電子機器を抜去する際には、該収納穴を抜去方向に移動する棒型電子機器と共に前記弾性部材の付勢力によって前記スライド部材が抜去方向に移動することで、前記可動部材が前記棒型電子機器の抜去方向に沿って移動しながら該棒型電子機器の側面から退避する方向に向かって移動し、前記通電端子を前記端子から離間させる構成であってもよい。これにより、棒型電子機器の収納部からの抜去時には、棒型電子機器の抜去方向への移動に連動して通電端子も同方向へと移動しつつ端子から退避するため、抜去時に通電端子が端子に引っ掛かり棒型電子機器が抜け難くなることがない。
【0015】
前記可動部材は、前記スライド部材に対して回動可能に連結されており、前記スライド部材の移動に連動して回動することで前記通電端子を前記棒型電子機器の側面に向かって進退させる構成としてもよい。
【0016】
前記可動部材は、前記スライド部材に対して該スライド部材の移動方向と直交する方向に移動可能に連結されており、前記スライド部材の移動に連動して前記スライド部材の移動方向と直交する方向に移動することで前記通電端子を前記棒型電子機器の側面に向かって進退させる構成としてもよい。
【0017】
前記可動部材は、前記スライド部材の移動方向に対して傾斜するように設けられ、前記機器筐体から突出したピンが摺動可能に挿入される孔部を有すると、簡素な構成で可動部材を棒型電子機器に対して確実に進退させることができる。
【0018】
前記棒型電子機器は、先端にテーパ部を有するペン型形状であり、前記スライド部材は、前記棒型電子機器のテーパ部によって押圧されて移動する構成であってもよい。
【0019】
前記棒型電子機器は、充電式の二次電池を内蔵しており、前記端子に前記通電端子が接続されることで前記二次電池の充電が行われる構成であると、棒型電子機器の電池切れを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ペン型入力機器等の棒型電子機器の側面に収納部に設けられた通電端子による引っ掻き傷等が生じることを防止でき、また通電端子に継続的な摺動負荷が生じることも防止できるため、棒型電子機器や通電端子の品質低下や破損を防止できる。しかも、棒型電子機器が収納穴の奥まで挿入された際には通電端子が端子に接続されるため、接続された通電端子及び端子を介して機器筐体側から棒型電子機器に対して充電用の電力等を確実に供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る収納構造について、この構造を適用した電子機器を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る収納構造10を備えた電子機器12の構成を示す斜視図である。収納構造10は、スタイラスと呼ばれるペン型入力機器(棒型電子機器)14(以下、単に「ペン14」ともいう)を入力デバイスとして利用可能な電子機器12に設けられ、その機器筐体16の一側面にペン14を収納・保持する収納部18を備える。本実施形態では、収納構造10をタブレット型PCである電子機器12に適用した構成を例示するが、本発明はタブレット型PC以外、例えばノート型PC、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機又は電子手帳等、各種携帯情報端末等の電子機器に対して好適に適用できる。
【0024】
収納構造10の適用対象の一例としての電子機器12は、タッチパネル式の液晶表示部からなるディスプレイ16aを機器筐体16の表面(上面)に有する。電子機器12は、その内部に基板、演算装置及びメモリ等の各種電子部品(図示せず)を収納している。
【0025】
次に、本実施形態に係る収納構造10を構成するペン14及び収納部18について、順に説明する。
【0026】
図2は、収納部18へのペン14の収納動作を説明するために機器筐体16の収納部18付近の内部構造を示した底面図であり、収納部18へのペン14の挿入を開始した直後の状態を示している。また、
図3は、
図2に示す状態からペン14を収納部18内の押圧開始位置(所定位置)まで押し込んだ状態を示す底面図であり、
図4は、
図3に示す状態からペン14をさらに奥まで押し込み、収納部18にペン14を完全に収納した状態を示す底面図である。
【0027】
図1及び
図2に示すように、ペン14は、長尺且つ細径な円柱棒形状であって、人手によって把持されて電子機器12の入力デバイスとして使用される電源駆動式のスタイラスである。ペン14は、先細りテーパ形状の入力部(テーパ部)20を先端に設けた円柱形状の軸部22と、軸部22の基端側外周面の一部から外径方向に突出した鋸形状の突起部24とを備える。
【0028】
入力部20は、ディスプレイ16aの画面上をタッチして所定の入力操作を行うためのものであり、その先端のペン先20aでディスプレイ16aをタッチ操作することで所定の入力信号を発生する。入力部20と軸部22との境界部分には、その外周面を凹ませた環状溝部25が形成されている。環状溝部25は、ペン14が収納部18内に挿入された際、収納部18内に設けられた一対の弾性凸部26a,26aが係合することで、ペン14を収納部18内で抜け止めすると共に、収納時には操作感やクリック音を生じさせるものである。
【0029】
軸部22は、その内部にバッテリ装置28を内蔵している。バッテリ装置28は、当該ペン14の電源となる充電式の二次電池である。軸部22の基端側側面には、図示しない配線によってバッテリ装置28と電気的に接続された一対の端子(充電端子)30,30が露出している。ペン14が収納部18に収納された際、一対の端子30,30には収納部18側に設けられた一対の通電端子31,31が接続される。
【0030】
突起部24は、軸部22の外周面から突出した薄い板片であり、その外端面には鋸状の段部が形成されている。突起部24は、収納部18に対するペン14の回転方向での収納姿勢を規定すると共に、収納部18に収納されたペン14を引き抜く際に指先や爪の引っ掛けとなる部分である。
【0031】
図1及び
図2に示すように、収納部18は、機器筐体16の後端角部の近傍に開口形成されている。収納部18は、ペン14を挿入して収納する収納穴32と、収納穴32の側部(内面)から該収納穴32に挿入されたペン14に向かって進退可能に設けられた一対の通電端子31,31と、収納穴32へのペン14の挿入動作と連動して通電端子31を進退させるリンク機構34とを備える。以下、収納部18に対するペン14の収納方向(
図2中で右側)を挿入方向(先端側)、収納部18からのペン14の取出し方向(
図2中で左側)を抜去方向(基端側)と呼んで説明する。
【0032】
収納穴32は、ペン14を長手方向に収納可能な長さを有して機器筐体16の外面から内方へと左右方向に延びた円筒形状の長穴であり、挿入口32aによって機器筐体16の外面に開口している。挿入口32aは、収納穴32に対するペン14の入口である。挿入口32aの側部には、ペン14の突起部24が収納配置される切欠部32bが収納穴32と連通するように形成されている。従って、収納穴32にペン14が収納されると、軸部22の基端面と突起部24の外端面(段部)とが、機器筐体16の外面と面一又は僅かに突出若しくは埋没した状態となる(
図4参照)。また、ペン14を収納穴32から抜去する際には突起部24の外端面に指先を引っ掛けて容易に引き抜くことができる。
【0033】
リンク機構34は、
図2〜
図4に示すように、収納穴32の側部に沿って延在する長尺プレート状のスライド部材36と、スライド部材36に対して相対移動可能な状態で連結された可動部材38とを備える。
【0034】
スライド部材36は、ペン14の挿入方向及び抜去方向(挿抜方向)に沿って移動可能な状態で機器筐体16に支持されている。スライド部材36は、収納穴32の側部に沿って延びた長尺プレート状のベース部40と、ベース部40の先端から収納穴32に向かって直交するように突出した受け部41とを有する。
【0035】
ベース部40は、その長手方向に並んだ5個の長孔40a,40b,40c,40d,40eを有する。各長孔40a〜40eは、当該スライド部材36のスライド方向(ペン14の挿抜方向)に沿って延びた長孔である。
【0036】
最も基端側の長孔40aは可動部材38と重なる位置に設けられており、機器筐体16から上下方向に突出した制御ピン(ピン)42が長手方向に摺動可能に挿入される。基端側から3個目及び4個目の長孔40c,40dには、機器筐体16から上下方向に突出したガイドピン43がそれぞれ長手方向に摺動可能に挿入される。基端側から2個目の長孔40b及び最も先端側の長孔40eには、機器筐体16から上下方向に突出したフック状のガイド片44がそれぞれ長手方向に摺動可能に挿入されると共に、長孔40b,40eの一縁部の上下面がガイド片44によって摺動可能に保持される。
【0037】
ベース部40の長手方向略中央の凹状部分には、コイルばね(弾性部材)45が配設されている。コイルばね45は、一端がベース部40に固定され、他端が機器筐体16に固定されることにより、ベース部40(スライド部材36)をペン14の抜去方向に常時付勢する。
【0038】
受け部41は、ベース部40から直交することでペン14の挿入方向と直交するように収納穴32を跨いでいる。ベース部40の基端側(ペン14の先端と対向する側)には、ペン先20aを挿入可能且つペン先20aの基端部(入力部20の先端面)を挿入不能なペン先保持孔41aが開口形成されている(
図3及び
図4参照)。
【0039】
受け部41にはペン保持部材46が重ねて固定されている。ペン保持部材46は、受け部41に連結固定される取付部47と、取付部47の基端面両端側から抜去方向に突出した一対の板ばね26,26を有する。
【0040】
各板ばね26は、収納穴32の内面に押し付けられる方向、つまり互いに離間する方向に付勢されている。各板ばね26の先端付近には、収納穴32の内側に向かって突出した弾性凸部26aが形成されている。弾性凸部26aは、
図2及び
図3に示すようにペン14の収納部18への収納が完了していない状態では収納穴32の内面を凹ませた逃げ部32cに収容され、収納穴32の内面から退避した位置にある。一方、
図4に示すようにペン14が収納部18に完全に収納された状態では逃げ部32cに設けた押圧台32dによって押圧されて板ばね26が弾性変形することで、弾性凸部26aはペン14の環状溝部25に係合する。
【0041】
可動部材38は、平面視略L字状のプレートに通電端子31を設けた基板39を積層固定した構成である。可動部材38は、その先端側がスライド部材36のベース部40の基端側に設けられた回動軸40fに軸支されることで、スライド部材36に対して基端側が振り子状に回動可能な状態で支持されている。可動部材38は、
図2及び
図3に示すようにペン14の収納部18への収納が完了していない状態では、ベース部40の長手方向に対して傾斜してペン14から離間した退避位置にあり、通電端子31が収納穴32の内面より没した位置にある。可動部材38の基端には、ベース部40の基端に設けられたガイド爪部40gに摺動可能にガイドされた突片38aが突設されている。
【0042】
従って、可動部材38は、スライド部材36のペン14の挿抜方向へのスライド移動に伴って移動しつつ、スライド部材36に対して相対的に回動することができる。また、この回動動作時、ガイド爪部40gに突片38aがガイドされることでそのがたつきが防止される。
【0043】
可動部材38に設けられた基板39は、ケーブル48を介して機器筐体16に内蔵されたメインバッテリ装置49と接続されている(
図1参照)。これにより、ペン14が収納部18に収納され、通電端子31がペン14の端子30に接続されることで、機器筐体16側のメインバッテリ装置49からペン14側のバッテリ装置28に対し、充電用の電力を供給することができる。
【0044】
可動部材38には、スライド部材36の移動方向に対して傾斜するように設けられた制御孔(孔部)50が形成されている。制御孔50には、ベース部40の長孔40aを挿通した制御ピン42が摺動可能に挿入される。
【0045】
制御孔50は、
図2及び
図3に示すようにペン14の収納部18への収納が完了していない状態でスライド部材36の移動方向に略沿った姿勢となる両端側の保持孔部50a,50bと、各保持孔部50a,50bの間を連通するようにスライド部材36の移動方向に傾斜して設けられた傾斜孔部50cとを有する平面視略Z形状である。
【0046】
次に、収納構造10の収納部18に対するペン14の収納動作について説明する。
【0047】
ペン14を収納部18に収納する際には、
図2に示すように入力部20を先頭とし、突起部24を切欠部32bに合わせた姿勢でペン14を挿入口32aから収納穴32内へと挿入する。そして、ペン14を収納穴32内に進動させると、いずれペン先20aが受け部41のペン先保持孔41aに挿入され、入力部20の先端が受け部41に引っ掛かることで
図3に示す押圧開始位置(所定位置)、つまりペン14とスライド部材36とが当接した状態(当接位置)となる。
【0048】
この押圧開始位置からペン14をさらに押し込むと、受け部41が入力部20の先端によって挿入方向へと押圧され、スライド部材36がスライド移動を開始する。そうすると、スライド部材36がペン14と共に挿入方向にスライド移動するのに伴いベース部40に支持された可動部材38も一体的に移動する。
【0049】
その際、制御ピン42は、ベース部40の長孔40a内を摺動しつつ、可動部材38の制御孔50内を摺動する。これにより、
図3に示す押圧開始位置では、制御孔50の先端側の保持孔部50a内に位置していた制御ピン42は、可動部材38のスライド移動に伴って傾斜孔部50cを摺動しつつ可動部材38を押圧し、可動部材38を回動軸40fを中心として
図3中で時計回り方向に回動させる。つまり可動部材38は、ペン14の挿入方向への移動に追従してスライド移動しつつ、基端側に設けられた通電端子31をペン14の側面に向かって進動させる方向に回動する。
【0050】
最終的に、
図4に示すように、ペン14が収納穴32内の奥部に突き当たる収納位置まで押し込まれてペン14の収納部18への収納動作が完了すると、制御ピン42が制御孔50の基端側の保持孔部50b内に位置して可動部材38がベース部40の長手方向に沿った姿勢となり、通電端子31がペン14の端子30に接続される。従って、収納部18に収納したペン14のバッテリ装置28に対し、電子機器12のメインバッテリ装置49からの電力をケーブル48、通電端子31及び端子30を介して供給して充電することができる。
【0051】
このような収納動作時、ペン保持部材46もスライド部材36と連動して動作する。すなわち、
図3に示す押圧開始位置からペン14を押し込むと、ペン保持部材46はスライド部材36の受け部41と一体となって挿入方向にスライド移動する。これにより、ペン保持部材46の板ばね26が逃げ部32c内で移動して押圧台32dに摺接すると板ばね26が弾性変形する。そして、
図4に示すようにペン14が収納位置まで押し込まれた際には、弾性凸部26aがペン14の環状溝部25に係合する。これにより、収納部18に収納されたペン14の抜け止めがなされ、がたつきも防止される。
【0052】
一方、収納部18からペン14を取出す場合には、指先をペン14の突起部24に引っ掛けて抜去方向に引き寄せる。そうすると、ペン14の抜去方向への移動に応じ、スライド部材36はコイルばね45の付勢力によってペン14に追従するように抜去方向にスライド移動するため、可動部材38も一体的に移動する。
【0053】
その結果、
図4に示す収納位置から
図3に示す押圧開始位置までスライド部材36及び可動部材38が移動することで、制御ピン42が収納動作時とは逆方向に制御孔50内を移動し、今度は可動部材38を回動軸40fを中心として
図4中で反時計回り方向に回動させる。つまり可動部材38は、ペン14の抜去方向への移動に追従してスライド移動しつつ、基端側に設けられた通電端子31をペン14の側面から退動させる方向に回動する。同時に、ペン保持部材46も動作し、板ばね26が押圧台32dから滑り落ちることで、弾性凸部26aのペン14の環状溝部25への係合状態が解除される。
【0054】
そして、ペン14が
図3に示す押圧開始位置まで抜去されると、リンク機構34を構成するスライド部材36、可動部材38及びペン保持部材46はペン14の挿入前の状態に復帰する。従って、ペン14を収納穴32から完全に引き抜いた後、再び収納穴32に挿入する際には上記した収納動作と同様な動作が行われることになる。
【0055】
このように、収納構造10では、ペン14が収納穴32の所定位置(押圧開始位置)より奥まで挿入される前の状態では、通電端子31が収納穴32の内面から退避し、ペン14の側面から離間した位置に配置されている。そして、ペン14が収納穴32の押圧開始位置より奥まで挿入される動作にリンク機構34が連動することで、通電端子31をペン14の移動に追従するように移動させつつ、ペン14の側面に向かって進動させ、最終的に収納位置で端子30に接続させる。さらに、ペン14の抜去動作時にも、ペン14が収納位置から押圧開始位置に移動する間のリンク機構34の動作によって通電端子31をペン14の移動に追従するように移動させつつ、ペン14の側面から離間させることができる。このため、ペン14の収納穴32への挿入時及び抜去時に通電端子31がペン14の側面に干渉することが回避され、ペン14の側面に引っ掻き傷等が生じることがなく、また通電端子31に継続的な摺動負荷が生じることもない。
【0056】
なお、
図2〜
図4では、ペン14からの押圧力を受けるスライド部材36の受け部41をペン14の入力部20で押圧する構成を例示したが、受け部41は挿入方向に移動するペン14によって押圧可能であればその配置等は適宜変更可能である。
【0057】
例えば、
図5に示す構成例のスライド部材36は、
図2〜
図4に示すベース部40よりも短尺なベース部52と、ベース部52の基端側から収納穴32の反対側へと該収納穴32の上部又は下部のスペースを介して突出した受け部54とを有する。受け部54には、ペン14の突起部24が収納される切欠部32bまでペン14の抜去方向に延びた受け突起54aが設けられている。また、ペン保持部材46は、スライド部材36とは分離して設けられると共に、ペン先保持孔41aを有する。従って、この構成の場合、収納部18にペン14を収納する際には、突起部24によって受け突起54a(受け部54)が押圧されることでスライド部材36がスライド移動し、可動部材38(通電端子31)をペン14の側面に対して進退させることができる。
【0058】
また、例えば、
図6に示す構成例のスライド部材36は、
図5に示すスライド部材36の受け部54の位置を変更した受け部56を有する。受け部56は、ベース部52の基端側から収納穴32の挿入口32aに向かって突出した構成となっている。また、この構成では、ペン14の突起部24を径方向反対側に1枚追加している。従って、この構成の場合にも、収納部18にペン14を収納する際には、追加した突起部24によって受け部56が押圧されることでスライド部材36がスライド移動し、可動部材38(通電端子31)をペン14の側面に対して進退させることができる。
【0059】
図7〜
図10は、本発明の第2の実施形態に係る収納構造10Aでのペン14の収納動作を説明するために機器筐体16の収納部18a付近の内部構造を示した底面斜視図である。ここで、
図7は、収納部18aへのペン14の挿入を開始した直後の状態を示し、
図8は、
図7に示す状態からペン14を収納部18a内の押圧開始位置(所定位置)まで押し込んだ状態を示し、
図9は、
図8に示す状態からペン14をさらに奥まで押し込んだ状態を示し、
図10は、
図9に示す状態からペン14をさらに奥まで押し込み、収納部18aにペン14を完全に収納した状態を示す。なお、第2の実施形態に係る収納構造10Aについて、上記第1の実施形態に係る収納構造10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0060】
図7に示すように、収納構造10Aは、第1の実施形態に係る収納構造10の収納部18のリンク機構34とは構成が異なるリンク機構60を有した収納部18aを備える。リンク機構60は、上記したリンク機構34と同様、収納穴32へのペン14の挿入動作と連動して通電端子31を進退させるものである。リンク機構60は、
図7〜
図10に示すように、収納穴32の側部に沿って延在する長尺プレート状のスライド部材62と、スライド部材62に対して相対移動可能な状態で連結された可動部材64とを備える。
【0061】
スライド部材62は、ペン14の挿抜方向に沿って移動可能な状態で機器筐体16に支持されている。スライド部材62は、収納穴32の側部に沿って延びた長尺プレート状のベース部66と、ベース部66の先端から収納穴32に向かって直交するように突出した受け部68とを有する。
【0062】
ベース部66は、その長手方向に並んだ3個の長孔40a〜40cを有する。最も基端側の長孔40aには制御ピン42が長手方向に摺動可能に挿入されている。残りの長孔40b,40cにはガイドピン43がそれぞれ長手方向に摺動可能に挿入されている。
【0063】
受け部68は、ベース部66から直交することでペン14の挿入方向と直交するように収納穴32を跨いでいる。受け部68には、ペン先20aを挿入可能且つペン先20aの基端部(入力部20の先端面)を挿入不能なペン先保持孔41aが開口形成されている(
図9及び
図10参照)。
【0064】
収納穴32の受け部68の側部となる位置には、収納穴32の内側に向かって常時付勢された板ばね70が設けられている。板ばね70の先端に設けられた弾性凸部26aは、ペン14が収納部18aに完全に収納された状態でペン14の環状溝部25に係合する。
【0065】
可動部材64は、平面視矩形状のプレートに通電端子31を設けた基板39を積層固定した構成である。可動部材64は、その先端縁部がベース部66に設けられた一対のガイド爪部66a,66aによってペン14の挿入方向と直交する方向に摺動可能にガイドされ、その基端縁部がベース部66に設けられたガイド爪部66bによってペン14の挿入方向と直交する方向に摺動可能にガイドされている。これにより、可動部材64は、スライド部材62のペン14の挿抜方向へのスライド移動に伴って移動しつつ、スライド部材62に対して相対的に移動してペン14の側面に向かって進退可能である。可動部材64は、
図7及び
図8に示すようにペン14の収納部18aへの収納が完了していない状態ではペン14から離間した退避位置にあり、通電端子31が収納穴32の内面より没している。
【0066】
可動部材64に設けられた基板39についても、
図2のケーブル48と同様なケーブル(図示せず)を介して機器筐体16に内蔵されたメインバッテリ装置49と接続されている(
図1参照)。従って、ペン14が収納部18aに収納され、通電端子31がペン14の端子30に接続されることで、機器筐体16側のメインバッテリ装置49からペン14側のバッテリ装置28に対し、充電用の電力を供給することができる。
【0067】
可動部材64にも、スライド部材62の移動方向に対して傾斜するように設けられ、ベース部66の長孔40aを挿通した制御ピン42が摺動可能に挿入される制御孔(孔部)50が形成されている。
【0068】
次に、収納構造10Aの収納部18aに対するペン14の収納動作について説明する。
【0069】
ペン14を収納部18aに収納する際には、
図7に示すように入力部20を先頭とし、突起部24を切欠部32bに合わせた姿勢でペン14を挿入口32aから収納穴32内へと挿入する。そして、ペン14を収納穴32内に進動させると、いずれペン先20aが受け部68のペン先保持孔41aに挿入され、入力部20の先端が受け部68に引っ掛かることで
図8に示す押圧開始位置(所定位置)となる。
【0070】
この押圧開始位置からペン14をさらに押し込むと、受け部68が入力部20の先端によって挿入方向へと押圧され、スライド部材62がスライド移動を開始する。そうすると、スライド部材62がペン14と共に挿入方向にスライド移動するのに伴いベース部66に支持された可動部材64も一体的に移動する。
【0071】
その際、制御ピン42は、ベース部66の長孔40a内を摺動しつつ、
図9に示すように可動部材64の制御孔50内を摺動する。これにより、
図8に示す押圧開始位置では、制御孔50の先端側の保持孔部50a内に位置していた制御ピン42は、可動部材64のスライド移動に伴って傾斜孔部50cを摺動して可動部材64を押圧し、可動部材64をガイド爪部66a,66bに沿ってペン14の側面に向かってスライド移動させる(
図9参照)。つまり可動部材64は、ペン14の挿入方向への移動に追従してスライド移動しつつ、通電端子31をペン14の側面に向かって進動させる方向にもスライド移動する。
【0072】
最終的に、
図10に示すように、ペン14が収納穴32内の奥部に突き当たる収納位置まで押し込まれてペン14の収納部18aへの収納動作が完了すると、制御ピン42が制御孔50の基端側の保持孔部50b内に位置して可動部材64がペン14の側面に近接した位置となり、通電端子31がペン14の端子30に接続される。従って、収納部18aに収納したペン14のバッテリ装置28に対し、電子機器12のメインバッテリ装置49からの電力を通電端子31及び端子30を介して供給して充電することができる。
【0073】
このような収納動作時、ペン14が収納部18aに完全に収納された状態で板ばね70の弾性凸部26aがペン14の環状溝部25に係合し、収納部18aに収納されたペン14の抜け止めがなされ、がたつきも防止される。なお、この収納構造10Aに対して
図2〜
図4に示すペン保持部材46を用いてもよく、反対に収納構造10Aの板ばね70を
図2〜
図4に示す収納構造10のペン保持部材46に代えて用いてもよい。
【0074】
一方、収納部18aからペン14を取出す場合には、指先をペン14の突起部24に引っ掛けて抜去方向に引き寄せる。そうすると、ペン14の抜去方向への移動に応じ、スライド部材62はコイルばね45の付勢力によってペン14に追従するように抜去方向にスライド移動するため、可動部材64も一体的に移動する。
【0075】
その結果、
図10に示す収納位置から
図8に示す押圧開始位置までスライド部材62及び可動部材64が移動することで、制御ピン42が収納動作時とは逆方向に制御孔50内を移動し、今度は可動部材64をペン14の側面から離間させる方向にスライド移動させる。つまり可動部材64は、ペン14の抜去方向への移動に追従してスライド移動しつつ、通電端子31をペン14の側面から退動させる方向にもスライド移動する。
【0076】
そして、ペン14が
図8に示す押圧開始位置まで抜去されると、リンク機構60を構成するスライド部材62及び可動部材64はペン14の挿入前の状態に復帰する。従って、ペン14を収納穴32から完全に引き抜いた後、再び収納穴32に挿入する際には上記した収納動作と同様な動作が行われることになる。
【0077】
このように、収納構造10Aにおいても、ペン14が収納穴32の所定位置(押圧開始位置)より奥まで挿入される前の状態では、通電端子31が収納穴32の内面から退避し、ペン14の側面から離間した位置に配置されている。そして、ペン14が収納穴32の押圧開始位置より奥まで挿入される動作にリンク機構60が連動することで、通電端子31をペン14の移動に追従するように移動させつつ、ペン14の側面に向かって進動させ、最終的に収納位置で端子30に接続させる。さらに、ペン14の抜去動作時にも、ペン14が収納位置から押圧開始位置に移動する間のリンク機構60の動作によって通電端子31をペン14の移動に追従するように移動させつつ、ペン14の側面から離間させることができる。このため、ペン14の収納穴32への挿入時及び抜去時に通電端子31がペン14の側面に干渉することが回避され、ペン14の側面に引っ掻き傷等が生じることがなく、また通電端子31に継続的な摺動負荷が生じることもない。
【0078】
なお、この収納構造10Aのスライド部材62についても、
図5及び
図6に示すような受け部54,56を備えたスライド部材36を用いてもよい。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る収納構造10(10A)は、側面に端子30が設けられた棒型電子機器であるペン型入力機器14を電子機器12の機器筐体16に設けられた収納部18(18a)に収納する構造である。そして、収納部18(18a)は、ペン14を挿入して収納する収納穴32と、収納穴32の側部から該収納穴32に挿入されたペン14に向かって進退可能に設けられると共に、ペン14が収納穴32の所定位置まで挿入されていない状態ではペン14の側面から離間した位置に配置される通電端子31と、ペン14が収納穴32の所定位置より奥まで挿入された場合に、通電端子31をペン14の側面に向かって移動させて端子30に接続させるリンク機構34(60)とを備える。
【0080】
従って、収納構造10(10A)では、ペン14が収納穴32の所定位置(
図3及び
図8に示す押圧開始位置)より奥まで挿入される前の状態では、通電端子31が収納穴32から退避してペン14の側面から離間した位置に配置されているため、収納部18(18a)に挿入されるペン14に通電端子31が干渉しない。このため、ペン14の側面に引っ掻き傷等が生じることがなく、また通電端子31に継続的な摺動負荷が生じることもないため、ペン14や通電端子31の品質低下や破損を防止できる。しかも、ペン14が収納穴32の押圧開始位置より奥まで挿入されると、これと連動するリンク機構34(60)によって通電端子31がペン14の側面に向かって移動し、端子30に接続される。このため、電子機器12側からペン14のバッテリ装置28に対して通電端子31及び端子30を介して充電用の電力を確実に供給することができ、ペン14の電池切れ状態を回避できる。
【0081】
この場合、可動部材38(64)は、スライド部材36(62)に対して相対移動可能な状態で連結されており、収納穴32を挿入方向に移動するペン14及び該ペン14に押圧されて移動するスライド部材36(62)と共に、ペン14の挿入方向に沿って移動しながら該ペン14の側面に向かって移動し、通電端子31を端子30に向かって移動させる構成となっている。つまり、ペン14が収納穴32の押圧開始位置より奥まで挿入される挿入動作と連動し、通電端子31がペン14の移動に追従するように挿入方向に移動しつつペン14の側面に向かって進動し、最終的に
図4及び
図10に示す収納位置で端子30に接続される。これにより、挿入時に通電端子31によってペン14が擦れられることをより確実に防止することができる。しかも、ペン14の収納部18(18a)からの抜去時には、ペン14の抜去方向への移動に連動して通電端子31も同方向へと移動しつつ、通電端子31が端子30から退避するため、抜去時に通電端子31が端子30に引っ掛かりペン14が抜け難くなることもない。
【0082】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0083】
上記実施形態では、ペン型入力機器14を電子機器12の機器筐体16に設けた収納部18(18a)に収納し、これを充電する構成を例示したが、ペン型入力機器14以外の棒型電子機器、例えば棒状のバッテリ装置やメモリ装置等の拡張機器を機器筐体に設けた収納部に収納して通電端子を拡張機器側の端子に接続し、通電或いは情報の送受信を行う構成等としてもよい。