【解決手段】センサモジュール100Aでは、第1センサ11の第1実装基板11Bには剛体20が設けられることで、第1センサ11は、剛体20に当接した検出対象Mからの信号を高感度で検出することができる。また、第2センサ12が、緩衝部材30Aを介して第1センサ11に接続されることにより、第2センサ12は、外乱信号を効率的に検出することができる。したがって、これらの差分を取ることにより、外乱の影響を抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の
図1に示される広帯域センサは、圧電素子を使用するため、高感度および広帯域で検出対象の信号を検出できる反面、当該検出対象の信号の他、外乱による信号も検出しやすいという欠点がある。
【0005】
本発明の目的は、外乱の影響を抑制できるセンサモジュールおよびセンシング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るセンサモジュールは、第1センサと、剛体と、緩衝部材と、第2センサとを具備する。
前記第1センサは、第1圧電素子と、前記第1圧電素子が実装された第1実装基板とを有する。
前記剛体は、前記第1実装基板に設けられている。
前記第2センサは、第2圧電素子と、前記第2圧電素子が実装された第2実装基板とを有し、少なくとも前記緩衝部材を介して前記第1センサに設けられている。
第1センサの第1実装基板に剛体が設けられることで、第1センサは、剛体に当接した検出対象からの信号を高感度で検出することができる。また、第2センサが、緩衝部材を介して第1センサに設けられることにより、第2センサは、第1センサで検出する信号の種類とは異なる種類の信号、つまり外乱による信号を検出することができる。これにより、外乱の影響を抑制できる。
【0007】
前記剛体は、前記第1圧電素子を囲むように設けられていてもよい。
【0008】
前記センサモジュールは、前記剛体内で前記第1圧電素子を封止する封止部材をさらに具備してもよい。
これにより、第1圧電素子および第1実装基板の少なくとも一部の回路を外部に露出させることがないので、第1センサの耐久性が向上する。
【0009】
前記封止部材は、前記緩衝部材の材料と同じ材料により構成されていてもよい。
これにより、このセンサモジュールの製造が容易になり、また、低コスト化を実現することができる。
【0010】
前記封止部材は、前記緩衝部材と一体に構成され、前記剛体内で前記第2センサを封止してもよい。
これにより、第1センサだけでなく、第2センサを外部に露出させることがないので、第2センサの耐久性が向上する。
【0011】
前記封止部材の、前記第1実装基板が配置される側とは反対側の端面が、前記剛体の、前記第1実装基板が配置される側とは反対側の端面より突出していてもよい。
これにより、ユーザの身体にセンサモジュールが装着される場合、ユーザの装着感が向上する。
【0012】
前記センサモジュールは、前記封止部材とは別体で構成された、前記第2圧電素子を封止する封止部材をさらに具備してもよい。
これにより、第2圧電素子および第2実装基板の少なくとも一部の回路を外部に露出させることがないので、第2センサの耐久性が向上する。
【0013】
前記剛体は、検出対象から信号を導入する信号導入端面を有し、前記第1センサおよび前記第2センサは、前記信号導入端面に垂直方向の軸に沿って配列されていてもよい。
これにより、第1センサが、第2センサが取得すべき信号と実質的に同じ信号(を含む信号)を、効率良く得ることができる。例えば第1センサおよび第2センサの出力値を用いて外乱補正の演算(外乱の影響を除去するための演算)を行う場合に、簡易かつ高精度にその外乱補正の演算を行うことができる。
【0014】
前記第1圧電素子および前記第2圧電素子が、前記垂直方向の軸に同軸で配置されていてもよい。
【0015】
前記剛体より低い硬度を有し、前記第2圧電素子を封止する封止部材をさらに具備し、前記第2センサは、前記封止部材が検出対象に当接可能な位置に配置されるように、前記第1センサに前記緩衝部材を介して設けられていてもよい。
これにより、センサモジュールの薄型化を実現できる。
【0016】
前記第1実装基板が搭載された接続基板をさらに具備してもよい。また、前記第2センサは、前記緩衝部材を介して前記接続基板に設けられていてもよい。接続基板は、回路を有する回路基板であってもよい。
【0017】
前記第1実装基板は、前記第1圧電素子が実装された表面を有し、前記第2実装基板は、前記緩衝部材を介して前記第1実装基板の表面上に配置されていてもよい。
【0018】
前記緩衝部材のショア硬度が、1以上100以下であってもよい。
【0019】
前記第1実装基板または前記第2実装基板に搭載され、前記第1圧電素子および前記第2圧電素子の出力側に電気的に接続された差動増幅器を有していてもよい。
これによりセンサモジュールは、差動増幅されたアナログ信号を外部の機器に出力することができる。
【0020】
前記センサモジュールは、AD変換器と、演算器とをさらに具備してもよい。前記AD変換器は、前記第1実装基板または前記第2実装基板に搭載され、前記第1センサおよび前記第2センサの出力側に電気的に接続される。
前記演算器は、前記第1実装基板または前記第2実装基板に搭載され、前記AD変換器の出力側に電気的に接続される。
これによりセンサモジュールは、演算器により演算されたデジタル信号を外部の機器に出力することができる。
【0021】
本発明に係るセンシング装置は、上述したセンサモジュールと、処理手段とを具備する。
前記処理手段は、前記第1センサおよび前記第2センサから出力された信号を処理するように構成される。
【0022】
前記処理手段は、前記第1センサおよび前記第2センサの出力側に電気的に接続されたAD変換器と、前記AD変換器の出力側に電気的に接続された演算器とを有していてもよい。
【0023】
前記処理手段は、前記センサモジュールから出力された信号を無線通信により送信する送信機と、前記送信機から送信された信号を受信する受信機とを有していてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上、本発明によれば、外乱の影響を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
本発明の実施形態に係るセンサモジュールは、主に、生体に発生する微細な振動を検出することにより、脈拍、不整脈、血管の硬さ等を測定する測定装置に用いられ得る。
【0028】
以下に説明する各実施形態に係るセンサモジュールは、2つのセンサを備える。それらのセンサのうちの1つが検出対象Mの信号を検出し、他の1つが外乱に起因して発生する信号を検出するように、センサモジュールは構成されている。
【0030】
(センサモジュールの構成)
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールを模式的に示す断面図である。センサモジュール100Aは、第1センサ11、第2センサ12、剛体20、緩衝部材30A、および封止部材30Bを備える。
【0031】
第1センサ11は、第1圧電素子11Pと、第1圧電素子11Pが実装された第1実装基板11Bとを有する。第2センサ12は、第2圧電素子12Pと、第2圧電素子12Pが実装された第2実装基板12Bとを有する。第1圧電素子11Pおよび第2圧電素子12Pとして、実質的に同様の素子が用いられる。
【0032】
第1実装基板11Bおよび第2実装基板12Bは、電気回路を含む樹脂基板である。第1実装基板11Bおよび第2実装基板12B、典型的には矩形形状であるが、円形、楕円形、その他の形状であってもよい。第1実装基板11Bおよび第2実装基板12Bは、例えば樹脂基板に凹部が設けられ、その凹部内に電子部品が配置される「部品内蔵基板」技術が採用された実装基板であってもよい。これにより、第1センサ11および第2センサ12の小型化、薄型化を実現できる。
【0033】
第1実装基板11Bおよび第2実装基板12Bは、例えば電気ケーブル15により電気的に接続されている。電気ケーブル15は、緩衝部材30A内を通っている。第1実装基板11Bおよび第2実装基板12B間の相互の振動伝達を抑えるため、電気ケーブル15は小さい剛性の細線が用いられることが好ましい。
【0034】
剛体20は、例えば第1実装基板11Bに接続、固定され、第1圧電素子11Pを囲むように第1実装基板11B上に設けられている。典型的には、剛体20は環状を有している。具体的には、剛体20は、第1センサ11および第2センサ12が並ぶ方向(
図1A中、上下方向)に沿う軸方向から見て、円形状を有している。「環状」は、円環状に限られず、三角形以上の多角形状や、その他ランダムな形状の意味も含む。
【0035】
剛体20の材料は、典型的には金属であるが、樹脂、セラミックであってもよい。金属の場合、ステンレス、アルミニウム、鉄、銅等が挙げられる。樹脂としては、比較的高剛性の樹脂、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastics)等が用いられる。剛体20の材料は、実使用に耐え得る強度、防錆性等の耐久性が確保できる材料であることが望ましい。
【0036】
剛体20は、その端部に信号導入端面20aを有する。センサモジュール100Aの使用時においては、信号導入端面20aが、一点鎖線で示す生体(ユーザの身体)の一部である検出対象Mに当接する。剛体20は、検出対象Mの動きの信号を信号導入端面20aから導入して、第1実装基板11Bを介して第1圧電素子11Pに伝達する機能を有する。
【0037】
なお、センサモジュール100Aは、第1センサ11、第2センサ12、剛体20、および緩衝部材30A等の各構成部材を収容する図示しない筐体を有する。この筐体は、剛体20の信号導入端面20aを外部に露出させるための開口を有する。筐体には、図示しない面ファスナ、バンド、粘着パッド等が接続されており、これらによってセンサモジュール100Aが身体に装着される。
【0038】
第1センサ11および第2センサ12は同様の形態を有しており、第1圧電素子11Pおよび第2圧電素子12Pによる信号検出の方向が実質的に同じになるように、配置されている。具体的には、剛体20の信号導入端面20aに垂直方向(
図1Aにおいて上下方向)の軸に沿って第1センサ11および第2センサ12が配置されている。さらに、本実施形態では、第1圧電素子11Pおよび第2圧電素子12Pは、その軸に同軸で配置されている。
【0039】
第1センサ11および第2センサ12の間には緩衝部材30Aが介在している。すなわち、第2センサ12は、緩衝部材30Aを介して第1センサ11の第1実装基板11Bに接続されている。緩衝部材30Aは、第2圧電素子12Pを封止するように設けられた封止部材(封止部材30Bとは別体である)として機能し、第2実装基板12Bの実装表面を覆うように設けられている。これにより、第2圧電素子12Pおよび第2実装基板12Bの実装表面を外部に露出させることがないので、防塵性、防水性等の効果が促進され、第2センサ12の耐久性が向上する。
【0040】
封止部材30Bは、剛体20内で第1圧電素子11Pを封止するように、第1実装基板11B上に設けられている。封止部材30Bが設けられることにより、また、緩衝部材30Aにより、第1実装基板11Bの実装表面の反対面が覆われることにより、第1圧電素子11Pおよび第1実装基板11Bを外部に露出させることがなく、防塵性、防水性等の効果が促進され、第1センサ11の耐久性が向上する。
【0041】
封止部材30Bの材料は、緩衝部材30Aの材料と同じとされている。両者に同じ材料が用いられることにより、センサモジュールの製造が容易になり、また、低コスト化を実現することができる。封止部材30Bおよび緩衝部材30Aの材料として、剛体20の材料や、第1実装基板11Bおよび第2実装基板12Bの材料の硬度より低い硬度の材料が用いられる。
【0042】
緩衝部材30Aおよび封止部材30Bの材料として、ショア硬度(Shore Durometer)が1以上100以下である材料が用いられる。望ましいショア硬度は、15以上80以下であり、より望ましくは、30以上60以下である。
【0043】
上記ショア硬度を実現する緩衝部材30Aおよび封止部材30Bの材料として、例えばゴムやグリース等の比較的軟らかい樹脂、またはスポンジ等が用いられる。ゴム材料としては、例えばシリコーンが用いられる。シリコーン以外にも、エチレンプロピレン、ウレタン、ニトリル等が用いられ得る。
【0044】
封止部材30Bの材料と緩衝部材30Aの材料とが異なっていてもよい。この場合であっても、封止部材30Bは、剛体20の硬度と比較して低い硬度の材料が用いられる。
【0045】
図1Aに示すセンサモジュール100Aでは、封止部材30Bの端面(第1実装基板11Bが配置される側とは反対側の端面)31Bが、剛体20の信号導入端面20aより外方へ突出している。その突出長さは1mm以下である。このように、比較的軟らかい材料の封止部材30Bが、剛体20とともに、検出対象Mであるユーザの身体に当接することにより、剛体20のみが身体に当接する場合に比べ、ユーザの痛感や違和感を抑え、センサモジュール100Aの装着感を高めることができる。
【0046】
もちろん、センサモジュール100Aは、剛体20のみが検出対象Mに当接するように構成されていてもよい。この場合、封止部材30Bの端面31Bが、剛体20の信号導入端面20aより低くなるように(信号導入端面20aより第1実装基板11B側に位置するように)、封止部材30Bおよび剛体20が構成される。
【0047】
あるいは、
図1Bに示すセンサモジュール100A'のように、封止部材30Bの端面31Bと剛体20の信号導入端面20aとが面一(同一面内に位置する)であってもよい。あるいは、封止部材30Bは無くてもよい。
【0048】
(センサモジュールの電気的構成)
図2は、この検出対象信号を得るための、センサモジュール100Aの電気的な構成の一例を示すブロック図である。第1実装基板11Bには差動増幅器16が搭載されている。第1圧電素子11Pおよび第2圧電素子12Pから出力されるそれぞれの信号が、差動増幅器16に入力される。差動増幅器16から出力された、第1圧電素子11Pおよび第2圧電素子12Pからの各信号の差分信号が、センサモジュール100Aの出力信号として、ここでは図示しない外部機器に出力される。外部機器は、例えばユーザにセンシング状態または結果を提示するように構成される機器である。
【0049】
なお、差動増幅器16は、第1実装基板11Bに搭載されるのではなく、第2実装基板12Bに搭載されていてもよい。
【0050】
(センサモジュールの作用または使用方法)
圧電素子は、周知のように加速度を信号として出力するように構成された素子である。圧電素子は、慣性力を受けた時に電荷を発生する。この電荷発生量は、その慣性力(つまり加速度)に比例する。したがって、圧電素子は、電荷発生量を電圧レベルに変換することにより、加速度信号を出力することができる。
【0051】
センサモジュール100Aの使用時には、上述したように剛体20が検出対象Mに直接当接される。したがって、剛体20が固定された第1センサ11は、検出対象Mの動きに応じた加速度信号を検出する。第1センサ11によって検出される信号には、脈拍等、ユーザが意図しない生体信号(本来検出すべき信号である検出対象信号)と、それ以外の外乱信号(ノイズ)が含まれる。
【0052】
外乱信号には、例えばユーザが身体の一部である検出対象Mを意図的に動かす場合に発生する信号や、脈拍等の生体信号より大きいレベルを持つ無意識の動きによる信号等が含まれる。あるいは、外乱信号には、外部から入力される音波や風圧により発生する信号も含まれる。
【0053】
一方、第2センサ12は、検出対象Mに直接当接しておらず、緩衝部材30Aを介して第1センサ11に接続されている(緩衝部材30Aを介して第1センサ11に設けられている)。緩衝部材30Aは、上記生体信号(検出対象信号)を吸収するような硬度(上述の所定のショア硬度)に設定されている。したがって、第2センサ12は、実質的に外乱信号のみを効率的に検出することができる。
【0054】
したがって、第1センサ11による検出信号と第2センサ12による検出信号の差分を取ることにより、検出対象信号を効果的に得ることができる。上記差動増幅器16により、この差分信号が出力される。
【0055】
(センサモジュールによる測定結果)
本発明者らのうち一人が、本実施形態に係るセンサモジュール100Aを指に装着して、意図的に指をランダムに動かしながら、指に発生する脈動(脈拍)を測定した。このような実験による測定結果として、
図3Aは、第1センサ11による検出信号を示すグラフであり、
図3Bは、第2センサ12による検出信号を示すグラフである。
図3Cは、差動増幅器16の出力信号、つまりセンサモジュール100Aの出力信号を示すグラフである。各グラフにおいて、縦軸の単位はmVである。横軸は時間(×40s)である。
図3Bに示すグラフでは、原点補正を行っている。
【0056】
実験では、合計3回、指をランダムに動かす期間を設け、意図的にセンサモジュール100Aに外乱を与えた。
図3Aに示すように、ランダムな外乱信号が発生しているのがわかる。これに対し、
図3Bに示すように、第2センサ12では、実質的に外乱信号のみが検出された。
図3Cに示すように、外乱が除去された信号、つまり検出対象信号が得られた。
【0057】
(まとめ)
以上のように、本実施形態に係るセンサモジュール100Aによれば、第1センサ11の第1実装基板11Bに剛体20が設けられることで、第1センサ11は、剛体20に当接した検出対象Mからの信号を高感度で検出することができる。また、第2センサ12が、緩衝部材30Aを介して第1センサ11に設けられることにより、第2センサ12は、外乱信号を効率的に検出することができる。したがって、これらの差分を取ることにより、外乱の影響を抑制できる。
【0058】
本実施形態では、上述のように、第1センサ11および第2センサ12が、剛体20の信号導入端面20aに垂直方向に沿う軸に沿って配置されている。そして、特に、第1圧電素子11Pおよび第2圧電素子12Pが、その軸に同軸で配置されている。これにより、第1センサ11が、第2センサ12が取得すべき信号と実質的に同じ信号(を含む信号)を、効率良く得ることができる。すなわち、第2圧電素子12Pが取得すべき外乱信号と同じ信号を、第1圧電素子11Pが効率良く検出することができ、簡易かつ高精度に外乱補正の演算を行うことができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施形態に係るセンサモジュールについて説明する。これ以降の説明では、
図1A、Bに示した実施形態に係るセンサモジュールが含む部材や機能等について実質的に同様の要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0061】
図4は、第2の実施形態に係るセンサモジュールを模式的に示す断面図である。このセンサモジュール100Bでは、環状の剛体20内で第2センサ12が緩衝部材30により封止されている。つまり、この緩衝部材30は封止部材の機能を有する。このように、第2センサ12が第1センサ11に緩衝部材30を介して接続されることにより、上記第1の実施形態に係るセンサモジュール100Aと同様の効果を得ることができる。
【0062】
本実施形態においても、第1センサ11および第2センサ12は、剛体20の信号導入端面20aに垂直方向の軸に沿って同軸で配置されている。これにより、外乱補正の演算の簡易化および高精度化に寄与する。
【0064】
図5は、本発明の第3の実施形態に係るセンサモジュールを模式的に示す断面図である。このセンサモジュール100Cは、第1の実施形態に係るセンサモジュール100Aと同様に、第1センサ11および第2センサ12が、剛体20の信号導入端面20aに垂直方向の軸に沿って配置されている。しかし、第1圧電素子11Pおよび第2圧電素子12Pが非同軸の位置に配置されている。このように、第1圧電素子11Pおよび第2圧電素子12Pが必ずしも同軸位置に配置されなてくもよい。
【0066】
図6は、本発明の第4の実施形態に係るセンサモジュールを模式的に示す断面図である。このセンサモジュール100Dに示すように、剛体20の外周部に保護部材30Cが設けられていてもよい。保護部材30Cの材料は、緩衝部材30Aや封止部材30Bで用いられる材料であってもよいし、それらとは別材料であってもよい。保護部材30Cが設けられることにより、防錆、防水、防塵等の効果が促進され、剛体20および第1実装基板11Bを保護でき、第1センサ11の耐久性が向上する。また、剛体20と第1実装基板11Bとの接続性を高めることもできる。
【0067】
保護部材30Cは、第1実装基板および第2実装基板の両方を実質的に覆うように構成されていてもよい。
【0069】
図7は、本発明の第5の実施形態に係るセンサモジュールを模式的に示す断面図である。このセンサモジュール100Eでは、検出対象Mに対して第1センサ11および第2センサ12が並列して配置されている。具体的には、第2圧電素子12Pが封止部材30Dにより封止され、かつ、この封止部材30Dの表面が、検出対象Mに当接可能な位置に配置されるように、第2センサ12が第1センサ11に緩衝部材30Aを介して接続されている。すなわち、第1センサ11および第2センサ12は、上記各実施形態のように、剛体20の信号導入端面20aに垂直方向の軸に沿って配置されてはいない。
【0070】
第1センサ11および第2センサ12を接続する電気ケーブルは、ここでは図示を省略している。
【0071】
緩衝部材30A、封止部材30D、および、第1圧電素子11Pを封止する封止部材30Bは、同じ材料で構成されることが好ましい。
【0072】
第2実装基板12B上には、第1実装基板11B上の剛体20と同じ形態を有する剛体20'が設けられている。すなわち、剛体20が取り付けられた第1センサ11と、剛体20'が取り付けられた第2センサ12は同じ製造物である。剛体20'は、封止部材30Dによって、第2圧電素子12Pとともに封止されている。これにより、剛体20'が検出対象Mに当接しないようになっている。なお、必ずしも剛体20、20'は同じ製造物でなくてもよい。
【0073】
上記のように第1センサ11および第2センサ12において、同じセンサ、剛体20および20'が用いられることにより、重量や剛性を両者で同じにすることができ、同等の信号検出を行うことができる。また、このように同じ部品が用いられることにより、製造の容易化およびコスト削減を実現することができる。
【0074】
仮に、第2センサ12に剛体20'が取り付けられていなくてもよい。このことはこれ以降の実施形態についても同様である。この場合、第2センサ12の、剛体20が取り付けられた第1センサ11側に対する重量や剛性の違いを演算により定量的にキャンセルされることが望ましい。
【0075】
第1センサ11および第2センサ12を接続する緩衝部材30Aは、これら第1センサ11および第2センサ12の相対位置を固定し位置決めする機能も有する。この緩衝部材30Aは、第1センサ11および第2センサ12の間のみに設けられるのではなく、例えば、図示するように第1センサ11および第2センサ12の全体の周囲を覆うように設けられていてもよい。これにより当該位置決め機能を高めることができ、また、第1センサ11および第2センサ12の耐久性が向上する。
【0076】
なお、緩衝部材30Aは、第1センサ11および第2センサ12の間のみに設けられていてもよい。
【0077】
以上のように本実施形態では、第1センサ11が、剛体20を介して検出対象Mの動きの信号を取得し、一方、第2センサ12は、剛体20(20')より低い硬度を持つ封止部材30Dを介して検出対象Mの動きの信号を取得できる。これにより、第1センサ11は検出対象信号および外乱信号を検出し、第2センサ12は外乱信号を検出するので、これらの差分により検出対象信号を取得できる。
【0079】
図8は、本発明の第6の実施形態に係るセンサモジュールを模式的に示す断面図である。本実施形態に係るセンサモジュール100Fも、上記第5の実施形態と同様に、第1センサ11および第2センサ12が並列して配置されている。異なる点は、このセンサモジュール100Gは、接続基板13を備え、この接続基板13上に第1センサ11および第2センサ12が配置されている点である。第1実装基板11Bは、接続基板13に直接接続されており、第2実装基板12Bは、緩衝部材30Aを介して接続基板13に接続されている。
【0080】
接続基板13は、その主材料が樹脂で構成される回路基板である。これにより接続基板13は、第1実装基板11Bと第2実装基板12Bとを電気的に接続する基板として機能することができる。
【0081】
しかし、接続基板13は回路基板でなく、例えば金属基板、その他の材料で構成される基板であってもよい。この場合、接続基板13は、第1センサ11および第2センサ12の相対位置を固定することができる基板であればどのような形態であってもよい。
【0082】
緩衝部材30Aと封止部材30Dとが、第2実装基板12Bを実質的に覆うように、一体で設けられていてもよい。この場合、緩衝部材30Aと封止部材30Dは同じ材料であることが望ましい。
【0084】
図9は、本発明の第7の実施形態に係るセンサモジュールを模式的に示す断面図である。このセンサモジュール100Gでは、第1センサ11の第1実装基板11Bは、上記第6実施形態の接続基板13と同様に比較的大きいサイズを有する。この第1実装基板11Bの実装表面に、第2センサ12の第2実装基板12Bが緩衝部材30Aを介して接続されている。このような構造によっても、上記第6実施形態に係るセンサモジュール100Fと同様の効果が得られる。
【0086】
さらに別の実施形態に係るセンサモジュールとして、図示しないが、次のようなセンサモジュールの構成も実現可能である。例えばそれは、検出対象が第1センサおよび第2センサの間に配置されるように、それら第1センサおよび第2センサが間隔を置いて配置される構成である。この場合、剛体の信号導入端面に垂直方向の軸に沿って、第1センサおよび第センサが配置される(あるいは同軸に配置される)ことになる。
【0088】
本明細書では、ショア硬度をS、剛体20の信号導入端面20aに対して垂直方向(
図1において上下方向)の剛体20の長さ(高さ)をTとして、以下のαを定義する。
【0090】
図10は、ショア硬度とαとの関係を示す表である。ここでは、緩衝部材の材料はシリコーンである。センサモジュールの実用的な構造、また、各構成部材の配置精度等を考慮すると、αは5〜300程度に設定されることが好ましい。
【0091】
[センサモジュール等の電気的構成の別の実施形態]
【0092】
(電気的構成の例1)
図11は、センサモジュールの電気的構成の別の例を示す。センサモジュール101としては、上記各実施形態に係るセンサモジュール100A〜100Gのうち1つが適用される。この例に係るセンサモジュール101は、第1センサ11および第2センサ12の出力側にそれぞれ接続されたAD変換器15と、これらAD変換器15の出力側に接続された演算器17とを有する。なお、第1センサ11および第2センサ12は、出力を増幅する図示しない増幅器を備えている。
【0093】
このような構成によれば、第1センサ11および第2センサ12から出力されるアナログ信号を、AD変換器15がそれぞれデジタル信号に変換し、演算器17が所定の演算処理を行う。演算器17は、各AD変換器15から出力されたデジタル信号を比較演算することで、外乱補正を行うように構成される。演算器17は、比較演算の前段階で、各AD変換器15から得られる各信号のうち少なくとも一方に、係数演算やその他の演算等、所定の演算処理を施すようにしてもよい。
【0094】
また、演算器17は、ユーザにセンシング状態または結果を提示(例えば表示)するためのアプリケーションプログラムを搭載可能に構成されていてもよい。
【0095】
(電気的構成の例2)
図12は、センサモジュールを含むセンシング装置の電気的構成を示すブロック図である。このセンシング装置は、センサモジュール102と、処理手段41とを含む。センサモジュール102としては、上記各実施形態に係るセンサモジュール100A〜100Gのうち1つが適用される。
【0096】
処理手段41は、
図11で示した例と同様に、AD変換器15および演算器17を含み、また、表示器18を含む。処理手段41を構成する機器はコンピュータによって構成される機器であり、例えばPC(Personal Computer)、あるいは、スマートホンやタブレット等の携帯端末である。なお、表示器18は、AD変換器15および演算器17を含むモジュールとは別体の機器として構成されていてもよい。
【0097】
(電気的構成の例3)
図13は、さらに別の例に係るセンシング装置の電気的構成を示すブロック図である。このセンシング装置は、センサモジュール102と、処理手段42とを含み、処理手段42は外部機器45に接続可能に構成される。外部機器45は、上記PCや携帯端末等のコンピュータであり、ユーザにセンシング状態または結果を提示可能な機器である。
【0098】
処理手段42は、センサモジュールから出力された信号を無線通信により送信する送信機421と、送信機421から送信された信号を受信する受信機422とを含む。無線通信規格としては、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、赤外線通信等、公知の規格が挙げられる。受信機422と外部機器45とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)やその他の規格により通信が行われる構成であってもよい。
【0099】
なお、図示しないAD変換器は、センサモジュール102側か、処理手段42側かのどちら側にあってもよい。
【0101】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0102】
上記各実施形態に係るセンサモジュールは、2つの圧電素子を備えていたが、3つ以上の圧電素子(3つ以上のセンサ)を備え、これら3つ以上のセンサから得られた各信号を処理するようにしてもよい。この場合、例えば第1圧電素子が、検出対象Mの信号を検出し、第1圧電素子以外の圧電素子が、外乱やその他のノイズを検出する構成であってもよい。
【0103】
上記各実施形態では、第1センサ11および第2センサ12が検出する振動方向が実質同じになるように、これら第1センサ11および第2センサ12の配置が設定された。その趣旨は、上述のように、第1センサ11および第2センサ12で極力同等の振動を検出できるようにするためである。しかしながら、第1センサ11および第2センサ12が互いに異なる向きとなるように配置されていてもよい。この場合、その異なる検出方向による検出値の違いを演算により定量的にキャンセルされることが望ましい。
【0104】
本技術に係るセンサモジュールでは、第1センサ11および第2センサ12の素子特性のばらつきや、これらセンサの配置ばらつき等に伴う個体特性差がある場合がある。これらばらつきや個体特性差を吸収するため、センサモジュールまたはセンシング装置は、例えば、その個体特性差を検知する機構、また、その検知結果に応じて演算器による演算式が校正されるキャリブレーション機能を備えていてもよい。
【0105】
上記各実施形態に係るセンサモジュールおよびセンシング装置は、脈拍以外にも、次のような用途に適用可能である。例えば、呼吸による振動を検出するセンサとして、あるいは、シートの複数の位置に複数のセンサモジュールが取り付けられることにより着座センサとして、使用されることも可能である。
【0106】
センシング装置の「処理手段」は、上記の実施形態に限られない。例えば
図12に示した処理手段は、AD変換器15を有していたが、AD変換器15はセンサモジュール102側に設けられていてもよい。この場合、処理手段は、主に演算器を有する機器、または、演算器および表示器を有する機器により構成される。
【0107】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。例えば
図6の実施形態の保護部材30Cが、例えば
図4、5の実施形態のセンサモジュールに適用されてもよい。