(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-128602(P2016-128602A)
(43)【公開日】2016年7月14日
(54)【発明の名称】鉱物精鉱用の担体及び鉱物精鉱の浸出法
(51)【国際特許分類】
C22B 3/08 20060101AFI20160617BHJP
C22B 3/18 20060101ALI20160617BHJP
C22B 3/20 20060101ALI20160617BHJP
【FI】
C22B3/08
C22B3/18
C22B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-27734(P2015-27734)
(22)【出願日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】0059-2015
(32)【優先日】2015年1月9日
(33)【優先権主張国】CL
(71)【出願人】
【識別番号】515043060
【氏名又は名称】ソシエダード プンタ デル コブレ エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】SOCIEDAD PUNTA DEL COBRE S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】フアン リバデネイラ ウルタド
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA04
4K001AA09
4K001AA10
4K001AA19
4K001AA21
4K001AA30
4K001AA39
4K001BA03
4K001BA06
4K001CA49
4K001DB03
4K001DB12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】鉱物精鉱を凝集できる重合体粒子の担体と、その担体を含む、浸出に大きく耐える鉱物精鉱から金属価値を回収するのに適切な浸出法を提供する。
【解決手段】3〜20mmの重合体粒子で、無孔性で、比重の値が1以下で、酸性溶解液など強い酸性環境でも安定性を保ち、摩滅に強く、摂氏100度まで無変形である鉱物精鉱用担体に精鉱を安定的に付着させ、集合体を形成し、充填床反応器または堆積形成に入れ込む。化学物質または生態物質を含んだ酸性溶液を散布する形で鉱物精鉱を浸出する。反応器または堆積から浸透した、有価物の溶液を後程処理するために回収する。反応器または堆積から固形残渣を回収する。固形残渣から浸出しなかった鉱物精鉱及びあり得る沈殿物を分離した洗浄担体は再度利用する。担体は新しい処理のサイクルに再利用する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜20mmの重合体粒子で、無孔性で、比重の値が1以下で、酸性溶解液など強い酸性環境でも安定性を保ち、摩滅に強く、摂氏100度まで無変形である事を特徴とする鉱物精鉱用の担体。
【請求項2】
重合体粒子にはポリプロピレノ(PP)を好む事を特徴とする請求項1に記載の担体。
【請求項3】
レンズ型、円筒型、円盤型、凹型、凸型、球型など丸みを帯びた形状を好み、空洞または固形を好む事を特徴とする請求項1〜2に記載の担体。
【請求項4】
以下の処理を含む事を特徴とする鉱物精鉱の浸出法。
a. 精鉱を担体に安定的に付着させ、集合体を形成する。
b. 集合体を処理する場所に運搬
c. 集合体を、充填床反応器または堆積形成に入れ込む。
d. 化学物質または生態物質を含んだ酸性溶液を散布する形で鉱物精鉱を浸出する。
e. 任意に、強制通気を反応器または堆積に、散布溶液に逆流して流す。
f. 反応器または堆積から浸透した、有価物の溶液「PLS」を後程処理するために回収する。
g. 反応器または堆積から固形残渣を回収する。
h. 固形残渣から浸出しなかった鉱物精鉱及びあり得る沈殿物を分離した洗浄担体は再度利用可能となる。
i. 担体を新しい処理のサイクルに再利用する。
【請求項5】
請求項1〜3に記載の担体を使用する事を特徴とする請求項4に記載の鉱物精鉱の浸出法。
【請求項6】
一キロの担体に0.5kg〜0.8kgの精鉱を加える事を特徴とする請求項4に記載の鉱物精鉱の浸出法。
【請求項7】
充填床反応器または堆積が不飽和状態で動作し、20L/hm2の散布量で、散布溶液の偏った流れを避け、一定の逆流通気を行える事を特徴とする請求項4に記載の浸出法。
【請求項8】
担体に卑金属の一次硫化または二次硫化、又は硫酸化に関した大量な貴金属を含む鉱物、又は大量な不純物を含んで処理を困難にする、鉱物精鉱を処理可能である事を特徴とする請求項4に記載の浸出法。
【請求項9】
バイオ酸化物質及び培養物は凝集段階又は/及び溶液散布段階で追加できる事を特徴とする請求項4に記載のバイオ浸出法。
【請求項10】
化学酸化物質は凝集段階又は/及び溶液散布段階で追加できる事を特徴とする請求項4に記載の化学浸出法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の適用範囲
本発明は、精鉱物を付着した後浸出溶解法で経済価値を持つ金属を回収できる新担体に関する。具体的に、3〜20mmの重合体粒子で、無孔性で、比重の値が1以下で、酸性溶解液など強い酸性環境でも安定性を保ち、摩滅に強く、摂氏100度まで無変形で、回転式ドラムを使用した物理的処理で精鉱物を安定的に付着させて均一に束ねられる集合体を立体的な薄膜で表面上に形成させる能力を持つ担体の使用に関する。
【0002】
背景技術
銅の高品位酸化鉱の埋蔵量の減少はチリ国および世界中で続いている。これにより、今後10年には大半の酸化浸出施設の閉鎖または生産の減少が起こり、銅浸出貴液(PLS)または銅電解液の精鉱と電解沈殿を行う溶媒抽出施設(SX)や電解採取施設(EW)の稼働率が下がる。また、酸化銅鉱の資源発掘の減少から、チリ国では硫化銅鉱の発掘が著しく増加すると見込められる。通常、これらの鉱石は粉砕と浮選処理で硫化銅の精鉱を行うが、その後に溶融処理を行う必要が有る。チリ国が現在生産する銅の80%程が高温冶金法で溶融されている。黄銅鉱(CuFeS
2)の精鉱はこの方法のみで製錬されるが、大規模発掘事業のみで採算が合う多額な資金投資および運営費用を必要とし、大量放出されるSO
2ガスから硫酸(H
2SO
4)を得るためのSO
2の精製には複雑な工程を必要とし、その硫酸の販売が不可能な場合、環境的に安全な方法で中和しなければいけない。また、溶鉱炉から粉鉱流出、ガス漏出の問題や、 Pb, As, Sb, Cu, Zn, Hg, Bi , Seなどの金属を大量に含む酸性溶液の排出問題で、これらの金属を含む銅鉱石の処理を不可能にし、硫砒銅鉱(Cu
3AsS
4)など多くの硫化銅鉱資源の発掘の機会を逃している。
【0003】
銅鉱の一次硫化または二次硫化の大半は黄銅鉱の形で存在する。表1に、浸出困難な硫化鉱順を表す。黄銅鉱は最後から二番目で、事実上浸出が一番難しい銅鉱であり、高温高圧の条件を必要とする。
【0005】
高温冶金法の問題や制限から、湿式製錬法で精鉱物を処理する代替方法が開発された。
【0006】
様々な湿式製錬法の中で、魅力的なのはバイオ浸出法である。バイオ浸出法は、微生物の直接または間接的な作用で複雑鉱の酸化から鉱物を溶解する方法である。一般的にこれらの微生物は第一鉄や硫黄などの化合物を酸化する能力を持つ。鉱物のバイオ酸化は、微生物で鉱物の化合物を溶解し、鉱物から金属価値を抽出する方法(バイオ浸出法)または目的金属から化合物を除去する方法(バイオ酸化法)である(1)。
【0007】
バイオ浸出法で使用される大半の微生物商品は好酸性・中温性、つまり強酸性で中程度な温度(摂氏20〜30度)環境に生存するのが特徴である。しかし、温泉や冶金工程で分離された、大量な鉱物塩や摂氏60度以上の環境で生存する超好熱微生物の研究と応用が数十年前から進められ、溶解に強い鉱物の溶解には、中温性微生物より効率的であることが証明された。
【0008】
ヒープリーチング、ダンプリーチング、バットリーチング、撹拌タンク、加圧リーチングなどの反応器の種類、粒子の粒度分布や分散状態、粘土や石灰物の存在、反応器の作動温度、浸出溶液のpHと遊離酸の濃度、金属の種類、抑制誘因になりかねないイオン濃度などが目的金属の浸出に影響を齎す要因として示される。
【0009】
これらの参考から、バイオ浸出法の商用化に多くの研究と工程が開発され、攪拌タンク型反応器(stirred-tank reactor) やヒープ反応器(heap reactor)などのバイオ反応器の開発を可能にした。
【0010】
微生物の金属抽出方法で目的金属を得るバイオ浸出は、他の冶金方法よりエネルギー消費が少なく、二酸化硫黄ガスなど有害ガスの排出も無いなど、環境への悪影響が少なく、大量な不純物の精鉱を処理できるのが利点である。
【0011】
また、黄銅鉱など、一般的に銅や鉄の一次硫化物は、浸出鉱物の表面に沈殿物膜が生じる事で浸出鉱物は迅速に不動態化され、ヒープ浸出の酸に常温では侵されない事が知られている。この表面の沈殿物膜はバイオ浸出で銅を回収する反応速度を総合的に著しく減少させる。この不動態膜の形成は温度、pH及び堆積床の酸素濃度の条件と温度変動に大きく影響される。(2,14) この不動態膜の形成を阻止するため、様々な黄銅鉱の浸出法が開発された。物理化学的方法など、例えば銅精鉱の加圧浸出では、オートクレーブに高圧な酸素と温度管理で迅速な酸化(数分から数時間)を促し、硫黄を元素S°または硫酸SO
4=の形で残留する事ができる。加圧反応装置の問題点は多額な資金と運営費用を必要とすることである。金鉱、銀鉱、輝水鉛鉱のみの酸化商品としては成功しているが、加圧した純酸素を反応基質として使用する事で、大量な電気を消費し、運営費用を上昇させる。化学的技術の例として、AntofagastaPLC (3)を親会社とするCompania Minera Michilla S.A.が開発したCUPROCLO(登録商標)技術がある。この技術は硫化銅の堆積の浸出に使用され、浸出液の過剰塩素イオン(使用する海水からの30gと追加の塩化カルシウムからの60gで全塩素イオン量90 g/L)が、溶液に二つの酸化還元結合体Cu(II)/Cu(I)とFe(III)/Fe(II)の存在を安定化させ、同時に沈殿物の不動態膜の形成を阻止し、95%に近い高い銅の回収率を可能にする。しかし、他の酸化浸出の設備を硫化物処理の設備に変更するのには、このモデルの再現は簡単ではない。
【0012】
一次硫化銅鉱の高温バイオ浸出技術は、浸出物表面で形成する不動態膜で損なわれる回収率の問題を、経済的かつ環境に優しい方法で解決するが、この方法は黄銅鉱や硫砒銅鉱を主体とする精鉱のバイオ浸出法として商用化されていなく、Codelco Chile や BHP Billitonが行っている BIOCOP(登録商標)など、好熱性微生物を利用した攪拌タンクでの実験や研究所での経験のみで、この攪拌タンクバイオ浸出法は多額な資金投資を必要とし、実験での複雑な工程などの理由で、商用開発は行われなかった。(4).
【0013】
一般的に、担体上に凝集した精鉱層堆積の浸出は、薄膜浸出法のモデルで行われると説明できる。堆積床に酸素の拡散が有効で、浸出物の表面にジャロサイトの沈殿物の形成を阻止するために浸出堆積物を高温に保てれば、硫化銅鉱物の浸出は可能である。(5,6) 攪拌タンクシステムの反面、このシステムでは、バイオ浸出を行う微生物は鉱物の表面に付着し、微生物および微生物が放出する多糖類をマトリックスとした生体膜を形成する。このマトリックスで鉱物粒子のバイオ浸出はより効率的に行われる(7)。
【0014】
硫化銅鉱物のバイオ浸出を行う各微生物共同体の繁殖を効率良く進めるためには、時間と共に、鉄酸化および硫酸化を行う様々な微生物群体の各最適繁殖温度に達し、維持させる必要が有る。(8)最近の10年間、この環境で使用する微生物の多様性が増えるにつれ、総合扱いの複雑さの増加から、浸出法に微生物を利用する事についての観点が大きく変わった。最初に説明した数少ない種類の基本微生物を使用するより、アシディチオバチルス・チオオキシダンス, A. チオオキシダンスまたは レプトスピリラム(9,10)などにアシディアヌス・ブライアリ, A. サーモスルフォキシダンス, スルファバシルス・サーモスルフォキシダンスなどを追加した微生物共同体の使用の研究が現在行われている。これは、微生物の生態学の研究が進み、採掘活動での自然環境で様々な微生物の存在を明らかにしたのも理由と言える。
【0015】
現在は、硫化銅のバイオ浸出法の物理モデルレベルの実験と試作品規模で、好熱菌(摂氏50〜60度の至適生育温度)または超好熱菌(摂氏60度以上の至適生育温度)などの好熱性微生物(細菌、または古細菌)が硫化銅鉱から銅を回収する可能性を証明した。バイオ湿式治金環境での微生物の生体酸化の硫化物代謝活動の化学反応が、浸出反応装置内の温度を上げるのに必要な物理化学的条件を発生させる事は、現在の採掘活動での攪拌タンクリーチング、ヒープリーチングまたはダンプリーチングの、どの設定でも確認されている。
【0016】
黄銅鉱のバイオ浸出法。
黄銅鉱(CuFeS
2)は、酸化に最も耐えるな硫化銅である。A. フェロオキシダンスの影響で、純粋な化学的方法より硫化物の酸化速度が大幅に上がる事が確認された。輝銅鉱(Cu
2S)、銅藍(CuS)、斑銅鉱(Cu
5FeS
4)などの二次硫化銅も細菌の直接または間接的な作用で酸化しやすくなるのが確認された。工業レベルで、生態浸出法またはバイオ浸出法はヒープリーチングで適用されている(チリ、アメリカ、ペルー、等)。 Southern PeruはToquepala鉱の低品位硫化銅ダンプからの銅の回収に、この技術を適用した。チリでは、BHP BillitonとCodelcoは、数年前にヒ素含有銅鉱石から銅を回収する研究で、BIOCOP処理を開発し、動力学的には良い結果を出したが、製品化の開発までは至らなかった。(11)
【0017】
他の硫化金属のバイオ浸出法.
金の回収:また、金粒子を「囲む」硫化物のマトリックス(主に黄鉄鉱または硫砒鉄鉱)を破壊するために微生物浸出法を使用し、その後通常のシアン処理で金を回収する、つまり微生物浸出法は金属を直接溶解する前の前処理として使用される。オーストラリアのBactechは、硫化物や卑金属の処理に中温性の好熱細菌を用いたBACTECH法を開発した。仮評価では、鉱石が含む金の約98%まで回収できたとされる。
【0018】
亜鉛の回収:硫化亜鉛への微生物作用の効果は大きく、商用設備は確認されていないが、大きな可能性を望める。鉄閃亜鉛鉱は、鉄分の存在で最も酸化し易い硫化亜鉛である。
【0019】
鉛の回収:方鉛鉱の微生物浸出で、酸性環境で溶けないPbSO
4が得られ、この特徴を利用した、鉛鉱石から有価金属を分離するのに利用できる。
【0020】
ニッケルの回収:ニッケルは硫化物(硫鉄ニッケル鉱と針ニッケル鉱)および鉄鉱石から浸出され、A. フェロオキシダンスの存在で、純粋な科学的方法より2倍から17倍速くなることが確認された。
【0021】
アンチモニオの回収:At. フェロオキシダンスが輝安鉱(Sb
2S
3)をpH1.75、摂氏35度で酸化させる研究が知られている。また、At. チオオキシダンスもこの硫化物を酸化させる能力についても報告が有る。
【0022】
希土類から金属の回収:多くの硫化物やケイ酸塩の結晶部分に希土類が確認される。分離させるためには、硫化物を酸化するか、ケイ酸塩のマトリックスを破壊する必要がある。ガリウムやカドミウムを主に含む閃亜鉛鉱や、ゲルマニウム、コバルト、レニウム、セレニウム、テルル、チタンやウラニウムなどの金属類はアシドチオバチルス属の細菌を使用して酸化できる可能性の報告が確認できる。
【0023】
主な先行技術特許
特許CN102230084 Bには、鉱石の粉砕、粘着剤を使用しての鉱物凝集、ヒープ状配置、硫酸と培養細菌の散布を用いた鉱石処理方法を記載している。粉砕鉱石を担体上に集積する事、および浸出中に高温を保つ事が、上記特許に記載されていないのが重要である。
【0024】
北米特許US 6,063,158 (MBX SYSTEMS, INC) では、球状で輪とピンで構成するポリエチレンマトリックス上に精鉱物を集積する方法を記載している。この方法では、カラムシステムでの常温精鉱凝集のバイオ浸出法にT. チオオキシダンスの使用も含まれている。
【0025】
北米特許US 6,083,730 (Geobiotics Inc.) 寸法0.6〜2.5cmの粗粒鉱石、火山石、砂利、岩石の表面に硫化精鉱を凝集する事を請求した方法。これらの材料をヒープ状に堆積した後、バイオ浸出を行う。
【0026】
北米特許US 8,491,701は、鉱石を最初に凝集し、その凝集に微生物と培養液を灌注するバイオ浸出法を請求している。上記特許では、浸出する堆積の一部は凝集物で構成されるが、凝集方法についての特徴は請求していない。
【0027】
北米特許US 8,119,085は、鉱石を粉砕し、水、結合剤と酸の凝集体に凝集する鉱石の浸出法を記載している。その後、堆積を形成し、硫化物酸化微生物を含んだ溶液を散布する。
【0028】
北米特許US 6,096,113には密閉タンクで、鉱物の一部をバイオ酸化微生物で処理し、その前処理した材料を処理しなかった鉱物と凝集させるバイオ浸出法を記載している。凝集には乾燥材と凝集剤を、凝集装置で使用する必要がある。この方法は、貴金属を含む難溶性鉱物に適用し、堆積で酸化した材料の加熱後、シアンなどの浸出剤の追加で回収する方法である。
【0029】
北米特許US 5,766,930は堆積有機材で汚染された土壌を攪拌無しで、主にバイオ浄化する方法を記載している。石、煉瓦屑、セメント屑とプラスチックから選択した粗粒と混合して土壌を浄化する方法である。
【0030】
GEOCOAT(登録商標)技術は特定な寸法の石の担体に硫化精鉱の層を堆積して、ヒープ状に形成し、酸性培養液の溶液を散布し、堆積の底から低気圧の空気を送り込む方法である。バイオ酸化後、担体の石から湿式篩分けで精鉱を分離させる。精鉱の残渣は中和され、通常の金回収方法を適用する。担体は再利用できる。
【0031】
この技術の一つの短所は、凝集支持体は酸と微生物の作用に完全に不活性ではなく、鉱物性の方法から、凝集処理や石担体の回収で、本発明の技術で消費するエネルギーより遥かに多いエネルギーを必要とする。
【0032】
Geobioticsが開発した技術とは違い、本発明は微生物および酸の作用に不活性で、高温でも安定性を保ち、均一寸法で低い比重の凝集支持体を提供する。最後の特徴で、支持体の回収は簡単で再利用を可能にする。
【0033】
別の観点から、提案技術は、酸化により物質の危険性を低下させる、還元した混合の酸化技術に似ている。例えばアンモニウム(NH
4+)から硝酸塩に酸化する処理で、水処理システムなどで使用される反応を示す。これらのシステムでも、プラスチック粒は微生物のバイオ膜を形成する栽培基層として使用される。処理する溶液は反応器の上部から注入され、反応器の下部から注入する逆流空気を受けながら浸透する。
【0034】
この原理は、Vardanyan et al (12)がバイオ鉱業で使用する方法でも提案されている。しかし、著作者は、第一鉄を第二鉄に酸化する能力をもつ微生物が付着できる担体としてアルギン酸カルシウム、カラギナート類、セラミック担体、活性炭、ガラス系の有孔基盤など、有機物または無機物の基層を提案しているのが違いである。その後、細菌が付着した担体の表面に第一鉄が豊富な溶液を散布し、反応器の底から逆流の空気を送り込む。散布した溶液はマトリックス/微生物の床に浸透し、酸化反応を速め、溶液の電気化学的電位が上がるので、後程、銅鉱の硫化物や混合物の浸出に使用できる。
【0035】
発明の概要
本発明は浸出する精鉱物の担体となる製品に関する。充填層反応器または堆積反応器で、浸出法で処理する精鉱物を安定的に付着させ、微生物または化学物質の作用で精鉱マトリックスに含まれる目的金属を含んだ溶液を得るのが、担体の目的である。
【0036】
具体的に、3〜20mmの重合体粒子で、比重の値が1以下で、酸性溶解液など強い酸性環境でも安定性を保ち、摩滅に強く、摂氏100度まで無変形で、精鉱物を安定的に表面上に付着させて凝集体を形成させる能力を持つ担体の使用に関する。この集合体は精鉱の薄い膜で覆われた重合体粒子で構成され、回転ドラムなどの技術で、物理的に凝集して得られる。
【0037】
この集合体は反応器に均一に充填するか、堆積に配置できる。
【0038】
反応器または堆積の設定で、大量の不純物を含んだ精鉱からの回収率は、先行技術で提案した浸出法より良好である。
【0039】
また、廃棄物質(廃石、尾鉱)など、一般的に汚染の危険性が有る物質や環境に悪影響を齎す物質の排出も最小限に押さえるのも本発明の特徴で、経済価値のある金属を回収するのに必要なエネルギーの消費量の削減も可能にする。
【0040】
また、精鉱の溶融処理の代替処理として利用できるのも本発明の特徴で、特に多額な処理コストを必要とする特性で、経済的に合わない物の処理については有効である。特に、本技術は硫砒銅鉱(Cu
3AsS
4)などの鉱物の経済価値を向上する。
【0041】
本発明の実施に使用する担体は、3〜20mmのポリプロピレン粒子で、高酸性環境で摂氏100度まで耐える物が望ましい。
【0042】
担体の望ましい形状は、レンズ型、球型、楕円型、凹型、凸型、四角型、円筒型(ペレット)、網状、または不整形、空洞または固形、滑らか又は粗い表面、またはこれらの混合。
【0043】
最大量の精鉱凝集が担体の表面に付着し、それが充填層の透過部分での液体/空気の流れを妨げないように考慮する。
【0044】
担体辺りの精鉱凝集の酸化及び/又は浸出処理が終了した後、担体を水で薄めた酸で洗う。担体は比重が1以下なので洗浄液に浮き、回収と反応器での再利用を容易にさせる。
【0045】
不反応の精鉱は、洗浄した他の鉱物固体と共に回収され、凝縮、ろ過した後、鉱物の再凝集商品として販売できる。このように、浸出法の他の技術より損失を抑える事ができる。
【0046】
一般的に、金工業で鉱物を浸出法やバイオ浸出法で処理する際、高い回収率を確保するためには堆積での浸出反応器の機械的及び水文的な特徴は重要である。これは、鉱物の細かい粒子を同じ鉱物の粗い粒子に凝集する事で得られ、細かい粒子と粗い粒子の分散処理するモデルから、新しい凝集物が反応器内で支配するモデルに移り、このように反応器の床の液体及び気体の流れを最大化することで、含まれる酸化可能金属の回収率速度が全体的に向上する。
【0047】
精鉱の特徴
本発明には、硫化金属を沈下処理で得る硫化鉱物の精鉱を使用する。精鉱物の粒子の寸法は20〜60ミクロ(平均35〜45ミクロ)で、7%〜12%の水分が望ましい。精鉱が一定量の酸性水、酸、または微生物溶液などの液体と混ぜた状態はパルプと呼ばれる。液体とは、水と硫酸の混合で、場合によっては微生物を加えた物を言う。
【0048】
説明した方法は、黄銅鉱、銅藍、輝銅鉱、硫砒銅鉱、難溶性硫化金鉱などに適用される。
【0049】
酸硬化
硫化金属の化学浸出法やバイオ浸出法では大量の硫酸の入れる必要がある。これは充填層内部にシリカコロイドの発生を抑えて、堆積の一部で水路や浸水の形成を防ぐためである。また、酸化物質の硫化で、これらを硫酸化物質として溶液内での移動を促す。これは含まれる有価金属の抽出に酸当量が必要だからである。この技術では、完全溶解に必要とする全酸当量の20〜50%の高い酸性度の精鉱を含んだ均一パルプの生産を可能にし、残る酸当量は担体へのパルプ凝集に必要な溶液や、浸出用堆積または反応器に散布するための溶液に追加する。
【0050】
凝集化
浸出液と粒の表面との接触を最適に保つため、薄い精鉱の膜が重合体の担体に付着しなければいけない。任意的に、パルプを回転ドラムまたは回転治具に当てる事で付着を得られる。この技術の柔軟性は、単一寸法または限られた寸法散乱の担体を使用する事で、ドラム内での材料の偏りを防止し、それが均一な寸法と水分の集合体の生成を可能にする事で、浸出段階での集合体の運搬、扱い、堆積及び機械的特徴に様々な利点を齎す。
【0051】
精鉱を高イオン溶液でパルプ化した事で精鉱及び担体の物理化学特徴は最適化され、精鉱が薄い膜で優れた接着力で付着する事を可能にする。
【0052】
この技術の開発には、物理化学的な観点から研究を進め、ポリプロピレンが最適の担体マトリックスで高い効率性である事が確認されている。
【0053】
ポリプロピレンと黄銅精鉱の濡れ性は膜浮方法で評価した。濡れ性を決める臨界表面張力を両方の物質で測定し、ポリプロピレンは23 mN/m以下の表面張力で濡れる事を確認した。これは高い疎水性である事を示す。その一方、黄銅鉱が豊富な精鉱の臨界表面張力は44 mN/mと測定し、56,63
oの接触角だと確認した。これは工業精鉱の接触角と略同じ値である。その一方、ポリプロピレン粒に付着する最初の精鉱層の接着力は、本発明設定で提案する不飽和・多孔環境で、Born-DLVO (12)理論で示されるポリプロピレン粒子と精鉱粒子の力とエネルギーの総相互作用力で説明される。精鉱粒子は第一極小ゾーンで高イオン力の溶液条件でポリプロピレンの表面に強く接着する。この条件は銅鉱の浸出工程で現れる。浸出溶液の希釈または粒子の洗浄で環境のイオン力を低下させ、Born-DLVO理論から、表面の強い反発力で精鉱が分離する事が確認される。最後に、最外層の精鉱粒子の付着は粒子同士の液架橋で説明される。
【0054】
重合体粒子担体に精鉱粒子が付着または分離現象には、イオン力が大きな要因となる。一般的に、湿式冶金工程では高イオン溶液を使用し、イオン力の増加はポリプロピレン担体への粒子の付着を大きく向上させる。さらに、ヒ素イオン、水銀イオン、鉛イオンなど様々なイオンが表面に付着する事で下流の汚染を防止する有効な効果も発揮するが、物質が浸出の最終段階の残渣に残るので、危険な汚染物を次の段階で無害化するために洗浄する事もできる。鉱物の粒子を担体とする他の技術では堆積残渣の管理が不可能なので、比較的に有利な競争利益となる。
【0055】
特に溶液にコロイダル粒子と微生物の存在が有る場合、本発明のポリプロピレン担体の技術では、固定床反応器での溶液の運動と拡散で、これらは固体・溶液インターフェイスとガス・液体インターフェイスに類似する。これらの粒子がマイナス電荷の場合、最初に、粘土、沈殿物や細菌などから作用される不特定で長距離な静電気反発に押され、さらにガス・液体インターフェイスの電荷からも同様に作用される。。流体力が静電気反発力に勝った場合、微細粒子をガス・液体インターフェイスへの付着を可能にする。この場合、精鉱粒子の熱力学特徴と浸出の溶液の特徴がvan de Waals相互力の作用を決める。
【0056】
マトリックスに付着したパルプの厚さは0.5mm〜4mmで、1mm〜2mmの湿凝集の厚さが望ましい。担体粒子の寸法は測定されて決まっている事で、本発明は充填層の効率的な透過性を齎す問題にに有利な解決を齎し、堆積を通る散布された溶液の流れを有利にする。この要点で、様々な物質が各層に拡散する速度の増加と、ガス・液体と液体・固体インターフェイスでの物質移動の速度の増加で全体的な工程速度が向上される。前点で、拡散抵抗管理の最小化と全体的速度に外部物質移動を可能にする。
【0057】
堆積物の浸出法反応器内の床で、溶液の浸透性を改善させるため、細かい粒子を粗い粒子上に凝集させる問題を解決する幾つかの発明が有る。その内、凝集ドラム装置(Pudahuel鉱山会社)や北米特許US 6,083,730 などで、硫化金属の精鉱を、それより大きい岩石を担体とする方法が記載されている。本発明では岩石の担体を人工担体で代替し、これは担体辺に精鉱が凝集する事を可能にし、岩石の担体のように、浸出時に副化合物が生成れない。このように、反応器内の代謝活動を行う生態物の中毒の危険性も回避する。
【0058】
この技術のもう一つの特徴は、鉱石担体の代わりに人工担体を使用する事で、溶液を処理する追加費用を必要としなく、酸の利用も限定的に行えるので、酸の消費も抑えられ、運営費用を大幅に削減できる。また、プラスチックの担体マトリックスを使用する事で、ポリプロピレンの特徴から、浸出反応器で反応しなかった物質の洗浄と回収を可能にし、先行技術と違い、これらの価値を回収する事も可能である。また、この技術で低い比重のプラスチックをマトリックスとして使用する事で、運搬、荷降などの作業でのエネルギー消費を抑えられ、最終的には鉱石担体と比較して56%の省エネ効果を期待できる。
【0059】
この技術でポリプロピレンを担体マトリックスとして選択した理由として、牽引力及び圧縮力に強く、摩滅に強い特徴で、高酸性環境に耐え、超好熱微生物が活動する摂氏80度近くにも耐える耐熱性と容易に入手可能な製品で有るなどが述べられる。
【0060】
浸出溶液
水と硫酸の混合がベースで、一種ないし多種の栽培微生物を懸濁したH
2SO
410 g/Lで、pH1〜1,5を浸出溶液として使用する。浸出能力で望む微生物としてAcidithiobacillus ferrooxidans, Sulfolobusacidocalodarius, Acidianus brierleyi, Sulfolobus metallicus,Leptospirillum ferrooxidans, Thiobacillus thiooxidans、その他を使用する。. 浸出反応器の種類を選択した後上記溶液は、堆積に何度でも散布できるので、散布液として用意する。凝集処理は、強酸性液に微生物を加えた溶液か塩素イオン (NaCl 及び/又は CaCl
2)を含む強酸性液を精鉱に加えてパルプ化する工程から始まる。固体/液体の割合は75〜80% p/p固体とする。
【0061】
浸出処理には金属物質の硫酸化で液体に溶解できる必要が有るので、酸硬化処理の利用も可能である。強い酸性の凝集物は、浸出段階での銅鉱回収速度を高い可能性で上げる。
【0062】
注入処理は、パルプ状の溶液に注入するか、最初の段階で散布の形で注入するか、浸出段階中の散布溶液に注入するかなど、段階的に行える。
【0063】
堆積の返し
鉱物または浸出堆積上に積んだ凝集精鉱浸出処理の時間が過ぎた後、スプリンクラー或いは点滴灌漑装置などを取り外し、堆積材料を廃棄場に運ぶ。散布を続けるのは可能だが、堆積で浸出していた程の管理の必要は無い。浸出堆積の返し作業には、その規模によって様々な機器や設備を使用できる。特に、廃石を廃棄場に運ぶベルトコンベアーに関連するリクレーマー、またはトラックでホッパー輸送システムに関連する積込み機などを使用できる。
【0064】
本発明で提案する凝集担体の低い比重から、堆積または反応器の処理済み材料の返し作業に必要とする消費エネルギーの削減や機材の消耗の削減など、処理全体のエネルギー効率は大幅に向上する。
【0065】
凝集担体の洗浄と再利用
岩石粒子の担体を凝集担体として使用し、精鉱を処理するGEOCOATが提案する技術を例外として、堆積浸出法では処理済みの鉱石は最終貯鉱、または浸出廃石の廃棄場に運ばれる。
【0066】
本発明では、処理済み物質はトロンメル・タイプの洗浄機で、回転の機械的作用と洗浄溶液で、浸出段階で、担体に沈殿して、反応しなかった精鉱の微細粒を洗い落とす。この段階では、担体の微細粒と粗粒を分離し、一方で反応しなかった精鉱から金属価値を回収し、もう一方で次の浸出処理で利用できる粗粒を回収するのが目的である。
【0067】
本発明で提案する担体マトリックスの低い比重から、洗浄及び反応しなかった粒子を担体マトリックスから分離する処理は大幅に楽になり、処理全体の効率化と運営費用削減に繋がる。
【0068】
反応器の設定
堆積 低品位廃石の処理には、この設定が攪拌タンク反応器より適切である。廃石は防水ベースの上に積上げられ、適当な浸出溶液を散布する。この酸性溶液は廃石に浸透し、微生物が第一鉄を第二鉄に変更し、酸の生成で鉱物の溶解・可溶化を可能にする。この堆積は受動的、または活動的な方法で換気できる(堆積底からの配管、または液体の流れに沿って)。堆積から回収した銅または目的金属に豊富な溶液(Pregnant Liquid Solution, PLS)は後程、通常の溶媒抽出、または電解採取の方法で金属を抽出できるが、鉄廃棄物の硬桔作用処理も可能である。
【0069】
攪拌タンク反応器 (stirred-tankreactor). この設定では、ガス・液体の物質移動を最大化にするため、常に空気を反応器に送り込む必要が有る。堆積反応器より効率的。処理には数日かかり、堆積反応器の場合は数週間から数ヶ月かかる。懸濁できる固体の量は約5%、最大25%と限定的なのが不利点の一つである。また、堆積反応器より維持コストが高いので、通常は高価値の鉱物、例えば金鉱の精鉱などに適用される。黄銅鉱(CuFeS
2)または硫砒銅鉱(Cu
3AsS
4),などの卑金属精鉱では、摂氏75〜80度の温度を必要とするので、このような反応器では経済的に不利になる。
【0070】
カラム. カラム反応器は試験規模で使用される反応器で、不飽和充填床反応器での浸出法を承認するのに使用される。. カラム反応器はプラスチック製の管を垂直に立てた形で設定される。本件の場合、2〜6mの高さで、内直径14cmのカラムを使用し、サーモカップルで電熱装備の温度管理を行う。カラムの底の温度はカラムの壁から温度計を挿入して、内部の物質の温度を計る。カラムは通常ポリエチレンまたはポリプロピレン製の管で作られている。カラムは土台の上に設置され、浸出する凝集物は上部から入れ込まれる。散布溶液は上部から注ぎ、積み込み床全体に浸透させる。カラムの土台は積み込み物質で支えられ、その下部に浸透した溶液を回収する空間を設け、回収後にpH,Eh,全鉄の濃度、Cu及び遊離酸を評価する。カラムの下部から必要なガスを補充するため空気を注入する。カラムの下部からループを設けたホースを使用してカラムの積み込み床から強制通気行い、浸出溶液の放出を可能にする。この設定で、注入した強制通気の空気が漏れないよう、水力シールの役割を保つ。
【0071】
凡例
例1:ポリプロピレン担体の物理化学的特長
担体は、直径3〜20mmのポリプロピレン製である事が特徴。この材質は摂氏100度まで耐える。
pH0,2で担体の試験を行い、物理化学的な変異は無いと確認された。
バイオ浸出やバイオ酸化で利用する一般的な微生物に対しては不活性である事が確認された。
担体の回収実験:使用後、ポリプロピレンの担体は、低い比重と良い流動性で、水洗で簡単に回収できると証明した。
- 負荷試験でプラスチック粒子の担体上に精鉱が実際に凝集する割合を測定できる。この試験には、直径2〜5mmのペレット(円筒状)と直径20mmの球状と、2種類のポリプロピレンの担体マトリックスを使用した。
集合する精鉱には10 g/Lの硫酸を加えた水溶液で最終的には80%の固体濃度のパルプ状に用意し、担体となる乾プラスチックマトリックスの重量と容量を計って加えた。担体と精鉱負荷の割合の結果は0.5から0.8p/p。
【0072】
例2:難溶性硫化黄銅鉱のカラム浸出法
凝集処理は凝集ドラムで行い、精鉱と酸を、40kgから60kgの酸/トン(精鉱)の割合で加え、水を60kgから90kgの kg/トン(精鉱)の割合で加え、栽培微生物を加えた。1トンの精鉱に1.1トンの担体を入れ込んだ。ドラムの回転速度は5〜15rpmで、待機時間1〜3分で、付着した精鉱物の厚みが1〜4mmになるまで続けた。凝集物を付着した粒子はポリプロピレンのカラムに積み込まれ、均一した充填床を構成した。この床に新鮮な浸出溶液を流す。浸出溶液を常にカラムの上部真ん中から7〜20L/h m
2の表面速度で流し続けた。溶液の成分は: (NH
4)
2SO
4 5〜45 mg/L, MgSO
4*7H
2O35〜45mg/L、K
2HPO
435 〜 45 mg/L。 この設定で、各担体粒子は最適な運動量、熱と質量の移転を可能にする。
【0073】
数時間のH
2SO
4で化学浸出の後、1〜2.5g/Lの第一鉄を含んだ新鮮な溶液を上部から注ぎ込んだ。 定期的に、溶液のpHとEh電荷、および Fe
3+と Fe
2+の濃度、全銅量、遊離酸および微生物の濃度を測った。浸出カラムは320日間稼動した。各カラムの土台から油無しのねじ圧縮機から空気を送り込んだ。この空気は強制環流の形でカラムの底から注入した。
【0074】
結果:320日後、90%以上のCu回収率、55%以上のFe回収率。酸消費純数はマイナス。
【0075】
例3:接種込み凝集
凝集段階で、酸と水で再パルプ状にした精鉱に、超好熱性の硫化・酸化栽培微生物混合を接種した。この培養は、その前に鉱物バイオ反応器と硫化銅精鉱の精鉱バイオ浸出に使用された。培養にはAcidothiobacillus ferrooxidans, Sulfobacillus metallicus, Acidianussp, Leptospirillum sp,などの微生物が含まれている。
【0076】
培養は、摂氏 68度の温泉などからの、様々な採集から栽培し、0,2%の酵母菌で補足した。細菌の培養基板はPucobreを細かく砕いた金属濃縮で、攪拌フラスコに5%p/vの基本培地0Kに酵母菌エキスの0.2%で補足した溶液でカラムを灌注した。初期接種の後、30Lの攪拌タンクに5%p/v(精鉱)、基本培地0Kに酵母菌エキスの0.2%で補足したバイオ倍増を行った。作業材料は摂氏70度に維持し、羽根突き機械式撹拌機で200rpmで攪拌し、3L/minの通気を行った。各カラムに10
8 〜 10
9細菌/mLの量の細菌を接種し、微生物の最終密度は10
7 〜 10
8細菌/g(精鉱)となった。各カラムのホールドアップスケールを維持するため、0,5〜0,8kgの 精鉱/担体質量を追加した。
【0077】
例4:様々な担体と浸出環境での浸出法。
2mの高さのカラム3本に塩素環境での実験を150日間行い(カラム1,3,4)。また、生態環境で300日間試験を行った(カラム1,5,6)。
全ての実験で散布液に濃縮硫酸を加えた溶液でpHを2以下に保った。流出溶液がその値で安定化してからpHの調整を中止した。
全ての条件、使用した担体及び回収率を以下の表にあらわす。(表2)。
【0079】
第一セット試験のカラムの初期と廃石の品位は、4箇所の研究所の試験結果の平均値。研究所に渡したこれらのデータは外部事業者(IDICTEC)が準備し、試料提供のサンプリングも行った。サンプリング方法は二分器の後、円錐四分法による方法で行った。サンプルは以下の研究所に送付した:GEOLAQUIM, SGS, IDICTC及び内部研究所。
【0080】
例5:重合体担体の洗浄と再利用
浸出の終了後、担体を回転ドラムと水で洗浄し、全ての付着物質が分離され、担体が綺麗に残り、次の処理サイクルに用意された。
回収した精鉱残渣には再度処理を行い有用鉱物を回収するか、価値が無い場合、適切に処分できる。
【0081】
用語
凝集化:鉱物を濃縮硫酸、製錬または水と混ぜ、粗材と細材を練り合わせて堆積に浸透性を齎す処理。鉱物に細材が大量に存在する場合、凝集物の形成は重要になる。
【0082】
バイオ浸出法:微生物の作用で鉱物を鉱石から溶かしだす方法。
【0083】
バイオ鉱業: 細菌や真菌で固形内の物質を移動させる方法。
【0084】
バイオ酸化:目的金属を含むホスト鉱石が微生物の作用で酸化する事。
【0085】
酸硬化:鉱物に商用濃厚酸を添加する処理。この段階では、浸出法の速度を速めるため、酸を鉱物に均等に散布する。銅の溶解速度を向上するため、酸は化学的な前処理を行い、さらにケイ素の溶解を阻止し、粒子間の粘着物となる
【0086】
荷電した電解液:銅精鉱の水分溶液/30g/L。電解採取処理で使用される。
【0087】
EW (電解採取処理): 金属を含む荷電した電解液に直流電気(300 A/m
2)を通すことで、金属を析出させ金属陰極を形成する方法
【0088】
集合体:担体と精鉱で構成され、凝集処理で精鉱が薄い膜で付着した状態の物質。
【0089】
ILS: 中間浸出溶液。使い果たした浸出反応器の産物。
【0090】
浸出法:溶液の作用で、鉱石から溶け出した金属
【0091】
堆積用地:堆積に用意された場所。通常3%の勾配で、砂質層、ポリエチレンの防水膜、排水管、廃石層、排水溝などが有る。バイオ浸出法の場合、通気システムの配管も含まれる。
【0092】
PLS: 浸出反応器からの銅を含んだ溶液。
【0093】
粒子の浸透性:粒子の全孔数と全容量の割合。
【0094】
製錬:溶液から浸出法で金属を回収した後の廃液。
【0095】
硫酸化:鉱物の酸硬化で生じる反応で、硫酸化で複雑化した酸化金属は、水和度及び溶性度を上げる。
【0096】
SX(溶媒抽出):、特定金属に選択されたバイオマトリックスに、その金属を含む水溶液を通す精鉱と精製処理。
【0097】
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