(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-127029(P2016-127029A)
(43)【公開日】2016年7月11日
(54)【発明の名称】燃料電池システムにおける検出されたリークを検証するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20160613BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20160613BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2016-386(P2016-386)
(22)【出願日】2016年1月5日
(31)【優先権主張番号】14/589,777
(32)【優先日】2015年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511095986
【氏名又は名称】ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ディー.・ペース
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・カイ
(72)【発明者】
【氏名】マニッシュ・シンハ
【テーマコード(参考)】
5H026
5H127
【Fターム(参考)】
5H026AA06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC13
5H127BA02
5H127BA28
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB34
5H127BB37
5H127BB40
5H127BB47
5H127DB03
5H127DB09
5H127DB13
5H127DB19
5H127DB50
5H127DC09
5H127DC24
5H127DC34
5H127DC44
5H127DC47
5H127DC69
5H127DC70
(57)【要約】
【課題】燃料電池システムにおけるリークを検出し検証するためのシステムおよび方法を提示すること。
【解決手段】ある実施形態では、H
2リークおよび/またはそのようなリークの位置を識別し検証するために適切なH
2流量データを得ることができるように、様々な燃料電池スタック設定点を調整することができる。一部の実施形態では、様々な動作条件および/またはモードの下である燃料電池システムの動作パラメータを調整すること、ならびにそのような様々な動作条件の下で流量データを測定することによってH
2流量データを得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムのアノードサブシステムにおけるリークを検証するための方法であって、
前記アノードサブシステムにおける第1の測定リーク流量が第1の基準流量しきい値を超えると判定するステップと、
前記燃料電池システムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を基準レベルに調整するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を前記基準レベルに調整した後に、第2の測定リーク流量を測定するステップと、
複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた複数の測定リーク流量を前記第2の測定リーク流量と比較するステップと、
前記比較に基づいてリークを識別するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた前記複数の測定リーク流量を比較するステップが、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させた後に、第3の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量を超えると判定するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させた後に、第4の測定リーク流量が前記第2の測定された流量および第3の測定リーク流量よりも小さいと判定するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記燃料電池システムにおけるリーク位置を識別するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別すステップが、
前記燃料電池システムの前記カソードサブシステムにおいて圧力を増加させるステップと、
前記カソードサブシステムにおいて前記圧力を増加させた後に、第5の測定リーク流量を測定するステップと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量と実質的に同様であると判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記カソードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記燃料電池システムにおいて前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量よりも高いと判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記アノードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記識別されたリークを確認するステップをさらに含み、前記確認するステップが、
前記燃料電池システムの遮断動作中に前記アノードサブシステムの圧力減衰率をモニタするステップと、
前記減衰率が基準しきい値減衰率よりも速いと判定するステップと、
少なくとも一部は前記判定に基づいて、前記識別されたリークを確認するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記燃料電池システムに対する損傷を軽減するために、前記リークを識別する前記ステップに応答して、少なくとも1つの保護措置を実施するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記保護措置が、前記燃料電池システムの遮断動作を開始するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記保護措置が、前記燃料電池システムにおける水素の注入を終了させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
プロセッサによって実行する場合に、燃料電池システムのアノードサブシステムにおけるリークを検証する方法を前記プロセッサに行わせる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記方法が、
前記アノードサブシステムにおける第1の測定リーク流量が第1の基準流量しきい値を超えると判定するステップと、
前記燃料電池システムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を基準レベルに調整するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を前記基準レベルに調整した後に、第2の測定リーク流量を測定するステップと、
複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた複数の測定リーク流量を前記第2の測定リーク流量と比較するステップと、
前記比較に基づいてリークを識別するステップと、
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた前記複数の測定リーク流量を比較するステップが、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させた後に、第3の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量を超えると判定するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させた後に、第4の測定リーク流量が前記第2の測定された流量および第3の測定リーク流量よりも小さいと判定するステップと、
をさらに含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記方法が、
前記燃料電池システムにおけるリーク位置を識別するステップ、
をさらに含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記燃料電池システムの前記カソードサブシステムにおいて圧力を増加させるステップと、
前記カソードサブシステムにおいて前記圧力を増加させた後に、第5の測定リーク流量を測定するステップと、
を含む、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量と実質的に同様であると判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記カソードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量よりも高いと判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記アノードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記方法が、
前記識別されたリークを確認するステップをさらに含み、前記確認するステップが、
前記燃料電池システムの遮断動作中に前記アノードサブシステムの圧力減衰率をモニタするステップと、
前記減衰率が基準しきい値減衰率よりも速いと判定するステップと、
少なくとも一部は前記判定に基づいて、前記識別されたリークを確認するステップと、
を含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記方法が、前記燃料電池システムに対する損傷を軽減するために、前記リークを識別するステップに応答して、少なくとも1つの保護措置を実施するステップをさらに含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記保護措置が、前記燃料電池システムの遮断動作を開始するステップを含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記保護措置が、前記燃料電池システムにおける水素の注入を終了させるステップを含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本開示は、燃料電池システムのリークを検出し検証するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、限定することなく、本開示は、燃料電池システムのアノードサブシステムにおけるリークを検出し検証するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]乗用車は、車両の電気システムおよびドライブトレインシステムのある機構に電力を供給するために燃料電池(「FC:fuel cell」)システムを含むことがある。例えば、FCシステムは、車両の電気的なドライブトレイン構成要素に電力を(例えば、電気駆動モータなどを使用して)直接および/または中間の電池システムを介して供給するために、車両において利用されることがある。水素は、FCシステムにおいて使用されることがある1つの可能性のある燃料である。水素は、FCシステムにおいて電気を効率的に生成するために使用することができるクリーンな燃料である。水素FCシステムは、アノードとカソード間に電解質を含むことがある電気化学装置である。アノードは、水素ガスを受け取り、カソードは、酸素または空気を受け取る。水素ガスは、アノードで解離され自由水素プロトンおよび電子を生成する。水素プロトンは、電解質を横切って選択的に伝導することができる。アノードからの電子は、電解質を通過することができず、したがって、負荷に導かれ、カソードに送られる前に仕事を行う。水素プロトンは、カソード中の酸素および電子と反応して水を生成する。
【0003】
[003]プロトン交換膜燃料電池(「PEMFC:Proton exchange membrane fuel cell」)は、FCを動力源とする車両において使用されることがある。PEMFCは、一般にペルフルオロスルホン酸膜などの固体高分子電解質プロトン伝導膜を含む。PEMFCに含まれるアノードおよびカソードは、カーボン粒子上に支持され、イオノマーと混合された微粉触媒粒子(例えば、白金粒子)を含むことができる。触媒混合物を膜の両側に堆積させることができる。
【0004】
[004]アノードサブシステムからのリークを識別し軽減する能力は、持続的なPEMFCシステムの性能およびある排ガス規制要求事項の遵守を達成する際に考慮すべき点である。特に、アノードサブシステムにおける水素(「H
2」)リークは、とりわけPEMFCシステム全体の効率を低下させ、および/またはH
2排出濃度を増加させる可能性がある。規制要求事項は、とりわけ、アノードサブシステムからH
2が失われる場合に、確実にある反応的および/もしくは軽減措置を講じるために、ならびに/または誤リーク検出の発生を低減させるために、PEMFCシステムにおけるH
2リークの正確な識別を必要とすることがある。しかしながら、PEMFCリークを識別するための従来の手法は、PEMFC作動時間中のリークを識別することに限定される場合があり、PEMFCシステムにおけるリークおよび/またはリークの位置を十分な精度で識別し検証するのに、適切なアノードH
2流量データを利用することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[005]本明細書に示されたシステムおよび方法は、PEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるリークの識別に関連して利用され得る。より詳細には、開示されたシステムおよび方法の実施形態は、PEMFCシステムにおけるH
2リークの識別および検証に関連して利用され得る。一部の実施形態では、PEMFCシステムは、アノード区画およびカソード区画を含むことができる。本明細書で使用されるように、PEMFCシステムは、単一のセルを含んでもよく、あるいはスタック構成で配置された複数のセルを含んでもよい。FCスタックは、典型的には、圧縮機によってスタックを通って強制的に流される空気の流れであるカソード入力ガスを受け取ることができる。スタックによって消費されない酸素および/または空気の一部は、スタック副産物として水を含むことがあるカソード排気ガスとして出力されてもよい。また、FCスタックは、スタックのアノード側に流れ込むアノードH
2入力ガスを受け取る。
【0006】
[006]FCスタックは、いくつかの膜電極接合体(例えば、アノード触媒混合物、カソード触媒混合物、および膜の接合体)間に位置する一連のバイポーラプレートを含むことができる。バイポーラプレートは、スタック内の隣接したFCに対するアノード側およびカソード側を含む。アノードガス流チャネルは、アノード反応性ガスがそれぞれの膜電極接合体に流れることができるようにするバイポーラプレートのアノード側に設けられてもよい。カソードガス流チャネルは、カソード反応性ガスがそれぞれの膜電極接合体に流れることができるようにするバイポーラプレートのカソード側に設けられてもよい。一方のエンドプレートは、アノードガス流チャネルを含んでもよく、もう一方のエンドプレートは、カソードガス流チャネルを含んでもよい。バイポーラプレートおよびエンドプレートは、ステンレス鋼または導電性複合材料などの導電性材料から作られてもよい。エンドプレートは、FCによって生成された電気をスタックの外に導くことができる。また、バイポーラプレートは、冷却流体が流れることができる流路をさらに含むことができる。
【0007】
[007]ある実施形態では、FCシステムのアノードサブシステムにおけるリークを検証する方法は、アノードサブシステムにおける第1の測定リーク流量が第1の基準流量しきい値を超えると判定するステップを含むことができる。FCシステムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度は、基準レベルに調整されてもよい。アノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を基準レベルに調整した後に、第2の測定リーク流量が測定され得る。
【0008】
[008]複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルで得られた、複数の測定リーク流量は、第2の測定リーク流量と比較されてもよい。例えば、一部の実施形態では、アノード・カソード間圧力バイアスを増加させることができる。アノード・カソード間圧力バイアスを増加させた後に、第3の測定リーク流量が第2の測定リーク流量を上回ると判定されてもよい。次いで、アノード・カソード間圧力バイアスを減少させることができる。アノード・カソード間圧力バイアスを減少させた後に、第4の測定リーク流量が第2の測定された流量および第3の測定リーク流量を下回ると判定されてもよい。複数の測定リーク流量と第2の測定リーク流量との比較に基づいて、リークが識別され得る。
【0009】
[009]一部の実施形態では、本方法は、FCシステムにおけるリーク位置を識別するステップをさらに含むことができる。例えば、ある実施形態では、FCシステムのカソードサブシステムにおける圧力を増加させることができる。カソードサブシステムにおける圧力を増加させた後に、第5の測定リーク流量が測定されてもよい。第5の測定リーク流量が第2の測定リーク流量と実質的に同様であると判定されてもよく、この判定に基づいて、カソードサブシステムにおけるリーク位置が識別され得る。さらなる実施形態では、第5の測定リーク流量が第2の測定リーク流量を上回ると判定されてもよく、この判定に基づいて、アノードサブシステムにおけるリーク位置が識別され得る。
【0010】
[0010]さらなる実施形態では、本方法は、識別されたリークを確認するステップ、および/またはその他の方法で検証するステップをさらに含むことができる。例えば、FCシステムの遮断動作中のアノードサブシステムの圧力減衰率がモニタされてもよい。識別されたリークは、減衰率が基準しきい値減衰率よりも速いという判定に基づいて確認され、および/またはその他の方法で検証されてもよい。
【0011】
[0011]さらなる実施形態では、本方法は、FCシステムへの損傷を軽減するために、リークの識別に応答して少なくとも1つの保護措置を実施するステップを含むことができる。例えば、リークの識別に応答して、FCシステムにおいて遮断動作が開始されてもよい。さらなる実施形態では、FCシステムにおける水素の注入を、リークの識別に応答して直ちに終了させることができる。
【0012】
[0012]ある実施形態では、前述の方法は、少なくとも一部は、PEMFCシステムに関連付けられた電子機器を制御することによって行われても、および/または関連付けられた実行命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を使用して実施されてもよい。
【0013】
[0013]本開示の様々な実施形態を含む、本開示の非限定的および非排他的な実施形態について、図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0014]本明細書に開示された実施形態と整合するPEMFCシステムの図である。
【
図2】[0015]本明細書に開示された実施形態と整合するPEMFCシステムのリークを検出するおよび検証するための方法の概念図である。
【
図3】[0016]本明細書に開示された実施形態と整合するシミュレートされたアノードリーク事象中のある時間にわたるリーク流量の例示的な推定値を示すグラフである。
【
図4】[0017]本明細書に開示されて実施形態と整合するFCシステムのリークを検出するおよび検証する例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0018]本開示の実施形態と整合するシステムおよび方法の詳細な説明が以下で提供される。いくつかの実施形態について記載されるが、本開示は、いかなる一実施形態にも限定されず、代わりに、多数の代替形態、変更形態、および均等形態を包含することを理解されたい。加えて、本明細書に開示された実施形態についての完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が以下の説明で述べられるが、一部の実施形態は、これらの詳細の一部またはすべてなしに実行されてもよい。さらに、明瞭にする目的で、従来技術において知られているある技術的な材料は、本開示を不必要に不明瞭にしないようにするために詳細には記載されていない。
【0016】
[0019]本開示の実施形態は、同様の部分が同様の数字によって指定されることがある図面を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書の図において一般的に記載され図示されるような、開示された実施形態の構成要素は、種々様々の異なる構成で配置され、設計されることがある。したがって、本開示のシステムおよび方法の実施形態についての以下の詳細な説明は、特許請求されるような本開示の範囲を限定することは意図されておらず、本開示の可能な実施形態を単に表現しているにすぎない。加えて、方法の各ステップは、必ずしもいかなる特定の順番でも、または連続的にでさえ実行される必要はなく、あるいは各ステップは、別段の定めがない限り一度だけ実行される必要もない。
【0017】
[0020]本明細書で提供されるシステムおよび方法は、PEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるH
2のリークを検出する、検証する、および/または管理することに関連して利用され得る。ある実施形態では、H
2リークおよび/またはそのようなリークの位置を少なくとも一部は流量データに基づいて識別し検証するために、適切なH
2流量データを得ることができるように、様々なFCスタック設定点が調整されてもよい。一部の実施形態では、そのようなH
2流量データは、様々な動作条件ならびに/またはモード(例えば、FCスタックの作動、アイドル/スタンバイおよび/もしくは遮断モード)の下で、あるPEMFCシステム動作パラメータ(例えば、システム圧力および/もしくはパワーレベル)を調整し、そのような様々な動作条件の下で流量データ測定することによって得られてもよい。
【0018】
[0021]
図1は、本明細書に開示された実施形態と整合する車両100に含まれるPEMFCシステム102の図を示す。車両100は、自動車両、海洋車両、航空機、および/またはその他のタイプの車両であってもよく、本明細書に開示されたシステムおよび方法を組み込むための任意の適切なタイプのドライブトレインを含むことができる。開示されたシステムおよび方法のさらなる実施形態は、例えば、固定されたFCシステム(例えば、発電機)を含む、その他のタイプのFCシステムに関連して利用されてもよい。図示されるように、車両100は、車両100のある構成要素に電力を提供するように構成されたPEMFCシステム102を含むことができる。例えば、PEMFCシステム102は、車両100の電気的なドライブトレイン構成要素に電力を提供するように構成されてもよい。
【0019】
[0022]一部の実施形態では、PEMFCシステム102は、電気的なドライブトレイン構成要素に直接電力を提供するように構成されてもよい。ある実施形態では、PEMFCシステム102は、中間の電池装置(図示せず)を介して電気的なドライブトレイン構成要素に電力を提供するように構成されてもよい。さらなる実施形態では、PEMFCシステム102は、例えば、電気冷却液ポンプ、照明システム、オーディオシステムなどを含む、様々な車両100システムに電気エネルギーを供給する低電圧電池システム(例えば、12Vの自動車鉛蓄電池)を含む、1つまたは複数の他の蓄電池システムに電力を提供するように構成されてもよい。
【0020】
[0023]PEMFCシステム102は、単一のセル、またはPEMFCスタック104構成で配置された複数のセルを含んでもよく、あるPEMFCシステム要素および/または上記の機構を含んでもよい。FCスタック104は、アノード側およびカソード側を含むことができる。圧縮機108は、カソード入力空気を湿らす水蒸気移送(「WVT:water vapor transfer」)ユニット110を介してカソード入力ライン106上のFCスタック104のカソード側に空気流を提供することができる。カソード排気ガスは、背圧弁114を通ってカソード排ガスライン112を介してFCスタック104から出力されてもよい。圧力センサ116は、カソード排ガスライン112の圧力を測定することができる。
【0021】
[0024]FCスタック104のアノード側は、アノード入力ライン122上の水素源124から水素ガスを受け取り、アノード再循環ライン126にアノード再循環ガスを提供することができる。スタック104のアノード側でのガスのパージまたは抽気が望まれる場合、アノード排気ガスは、アノード排ガスライン120に設けられてもよいバルブ128を通ってカソードライン106内へ抽気されてもよい。圧力センサ134は、FCスタック104のアノード側の圧力を測定するために、アノード再循環ライン126などのアノードサブシステム内の場所に設けられてもよい。
【0022】
[0025]PEMFCシステム102ならびに/または関連付けられたシステムおよび/もしくは構成要素は、関連付けられた制御システム136と通信可能に結合されてもよい。制御システムは、PEMFCシステム102ならびに/または関連付けられたシステムおよび/もしくは構成要素のある動作をモニタし制御するように構成されてもよい。例えば、数ある動作の中でもとりわけ、制御システム136は、圧力センサ116、118、134から圧力情報信号を受け取ることができ、少なくとも一部はそのような情報に基づいてFCスタック104の様々な動作を制御する。例えば、制御システム136は、PEMFCシステム102の起動、遮断、充電、放電をモニタおよび制御し、ならびに/またはその動作を診断するように構成されてもよい。ある実施形態では、制御システム136は、PEMFCシステム102におけるリークを検出するおよび/もしくはその他の方法で検証する、あるいは/または開示されたシステムおよび方法の実施形態のいずれかを実施するように構成されてもよい。
【0023】
[0026]
図2は、本明細書に開示された実施形態と整合するPEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるリークを検出するおよび検証する方法の概念
図200を示す。ある環境では、アノードサブシステムにおけるH
2リークに関連付けられたリーク流は、関連付けられたインジェクターが点火していない場合に、アノードサブシステムの圧力減衰をモニタすることから得られる情報に基づいて(例えば、関連付けられた圧力センサなどから得られる測定値に基づいて)計算されてもよい。例えば、圧力の読み取り値は、インジェクター制御システムに関連付けられたパルスの立下りエッジの検出の後に記憶され始めてもよく、インジェクターが再び点火し始めるときに記憶を停止してもよい。そのような読み取り値に基づいて、アノードサブシステムの圧力減衰が判定され得る。
【0024】
[0027]いくつかの圧力読み取り値サンプルは、少なくとも一部はPEMFCシステムの電流密度に基づいて変わってもよく、比較的高い電流密度では、注入は、より頻繁であり、および/またはインジェクターは、比較的より長い期間アクティブである。より低い電流密度では、インジェクターは、比較的より短い期間点火し、それによって、比較的より長い減衰時間に、より多くの圧力読み取りが可能となる。インジェクターが再び点火を停止するときに、圧力データは、新しい読み取り値によって更新され得る。
【0025】
[0028]様々な方法が、測定された圧力情報に基づいてアノードサブシステムからのリーク流量を求めるために使用されてもよい。例えば、リーク流量は、質量バランス法および/または圧力減衰法に基づいて求められてもよい。ある実施形態では、これらの方法は、次式に基づいてもよい。
【0035】
はアノード圧力の変化による流量である。ある実施形態では、質量バランス法は、インジェクターのオフ時間が比較的より短い場合に、高電力動作条件で使用されることがある。圧力減衰法は、インジェクターのオフ時間が比較的より長い場合に、低消費電力動作条件で使用されることがある。
【0036】
[0029]ある実施形態では、前述の方法を使用して得られる検出リーク流量に関連付けられた信号は、比較的ノイズが多く、リークがいつ初めに起こるかを判定するのが困難となる場合がある。また、検出リーク流量信号の正確さは、関連付けられた圧力および電流情報を得るために使用される圧力および電流センサの正確さに依存することがある。
【0037】
[0030]本明細書に開示された実施形態と矛盾することなく、より正確なH
2流量データは、様々な動作および/またはモード(例えば、FCスタックの作動、アイドル/スタンバイ、および/もしくは遮断モード)の下であるPEMFCシステムの動作パラメータならびに/または条件(例えば、システム圧力および/もしくは電力レベル)を調整すること、ならびにそのような様々な動作条件の下で流量データを測定することによって得られてもよい。例えば、FCスタックの作動および/またはアイドル/スタンバイモード中にスタック動作条件が調整されてもよく、関連付けられた検出リーク流量信号の、結果として生じる応答がモニタされてもよい。FCスタック遮断モード中に、インジェクターがオフのときのアノードシステムの圧力の減衰率がモニタされてもよい。
【0038】
[0031]
図2の概念
図200に関連して示される方法は、前述のシステムおよび方法の実施形態を実施することができる。図示される概念
図200は、様々な動作モード(例えば、作動206、スタンバイ/アイドル208、遮断212)中にカソードサブシステム216およびアノードサブシステム214のある時間202にわたる測定された圧力204(例えば、kPaを単位として測定された)を示す。例示的な電流密度218も様々な測定された圧力214、216に関連して示されている。本方法は、いくつかのステップ220〜230を含むことができ、各ステップがPEMFCシステムの動作モード206、208および212に関連付けられている。例えば、ステップ220〜224および228は、PEMFCシステムの作動モード206に関連付けられてもよく、ステップ226は、PEMFCシステムのスタンバイ/アイドルモード208に関連付けられてもよく、ステップ230は、PEMFCシステムの遮断モード212に関連付けられてもよい。一部の実施形態では、スタンバイ/アイドルモード208は、PEMFCシステムが比較的低い電流密度で動作している、作動モード206のサブセット動作モードであってもよい。
【0039】
[0032]ステップ220では、リーク流量は、リーク流量信号を発生させる、アノードサブシステム圧力の変化に基づいて、連続的に計算されてもよい。リーク流量信号レベルが第1のしきい値を超え、アノードバルブがすべて閉じられている場合、疑わしいアノードサブシステムリークが識別され得る。疑わしいアノードサブシステムリークは、リークが、アノードバルブが吸引され開いているためである場合に生じることがあるように、すべてのアノードバルブが開いた状態で第2のしきい値を超えるリーク流量信号レベルに基づいて、同様に識別され得る。一旦疑わしいアノードサブシステムリークが検出されると、関連付けられたリーク流量信号レベルが記憶されてもよく、本明細書ではL
Aとして表示される。PEMFCシステムの電流密度およびアノード・カソード間圧力バイアスも記憶されてもよい。
【0040】
[0033]リーク流量L
Aがステップ222で記憶された後、電流密度218に対する設定点およびアノード・カソード間圧力バイアスがある設定レベルに調整されてもよい。例えば、電流密度218は、0.03A/cm
2に設定されてもよく、アノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaに調整されてもよいが、他の設定レベルも本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。これらの条件の下で、L
Bとして本明細書に表示された新しいリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。ある実施形態では、利用される設定点は、アノードサブシステムにおけるH
2リークをエミュレートするように設計されたリーク特性評価試験に基づいて識別されてもよく、リーク信号を比較するための基準条件を表すことができる。
【0041】
[0034]ステップ224では、アノード・カソード間圧力バイアスを増加させることができる。例えば、アノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaから40kPaに調整され得るが、他の増加も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。増加させた後に、本明細書ではL
C1として表示された新しいリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。アノード・カソード間圧力バイアスを増加させることによって、アノード圧力およびリーク流量が増加するはずであり、このことは、L
C1をL
Bと比較することによって確認され得る。
【0042】
[0035]アノード・カソード間圧力バイアスの増加に続いて、アノード・カソード間圧力バイアスを減少させることができる。例えば、アノード・カソード間圧力バイアスは、40kPaから10kPaに調整され得るが、他の減少も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。減少させた後に、本明細書ではL
C2として表示された新しいリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。アノード・カソード間圧力バイアスを減少させることによって、アノード圧力およびリーク流量が減少するはずであり、このことは、L
C2をL
Bと比較することによって確認され得る。同様に、L
C2は、L
C1と比較されてもよい。アノードサブシステムにおけるリークの場合には、L
C1は、L
C2よりも大きいはずである。
【0043】
[0036]ステップ226では、PEMFCシステムがスタンバイ/アイドル動作モード208に設定されてもよい。インジェクターが比較的低周波で点火することがある、スタンバイ/アイドル動作モード208条件中に、より多くのサンプル点がアノードサブシステム内の圧力減衰を計算するのに利用可能である可能性がある。とりわけ、これらの追加のサンプル点によってより正確なリーク流量判定が可能となる。加えて、アノードサブシステムにおける圧力減衰率がモニタされてもよく、異常なモニタされた減衰率は、アノードサブシステムにおける疑わしいリークを検証するために利用され得る。本明細書ではL
Dとして表示されたリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。加えて、本明細書ではdL
Dとして表示されたリーク流量信号レベルの変化率も記憶されてもよい。
【0044】
[0037]ある実施形態では、リーク流量信号レベルの変化率は、本明細書ではK
Eとして表示されるしきい値減衰率と比較されてもよい。しきい値減衰率は、様々な方法で求められてもよい。例えば、一部の実施形態では、しきい値減衰率は、許容できるリーク検出検証性能を達成するように較正された減衰率を含むことができる。ある実施形態では、しきい値減衰率は、PEMFCシステムの名目上の減衰率を求めるためにPEMFCシステム(例えば、リークのないシステム)の試験および/または特性評価に基づいて求められてもよい。
【0045】
[0038]ステップ228では、PEMFCシステムにおけるリーク位置が決定され得る。ある実施形態では、PEMFCシステムが作動動作モード206に設定されていることがある間に、この決定が行われ得る。PEMFCシステムにおけるリーク位置を識別するために、カソード圧力を増加させることができる。アノード・カソード間圧力バイアスは、維持されてもよい。例えば、カソード圧力を150kPaに増加させることができるが、他の増加も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよく、一方でアノード・カソード間圧力バイアスは20kPaに維持されていてもよい。増加させた後に、本明細書ではL
Eとして表示された新しいリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。アノード・カソード間圧力バイアスを維持し、カソード圧力を増加させることによって、リーク流量信号レベルが一定(すなわち、L
E=L
B)に留まる場合は、リークは、カソードサブシステムに位置すると判定され得る。リーク流量信号レベルが増加する(すなわち、L
E>L
B)場合は、リーク位置は、アノードサブシステムからのオーバーボードリーク(例えば、限定することなく、PEMFCシステムのプレート封止のリーク、水素インジェクターのリーク、水素供給ラインのリークなどによって引き起こされるような周囲の環境へのリーク)の可能性がある。
【0046】
[0039]一部の実施形態では、リークは、PEMFCシステムの遮断モード212中にアノードサブシステムの圧力の減衰率をモニタすることによって、ステップ230で確認され得る。本明細書ではdL
Fとして表示されたアノードサブシステムの圧力の減衰率がしきい値減衰率よりも速い場合は、リークがPEMFCシステムにおいて確認され得る(すなわち、しきい値減衰率未満の名目上の減衰率は、リークに関連付けられない場合があるが、しきい値を超えるより速い減衰率は、H
2リークがより速い圧力低下を引き起こすといった異常状態に関連付けられ得る)。アノードサブシステムの圧力の減衰率がしきい値減衰率よりも遅い場合は、リークは、PEMFCシステムにおいて確認されなくてもよい。
【0047】
[0040]ある実施形態では、ステップ220〜228は、比較的短い期間(例えば、1秒以下)で行われてもよい。ある実施形態では、そのような期間によってより重大なリークに起因する損傷が始まる前にリークを識別するおよび/または確認することができる。
【0048】
[0041]本発明の範囲内で
図2に関連して提示された概念に対して多くの変形を行うことができることを認識されるであろう。例えば、限定することなく、一部の実施形態では、ステップ220〜230の一部またはすべては、異なる順番でおよび/または異なる動作モード206〜212中に行われてもよい。したがって、
図2は、限定ではなく、例示および説明の目的のために提供されていることを認識されるであろう。
【0049】
[0042]
図3は、本明細書に開示された実施形態と整合するアノードリーク事象中の(例えば、秒を単位として測定された)ある時間302にわたる(例えば、モル/秒を単位として測定された)リーク流量304の例示的な推定値を示すグラフ300を示す。特に、グラフ300は、シミュレートされたリークが時点306で始まり、時点308で終了する間の例示的な検出されたリーク流量信号310を示す。グラフ300に関連して示されるように、検出されたリーク流量信号310は、シミュレートされたリークの開始後に(すなわち、時点306の後に)増加し、シミュレートされたリークの終了後に(すなわち、時点308の後に)減少すること示す。本明細書に開示された実施形態と整合して、PEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるリークは、少なくとも一部は、そのようなリーク流量信号に基づいて検証されてもよい。
【0050】
[0043]
図4は、本明細書に開示された実施形態と整合するPEMFCシステムのリークを検出するための例示的な方法400の流れ図を示す。図示される方法400は、少なくとも一部は、PEMFCシステムに関連付けられた制御システム、ならびに/または1つまたは複数のバルブ、圧力調整器および/もしくはセンサ、電流センサ(例えば、電流密度センサ)、流量センサなどを使用して行われてもよいが、他の適切なシステムおよび/またはシステムの組合せも利用されてもよい。
【0051】
[0044]本方法400は、402から開始することができる。ある実施形態では、方法400は、作動動作モードに入るPEMFCに基づいて開始してもよい。そのような動作モードの下で、アノードサブシステムの圧力情報が連続的におよび/または周期的にモニタされ、(例えば、式1などに基づいて)本明細書に開示された実施形態と整合する疑わしいリークを識別および/または検証する。
【0052】
[0045]404で、アノードサブシステムの圧力情報が受け取られてもよい。ある実施形態では、アノードサブシステムの圧力情報は、PEMFCシステムのアノードサブシステムに関連付けられた1つまたは複数の圧力センサから受け取られてもよい。リーク流量は、少なくとも一部は、リーク流量信号を発生させる、アノードサブシステムの圧力情報に基づいて、406で計算されてもよい。
【0053】
[0046]リーク流量信号がリーク流量しきい値を超えるかどうかに関して408で判定が行われてもよい。ある実施形態では、リーク流量しきい値は、PEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるシミュレートされたオーバーボードリークを試験するおよび/またはその他の方法で特性評価することに基づいて(例えば、リーク検出試験により)判定されてもよい。一部の実施形態では、しきい値は、PEMFCシステムにおけるオーバーボードリークを検出するために最小検出可能信号しきい値を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、関連付けられた流量信号が検出しきい値(例えば、最小の検出しきい値)に達するまで、シミュレートされたオーバーボードリークの制御された流量を低減させることができる。次いで、そのようなしきい値が開示された実施形態に関連してリーク流量しきい値として利用されてもよい。リーク流量信号がリーク流量しきい値を超える場合は、リークが疑われる可能性があり、方法400は、410に進むことができる。リーク流量信号がリーク流量しきい値を超えない場合は、方法400は、次に進んで442で終了することができる。
【0054】
[0047]410で、408での判定において使用された信号レベルに関連付けられた第1の流量信号レベルが記憶されてもよい。PEMFCシステムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度は、412で、ある設定レベルに調整されてもよい。例えば、ある実施形態では、アノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaに設定されてもよく、電流密度は、0.03A/cm
2に設定されてもよいが、他の設定レベルが本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。ある実施形態では、設定レベルは、アノードサブシステムにおけるH
2リークをエミュレートするように設計されたリーク特性評価試験に基づいて、識別されてもよく、リーク信号を比較するための基準条件を表すことができる。
【0055】
[0048]412での調整の後に生じる信号レベルに関連付けられた第2の流量信号レベルが414で記憶されてもよい。第2の流量信号レベルを記憶した後に、アノード・カソード間圧力バイアスを416で増加させることができる。例えば、アノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaから40kPaに調整され得るが、他の増加も、本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。増加の後、第3の流量信号レベルが418で記憶されてもよい。
【0056】
[0049]420で、第3の流量信号レベルが第2の流量信号レベルよりも大きいかどうかに関して判定が行われてもよい。第3の流量信号レベルが第2の流量信号レベルよりも小さい場合は、リークが疑われる可能性はなく、方法400は、次に進んで442で終了することができる。リークしている場合にアノード・カソード間圧力バイアスを増加させると、結果としてアノード圧力が増加し、リーク流量が増加する可能性がある。したがって、第3の流量信号レベルが第2の流量信号レベルよりも大きい場合は、リークが疑われる可能性があり、方法400は、422に進むことができる。
【0057】
[0050]422でアノード・カソード間圧力バイアスを減少させることができる。例えばアノード・カソード間圧力バイアスは、40kPaから10kPaに調整され得るが、他の減少も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。減少の後、第4の流量信号レベルが424で記憶されてもよい。
【0058】
[0051]426で、第4の流量信号レベルが第2の流量信号レベルおよび第3の流量信号レベルと比較され、第4の流量信号レベルが第2および第3の信号レベルよりも大きいかどうかを判定することができる。アノード・カソード間圧力バイアスを減少させることによって、アノード圧力およびリーク流量が減少するはずである。したがって、第2および第3の流量信号レベルが第4の流量信号レベルよりも大きい場合は、リークが疑われる可能性があり、方法400は、428に進むことができる。さもなければ、方法400は、次に進んで442で終了することができる。
【0059】
[0052]PEMFCシステムは、428でスタンバイ/アイドル動作モードに設定されてもよく、アノードサブシステムにおける圧力減衰率がモニタされてもよい。そのような動作モード中に、PEMFCシステムのインジェクターは、比較的低周波で点火することができ、それによってアノードサブシステム内部の圧力減衰のモニタに関連してより多くのサンプル点を使用することが可能となる。430で、モニタされた圧力減衰率は、圧力減衰率しきい値(例えば、システムの試験および/または特性評価などによって得られた名目上の減衰率に関連付けられたしきい値)と比較されてもよい。モニタされた圧力減衰率が圧力減衰率しきい値を超える場合は、リークが疑われる可能性があり、方法400は、432に進むことができる。さもなければ、方法400は、次に進んで422で終了することができる。
【0060】
[0053]432で、PEMFCシステムにおけるリーク位置を識別するために、PEMFCシステムは、動作モードに設定されてもよく、カソードサブシステムの圧力を増加させることができ、アノード・カソード間圧力バイアスは、維持されてもよい。例えば、カソード圧力を150kPaに増加させることができるが、他の増加も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよく、一方でアノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaに維持されてもよい。
【0061】
[0054]増加の後に、434でリーク流量が、一定かどうかが判定されてもよい。リーク流量が一定の場合、リーク位置がカソードサブシステム内にあると判定され得て、方法400は、次に進んで442で終了することができる。リーク流量が増加する場合は、リークがアノードサブシステムおよび/またはオーバーボード位置にあると判定され得て、方法400は、436に進むことができる。
【0062】
[0055]436で、アノードサブシステムにおける圧力減衰率がモニタされてもよい。ある実施形態では、この圧力減衰率は、PEMFCシステムの遮断モード中にモニタされてもよい。438で、圧力減衰率は、基準しきい値減衰率と比較されてもよい。ある実施形態では、しきい値減衰率は、名目上の減衰率を識別するためにPEMFCシステムの試験および/または特性評価に基づいて決定されてもよい。圧力減衰率がしきい値減衰率よりも速くない場合は、リークが確認される可能性はなく、方法400は、次に進んで422で終了することができる。しかしながら、圧力減衰率がしきい値減衰率よりも速い場合は、方法400は、440に進むことができ、リークがアノードサブシステムにおいて確認される可能性があり、PEMFCは、1つまたは複数の保護措置(例えばシステムに対する損傷を防ぐ措置)に関与することができる。例えば、ある実施形態では、PEMFCシステムは、遮断モードに切り替えられてもよく、他の動作の中でもとりわけ、空気がPEMFCスタックに送り込まれてもよい。さらなる実施形態では、PEMFCシステムは、急停止(例えば、作動モードから停止モードへの急速遷移)に関与することができ、それによってPEMFCシステムにおける水素注入を速やかに終了することができる。方法400は、次に進んで442で終了することができる。
【0063】
[0056]本明細書に開示されたあるシステムおよび方法は、少なくとも一部は1つまたは複数のコンピュータシステムを使用して実施されてもよい。例えば、ある実施形態では、PEMFCシステムに関連付けられた制御システムは、少なくとも一部は1つまたは複数のコンピュータシステムを使用して実施されてもよい。本明細書に開示されたシステムおよび方法は、いかなる特定のコンピュータまたは他の装置とも本質的に関係がなく、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの適切な組合せによって実施されてもよい。ソフトウェアの実施態様は、プロセッサによって実行されたとき、少なくとも一部は実行命令によって規定された方法をプロセッサに行わせることができる実行可能コード/命令を備える1つまたは複数のコンピュータプログラムを含んでもよい。コンピュータプログラムは、コンパイラ型またはインタープリタ型言語を含む、プログラミング言語の任意の形態で書かれてもよく、独立型プログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、あるいはコンピュータ環境で使用するのに適した他のユニットを含む任意の形態で展開されてもよい。さらに、コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、あるいは1つのサイトの、または複数のサイトにまたがって分散され通信網によって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開されてもよい。ソフトウェアの実施形態は、プロセッサによって実行されたとき、命令に従って方法をプロセッサに行わせるように構成されたコンピュータプログラムおよび命令を記憶するように構成された非一時的記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品として実施されてもよい。ある実施形態では、非一時的記憶媒体は、非一時的記憶媒体上にプロセッサ可読命令を記憶することができるいかなる形態もとることができる。非一時的記憶媒体は、コンパクトディスク、ディジタルビデオティスク、磁気テープ、ベルヌーイ駆動装置、磁気ディスク、パンチカード、フラッシュメモリ、集積回路、またはその他の非一時的ディジタル処理装置メモリデバイスによって具現化されてもよい。
【0064】
[0057]前述の事項は、明瞭にするために多少詳細に記載されたが、ある変更および変形が前述の原理から逸脱せずに行われてもよいことは明らかであろう。例えば、ある実施形態では、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、車両に含まれないFCシステムにおいて(例えば、バックアップ電源などで)利用されてもよい。本明細書に記載されたプロセスおよびシステムの両方を実施する多くの代替方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示であると考えられるべきであり、本発明は、本明細書で示された細目に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲および均等物の範囲内で修正されてもよい。
【0065】
[0058]前述の明細書は、様々な実施形態を参照して記載された。しかしながら、当業者は、本開示の範囲から逸脱せずに様々な修正および変更が行われ得ることを認識されるであろう。例えば、様々な動作ステップ、ならびに動作ステップを実行するための構成要素は、特定の用途に応じてまたはシステムの動作に関連付けられた任意の数の費用関数を考慮して代替の方法で実施されてもよい。したがって、ステップの1つまたは複数のいずれも、削除されても、修正されても、他のステップと組み合わされてよい。さらに、本開示は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきであり、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。同様に、恩恵、他の利点、および問題の解決策について、様々な実施形態に関して上で記載された。しかしながら、すべての恩恵、利点、もしくは解決策をもたらす、またはより明白にすることができる恩恵、利点、問題の解決策、およびいかなる要素(複数可)も、重要な、必要な、または本質的な特徴もしくは要素として解釈されるべきではない。
【0066】
[0059]本明細書で使用されるように、用語「備える」および「含む」、ならびにそれらのその他の変形形態は、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品、もしくは装置が、それらの要素のみを含まず、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、システム、物品もしくは装置に固有の他の要素を含むことができるように、非排他的な含有物を包含することが意図されている。また、本明細書で使用されるように、用語「通信する」、「連結された」、「結合する」、およびそれらのその他の変更形態は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、光学的接続、通信接続、機能的接続、および/またはその他の接続を包含することが意図されている。
【0067】
[0060]当業者は、本発明の根本原理から逸脱せずに、上記の実施形態の細目に対して多くの変更が行われ得ることを認識されるであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるものとする。
【符号の説明】
【0068】
100 車両
102 PEMFCシステム
104 PEMFCスタック
106 カソード入力ライン
108 圧縮機
110 水蒸気移送ユニット
114 背圧弁
116 圧力センサ
118 圧力センサ
120 アノード排ガスライン
122 アノード入力ライン
124 水素源
126 アノード再循環ライン
128 バルブ
134 圧力センサ
136 制御システム
200 方法の概念図
202 時間
204 圧力
206 動作モード
208 動作モード
212 動作モード
214 アノードサブシステム
216 カソードサブシステム
218 電流密度
220 ステップ
222 ステップ
224 ステップ
226 ステップ
228 ステップ
230 ステップ
302 時間
304 リーク流量
306 時点
308 時点
310 リーク流量信号
400 方法
【手続補正書】
【提出日】2016年3月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本開示は、燃料電池システムのリークを検出し検証するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、限定することなく、本開示は、燃料電池システムのアノードサブシステムにおけるリークを検出し検証するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]乗用車は、車両の電気システムおよびドライブトレインシステムのある機構に電力を供給するために燃料電池(「FC:fuel cell」)システムを含むことがある。例えば、FCシステムは、車両の電気的なドライブトレイン構成要素に電力を(例えば、電気駆動モータなどを使用して)直接および/または中間の電池システムを介して供給するために、車両において利用されることがある。水素は、FCシステムにおいて使用されることがある1つの可能性のある燃料である。水素は、FCシステムにおいて電気を効率的に生成するために使用することができるクリーンな燃料である。水素FCシステムは、アノードとカソード間に電解質を含むことがある電気化学装置である。アノードは、水素ガスを受け取り、カソードは、酸素または空気を受け取る。水素ガスは、アノードで解離され自由水素プロトンおよび電子を生成する。水素プロトンは、電解質を横切って選択的に伝導することができる。アノードからの電子は、電解質を通過することができず、したがって、負荷に導かれ、カソードに送られる前に仕事を行う。水素プロトンは、カソード中の酸素および電子と反応して水を生成する。
【0003】
[003]プロトン交換膜燃料電池(「PEMFC:Proton exchange membrane fuel cell」)は、FCを動力源とする車両において使用されることがある。PEMFCは、一般にペルフルオロスルホン酸膜などの固体高分子電解質プロトン伝導膜を含む。PEMFCに含まれるアノードおよびカソードは、カーボン粒子上に支持され、イオノマーと混合された微粉触媒粒子(例えば、白金粒子)を含むことができる。触媒混合物を膜の両側に堆積させることができる。
【0004】
[004]アノードサブシステムからのリークを識別し軽減する能力は、持続的なPEMFCシステムの性能およびある排ガス規制要求事項の遵守を達成する際に考慮すべき点である。特に、アノードサブシステムにおける水素(「H
2」)リークは、とりわけPEMFCシステム全体の効率を低下させ、および/またはH
2排出濃度を増加させる可能性がある。規制要求事項は、とりわけ、アノードサブシステムからH
2が失われる場合に、確実にある反応的および/もしくは軽減措置を講じるために、ならびに/または誤リーク検出の発生を低減させるために、PEMFCシステムにおけるH
2リークの正確な識別を必要とすることがある。しかしながら、PEMFCリークを識別するための従来の手法は、PEMFC作動時間中のリークを識別することに限定される場合があり、PEMFCシステムにおけるリークおよび/またはリークの位置を十分な精度で識別し検証するのに、適切なアノードH
2流量データを利用することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[005]本明細書に示されたシステムおよび方法は、PEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるリークの識別に関連して利用され得る。より詳細には、開示されたシステムおよび方法の実施形態は、PEMFCシステムにおけるH
2リークの識別および検証に関連して利用され得る。一部の実施形態では、PEMFCシステムは、アノード区画およびカソード区画を含むことができる。本明細書で使用されるように、PEMFCシステムは、単一のセルを含んでもよく、あるいはスタック構成で配置された複数のセルを含んでもよい。FCスタックは、典型的には、圧縮機によってスタックを通って強制的に流される空気の流れであるカソード入力ガスを受け取ることができる。スタックによって消費されない酸素および/または空気の一部は、スタック副産物として水を含むことがあるカソード排気ガスとして出力されてもよい。また、FCスタックは、スタックのアノード側に流れ込むアノードH
2入力ガスを受け取る。
【0006】
[006]FCスタックは、いくつかの膜電極接合体(例えば、アノード触媒混合物、カソード触媒混合物、および膜の接合体)間に位置する一連のバイポーラプレートを含むことができる。バイポーラプレートは、スタック内の隣接したFCに対するアノード側およびカソード側を含む。アノードガス流チャネルは、アノード反応性ガスがそれぞれの膜電極接合体に流れることができるようにするバイポーラプレートのアノード側に設けられてもよい。カソードガス流チャネルは、カソード反応性ガスがそれぞれの膜電極接合体に流れることができるようにするバイポーラプレートのカソード側に設けられてもよい。一方のエンドプレートは、アノードガス流チャネルを含んでもよく、もう一方のエンドプレートは、カソードガス流チャネルを含んでもよい。バイポーラプレートおよびエンドプレートは、ステンレス鋼または導電性複合材料などの導電性材料から作られてもよい。エンドプレートは、FCによって生成された電気をスタックの外に導くことができる。また、バイポーラプレートは、冷却流体が流れることができる流路をさらに含むことができる。
【0007】
[007]ある実施形態では、FCシステムのアノードサブシステムにおけるリークを検証する方法は、アノードサブシステムにおける第1の測定リーク流量が第1の基準流量しきい値を超えると判定するステップを含むことができる。FCシステムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度は、基準レベルに調整されてもよい。アノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を基準レベルに調整した後に、第2の測定リーク流量が測定され得る。
【0008】
[008]複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルで得られた、複数の測定リーク流量は、第2の測定リーク流量と比較されてもよい。例えば、一部の実施形態では、アノード・カソード間圧力バイアスを増加させることができる。アノード・カソード間圧力バイアスを増加させた後に、第3の測定リーク流量が第2の測定リーク流量を上回ると判定されてもよい。次いで、アノード・カソード間圧力バイアスを減少させることができる。アノード・カソード間圧力バイアスを減少させた後に、第4の測定リーク流量が第2の測定された流量および第3の測定リーク流量を下回ると判定されてもよい。複数の測定リーク流量と第2の測定リーク流量との比較に基づいて、リークが識別され得る。
【0009】
[009]一部の実施形態では、本方法は、FCシステムにおけるリーク位置を識別するステップをさらに含むことができる。例えば、ある実施形態では、FCシステムのカソードサブシステムにおける圧力を増加させることができる。カソードサブシステムにおける圧力を増加させた後に、第5の測定リーク流量が測定されてもよい。第5の測定リーク流量が第2の測定リーク流量と実質的に同様であると判定されてもよく、この判定に基づいて、カソードサブシステムにおけるリーク位置が識別され得る。さらなる実施形態では、第5の測定リーク流量が第2の測定リーク流量を上回ると判定されてもよく、この判定に基づいて、アノードサブシステムにおけるリーク位置が識別され得る。
【0010】
[0010]さらなる実施形態では、本方法は、識別されたリークを確認するステップ、および/またはその他の方法で検証するステップをさらに含むことができる。例えば、FCシステムの遮断動作中のアノードサブシステムの圧力減衰率がモニタされてもよい。識別されたリークは、減衰率が基準しきい値減衰率よりも速いという判定に基づいて確認され、および/またはその他の方法で検証されてもよい。
【0011】
[0011]さらなる実施形態では、本方法は、FCシステムへの損傷を軽減するために、リークの識別に応答して少なくとも1つの保護措置を実施するステップを含むことができる。例えば、リークの識別に応答して、FCシステムにおいて遮断動作が開始されてもよい。さらなる実施形態では、FCシステムにおける水素の注入を、リークの識別に応答して直ちに終了させることができる。
【0012】
[0012]ある実施形態では、前述の方法は、少なくとも一部は、PEMFCシステムに関連付けられた電子機器を制御することによって行われても、および/または関連付けられた実行命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を使用して実施されてもよい。
【0013】
[0013]本開示の様々な実施形態を含む、本開示の非限定的および非排他的な実施形態について、図を参照して説明する。
【0014】
なお、本明細書には、以下の態様が記載されている。
(態様1)
燃料電池システムのアノードサブシステムにおけるリークを検証するための方法であって、
前記アノードサブシステムにおける第1の測定リーク流量が第1の基準流量しきい値を超えると判定するステップと、
前記燃料電池システムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を基準レベルに調整するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を前記基準レベルに調整した後に、第2の測定リーク流量を測定するステップと、
複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた複数の測定リーク流量を前記第2の測定リーク流量と比較するステップと、
前記比較に基づいてリークを識別するステップと、
を含む方法。
(態様2)
前記複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた前記複数の測定リーク流量を比較するステップが、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させた後に、第3の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量を超えると判定するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させた後に、第4の測定リーク流量が前記第2の測定された流量および第3の測定リーク流量よりも小さいと判定するステップと、
をさらに含む、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記燃料電池システムにおけるリーク位置を識別するステップをさらに含む、態様1に記載の方法。
(態様4)
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別すステップが、
前記燃料電池システムの前記カソードサブシステムにおいて圧力を増加させるステップと、
前記カソードサブシステムにおいて前記圧力を増加させた後に、第5の測定リーク流量を測定するステップと、
を含む、態様3に記載の方法。
(態様5)
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量と実質的に同様であると判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記カソードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、態様4に記載の方法。
(態様6)
前記燃料電池システムにおいて前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量よりも高いと判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記アノードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、態様4に記載の方法。
(態様7)
前記識別されたリークを確認するステップをさらに含み、前記確認するステップが、
前記燃料電池システムの遮断動作中に前記アノードサブシステムの圧力減衰率をモニタするステップと、
前記減衰率が基準しきい値減衰率よりも速いと判定するステップと、
少なくとも一部は前記判定に基づいて、前記識別されたリークを確認するステップと、を含む、態様1に記載の方法。
(態様8)
前記燃料電池システムに対する損傷を軽減するために、前記リークを識別する前記ステップに応答して、少なくとも1つの保護措置を実施するステップをさらに含む、態様1に記載の方法。
(態様9)
前記保護措置が、前記燃料電池システムの遮断動作を開始するステップを含む、態様8に記載の方法。
(態様10)
前記保護措置が、前記燃料電池システムにおける水素の注入を終了させるステップを含む、態様8に記載の方法。
(態様11)
プロセッサによって実行する場合に、燃料電池システムのアノードサブシステムにおけるリークを検証する方法を前記プロセッサに行わせる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記方法が、
前記アノードサブシステムにおける第1の測定リーク流量が第1の基準流量しきい値を超えると判定するステップと、
前記燃料電池システムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を基準レベルに調整するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を前記基準レベルに調整した後に、第2の測定リーク流量を測定するステップと、
複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた複数の測定リーク流量を前記第2の測定リーク流量と比較するステップと、
前記比較に基づいてリークを識別するステップと、
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様12)
前記複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた前記複数の測定リーク流量を比較するステップが、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させた後に、第3の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量を超えると判定するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させた後に、第4の測定リーク流量が前記第2の測定された流量および第3の測定リーク流量よりも小さいと判定するステップと、
をさらに含む、態様11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様13)
前記方法が、
前記燃料電池システムにおけるリーク位置を識別するステップ、
をさらに含む、態様11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様14)
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記燃料電池システムの前記カソードサブシステムにおいて圧力を増加させるステップと、
前記カソードサブシステムにおいて前記圧力を増加させた後に、第5の測定リーク流量を測定するステップと、
を含む、態様13に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様15)
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量と実質的に同様であると判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記カソードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、態様14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様16)
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量よりも高いと判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記アノードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、態様14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様17)
前記方法が、
前記識別されたリークを確認するステップをさらに含み、前記確認するステップが、
前記燃料電池システムの遮断動作中に前記アノードサブシステムの圧力減衰率をモニタするステップと、
前記減衰率が基準しきい値減衰率よりも速いと判定するステップと、
少なくとも一部は前記判定に基づいて、前記識別されたリークを確認するステップと、
を含む、態様11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様18)
前記方法が、前記燃料電池システムに対する損傷を軽減するために、前記リークを識別するステップに応答して、少なくとも1つの保護措置を実施するステップをさらに含む、態様11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様19)
前記保護措置が、前記燃料電池システムの遮断動作を開始するステップを含む、態様18に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(態様20)
前記保護措置が、前記燃料電池システムにおける水素の注入を終了させるステップを含む、態様18に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0014]本明細書に開示された実施形態と整合するPEMFCシステムの図である。
【
図2】[0015]本明細書に開示された実施形態と整合するPEMFCシステムのリークを検出するおよび検証するための方法の概念図である。
【
図3】[0016]本明細書に開示された実施形態と整合するシミュレートされたアノードリーク事象中のある時間にわたるリーク流量の例示的な推定値を示すグラフである。
【
図4】[0017]本明細書に開示されて実施形態と整合するFCシステムのリークを検出するおよび検証する例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0018]本開示の実施形態と整合するシステムおよび方法の詳細な説明が以下で提供される。いくつかの実施形態について記載されるが、本開示は、いかなる一実施形態にも限定されず、代わりに、多数の代替形態、変更形態、および均等形態を包含することを理解されたい。加えて、本明細書に開示された実施形態についての完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が以下の説明で述べられるが、一部の実施形態は、これらの詳細の一部またはすべてなしに実行されてもよい。さらに、明瞭にする目的で、従来技術において知られているある技術的な材料は、本開示を不必要に不明瞭にしないようにするために詳細には記載されていない。
【0017】
[0019]本開示の実施形態は、同様の部分が同様の数字によって指定されることがある図面を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書の図において一般的に記載され図示されるような、開示された実施形態の構成要素は、種々様々の異なる構成で配置され、設計されることがある。したがって、本開示のシステムおよび方法の実施形態についての以下の詳細な説明は、特許請求されるような本開示の範囲を限定することは意図されておらず、本開示の可能な実施形態を単に表現しているにすぎない。加えて、方法の各ステップは、必ずしもいかなる特定の順番でも、または連続的にでさえ実行される必要はなく、あるいは各ステップは、別段の定めがない限り一度だけ実行される必要もない。
【0018】
[0020]本明細書で提供されるシステムおよび方法は、PEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるH
2のリークを検出する、検証する、および/または管理することに関連して利用され得る。ある実施形態では、H
2リークおよび/またはそのようなリークの位置を少なくとも一部は流量データに基づいて識別し検証するために、適切なH
2流量データを得ることができるように、様々なFCスタック設定点が調整されてもよい。一部の実施形態では、そのようなH
2流量データは、様々な動作条件ならびに/またはモード(例えば、FCスタックの作動、アイドル/スタンバイおよび/もしくは遮断モード)の下で、あるPEMFCシステム動作パラメータ(例えば、システム圧力および/もしくはパワーレベル)を調整し、そのような様々な動作条件の下で流量データ測定することによって得られてもよい。
【0019】
[0021]
図1は、本明細書に開示された実施形態と整合する車両100に含まれるPEMFCシステム102の図を示す。車両100は、自動車両、海洋車両、航空機、および/またはその他のタイプの車両であってもよく、本明細書に開示されたシステムおよび方法を組み込むための任意の適切なタイプのドライブトレインを含むことができる。開示されたシステムおよび方法のさらなる実施形態は、例えば、固定されたFCシステム(例えば、発電機)を含む、その他のタイプのFCシステムに関連して利用されてもよい。図示されるように、車両100は、車両100のある構成要素に電力を提供するように構成されたPEMFCシステム102を含むことができる。例えば、PEMFCシステム102は、車両100の電気的なドライブトレイン構成要素に電力を提供するように構成されてもよい。
【0020】
[0022]一部の実施形態では、PEMFCシステム102は、電気的なドライブトレイン構成要素に直接電力を提供するように構成されてもよい。ある実施形態では、PEMFCシステム102は、中間の電池装置(図示せず)を介して電気的なドライブトレイン構成要素に電力を提供するように構成されてもよい。さらなる実施形態では、PEMFCシステム102は、例えば、電気冷却液ポンプ、照明システム、オーディオシステムなどを含む、様々な車両100システムに電気エネルギーを供給する低電圧電池システム(例えば、12Vの自動車鉛蓄電池)を含む、1つまたは複数の他の蓄電池システムに電力を提供するように構成されてもよい。
【0021】
[0023]PEMFCシステム102は、単一のセル、またはPEMFCスタック104構成で配置された複数のセルを含んでもよく、あるPEMFCシステム要素および/または上記の機構を含んでもよい。FCスタック104は、アノード側およびカソード側を含むことができる。圧縮機108は、カソード入力空気を湿らす水蒸気移送(「WVT:water vapor transfer」)ユニット110を介してカソード入力ライン106上のFCスタック104のカソード側に空気流を提供することができる。カソード排気ガスは、背圧弁114を通ってカソード排ガスライン112を介してFCスタック104から出力されてもよい。圧力センサ116は、カソード排ガスライン112の圧力を測定することができる。
【0022】
[0024]FCスタック104のアノード側は、アノード入力ライン122上の水素源124から水素ガスを受け取り、アノード再循環ライン126にアノード再循環ガスを提供することができる。スタック104のアノード側でのガスのパージまたは抽気が望まれる場合、アノード排気ガスは、アノード排ガスライン120に設けられてもよいバルブ128を通ってカソードライン106内へ抽気されてもよい。圧力センサ134は、FCスタック104のアノード側の圧力を測定するために、アノード再循環ライン126などのアノードサブシステム内の場所に設けられてもよい。
【0023】
[0025]PEMFCシステム102ならびに/または関連付けられたシステムおよび/もしくは構成要素は、関連付けられた制御システム136と通信可能に結合されてもよい。制御システムは、PEMFCシステム102ならびに/または関連付けられたシステムおよび/もしくは構成要素のある動作をモニタし制御するように構成されてもよい。例えば、数ある動作の中でもとりわけ、制御システム136は、圧力センサ116、118、134から圧力情報信号を受け取ることができ、少なくとも一部はそのような情報に基づいてFCスタック104の様々な動作を制御する。例えば、制御システム136は、PEMFCシステム102の起動、遮断、充電、放電をモニタおよび制御し、ならびに/またはその動作を診断するように構成されてもよい。ある実施形態では、制御システム136は、PEMFCシステム102におけるリークを検出するおよび/もしくはその他の方法で検証する、あるいは/または開示されたシステムおよび方法の実施形態のいずれかを実施するように構成されてもよい。
【0024】
[0026]
図2は、本明細書に開示された実施形態と整合するPEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるリークを検出するおよび検証する方法の概念
図200を示す。ある環境では、アノードサブシステムにおけるH
2リークに関連付けられたリーク流は、関連付けられたインジェクターが点火していない場合に、アノードサブシステムの圧力減衰をモニタすることから得られる情報に基づいて(例えば、関連付けられた圧力センサなどから得られる測定値に基づいて)計算されてもよい。例えば、圧力の読み取り値は、インジェクター制御システムに関連付けられたパルスの立下りエッジの検出の後に記憶され始めてもよく、インジェクターが再び点火し始めるときに記憶を停止してもよい。そのような読み取り値に基づいて、アノードサブシステムの圧力減衰が判定され得る。
【0025】
[0027]いくつかの圧力読み取り値サンプルは、少なくとも一部はPEMFCシステムの電流密度に基づいて変わってもよく、比較的高い電流密度では、注入は、より頻繁であり、および/またはインジェクターは、比較的より長い期間アクティブである。より低い電流密度では、インジェクターは、比較的より短い期間点火し、それによって、比較的より長い減衰時間に、より多くの圧力読み取りが可能となる。インジェクターが再び点火を停止するときに、圧力データは、新しい読み取り値によって更新され得る。
【0026】
[0028]様々な方法が、測定された圧力情報に基づいてアノードサブシステムからのリーク流量を求めるために使用されてもよい。例えば、リーク流量は、質量バランス法および/または圧力減衰法に基づいて求められてもよい。ある実施形態では、これらの方法は、次式に基づいてもよい。
【0036】
はアノード圧力の変化による流量である。ある実施形態では、質量バランス法は、インジェクターのオフ時間が比較的より短い場合に、高電力動作条件で使用されることがある。圧力減衰法は、インジェクターのオフ時間が比較的より長い場合に、低消費電力動作条件で使用されることがある。
【0037】
[0029]ある実施形態では、前述の方法を使用して得られる検出リーク流量に関連付けられた信号は、比較的ノイズが多く、リークがいつ初めに起こるかを判定するのが困難となる場合がある。また、検出リーク流量信号の正確さは、関連付けられた圧力および電流情報を得るために使用される圧力および電流センサの正確さに依存することがある。
【0038】
[0030]本明細書に開示された実施形態と矛盾することなく、より正確なH
2流量データは、様々な動作および/またはモード(例えば、FCスタックの作動、アイドル/スタンバイ、および/もしくは遮断モード)の下であるPEMFCシステムの動作パラメータならびに/または条件(例えば、システム圧力および/もしくは電力レベル)を調整すること、ならびにそのような様々な動作条件の下で流量データを測定することによって得られてもよい。例えば、FCスタックの作動および/またはアイドル/スタンバイモード中にスタック動作条件が調整されてもよく、関連付けられた検出リーク流量信号の、結果として生じる応答がモニタされてもよい。FCスタック遮断モード中に、インジェクターがオフのときのアノードシステムの圧力の減衰率がモニタされてもよい。
【0039】
[0031]
図2の概念
図200に関連して示される方法は、前述のシステムおよび方法の実施形態を実施することができる。図示される概念
図200は、様々な動作モード(例えば、作動206、スタンバイ/アイドル208、遮断212)中にカソードサブシステム216およびアノードサブシステム214のある時間202にわたる測定された圧力204(例えば、kPaを単位として測定された)を示す。例示的な電流密度218も様々な測定された圧力214、216に関連して示されている。本方法は、いくつかのステップ220〜230を含むことができ、各ステップがPEMFCシステムの動作モード206、208および212に関連付けられている。例えば、ステップ220〜224および228は、PEMFCシステムの作動モード206に関連付けられてもよく、ステップ226は、PEMFCシステムのスタンバイ/アイドルモード208に関連付けられてもよく、ステップ230は、PEMFCシステムの遮断モード212に関連付けられてもよい。一部の実施形態では、スタンバイ/アイドルモード208は、PEMFCシステムが比較的低い電流密度で動作している、作動モード206のサブセット動作モードであってもよい。
【0040】
[0032]ステップ220では、リーク流量は、リーク流量信号を発生させる、アノードサブシステム圧力の変化に基づいて、連続的に計算されてもよい。リーク流量信号レベルが第1のしきい値を超え、アノードバルブがすべて閉じられている場合、疑わしいアノードサブシステムリークが識別され得る。疑わしいアノードサブシステムリークは、リークが、アノードバルブが吸引され開いているためである場合に生じることがあるように、すべてのアノードバルブが開いた状態で第2のしきい値を超えるリーク流量信号レベルに基づいて、同様に識別され得る。一旦疑わしいアノードサブシステムリークが検出されると、関連付けられたリーク流量信号レベルが記憶されてもよく、本明細書ではL
Aとして表示される。PEMFCシステムの電流密度およびアノード・カソード間圧力バイアスも記憶されてもよい。
【0041】
[0033]リーク流量L
Aがステップ222で記憶された後、電流密度218に対する設定点およびアノード・カソード間圧力バイアスがある設定レベルに調整されてもよい。例えば、電流密度218は、0.03A/cm
2に設定されてもよく、アノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaに調整されてもよいが、他の設定レベルも本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。これらの条件の下で、L
Bとして本明細書に表示された新しいリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。ある実施形態では、利用される設定点は、アノードサブシステムにおけるH
2リークをエミュレートするように設計されたリーク特性評価試験に基づいて識別されてもよく、リーク信号を比較するための基準条件を表すことができる。
【0042】
[0034]ステップ224では、アノード・カソード間圧力バイアスを増加させることができる。例えば、アノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaから40kPaに調整され得るが、他の増加も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。増加させた後に、本明細書ではL
C1として表示された新しいリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。アノード・カソード間圧力バイアスを増加させることによって、アノード圧力およびリーク流量が増加するはずであり、このことは、L
C1をL
Bと比較することによって確認され得る。
【0043】
[0035]アノード・カソード間圧力バイアスの増加に続いて、アノード・カソード間圧力バイアスを減少させることができる。例えば、アノード・カソード間圧力バイアスは、40kPaから10kPaに調整され得るが、他の減少も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。減少させた後に、本明細書ではL
C2として表示された新しいリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。アノード・カソード間圧力バイアスを減少させることによって、アノード圧力およびリーク流量が減少するはずであり、このことは、L
C2をL
Bと比較することによって確認され得る。同様に、L
C2は、L
C1と比較されてもよい。アノードサブシステムにおけるリークの場合には、L
C1は、L
C2よりも大きいはずである。
【0044】
[0036]ステップ226では、PEMFCシステムがスタンバイ/アイドル動作モード208に設定されてもよい。インジェクターが比較的低周波で点火することがある、スタンバイ/アイドル動作モード208条件中に、より多くのサンプル点がアノードサブシステム内の圧力減衰を計算するのに利用可能である可能性がある。とりわけ、これらの追加のサンプル点によってより正確なリーク流量判定が可能となる。加えて、アノードサブシステムにおける圧力減衰率がモニタされてもよく、異常なモニタされた減衰率は、アノードサブシステムにおける疑わしいリークを検証するために利用され得る。本明細書ではL
Dとして表示されたリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。加えて、本明細書ではdL
Dとして表示されたリーク流量信号レベルの変化率も記憶されてもよい。
【0045】
[0037]ある実施形態では、リーク流量信号レベルの変化率は、本明細書ではK
Eとして表示されるしきい値減衰率と比較されてもよい。しきい値減衰率は、様々な方法で求められてもよい。例えば、一部の実施形態では、しきい値減衰率は、許容できるリーク検出検証性能を達成するように較正された減衰率を含むことができる。ある実施形態では、しきい値減衰率は、PEMFCシステムの名目上の減衰率を求めるためにPEMFCシステム(例えば、リークのないシステム)の試験および/または特性評価に基づいて求められてもよい。
【0046】
[0038]ステップ228では、PEMFCシステムにおけるリーク位置が決定され得る。ある実施形態では、PEMFCシステムが作動動作モード206に設定されていることがある間に、この決定が行われ得る。PEMFCシステムにおけるリーク位置を識別するために、カソード圧力を増加させることができる。アノード・カソード間圧力バイアスは、維持されてもよい。例えば、カソード圧力を150kPaに増加させることができるが、他の増加も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよく、一方でアノード・カソード間圧力バイアスは20kPaに維持されていてもよい。増加させた後に、本明細書ではL
Eとして表示された新しいリーク流量信号レベルが記憶されてもよい。アノード・カソード間圧力バイアスを維持し、カソード圧力を増加させることによって、リーク流量信号レベルが一定(すなわち、L
E=L
B)に留まる場合は、リークは、カソードサブシステムに位置すると判定され得る。リーク流量信号レベルが増加する(すなわち、L
E>L
B)場合は、リーク位置は、アノードサブシステムからのオーバーボードリーク(例えば、限定することなく、PEMFCシステムのプレート封止のリーク、水素インジェクターのリーク、水素供給ラインのリークなどによって引き起こされるような周囲の環境へのリーク)の可能性がある。
【0047】
[0039]一部の実施形態では、リークは、PEMFCシステムの遮断モード212中にアノードサブシステムの圧力の減衰率をモニタすることによって、ステップ230で確認され得る。本明細書ではdL
Fとして表示されたアノードサブシステムの圧力の減衰率がしきい値減衰率よりも速い場合は、リークがPEMFCシステムにおいて確認され得る(すなわち、しきい値減衰率未満の名目上の減衰率は、リークに関連付けられない場合があるが、しきい値を超えるより速い減衰率は、H
2リークがより速い圧力低下を引き起こすといった異常状態に関連付けられ得る)。アノードサブシステムの圧力の減衰率がしきい値減衰率よりも遅い場合は、リークは、PEMFCシステムにおいて確認されなくてもよい。
【0048】
[0040]ある実施形態では、ステップ220〜228は、比較的短い期間(例えば、1秒以下)で行われてもよい。ある実施形態では、そのような期間によってより重大なリークに起因する損傷が始まる前にリークを識別するおよび/または確認することができる。
【0049】
[0041]本発明の範囲内で
図2に関連して提示された概念に対して多くの変形を行うことができることを認識されるであろう。例えば、限定することなく、一部の実施形態では、ステップ220〜230の一部またはすべては、異なる順番でおよび/または異なる動作モード206〜212中に行われてもよい。したがって、
図2は、限定ではなく、例示および説明の目的のために提供されていることを認識されるであろう。
【0050】
[0042]
図3は、本明細書に開示された実施形態と整合するアノードリーク事象中の(例えば、秒を単位として測定された)ある時間302にわたる(例えば、モル/秒を単位として測定された)リーク流量304の例示的な推定値を示すグラフ300を示す。特に、グラフ300は、シミュレートされたリークが時点306で始まり、時点308で終了する間の例示的な検出されたリーク流量信号310を示す。グラフ300に関連して示されるように、検出されたリーク流量信号310は、シミュレートされたリークの開始後に(すなわち、時点306の後に)増加し、シミュレートされたリークの終了後に(すなわち、時点308の後に)減少すること示す。本明細書に開示された実施形態と整合して、PEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるリークは、少なくとも一部は、そのようなリーク流量信号に基づいて検証されてもよい。
【0051】
[0043]
図4は、本明細書に開示された実施形態と整合するPEMFCシステムのリークを検出するための例示的な方法400の流れ図を示す。図示される方法400は、少なくとも一部は、PEMFCシステムに関連付けられた制御システム、ならびに/または1つまたは複数のバルブ、圧力調整器および/もしくはセンサ、電流センサ(例えば、電流密度センサ)、流量センサなどを使用して行われてもよいが、他の適切なシステムおよび/またはシステムの組合せも利用されてもよい。
【0052】
[0044]本方法400は、402から開始することができる。ある実施形態では、方法400は、作動動作モードに入るPEMFCに基づいて開始してもよい。そのような動作モードの下で、アノードサブシステムの圧力情報が連続的におよび/または周期的にモニタされ、(例えば、式1などに基づいて)本明細書に開示された実施形態と整合する疑わしいリークを識別および/または検証する。
【0053】
[0045]404で、アノードサブシステムの圧力情報が受け取られてもよい。ある実施形態では、アノードサブシステムの圧力情報は、PEMFCシステムのアノードサブシステムに関連付けられた1つまたは複数の圧力センサから受け取られてもよい。リーク流量は、少なくとも一部は、リーク流量信号を発生させる、アノードサブシステムの圧力情報に基づいて、406で計算されてもよい。
【0054】
[0046]リーク流量信号がリーク流量しきい値を超えるかどうかに関して408で判定が行われてもよい。ある実施形態では、リーク流量しきい値は、PEMFCシステムのアノードサブシステムにおけるシミュレートされたオーバーボードリークを試験するおよび/またはその他の方法で特性評価することに基づいて(例えば、リーク検出試験により)判定されてもよい。一部の実施形態では、しきい値は、PEMFCシステムにおけるオーバーボードリークを検出するために最小検出可能信号しきい値を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、関連付けられた流量信号が検出しきい値(例えば、最小の検出しきい値)に達するまで、シミュレートされたオーバーボードリークの制御された流量を低減させることができる。次いで、そのようなしきい値が開示された実施形態に関連してリーク流量しきい値として利用されてもよい。リーク流量信号がリーク流量しきい値を超える場合は、リークが疑われる可能性があり、方法400は、410に進むことができる。リーク流量信号がリーク流量しきい値を超えない場合は、方法400は、次に進んで442で終了することができる。
【0055】
[0047]410で、408での判定において使用された信号レベルに関連付けられた第1の流量信号レベルが記憶されてもよい。PEMFCシステムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度は、412で、ある設定レベルに調整されてもよい。例えば、ある実施形態では、アノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaに設定されてもよく、電流密度は、0.03A/cm
2に設定されてもよいが、他の設定レベルが本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。ある実施形態では、設定レベルは、アノードサブシステムにおけるH
2リークをエミュレートするように設計されたリーク特性評価試験に基づいて、識別されてもよく、リーク信号を比較するための基準条件を表すことができる。
【0056】
[0048]412での調整の後に生じる信号レベルに関連付けられた第2の流量信号レベルが414で記憶されてもよい。第2の流量信号レベルを記憶した後に、アノード・カソード間圧力バイアスを416で増加させることができる。例えば、アノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaから40kPaに調整され得るが、他の増加も、本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。増加の後、第3の流量信号レベルが418で記憶されてもよい。
【0057】
[0049]420で、第3の流量信号レベルが第2の流量信号レベルよりも大きいかどうかに関して判定が行われてもよい。第3の流量信号レベルが第2の流量信号レベルよりも小さい場合は、リークが疑われる可能性はなく、方法400は、次に進んで442で終了することができる。リークしている場合にアノード・カソード間圧力バイアスを増加させると、結果としてアノード圧力が増加し、リーク流量が増加する可能性がある。したがって、第3の流量信号レベルが第2の流量信号レベルよりも大きい場合は、リークが疑われる可能性があり、方法400は、422に進むことができる。
【0058】
[0050]422でアノード・カソード間圧力バイアスを減少させることができる。例えばアノード・カソード間圧力バイアスは、40kPaから10kPaに調整され得るが、他の減少も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよい。減少の後、第4の流量信号レベルが424で記憶されてもよい。
【0059】
[0051]426で、第4の流量信号レベルが第2の流量信号レベルおよび第3の流量信号レベルと比較され、第4の流量信号レベルが第2および第3の信号レベルよりも大きいかどうかを判定することができる。アノード・カソード間圧力バイアスを減少させることによって、アノード圧力およびリーク流量が減少するはずである。したがって、第2および第3の流量信号レベルが第4の流量信号レベルよりも大きい場合は、リークが疑われる可能性があり、方法400は、428に進むことができる。さもなければ、方法400は、次に進んで442で終了することができる。
【0060】
[0052]PEMFCシステムは、428でスタンバイ/アイドル動作モードに設定されてもよく、アノードサブシステムにおける圧力減衰率がモニタされてもよい。そのような動作モード中に、PEMFCシステムのインジェクターは、比較的低周波で点火することができ、それによってアノードサブシステム内部の圧力減衰のモニタに関連してより多くのサンプル点を使用することが可能となる。430で、モニタされた圧力減衰率は、圧力減衰率しきい値(例えば、システムの試験および/または特性評価などによって得られた名目上の減衰率に関連付けられたしきい値)と比較されてもよい。モニタされた圧力減衰率が圧力減衰率しきい値を超える場合は、リークが疑われる可能性があり、方法400は、432に進むことができる。さもなければ、方法400は、次に進んで422で終了することができる。
【0061】
[0053]432で、PEMFCシステムにおけるリーク位置を識別するために、PEMFCシステムは、動作モードに設定されてもよく、カソードサブシステムの圧力を増加させることができ、アノード・カソード間圧力バイアスは、維持されてもよい。例えば、カソード圧力を150kPaに増加させることができるが、他の増加も本明細書に開示された実施形態に関連して利用されてもよく、一方でアノード・カソード間圧力バイアスは、20kPaに維持されてもよい。
【0062】
[0054]増加の後に、434でリーク流量が、一定かどうかが判定されてもよい。リーク流量が一定の場合、リーク位置がカソードサブシステム内にあると判定され得て、方法400は、次に進んで442で終了することができる。リーク流量が増加する場合は、リークがアノードサブシステムおよび/またはオーバーボード位置にあると判定され得て、方法400は、436に進むことができる。
【0063】
[0055]436で、アノードサブシステムにおける圧力減衰率がモニタされてもよい。ある実施形態では、この圧力減衰率は、PEMFCシステムの遮断モード中にモニタされてもよい。438で、圧力減衰率は、基準しきい値減衰率と比較されてもよい。ある実施形態では、しきい値減衰率は、名目上の減衰率を識別するためにPEMFCシステムの試験および/または特性評価に基づいて決定されてもよい。圧力減衰率がしきい値減衰率よりも速くない場合は、リークが確認される可能性はなく、方法400は、次に進んで422で終了することができる。しかしながら、圧力減衰率がしきい値減衰率よりも速い場合は、方法400は、440に進むことができ、リークがアノードサブシステムにおいて確認される可能性があり、PEMFCは、1つまたは複数の保護措置(例えばシステムに対する損傷を防ぐ措置)に関与することができる。例えば、ある実施形態では、PEMFCシステムは、遮断モードに切り替えられてもよく、他の動作の中でもとりわけ、空気がPEMFCスタックに送り込まれてもよい。さらなる実施形態では、PEMFCシステムは、急停止(例えば、作動モードから停止モードへの急速遷移)に関与することができ、それによってPEMFCシステムにおける水素注入を速やかに終了することができる。方法400は、次に進んで442で終了することができる。
【0064】
[0056]本明細書に開示されたあるシステムおよび方法は、少なくとも一部は1つまたは複数のコンピュータシステムを使用して実施されてもよい。例えば、ある実施形態では、PEMFCシステムに関連付けられた制御システムは、少なくとも一部は1つまたは複数のコンピュータシステムを使用して実施されてもよい。本明細書に開示されたシステムおよび方法は、いかなる特定のコンピュータまたは他の装置とも本質的に関係がなく、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの適切な組合せによって実施されてもよい。ソフトウェアの実施態様は、プロセッサによって実行されたとき、少なくとも一部は実行命令によって規定された方法をプロセッサに行わせることができる実行可能コード/命令を備える1つまたは複数のコンピュータプログラムを含んでもよい。コンピュータプログラムは、コンパイラ型またはインタープリタ型言語を含む、プログラミング言語の任意の形態で書かれてもよく、独立型プログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、あるいはコンピュータ環境で使用するのに適した他のユニットを含む任意の形態で展開されてもよい。さらに、コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、あるいは1つのサイトの、または複数のサイトにまたがって分散され通信網によって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開されてもよい。ソフトウェアの実施形態は、プロセッサによって実行されたとき、命令に従って方法をプロセッサに行わせるように構成されたコンピュータプログラムおよび命令を記憶するように構成された非一時的記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品として実施されてもよい。ある実施形態では、非一時的記憶媒体は、非一時的記憶媒体上にプロセッサ可読命令を記憶することができるいかなる形態もとることができる。非一時的記憶媒体は、コンパクトディスク、ディジタルビデオティスク、磁気テープ、ベルヌーイ駆動装置、磁気ディスク、パンチカード、フラッシュメモリ、集積回路、またはその他の非一時的ディジタル処理装置メモリデバイスによって具現化されてもよい。
【0065】
[0057]前述の事項は、明瞭にするために多少詳細に記載されたが、ある変更および変形が前述の原理から逸脱せずに行われてもよいことは明らかであろう。例えば、ある実施形態では、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、車両に含まれないFCシステムにおいて(例えば、バックアップ電源などで)利用されてもよい。本明細書に記載されたプロセスおよびシステムの両方を実施する多くの代替方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示であると考えられるべきであり、本発明は、本明細書で示された細目に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲および均等物の範囲内で修正されてもよい。
【0066】
[0058]前述の明細書は、様々な実施形態を参照して記載された。しかしながら、当業者は、本開示の範囲から逸脱せずに様々な修正および変更が行われ得ることを認識されるであろう。例えば、様々な動作ステップ、ならびに動作ステップを実行するための構成要素は、特定の用途に応じてまたはシステムの動作に関連付けられた任意の数の費用関数を考慮して代替の方法で実施されてもよい。したがって、ステップの1つまたは複数のいずれも、削除されても、修正されても、他のステップと組み合わされてよい。さらに、本開示は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきであり、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。同様に、恩恵、他の利点、および問題の解決策について、様々な実施形態に関して上で記載された。しかしながら、すべての恩恵、利点、もしくは解決策をもたらす、またはより明白にすることができる恩恵、利点、問題の解決策、およびいかなる要素(複数可)も、重要な、必要な、または本質的な特徴もしくは要素として解釈されるべきではない。
【0067】
[0059]本明細書で使用されるように、用語「備える」および「含む」、ならびにそれらのその他の変形形態は、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品、もしくは装置が、それらの要素のみを含まず、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、システム、物品もしくは装置に固有の他の要素を含むことができるように、非排他的な含有物を包含することが意図されている。また、本明細書で使用されるように、用語「通信する」、「連結された」、「結合する」、およびそれらのその他の変更形態は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、光学的接続、通信接続、機能的接続、および/またはその他の接続を包含することが意図されている。
【0068】
[0060]当業者は、本発明の根本原理から逸脱せずに、上記の実施形態の細目に対して多くの変更が行われ得ることを認識されるであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるものとする。
【符号の説明】
【0069】
100 車両
102 PEMFCシステム
104 PEMFCスタック
106 カソード入力ライン
108 圧縮機
110 水蒸気移送ユニット
114 背圧弁
116 圧力センサ
118 圧力センサ
120 アノード排ガスライン
122 アノード入力ライン
124 水素源
126 アノード再循環ライン
128 バルブ
134 圧力センサ
136 制御システム
200 方法の概念図
202 時間
204 圧力
206 動作モード
208 動作モード
212 動作モード
214 アノードサブシステム
216 カソードサブシステム
218 電流密度
220 ステップ
222 ステップ
224 ステップ
226 ステップ
228 ステップ
230 ステップ
302 時間
304 リーク流量
306 時点
308 時点
310 リーク流量信号
400 方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムのアノードサブシステムにおけるリークを検証するための方法であって、
前記アノードサブシステムにおける第1の測定リーク流量が第1の基準流量しきい値を超えると判定するステップと、
前記燃料電池システムのアノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を基準レベルに調整するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスおよび電流密度を前記基準レベルに調整した後に、第2の測定リーク流量を測定するステップと、
複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた複数の測定リーク流量を前記第2の測定リーク流量と比較するステップと、
前記比較に基づいてリークを識別するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記複数のアノード・カソード間圧力バイアスレベルにおいて得られた前記複数の測定リーク流量を比較するステップが、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを増加させた後に、第3の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量を超えると判定するステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させるステップと、
前記アノード・カソード間圧力バイアスを減少させた後に、第4の測定リーク流量が前記第2の測定された流量および第3の測定リーク流量よりも小さいと判定するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記燃料電池システムにおけるリーク位置を識別するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別すステップが、
前記燃料電池システムの前記カソードサブシステムにおいて圧力を増加させるステップと、
前記カソードサブシステムにおいて前記圧力を増加させた後に、第5の測定リーク流量を測定するステップと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記燃料電池システムにおける前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量と実質的に同様であると判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記カソードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記燃料電池システムにおいて前記リーク位置を識別するステップが、
前記第5の測定リーク流量が前記第2の測定リーク流量よりも高いと判定するステップと、
前記判定に基づいて、前記アノードサブシステムにおけるリーク位置を識別するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記識別されたリークを確認するステップをさらに含み、前記確認するステップが、
前記燃料電池システムの遮断動作中に前記アノードサブシステムの圧力減衰率をモニタするステップと、
前記減衰率が基準しきい値減衰率よりも速いと判定するステップと、
少なくとも一部は前記判定に基づいて、前記識別されたリークを確認するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記燃料電池システムに対する損傷を軽減するために、前記リークを識別する前記ステップに応答して、少なくとも1つの保護措置を実施するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記保護措置が、前記燃料電池システムの遮断動作を開始するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記保護措置が、前記燃料電池システムにおける水素の注入を終了させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【外国語明細書】