(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-128761(P2016-128761A)
(43)【公開日】2016年7月14日
(54)【発明の名称】放射線遮蔽用コンクリート組成物及び放射線遮蔽用コンクリート組成物により形成された放射性物質保管用容器
(51)【国際特許分類】
G21F 1/04 20060101AFI20160617BHJP
G21F 5/002 20060101ALI20160617BHJP
G21F 5/005 20060101ALI20160617BHJP
G21F 5/00 20060101ALI20160617BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20160617BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20160617BHJP
C04B 14/36 20060101ALI20160617BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20160617BHJP
C04B 18/16 20060101ALI20160617BHJP
【FI】
G21F1/04
G21F5/00 W
G21F5/00 K
G21F9/36 501A
C04B28/02
C04B14/36
C04B18/14 H
C04B18/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-3117(P2015-3117)
(22)【出願日】2015年1月9日
(71)【出願人】
【識別番号】505439956
【氏名又は名称】有限会社豊栄産業
(71)【出願人】
【識別番号】711009419
【氏名又は名称】株式会社隠岐商事
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100186819
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 俊尚
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 紘治
(72)【発明者】
【氏名】大饗 恭志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 好夫
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA14
4G112PA28
4G112PA30
(57)【要約】
【課題】 従来よりも軽量で、移動や設置を容易に行うことができる放射性物質保管用容器を安価に提供する。
【解決手段】 製鉄集塵ダスト及びセラミック塊を少なくとも有する粗骨材と、セラミックサンド、細粒るつぼ及び細粒セラミックを有する細骨材と、セメントを主成分とするバインダとから放射線遮蔽用コンクリート組成物を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鉄集塵ダスト及びセラミック塊を少なくとも有する粗骨材と、
セラミックサンド、細粒るつぼ及び細粒セラミックを有する細骨材と、
セメントを主成分とするバインダとを含むことを特徴とする放射線遮蔽用コンクリート組成物。
【請求項2】
前記粗骨材の含有率が46.2〜53.6重量%であり、
前記細骨材の含有率が28.1〜32.7重量%であり、
前記バインダの含有率が12.7〜13.8重量%である請求項1に記載の放射線遮蔽用コンクリート組成物。
【請求項3】
前記粗骨材の粒度は、公称目開き26.5mmの篩を100%通過するもののうち公称目開き9.5mmの篩を85%通過しないものであり、
前記細骨材の粒度は公称目開き9.5mmの篩を100%通過し、公称目開き4.75mm篩を85%通過するものである請求項1または2に記載の放射線遮蔽用コンクリート組成物。
【請求項4】
前記製鉄集塵ダストの含有率が25.5〜29.5重量%であり、
前記セラミック塊の含有率が20.7〜24.1重量%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線遮蔽用コンクリート組成物。
【請求項5】
前記セラミックサンドは、呼び寸法1mmの篩を通過したものであり、
前記細粒るつぼは、呼び寸法10mmの篩を通過したものであり、
前記細粒セラミックは、呼び寸法10mmの篩を通過したものである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線遮蔽用コンクリート組成物。
【請求項6】
前記セラミックサンドの含有率が8.1〜10.3重量%であり、
前記細粒るつぼ含有率が5.1〜5.2重量%であり、
前記細粒セラミックの含有率が14.9〜17.2重量%である請求項5に記載の放射線遮蔽用コンクリート組成物。
【請求項7】
前記細骨材は、2重量%未満のホウ砂をさらに含有している請求項6に記載の放射線遮蔽用コンクリート組成物。
【請求項8】
前記バインダの主成分は、ポルトランドセメントである請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線遮蔽用コンクリート組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線遮蔽用コンクリート組成物により形成された放射性物質保管用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線遮蔽用コンクリート組成物及び放射線遮蔽用コンクリート組成物により形成された放射性物質保管用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2009−276194号公報には、平均粒径100〜250μmの小鋼球群と、平均粒径600〜850μmの大鋼球群と、セメントとを含む放射線遮蔽用コンクリート組成物が開示されている。特許文献1のコンクリート組成物では、高い放射線遮蔽能力を均一に発揮できるように、小鋼球群及び大鋼球群の平均粒径を小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−276194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、放射線量の高い放射性廃棄物が大量に発生している。このような高い放射線量の放射性廃棄物を収容・保管するために、放射性物質保管用容器には、90%以上の高い放射線遮蔽率が要求されている。特許文献1に示す従来のコンクリート組成物では、小鋼球群(細骨材)及び大鋼球群(粗骨材)の平均粒径を小さくすることで放射線遮蔽率を高めているため、放射線遮蔽用コンクリート組成物の硬化後の密度(重量密度)は、4.0g/cm
3以上と高くなる。そのため、放射性物質保管用容器の重量が大きくなってしまい、放射性物質保管用容器の移動や設置が容易に行えないという問題が生じている。また、特許文献1の放射線遮蔽用コンクリート組成物では、平均粒径がマイクロメートルレベルの小さな材料を準備する必要があるため、放射線遮蔽用コンクリート組成物が高価になるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、放射線遮蔽能力を高くしても重量密度が小さい放射線遮蔽用コンクリート組成物及び放射性物質保管用容器を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、発明者らは鋭意研究、検討の結果、放射線遮蔽用コンクリート組成物を構成する粗骨材及び細骨材の材料の組み合わせを変更すると、放射線遮蔽用コンクリート組成物の放射線遮蔽能力を向上させることができることを見いだした。この知見に基づき、発明者らは、放射線遮蔽用コンクリート組成物を構成する粗骨材及び細骨材の組み合わせと、粗骨材及び細骨材に要求される平均粒径と、放射線遮蔽能力との関係について研究を行った。
【0007】
本発明は、粗骨材と、細骨材と、セメントを主成分とするバインダとを含む放射線遮蔽用コンクリート組成物及び該組成物から形成した放射性物質保管容器を改良の対象とする。本発明の組成物で用いる粗骨材は、製鉄集塵ダスト及びセラミック塊を少なくとも有する。また本発明の組成物で用いる細骨材は、セラミックサンド、細粒るつぼ及びセラミック細粒を有する。
【0008】
本明細書において製鉄集塵ダストとは、製鉄所で大量に発生する亜鉛を含む鉄系集塵ダストである、対象となる製鉄集塵ダストは電気炉ダスト、高炉ダスト、転炉ダスト、焼結ダストなど広範囲なダストを原料として使用しても良い。
【0009】
本明細書においてセラミックとは、陶磁器等の伝統的なセラミックだけでなく、無機化合物の成形体、粉末、膜などの無機固体材料等のいわゆるセラミックスを含むものである。
【0010】
本明細書においてセラミック塊、セラミック細粒及びセラミックサンドとは、例えば、セラミック成形製品及びセラミック成形製品の不適格品等のセラミック成形品を破砕したセラミック破砕物を、大きさごとに分別したものである。本願明細書において、粉砕物の粒度は、粗骨材が公称目開き26.5mmの篩を100%通過するもののうち公称目開き9.5mmの篩を85%通過しないものである。また細骨材は公称目開き9.5mmの篩を100%通過し、公称目開き4.75mmの篩を85%通過するものとする。セラミックサンドとは、原料である粘土や珪石を1200℃で高温焼成された良質なセラミック製品である和瓦の規格外品を公称目開き1.18mmアンダーに粉砕したものである。セラミック塊、セラミック細粒は、精選又は合成された原料粉末を成形・焼結加工法によって製造された高精密なセラミックス成形品の不適格品を破砕したものである。
【0011】
細粒るつぼとは、磁器、セラミックス、石英、黒鉛、白金、ニッケルなどの金属、ガラス等の材料を高温加熱するための容器である使用済みるつぼを破砕したものである。
【0012】
本発明によれば、製鉄集塵ダスト及びセラミック塊を有する粗骨材と、セラミックサンド、細粒るつぼ及びセラミック細粒を有する細骨材とを使用しているので、細骨材及び粗骨材の大きさを(平均粒径)をマイクロメートルレベルまで小さくしなくとも90%以上の高い放射線遮蔽率を有する放射線遮蔽用コンクリート組成物を得ることができる。そのため、本発明によれば、高い放射線遮蔽能力を有する放射線遮蔽用コンクリート組成物を少ない作業工程で簡単に得ることができる。また従来の高い放射線遮蔽能力を有する放射線遮蔽用コンクリート組成物よりも、細骨材及び粗骨材の大きさが大きいので、放射線遮蔽用コンクリート組成物の硬化後の重量密度を従来よりも低くすることができる。そのため、放射性物質保管用容器を従来よりも軽量とすることができ、放射性物質保管用容器の移動や設置を容易に行うことができる。さらに、粗骨材及び細骨材に、それぞれ産業廃棄物を破砕したものを使用できるので、放射線遮蔽用コンクリート組成物を安価に製造することができる。
【0013】
粗骨材の含有率が46.2〜53.6重量%であり、細骨材の含有率が28.1〜32.7重量%であり、バインダの含有率が12.7〜13.8重量%であり、水の含有率が5.1〜6.8重量%であることが好ましい。粗骨材、細骨材及びバインダ、水の含有率をこのような範囲とすると、放射線遮蔽用コンクリート組成物内における粗骨材及び細骨材の流動性を高めることができ、放射線遮蔽用コンクリート組成物全体に亘って粗骨材及び細骨材を均一に分散させることができ、放射線遮蔽用コンクリート組成物の放射線遮蔽能力を均一にすることができる。
【0014】
本発明では、粗骨材の粒度は、公称目開き26.5mmの篩を100%通過するもののうち公称目開き9.5mmの篩を85%通過しないものであり、細骨材の粒度は公称目開き9.5mmの篩を100%通過し、公称目開き4.75mm篩を85%通過するものであるのが好ましい。本発明では、製鉄集塵ダスト及びセラミック塊の粒度をこのような範囲としても、十分に高い放射線遮蔽能力を発揮できるので、放射線遮蔽用コンクリート組成物の硬化後の重量密度を従来よりも低くすることができる。
【0015】
放射線遮蔽用コンクリート組成物における製鉄集塵ダストの含有率は25.5〜29.5重量%であり、セラミック塊の含有率は20.7〜24.1重量%であることが好ましい。放射線遮蔽用コンクリート組成物における集塵ダスト及びセラミック塊の含有率をこのような範囲にすると、硬化後の放射線遮蔽用コンクリート組成物の強度を十分に確保することができる。
【0016】
なお、製鉄集塵ダストは、Feの含有率が40%〜65%であることが好ましい。製鉄集塵ダストはその組成として概ねFe30%〜65%、Zn10%〜35%、Mn1.0〜10%、Ni1.0%〜5.0%、Pb0.1%〜5.0%、Cr他を含んでいる。しかし、Zn、Cr、Pbを含んでいるため、このままでは再資源化としてのリサイクルが困難であるが、射線遮蔽用コンクリート組成物の材料としては利用可能である。
【0017】
本発明では例えば、セラミックサンドは、呼び寸法1mmの篩を通過したものであり、細粒るつぼは、呼び寸法10mmの篩を通過したものであり、細粒セラミックは、呼び寸法10mmの篩を通過したものである。本発明では、セラミックサンド、細粒るつぼ及び細粒セラミックの平均粒子径をこのような範囲としても、十分に高い放射線遮蔽能力を発揮できるので、放射線遮蔽用コンクリート組成物の硬化後の重量密度を従来よりも低くすることができる。
【0018】
放射線遮蔽用コンクリート組成物におけるセラミックサンドの含有率は8.1〜10.3重量%であり、るつぼの含有率は5.1〜5.2重量%であり、細粒セラミックの含有率は14.9〜17.2重量%であることが好ましい。放射線遮蔽用コンクリート組成物におけるセラミックサンド、細粒るつぼ及び細粒セラミックの含有率をこのような範囲にすると、放射線遮蔽用コンクリート組成物の強度を十分に確保し、放射線遮蔽能力をより高めることができる。
【0019】
細骨材は、2重量%未満のホウ砂をさらに含有していることが好ましい。細骨材がホウ砂を含有することにより、放射線遮蔽用コンクリート組成物は、より高い放射線遮蔽能力を有することとなる。
【0020】
なお、バインダの主成分は、ポルトランドセメントとすることができる。
【0021】
本発明は、本発明の放射線遮蔽用コンクリート組成物により形成された放射性物質保管用容器として把握することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(A)は本発明の一実施の形態の放射性物質保管用容器の正面図であり、(B)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1(A)は、本発明の一実施の形態の放射性物質保管用容器1の正面図であり、(B)は右側面図であり、
図2は
図1のII−II線断面図である。放射性物質保管用容器1は、一方の端部に開口部3aを有する角型の容器本体部3と、容器本体部3の開口部3aに取り付けられる蓋部材5とを備えている。容器本体部3は、矩形状の底壁部31と、底壁部31と一体に設けられた周壁部33とから構成されている。底壁部31と周壁部33とにより、放射性物質を収容する収容空間Sが構成されている。
【0024】
蓋部材5は、容器本体部3の底壁部31と完全に対向する大きさを有する矩形状の蓋本体51と、蓋本体51の内壁面51aに一体に設けられた張り出し部53とを有している。張り出し部53の外周形状は、容器本体部3の周壁部33の内周形状よりも僅かに小さく形成されている。この張り出し部53は、蓋部材5を容器本体部3の開口部3aに取り付けたときに、一部が収容空間Sに嵌って、収容空間Sの開口部3a側の端部を実質的に塞ぐ。蓋本体51には、外壁面51bに2つの取っ手部材55が設けられている。蓋部材5は、容器本体部3と同じ材料により形成されている。蓋部材5は、放射性物質保管用容器1の水密性を高めるために、図示しないシール部材を介して容器本体部3に取り付けられる。
【実施例】
【0025】
次に本発明の実施例について説明する。なお本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【0026】
表1に示す細骨材及び粗骨材を準備し、セメント、水と混練して放射線遮蔽用コンクリート組成物を得た。
【0027】
細骨材及び粗骨材に使用した各材料の詳細は以下の通りである。
・使用した粗骨材の粒度は、公称目開き26.5mmの篩を100%通過するもののうち公称目開き9.5mmの篩を85%通過しないものであり、細骨材の粒度は公称目開き9.5mmの篩を100%通過し、公称目開き4.75mm篩を85%通過するものである。
・製鉄集塵ダスト:組成(Fe63.7%、Zn26%、Mn6.3%、Ni1.5%、Cr1.2%)
・セラミックス塊:ファインセラミックスの硬度はステンレスの約3倍であり高強度な金属と比し同体積で約半分の重さである。
・セラミックサンド:(株)丸惣社製規格外瓦を1mmアンダーにした破砕品、石州瓦は高温焼成により強度が強く耐寒性に優れ又、多孔質なため吸水率は5〜8%である。
・細粒るつぼ:石英製るつぼの使用済み品を粉砕し、呼び寸法の10mmの篩を通過した物。
・細粒セラミックス:セラミックス魂(ファインセラミックス魂)を粉砕し、呼び寸法10mmの篩を通過した物。
・ホウ砂:ホウ酸塩鉱物の一種、耐熱ガラスなどの原料と原子炉の放射線遮蔽材としての用途がある。
・ポルトランドセメント:太平洋セメント(株)社製普通ポルトランドセメント。
【0028】
【表1】
得られた放射線遮蔽用コンクリート組成物を適量の水と混和して、高さ54cm×長さ44cm×幅37cmの外形寸法を有し、容器本体部3の底壁部及び側壁部の厚み並びに蓋本体51の厚みが7cmの直方体形状箱形の放射性物質保管用容器を製造した。即ち製造した放射性物質保管用容器の容器本体部3は、高さ40cm×長さ30cm×幅23cmの収容空間を有している。
【0029】
製造した各放射性物質保管用容器について、収容空間に何も収容していない状態で容器本体部3の開口部3aにおける放射線量(空気線量)、放射性物質で汚染された土壌を脱水処理した汚染土壌脱水ケーキを収容して蓋部材を取り付けない状態の容器本体部の開口部における放射線量(開口状態の線量)及び汚染土壌脱水ケーキを収容して蓋部材を取り付けた状態の蓋部材の外面における放射線量(収納後の線量)をそれぞれ測定した。
【0030】
表2に、実施例1〜3及び比較例1の放射線遮蔽用コンクリート組成物により製造した放射性物質保管用容器において測定した空気線量、脱水ケーキの線量及び容器へ収納後の線量の測定結果並びに遮蔽線量及び遮蔽率を示す。
【0031】
比較例1は、配合比(セメント:14.2、水:7.8、細骨材(砂):32、粗骨材(砂利):46)壁厚:150mmの普通コンクリート製。
【0032】
【表2】
実施例1〜3では、容器壁厚が70mmであっても90%以上の高い放射線遮蔽率を示した。また、重量密度が3,500kg/m
3以下であるため、放射性物質保管用容器の移動や設置を容易に行うことができた。特に、ホウ砂を含む実施例3では、放射線遮蔽率を95%以上とすることができた。
【0033】
比較例1では、の放射線遮蔽率は90%以上とすることができなかった。また、比較例1の壁厚は150mmであり実施例1〜3の遮蔽率を求めるには普通コンクリートの壁厚は200〜250mm必要とし、その質量は4000〜5000kg/m
3となり放射性物質保管用容器の移動や設置を容易に行うことができない。
【0034】
上記実施の形態では、直方体形状箱形の放射性物質保管用容器について説明をしたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、製鉄集塵ダスト及びセラミック塊を有する粗骨材と、セラミックサンド、細粒るつぼ及びセラミック細粒を有する細骨材とを使用しているので、細骨材及び粗骨材の平均粒径をナノメートルレベルまで小さくしなくとも、90%以上の高い放射線遮蔽率を有する放射線遮蔽用コンクリート組成物を得ることができる。そのため、本発明によれば、高い放射線遮蔽能力を有する放射線遮蔽用コンクリート組成物を少ない作業工程で簡単に得ることができる。また従来の高い放射線遮蔽能力を有する放射線遮蔽用コンクリート組成物よりも、細骨材及び粗骨材の平均粒径を小さくする必要がないので、放射線遮蔽用コンクリート組成物の硬化後の重量密度を従来よりも低くすることができる。そのため、放射性物質保管用容器を従来よりも軽量とすることができ、放射性物質保管用容器の移動や設置を容易に行うことができる。さらに、粗骨材及び細骨材に、それぞれ産業廃棄物を破砕したものを使用できるので、放射線遮蔽用コンクリート組成物を安価に製造することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 放射性物質保管用容器
3 容器本体部
5 蓋部材