(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-131018(P2016-131018A)
(43)【公開日】2016年7月21日
(54)【発明の名称】触覚信号を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20160624BHJP
A63F 13/285 20140101ALI20160624BHJP
A63F 13/211 20140101ALI20160624BHJP
A63F 13/428 20140101ALI20160624BHJP
【FI】
G06F3/01 560
A63F13/285
A63F13/211
A63F13/428
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2015-235282(P2015-235282)
(22)【出願日】2015年12月2日
(31)【優先権主張番号】62/087,752
(32)【優先日】2014年12月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/950,797
(32)【優先日】2015年11月24日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】カナイヤラル シャー
【テーマコード(参考)】
2C001
5E555
【Fターム(参考)】
2C001CA05
2C001CC09
5E555AA80
5E555BA08
5E555BA20
5E555BB08
5E555BC01
5E555CA44
5E555DA24
5E555DC90
5E555EA02
5E555EA14
5E555EA20
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】本明細書の実施形態は、望まれる触覚プロファイルまたは波形を達成するために、アクチュエータの能力を高めるための方法およびシステムに関する。
【解決手段】触覚出力デバイスを制御するためのシステムおよび方法は、プロセッサ、触覚出力デバイスを含む触覚周辺装置、および触覚出力デバイスに結合されたセンサを含む。触覚出力デバイスは、プロセッサから制御信号を受信し、プロセッサからの制御信号に応じて、或るプロファイルを持つ触覚効果を触覚周辺装置に出力するように構成される。センサは、触覚出力デバイスの現在の動作状態を検知するように構成される。プロセッサは、望まれる触覚効果の波形およびセンサから受信された信号を含む複数の入力に依存して、触覚出力デバイスに対する制御信号を生成するように構成される。入力は、触覚出力デバイスの少なくとも1つのパラメータを含むこともできる。したがって、制御信号は、触覚効果のプロファイルを、望まれる触覚効果の波形と本質的に一致させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚出力デバイスを制御する方法であって、
望まれる触覚効果の波形を含む第1の入力を受信するステップであって、該望まれる触覚効果の波形は、少なくとも1つの強度増加または強度減少を含む、ステップと、
センサから第2の入力を受信するステップであって、該第2の入力は、前記触覚出力デバイスの現在の動作状態を含む、ステップと、
前記第1および第2の入力の両方を使用するアルゴリズムを介して制御信号を生成するステップと、
或るプロファイルを持つ触覚効果を出力するように前記触覚出力デバイスに指示するために、前記触覚出力デバイスに前記制御信号を適用するステップであって、前記制御信号は、前記触覚効果のプロファイルに、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少に本質的に一致する強度増加または強度減少をそれぞれ含ませる、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記触覚出力デバイスは、ブラシレスの電気的なDCモータである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触覚出力デバイスの少なくとも1つのパラメータを含む第3の入力を受信するステップをさらに含み、
アルゴリズムを介して前記制御信号を生成するステップは、前記第1、第2、および第3の入力を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのパラメータは、タイプ、特性、および過去の経験から成る群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記センサは、前記触覚出力デバイスの位置、速度、または加速度を検知するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記制御信号を生成するステップは、前記制御信号が基礎制御信号とは異なる波形を含むように、前記アルゴリズムを介して該基礎制御信号を修正することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記触覚効果のプロファイルの強度増加または強度減少は、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少と同じ振幅を持ち、前記触覚効果のプロファイルの強度増加または強度減少は、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少と同時に発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記制御信号は、前記触覚効果のプロファイルに、前記望まれる触覚効果の波形の強度減少に本質的に一致する強度減少を含ませるために、複数のキックおよびブレーキを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
触覚出力デバイスを制御するためのシステムであって、
プロセッサと、
触覚出力デバイスを含む触覚周辺装置であって、該触覚出力デバイスは、前記プロセッサから制御信号を受信し、前記プロセッサからの該制御信号に応じて該触覚周辺装置に或るプロファイルを持つ触覚効果を出力するように構成される、触覚周辺装置と、
前記触覚出力デバイスに結合されたセンサであって、該センサは、前記触覚出力デバイスの現在の動作状態を検知するように構成される、センサと
を含み、
前記プロセッサは、前記制御信号が、前記触覚効果のプロファイルを、前記望まれる触覚効果の波形に本質的に一致させるように、複数の入力に依存して前記触覚出力デバイスに対する制御信号を生成するように構成され、該複数の入力は、望まれる触覚効果の波形、前記センサから受信された信号、および前記触覚出力デバイスの少なくとも1つのパラメータを含む、システム。
【請求項10】
前記触覚出力デバイスは、ブラシレスの電気的なDCモータである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのパラメータは、タイプ、特性、および過去の経験から成る群から選択される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記センサは、前記触覚出力デバイスの位置、速度、または加速度を検知するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記望まれる触覚効果の波形は、少なくとも1つの強度増加または強度減少を含み、前記制御信号は、前記触覚効果のプロファイルに、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少に本質的に一致する強度増加または強度減少を含ませる、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記触覚効果のプロファイルの強度増加または強度減少は、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少と同じ振幅を持ち、前記触覚効果のプロファイルの強度増加または強度減少は、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少と同時に発生する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御信号は、前記触覚効果のプロファイルに、前記望まれる触覚効果の波形の強度減少に本質的に一致する強度減少を含ませるために、複数のキックおよびブレーキを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
システムはホスト・コンピュータをさらに含み、前記プロセッサは前記ホスト・コンピュータに配置される、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは前記触覚周辺装置に配置される、請求項9に記載のシステム。
【請求項18】
触覚出力デバイスを制御するためのシステムであって、
プロセッサと、
触覚出力デバイスを含む触覚周辺装置であって、該触覚出力デバイスは、前記モータを自動的に始動させおよび前記モータに自動的にブレーキをかけるための内部制御を持つブラシレスの電気的なDCモータであって、該触覚出力デバイスは、前記プロセッサから制御信号を受信し、前記プロセッサからの該制御信号に応じて該触覚周辺装置に或るプロファイルを持つ触覚効果を出力するように構成される、触覚周辺装置と、
前記触覚出力デバイスに結合されたセンサであって、前記センサは、前記触覚出力デバイスへの位置、速度、または加速度を検知するように構成されるセンサと
を含み、
前記プロセッサは、前記制御信号が、前記触覚効果のプロファイルに、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少に本質的に一致する強度増加または強度減少を含ませるように、少なくとも1つの強度増加または強度減少を含む望まれる触覚効果の波形および前記センサから受信された信号に依存して、前記触覚出力デバイスに対する前記制御信号を変動させるように構成される、システム。
【請求項19】
前記プロセッサは、また、前記触覚出力デバイスの少なくとも1つのパラメータに依存して前記触覚出力デバイスに対する制御信号を変動させるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御信号は、前記触覚効果のプロファイルに、前記望まれる触覚効果の波形の強度減少に本質的に一致する強度減少を含ませるために、複数のキックおよびブレーキを含む、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般的に、触覚出力デバイスを備えたデバイスに関し、より具体的には、触覚出力デバイスを制御するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている、2014年12月4日に出願した米国仮特許出願第62/087,752号および2015年11月24日に出願した米国特許出願第14/950,797号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
ビデオ・ゲームおよびビデオ・ゲーム・システムは、気軽なゲーマーに向けたマーケティング、および気軽なゲーマーからの結果として生じる関与のために、一層人気が高まっている。従来のビデオ・ゲーム・デバイスまたはコントローラは、ユーザにフィードバックを提供するために、視覚的および聴覚的な合図(cue:キュー)を使用する。一部のインターフェイス・デバイスでは、より一般的には、まとめて「触覚フィードバック(haptic feedback)」または「触覚効果(haptic effect)」として知られている、運動感覚フィードバック(能動的および抵抗的な力のフィードバックなど)および/または触覚によるフィードバック(振動、質感、および熱など)もユーザに提供される。触覚フィードバックは、ユーザ・インターフェイスを拡張および簡素化する合図を提供することができる。具体的には、振動効果、または振動触覚による触覚効果は、特定のイベントについてユーザに警告するため、または現実的なフィードバックを提供して、シミュレーションされた環境もしくは仮想環境内におけるより大きな感覚的な没頭を生じさせるために、電子デバイスのユーザに合図を提供するのに役立つ場合がある。
【0004】
医療機器、自動車制御、リモート制御などの他のデバイス、および動作を引き起こすためにユーザがユーザ入力要素と対話する他の同様のデバイスも、また、触覚フィードバックまたは触覚効果から利益を受ける。たとえば、制限を目的としないが、医療機器のユーザ入力要素は、医療機器の遠位端部で患者の体内で動作を引き起こすために、医療機器の近い部分で患者の体の外側のユーザによって運用され得る。触覚フィードバックまたは触覚効果は、特定のイベントについてユーザに警告するため、または医療機器の遠位端部で患者と医療機器の対話に関してユーザに現実的なフィードバックを提供するために、デバイスで用いられ得る。
【0005】
ゲーム・デバイスおよび他のデバイスの従来の触覚フィードバック・システムは、一般的に、触覚フィードバックを生成するためにハウジングに接続された1つまたは複数のアクチュエータを含む。しかしながら、一部のアクチュエータは、ブレーキがかけられたときに速度を落とすためにかなりの時間および/または始動する(kick start)ためにかなりの時間を必要とする。したがって、アクチュエータによって出力または伝達される触覚効果のプロファイル(profile)は、望まれる触覚効果の波形に一致しない場合がある。より詳細には、
図1に示すように、望まれる触覚効果の波形130は、対応または一致する制御信号132で示されている。制御信号132に応じた触覚効果134の出力も示されている。触覚効果134のプロファイルは、制御信号132にも、望まれる触覚効果の波形130にも、厳密に一致したり、または従ったりしない。
【0006】
本明細書の実施形態は、望まれる触覚プロファイルまたは波形を達成するために、アクチュエータの能力を高めるための方法およびシステムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,446,752号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の実施形態は、触覚出力デバイスを制御する方法に関するものである。望まれる触覚効果の波形を含む第1の入力が受信される。望まれる触覚効果の波形は、少なくとも1つの強度増加または強度減少を含む。センサからの第2の入力が受信される。第2の入力は、触覚出力デバイスの現在の動作状態を含む。制御信号は、第1および第2の入力の両方を使用するアルゴリズムを介して生成される。制御信号は、或るプロファイルを持つ触覚効果を出力するように触覚出力デバイスに指示するために、触覚出力デバイスに適用される。制御信号は、触覚効果のプロファイルに、それぞれ望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少に本質的に一致する強度増加または強度減少を含ませる。
【0009】
本明細書の実施形態は、また、触覚出力デバイスを制御するためのシステムに関するものである。一実施形態では、システムは、プロセッサ、触覚出力デバイスを含む触覚周辺装置、および触覚出力デバイスに結合されたセンサを含む。触覚出力デバイスは、プロセッサから制御信号を受信し、プロセッサからの制御信号に応じて、或るプロファイルを持つ触覚効果を触覚周辺装置に出力するように構成される。センサは、触覚出力デバイスの現在の動作状態を検知するように構成される。プロセッサは、望まれる触覚効果の波形、センサから受信された信号、および触覚出力デバイスの少なくとも1つのパラメータを含む複数の入力に依存して、触覚出力デバイスに対する制御信号を生成するように構成される。したがって、制御信号は、触覚効果のプロファイルを、望まれる触覚効果の波形と本質的に一致させる。
【0010】
本明細書の別の実施形態によると、システムは、プロセッサ、触覚出力デバイスを含む触覚周辺装置、および触覚出力デバイスに結合されたセンサを含む。触覚出力デバイスは、モータを自動的に始動するおよびモータに自動的にブレーキをかけるための内部制御を持つブラシレスの電気的なDCモータである。触覚出力デバイスは、プロセッサから制御信号を受信し、プロセッサからの制御信号に応じて、或るプロファイルを持つ触覚効果を触覚周辺装置に出力するように構成される。センサは、触覚出力デバイスへの位置、速度、または加速度を検知するように構成される。プロセッサは、少なくとも1つの強度増加または強度減少を含む望まれる触覚効果の波形およびセンサから受信された信号に依存して、触覚出力デバイスに対する制御信号を変動させるように構成される。したがって、制御信号は、触覚効果のプロファイルに、望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少に本質的に一致する強度増加または強度減少を含ませる。
【0011】
触覚周辺装置は、ゲーム・コントローラ、タブレット、電話、携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、ゲームの周辺装置、マウス、ウェアラブル・ユーザ・アイテム、または触覚効果を出力するための触覚出力デバイスを含む他のデバイスの場合がある。プロセッサは、ホスト・コンピュータまたは触覚周辺装置に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】望まれる触覚効果の波形、制御信号、および制御信号に応じて出力される触覚効果を示す概略図である。
【
図2A】触覚周辺装置またはコントローラの実施形態を示す概略図である。
【
図2B】
図2Aの触覚周辺装置またはコントローラの別の視点を示す概略図である。
【
図3】ホスト・コンピュータおよびディスプレイに関連する
図2Aの触覚周辺装置またはコントローラを示すブロック図である。
【
図4】本明細書の実施形態による触覚出力デバイスによって出力される触覚効果を制御するための方法を示すフローチャートであり、方法は、触覚出力デバイスの現在の動作状態に関係するセンサ情報を補正する制御信号を生成することを含む。
【
図5】望まれる触覚効果の波形、その修正の前の第1の制御信号、
図4のフローチャートによるその修正の後の第2の制御信号、および第2の、すなわち修正された制御信号に応じて出力された触覚効果を示す概略図である。
【
図6】本明細書の別の実施形態による触覚出力デバイスによって出力された触覚効果を制御するための方法を示すフローチャートであり、方法は、触覚出力デバイスの現在の動作状態に関係するセンサ情報を補正する制御信号だけでなく、触覚出力デバイスのパラメータまたはプロパティも生成することを含む。
【0013】
(本発明を機能させるための構成)
本発明の前述ならびに他の特徴および利点は、添付の図面に示されているように本明細書の実施形態に関する以下の記述から明白になるであろう。添付の図面は、本明細書に組み込まれ本明細書の一部を形成するものであり、本発明の原理について説明し、当業者が本発明を製作および使用することを可能にするための役割をさらに果たす。図は、縮尺を示すためのものではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで本発明の特定の実施形態について、同様の参考番号は同一または機能的に同様の要素を示す図に関して記述される。
【0015】
以下の詳細な説明は、性質的に単に具体例を示すものであり、本発明または本発明の用途および使用法を制限することを意図するものではない。さらに、前述の技術分野、背景技術、発明の概要、または以下の詳細な説明に提示された明示または暗示された理論によって束縛される意図はない。さらに、以下の記述は、ゲーム・デバイスおよびゲーム・デバイスのためのコントローラに関するものであるが、記述は、触覚出力デバイスを持つ他のデバイスに同様に適用されることを当業者は認識するであろう。
【0016】
本明細書の実施形態は、触覚出力デバイスを制御するためのシステムおよび方法に関する。触覚出力デバイスは、触覚周辺装置内または上に配置される。触覚周辺装置は、たとえば、
図2A〜
図2Bに示すようなゲーム・システムのためのハンドヘルド型のゲームの触覚周辺装置100、または限定しないが、電話、携帯情報端末(PDA)、タブレット、コンピュータ、ゲームの周辺装置、コンピュータ・マウス、ウェアラブル・ユーザ・アイテム、医療機器、自動車制御、リモート・コントロール、タッチ画面など、触覚効果を出力するための触覚出力デバイスを含む他のデバイスの場合がある。
【0017】
触覚周辺装置100は、一般的に、コンピュータ、携帯電話、テレビ、または他の同様のデバイスに接続され得るゲーム・システムとともに使用され得る。
図2A〜
図2Bは、触覚周辺装置100の異なる斜視図を示している一方、
図3は、ホスト・コンピュータ104およびディスプレイ106をさらに含むゲーム・システム101で使用される触覚周辺装置100のブロック図を示している。
図3のブロック図に図示するように、触覚周辺装置100は、接続105を介してホスト・コンピュータ104と通信するローカル・プロセッサ108を含む。接続105は、有線接続、無線接続、または当業者に知られている他のタイプの接続の場合がある。ローカル・プロセッサ108は、任意のタイプの汎用プロセッサであってもよいし、または特定用途向け集積回路(「ASIC」)など、触覚効果を提供するように特に設計されたプロセッサであってもよい。触覚周辺装置100は、あるいは、ローカル・プロセッサ108を含めないよう構成され得て、それによって、触覚周辺装置100からのすべての入力/出力信号は、ホスト・コンピュータ104のプロセッサによって直接的に扱われ処理される。ホスト・コンピュータ104は、ディスプレイ画面106に結合される。一実施形態では、ホスト・コンピュータ104は、ゲーム・デバイスのコンソールであり、ディスプレイ画面106は、当技術分野で知られているように、ゲーム・デバイスのコンソールに結合されたモニタである。別の実施形態では、当業者に知られているように、ホスト・コンピュータ104およびディスプレイ画面106は、単一のデバイスへと組み合わせられ得る。
【0018】
触覚周辺装置100のハウジング102は、左利きのユーザまたは右利きのユーザのいずれかによるデバイスをつかむ2つの手に容易に対応するように形作られている。触覚周辺装置100は、単にビデオ・ゲーム・コンソール・システムに現在利用可能な多数の「ゲームパッド」に対する同様の形状およびサイズのコントローラの代表的な実施形態であること、および制限しないが、Wii(登録商標)リモートまたはWii(登録商標) Uコントローラ、Sony(登録商標)SixAxis(登録商標)コントローラまたはSony(登録商標)ワンド・コントローラだけでなく、現実生活の物体として形作られたコントローラ(テニス・ラケット、ゴルフ・クラブ、野球のバットなど)、および他の形状などのコントローラなど、ユーザ入力要素、形状、およびサイズの他の構成を持つコントローラが使用され得ることを当業者は認識するであろう。
【0019】
触覚周辺装置100は、ジョイスティック110、ボタン114、およびトリガ118を含む複数のユーザ入力要素または操作子(manipulandum)を含む。本明細書で使用する場合、ユーザ入力要素は、トリガ、ボタン、ジョイスティックなどのインターフェイス・デバイスを表しており、これらは、ホスト・コンピュータ104と対話するためにユーザによって操作される。
図2A〜
図2Bに見られ、当業者に知られているように、各ユーザ入力要素および追加的なユーザ入力要素の2つ以上が、触覚周辺装置100に含まれ得る。したがって、トリガ118の本記述は、たとえば、触覚周辺装置100を1つのトリガに制限するものではない。さらに、
図3のブロック図は、ジョイスティック110、ボタン114、およびトリガ118の各々の1つのみを示している。しかしながら、上に記述したように、複数のジョイスティック、ボタン、およびトリガだけでなく、他のユーザ入力要素も使用され得ることを当業者は理解するであろう。
【0020】
図3のブロック図に見られるように、触覚周辺装置100は、対象となる触覚出力デバイスまたはそのユーザ入力要素の各々に対するモータだけでなく、ユーザの手が一般的に配置される位置のハウジング102に結合される1つまたは複数の全体的なまたは振動型(rumble)の触覚出力デバイス122,124を含む。より詳細には、ジョイスティック110は、それに結合された触覚出力デバイスまたはモータ112を含み、ボタン114は、それに結合された触覚出力デバイスまたはモータ116を含み、トリガ118は、それに結合された触覚出力デバイスまたはモータ120を含む。各触覚出力デバイス112,116,120は、本明細書により詳細に記述するように、それぞれの触覚出力デバイスの現在の動作状態を検知するために、それぞれ、それに結合されたセンサ113,117,121を含む。さらに、触覚周辺装置100は、そのユーザ入力要素の各々に結合されたポジション・センサを含む。より詳細には、ジョイスティック110は、それに結合されたポジション・センサ111を含み、ボタン114は、それに結合されたポジション・センサ115を含み、トリガ118は、それに結合されたポジション・センサ119を含む。ローカル・プロセッサ108は、触覚出力デバイス112,116,120だけでなく、それぞれジョイスティック110、ボタン114、およびトリガ118のポジション・センサ111,115,119に結合される。
【0021】
ポジション・センサ111,115,119から受信された信号に応じて、ローカル・プロセッサ108は、ジョイスティック110、ボタン114、およびトリガ118に触覚効果をそれぞれ提供するように触覚出力デバイス112,116,120に指示する。そのような効果は、コントローラの全体に沿った全体触覚出力デバイス122,124によって作られる全体的なまたは振動型の触覚効果から認識可能または識別可能である。各全体触覚出力デバイス122,124は、本明細書により詳細に記述するように、そのそれぞれの触覚出力デバイスの現在の動作状態を検知するために、それに結合されたセンサ123,125をそれぞれ含む。たとえば、ビデオ、オーディオ、触覚など、複数の様相が同時に関与するため、集合的な触覚効果により、ゲームにより没頭する感覚をユーザに提供する。
【0022】
実行されてユーザに提供される触覚効果のタイプを決定する際に、高レベルの触覚パラメータまたはストリーミング値が、ホスト・コンピュータ104のプロセッサのソフトウェア・コードで生成され、触覚周辺装置100のプロセッサ108に送られて、そこで処理されて、触覚出力デバイスに対して適切な電圧レベルが生成される。これにより、触覚周辺装置100が、その触覚出力デバイスに関してユーザに適切な触覚フィードバックを提供し、触覚出力デバイスに対して生成される異なる電圧レベルを通じて触覚フィードバックの量またはタイプを変動させることが可能になる。これは、ホスト・コンピュータ104が、触覚周辺装置100のプロセッサ108に高レベルの監視コマンドを提供し、高レベルコマンドに従って、およびホスト・コンピュータ104から独立して、触覚周辺装置100のプロセッサ108が、コマンドを復号し、センサおよび触覚出力デバイスへの低レベルの力制御ループを管理する、ローカル制御の実施形態と考えられ得る。より詳細には、動作において、ローカル・プロセッサ108は、ポジション・センサ111,115,119から位置および/または移動のイベントを検出または受信し、ホスト・コンピュータ104に位置および/または移動のイベントを送る。ホスト・コンピュータ104のプロセッサは、ローカル・プロセッサ108に、制御信号または高レベルの監視コマンドもしくはストリーミング・コマンドを提供し、次に、ローカル・プロセッサ108は、ホスト・コンピュータ104から受信された高レベルの監視コマンドまたはストリーミング・コマンドに基づいて、触覚出力デバイス112,116,120,122,124に制御信号を提供する。たとえば、動作中に、触覚効果の電圧強度および期間は、ホスト・コンピュータ104から触覚周辺装置100にストリーム送信され、そこで情報は、ローカル・プロセッサ108を介して、触覚出力デバイス112,116,120,122,124に提供される。ホスト・コンピュータ104は、触覚出力デバイス112,116,120,122,124によって出力される触覚効果のタイプなど(たとえば、振動、急激な揺れ(jolt:ジョルト)、移動止め(detent:デテント)、急な衝撃(pop:ポップ)など)、ローカル・プロセッサ108に高レベルのコマンドを提供することができ、それによって、ローカル・プロセッサ108は、出力される触覚効果の特定の特性に関して(たとえば、強度、周波数、期間など)、触覚出力デバイス112,116,120,122,124に指示する。ローカル・プロセッサ108は、それに結合されたメモリ109から、触覚効果のタイプ、強度、周波数、期間、または他の特性を取得することができる(
図3のブロック図に図示)。
【0023】
図3には示していないが、ドライバ・インターフェイスが、ローカル・プロセッサ108から信号をそれぞれの触覚出力デバイスを駆動するのに適切な信号に変換するために、触覚周辺装置100のローカル・プロセッサ108と各触覚出力デバイスの間で任意に接続され得る。当業者によく知られているように、ドライバ・インターフェイスは、電力増幅器、スイッチ、デジタル/アナログ・コントローラ(DAC)、アナログ/デジタル・コントローラ(ADC)、および他の構成要素を含むことができる。たとえば、電圧モード増幅器は、触覚周辺装置100のローカル・プロセッサ108からの制御信号に基づいてモータを駆動するために、ドライバ・インターフェイスで使用され得る低コストの構成要素である。ローカル・プロセッサ108は、望まれる触覚効果を引き起こすために、触覚出力デバイスに必要な電流および電圧を供給するために使用される電子部品および回路を含むドライバ・インターフェイスに制御信号を出力する。各触覚出力デバイスは、ローカル・プロセッサ108にすべて結合された、個別の駆動回路を含むことができる。
【0024】
異なるホスト制御された実施形態では、ホスト・コンピュータ104は、触覚周辺装置100に低レベルの力のコマンドを提供することができ、これは、触覚周辺装置100のローカル・プロセッサ108または他の回路(ローカル・プロセッサ108が存在しない場合)を介して触覚出力デバイスに直接的に送信される。ホスト・コンピュータ104のプロセッサは、したがって、触覚周辺装置との間ですべての信号を直接的に制御および処理する。たとえば、ホスト・コンピュータは、触覚周辺装置100の触覚出力デバイスによって出力された力を直接的に制御する。この実施形態は、力フィードバック・デバイスのコストをさらに低減するのに望ましい場合がある。なぜなら、触覚周辺装置100に、複雑なローカル・プロセッサ108または他の処理回路を含める必要がないからである。
【0025】
別の実施形態では、ローカル・プロセッサ108に類似する機能を提供するために、触覚周辺装置100に他のハードウェアがローカルに提供され得る。たとえば、触覚出力デバイスに信号を提供し、センサからセンサ信号を受信して、事前定義された順序、アルゴリズム、またはプロセスにより触覚の信号を出力するために、固定されたロジックを組み込んだハードウェアの状態機械が使用され得る。ハードウェアに望まれる機能を備えたロジックを実装するための技術は、当業者によく知られている。そのようなハードウェアは、それほど複雑でない力フィードバック・デバイスに好適な場合がある。別の実施形態では、ローカル・プロセッサ108に類似する機能は、ドライバ・インターフェイスの集積回路内にローカルに提供され得るか、または触覚出力デバイスの回路内にローカルに提供され得る。したがって、本明細書に使用する場合、「プロセッサ」という用語は、本明細書に記述された機能を実行する個別またはスタンド・アロンの構成要素だけでなく、限定しないが、ドライバ・インターフェイスまたは触覚周辺装置100の触覚出力デバイスなど、本明細書に記述した機能が、触覚周辺装置100の別の構成要素に統合および実行される実施形態を含む。
【0026】
本明細書の実施形態は、望まれる触覚効果の波形を達成するために、触覚出力デバイスの能力を高める方法およびシステムに関する。本明細書に記述されるような触覚出力デバイスを制御する方法は、触覚周辺装置100の触覚出力デバイス112,116,120,122,124の1つまたは複数に適用され得る。さらに、触覚出力デバイス112,116,120,122,124が同じタイプの触覚出力デバイスであることは必要とされない。本明細書に記述されるような触覚出力デバイスを制御する方法は、様々なタイプの触覚出力デバイスに適用され得る。たとえば、ブラシレスの電気的なDCモータに関して主に記述したが、本明細書の実施形態は、制限しないが、ブラシ付きの(brushed)電気的なDCモータ、電磁気モータ、偏心質量がモータによって動かされる偏心モータ(「ERM:eccentric rotating mass」)アクチュエータ、スプリングに接続された質量が前後に駆動されるリニア・バイブレータ(「LRA:linear resonant actuator」)、信号または形状記憶合金に応じて変形する圧電性の電気活性ポリマーなどの「スマート材料」、ソレノイド共振アクチュエータ(「SRA:solenoid resonant actuator」)、偏心マスがモータによって動かされる電磁気モータ、振動触覚アクチュエータ、慣性アクチュエータ、剛性、静電気摩擦(ESF)、超音波表面摩擦(USF)を変更するためのメカニズム、超音波の触覚トランスデューサを用いて音響放射圧を引き起こすデバイス、触覚基板および柔軟または変形可能な面を使用するデバイス、エアジェットを使用して、空気の一吹き(puff)など発射された触覚出力を提供するデバイス、または上に記述したアクチュエータの任意の組み合わせを含む様々な触覚出力デバイスに適用され得る。別の実施形態では、触覚出力デバイスは、たとえば、ユーザ入力要素または触覚周辺装置100のハウジングの剛性/減衰(damping)を変更するソレノイド、ユーザ入力要素または触覚周辺装置100のハウジングのサイズを変更する小さなエアバッグ、または形状が変化する材料を含む運動感覚の触覚フィードバックを使用することができる。
【0027】
本明細書に記述された方法は、どのタイプの触覚出力デバイスが利用されるかにかかわらず、望まれる触覚効果の波形と本質的に一致するか、または従う汎用の方法を提供するために、様々なタイプの触覚出力デバイスに適用され得る。したがって、本明細書に記述されたアルゴリズムは、触覚出力デバイスに関する、現在の動作状態情報およびプロパティ情報の両方を使用することによって、触覚出力デバイスの間の差を補正するものである。より詳細には、
図1に関して上に説明したように、一部のアクチュエータまたは触覚出力デバイスは、ブレーキがかけられたときに速度を落とすためにかなりの時間および/または始動するためにかなりの時間を必要とする。たとえば、ブラシレスの電気的なDCモータは、モータが自動的にモータを始動しおよびブレーキをかけることを可能にする内部制御を持つ。ブラシレスの電気的なDCモータは、運動中に、最小の摩擦を提供するため、システムの電源を流出させない電力効率の高い触覚出力デバイスである。触覚出力デバイスに対するブラシレスの電気的なDCモータを持つ触覚周辺装置は、したがって、比較的より低い電力要件を持ち、それによって、コスト、容積、および電力消費が低減される。しかしながら、その最小限の摩擦のために、ブラシレスの電気的なDCモータは、ブレーキがかけられた場合に速度を落とすのにかなりの時間がかかり、伝達された触覚効果のプロファイルは、望まれる触覚効果の波形と一致しないか、または従わない場合がある。本明細書の実施形態は、望まれる触覚効果の波形を達成するために触覚出力デバイスの現在の動作状態および/またはプロパティを補正するか、または考慮するための制御信号を生成することに関する。
【0028】
図4〜
図5を見ると、触覚出力デバイスの現在の動作状態を補正するか、または考慮するための制御信号を変更または更新するための方法が示されている。
図4は、本明細書の実施形態による触覚出力デバイスによって出力される触覚効果を制御するための方法を示すフローチャートである。ここにおいて、方法は、触覚出力デバイスの速度、運動、加速度、または位置に関係するセンサ情報を用いる制御信号を更新または修正することを含む。
図5は、望まれる触覚効果の波形130、その修正の前の第1の制御信号132、
図4のフローチャートによるその修正の後の第2の制御信号533、および第2の、すなわち修正された制御信号に応じて出力された触覚効果534を示す概略図である。説明のために、流れ図は、ホスト・コンピュータ104および触覚周辺装置100に関して記述される。一実施形態では、
図4の流れ図の機能は、ホスト・コンピュータ104のメモリに格納され、ホスト・コンピュータ104のプロセッサによって実行されるソフトウェア、および/または触覚周辺装置100のメモリ109によって実装され、触覚周辺装置100のローカル・プロセッサ108によって実行される。他の実施形態では、機能は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、プログラマブル・ゲートアレイ(「PGA」))、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(「FPGA」)、またはハードウェアおよびソフトウェアの任意の組み合わせの使用を通じてハードウェアによって実行され得る。すでに本明細書に記述したように、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108は、本明細書に記述された機能を実行する個別もしくはスタンド・アロンの構成要素であってもよいし、またはホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に関して本明細書に記述された機能は、限定しないが、触覚周辺装置100のドライバ・インターフェイスまたは触覚出力デバイスなど、触覚周辺装置100の別の構成要素に統合および実行されてもよい。
【0029】
図4に示されたフローチャートの前の最初のステップとして、望まれる触覚効果の波形130(
図1および
図5に図示)が決定または設定される。望まれる触覚効果の波形130は、ユーザが意図した触覚経験である。
図5に示すように、本明細書の実施形態では、望まれる触覚効果の波形130は、強度増加150だけでなく、複数の強度減少152A,152B,152Cを含む。強度減少152A,152B,152Cを介して、望まれる触覚効果の波形130は、複数の連続する時間区分または期間154A,154B,154Cに対する触覚効果として適用される複数の異なる強度または振幅を伝達する。期間154A,154B,154Cの間に、以前に適用された触覚効果(つまり以前に適用された強度増加または強度減少)の強度は継続する。本明細書で使用する場合、強度増加は、望まれる触覚効果の波形の強度もしくは振幅における増加、または制御信号に応じて出力された触覚効果の強度もしくは振幅における対応する増加を表している。同様に、強度減少は、望まれる触覚効果の波形の強度もしくは振幅における減少、または制御信号に応じて出力された触覚効果の強度もしくは振幅における対応する減少を表している。望まれる触覚効果の波形130は、ユーザまたは触覚効果のプログラマもしくは作成者によって決定または設定され得る。
【0030】
図5の実施形態では、上に記述したように、望まれる触覚効果の波形130は、強度増加150だけでなく、複数の強度減少152A,152B,152Cを含む。しかしながら、当業者なら理解されるであろうように、望まれる触覚効果の波形は、
図5に示された形状である必要はない。望まれる触覚効果の波形は、制限しないが、正弦または正弦曲線の周期波、矩形波、パルス波、三角波、または非周期的な波を含む任意のタイプの波形の場合がある。波形は、特定の周波数(期間)および強度または振幅で振動の効果を出力するために利用され得る。単一の無指向性型の急激な揺れは、振動の単一期間または振動の期間の一部として出力され得る。ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に提供または供給される場合、望まれる触覚効果の波形は、典型的には、プロセッサへのパラメータまたは入力として、周波数コマンド、強度コマンド、および波形または機能を含む。望まれる触覚効果の波形に基づく制御信号の生成については、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている、本出願と同じ譲受人によって割り当てられた、Goldenbergらによる特許文献1にさらに記述されている。定期的な振動効果に加えて、Goldenbergらによる特許文献1に記述されるように、非周期的な効果および/または一貫した力効果は、また、触覚周辺装置100の触覚出力デバイスで再生または出力され得る。
【0031】
当業者であれば理解されるであろうように、望まれる触覚効果の波形130は、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に送られるか、そうでなければ提供されるデジタル・データに変換される。望まれる触覚効果の波形130は、したがって、
図4のステップ440に示しているように、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に提供される第1の入力である。望まれる触覚効果の波形130は、I2c/SPIまたは他の同様のインターフェイスなどインターフェイスを通じてデジタル形式で、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に送られるか、そうでなければ提供され得るか、またはデューティ・サイクル/周波数制御を用いるPWM(パルス幅変調)信号または強度および/もしくはタイミング制御を用いるアナログ信号などの信号形式で、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に送られるか、そうでなければ提供され得る。
【0032】
望まれる触覚効果の波形130に加えて、触覚出力デバイスの現在の動作状態情報が、また、
図4のステップ448に示されているような第2の入力として、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に提供される。より詳細には、各触覚出力デバイス112,116,120,122,124は、それぞれの触覚出力デバイスの現在の動作状態を検知するために、それに結合されたそれぞれのセンサ113,117,121,123,125をそれぞれ含む。本明細書の実施形態では、センサ113,117,121,123,125は、それぞれの触覚出力デバイスの位置、速度、加速度、または運動を検知するように構成される。たとえば、センサは、特定の触覚出力デバイスが、停止中、移動中かどうか、および/またはその速度を検出するように構成される。一実施形態では、センサ113,117,121,123,125はホール効果センサであるが、限定しないが、加速度計、電位差計、磁場センサ、光学エンコーダ、容量センサ、逆emfセンサなど、当技術分野で既知の他のタイプの速度、運動、加速度、またはポジション・センサの場合がある。
【0033】
図4のステップ442で、制御信号は、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108によって実行されたアルゴリズムまたは内部ロジックを介して生成される。
図4に示すように、アルゴリズムは、第1の入力として、望まれる触覚効果の波形130(ステップ440)、第2の入力として、触覚出力デバイスのそれぞれのセンサからの触覚出力デバイスの現在の動作状態情報(ステップ448)を使用する。一実施形態では、制御信号は、第1および第2の入力から生じるため、アルゴリズムまたは内部ロジックは、最初に第1および第2の入力により制御信号を作成する。別の実施形態では、制御信号は、第1および第2の入力のために更新または変更される。より詳細には、基礎制御信号は、ホスト・コンピュータ104および/または触覚周辺装置100内に格納され得て、アルゴリズムまたは内部ロジックは、第1および第2の入力により基礎制御信号を更新、修正、変動、またはそうでなければ変更することができる。本明細書で使用する場合、「生成する(generate)」という用語は、アルゴリズムから生じる制御信号だけでなく、アルゴリズムによって更新、修正、変動、またはそうでなければ変更される制御信号を含む。更新速度は、触覚出力デバイスだけでなくセンサの特性に依存する。一実施形態では、制御信号は、センサ113,117,121,123,125を介して検出されるように触覚出力デバイスの現在の動作状態が変化するときに、リアル・タイムに修正または更新され得る。
【0034】
図4のステップ442で生成された制御信号は、望まれる触覚効果の波形130に、厳密に一致するか、または従うプロファイルを持つ触覚効果を出力または伝達するために、触覚出力デバイスを制御するように構成される。より詳細には、
図4のステップ442で生成された制御信号は、
図4のステップ444で触覚周辺装置100のドライバ・インターフェイスまたは増幅器に送られ、駆動信号は、ステップ442で生成された制御信号に応じて触覚効果を出力するように触覚出力デバイスに指示するために、
図4のステップ446で触覚出力デバイスに提供される。したがって、ステップ442で生成された制御信号は、プロファイルを持つ触覚効果を出力するように触覚出力デバイスに指示する駆動信号として触覚出力デバイスに適用され、触覚効果のプロファイルは、望まれる触覚効果の波形130に、厳密に一致するか、または従う。
【0035】
より詳細には、
図5を参照すると、第1の制御信号132は、望まれる触覚効果の波形130に厳密に一致するか、または従うプロファイルを用いて示されている。しかしながら、
図1に関して記述したように、第1の制御信号132が特定の触覚出力デバイスに適用される場合、出力の触覚効果のプロファイルは、第1の制御信号132にも、望まれる触覚効果の波形130にも一致しないし従わない。本明細書の実施形態では、第1の制御信号132は、ホスト・コンピュータ104および/または触覚周辺装置100に格納される基礎制御信号とすることができる。
図5の第2の制御信号533は、
図4のフローチャートにより第1の制御信号132がどのように修正され得るかの実例である。入力として受信される触覚出力デバイスのそれぞれのセンサからの触覚出力デバイスの現在の動作状態情報を用いて、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108によって実行されたアルゴリズムは、触覚出力デバイスの現在の動作状態を補正または考慮するために、第1の制御信号132を第2の制御信号533へと修正または変更する。触覚出力デバイスに適用された場合、第2の制御信号533は、望まれる触覚効果の波形130に厳密にまたは本質的に一致するか、または従う触覚効果534を結果として生じさせる。
【0036】
図5の実施形態では、第2の制御信号533は、触覚効果534のプロファイルに、望まれる触覚効果の波形130の強度増加または強度減少に本質的に一致するか、または従う強度増加または強度減少を含ませる。より詳細には、触覚効果534の第1の強度減少194は、望まれる触覚効果の波形130の第1の強度減少152Aに本質的に一致するか、または従うように示されていて、触覚効果534の第2の強度減少196は、望まれる触覚効果の波形130の第2の強度減少152Bに本質的に一致するか、または従うように示されている。望まれる触覚効果の波形130の期間154A,154B,154Cは、出力または伝達された触覚効果の強度が継続する、触覚効果534の期間188,190,192にそれぞれ対応する。
【0037】
触覚効果のプロファイルが、振幅およびタイミングに関して、望まれる触覚効果の波形に本質的に一致することが望ましい。本明細書で使用する場合、「本質的に一致する(substantially match)」または「厳密に一致する(closely match)」は、制御信号が入力として触覚出力デバイスの現在の動作状態を利用しない場合と比較して、制御信号が入力として触覚出力デバイスの現在の動作状態を利用する場合に、触覚効果のプロファイルが、望まれる触覚効果の波形の振幅およびタイミングに、より厳密に従うことを意味する。別の言い方をすれば、触覚出力デバイスの現在の動作状態が考慮される場合、触覚効果のプロファイルと望まれる触覚効果の波形の間の照合(matching)が改善される。本明細書の実施形態では、触覚効果のプロファイルは、25%以下の誤差の範囲内において、望まれる触覚効果の波形と同じ振幅を持ち、触覚効果のプロファイルの振幅における変更は、25%以下の誤差の範囲内において、望まれる触覚効果の波形の振幅における変更と同時に発生する。
【0038】
とりわけ、
図4のフローチャートにより修正されるような第2の制御信号533は、第1の制御信号132および望まれる触覚効果の波形130とは異なるプロファイル/形状を持つ異なる信号または波形である。より詳細には、
図5を参照すると、第1の制御信号132は、触覚効果の強度または振幅における増加を含むキック(kick:跳ね上がり)156と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第1の期間または時間区分172と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第1のブレーキ158と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第2の期間または時間区分174と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第2のブレーキ160と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第3の期間または時間区分176とを含む。反対に、第2の制御信号533は、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第1のキック162と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第1の期間または時間区分178と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第1のブレーキ164と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第2の期間または時間区分180と、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第2のキック166と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第3の期間または時間区分182と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第2のブレーキ168と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第4の期間または時間区分184と、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第3のキック170と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第5の期間または時間区分186とを含む。
【0039】
第1および第2の制御信号132,533の間の差をそれぞれ示すために、第1の制御信号132の第2の期間174は、第2の制御信号533の第2および第3の期間180,182と比較される。第1の制御信号132の第2の期間174は、第2の制御信号533の第2および第3の期間180,182に等しい。第1の制御信号132の第2の期間174、第2の制御信号533の第2および第3の期間180,182はそれぞれ、望まれる触覚効果の波形130の第2の期間154Bだけでなく、触覚効果534の第2の期間190に対応する。望まれる触覚効果の波形130の第2の期間154Bの間に、強度または振幅において比較的小さい第1の強度減少152Aだけが発生する。同様に、触覚効果534の第2の期間190の間に、強度または振幅において比較的小さい第1の強度減少194だけが発生し、第1の制御信号132の第2の期間174の間に、強度または振幅において比較的小さい第1のブレーキ158だけが発生する。これとは対照的に、第2の制御信号533の第2および第3の期間180,182の間に、第1のブレーキ164、第2のキック166、および第2のブレーキ168が発生し、そのそれぞれは、第1の制御信号132の第1のブレーキ158より強度または振幅において比較的より高い。最小限の摩擦を用いるブラシレスの電気的なDCモータなど触覚出力デバイスに適用される場合、第2の制御信号533は、望まれる触覚効果のプロファイル130の第2の期間154Bおよび触覚効果534の第2の期間190に対応するプロファイルまたは波形を達成するために、非常に大きいブレーキ(第1のブレーキ164)、次にキック(第2のキック166)、および別のブレーキ(第2のブレーキ168)を適用する。別の言い方をすれば、第2の制御信号533は、触覚効果534のプロファイルに、望まれる触覚効果の波形130の単一の強度減少(第1の強度減少152A)に本質的に一致する単一の強度減少だけ(第1の強度減少194)を含ませるために、複数のキックおよびブレーキ(第1のブレーキ164、第2のキック166、第2のブレーキ168)を含む。
【0040】
実際には、(制御信号のキックおよびブレーキに対応する)瞬間の強度の増加または減少は、波形を生成するシステムの物理的な限界のために達成され得ない。制御信号のキックを出力する場合、触覚出力デバイスが低レベルから高レベルに上昇させるためにかかる時間は、立ち上がり時間と呼ばれ、制御信号のブレーキを出力する場合、触覚出力デバイスが高レベルから低レベルに落とすためにかかる時間は、立ち下り時間と呼ばれる。したがって、触覚効果534の出力の強度増加および強度減少は、瞬間ではなく、むしろそれぞれ必ず立ち上がり時間および立ち下り時間を含む。本発明は、触覚効果534のプロファイルが、望まれる触覚効果の波形130の強度増加または強度減少と本質的に一致するか、または従うように、出力の強度増加および強度減少に対する立ち上がり時間および立ち下り時間を最小限にすることを目的とする。別の言い方をすれば、望まれる触覚効果の波形が瞬間的な強度増加および/または強度減少を含む実施形態では、制御信号が入力として触覚出力デバイスの現在の動作状態を利用しない場合と比較して、制御信号が入力として触覚出力デバイスの現在の動作状態を利用する場合、出力または伝達された触覚効果の対応する強度増加および/または強度減少は、それぞれ最小限にした、または減少させた立ち上がり時間および立ち下り時間を有する。
【0041】
図6に示す本明細書の別の実施形態では、触覚出力デバイスのパラメータまたはプロパティもまた、第1の入力である望まれる触覚効果の波形130(ステップ440)および第2の入力である触覚出力デバイスのそれぞれのセンサからの触覚出力デバイスの現在の動作状態情報(ステップ448)に加えて、
図6のステップ695で示されるように、制御信号を生成または更新するために第3の入力として使用され得る。触覚出力デバイスのパラメータまたはプロパティは、触覚出力デバイスのタイプ、触覚出力デバイスの特性、および/または触覚出力デバイスに関係する過去のユーザ経験の識別を含むことができる。一実施形態では、触覚出力デバイスのパラメータまたはプロパティは、触覚出力デバイス自体から、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に提供される。たとえば、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108は、触覚出力デバイスからそのような情報を読み込むか、または抽出するように構成され得る。別の実施形態では、触覚出力デバイスのパラメータまたはプロパティは、ユーザからホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108に提供される。たとえば、ユーザは、触覚出力デバイスがどのように触覚効果を出力するか、それらの以前の経験または分析に関係する情報を入力することができる。
【0042】
本発明による様々な実施形態について上に記述したが、それらは制限することではなく、説明および例示を目的として提示されていることを理解されたい。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更を行えることは、当業者には自明であろう。したがって、本発明の幅および範囲は、上記の代表的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、添付された特許請求の範囲およびそれらの等価物に従ってのみ規定されるべきである。また、本明細書に記述した各実施形態、および本明細書に引用した各参照の各特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせて使用され得ることを理解されるであろう。本明細書に記述した特許および出版物はすべて、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【外国語明細書】