【解決課題】突起条の延長方向にも横方向にも靴滑りの防止性が高く、且つ、荷物の滑り性と荷物の荷重に対する強度を確保しつつ、各突起条の摩耗し易さが異ならない床部材を提供すること。
【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金の押出成形により作製された床板部と、該床板部の表面に、押出方向と平行に形成されている複数の突起条と、を有し、該複数の突起条は、全部が同じ高さであり、該複数の突起条の全部又は一部に、押出方向に一定間隔で又は不定間隔をおいて靴滑り止め部形成凹部が設けられており、該靴滑り止め部形成凹部内には、靴滑り止め部が形成されており、該靴滑り止め部の上端が荷物滑らし位置より下であり、該靴滑り止め部形成凹部の上部壁面は、弧状となって該突起条の頂部に繋がっているか又は該突起条の頂部と鈍角をなして該突起条の頂部に繋がっていること、を特徴とする床部材。
前記靴滑り止め部形成凹部は、少なくとも前記荷物滑らし位置から下方に向かって形成されている第一凹部及び該第一凹部の底面位置から下方に向かって形成されている第二凹部からなり、該第一凹部の底面位置から下方に向かって該第二凹部が形成されていることにより、前記靴滑り止め部形成凹部内に前記靴滑り止め部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の床部材。
前記靴滑り止め部は、少なくとも床板部表面に対して90°±15°の範囲内の角度をなし且つ突起条の延長方向に対し90°±45°の範囲内の角度をなす略垂直面と、該略垂直面の上端に形成されている90°±15°の範囲内の角度をなす角部とを有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の床部材。
前記靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条と、前記靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条とが、交互に繰り返されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の床部材。
前記床板部が中空形状であり、中空内には縦リブが設けられており、該縦リブの上にある突起条に、前記靴滑り止め部形成凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の床部材。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の床部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出成形により作製された床板部と、該床板部の表面に、押出方向と平行に形成されている複数の突起条と、を有し、
該複数の突起条は、全部が同じ高さであり、
該複数の突起条の全部又は一部に、押出方向に一定間隔で又は不定間隔をおいて靴滑り止め部形成凹部が設けられており、
該靴滑り止め部形成凹部内には、靴滑り止め部が形成されており、該靴滑り止め部の上端が荷物滑らし位置より下であり、
該靴滑り止め部形成凹部の上部壁面は、弧状となって該突起条の頂部に繋がっているか又は該突起条の頂部と鈍角をなして該突起条の頂部に繋がっていること、
を特徴とする床部材である。
【0021】
本発明の床部材について、
図1〜
図9を参照して説明する。
図1は、本発明の床部材の形態例の模式的な斜視図である。
図2は、
図1の床部材の平面図である。
図3は、
図1の床部材中の靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
図4は、
図3中の靴滑り止め部形成凹部の側面拡大図である。
図5は、
図3中の靴滑り止め部形成凹部の平面拡大図である。
図6は、
図5中の靴滑り止め部形成凹部の外縁を示す図である。
図7は、
図4中の靴滑り止め部形成凹部の外縁を示す側面図である。
図8は、床板部表面に対して略垂直面がなす角度を説明するための図である。
図9は、押出方向に対して略垂直面がなす角度を説明するための図である。
【0022】
図1及び
図2に示す床部材10は、床板部1と、靴滑り止め部形成凹部4が設けられている突起条2と、靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条3と、を有する。靴滑り止め部形成凹部4が設けられている突起条2及び靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条3は、床板部1の表面に、押出方向52に平行に形成されている。なお、突起条の延長方向は、押出方向と同じになるので、本発明では、突起条の延長方向を押出方向とも記載する。
【0023】
この床部材10の作製方法であるが、先ず、アルミニウム又はアルミニウム合金を押出成形することにより、床板部1と、靴滑り止め部形成凹部4が設けられる前の突起条及び靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条3とが床板部1の表面に形成されている押出成形物を作製する。このとき、靴滑り止め部形成凹部4が設けられる前の突起条及び靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条3は、押出方向と平行に形成される。次いで、押出成形物の突起条の所定の位置に、ローレット加工又は切削加工により、靴滑り止め部形成凹部4を形成させて、床部材10を作製する。
【0024】
図1〜
図2に示すように、突起条2には、押出方向に、一定間隔で靴滑り止め部形成凹部4が設けられている。
図3〜
図5に示すように、靴滑り止め部形成凹部4内には、水平面7と略垂直面8とを有する靴滑り止め部6が形成されている。略垂直面8と水平面7は90°の角度をなして交差しているので、靴滑り止め部6には、床板部表面に対して垂直且つ押出方向に対して垂直な面、すなわち、略垂直面8と、略垂直面8の上端に90°の角度をなす角部20が存在する。そして、略垂直面8は、押出方向の靴滑りを防止する部位として機能するので、略垂直面8を有する靴滑り止め部6が、押出方向の靴滑りを防止する部位である。また、角部20は、押出方向の靴滑りの防止性を高める部位として機能する。
【0025】
また、靴滑り止め部形成凹部4が設けられている突起条2を側面視したときに、突起条2では、突起条2のうちの靴滑り止め部形成凹部4が形成されていない部分の突起条の頂部5に、荷物が載るので、靴滑り止め部形成凹部4が形成されていない部分の突起条の頂部5の上を、荷物が滑ることになる。本発明では、突起条2のうち、靴滑り止め部形成凹部4が形成されていない突起条の頂部を、荷物滑り部とし、また、突起条の頂部5の上下方向の位置を、荷物滑らし位置11とする。
【0026】
そして、
図4に示すように、靴滑り止め部形成凹部4が設けられている突起条2では、突起条2を側面視したときに、靴滑り止め部6の水平面7、つまり、靴滑り止め部6の上端が、荷物滑らし位置11より下になっている。そのため、荷物滑らし位置11で、荷物を滑らせたときに、荷物が靴滑り止め部6に引っ掛かることがない。
【0027】
また、
図5及び
図6に示すように、靴滑り止め部形成凹部4が設けられている突起条2を平面視したときに、靴滑り止め部6は、靴滑り止め部形成凹部4の外縁19(
図6中、一点鎖線で示す部分)内に形成されている。つまり、靴滑り止め部6は、靴滑り止め部形成凹部4内に形成されている。
【0028】
また、
図3及び
図4に示すように、靴滑り止め部形成凹部4が設けられている突起条2では、突起条2を側面視したときに、靴滑り止め部形成凹部4の上部の壁面9は、弧状となって突起条の頂部5に繋がっている。そのため、荷物滑らし位置11で、荷物を滑らせたときに、荷物が靴滑り止め部形成凹部4の壁面の上端近傍に引っ掛かることがない。
【0029】
このように、本発明の床部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出成形により作製された床板部と、該床板部の表面に、押出方向と平行に形成されている複数の突起条と、を有し、
該複数の突起条は、全部が同じ高さであり、
該複数の突起条の全部又は一部に、押出方向に一定間隔で又は不定間隔をおいて靴滑り止め部形成凹部が設けられており、
該靴滑り止め部形成凹部内には、靴滑り止め部が形成されており、該靴滑り止め部の上端が荷物滑らし位置より下であり、
該靴滑り止め部形成凹部の上部壁面は、弧状となって該突起条の頂部に繋がっているか又は該突起条の頂部と鈍角をなして該突起条の頂部に繋がっていること、
を特徴とする床部材である。
【0030】
本発明の床部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出成形により、床板部と床板部の表面に押出方向に平行に形成される突起条とを有する押出成形物を作製し、次いで、押出成形物の突起条の所定の位置に、靴滑り止め部形成凹部を設けることにより作製される。靴滑り止め部形成凹部は、靴滑り部形成凹部が設けられる前の突起条に、ローレット加工又は切削加工が施されて形成される。そのため、本発明の床部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出成形により作製された床板部と、床板部の表面に形成されている複数の突起条とを有する。そして、突起条の全部又は一部には、押出方向に一定間隔で又は不定間隔をおいて靴滑り止め部形成凹部が設けられている。また、突起条の一部には、靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条があってもよい。また、突起条の全てが靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条の場合には、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条の延長方向は、全て押出方向に平行であり、また、突起条の一部が靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条の場合には、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条及び靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条の延長方向は、全て押出方向に平行である。つまり、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出成形により床板部の表面に形成された突起条(靴滑り部形成凹部が設けられる前の突起条)に、ローレット加工又は切削加工により靴滑り止め部形成凹部が加工されて形成されている突起条である。
【0031】
靴滑り止め部形成凹部内には、靴滑り止め部が形成されている。靴滑り止め部は、少なくとも床板部表面に対して90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなし且つ押出方向に対して90°±45°の範囲内、好ましくは90°±15°の範囲内の角度をなす面を有する。そして、靴滑り止め部の床板部表面に対して90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなし且つ押出方向に対して90°±45°の範囲内、好ましくは90°±15°の範囲内の角度をなす面(以下、略垂直面とも記載する。)を有する部位(靴滑り止め部)が、押出方向の靴滑りを防止する部位として機能する。
【0032】
なお、略垂直面の床板部表面に対する角度とは、略垂直面を側面視したときの角度であり、
図8(a)に示すように、略垂直面が床板部表面に対して90°の角度をなすとは、略垂直面を側面視したときに、略垂直面8が、床板部表面に対して90°の角度をなす線41と重なっている場合であり、また、(b)に示すように、略垂直面が床板部表面に対して90°−α°の角度をなすとは、略垂直面を側面視したときに、略垂直面8が、床板部表面に対して90°の角度をなす線41から凹部内側にα°傾いている場合であり、また、(c)に示すように、略垂直面が床板部表面に対して90°+α°の角度をなすとは、略垂直面を側面視したときに、略垂直面8が、床板部表面に対して90°の角度をなす線41から凹部の外側にα°傾いている場合である。
【0033】
また、略垂直面の押出方向に対する角度とは、略垂直面を平面視したときの角度であり、
図9の(a)に示すように、略垂直面が押出方向に対して90°の角度をなすとは、略垂直面を平面視したときに、略垂直面8が、押出方向に対して90°の角度をなす線42と重なっている場合であり、また、(b)に示すように、略垂直面が押出方向に対して90°−α°の角度をなすとは、略垂直面を平面視したときに、略垂直面8が、押出方向に対して90°の角度をなす線42から左回りにα°傾いている場合であり、また、(c)に示すように、略垂直面が押出方向に対して90°+α°の角度をなすとは、略垂直面を平面視したときに、略垂直面8が、押出方向に対して90°の角度をなす線42から右回りにα°傾いている場合である。
【0034】
靴滑り止め部のうち、略垂直面以外の形状は特に制限されないが、靴滑り止め部としては、略垂直面(床部材表面に対して90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなし且つ押出方向に対して90°±45°の範囲内、好ましくは90°±15°の範囲内の角度をなす面)と、略垂直面の上端に形成されている90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなす角部と、を有する形態が、押出方向の靴滑りを防止する効果が高まる点で好ましい。なお、角部の角度とは、靴滑り止め部の角部を側面視したときの角度であり、
図4では、符号21で示す角度を指す。
【0035】
靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条では、突起条を側面視したときに、靴滑り止め部の上端が、荷物滑らし位置より下になるように、靴滑り止め部が形成されている。本発明の床部材では、突起条のうちの靴滑り止め部形成凹部が形成されていない部分の突起条の頂部に荷物が載り、そこを荷物が滑るので、突起条の頂部の上下方向の位置が荷物滑らし位置であり、靴滑り止め部の上端が、荷物滑らし位置より下になっていることにより、荷物滑らし位置で、荷物を滑らせたときに、荷物が靴滑り止め部に引っ掛かることがない。なお、本発明では、突起条のうち、靴滑り止め部形成凹部が形成されていない部分、すなわち、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条のうちの靴滑り止め部形成凹部が設けられていない部分の頂部及び靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条の全部の頂部を、荷物滑り部とし、また、荷物滑り部の頂部の上下方向の位置を、荷物滑らし位置とする。
【0036】
靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条では、突起条を平面視したときに、靴滑り止め部が、靴滑り止め部形成凹部内、つまり、突起条を平面視したときに表れる靴滑り止め部形成凹部の外縁より内側に形成されている。
【0037】
靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条では、突起条を側面視したときに、靴滑り止め部形成凹部の上部の壁面は、弧状となって突起条の頂部に繋がっているか、又は突起条の頂部と鈍角、好ましくは95〜160°の角度をなして突起条の荷物滑り部の頂部に繋がっている。本発明の床部材では、靴滑り止め部形成凹部の上部の壁面が、弧状となって突起条の頂部に繋がっているか、又は突起条の頂部と鈍角、好ましくは95〜160°の角度をなして突起条の頂部に繋がっていることにより、荷物を荷物滑り部を滑らせて、荷物の滑り方向の前方下側の角が、突起条の頂部から靴滑り止め部形成凹部の上に差し掛かり、再び突起条の頂部に移るときに、荷物の滑り方向の前方下側の角が、靴滑り止め部形成凹部の上部の壁面に引っ掛かるのを防止することができる。一方、靴滑り止め部形成凹部の上部の壁面が、突起条の頂部と鋭角をなして突起条の頂部に繋がっていると、荷物の滑り方向の前方下側の角が、靴滑り止め部形成凹部の上部の壁面に引っ掛かってしまう。
【0038】
本発明の第一の形態の床部材としては、靴滑り止め部形成凹部が、少なくとも荷物滑らし位置から下方に向かって形成されている第一凹部及び第一凹部の底面位置から下方に向かって形成されている第二凹部からなり、第一凹部の底面位置から下方に向かって第二凹部が形成されていることにより、靴滑り止め部形成凹部内に靴滑り止め部が形成されている形態が挙げられる。
【0039】
すなわち、本発明の第一の形態の床部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出成形により作製された床板部と、該床板部の表面に、押出方向と平行に形成される複数の突起条と、を有し、
該複数の突起条は、全て高さが同じであり、
該複数の突起条の全部又は一部に、押出方向に一定間隔で又は不定間隔をおいて靴滑り止め部形成凹部が設けられており、
該靴滑り止め部形成凹部は、少なくとも荷物滑らし位置から下方に向かって形成されている第一凹部及び該第一凹部の底面位置から下方に向かって形成されている第二凹部からなり、該第一凹部の底面位置から下方に向かって該第二凹部が形成されることにより、靴滑り止め部形成凹部内に靴滑り止め部が形成されており、
該靴滑り止め部形成凹部の上部壁面は、弧状となって該突起条の頂部に繋がっているか又は該突起条の頂部と鈍角をなして該突起条の頂部に繋がっていること、
を特徴とする床部材である。
【0040】
図7に、
図4に示す靴滑り止め部形成凹部4に形成されている第一凹部の外縁23及び第二凹部の外縁22、すなわち、突起条を側面視したときの第一凹部の外縁23及び第二凹部の外縁22を一点鎖線で示す。
図7に示すように、靴滑り止め部形成凹部4を側面視すると、靴滑り止め部形成凹部4は、第一凹部12と、第二凹部13と、からなる。第一凹部12は、荷物滑らし位置11から下方に向かって、第一凹部の底部位置14まで形成されている凹部である。第一凹部12を側面視したときに、第一凹部12の上下方向の上端の位置が荷物滑らし位置11であり、第一凹部12の上下方向の下端の位置が第一凹部の底部位置14である。第二凹部13は、第一凹部の底部位置14から下方に向かって形成されている凹部である。第一凹部13を側面視したときに、第二凹部13の上下方向の上端の位置が第一凹部の底部位置14となる。
【0041】
そして、第一凹部12の底面位置14から下方に向かって第二凹部13が形成されていることにより、靴滑り止め部形成凹部4内に、靴滑り止め部6が形成され、且つ、靴滑り止め部6の上端が、荷物滑らし位置11より下になる。
【0042】
本発明の第一の形態の床部材では、突起条の全部又は一部が、押出方向に一定間隔で又は不定間隔をおいて靴滑り止め部形成凹部が形成されている突起条であり、その突起条に形成されている靴滑り止め部形成凹部は、少なくとも突起条の荷物滑らし位置から下方に向かって第一凹部の底部位置まで第一凹部が、第一凹部の底部位置から下方に向かって第二凹部が形成されている凹部であり、靴滑り止め部形成凹部が少なくとも第一凹部及び第二凹部からなることにより、靴滑り止め部が靴滑り止め部形成凹部内に形成され、且つ、靴滑り止め部の上端が荷物滑らし位置より下となる。
【0043】
本発明の第一の形態の床部材に係る靴滑り止め部形成凹部としては、
図10中、(a)〜(e)に示す形態例が挙げられる。
図10は、靴滑り止め部形成凹部の形態例を示す模式図であり、突起条を側面視した図である。
図10の(a)〜(e)に示す形態例は、いずれも、側面視した図であるが、靴滑り止め部形成凹部4a〜eは、第一凹部12a〜eと、第二凹部13a〜eと、からなる。第一凹部12a〜eは、荷物滑らし位置11a〜eから下方に向かって、第一凹部の底部位置14a〜eまで形成されている。また、第二凹部13a〜eは、第一凹部の底部位置14a〜eから下方に向かって形成されている。そして、第一凹部の底部位置14a〜eから下方に向かって第二凹部a〜eが形成されることにより、平面視したときに、靴滑り止め部形成凹部4a〜e内に、靴滑り止め部6a〜eが形成され、且つ、上端が荷物滑らし位置11a〜eより下になるように靴滑り止め部6a〜eが形成されている。
【0044】
そして、
図10の(a)〜(e)に示す形態例では、いずれの靴滑り止め部6a〜eも、床部材表面に対して90°の角度をなし且つ押出方向に対して90°の角度をなす面(略垂直面8a〜e)を有する。つまり、
図10の(a)〜(e)に示す形態例は、押出方向の靴滑りを防止する部位として機能する靴滑り止め部6a〜eを有している。
【0045】
また、
図10の(a)〜(e)に示す形態例では、いずれの靴滑り止め部6a〜eも、略垂直面8a〜eの上端に形成されている90°の角度をなす角部を有する。つまり、靴滑り止め部6a〜eは、押出方向の靴滑りを防止する効果を高める部位として機能する略垂直面8a〜eの上端に形成されている90°の角度をなす角部を有している。なお、
図10の(a)〜(e)に示す形態例では、第二凹部13a〜eが形成されていない部分の第一凹部12a〜eの底部、言い換えると、靴滑り止め部6a〜eの上面7a〜eと、略垂直面8a〜eとが直交することにより、略垂直面8a〜eの上端に角部20a〜eが形成されている。靴滑り止め部6a〜eの上面7a〜eは、第一凹部12a〜eの底部のうち、第二凹部13a〜eが形成されない部分である。
【0046】
また、
図10の(a)〜(e)に示す形態例はいずれも、突起条を側面視したときに、靴滑り止め部形成凹部4a〜eの上部の壁面9a〜eは、弧状となって突起条の頂部5a〜eに繋がっているか、又は突起条の頂部5a〜eと鈍角をなして突起条の頂部5a〜eに繋がっている。
【0047】
このように、本発明の第一の形態の床部材では、靴滑り止め部形成凹部内に、靴滑り止め部が形成されている。そして、本発明の第一の形態の床部材に係る靴滑り止め部は、少なくとも床板部表面に対して90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなし且つ押出方向に対して90°±45°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなす面を有する。そして、床板部表面に対して90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなし且つ押出方向に対して90°±45°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなす面(略垂直面)を有する部位(靴滑り止め部)が、押出方向の靴滑りを防止する部位として機能する。
【0048】
また、本発明の第一の形態の床部材に係る靴滑り止め部は、略垂直面の上端に、90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなす角部を有することが好ましい。そして、本発明の第一の形態の床部材が、略垂直面の上端に、90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなす角部を有することにより、押出方向の靴滑りを防止する効果が高まる点で好ましい。
【0049】
また、本発明の第一の形態の床部材では、靴滑り止め部形成凹部は、少なくとも第一凹部及び第二凹部からなるが、更に、第二凹部の底面位置から下方に向かって第三凹部が形成されていてもよい。
図11に示す形態例(a)〜(c)では、靴滑り止め部形成凹部4i〜kは、荷物滑らし位置11i〜kから下方に向かって形成されている第一凹部45i〜k、第一凹部45i〜kの底部位置48i〜kから下方に向かって形成されている第二凹部46i〜k、及び第二凹部46i〜kの底部位置49i〜kから下方に向かって形成されている第三凹部47i〜kからなる。つまり、
図11に示す形態例(a)〜(c)では、靴滑り止め部形成凹部は、3段階に形成されている凹部からなる。また、本発明の第一の形態の床部材では、靴滑り止め部形成凹部は、4段階以上に形成されている凹部からなってもよい。
【0050】
そして、本発明の第一の形態例の床部材では、
図11に示す形態例のように3段階に凹部を形成させること、あるいは、更に、4段階以上に凹部を形成させることにより、90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなす角部を2段階、あるいは、更に、3段階以上形成させることができるので、靴滑りを防止する効果を更に高めることができる。
【0051】
本発明の第一の形態の床部材も含め本発明の床部材において、突起条の全部又は一部が、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条である。本発明の床部材が、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条と靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条とを有する場合、両突起条を形成させる位置及び数は、本発明の効果を奏する範囲で、適宜選択され、例えば、
図1に示す形態例のように、横方向(押出方向に対し垂直な方向)に、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条と靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条とが交互に繰り返されている形態、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条が2つ置きに繰り返されている形態、靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条が2つ置きに繰り返されている形態等が挙げられる。また、本発明の床部材において、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条のそれぞれについて、設けられる靴滑り止め部形成凹部の数及び間隔等は、本発明の効果を奏する範囲で、適宜選択され、靴滑り止め部形成凹部は、押出方向に一定間隔で又は不定間隔をおいて設けられる。
【0052】
靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条及び靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条の断面形状は、特に制限されず、例えば、
図12に示す形態例が挙げられる。
図12は、突起条の断面形状の形態例の模式図である。そして、
図12の(a)に示す形態例の突起条2a、3a及び(c)に示す形態例の突起条2g、3gでは、突起条の頂部5a、5gが平面状であり、また、
図12の(b)に示す形態例の突起条2f、3f及び(d)に示す形態例の突起条2h、3hでは、突起条の頂部5f、5hが線状である。なお、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条において、上記突起条の断面形状とは、靴滑り止め部形成凹部が設けられていない部分、すなわち、荷物滑り部の突起条の形状を指し、また、靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条において、上記突起条の断面形状とは、突起条全範囲が荷物滑り部なので、突起条の全範囲の形状を指す。
【0053】
靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条と靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条の高さは同じである。突起条の高さは、適宜選択され、好ましくは1〜5mm、特に好ましくは1.2〜1.5mmである。なお、突起条の高さとは、床板部の表面から荷物滑り部の頂部までの距離(
図12中、符号24で示す床板部1の表面から突起条の頂部5までの距離)である。突起条の幅は、適宜選択され、好ましくは1〜5mm、特に好ましくは1.5〜2.5mmである。
【0054】
本発明の第一の形態の床部材も含め本発明の床部材において、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条及び靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条の側面は、いずれも、横方向に荷物を動かすときに靴滑りを防止する部位として機能する。そのため、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条及び靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条は、突起条の断面形状において、少なくとも床板部表面に対して90±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなし且つ押出方向に平行な面を有する。また、突起条の断面形状において、床板部表面に対して90±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなし且つ押出方向に平行な面の上部に、90°±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなす角部が形成されていることが、横方向に荷物を移動させるときに、靴滑りを防止する効果が高まる点で好ましい。また、突起条の断面形状において、床板部表面に対して90±15°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内の角度をなし且つ押出方向に平行な面の上部が、円弧状になっていること又は面取りされていることが、横方向に荷物を移動させるときに、荷物が突起条に引っ掛かり難くすることができる点で好ましい。なお、本発明において、横方向とは、押出方向に対し垂直な方向を指す(
図1及び
図2においては、符号53で示す方向)。
【0055】
本発明の第一の形態の床部材も含め本発明の床部材において、隣り合う突起条の間隔、突起条の高さ、靴滑り止め部形成凹部の押出方向の長さ、押出方向の突起条の頂部の長さ、靴滑り止め部の高さ及び大きさ等は、適宜選択される。そして、本発明の第一の形態の床部材も含め本発明の床部材において、靴滑り止め部形成凹部の押出方向の長さ(
図7中、符号16で示す長さ)は、好ましくは3〜20mmであり、突起条の頂部の長さ(
図3(b)中、符号15で示す長さ)は、好ましくは5〜30mmである。
【0056】
また、本発明の第一の形態の床部材では、第一凹部の深さ(
図7中、符号17で示す長さ、すなわち、荷物滑らし位置11から第一凹部の底部位置14までの距離である。)は、好ましくは0.2〜2mmであり、第二凹部の深さ(
図7中、符号18で示す長さ、すなわち、第一凹部の底部位置14から第二凹部の底部位置26までの距離である。)は、好ましくは0.2〜2mmである。また、第三凹部を設ける場合には、第三凹部の深さは、好ましくは0.2〜2mmである。
【0057】
床板部としては、
図13(a)に示すような中空構造の床板部1a(ホロー材)であっても、べた芯構造の床板部1b(ソリッド材)であってもよい。
図13は、床板部の形態例を示す模式図であり、押出方向に見た図である。
【0058】
靴滑り防止効果を高めるために、ローレット加工の際の突起条の潰し量を大きくするためには、床板部の表面側のローレットに対峙した裏面側に下当てロールを当てないと、床板部の変形が大きくなってしまう。そのため、床板部がべた芯構造の場合には、裏側に下当てロールを当てることができるので、強いローレット加工を行っても、床板部が変形しないか変形を少なくすることができる。一方、床板部が、横方向(押出方向に対し垂直な方向)の端から端まで中空である中空構造の場合には、中空内に下当てロールを当てることができないので、強いローレット加工を行うと床板部が変形してしまう。そこで、
図1及び
図13(a)に示す形態例のように、中空構造の床板部の中空内に縦リブ51を設け、縦リブの上にローレット加工が行われる突起条を設け、その突起条に靴滑り止め部形成凹部を形成させれば、強いローレット加工を行うときに、ローレットの突起条を押し潰す大きい力を、縦リブが負担するので、床板部の変形を防止できる。つまり、本発明の床部材は、床板部が中空形状であり、中空内には縦リブが設けられており、縦リブの上にある突起条に、靴滑り止め部形成凹部が設けられていることが、強いローレット加工が行われたとしても、床板部の変形がないか又は少ないという効果を奏し、更に、荷物の重量を縦リブが支持するので、床部材全体の強度も中空構造と相まって向上する。
【0059】
本発明の床部材を複数、横方向(押出方向に対して垂直な方向)に連結させるために、各床部材の横方向の両端に、係合部が設けられていてもよい。例えば、
図13に示す床部材10a、bには、両端に、係合部31a、b、係合部32a、b、係合部33a、b及び係合部34a、bが設けられている。そして、
図14に示すように、先ず、床部材が設置される床面に、左側の床部材10aを置き、左側の床部材10aをネジ25で床に固定する。次いで、右側の床部材10aを、左側の床部材10aの横に置く。このとき、左側の床部材10aの係合部31aを右側の床部材10aの係合部34aに係合させ、且つ、右側の床部材10aの係合部32aを左側の床部材10aの係合部33aに係合させる。以降は、この作業を繰り返して、本発明の床部材を、横方向に複数連結させる。
【0060】
本発明のトラック用床板は、本発明の床部材を連結してなることを特徴とするトラック用床板である。本発明のトラック用床板は、トラックの荷台の上面に設置されることにより、トラックの荷物が載せられる床板となる。そして、本発明のトラック用床板は、床板の設置対象であるトラックの荷台の上面全体を覆うように、本発明の床部材が、押出方向及び横方向に連結して、トラックの荷台に固定されることにより設置される。
【0061】
本発明の床部材では、靴滑り止め部形成凹部が設けられている突起条と靴滑り止め部形成凹部が設けられていない突起条の高さが同じなので、突起条の延長方向にも突起条の延長方向に垂直な方向にも靴滑りの防止性が高く、且つ、荷物の滑り性と荷物の荷重に対する強度を確保しつつも、各突起条の摩耗し易さが異ならない。また、本発明の床部材が横方向に連結されてなる本発明のトラック用床板は、荷台の荷物を迅速で安全に移動させると共に、荷役作業を阻害させることなく荷役者の靴滑りを防止することができる。