【課題】コンタクトと当該コンタクトに接続される部材との接触の態様をより均一にできるとともに、基板との絶縁をより確実に実現でき、且つ、低背化を達成できる電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタ3のハウジング6の嵌合部25には、挿入方向D1に沿って変位する相手側接続部材4が挿入される。コンタクト5は、ハウジング6に対して挿入方向D1と平行な方向に沿って変位されることで嵌合部25に挿入される。コンタクト5は、回路基板2の導電部2cに接触するための第1接触部11と、相手側接続部材4の導電部4bに接触するための第2接触部12と、第1接触部11および第2接触部12を互いに連結する連結部13と、を有している。ハウジング6は、一体成形品である。ハウジング6の第1絶縁部27は、厚み方向Z1において連結部13の直線状部14bと回路基板2の縁部2gとの間に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した構成によると、コンタクトは、ハウジングの厚み方向に沿ってハウジングに挿入されることで、ハウジングに圧入固定されている。このため、ハウジングの厚み方向に関して、ハウジングに対するコンタクトの位置が、ばらつき易い。
【0007】
ハウジングの厚み方向に関して、ハウジングに保持された各コンタクトの位置がばらついている場合、ハウジングの厚み方向における各コンタクトとFFCの対応するコンタクトとの接触位置(接点高さ)にばらつきが生じ易い。すなわち、各コンタクトとFFCの対応するコンタクトとの接触圧を均一にし難くなる。その結果、各コンタクトとFFCの対応するコンタクトとの接触状態を安定させ難い。
【0008】
同様に、ハウジングの厚み方向に関して、ハウジングに保持されたコンタクトの位置がばらついている場合、ハウジングの厚み方向における各コンタクトと基板の表面との接触位置にばらつきが生じる。すなわち、各コンタクトと基板の対応する電極との接触状態(リードコプラともいう)にばらつきが生じる。その結果、はんだを用いたコンタクトと基板との接続の態様を、均一にし難い。
【0009】
なお、ハウジングの厚み方向におけるコンタクトの位置を規定するための位置決め部をハウジングに設けることも考えられる。しかしながら、低背化の要請の強い電気コネクタにおいては、ハウジングに上記の位置決め部を設けることは、電気コネクタの厚みを増してしまうこととなり、好ましくない。
【0010】
また、電気コネクタにおいては、基板のうち意図しない箇所とコンタクトとがショートすることを抑制するために、より確実に基板との間で絶縁を実現できるようにすることが要請されている。特に、LED(発光ダイオード)等の比較的高温に発熱する部品を基板に実装する場合には、放熱性を高める為、金属製の回路基板が使用されることがある。金属製の回路基板は、金属基板の実装面に絶縁層と導電層と絶縁層とを積層することで形成される。また、金属製の基板において、基板および当該基板に取り付けられる電気コネクタの全体としての厚みを小さくするため(低背化のため)に、基板の一縁部をくり抜いてくり抜き部を形成する場合がある。この場合、くり抜き部に、電気コネクタが配置される。そして、くり抜き部を形成する場合、一般的に、金属製の基板に絶縁層と導電層と絶縁層とを積層した後に、基板をくり抜いてくり抜き部を形成する。くり抜き部が形成される際において、くり抜き部の縁部の断面は、絶縁処理が残存しない断面となり、導電部が露出することとなる。このような断面に対しては、一般的に、コストダウンのために、再度の絶縁処理は行われない。
【0011】
このような金属基板に接続される電気コネクタにおいて、当該電気コネクタのコンタクトと、基板のくり抜き部の縁部との絶縁(十分に大きい沿面距離)を確保できる構造が要望されている。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、コンタクトと当該コンタクトに接続される部材との接触の態様をより均一にできるとともに、基板との絶縁をより確実に実現でき、且つ、低背化を達成できる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面にかかる電気コネクタは、所定の挿入方向に沿って延びる嵌合部を有し、前記挿入方向に沿って前記嵌合部に相手側接続部材が挿入されるように構成されたハウジングと、前記挿入方向と平行な方向に沿って前記ハウジングに対して変位されることで少なくとも一部が前記嵌合部に挿入され、前記ハウジングに保持されるコンタクトと、を備え、前記コンタクトは、所定の基板の導電部に接触するための第1接触部と、この第1接触部とは前記平行な方向に離隔して配置され、前記嵌合部に挿入された前記相手側接続部材の導電部に接触するための第2接触部と、前記第1接触部および前記第2接触部を互いに連結する連結部と、を有し、前記ハウジングは、前記嵌合部が形成されたハウジング本体と、このハウジング本体とは一体成形され、前記挿入方向と直交する方向としてのハウジング厚み方向において前記連結部と前記基板との間に配置されるように構成された第1絶縁部と、を有していることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、ハウジングの嵌合部へコンタクトを挿入する方向は、相手側接続部材をハウジングへ挿入する挿入方向と平行である。このような構成であれば、コンタクトは、嵌合部に対して、ハウジングの厚み方向に位置決めされた状態で、ハウジングに挿入されることとなる。よって、ハウジングの厚み方向に関して、コンタクトとハウジングとの相対位置にばらつきが生じることを抑制できる。これにより、ハウジングの厚み方向において、コンタクトと相手側接続部材の対応する導電部との接触位置にばらつきが生じることを抑制できる。すなわち、コンタクトと対応する導電部との接触圧をより均一に近い状態にすることができる。よって、コンタクトと導電部との接触状態をより安定させることができる。さらに、ハウジングの厚み方向におけるコンタクトと基板との接触位置にばらつきが生じることを抑制できる。これにより、コンタクトと基板の対応する導電部との接触状態にばらつきが生じることを抑制できるので、コンタクトおよび基板の導電部同士の接続の態様を、より均一にできる。
【0015】
また、ハウジングの第1絶縁部は、ハウジング厚み方向においてコンタクトの連結部と基板との間に配置される。この構成によると、基板のうちコンタクトとの間で絶縁状態を確保する必要のある箇所と当該コンタクトとを、第1絶縁部によって絶縁できる。よって、基板のうちコンタクトとの絶縁を確保する必要のある箇所と基板との絶縁を、より確実に実現できる。しかも、コンタクトの連結部と基板との間に第1絶縁部が配置されているので、基板と連結部とを、ショートを防止しつつハウジングの厚み方向に近接して配置することができる。これにより電気コネクタと基板とが接続された状態において、厚み方向における、電気コネクタおよび基板の長さをより短く(低背化)できる。また、コンタクトの第1接触部と第2接触部とは、挿入方向と平行な方向に並んで配置されている。これにより、挿入方向と直交する厚み方向におけるコンタクトの長さをより短くできる。すなわち、電気コネクタの低背化を達成できる。
【0016】
以上の次第で、本発明によると、コンタクトと当該コンタクトに接続される部材との接触の態様をより均一にできるとともに、基板との絶縁をより確実に実現でき、且つ、低背化を達成できる電気コネクタを提供することができる。
【0017】
(2)好ましくは、前記コンタクトの前記連結部は、前記第1絶縁部と前記厚み方向に向かい合い前記第1接触部に連続する第1部分と、前記挿入方向および前記厚み方向の双方に直交する方向としてのハウジング幅方向において前記第1絶縁部の側方に配置され、前記第1部分および前記第2接触部を繋ぐ第2部分と、を有している。
【0018】
この構成によると、コンタクトの連結部の形状を、L字状の部分を含む形状にすることができる。このような構成により、ハウジングの厚み方向におけるコンタクトの長さを短くしつつ、第1絶縁部によって、コンタクトの連結部の第1部分と基板との間を、より確実に絶縁できる。すなわち、電気コネクタにおいて、低背化と絶縁性の確保とをより確実に達成できる。
【0019】
(3)より好ましくは、前記ハウジングは、前記幅方向における前記第1絶縁部の側方に形成されて前記第2接触部を前記挿入方向と反対の方向から前記嵌合部に挿入するための挿入孔部を有している。
【0020】
この構成によると、コンタクトを、挿入方向と反対方向から挿入孔部を通してハウジングに容易に嵌め入れることができる。
【0021】
(4)好ましくは、前記ハウジングは、前記第1絶縁部と前記ハウジング本体とに連続する補強リブを有している。
【0022】
この構成によると、補強リブが設けられていることにより、第1絶縁部の剛性を、より高くできる。特に、低背化の要請の強い多極の電気コネクタにおいては、ハウジングの幅方向に細長いハウジングにおいて、第1絶縁部を含むハウジング全体の曲げ剛性などの剛性を、より高くできる。
【0023】
(5)好ましくは、前記ハウジングは、前記ハウジング本体および前記第1絶縁部と一体成形された第2絶縁部を有し、前記第2絶縁部は、前記平行な方向において、前記連結部と前記基板とを離隔させるように配置される。
【0024】
この構成によると、コンタクトの連結部と基板との間に第2絶縁部が配置されるので、基板の縁部と連結部とを、絶縁性を確保しつつ挿入方向と平行な方向に近接配置できる。よって、電気コネクタと基板とを、全体としてよりコンパクトにできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、コンタクトと当該コンタクトに接続される部材との接触の態様をより均一にできるとともに、基板との絶縁をより確実に実現でき、且つ、低背化を達成できる電気コネクタを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、電気コネクタとして、種々の用途に広く適用することができる。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態にかかる電気コネクタ3および相手側接続部材4の一部を切断した状態を示す斜視図であり、電気コネクタ3の底壁部21側を見た状態を示している。
図2は、電気コネクタ3の斜視図であり、電気コネクタ3の天壁部22側を見た状態を示している。
図3は、電気コネクタ3を含む電気機器モジュール1の断面図である。
図4は、電気コネクタ3のコンタクト5の斜視図である。なお、電気コネクタ3の図面については、繰り返し表れる箇所の図示を一部省略している場合がある。
【0029】
図1〜
図3を参照して、電気機器モジュール1は、たとえば、液晶表示装置のバックライト装置の一部として設けられており、液晶表示装置の液晶パネル(図示せず)の背面側に配置される。なお、電気機器モジュール1(電気コネクタ3)は、液晶パネルのバックライト装置に限らず、種々の装置に適用することができる。電気機器モジュール1は、液晶パネルの背面など、厚みの薄い空間に配置される。よって、電気機器モジュール1は、当該電気機器モジュール1の占める厚みを可及的に小さくするための構成が採用されている。以下、より具体的に説明する。
【0030】
電気機器モジュール1は、回路基板2と、電気コネクタ3と、相手側接続部材4と、を有している。
【0031】
回路基板2は、金属板などの主体部2aに絶縁層2b、導電層2c、および、絶縁層2dを形成した構成を有している。すなわち、回路基板2は、平板状の主体部2aと、絶縁層2bと、並列配置された複数の導電部2c(図では、導電部2cは1つのみ表示)と、絶縁層2dと、を有している。なお、
図3では、絶縁層2b,2dおよび導電部2cは、誇張して表示している。また、以下では、特に説明無き場合、電気コネクタ3に回路基板2および相手側接続部材4が接続された状態を基準として説明する。
【0032】
また、以下では、電気コネクタ3の幅方向X1を単に「幅方向X1」といい、電気コネクタ3の幅方向X1と直交する長さ方向Y1を単に「長さ方向Y1」といい、幅方向X1及び長さ方向Y1の双方に直交する厚み方向Z1を単に「厚み方向Z1」という。
【0033】
主体部2aは、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた金属材料を用いて形成されている。主体部2aの外表面(上面)には、絶縁層2bが形成されている。これにより、主体部2aと各導電部2cとが絶縁されている。この導電部2cの表面(上面)の大部分は、絶縁層2dによって被覆されている。各導電部2cには、電極2eが形成されており、この電極2eが絶縁層2dから露出している。各導電部2cは、図示しないLED(Light Emitting Diode)に接続されている。すなわち、回路基板2の表面に、負荷としてのLEDが実装されている。電極2eは、回路基板2において、電気コネクタ3の幅方向X1に沿って等間隔に複数設置されている。
【0034】
回路基板2の一縁部は、当該回路基板2を当該回路基板2の厚み方向に貫通するようにくり抜かれて形成されたくり抜き部2fを有している。くり抜き部2fには電気コネクタ3の一部が収容されていることで、電気機器モジュール1全体としての厚み(厚み方向Z1の長さ)が小さくされている。すなわち、電気機器モジュール1が低背化されている。
【0035】
くり抜き部2fの縁部2g(回路基板2のうち電気コネクタ3の後述する第2絶縁部28側を向く面)には、絶縁処理が施されていない。その理由は以下の通りである。すなわち、金属製の回路基板2において低背化のためにくり抜き部2fを形成する場合には、一般的に、金属製の回路基板2における主体部2aに絶縁層2bおよび導電部2cおよび絶縁層2dが形成された後、回路基板2の一部をうち抜くことで、くり抜き部2fが形成される。
【0036】
このような手順でくり抜き部2fが形成されるので、くり抜き部2fの縁部2gには導電部2cが露呈することとなる。この縁部2gに対しては、一般的に、コストダウンのために、再度の絶縁処理は行われない。
【0037】
電気コネクタ3は、回路基板2のくり抜き部2fに配置され、回路基板2と相手側接続部材4とを接続する。相手側接続部材4は、たとえば、図示しない電源回路と回路基板2とを接続するために用いられる。本実施形態では、相手側接続部材4は、FFC(フレキシブルフラットケーブル)であり、可撓性を有している。なお、相手側接続部材4は、FFCに限らず、FPC(フレキシブルプリント回路)、および、プリント回路基板など、電気コネクタ3と電気的に接続可能な他の部材であってもよい。
【0038】
相手側接続部材4は、被覆部4aと、導電部4bと、を有している。
【0039】
被覆部4aは、合成樹脂などを用いて形成された帯状の部分であり、扁平な形状を有している。被覆部4aによって、複数の導電部4bが被覆されている。導電部4bは、被覆部4a内において、幅方向X1に略等間隔に配置されている。各導電部4bの一端部は、電源回路などの、図示しない回路基板の端子に接続されている。各導電部4bの他端は、被覆部4aの他端部4cにおいて、被覆部4aから露呈している。
【0040】
上記の構成を有する相手側接続部材4は、電気コネクタ3に接続されることで、当該電気コネクタ3を介して回路基板2に電気的に接続される。これにより、電源回路からの電力は、相手側接続部材4、電気コネクタ3、および、回路基板2を介してLEDに供給され、LEDが点灯する。本実施形態では、電気コネクタ3は、ワイヤー(相手側接続部材4)とボード(回路基板2)とを接続するワイヤー・トゥ・ボードコネクタとして用いられている。
【0041】
電気コネクタ3は、導電性のコンタクト5と、コンタクト5を保持する絶縁性のハウジング6と、を有している。
【0042】
図1〜
図4を参照して、コンタクト5は、幅方向X1に沿って略等間隔に複数配置されている。コンタクト5の数は、相手側接続部材4の導電部4bの数と同じに設定されている。コンタクト5の数が、電気コネクタ3の極数である。各コンタクト5は、同様の構成を有している。
【0043】
各コンタクト5は、表面にめっき層が形成された金属材料に打ち抜き加工および曲げ加工などを施すことで形成された導電部材であり、一体成形品である。コンタクト5は、長さ方向Y1に細長い形状に形成されており、相手側接続部材4の対応する導電部4b、および、回路基板2の対応する導電部2cの電極2eのそれぞれに接触している。各コンタクト5は、側面視において、略y字状に形成されている。また、各コンタクト5は、長さ方向Y1に沿って見たときに、略L字状に形成されている。
【0044】
コンタクト5は、第1接触部11と、第2接触部12と、連結部13と、を有している。
【0045】
第1接触部11は、回路基板2の対応する導電部2cの電極2eに接触するために設けられている。第1接触部11は、たとえば矩形状の小片部として形成されており、長さ方向Y1におけるコンタクト5の一端部を形成している。第1接触部11は、回路基板2の対応する導電部2cの電極2eにはんだなどを用いて固定されており、当該導電部2cと導通可能である。第1接触部11は、連結部13に連続している。
【0046】
連結部13は、第1接触部11および第2接触部を互いに連結するために設けられている。連結部13は、側面視において、略U字状に形成されている。
【0047】
連結部13は、第1接触部11に連続する第1部分14と、第2接触部12に連続する第2部分15と、を有している。
【0048】
第1部分14は、ハウジング6の後述する第1絶縁部27と厚み方向Z1に向かい合い、且つ、第1接触部11に連続する部分として設けられている。第1部分14は、長さ方向Y1に沿って細長く延びる形状に形成されている。第1部分14の一部は、屈曲した形状を有しており、これにより、第1部分14が回路基板2と厚み方向Z1に離隔するように配置されている。
【0049】
より具体的には、第1部分14は、第1屈曲部14aと、直線状部14bと、を有している。
【0050】
第1屈曲部14aは、側面視において、略S字状に形成されており、第1接触部11に連続している。第1屈曲部14aは、第1接触部11から遠ざかるに従い、厚み方向Z1の一方(回路基板2から離隔する方向)に向かっている。第1屈曲部14aは、直線状部14bに連続している。直線状部14bは、長さ方向Y1に略真っ直ぐに延びるように配置されている。本実施形態では、長さ方向Y1において、直線状部14bの長さは、第1屈曲部14aの長さよりも長く、且つ、第1接触部11の長さよりも長く設定されている。
【0051】
直線状部14bは、回路基板2のくり抜き部2fの縁部2gを跨ぐようにして配置されている。すなわち、直線状部14bは、くり抜き部2fの縁部2gと厚み方向Z1に並ぶように配置されている。第1部分14の直線状部14bは、この縁部2gにおいて露出した導電部2cと厚み方向Z1に並ぶこととなる。
【0052】
しかしながら、この導電部2cと直線状部14b(コンタクト5)との間にハウジング6の後述する第1絶縁部27が配置されている。すなわち、第1部分14の直線状部14bとは、第1絶縁部27と厚み方向Z1に向かい合っている。これにより、第1部分14と導電部2cとは、十分な絶縁が確保されており(沿面距離が確保されており)、導電部2cと直線状部14bとのショートが抑制されている。直線状部14bの一端部は、第2部分15に連続している。
【0053】
第2部分15は、第1部分14および第2接触部12を繋ぐ部分として設けられている。第2部分15の少なくとも一部(本実施形態では、大部分)は、ハウジング6内に配置されている。第2部分15は、側面視において、略U字状に形成されている。
【0054】
第2部分15は、第2屈曲部15aと、第2部分本体15bと、一対のアーム部15c,15dと、を有している。
【0055】
第2部分本体15bは、長さ方向Y1における第2部分15の一端側部分を構成している。第2部分本体15bは、側面視において略矩形状に形成されている。第2部分本体15bのうち、第1部分14の直線状部14bに隣接する一縁部から、第2屈曲部15aが延びている。第2屈曲部15aは、L字状に形成されており、略90度屈曲した部分を有している。この第2屈曲部15aは、直線状部14bの一端部に連続している。第2部分本体15bは、一対のアーム部15c,15dを支持している。
【0056】
一対のアーム部15c,15dは、第2部分本体15bから長さ方向Y1の一方に向けて延びる部分として設けられている。各アーム部15c,15dは、第2部分本体15bによって片持ち支持されており、第2部分本体15bに支持されている部分を支点として、厚み方向Z1に弾性変形可能である。一対のアーム部15c,15dは、厚み方向Z1に離隔して互いに対向するように配置されている。一対のアーム部15c,15dは、相手側接続部材4の他端部4cを挟むように配置されている。一方のアーム部15cは、ハウジング6の後述する底壁部21側に配置されている。この一方のアーム部15cには、第2接触部12が設けられている。
【0057】
第2接触部12は、ハウジング6の後述する嵌合部25に挿入された相手側接続部材4の対応する導電部4bに接触するように構成されている。第2接触部12は、一方のアーム部15cの先端付近に形成された凸部であり、他方のアーム部15d側に向けて突出している。第2接触部12は、第1接触部11とは、長さ方向Y1(挿入方向D1と平行な方向)に離隔して配置されている。
【0058】
他方のアーム部15dの先端部には、ラッチ部15eが形成されている。ラッチ部15eは、後述するロック部材38のロック軸45が嵌合する部分として設けられており、第2接触部12と厚み方向Z1に向かい合うように配置されている。また、他方のアーム部15dには、圧入突起15fが設けられている。圧入突起15fは、コンタクト5の連結部13をハウジング6の対応する嵌合部25に圧入固定するために設けられた突起状部分であり、他方のアーム部15c,15dのうち、一方のアーム部15c側を向く縁部とは反対側の一縁部に形成されている。
【0059】
以上の構成を有する各コンタクト5は、前述したように、ハウジング6に保持されている。
【0060】
図5は、電気コネクタ3の平面図である。
図6は、電気コネクタ3の底面図である。
図7は、電気コネクタ3の正面図である。
図8は、電気コネクタ3の背面図である。
図9は、電気コネクタ3の側面図である。
図10は、電気コネクタ3の斜視図であり、電気コネクタ3を底壁部21側から見た状態を示している。
図11は、電気コネクタ3の斜視図であり、電気コネクタ3を天壁部22側から見た状態を示している。
図12は、電気コネクタ3の斜視図であり、電気コネクタ3を天壁部22側から見た状態を示しており、且つ、ロック部材38の図示が省略されている。
図13は、ハウジング6の単体の断面図である。
【0061】
図3、および、
図5〜
図13を参照して、ハウジング6は、合成樹脂を用いて形成された一体成形品であり、絶縁部材である。ハウジング6は、幅方向X1に細長く延びる形状に形成されており、且つ、厚み方向Z1に薄く形成された、扁平な部材である。ハウジング6は、平面視において、幅方向X1に細長い矩形状に形成されている。
【0062】
ハウジング6は、底壁部21、天壁部22および背部23を含むハウジング本体24と、ハウジング本体24に形成された嵌合部25と、第1絶縁部27と、第2絶縁部28と、挿入孔部33と、を有している。
【0063】
底壁部21は、電気コネクタ3の底面部を形成する部分として設けられている。底壁部21は、厚み方向Z1と直交する方向に延びている。底壁部21は、回路基板2のうち、導電部2cが形成されている一側面とは反対側の他側面寄りに配置されている。底壁部21と厚み方向Z1に向かい合うようにして、天壁部22が形成されている。
【0064】
天壁部22は、電気コネクタ3の天面部を形成する部分として設けられている。平面視において、天壁部22は、幅方向X1に細長い矩形状に形成されている。また、平面視において、天壁部22の大きさは、底壁部21の大きさよりも小さく設定されている。天壁部22は、長さ方向Y1における底壁部21の一端側(回路基板2側)に配置されており、平面視において、底壁部21の一部を露呈させている。天壁部22および底壁部21を繋ぐようにして、背部23が設けられている。
【0065】
背部23は、長さ方向Y1におけるハウジング6の一端部側に配置されており、回路基板2のくり抜き部2fの縁部2gと向かい合うように配置される。背部23は、幅方向X1における、ハウジング6の一端部6aから他端部6bに掛けて延びる壁状に形成されている。底壁部21、天壁部22、および、背部23にかけて、嵌合部25が形成されている。
【0066】
嵌合部25は、コンタクト5を保持する部分として設けられている。また、嵌合部25は、相手側接続部材4の他端部4cが挿入される部分として設けられている。嵌合部25は、長さ方向Y1の一方に相当する方向である所定の挿入方向D1に沿って延びている。そして、ハウジング6においては、挿入方向D1に沿って嵌合部25に相手側接続部材4の他端部4cが挿入されるように構成されている。また、挿入方向D1と平行な(反対向きの)反対方向D2に沿って嵌合部25に対してコンタクト5が変位されることで、コンタクト5の少なくとも一部が嵌合部25に挿入される。これにより、コンタクト5がハウジング6に保持される。
【0067】
嵌合部25は、ハウジング6において、幅方向X1に沿って略等間隔に複数形成されている。嵌合部25の数は、コンタクト5の数と同じである。各嵌合部25に、対応するコンタクト5が保持されている。各コンタクト5は、対応する嵌合部25に対して、挿入方向D1と平行な方向(挿入方向D1と反対の反対方向D2、長さ方向Y1の他方)に沿ってハウジング6に対して変位される。これにより、各コンタクト5の少なくとも一部(本実施形態では、コンタクト5のうち第1接触部11および直線状部14bの一部を除く部分)が、対応する嵌合部25に挿入されている。各嵌合部25は、同じ構成を有している。
【0068】
嵌合部25は、底壁部21に形成された底溝部31と、天壁部22に形成された天溝部32と、背部23に形成された挿入孔部33と、を有している。
【0069】
底溝部31は、底壁部21に形成された溝部分であり、長さ方向Y1に沿って延びている。長さ方向Y1における底溝部31の一端部は、挿入孔部33に連続している。また、長さ方向Y1における底溝部31の他端部は、底壁部21の前縁部21aに開放されている。底溝部31は、厚み方向Z1に沿って天壁部22側に開放されている。底溝部31には、コンタクト5の一方のアーム部15cが収容されている。一方のアーム部15cにおける先端側の一部、および、第2接触部12は、底溝部31から天溝部32側へ向けて突出するように配置されている。
【0070】
天溝部32は、天壁部22に形成された溝部分であり、長さ方向Y1に沿って延びている。長さ方向Y1における天溝部32の一端部は、挿入孔部33に連続している。また、長さ方向Y1における天溝部32の他端部は、天壁部22の前縁部22aに開放されている。天溝部32には、他方のアーム部15dの基端部側部分が収容されている。
【0071】
前述したように、長さ方向Y1に関して、天壁部22の長さは、底壁部21の長さよりも短い。よって、平面視において、底溝部31の一部が露呈しており、且つ、一対のアーム部15c,15dの先端側部分が露呈している。天溝部32は、厚み方向Z1に沿って底壁部21側に開放されている。
【0072】
天溝部32には、コンタクト5の他方のアーム部15dの基端側部分が収容されている。他方のアーム部15dにおける先端側の一部は、天溝部32から突出している。天溝部32および底溝部31を繋ぐようにして、挿入孔部33が形成されている。
【0073】
挿入孔部33は、幅方向X1における第1絶縁部27の側方に形成されている。挿入孔部33は、コンタクト5の連結部13および第2接触部12をハウジング6に対して反対方向D2に変位させることで、これら連結部13および第2接触部12を嵌合部25に挿入するために設けられている。挿入孔部33は、底壁部21、天壁部22、および、背部23に形成されており、長さ方向Y1に沿って延びている。挿入孔部33は、背部23を長さ方向Y1に貫通するように形成されている。挿入孔部33は、長さ方向Y1から見て、厚み方向Z1に細長い矩形状に形成されている。
【0074】
挿入孔部33には、コンタクト5の連結部13の第2部分本体15bが収容されている。挿入孔部33には、切欠部33aが形成されている。切欠部33aは、挿入孔部33において、長さ方向Y1における一端部(回路基板2側の一端部)で、且つ、天壁部22に隣接する箇所に形成されており、天壁部22側に開放されている。この切欠部33aには、コンタクト5の連結部13の第2屈曲部15aが配置されている。また、コンタクト5は、嵌合部25に圧入によって保持されている。具体的には、コンタクト5の圧入突起15fは、嵌合部25の天溝部32および挿入孔部33に加圧状態で接触している。また、コンタクト5における連結部13の第2部分本体15bの一縁部は、底溝部31に加圧状態で接触している。
【0075】
上記のように、挿入孔部33が形成された背部23は、背部本体34と、延伸部35と、を有している。
【0076】
背部本体34は、電気コネクタ3を背面視したときにおいて、挿入孔部33と幅方向X1に並ぶように配置された部分であり、ブロック状に形成されている。一方、延伸部35は、背部本体34のうち、厚み方向Z1における天壁部22側の端部に設けられている。延伸部35は、背部本体34および天壁部22から長さ方向Y1に沿って回路基板2側に延びており、長さ方向Y1におけるハウジング6の一端部を構成している。本実施形態では、延伸部35は、背面視において、L字状に形成されている。
【0077】
延伸部35は、第1絶縁部27および補強リブ36を有している。また、背部本体34は、第2絶縁部28を有している。
【0078】
第1絶縁部27(延伸部35)は、ハウジング本体24とは一体成形されている。第1絶縁部27は、挿入方向D1と直交する方向としての厚み方向Z1において、コンタクト5における連結部13の第1部分14の直線状部14bと回路基板2の一側面(電極2eが形成されている実装面)との間に配置されている。第1絶縁部27は、1つの嵌合部25毎に設けられており、第1絶縁部27と嵌合部25とが幅方向X1に交互に配列されている。すなわち、第1絶縁部27は、幅方向X1における挿入孔部33の側方に配置されている。第1絶縁部27は、延伸部35において、コンタクト5の直線状部14bと厚み方向Z1に隣接して配置された、ブロック状部分である。
【0079】
前述したように、第1絶縁部27は、回路基板2のくり抜き部2fと、コンタクト5の直線状部14bとの間に介在している。これにより、第1絶縁部27は、回路基板2の縁部2gに露出した導電部2cと、コンタクト5の直線状部14bとの間を絶縁しており、これら導電部2cと直線状部14bとのショートを防止している。幅方向X1において、第1絶縁部27の長さは、コンタクト5の第1部分14の長さ以上に設定されている。
【0080】
第1絶縁部27は、厚み方向Z1において、ハウジング6の天壁部22の天面22bから窪んだ位置に配置されている。また、コンタクト5の第1部分14の直線状部14bの一側面は、天壁部22の天面22bと略同一平面上に並ぶように配置されている。これにより、電気コネクタ3の厚みが小さくされており、電気コネクタ3の低背化が達成されている。第1絶縁部27とは幅方向X1に隣接して、コンタクト5における連結部13の第2部分15の第2部分本体15bが配置されている。第1絶縁部27は、補強リブ36によって補強されている。
【0081】
補強リブ36は、長さ方向Y1に沿って延びるブロック状部分である。本実施形態では、背面視において、補強リブ36と第1絶縁部27は、全体としてL字状に形成されている。補強リブ36は、第1絶縁部27の天面と、ハウジング本体24の天壁部22の双方に連続する梁部として形成されている。補強リブ36は、天壁部22の天面22bからは突出しない程度の高さ(厚み方向Z1における長さ)を有しており、電気コネクタ3の低背化が実現されている。
【0082】
本実施形態では、コンタクト5の直線状部14bは、第1絶縁部27と補強リブ36のL字状部分に囲まれるように配置されており、これにより、コンタクト5は、外力を受けたときに他のコンタクト5に接触することを抑制されている。第1絶縁部27は、第2絶縁部28と協働して、回路基板2における縁部2gの導電部2cと、コンタクト5の第2部分本体15bとの間を絶縁している。
【0083】
第2絶縁部28は、背部本体34の一部として設けられたブロック状の部分であり、挿入方向D1において、コンタクト5の連結部13と回路基板2の縁部2gとの間に配置されている。コンタクト5の連結部13の第2部分本体15bは、長さ方向Y1に沿って第2絶縁部28から離隔した位置に設置されている。これにより、回路基板2の縁部2gがコンタクト5の連結部13の第2部分本体15bに接触すること、または、これら縁部2gと第2部分本体15bとの距離が所定値未満になることを、第2絶縁部28が防止している。すなわち、第2絶縁部28は、長さ方向Y1において、連結部13と回路基板2の縁部2gとを離隔するように配置されている。
【0084】
これにより、第2絶縁部28は、回路基板2の縁部2gにおける導電部2cと、コンタクト5の連結部13の第2部分本体15bとの間の沿面距離を十分に確保し、これら導電部2cと第2部分本体15bとがショートすることを防止している。第2絶縁部28は、第1絶縁部27と厚み方向Z1に並ぶように配置されており、且つ、幅方向X1において、挿入孔部33と交互に配置されている。
【0085】
また、ハウジング6には、相手側接続部材受け部37が形成されている。相手側接続部材受け部37は、相手側接続部材4の他端部4cが挿入される部分として設けられている。相手側接続部材受け部37は、ハウジング6の底壁部21および天壁部22によって形成されており、挿入方向D1とは反対の反対方向D2側を向いている。相手側接続部材受け部37は、幅方向X1に細長い矩形の溝状に形成されている。
【0086】
相手側接続部材受け部37は、複数の嵌合部25を幅方向X1に貫通している。相手側接続部材受け部37の厚み(厚み方向Z1の長さ)は、相手側接続部材4の厚み以上に設定されている。この相手側接続部材受け部37に相手側接続部材4が挿入されることで、相手側接続部材4の各導電部4bは、対応するコンタクト5の一対のアーム部15c,15d間に挿入され、且つ、対応する第2接触部12と接触する。相手側接続部材受け部37に挿入された相手側接続部材4は、ロック部材38によってロックされ、ハウジング6から抜けることを抑制される。
【0087】
ロック部材38は、幅方向X1に細長い矩形の板状に形成されている。幅方向X1におけるロック部材38の両端部には、幅方向X1に延びる軸部39,39が形成されている。これらの軸部39は、後述する補強タブ41,42に形成された孔部43に嵌め込まれている。これにより、ロック部材38は、ハウジング6に対して軸部39,39回りに揺動可能である。また、ロック部材38には、幅方向X1に略等間隔に複数の溝部44が形成されている。各溝部44は、対応するコンタクト5の他方のアーム部15dの先端を収容する形状に形成されている。
【0088】
ロック部材38の各溝部44には、
図3によく示されているように、ロック軸45が形成されている。ロック軸45は、対応する溝部44内において幅方向X1に延びる軸部であり、対応するコンタクト5の他方のアーム部15dのラッチ部15eに嵌められている。ロック軸45は、カム軸であり、当該ロック軸45の中心軸線から当該ロック軸45の外周面までの距離が、不均一に形成されている。
【0089】
本実施形態では、ロック軸45は、側面視において、真円の一部を削除した形状に形成されている。そして、ロック部材38が底壁部21と略平行に配置されることで、ロック軸部39のうち円筒状の部分が、他方のアーム部15dのラッチ部15eを天壁部22側へ押し上げる。
【0090】
これにより、一対のアーム部15c,15dは、天壁部22側へ押し上げられる。その結果、他方のアーム部15dの第2接触部12は、相手側接続部材4の対応する導電部4bに加圧される。そして、相手側接続部材4は、第2接触部12とロック部材38とによって挟まれることで固定され、ハウジング6からの抜けを規制される。一方、ロック解除の場合、ロック部材38は、軸部39,39回りに回転され、当該ロック部材38が底壁部21に対して立ち上がるように配置される。この場合、ロック軸部39のうち円筒状の部分は、他方のアーム部15dから離隔し、一対のアーム部15c,15dの押し上げ動作が解除される。
【0091】
これにより、ロック部材38がコンタクト5を押し上げ、相手側接続部材4のロックが解除される。その結果、相手側接続部材4は、ハウジング6への抜き差しが可能となる。
【0092】
上記の構成を上記の構成を有するハウジング6の幅方向X1における両端部6a,6bには、補強タブ41,42が設けられている。補強タブ41,42は、コンタクト5と同様の材質を用いて形成された、略L字状の部材である。各補強タブ41,42には、ロック部材38の軸部39,39が挿入される孔部43が形成されている。補強タブ41,42は、ハウジング6の対応する端部6a,6bに固定されており、且つ、回路基板2に固定されるように構成されている。これにより、ハウジング6は、回路基板2に堅固に支持される。
【0093】
以上説明したように、本実施形態の電気コネクタ3によれば、ハウジング6の嵌合部25へコンタクト5を挿入する方向(反対方向D2)は、相手側接続部材4をハウジング6へ挿入する挿入方向D1と平行である。このような構成であれば、コンタクト5は、嵌合部25に対して、厚み方向Z1に位置決めされた状態で、ハウジング6に挿入されることとなる。よって、厚み方向Z1に関して、コンタクト5とハウジング6との相対位置にばらつきが生じることを抑制できる。これにより、厚み方向Z1において、各コンタクト5と相手側接続部材4の対応する導電部4bとの接触位置にばらつきが生じることを抑制できる。すなわち、各コンタクト5と回路基板2の対応する導電部4bとの接触圧をより均一に近い状態にすることができる。よって、各コンタクト5と回路基板2の対応する導電部4bとの接触状態をより安定させることができる。さらに、厚み方向Z1における各コンタクト5と回路基板2の対応する導電部2c(電極2e)との接触位置にばらつきが生じることを抑制できる。これにより、各コンタクト5と回路基板2の対応する導電部2cとの接触状態にばらつきが生じることを抑制できるので、各コンタクト5および回路基板2の対応する導電部2c同士の接続の態様を、より均一にできる。
【0094】
また、ハウジング6の第1絶縁部27は、厚み方向Z1においてコンタクト5の連結部13の直線状部14bと回路基板2の縁部2gとの間に配置される。この構成によると、回路基板2のうちコンタクト5との間で絶縁状態を確保する必要のある縁部2gと当該コンタクト5の直線状部14bとを、第1絶縁部27によって絶縁できる。よって、回路基板2のうちコンタクト5の直線状部14bとの絶縁を確保する必要のある縁部2gの導電部2cと上記直線状部14bとの絶縁を、より確実に実現できる。しかも、コンタクト5の連結部13の直線状部14bと回路基板2との間に第1絶縁部27が配置されているので、コンタクト5の連結部13の直線状部14bと回路基板2とを、ショートを防止しつつ厚み方向Z1に近接して配置することができる。これにより、電気コネクタ3と回路基板2とが接続された状態において、厚み方向Z1における、電気コネクタ3および回路基板2の長さをより短く(低背化)できる。また、コンタクト5の第1接触部11と第2接触部12とは、挿入方向D1と平行な方向長さ方向Y1に並んで配置されている。これにより、厚み方向Z1におけるコンタクト5の長さをより短くできる。すなわち、電気コネクタ3の低背化を達成できる。
【0095】
以上の次第で、本実施形態の電気コネクタ3によると、複数のコンタクト5と当該コンタクト5に接続される回路基板2および相手側接続部材4との接触の態様をより均一にできるとともに、回路基板2との絶縁をより確実に実現でき、且つ、低背化を達成できる。
【0096】
また、電気コネクタ3によると、コンタクト5の連結部13の形状を、長さ方向Y1から見てL字状の部分(第1部分14および第2部分15)を含む形状にすることができる。このような構成により、厚み方向Z1におけるコンタクト5の長さを短くしつつ、第1絶縁部27によって、コンタクト5における連結部13の第1部分14の直線状部14bと回路基板2との間を、より確実に絶縁できる。すなわち、電気コネクタ3において、低背化と絶縁性の確保とをより確実に達成できる。
【0097】
また、電気コネクタ3によると、ハウジング6は、幅方向X1における第1絶縁部27の側方に形成されて第2接触部12を反対方向D2から嵌合部25に挿入するための挿入孔部33を有している。この構成によると、コンタクト5を、反対方向D2から挿入孔部33を通してハウジング6に容易に嵌め入れることができる。このような構成により、複数のコンタクト5の位置を厚み方向Z1に関してばらつくことを、より確実に抑制できる。
【0098】
また、電気コネクタ3によると、各第1絶縁部27に補強リブ36が設けられている。これにより、各第1絶縁部27の剛性を、より高くできる。特に、低背化の要請の強い多極の電気コネクタ3においては、幅方向X1に細長いハウジング6において、第1絶縁部27を含むハウジング6全体の曲げ剛性などの剛性を、より高くできる。
【0099】
また、電気コネクタ3によると、ハウジング6の第2絶縁部28は、長さ方向Y1において、コンタクト5の連結部13と回路基板2とを離隔させるように配置される。この構成によると、コンタクト5の連結部13と回路基板2との間に第2絶縁部28が配置されるので、回路基板2の縁部2gと連結部13とを、絶縁性を確保しつつ長さ方向Y1に近接配置できる。よって、電気コネクタ3と回路基板2とを、全体としてよりコンパクトにできる。
【0100】
また、電気コネクタ3によると、回路基板2は、アルミ合金製の主体部2aに絶縁層2b、導電層2cおよび絶縁層2dを積層した構成を有している。また、回路基板2の一部であるくり抜き部2fの縁部2gは、切断加工によって形成される。このため、縁部2gにおいて、導電部2cが露出した状態となる。このような構成の回路基板2では、縁部2gの導電部2cは、コンタクト5の直線状部14bおよび第2部分本体15bと近接配置され、ショートし易い状態となる。しかしながら、電気コネクタ3のハウジング6に第1絶縁部27および第2絶縁部28が配置されている。これにより、縁部2gにおいて導電部2cが露呈する、アルミ合金を主体とする回路基板2における縁部2gの導電部2cについても、コンタクト5とショートすることを、より確実に抑制できる。よって、電気コネクタ3は、アルミ合金を主体とする回路基板2への実装に、特に好適である。
【0101】
また、電気コネクタ3によると、ハウジング6の第1絶縁部27および第2絶縁部28は、ハウジング本体24と一体成形されている。このため、ハウジング6の第1絶縁部27および第2絶縁部28をハウジング本体24とは別部材を用いて形成し、これら第1絶縁部27および第2絶縁部28をハウジング本体24に組み付ける構成と比べて、ハウジング6の部品点数を少なくできる。よって、ハウジング6の製造コストをより低減できる。さらに、ハウジング6の第1絶縁部27および第2絶縁部28を、ハウジング本体24と一体成形することで、ハウジング本体24に対する第1絶縁部27の位置および第2絶縁部28の位置のそれぞれの個体差を、より小さくできる。これにより、コンタクト5とハウジング6との相対位置の個体差を、より少なくできる。これにより、コンタクト5と相手側接続部材4との接続状態、および、コンタクト5と回路基板2との接続状態のそれぞれについて、より個体差を少なくできる。
【0102】
なお、従来の構成の場合、すなわち、コンタクトをハウジングの厚み方向に沿って挿入する電気コネクタでは、複数のコンタクトを1枚の板部材からプレス加工によって形成する場合において、当該板部材における複数のコンタクトの配置ピッチ(プレスピッチ)は大きかった。このため、1枚の板部材から取り出すことのできるコンタクトの数は少なかった。これに対して、電気コネクタ3によると、厚み方向Z1におけるコンタクト5の長さが短くされている。これにより、複数のコンタクト5を1枚の板部材からプレス加工によって形成する場合において、当該板部材における複数のコンタクト5の配置ピッチ(プレスピッチ)をより短くできる。これにより、1枚の板部材から、より多くのコンタクト5を取り出すことができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の各実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。たとえば、次のように変更して実施してもよい。
【0104】
(1)たとえば、上述の実施形態では、幅方向X1におけるハウジング6の中間部の複数箇所に第2絶縁部28が形成された構成を説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、
図14に示すように、第2絶縁部28は、ハウジング6の端部6a,6bに形成される一方、ハウジング6の背部本体34には形成されていなくてもよい。この場合、回路基板2の縁部2gとコンタクト5の第2部分本体15bとが長さ方向Y1に離隔するように、ハウジング6の両端部6a,6bの第2絶縁部28が回路基板2を受ける。なお、変形例については、上述の実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付して説明を省略する。
【0105】
(2)また、上述の実施形態では、ハウジング6の第1絶縁部27に補強リブ35が設けられる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、
図15に示すように、ハウジング6の補強リブ35が省略されていてもよい。
【0106】
(3)また、上述の実施形態では、コンタクト5がハウジング6に対して反対方向D2に変位されることで、当該コンタクト5がハウジング6に挿入される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、コンタクト5は、ハウジング6に対して挿入方向D1に変位されることで、ハウジング6に組み付けられてもよい。
【0107】
(4)また、上述の実施形態では、第2絶縁部28が形成される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。第2絶縁部28が省略されてもよい。この場合においても、回路基板2とコンタクト5の第2部分本体15bとは、長さ方向Y1に所定距離離隔して配置される。