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特開2016-129465モータの冷却構造およびこれを備えた溶接トーチユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-129465(P2016-129465A)
(43)【公開日】2016年7月14日
(54)【発明の名称】モータの冷却構造およびこれを備えた溶接トーチユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20160617BHJP
   B23K 9/133 20060101ALI20160617BHJP
   B23K 9/29 20060101ALI20160617BHJP
【FI】
   H02K5/20
   B23K9/133 501Z
   B23K9/29 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-3504(P2015-3504)
(22)【出願日】2015年1月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮原 寿朗
(72)【発明者】
【氏名】藤井 順三
【テーマコード(参考)】
4E001
5H605
【Fターム(参考)】
4E001LD02
4E001LD03
4E001LH02
4E001MB07
4E001NA08
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC02
5H605DD12
5H605DD13
(57)【要約】
【課題】モータ内部への影響を及ぼすことなくモータを冷却するのに適した構造を提供すること。
【解決手段】本発明のモータの冷却構造は、ハウジングおよびこのハウジング510の主面511に対して垂直に延びるシャフトを有するモータの冷却構造であって、上記ハウジングに密着する冷却部材300を備え、冷却部材300には、冷却媒体が流れる冷媒流路310と、冷却媒体を冷媒流路310に流入させる流入口320と、冷媒流路310を通過した冷却媒体を流出させる流出口と、が形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングおよびこのハウジングの主面に対して垂直に延びるシャフトを有するモータの冷却構造であって、
上記ハウジングに密着する冷却部材を備え、
上記冷却部材には、冷却媒体が流れる冷媒流路と、冷却媒体を上記冷媒流路に流入させる流入口と、上記冷媒流路を通過した冷却媒体を流出させる流出口と、が形成されている、モータの冷却構造。
【請求項2】
上記冷却部材は、上記主面側に密着する第1部材と、上記ハウジングのうち上記シャフトが延びる方向と交差する方向を向く側面に密着する第2部材との少なくとも一方を含む、請求項1に記載のモータの冷却構造。
【請求項3】
上記冷却部材は、上記第1部材および上記第2部材を含み、
上記冷媒流路は、上記第1部材に形成された第1流路と、上記第2部材に形成された第2流路とを含み、
上記第1流路および上記第2流路は、上記第1部材に形成された第1接続口と上記第2部材に形成された第2接続口とを介して連通する、請求項2に記載のモータの冷却構造。
【請求項4】
上記冷媒流路は、上記冷却部材の内部表面によって規定されており、
上記内部表面は、この内部表面の表面積を拡大する表面積拡大部を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載のモータの冷却構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のモータの冷却構造と、
ガス通路およびガス供給口を有する溶接トーチと、を備え、
上記冷却部材が上記溶接トーチに取り付けられており、
上記冷媒流路および上記ガス通路は、上記流出口と上記ガス供給口とを介して連通する、溶接トーチユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの冷却構造およびこれを備えた溶接トーチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば消耗電極ガスシールドアーク溶接等の自動溶接の分野において、溶接トーチにワイヤを送給するためのワイヤ送給装置として溶接トーチにモータが取り付けられた構成が知られている。ワイヤ送給用モータにおいては、当該モータの駆動により生じた熱の排熱が必要となる。特許文献1には、溶接トーチに供給するためのシールドガスを、当該溶接トーチに取り付けたモータの内部に通流させることによりモータを冷却する構成が示されている。しかしながら、モータ内部にシールドガス(冷却媒体)を流す冷却方法では、冷媒媒体に塵、水分や油分等が混入している場合、モータ内部の機構部品に悪影響を及ぼす虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−56049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、モータ内部への影響を及ぼすことなくモータを冷却するのに適した構造を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0006】
本発明の第1の側面よって提供されるモータの冷却構造は、ハウジングおよびこのハウジングの主面に対して垂直に延びるシャフトを有するモータの冷却構造であって、上記ハウジングに密着する冷却部材を備え、上記冷却部材には、冷却媒体が流れる冷媒流路と、冷却媒体を上記冷媒流路に流入させる流入口と、上記冷媒流路を通過した冷却媒体を流出させる流出口と、が形成されていることを特徴としている。
【0007】
好ましい実施の形態においては、上記冷却部材は、上記主面側に密着する第1部材と、上記ハウジングのうち上記シャフトが延びる方向と交差する方向を向く側面に密着する第2部材との少なくとも一方を含む。
【0008】
好ましい実施の形態においては、上記冷却部材は、上記第1部材および上記第2部材を含み、上記冷媒流路は、上記第1部材に形成された第1流路と、上記第2部材に形成された第2流路とを含み、上記第1流路および上記第2流路は、上記第1部材に形成された第1接続口と上記第2部材に形成された第2接続口とを介して連通する。
【0009】
好ましい実施の形態においては、上記冷媒流路は、上記冷却部材の内部表面によって規定されており、上記内部表面は、この内部表面の表面積を拡大する表面積拡大部を有する。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記表面積拡大部は、上記冷媒流路が積層状に配された構成を含む。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記表面積拡大部は、上記冷媒流路の進行方向に垂直な断面形状が不均一である構成を含む。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記表面積拡大部は、上記冷媒流路の横断面がポーラス状(多孔質状)である構成を含む。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記表面積拡大部は、上記冷媒流路の横断面が概略多角形状である構成を含む。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記表面積拡大部は、上記冷媒流路の経路長が長くされた構成を含む。
【0015】
本発明の第2の側面よって提供される溶接トーチユニットは、本発明の第1の側面に係るモータの冷却構造と、ガス通路およびガス供給口を有する溶接トーチと、を備え、上記冷却部材が上記溶接トーチに取り付けられており、上記冷媒流路および上記ガス通路は、上記流出口と上記ガス供給口とを介して連通することを特徴としている。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るモータの冷却構造を備えた溶接トーチユニットの一例を示す全体斜視図である。
図2図1のII−IIに沿う部分断面図である。
図3】モータプレート(冷却部材)を表し、図1のIII−III線に沿う方向に見た図である。
図4図3のIV−IV矢視図である。
図5】冷却部材の内部の冷媒流路を模式的に表した斜視図である。
図6図4のVI−VIに沿う断面図である。
図7図3のVII−VIIに沿う断面図である。
図8図4のVIII−VIIIに沿う断面図である。
図9図3のIX−IXに沿う断面図である。
図10図3のX−Xに沿う断面図である。
図11図4のXI−XIに沿う断面図である。
図12図3のXII−XIIに沿う断面図である。
図13図3のXIII−XIIIに沿う断面図である。
図14図3のXIV−XIVに沿う断面図である。
図15】本発明に係るモータの冷却構造の他の例を示す側面図である。
図16図15のXVI−XVI矢視図である。
図17図15のXVII−XVIIに沿う断面図である。
図18図15のXVIII−XVIIIに沿う断面図である。
図19図15のXIX−XIXに沿う断面図である。
図20図15のXX−XXに沿う断面図である。
図21図15のXXI−XXIに沿う断面図である。
図22図15のXXII−XXIIに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るモータの冷却構造を備えた溶接トーチユニットの一例を示す全体斜視図である。溶接トーチユニット100は、溶接トーチ200と、この溶接トーチ200に取り付けられたモータプレート300およびモータ500とを備えている。詳細な図示は省略するが、溶接トーチ200は、例えば複数のアームからなる多関節型ロボットとして構成されたマニピュレータの手首部に取り付けられ、消耗電極ガスシールドアーク溶接等の自動溶接を行うのに用いられる。モータ500は、ワイヤ送給装置の役割を担う。例えばパワーケーブルを介して溶接トーチ200にワイヤが供給されると、当該ワイヤは、モータ500によって溶接トーチ200の先端側内部に設けられた給電チップに向けて送給され、溶接トーチ200先端の開口から外部に送り出される。また、溶接トーチ200には、電力およびシールドガスが供給される。電源装置から上記パワーケーブルを介して電力が供給され、この電力は、溶接トーチ200内部の給電チップを介してワイヤに供給される。シールドガスは、ガスボンベから供給され、溶接トーチ200内を流れて溶接トーチ200先端の開口から外部に噴出される。
【0020】
図2に示すように、モータプレート300は、溶接トーチ200の絶縁部材210に取り付けられており、モータ500を冷却するための冷却部材の役割を担う。モータプレート300は、モータ500と絶縁部材210(溶接トーチ200)との間に介在している。絶縁部材210は、モータ500と、モータ500の取付対象物(溶接トーチ200)と、を絶縁するために設けられており、例えば樹脂材料からなる。
【0021】
モータ500は、内部の機構部品(図示略)を包囲するハウジング510と、ハウジング510の主面511に対して垂直に延びるシャフト520とを有する。
【0022】
モータプレート300は、ハウジング510の主面511側に密着しており、このモータプレート300には、冷却媒体としてのシールドガスを流すための冷媒流路310(図6等参照)が形成されている。
【0023】
図2図3に示すように、モータプレート300には、シールドガスを冷媒流路310(図2図3では図示略。図6を参照)に流入させる流入口320と、冷媒流路310(図2図3では図示略。図12を参照)を通過した冷却媒体を流出させる流出口330とが形成されている。流入口320には、シールドガスを供給するためのホース(図示略)が接続されている。流出口330は、溶接トーチ200のガス供給口220に通じており、ガス供給口220は、溶接トーチ200内のガス通路230に通じている。
【0024】
冷媒流路310は、モータプレート300の内部において適宜屈曲するように形成されている。図5は、モータプレート300内の冷媒流路310を模式的に表したものであり、図6図14は、モータプレート300の適所の断面図である。本実施形態において、シールドガスが流入口320を介して冷媒流路310に流入すると、当該シールドガスはa〜jのアルファベット順の経路に沿って流れる。なお、図6図14においては、シールドガスの流れを適宜矢印で表している。
【0025】
冷媒通路310は、モータプレート300の内部表面によって規定されている。図7図9図10等に示すように、また、図6図8図11を対比すると理解されるように、冷媒通路310は、適宜折り返されて積層状に形成されており、経路長が長くされている。このように積層状に形成された冷媒通路310によれば、モータプレート300の内部表面の表面積が拡大されている。冷媒通路310が積層状に配された構成および冷媒流路310の経路長が長くされた構成は、本発明でいう表面積拡大部の一例に相当する。
【0026】
例えば図7図10図14等から理解されるように、冷媒流路310のa−b間においては、横断面が概略五角形状や六角形状(概略多角形状)である。このように概略多角形状の横断面を有する冷媒通路310によれば、モータプレート300の内部表面の表面積が拡大されている。冷媒通路310が概略多角形状の横断面を有する構成は、本発明でいう表面積拡大部の一例に相当する。
【0027】
また、例えば図11図13等から理解されるように、冷媒流路310のf−g間、i−j間等においては、途中で流路断面が拡がるとともに、複数のフィン311が所定間隔で並んでいる。このように進行方向に垂直な断面形状が不均一である冷媒通路310によれば、モータプレート300の内部表面の表面積が拡大されている。進行方向に垂直な断面形状が不均一である冷媒流路310の構成は、本発明でいう表面積拡大部の一例に相当する。
【0028】
本実施形態において、モータプレート300の流入口320に供給されたシールドガスは、上記構成の冷媒流路310を流れた後に、モータプレート300の流出口330、および溶接トーチ200のガス供給口220を介して溶接トーチ200の内部に供給される。その後、シールドガスは、溶接トーチ200内を流れて溶接トーチ200先端の開口から外部に噴出される。モータプレート300内および溶接トーチ200内を流れるシールドガスは、不活性ガスである。このような不活性ガスとしては、たとえばCO2、あるいは、ArとCO2との混合気体が挙げられる。
【0029】
上記構成のモータプレート300は、例えばアルミニウムなどの金属材料からなる。また、上記したように複雑な形状の冷媒流路310を備えたモータプレート300は、例えば3Dプリンタを用いて作製される。
【0030】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0031】
本実施形態においては、モータ500のハウジング510に密着してモータプレート300が設けられている。モータプレート300には、シールドガス(冷却媒体)が流れる冷媒流路310と、シールドガスを冷媒流路310に流入させる流入口320と、冷媒流路310を通過したシールドガスを流出させる流出口330と、が形成されている。このような構成によれば、モータ500の駆動により生じた熱は、ハウジング510を介して当該ハウジング510に密着するモータプレート300へ伝達される。モータプレート300においては、内部の冷媒流路310を流れるシールドガスが当該冷媒流路310に露出する内部表面から熱を奪って排熱される。このようにして、本実施形態では、モータプレート300に取り付けられるモータ500を間接的に冷却することができる。そして、モータ500の内部にはシールドガスが流れないので、モータ500内部の機構部品に何ら影響を及ぼすことはない。
【0032】
モータ500は、モータプレート300を介して絶縁部材210(溶接トーチ200)に取り付けられている。モータプレート300は、金属材料からなり、熱伝導性に優れている。その一方、絶縁部材210は、樹脂材料からなり、金属材料に比べて熱伝導性が悪い。本実施形態においては、モータプレート300が、モータ500(ハウジング510)と絶縁部材210との間に介在されることにより、モータ500で生じた熱を効率よく排出することができる。
【0033】
冷媒流路310は、モータプレート300の内部表面によって規定されており、当該内部表面は、この内部表面の表面積を拡大する表面積拡大部を有する。このような構成によれば、モータプレート300の金属表面と冷媒流路310を流れるシールドガスとの接触面積が多くなる。これにより、モータプレート300における排熱効率が向上し、モータ500の冷却効果を高めることができる。その結果、モータ500の熱による損傷を軽減することができる。また、モータ500の冷却が十分になされることで、安定的にモータ500を回転させることができ、ワイヤ送給装置(モータ500)の時間使用率を向上させることができる。
【0034】
溶接トーチユニット100において溶接トーチ200に隣接して設けられるモータ500としては、比較的に小型のものが用いられる。本実施形態においては、モータ500と溶接トーチ200との間にモータプレート300が介在され、このモータプレート300内にシールドガス(冷却媒体)を流すことにより効率よく排熱することが可能である。このような構成によれば、モータプレート300の小型化が可能であり、モータプレート300を取り付けるのに際し、省スペース化に寄与する。
【0035】
溶接トーチ200に供給されるシールドガスを冷却媒体としてモータプレート300に流している。このため、別途に冷却媒体を用意する必要がなく、冷却媒体専用の供給用配管なども不要である。したがって、本実施形態によれば、比較的に簡単な全体構成により、モータ500の効率よい冷却が実現可能である。
【0036】
図15図22は、本発明に係るモータの冷却構造の他の例を示す。本実施形態のモータの冷却構造においては、モータプレート300に加え、2つのヒートシンク400を備える。以下の説明では、上記した実施形態と同一または類似の要素については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。なお、本実施形態(図15図22に示した構成)においては、溶接トーチ200を省略している。
【0037】
ヒートシンク400は、ハウジング510のうちシャフト520が延びる方向と交差する方向を向く側面512に密着している。2つのヒートシンク400は、モータ500を挟んで反対側を向く2つの側面512にそれぞれが密着している。図17図22は、モータプレート300やヒートシンク400の適所の断面図である。
【0038】
モータプレート300には、冷媒流路310と、流入口320と、流出口330とが形成されている。ヒートシンク400には、冷媒流路410が形成されている。冷媒通路410は、ヒートシンク400の内部表面によって規定されている。
【0039】
本実施形態において、シールドガスが流入口320を介して冷媒流路310に流入すると、当該シールドガスは断面図におけるa〜iのアルファベット順の経路に沿って流れる。なお、図17図22においては、シールドガスの流れを適宜矢印で表している。
【0040】
図19図22に表れているように、ヒートシンク400の端部は、モータプレート300に接触している。モータプレート300およびヒートシンク400の互いの接触部分には、複数ずつの接続口340および接続口440が形成されている。モータプレート300の冷媒流路310とヒートシンク400の冷媒流路410とは、接続口340,440を介して連通している。そして、流入口320と流出口330との間には、冷媒流路310および冷媒流路410からなるシールドガスの流路全体が形成されている。これにより、シールドガスは、モータプレート300の内部の冷媒流路310およびヒートシンク400の内部の冷媒流路410を順次流れる。なお、図15図16に表れているように、ヒートシンク400の外面には複数のフィン450が形成されている。
【0041】
図19図22等に示すように、冷媒通路410は、適宜折り返されて積層状に形成されており、経路長が長くされている。このように積層状に形成された冷媒通路410によれば、ヒートシンク400の内部表面の表面積が拡大されている。冷媒通路410が積層状に配された構成および冷媒流路410の経路長が長くされた構成は、本発明でいう表面積拡大部の一例に相当する。
【0042】
例えば図19図22等から理解されるように、冷媒流路410においては、途中で流路断面が拡がるとともに、複数のフィン411が所定間隔で並んでいる。このように進行方向に垂直な断面形状が不均一である冷媒通路410によれば、ヒートシンク400の内部表面の表面積が拡大されている。進行方向に垂直な断面形状が不均一である冷媒流路410の構成は、本発明でいう表面積拡大部の一例に相当する。
【0043】
また、例えば図18図19図21図22等から理解されるように、冷媒流路310においては、横断面がポーラス状(多孔質状)とされたポーラス部312が所定間隔で並んでいる。このようにポーラス部312を有する冷媒通路310によれば、モータプレート300の内部表面の表面積が拡大されている。横断面がポーラス状である冷媒流路310の構成は、本発明でいう表面積拡大部の一例に相当する。
【0044】
本実施形態において、モータプレート300の流入口320に供給されたシールドガスは、上記構成の冷媒流路310および冷媒流路410を流れた後に、モータプレート300の流出口330、および溶接トーチ200のガス供給口220を介して溶接トーチ200の内部に供給される。その後、シールドガスは溶接トーチ200内を流れて溶接トーチ200先端の開口から外部に噴出される。モータプレート300内、ヒートシンク400内、および溶接トーチ200内を流れるシールドガスは、不活性ガスである。このような不活性ガスとしては、たとえばCO2、あるいは、ArとCO2との混合気体が挙げられる。
【0045】
上記構成のモータプレート300およびヒートシンク400は、例えばアルミニウムなどの金属材料からなる。また、上記したように複雑な形状の冷媒流路310,410備えたモータプレート300およびヒートシンク400は、例えば3Dプリンタを用いて作製される。
【0046】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0047】
本実施形態においては、モータ500のハウジング510に密着してモータプレート300およびヒートシンク400が設けられている。モータプレート300には、シールドガス(冷却媒体)が流れる冷媒流路310と、シールドガスを冷媒流路310に流入させる流入口320と、冷媒流路310を通過したシールドガスを流出させる流出口330と、が形成されており、ヒートシンク400には、シールドガスが流れる冷媒流路410が形成されている。このような構成によれば、モータ500の駆動により生じた熱は、ハウジング510を介して当該ハウジング510に密着するモータプレート300およびヒートシンク400へ伝達される。モータプレート300およびヒートシンク400においては、内部の冷媒流路310,410を流れるシールドガスが当該冷媒流路310,410に露出する内部表面から熱を奪って排熱される。このようにして、本実施形態では、モータプレート300に取り付けられるモータ500を間接的に冷却することができる。そして、モータ500の内部にはシールドガスが流れないので、モータ500内部の機構部品に何ら影響を及ぼすことはない。
【0048】
冷媒流路310は、モータプレート300の内部表面によって規定されており、当該内部表面は、この内部表面の表面積を拡大する表面積拡大部を有する。また、冷媒流路410は、ヒートシンク400の内部表面によって規定されており、当該内部表面は、この内部表面の表面積を拡大する表面積拡大部を有する。このような構成によれば、モータプレート300およびヒートシンク400の金属表面と冷媒流路310,410を流れるシールドガスとの接触面積が多くなる。これにより、モータプレート300およびヒートシンク400における排熱効率が向上し、モータ500の冷却効果を高めることができる。その結果、モータ500の熱による損傷を軽減することができる。また、モータ500の冷却が十分になされることで、安定的にモータ500を回転させることができ、ワイヤ送給装置(モータ500)の時間使用率を向上させることができる。
【0049】
溶接トーチ200に隣接して設けられるモータ500としては、比較的に小型のものが用いられる。本実施形態においては、モータプレート300内およびヒートシンク400内にシールドガス(冷却媒体)を流すことにより効率よく排熱することが可能である。このような構成によれば、モータプレート300の小型化が可能であり、モータプレート300を取り付けるのに際し、省スペース化に寄与する。
【0050】
溶接トーチ200に供給されるシールドガスを冷却媒体としてモータプレート300およびヒートシンク400に流している。このため、別途に冷却媒体を用意する必要がなく、冷却媒体専用の供給用配管なども不要である。したがって、本実施形態によれば、比較的に簡単な全体構成により、モータ500の効率よい冷却が実現可能である。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【0052】
上記実施形態においては、溶接トーチに隣接して設けられたワイヤ送給用のモータを冷却する構造の例について説明したが、本発明に係るモータの冷却構造は、種々な用途のモータを対象として適用することが可能である。また、冷媒流路に流す冷却媒体としては、空気や水など種々の流体を採用することができる。
【符号の説明】
【0053】
100 溶接トーチユニット
200 溶接トーチ
210 絶縁部材
220 ガス供給口
230 ガス通路
300 モータプレート(冷却部材、第1部材)
310 冷媒流路(第1流路)
311 フィン
312 ポーラス部
320 流入口
330 流出口
340 接続口(第1接続口)
400 ヒートシンク(冷却部材、第2部材)
410 冷媒流路(第2流路)
411 フィン
440 接続口(第2接続口)
450 フィン
500 モータ
510 ハウジング
511 主面
512 側面
520 シャフト
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