【解決手段】システム100は、ユーザに対する触覚効果を生成するように構成及び配置された触覚出力装置160と、化学物質をシステムのユーザに供給するように構成及び配置された化学物質供給装置170と、判定モジュールを含む少なくとも一つのコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成されたプロセッサ110を備える。判定モジュールは、プロセッサ110によって実行されると、ユーザの触覚感覚を変化させる及び触覚出力装置160によって生成される触覚効果を変更すべく、化学物質の供給をいつ開始すべきかを判定する。
前記化学物質供給装置は、前記化学物質を保持するように構成及び配置された容器と、前記容器から前記化学物質を抽出して、前記化学物資を開口部を介して前記ユーザに供給するように構成及び配置された正圧装置とを有する、請求項1に記載のシステム。
【発明の概要】
【0003】
ハンドヘルドデバイスのユーザが感じる触覚フィードバックを改善する必要性が存在する。
【0004】
本発明の一側面によれば、システムのユーザに対して触覚効果を生成するように構成及び配置された触覚出力装置と、化学物質をシステムのユーザに供給するように構成及び配置された化学物質供給装置とを備えるシステムが提供される。
【0005】
一実施形態において、システムはさらに、判定モジュールを含む少なくとも一つのコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成された一の又は複数のプロセッサを更に備え、前記判定モジュールは、前記一の又は複数のプロセッサによって実行されると、前記ユーザの触覚感覚を変化させる及び前記触覚出力装置によって生成される前記触覚効果を変更すべく、前記化学物質の供給をいつ開始すべきかを判定する。
【0006】
一実施形態において、前記化学物質供給装置は、前記化学物質を保持するように構成及び配置された容器と、前記容器から前記化学物質を抽出して、前記化学物資を開口部を介して前記ユーザに供給するように構成及び配置された正圧装置とを有する。
【0007】
一実施形態において、前記化学物質は、保湿剤、局所麻酔薬、導電ゲル及びpH調整剤からなる群から選択される。
【0008】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、前記化学物質供給装置を含み、前記化学物質が前記触覚効果を生成する。一実施形態において、前記触覚効果は、灼熱感、温感、冷感、かゆみ感及び痺れ感からなる群から選択される感覚である。
【0009】
一実施形態において、前記システムは、タブレット、スマートフォン及びゲームコントローラからなる群から選択されるハンドヘルドデバイスの形態である。
【0010】
一実施形態において、前記システムは、前記ユーザの皮膚の状態を検出するように構成されたセンサを更に備える。一実施形態において、前記状態は湿度である。
【0011】
本発明の一態様によれば、電子装置のユーザが感じる触覚効果を変更する方法が提供される。方法は、前記電子装置の前記ユーザの触覚感度を変化させるべく、化学物質供給装置を使用して、前記電子装置の前記ユーザに対して化学物質を供給する工程と、触覚出力装置を使用して、前記電子装置の前記ユーザに対して前記触覚効果を生成する工程とを備える。
【0012】
一実施形態において、前記方法は、前記ユーザの皮膚の状態を検出する工程と、検出された前記状態に基づいて、プロセッサを使用して、前記電子装置の前記ユーザに対する前記化学物質の供給を開始すべきかを判定する工程とを更に備える。
【0013】
本発明の上記及び上記以外の目的、特徴、及び性質、並びに、関連する構成要素の動作方法及び機能、そして製造における各部分の組み合わせと経済性については、添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明と添付の特許請求の範囲を検討することによってさらに明らかになる。これらはいずれも本明細書の一部を構成する。添付図面は例示及び説明のためのものであり、本発明の発明特定事項の定義として用いることは意図されていない。本明細書及び特許請求の範囲における用法によれば、単数形の「a」、「an」及び「the」には複数のものへの言及が含まれる。ただし、文脈によって別に解すべきことが明白な場合はこの限りでない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム100の模式図である。システム100は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、電子ワークブック、電子ハンドヘルド装置(例えば、携帯電話、スマートフォン、ゲーム装置、携帯情報端末(personal digital assistant:「PDA」)、携帯用電子メール装置、携帯用インターネット・アクセス装置、電卓など)、キオスク(例えば、現金自動預け払い機、チケット販売機など)、プリンタ、POS(point−of−sale)装置、ゲームコントローラ、ウェアラブルデバイス等の電子装置、又は、他の電子装置であってもよい。図示されるように、システム100は、プロセッサ110、メモリデバイス120、及び、入出力装置130を備えており、これらはバス140を介して相互に接続されている。一実施形態において、入出力装置130は、タッチスクリーン装置150、触覚出力装置160、化学物質供給装置170、一の又は複数のセンサ180、及び/又は、システム100のユーザからの入力を受信するその他の入力装置、及び、システム100のユーザに情報または化学物質を提供する出力デバイスを含み得る。一実施形態において、システム100は、
図1に示された構成要素全てを1つの装置に組み込んだハンドヘルド電子装置であってもよい。一実施形態において、
図1に示された構成要素のうちの二つ以上が、同じ電子装置内に位置してもよい。一実施形態において、
図1に示された各構成要素は、異なる電子装置に別々に位置してもよい。
【0021】
タッチスクリーン装置150及び触覚出力装置160に加えて、入出力装置130は、特定の入力機構及び出力機構を有する。例えば、入力機構は、キーボード、キーパッド、カーソル・コントロール装置(例えば、コンピュータのマウス)のようなデバイス、スタイラスのようなその他のデータ入力装置、又は、マイクのような音声受信装置を含み得る。出力機構は、コンピュータのモニタ、仮想現実ディスプレイ装置、スピーカのような音声出力装置、プリンタ、又は、その他の周辺装置を含む。入出力装置130は、ユーザからの入力を受けるだけでなくユーザにフィードバックを提供するように設計された機構を含み、例えば、タッチスクリーン装置の多くの例が該当する。
【0022】
タッチスクリーン装置150は、任意の適切なヒューマン・コンピュータ・インターフェースまたはタッチ/コンタクト表面アセンブリとして構成されてもよい。タッチスクリーン装置150は、任意のタッチスクリーン、タッチ・パッド、タッチセンサー構造体(touch sensitive structure)、コンピュータ・モニタ、ラップトップディスプレイ装置、ワークブックディスプレイ装置、キオスク・スクリーン、ポータブル電子装置のスクリーン、又は、その他の好適な接触感知装置であってもよい。タッチスクリーン装置150は、スタイラスや指などのユーザによって制御された装置との物理的なインタラクションのために構成され得る。実施形態によっては、タッチスクリーン装置150は少なくとも1つの出力装置および少なくとも1つの入力装置を備えている。例えば、タッチスクリーン装置150は、例えば、画像を表示するように構成された視覚ディスプレイ152及びタッチセンサー式スクリーンと、その表面に重ねて設けられる少なくとも1つのセンサを備え、ユーザの指又はユーザが制御するスタイラスからの入力を受信する。視覚ディスプレイ152は、高解像度ディスプレイ・スクリーンを含み得る。
【0023】
様々な実施形態において、触覚出力装置160は、システム100のユーザがシステム100の少なくとも一部に接触している間に、当該ユーザに触覚フィードバックを提供するように構成され得る。例えば、触覚出力装置160は、ユーザが、タッチスクリーン装置150及び/又はシステム100別の部分、例えば、少なくとも入出力装置130を収容する筐体に接触している時に、触覚効果を与えるべく、タッチスクリーン装置150に触覚フィードバックを提供してもよい。システム100とのインタラクションが発生する時のユーザエクスペリエンスを向上させるのに、触覚効果を使用してもよい。
【0024】
触覚出力装置160によって提供される触覚フィードバックは、振動、変形、運動感覚、静電摩擦又は超音波摩擦等の触覚効果を生成する任意の方法によって生成されてもよい。一実施形態において、触覚出力装置160が備え得るアクチュエータは、例えば、偏心質量体がモータにより動かされる偏心回転質量体(「ERM」)などの電磁アクチュエータ、ばねに取り付けられた質量体が前後に駆動されるリニア共振アクチュエータ(「LRA」)、又は圧電材料、イオンベース又は電子ベースの電気活性ポリマーのような電気活性ポリマー、形状記憶ポリマー、スマートヒドロゲルもしくは形状記憶合金などの「スマートマテリアル」、マクロ複合繊維アクチュエータ、静電気アクチュエータ、電気触感アクチュエータ、ナノ複合材アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、及び/又は、例えば、振動触覚フィードバックである物理的フィードバックを提供する他の種類のアクチュエータである。触覚出力装置160は、非機械的装置又は非振動装置、例えば、静電摩擦(「ESF」)や超音波摩擦(「USF」)を用いる装置、超音波触覚トランスデューサを用いて音響放射圧力を生じさせる装置、触覚基板及び可撓性もしくは変形可能な表面を用いる装置、又は、熱的効果を提供する装置、又は、エアジェットを用いた空気の吹きかけなどの発射型の触覚出力を提供する装置などを含んでもよい。以下に更に詳細に説明するように、複数の触覚出力装置160を使用して、様々な異なる触覚効果を生成してもよい。
【0025】
化学物質供給装置170の一実施形態が、
図2に概略的に示されている。図の実施形態では、化学物質供給装置170は、参照番号203と表されている化学物質を保持するように構成及び配置された容器202を備える。化学物質203は、タッチ増強化学物質、若しくは、触覚出力装置160によって生成される触覚効果に対する人が持つ感度を変化させることが可能な化学物質であってもよい。または、以下に詳細に説明するように、化学物質203は、触覚効果を提供するのに使用されてもよい。化学物質203は、例えば、粉末、液体、クリーム、又は、ゲルの形態であってもよい。
【0026】
一実施形態において、化学物質203は、保湿剤、タルク、制汗剤、又は、皮膚の水分に影響を与える任意のその他の化学物質であってもよい。例えば、お年寄りの場合、保湿剤によって触覚感覚を改善させることができることが知られている。また、タルク及び制汗剤は、皮膚の湿り気を低減させることから、触覚感度に影響を与える。また、ドライスキンや皮膚肥厚によって触覚感度が低下することが知られており、ドライスキンの症状を改善する又は皮膚肥厚を治療する化学物質を使用することで、触覚感度を改善させることができると考えられる。皮膚のpHを変化させることによっても触覚感度に作用することができることから、本発明の一実施形態において、皮膚のpHを変化させる化学物質を使用してもよい。一実施形態において、化学物質203としてはアルギニンクリームやセルライトクリームのような、血流を増加させる物質を含んでもよく、それによって触覚感度を改善させてもよい。
【0027】
一実施形態において、化学物質203は、ゲルの形態であってもよい、及び/又は、皮膚をきれいにすることができ、角質を取り除くことができる有効成分を含有してもよく、それにより触覚感度を向上させてもよい。一実施形態において、化学物質203は、典型的には電極に使用される導電ゲルであってもよく、静電摩擦又は電気触覚刺激の提供に影響を与えるように構成されてもよい。ゲル及びその他の粘性を有する化学物質によって機械的な振動によって引き起こされる感覚を変化させてもよく、振動を減衰する又は良好な機械的接触を可能とすることができる。
【0028】
3,4−メチレンジオキシ−メタンフェタミンを含むアンフェタミンを含有する薬品のような特定の薬品は、皮膚の過敏性を引き起こすことが知られている。本発明の実施形態の化学物質203として、同様な過敏性を引き起こす合法的な化学物質又は薬品が使用されてもよい。本発明の実施形態において、末梢神経障害を患う患者の触覚感度を回復させるのに使用される化学物質又は薬品が、化学物質203として使用されてもよい。
【0029】
本発明のある実施形態では、ユーザの触覚感度を向上させるのではなく、低下させるような態様で、ユーザの触覚感度を変化させるのに化学物質203が使用されてもよい。例えば、一実施形態では、ユーザの皮膚の触覚感度を低下させる又は皮膚の感覚を失わせるような局所麻酔薬を使用して、望ましくない触覚感覚を隠す、ゲームにおいて一時的に難易度を上げる、ゲームアバターの物理的状態を反映させる等を行ってもよい。
【0030】
一実施形態において、化学物質203は、システムのユーザに対して特定の触覚感覚を提供するように選択されてもよく、例えば、温感、灼熱感、冷感又はかゆみ感を提供するように選択されてもよい。例えば、カプサイシン含有軟膏又は筋肉マッサージクリームを使用して、灼熱感を生じさせてもよい。あるいは、メンソール、ペパーミントオイル、アルコール又はアロエベラを使用して、冷感を生じさせてもよい。ツタウルシやかゆみ粉に含まれるような化学物質を使用して、かゆみ感又は軽い皮膚刺激を引き起こしてもよい。化学物質によっては、発熱反応を引き起こして皮膚を温めることができる。温感をそのまま触覚効果として使用してもよいし、皮膚の温度によって触覚感度が変化することから、触覚感度を変化させるのに使用してもよい。化学物質によっては、吸熱反応を引き起こして皮膚を冷却することができる。
【0031】
一実施形態において、化学物質203は、皮膚の粘着度を変化させるように選択されてもよく、皮膚の粘着度を高くする又は滑りやすくすることによって、コンテキストに応じて、ユーザが接触するシステム100の表面をべたべたさせる又は滑るようにするのに使用できる。一実施形態において、ユーザが化学物質203に接触した後で、このような化学物質により、上記のシステム100の入出力装置130のタッチスクリーン又はボタンが、べたべたする又は滑りやすいといった感覚にすることができる。これは、上記したように、皮膚の水分を制御することによって行われてもよい。または、オイル及び粘着性物質のようなその他の化学物質を供給することにより行われてもよい。反対の性質を有する化学物質(例えば、オイルの後に粘着性物質)を供給する、又は、最初の化学物質を「除去」する化学物質(例えば、粘着性物質を溶解するアルコール、オイルを吸収するタルク等)を供給することにより、特定の化学物質によって引き起こされる効果を弱めてもよい。
【0032】
一実施形態において、化学物質203は、触覚効果の解釈に間接的に影響を与える香りを有していてもよい。例えば、好ましい香りは、ユーザに対してポジティブな効果を有する触覚感覚につながると考えられる。
【0033】
化学物質供給装置170は、システム100の壁208の開口部206を通じて、容器202から化学物質203を供給するように構成及び配置された正圧装置204を備えてもよく、それによりシステム100のユーザと化学物質203が接触して、触覚出力装置160によって生成される触覚効果に対するユーザの感度を変更することができる。一実施形態において、正圧装置204は、容器202からの化学物質203の放出を制御するように構成されたマイクロポンプ及びマイクロバルブを備えてもよい。一実施形態において、正圧装置204は、システム100のユーザが化学物質供給装置170を備えるシステム100の一部分をしっかりと握る又は強く押すと、化学物質を容器202から押し出して開口部206を通過させるように構成及び配置された空気圧系統を備えてもよい。一実施形態において、一つの又は複数の孔を有する膜を介した浸透圧によって、容器202から化学物質203が放出されるようにしてもよい。
【0034】
一実施形態において、化学物質供給装置170は、化学物質203の放出を促進する又は抑制する機構又は装置を備えてもよい。例えば、化学物質供給装置170の一部分が、僅かに加熱又は冷却されて、化学物質203の放出に影響を与えるようにされていてもよい。一実施形態において、化学物質203が放出されるのに使用される膜の孔のサイズが、当該膜を加熱することにより又は別の化学物質を使用することにより変化してもよく、孔のサイズが変化する当該膜を通じて化学物質203が放出されてもよい。一実施形態において、筐体の一部分を帯電させて、化学物質203の放出に作用させるようにしてもよい。
【0035】
図1に示すように、プロセッサ110は、汎用又は特殊用途プロセッサ、あるいはシステム100の動作及び機能を管理又は制御するマイクロ・コントローラである。例えば、プロセッサ110は、触覚効果を提供するために、触覚出力装置160への出力信号を制御する特定用途向け集積回路(application−specific integrated circuit:「ASIC」)として、特に設計されてもよい。プロセッサ110は、所定の因子に基づいて、化学物質供給装置170によって化学物質203が供給されるべきかを決定する、及び/又は、プロセッサ110が受信した又は決定した触覚信号に基づいてどのような触覚効果が生成されるべきか、当該触覚効果がどのような順序で生成されるべきか、及び、どの程度の大きさ、頻度、持続時間の触覚効果とすべきか、及び/又は、触覚効果のその他のパラメータについて、決定してもよい。また、プロセッサ110は、特定の触覚効果を提供するために触覚出力装置160を駆動するのに使用することができるストリーミング・コマンドを提供するように構成されてもよい。ある実施形態では、プロセッサ110は複数のプロセッサであってもよく、当該複数のプロセッサの各々がシステム100の内部で特定の機能を果たすように構成されている。プロセッサ110についての詳細は後述する。
【0036】
メモリデバイス120としては、内部に固定された1つ又は複数の記憶ユニット、リムーバブル記憶ユニット及び/又はリモート・アクセスが可能な記憶ユニットを含む。これら様々な記憶ユニットは、揮発性メモリと不揮発性メモリとのいかなる組合せをも含み得る。記憶ユニットは、情報、データ、命令、ソフトウェア・コードなどのいかなる組合せをも記憶し得るように構成されている。より具体的には、記憶ユニットは、触覚効果のプロフィール、触覚出力装置160がいかにして駆動されるかを指示する命令又は触覚効果を生成するためのその他の情報を含む。記憶ユニットは、感度プロファイル、化学物質供給装置170をどのように動作させるかを示す命令、又は、化学物質203をシステム100のユーザに供給するためのその他の情報を有してもよい。
【0037】
図3は、プロセッサ110の一実施形態をより詳細に例示している。プロセッサ110は、一つの又は複数のコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成されてもよい。当該一又は複数のコンピュータプログラムモジュールは、センサモジュール112、判定モジュール114、化学物質供給制御モジュール116、触覚出力装置制御モジュール118及び/又はこれら以外のモジュールのうちの一又は複数を備えることができる。プロセッサ110は更に、メモリデバイス120と同じであってもよい電子記憶装置119を備えてもよい、又は、メモリデバイス120に加えて当該電子記憶装置を備えてもよい。プロセッサ110は、モジュール112、114、116、及び/又は118を実行する際に、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、及び/又は、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアの任意の組み合わせを用いてもよい、及び/又はプロセッサ110の処理能力を構成する他の機構を用いてもよい。
【0038】
図3においてモジュール112、114、116、及び118は単一の処理装置内の同じ位置に配置されるものとして示されるが、プロセッサ110が複数の処理装置を含む実施形態においては、モジュール112、114、116、及び/又は118のうちの一又は複数が他のモジュールから離れて配置されてもよい。以下の異なるモジュール112、114、116、及び/又は118によって提供される機能の記述は説明のためのものであり、限定を意図したものではない。モジュール112、114、116、及び/又は118はいずれも記述されるよりも多くの、又は少ない機能を提供してもよい。例えば、モジュール112、114、116、及び/又は118のうちの一又は複数を取り除き、その機能の一部又はすべてを、モジュール112、114、116、及び/又は118のうちの他のモジュールで提供してもよい。他の例として、以下でモジュール112、114、116、及び/又は118のうちの1つに帰せられる機能の一部又はすべてを実行する1つ又は複数の追加的なモジュールを実行するように、プロセッサ110が構成されてもよい。
【0039】
センサモジュール112は、センサがシステム100のユーザからの入力を検出すると生成されるタッチスクリーン装置150と関連付けられたセンサからの入力信号を受信するように構成される。複数のセンサが存在する実施形態では、センサモジュール112は、複数のセンサからの入力信号を受信及び処理するように構成される。センサモジュール112は、入力信号の強度を、所定の閾値強度と比較することによって、検出された入力が、意図した入力なのか又はタッチスクリーン装置150に意図せず接触しただけなのかを判定するように構成され得る。この場合、所定の閾値強度は、意図した入力に対応する。システム100の一実施形態において、複数のセンサ180のうちの一つが、ユーザがシステム100の一部分に触れた時に、ユーザの皮膚の含水量、すなわち、湿度又はpHを測定するように構成されてもよい。センサモジュール112はまた、更なる処理のために信号を判定モジュール114へと送信するように構成される。
【0040】
判定モジュール114は、入力をタッチスクリーン装置150に供給する時に、ユーザが何を意図したかを判定するように構成される。例えば、ユーザが、タッチスクリーン装置150のある場所をタッチする、又は、タッチスクリーン装置150に対して特定のジェスチャを行って、システム100が特定の機能を実行すべきことを示すことが考えられる。判定モジュール114は、複数の予め定められたジェスチャ及びタッチスクリーン装置150上の複数のタッチロケーションをライブラリとしてプログラムしていてもよく、ユーザがタッチスクリーン装置150の特定の場所をタッチすると、又は、ユーザがタッチスクリーン装置150に対してあるジェスチャを行うと、判定モジュール114が、対応する出力を判断してもよい。例えば、システム100がスマートフォンである一実施形態では、ユーザは、指でタッチスクリーン装置150上に記号を描いて、判定モジュール114は、描かれた記号が特定のコマンドに対応しているかを判定してもよく、例えば、スマートフォンのロックを解除するコマンドに対応している場合には、ユーザは自由にスマートフォンとのインタラクションを行えるようになる。一実施形態において、判定モジュール114は、センサモジュール112から受信する信号の代わりに又はこれに加えて、触覚効果が生成される予定であることを示す入力を供給するリモートデバイス、例えば、タイマからの信号を受信するように構成されてもよい。加えて、判定モジュール114は、触覚出力装置制御モジュール118に信号を出力して、入力が検出されたこと及び/又は受け入れられたことを確認する触覚効果を、ユーザに提供してもよい。
【0041】
判定モジュール114はまた、センサ180によって測定されたユーザの皮膚の湿度又はpHが、触覚出力装置160によって生成される触覚効果を当該ユーザが感じるのが難しい又は当該ユーザの触覚感度が低いことを示すレベルであるか否かを判定するように構成されてもよい。判定モジュール114が、触覚感度が所定の閾値を下回っているようだと判定した場合、判定モジュール114は信号を化学物質供給制御モジュール116へと出力してもよい。
【0042】
判定モジュール114が化学物質203をユーザに供給すべきであると判定した場合には、化学物質供給制御モジュール116は、判定モジュール114から出力信号を受信して、化学物質203の供給を開始させるべく化学物質供給装置170に信号を送信するように構成されてもよい。化学物質供給制御モジュール116は、化学物質供給装置170についてのパラメータを提供するルックアップテーブルを備えてもよく、例えば、供給すべき化学物質203の量(すなわち、投与量)、化学物質203をユーザに供給する期間等が示されるルックアップテーブルを備えてもよい。
【0043】
触覚出力装置制御モジュール118は、判定モジュール114からの出力信号を受信して、判定モジュール114が生成する信号に基づいて、触覚出力装置160によって生成されるべき触覚効果を決定するように構成される。一実施形態において、触覚出力装置制御モジュール118は、判定モジュール114から受信する信号の代わりに又はこれに加えて、触覚効果が生成される予定であることを示す入力を供給するリモートデバイス、例えば、タイマからの信号を受信するように構成されてもよい。触覚効果を決定することは、触覚効果の種類及び触覚効果の一又は複数のパラメータを決定することを含み、例えば、触覚効果の大きさ、頻度、継続時間等を決定する。一実施形態において、タッチスクリーン装置150は、剛性を有し、触覚出力装置160によって生成された静電摩擦および超音波表面振動(これらに限定されない)によって摩擦特性を調整するように構成されたディスプレイ表面を備え、これにより、ユーザがディスプレイ上の画像に対応する部分で指またはスタイラスを動かすと、表面レリーフ(例えば、凸と凹)の感覚を得ることができる。一実施形態において、化学物質供給装置170における化学物質203が触覚効果を提供すべき場合には、触覚出力装置制御モジュール118は化学物質供給装置170に対して信号を出力してもよい。
【0044】
図4A及び
図4Bは、ハンドヘルド電子装置400の形態の、
図1のシステム100の一実施形態を示す。電子装置400は、スマートフォン、タブレット、ゲームコントローラ等であってもよい。
図4Aに示すように、電子装置400は、画像421を表示するように構成されたタッチスクリーン420を支持する筐体410を備える。タッチスクリーン420のディスプレイを覆うようにセンサ422が設けられており、タッチスクリーン420上のユーザの指Fによる入力を検出するように構成されている。上記したように、触覚出力装置によるタッチ入力に応答して、触覚効果HEが生成されてもよい。
【0045】
図4Bに示すように、筐体410はまた、筐体の背面及び/又は側面を覆うように設けられ、ユーザが電子装置400を保持するとユーザの皮膚の状態を検出するように構成されたセンサ412を支持してもよい。一実施形態において、センサ412は、ユーザの皮膚の湿度を検出するように構成される。一実施形態において、センサ412は、ユーザの皮膚のpHを検出するように構成される。
図4Bに示すように、筐体410は、複数の開口部414を有してもよい。開口部414は、
図2に示した開口部206と同様に構成及び配置されてもよく、判定モジュール114が化学物質203をユーザに供給して当該ユーザの触覚感度を向上させるべきだと判断した場合に、化学物質203をユーザに供給するように構成されている。一実施形態において、化学物質203が開口部414を介して供給されることにより、ユーザに対して触覚効果が生成されてもよい。
【0046】
複数の開口部414が図示されているが、本発明の一実実施形態では、ユーザが発見容易な位置に最低1個の開口部が設けられてもよい。例えば、
図4Bに示す実施形態では、筐体410の一つの角部に位置決め機構418を有する開口部416が設けられて、ユーザが、電子装置400との更なるインタラクションのために化学物質203の投与量を受け取るための開口部416を見つけやすくしている。位置決め機構418は、例えば、凹部又は凸部の形態であってもよい。一実施形態において、開口部416又は複数の開口部414を介して供給された化学物質203は、上記したように、灼熱感、冷感、かゆみ又はチクチクする感覚のような触覚効果
を生成するのに使用されてもよい。
【0047】
一実施形態において、特に、化学物質が触覚感度を向上させる場合、センサ412が、ユーザが電子装置400を握っていることを検出した時に、電子装置400の筐体410が化学物質203を連続的に供給するように構成されてもよい。一実施形態において、筐体410自体が、例えば、皮膚の熱又は湿度と反応する物質を含み、ユーザが筐体を握ると、保湿剤のような化学物質203を少量放出してもよい。一実施形態において、湿度レベルが変化した場合のマイクロアクチュエーションにバクテリアを使用してもよい。
【0048】
本発明の実施形態の実装は、様々な種類の電子装置において達成可能である。例えば、皮膚が荒れた状態のユーザは、当該ユーザのタブレットで触覚効果を感じるのが難しい場合がある。一実施形態では、電子装置400は、タブレットの形態であってもよく、ユーザがタブレットを保持する時にユーザのタッチの感覚を時間の経過に伴って改善させる化学物質を含む特別なコーティングが施されていてもよい。数週間使用すると、ユーザはタブレットが提供する触覚フィードバックに違いを感じ始めるように構成されてもよい。
【0049】
一実施形態において、電子装置400は、ビデオゲームコントローラの形態であってもよい。ゲーム機でユーザがゲームをプレイしている時に当該ユーザのキャラクターが川に落ちると、ゲームコントローラが突然非常に冷たく感じられるようにしてもよい。また、ユーザのキャラクターが火の中を歩いた時に、当該ユーザの手が灼熱感及びヒリヒリ感を感じ始めるようにしてもよい。また、キャラクターが負傷し死にそうな状態になると、ユーザの手が痺れて、当該ユーザがコントロールを操作するのが難しくなるようにしてもよい。ゲームコントローラによってユーザに供給される様々な化学物質203により、冷感、灼熱感、チクチク感及び痺れ感といった様々な感覚が生成されてもよい。一実施形態において、ゲームのキャラクターがオイルの中で滑るとゲームコントローラが滑りやすくなる、又は、ゲームのキャラクターが蜘蛛の巣の中を歩くときにはゲームコントローラがべたべたするように構成されてもよい。
【0050】
一実施形態において、システム100は、タブレット及びユーザが絵を描くのに使用してもよいスタイラスを備えてもよい。システムが提供する触覚フィードバックにより本物のブラシを持つ感覚を再現して、ユーザがより正確に絵を描けるように補助してもよい。スタイラスは化学物質供給装置を備え、ユーザがスタイラスを握ると、当該スタイラスの表面に少量の化学物質203が供給されてユーザの指に接触し、このようにタブレット又はスタイラスを介してシステムによって供給される触覚効果がよりはっきりとした強いものに感じられるようにしてもよい。
【0051】
一実施形態において、電子装置400はスマートフォンであってもよく、ユーザは当該スマートフォンで映画を見ることができてもよい。スマートフォンの筐体を介して好適な化学物質203を供給することにより、映画の中のアクションに合致するような灼熱感やチクチクした感覚等、ユーザが様々な感覚を感じるようにしてもよい。このような感覚を、触覚出力装置160によって生成される振動と組み合わせることにより、全体的な効果をリアルに及び没入感を有するように構成できる。一実施形態において、例えば、ユーザがメッセージの作成において「送信」ボタンを押し忘れた場合には、化学物質203によりスマートフォンがべたべたするようにして、ユーザがスマートフォンを離しにくくするようなスマートフォンの一実施形態を提供する特性を化学物質203が有してもよい。
【0052】
一実施形態では、触覚感度を向上させるべく、ユーザの手が電子装置400に接触する都度、化学物質203が供給される。一実施形態では、例えば、ゲームにおける特定の瞬間に触覚効果を生成するといったように、電子装置400のプロセッサ110を使用して化学物質203の放出を制御することが有用である。
【0053】
一実施形態では、スタイラスやラップトップコンピュータのハンドレストのような、触覚フィードバックを生成する電子デバイスと共に使用される別個の装置を介して化学物質203が供給されてもよい。一実施形態では、化学物質供給装置170が、筐体又はその他の市販のアクセサリの形態の電子装置400に供給されてもよい。
【0054】
本明細書に記載された実施形態は、実施可能な実装例および実施例であるが、本発明を特定の実施形態に制限することを必ずしも意図するものではない。むしろ、これらの実施形態には、当該技術分野における当業者に理解できるような変更を加えることができる。このような変更が加えられた態様も本発明の要旨及び範囲に含まれ、そして以下の請求項によって保護されるべきものである。