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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-130088(P2016-130088A)
(43)【公開日】2016年7月21日
(54)【発明の名称】ルーフモールとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20160624BHJP
【FI】
   B60R13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-4790(P2015-4790)
(22)【出願日】2015年1月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】木下 英幸
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB01
3D023AC08
3D023AD02
3D023AD22
3D023AD30
(57)【要約】
【課題】ルーフモールの両端間の中間部でもルーフモール装着溝に確実に固定でき、振動や温度変化等で浮き上がりを生じ難いルーフモールの提供を目的とする。
【解決手段】頭部12と脚部14が一体に形成された押出成形体からなるモール本体11の両端に射出成形で形成された端末部18を備え、端末部18には端末取付係合部19が形成され、モール本体11の脚部14の両端間の下部には該モール本体11の長さ方向に沿って複数個所で切り欠き形成した凹部15に射出成形で形成された中間取付係合部21を設け、ルーフモール装着溝の底部に設けたルーフモール固定用係合手段に、端末取付係合部19及び中間取付係合部21を係合させるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と該頭部の裏面から延設された脚部とを備え、車体のルーフに形成されているルーフモール装着溝に前記脚部が挿入されて前記ルーフモール装着溝を前記頭部で覆うルーフモールにおいて、
前記頭部と脚部が一体に形成された押出成形体からなるモール本体と、
前記モール本体の両端に射出成形で形成された端末部と、
前記端末部に形成された端末係合部と、
前記モール本体の前記脚部の両端間の下部に該モール本体の長さ方向に沿って複数個所で切り欠き形成された凹部に射出成形で形成された中間取付係合部と、
を備え、
前記ルーフモール装着溝内に設けたルーフモール固定用係合手段に、前記端末取付係合部及び前記中間取付係合部を係合させるようにしたことを特徴とするルーフモール。
【請求項2】
前記凹部両側の切り欠きのない前記脚部の下端は、前記中間取付係合部の下端よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載のルーフモール。
【請求項3】
前記ルーフモール装着溝は、溝の上方開口側が溝の下方底部側よりも狭くなっていないことを特徴とする請求項1または2に記載のルーフモール。
【請求項4】
頭部と該頭部の裏面から延設された脚部とを一体に有する押出成形体からなるモール本体の両端に端末部が形成され、前記端末部には端末取付係合部を備えると共に前記脚部の両端間には複数箇所に形成された凹部に中間取付係合部を備え、車体のルーフに形成されているルーフモール装着溝に前記脚部が挿入されて前記ルーフモール装着溝を前記頭部で覆い、前記端末取付係合部と前記中間取付係合部を、前記ルーフモール装着溝内に設けたルーフモール固定用係合手段に係合させて取り付けられるルーフモールの製造方法において、
前記頭部と前記脚部とを一体に押出形成した押出成形体から切断によって設定長さのモール本体を形成する工程と、
前記モール本体の両端間の前記脚部の下部を、該モール本体の長さ方向に複数個所で凹状に切り欠いて凹部を形成する工程と、
前記モール本体の両端に、前記端末取付係合部を有する前記端末部を射出成形する工程と、
前記モール本体の脚部の複数箇所の前記凹部に前記中間取付係合部を射出成形する工程と、を有することを特徴とするルーフモールの製造方法。
【請求項5】
前記凹部を形成する工程では、
前記モール本体を長さ方向に送る送路を設け、
前記送路に位置する前記モール本体の脚部の下部一カ所に対して凹状に切り欠く打ち抜き装置と、前記モール本体の先端と当接して送り阻止及び該阻止の解除を行うストッパー装置とを間隔を開けてこの順番に前記モール本体の送り方向に沿って設け、前記ストッパー装置については前記凹部の間隔で複数設け、
前記モール本体を送る際に、送り開始側の第1のストッパー装置に前記モール本体の先端を当接させて送り阻止することにより前記モール本体を停止させた状態で、前記打ち抜き装置により前記脚部の下部を凹状に打ち抜いて一つ目の前記凹部を形成し、
前記第1のストッパー装置の送り阻止を解除して前記モール本体の送りを再開し、次の第2のストッパー装置に前記モール本体の先端を当接させて送り阻止することにより前記モール本体を停止させた状態で、前記打ち抜き装置により前記脚部の下部を凹状に打ち抜いて二つ目の前記凹部を形成し、
その後、前記ストッパー装置による送り阻止解除、前記モール本体の送り再開、次のストッパー装置による送り阻止、前記打ち抜き装置による打ち抜きを順に繰り返して前記脚部の複数箇所に前記凹部を形成することを特徴とする請求項4に記載のルーフモールの製造方法。
【請求項6】
前記凹部を形成する工程では、前記凹部の形成されたモール本体に対して凹部が正しく形成されているか否かを確認し、凹部が正しいものについてのみその後の工程を行うことを特徴とする請求項4または5に記載のルーフモールの製造方法。
【請求項7】
前記中間取付係合部を射出成形する工程では、前記凹部両側の切り欠きのない前記脚部の下端よりも上方に前記中間取付係合部の下端が位置するように、前記中間取付係合部を射出成形することを特徴とする請求項4から6の何れか一項に記載のルーフモールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はルーフモールとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図8及びそのE−E断面及びF−F断面を示す図9のように、車体のルーフRでは、ルーフの中央パネルR1と側部パネルR2の継ぎ目に形成されたルーフモール装着溝R3にルーフモール50が取り付けられて、前記中央パネルR1と側部パネルR2の継ぎ目が隠されている。図10は前記ルーフモール50の斜視図及びG−G断面、H−H断面、J−J断面を示す図である。
【0003】
前記ルーフモール50は、頭部53と該頭部53の裏面(下面)から延設された脚部54を有し、前記脚部54が前記ルーフモール装着溝R3に挿入されて前記頭部53でルーフモール装着溝R3を覆う。また、前記ルーフモール50は、前記頭部53と脚部54が一体に形成された押出成形体からなる所定長のモール本体51の両端に端末部58が形成されている。
【0004】
前記頭部53は、前記ルーフモール装着溝R3を覆うことのできる幅からなり、耐候性及び耐傷付き性の高い樹脂からなる表面材57が層状に積層されたもので構成されることがある。前記脚部54は、前記頭部53の裏面(下面)に頭部53よりも幅を狭くして形成されている。前記脚部54の下部には、外方へ張り出すように形成されたリップ55,55を有し、また、温度変化による伸縮を主として抑えるために金属製の芯材56が脚部54に埋設されている。前記リップ55,55は、弾性に富む樹脂からなり、前記ルーフモール装着溝R3に前記脚部54及びリップ55,55が挿入された際に、前記リップ55,55の先端側がルーフモール装着溝R3内の側面と圧接してルーフモール50の浮き上がりを抑える。
【0005】
前記端末部58は、前記ルーフモール50の端末外観を良好にするためや、前記ルーフモール溝R3が車体の前後方向で浅くなっていることに対応するためなどの理由から、前記モール本体51の端部に射出成形で形成されている。前記端末部58が形成される前記モール本体51の端部は、前記脚部54の下部が一部切除され、その切除跡の部分を含めて前記端末部58が射出成形されている。前記端末部58には、下端側(裏側)の両側部(左側側部と右側側部)に、端末取付係合部として係合爪59,59が突設されている。
【0006】
前記端末部58については、図9のE−E断面図に示すように、前記端末部58の係合爪59,59を、前記ルーフRの溝R3内に配置されている端末固定用係合手段としてのクリップ60の係合爪片62,62と係合させることにより、ルーフモール50の端末部58の固定が行われる。
【0007】
一方、前記モール本体51の部分については、図9のF−F断面図に示すように、前記脚部54に形成されているリップ55,55の先端側がルーフモール装着溝R3内の側面と圧接してルーフモール50の浮き上がりを抑えることにより固定される。前記ルーフモール装着溝R3は、内部の底部側(奥側)よりも開口側(入り口側)の幅(すなわち対向する側面の間隔)が狭くなるように、前記中央パネルR1及び側部パネルR2の縁が屈曲加工されているため、前記ルーフモール装着溝R3内の側面と圧接したリップ55,55が上方へずれにくく、前記ルーフモール50の両端間の中間部で浮き上がりを防ぐことができる。
【0008】
しかしながら、前記ルーフRの中央パネルR1及び側部パネルR2の材質や加工条件等によっては、前記ルーフモール装着溝R3を内部の底部側(奥側)よりも開口側(入り口側)で狭く出来ない場合や、狭くする程度が少なくなることがある。その場合には、図11の鎖線で示すように、前記脚部54に形成されているリップ55,55の先端側がルーフモール装着溝R3内の対向する側面R3a、R3aと圧接することによって固定されているルーフモール50の両端間の中間部が、ルーフの温度変化やルーフモール50の膨張収縮、車体の振動等によって浮き上がったり、波打ちを生じたりする虞がある。特にルーフモール装着溝R3内の対向する側面R3a、R3aに圧接しているリップ55,55には、ルーフモール装着溝R3への挿入前の状態に戻ろうとする復元力が働き、その復元力によってルーフモール50にルーフモール装着溝R3の開口側へ移動させようとする力が働くため、前記リップ55,55が形成されている中間部が浮き上がり易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−131195号公報
【特許文献2】特開2006−341499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、ルーフモールの両端間の中間部でもルーフモール装着溝に確実に固定でき、振動や温度変化等で浮き上がりを生じ難いルーフモールとその効率的な製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、頭部と該頭部の裏面から延設された脚部とを備え、車体のルーフに形成されているルーフモール装着溝に前記脚部が挿入されて前記ルーフモール装着溝を前記頭部で覆うルーフモールにおいて、前記頭部と脚部が一体に形成された押出成形体からなるモール本体と、前記モール本体の両端に射出成形で形成された端末部と、前記端末部に形成された端末係合部と、前記モール本体の前記脚部の両端間の下部に該モール本体の長さ方向に沿って複数個所で切り欠き形成された凹部に射出成形で形成された中間取付係合部と、を備え、前記ルーフモール装着溝内に設けたルーフモール固定用係合手段に、前記端末取付係合部及び前記中間取付係合部を係合させるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1において、前記凹部両側の切り欠きのない前記脚部の下端は、前記中間取付係合部の下端よりも下方に位置することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記ルーフモール装着溝は、溝の上方開口側が溝の下方底部側よりも狭くなっていないことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、頭部と該頭部の裏面から延設された脚部とを一体に有する押出成形体からなるモール本体の両端に端末部が形成され、前記端末部には端末取付係合部を備えると共に前記脚部の両端間には複数箇所に形成された凹部に中間取付係合部を備え、車体のルーフに形成されているルーフモール装着溝に前記脚部が挿入されて前記ルーフモール装着溝を前記頭部で覆い、前記端末取付係合部と前記中間取付係合部を、前記ルーフモール装着溝内に設けたルーフモール固定用係合手段に係合させて取り付けられるルーフモールの製造方法において、前記頭部と前記脚部とを一体に押出形成した押出成形体から切断によって設定長さのモール本体を形成する工程と、前記モール本体の両端間の前記脚部の下部を、該モール本体の長さ方向に複数個所で凹状に切り欠いて凹部を形成する工程と、前記モール本体の両端に、前記端末取付係合部を有する前記端末部を射出成形する工程と、前記モール本体の脚部の複数箇所の前記凹部に前記中間取付係合部を射出成形する工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4において、前記凹部を形成する工程では、前記モール本体を長さ方向に送る送路を設け、前記送路に位置する前記モール本体の脚部の下部一カ所に対して凹状に切り欠く打ち抜き装置と、前記モール本体の先端と当接して送り阻止及び該阻止の解除を行うストッパー装置とを間隔を開けてこの順番に前記モール本体の送り方向に沿って設け、前記ストッパー装置については前記凹部の間隔で複数設け、前記モール本体を送る際に、送り開始側の第1のストッパー装置に前記モール本体の先端を当接させて送り阻止することにより前記モール本体を停止させた状態で、前記打ち抜き装置により前記脚部の下部を凹状に打ち抜いて一つ目の前記凹部を形成し、前記第1のストッパー装置の送り阻止を解除して前記モール本体の送りを再開し、次の第2のストッパー装置に前記モール本体の先端を当接させて送り阻止することにより前記モール本体を停止させた状態で、前記打ち抜き装置により前記脚部の下部を凹状に打ち抜いて二つ目の前記凹部を形成し、その後、前記ストッパー装置による送り阻止解除、前記モール本体の送り再開、次のストッパー装置による送り阻止、前記打ち抜き装置による打ち抜きを順に繰り返して前記脚部の複数箇所に前記凹部を形成することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項4または5において、前記凹部を形成する工程では、前記凹部の形成されたモール本体に対して凹部が正しく形成されているか否かを確認し、凹部が正しいものについてのみその後の工程を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項4から6の何れか一項において、前記中間取付係合部を射出成形する工程では、前記凹部両側の切り欠きのない前記脚部の下端よりも上方に前記中間取付係合部の下端が位置するように、前記中間取付係合部を射出成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、ルーフモールの両端間の部分である中間部について、脚部の凹部に射出成形された中間取付係合部を、ルーフモール装着溝内に設けたルーフモール固定用係合手段に係合させることにより確実に固定することができるため、ルーフモール装着溝を内部の底部側(奥側)よりも開口側(入り口側)で狭く出来ない(拡開する)場合や、狭くする程度が少ない場合にも、温度変化や車体の振動等によってルーフモールの両端間の中間部が浮き上がったり、波打ちを生じたりすることを防ぐことができる。前記ルーフモールの装着溝を拡開して加工できない車両用天井の素材としてカーボンルーフを挙げることができる。カーボンルーフは、炭素繊維複合材料の成形物であり、材料として角部や凹部を伴うスタッド形状には向いていない。しかしながら、車両としては燃費の向上および低重心化にともなう走行性能の向上が期待されている傾向にある。
しかも、本発明のルーフモールにおいて、脚部の一部に押出成形で係合部を一体に形成する場合には、押出成形時のバラツキや押出成形後の収縮等によって、係合部の位置や形状等にバラツキを生じ易いが、押出成形後の射出成形によって、脚部の凹部に中間取付係合部が形成されているため、中間取付係合部の位置や形状の精度が高く、ルーフモール装着溝のルーフモール固定用係合手段に正確に係合させることができ、取り付け不良を防ぐことができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、凹部両側の切り欠きのない脚部の下端が、中間取付係合部の下端よりも下方に位置するため、ルーフモール装着溝に装着されたルーフモールは、凹部前後両側の切り欠きのない脚部の下端がルーフモール装着溝内の底面に接近した状態になり、上下方向に遊びが少なくなり、取付時の作業精度が向上するとともに、ルーフモール固定用係合手段に嵌合する際に安定したクリック感が得られ良好な取り付け状態となる。
【0020】
特に、中間取付係合部をルーフモール装着溝のルーフモール固定用係合手段に係合させる際に、例えば中間取付係合部が形成されている位置で頭部を押して該部分でルーフモールを下方へ局部的に屈曲させ、該屈曲した脚部の凹部に形成されている中間取付係合部をルーフモール固定用係合手段に係合させる際に、ルーフモール装着溝内の底部と中間取付係合部の下端間に余裕(所定の間隔)が必要であっても、中間取付係合部の下端よりも下方に位置する切り欠きのない脚部の下端がルーフモール装着溝内の底面に接近した状態になり、上下方向の遊びを少なくでき、取り付け状態を良好にすることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、ルーフモール装着溝の上方開口側が溝の下方底部側よりも狭くなっていない場合においても、ルーフの温度変化やルーフモールの膨張収縮、車体の振動等によるルーフモールの浮き上がり、波打ちの発生を防止することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、ルーフモール装着溝にルーフモールの中間部を正確に固定させることができ、浮き上がりや波打ちなどの発生を防ぎ、取り付け不良を防ぐことができるルーフモールを製造することができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、押出成形体の脚部に凹部を正しい位置に、かつ効率よく形成することができる。
請求項6の発明によれば、正しく凹部が形成されているモール本体のみに、その後の工程を行うため、不良品の発生を防ぐことができ、かつ無駄の作業を減らして効率よく製造することができる。
請求項7の発明によれば、ルーフモール装着溝に上下方向の遊びを少なく取り付けることができ、取り付け状態が良好なルーフモールを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明における実施例のルーフモールの斜視図である。
図2図1のD−D断面図である。
図3図2の各位置の断面図である。
図4図2の各位置と対応する取り付け状態を示す断面図である。
図5】押出成形体の端部切断・切り欠きを示す断面図である。
図6】凹部形成装置の概略を示す平面図と正面図である。
図7】端末部と中間取付係合部の形成を示す図である。
図8】従来のルーフモールが取り付けられた自動車の一部を示す斜視図である。
図9図8の各位置の断面図である。
図10】従来のルーフモールの斜視図及び各位置の断面図である。
図11】従来のルーフモールの問題を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における実施例について図面を用いて説明する。図1図3に示すルーフモール10は、図11に示したような溝の開口側(入り口側)が溝の底部側(奥側)よりも狭くなっていないルーフモール装着溝R3に装着されてルーフモール装着溝R3を塞ぐのに好適なものである。前記ルーフモール10は、モール本体11と、前記モール本体11の両端端に形成された端末部18と、前記モール本体11の両端間に形成された中間取付係合部21を有する。図1のLは長さ方向、Wは幅方向である。
【0026】
前記モール本体11は、オレフィン系樹脂等、適宜の樹脂からなり、表面に表面材13が設けられた頭部12と、前記頭部12の下面に頭部12よりも幅を狭くして形成された脚部14とよりなり、所定断面形状(図3の(3B−3B)に示す断面形状)の押出成形体を所定の長さに切断し、切断後の両端の下部を必要に応じて所定形状(図示の例では階段状)に切り欠き切除したものである。
【0027】
前記表面材13は、ポリオレフィン系樹脂等、適宜の樹脂とされるが、少なくとも前記モール本体11の他部よりも耐候性及び耐傷付き性の高い性質の樹脂が好ましい。なお、前記表面材13が設けられないこともある。
【0028】
前記頭部12は、ルーフ装着溝を塞ぐことのできる幅からなって、前記ルーフモール10がルーフモール装着溝に装着された際に、ルーフモール装着溝内を隠蔽する。
【0029】
前記脚部14は、前記頭部12の幅より狭く、かつ前記溝R3に挿入可能な幅からなって、前記モール本体11の長さ方向に沿って設けられている。図示の例では、前記頭部12の下面(裏側)において頭部12の幅方向中央位置に前記脚部14が設けられている。前記脚部14を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂などの適宜の樹脂とされる。前記脚部14は、ルーフモール装着溝に挿入可能な幅からなる。図3の(3−2)に示すように、本実施例では前記脚部14の下端14aは、幅方向に拡大している。
【0030】
前記脚部14には、温度変化による伸縮を主として抑えるために芯材16が埋設されている。前記芯材16は、鉄などの線状あるいは帯状(箔状、板状)の金属からなる。前記芯材16の脚部14内の位置は適宜決定される。
【0031】
前記モール本体11の端部11Aでは、図1及び図2に示すように、前記端末部18と前記モール本体11の端部11Aの切除跡との接合面積が大となるように、前記脚部14がモール本体11の長さ方向Lに沿って階段形状に切除されている。なお、図示の例では、前記モール本体11における端部11Aの脚部14は、前記脚部14の上部を残して切除されているが、端末部18の形状等によっては、前記端部11Aにおける脚部14の全体が切除されることもある。
【0032】
前記端末部18は、前記脚部14が切除されたモール本体11の端部11Aを射出成形金型にセットし、射出成形によって前記モール本体11の端部11Aの先端及び切除跡に形成されている。なお、実施例の端末部18は、前記モール本体11における端部11Aの先端では、前記端部11Aの先端を覆うエンドキャップ18Aを構成し、前記脚部14の切除跡の部分では端末係合部19,19を構成している。前記端末係合部19,19は、前記端末部18の裏側(下側)の両側部(幅方向の両側部分)に突設された係合爪で構成されている。
【0033】
前記モール本体11の両端間の脚部14の下部には、長さ方向に沿って所定間隔で複数個所に凹部15が切り欠き形成され、該凹部15に中間取付係合部21が射出成形されている。前記中間取付係合部21は裏側(下側)の両側部(幅方向の両側部分)に突設された係合爪22,22を有する。また、前記中間取付係合部21は、前記切り欠きのない前記脚部14の下端14aが、前記中間取付係合部21の下端23よりも下方に位置するように形成されている。
【0034】
前記ルーフモール10は、車体ルーフのルーフモール装着溝に前記脚部14を挿入することにより取り付けられる。図4はルーフモール10の各位置における取り付け状態を示す断面図である。図4のルーフモール装着溝R3は、図11で説明したように、溝内部の底部側(奥側)よりも開口側(入り口側)で狭くなっていない(拡開している)ものである。
【0035】
図4の(4−1)は、前記ルーフモール10の端末部18における図2の3A−3A位置と対応する部分の取り付け状態である。前記ルーフモール装着溝R3内の両端の底部には、ルーフモール固定用係合手段としての端末固定用クリップ41が配置固定されている。前記端末固定用クリップ41は、対向する係合片42,42の上端に爪43,43が内向きに形成されており、前記係合片42,42間に挿入された前記端末係合部19,19と前記係合片42,42の爪43,43が係合することによりルーフモール10の端末部18がルーフモール装着溝R3に固定される。具体的には、ルーフモール10の端末部18の端末係合部19,19を、前記係合片42,42の爪43,43に抗して強く押し込むことにより行われる。前記末端係合部19,19は、脚部14から車幅方向に伸びる一対の凸部により形成される。また、前記係合片42,42は、車幅方向に離間した一対の、弾性変形可能な立壁と、立壁の先端にある鉤状の爪43,43により形成される。これらにより、前記端末係合部19,19が、前記係合片42,42の爪43,43を乗り越えて嵌合し、ルーフモール10の上下方向の移動が規制される。
【0036】
図4の(4−2)は、前記モール本体11において前記脚部14に凹部の切り欠きがない図2の3B−3B位置と対応する部分の取り付け状態である。前記ルーフモール装着溝R3の底部には、ルーフモール固定用係合手段が存在せず、前記切り欠かれていない脚部14の下端14aがルーフモール装着溝R3の底面R3bに接近して位置している。そのため、前記ルーフモール10の両端間の中間部で上下方向に遊びが少なくなり、良好な取り付け状態が得られる。
【0037】
図4の(4−3)は、前記モール本体11において中間取付係合部21が形成されている図2の3C−3C位置と対応する部分の取り付け状態である。前記ルーフモール装着溝R3において、前記モール本体11の中間取付係合部21と対応する位置の底部には、ルーフモール固定用係合手段としての中間部固定用クリップ45が配置固定されている。前記中間部固定用クリップ45は、対向する係合片46,46の上端に爪47,47が内向きに形成されており、前記係合片46,46間に挿入された前記中間取付係合部21の係合爪22,22と前記係合片46,46の爪47,47が係合することによりルーフモール10の中間部がルーフモール装着溝R3に固定される。なお、前記中間取付係合部21は、車両前後方向に前記中間部固定用クリップ45の動きを規制するものがなく開放されていることで、屋外暴露におけるルーフモールの膨張収縮を緩衝し、波うち等を防止することができる。
【0038】
なお、本実施形態より、本発明は以下のようにも表現される。すなわち、車体のルーフに形成されている、上方開口側が下方底部側よりも小さくないルーフモール装着溝を前記モール意匠面で覆うルーフモールにおいて、前記モールの両端間の下部に該モール本体の長さ方向に沿って複数個所で切り欠き形成された凹部のあいだに形成された中間取付係合部と、前記ルーフモール装着溝内に設けたルーフモール固定用係合手段とを係合させるのに、前記中間取付係合部である脚部から水平に伸びる一対の凸部を前記固定用係合手段の係合片である爪、すなわち弾性変形可能な一対の立壁と鉤部に抗して強く押し込むことで前記中間取付係合部が、前記係合片である爪を乗り越えて嵌合し、ルーフモールの上下方向の移動が規制されることを特徴とするルーフモールである。さらに、前記ルーフモール固定用係合手段は、炭素繊維複合材からなる天井部材に接着されていることを特徴とする。係る接着剤は、炭素繊維複合材との密着性を考慮するとフェノール樹脂もしくはエポキシ樹脂が好ましい。
【0039】
前記ルーフモール10の製造方法について説明する。ルーフモールの製造方法は、モール本体形成工程、凹部形成工程、端末部形成工程、中間取付係合部形成工程とよりなる。
モール本体形成工程では、まず、前記頭部12(必要に応じて前記表面材13を含む)と前記脚部14(前記芯材16を含む)を一体に公知の押出成形装置によって押出成形し、図5の(5−1)に示すような押出成形体11Sを形成する。
次に前記押出成形体11Sを、公知の切断装置及び切り欠き装置によって、設定長さにすると共に切断端部の脚部の下部(裏側)を切り欠いて図5の(5−2)に示すように、前記モール本体11を形成する。符号11Aはモール本体の端部である。
【0040】
凹部形成工程では、図6に示すような凹部形成装置100を用いて、前記モール本体11の両端間の前記脚部14の下部を、該モール本体11の長さ方向に複数個所で凹状に切り欠いて前記凹部15を形成する。
前記凹部形成装置100の概略を図6の平面図と正面図に示す。前記凹部形成装置100は、装置の台101上方に、前記モール本体11を該モール本体11の長さ方向に沿って前方へ送るための送路111が一直線に設けられ、前記送路111に沿って、前記モール本体11の送り開始側(送り出し側)から順に打ち抜き装置121と、複数のストッパー装置131が設けられている。
【0041】
また、前記台101の上面には、前記送路111上方を送られる前記モール本体11を通過可能に保持するための通過保持部115が前記打ち抜き装置121よりも前記モール本体111の送り開始側(送り出し側)の位置、前記打ち抜き装置121と前記ストッパー装置131間の位置、及び前記ストッパー装置131間の位置に直線上に直線上に立設されている。
前記通過保持部115は、前記モール本体11の横断面形状をしたモール本体挿通孔が前記モール本体11の脚部14を下向きとするように形成されている。
【0042】
前記打ち抜き装置121は、前記送路111を送られる前記モール本体11の脚部14の下部を凹状に打ち抜いて凹部を形成するための装置であり、前記送路111と交差する方向に前進後退する打ち抜き刃を有する。
【0043】
複数の前記ストッパー装置131は、前記モール本体11の脚部14に形成する凹部15の間隔で凹部15の個数分、前記送路111の脇に設けられる。前記ストッパー装置131は、前記送路111に交差する方向に沿って前記送路111に向けて前進及び後退するストッパー部132を有する。前記送路111内に前記ストッパー部132が進入することにより、前記送路111に送られてくる前記モール本体11の先端が前記ストッパー部132に当接(衝突)してその位置で前記モール本体11が停止し、前記モール本体11の脚部14における凹部形成部位を、前記打ち抜き装置121に対して正しい位置に停止する。複数の前記ストッパー装置131は、前記打ち抜き装置121側(前記モール本体11の送り開始側)から、前記モール本体11の進行方向に沿って順に第1のストッパー装置1311、第2のストッパー装置1312、第3のストッパー装置1313、第4のストッパー装置1314、第5のストッパー装置1315、・・・と称され、前記モール本体11を送る際に、前記第1、第2、第3、・・・の順に前記モール本体11の先端をストッパー装置131のストッパー部132に当接(衝突)させて、前記モール本体11の送りを一旦停止させるように構成されている。
【0044】
前記凹部形成装置100を用いる前記凹部形成工程を説明する。まず、前記モール本体11を前記通過保持部115に通しながら、シリンダー装置等の送り出し装置によって前記送路111に送り出し、前記第1のストッパー装置1311のストッパー部132に前記モール本体11の先端が当接した時点で前記モール本体11を停止する。
前記モール本体11が停止した状態で、前記打ち抜き装置121を作動させて前記モール本体11の脚部14の下部を凹状に切り欠き、一つ目の前記凹部15を形成する。
【0045】
次に、前記第1のストッパー装置1311のストッパー部132を前記送路111から後退させて、前記モール本体11の送りを再開し、第2のストッパー装置1312のストッパー部132に前記モール本体11の先端が当接した時点で前記モール本体11を停止する。
前記モール本体11が停止した状態で、前記打ち抜き装置121を作動させて前記モール本体11の脚部14の下部を凹状に切り欠き、二つ目の前記凹部15を形成する。
【0046】
その後、前記ストッパー装置131による送り阻止解除、前記モール本体11の送り再開、次のストッパー装置131による送り阻止、前記打ち抜き装置121による打ち抜きを順に繰り返して前記モール本体11の脚部14の複数箇所に前記凹部15を形成する。
複数の前記凹部15が形成されたモール本体11に対して前記凹部15が正しく形成されているか否かを確認し、前記凹部15が正しいものについてのみその後の工程を行うようにする。前記凹部15が正しく形成されているか否かは、例えば、全ての正しい凹部15の位置と対応する位置に凸部が形成された長尺の凹部位置確認治具を用い、前記凹部位置確認治具の全ての凸部が前記モール本体11に形成されている全ての凹部15に嵌まるか否かによって判断してもよい。
【0047】
端末部形成工程では、図7の(7−1)に示す前記凹部形成後の前記モール本体11に対し、図7の(7−2)のように、端末成形金型141に前記モール本体11の一側端部をセットして、前記端末取付係合部19を有する前記端末部18を公知の射出成形装置で射出成形する。その後、前記モール本体11の反対側の端部を前記端末成形金型141にセットして、前記端末取付係合部19を有する前記端末部18を射出成形する。
【0048】
中間取付係合部形成工程では、前記端末部18を形成後の前記モール本体11に対し、図7の(7−3)のように、前記モール本体11の脚部14の凹部15に中間取付係合部形成金型151をセットし、前記係合爪22を有する中間取付係合部21を公知の射出成形装置で射出成形する。前記中間取付係合部21は、前記凹部15両側の切り欠きのない前記脚部14の下端14aよりも上方に前記中間取付係合部21の下端23が位置するように射出成形する。また、本実施例では、複数箇所の前記凹部15に対して、一カ所ずつ中間取付係合部形成金型151をセットして中間取付係合部21を射出成形している。残りの前記凹部15にも前記中間取付係合部21を射出成形して図7の(7−3)に示すように前記ルーフモール10を得る。
【0049】
なお、前記凹部形成装置100における打ち抜き装置121に代えて中間取付係合部形成金型151を配置したような装置を用い、前記凹部15の形成されたモール本体11を長さ方向に送って、複数の前記ストッパー装置131で順に停止させ、その状態で前記中間取付係合部形成金型151により前記凹部15に中間取付係合部21を射出成形するようにしてもよい。
【0050】
前記のように、本発明によれば、ルーフモールの両端間の中間部でもルーフモール装着溝に確実に固定でき、振動や温度変化等で浮き上がりを生じ難いルーフモールを得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 ルーフモール
12 頭部
14 脚部
15 凹部
18 端末部
19 端末係合部
21 中間取付係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11