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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-132917(P2016-132917A)
(43)【公開日】2016年7月25日
(54)【発明の名称】基礎構造物据付方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/32 20060101AFI20160627BHJP
   E02D 27/01 20060101ALI20160627BHJP
【FI】
   E02D27/32 Z
   E02D27/01 D
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2015-7909(P2015-7909)
(22)【出願日】2015年1月19日
(11)【特許番号】特許第5927683号(P5927683)
(45)【特許公報発行日】2016年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】510118101
【氏名又は名称】株式会社丸高工業
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】高木 一昌
(72)【発明者】
【氏名】高木 栄造
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 昌志
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046BA12
2D046DA05
(57)【要約】
【課題】基礎構造物の据付に要する労力やコストを低減することができるとともに、基礎構造物を短い工期で据え付けることができる基礎構造物据付方法を提供する。
【解決手段】基礎構造物構築方法は、躯体24に形成されたボルト孔に調整ボルト30を螺着して土台管11aを据付箇所に固定し、調整ボルト30を利用して躯体に対する土台管11aの高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁27a〜27dに固定された長ナットに幅止めボルトを螺着する。次に、土台管11aの底部に底部枠材13を固定し、土台管11aの頂部分に頂部枠材を着脱可能に設置し、土台管11aおよび底部枠材13の外周面全域に新設防水材19を設置する。さらに、土台管11aおよびそれら枠材13の内側スペースにコンクリート20を打設し、コンクリート20を養生した後に土台管11aの頂部分から頂部枠材を取り外す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を据え付ける基礎構造物据付方法において、
前記基礎構造物据付方法では、中空の土台管と底部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が利用され、前記土台管が、互いに対向して上下方向へ延びる第1および第3側壁と、前記第1および第3側壁に直交しつつ互いに対向して上下方向へ延びる第2および第4側壁と、前記第1〜第4側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる頂部分と、前記第1〜第4側壁の底部から径方向内方へ延びる底部分と、前記底部分に形成されたボルト孔に設置された調整ボルトと、前記第1〜第4側壁の内壁面に固定された長ナットとを有し、
前記基礎構造物据付方法が、前記土台管を前記据付箇所に載置しつつ、前記躯体に形成されたボルト孔に前記調整ボルトを螺着して該土台管を該据付箇所に固定する土台管固定工程と、前記調整ボルトを利用して前記躯体に対する前記土台管の高さおよび傾きを調整する高さ・傾き調整工程と、前記第1および第3側壁に固定された長ナットに前記幅止めボルトを螺着して該幅止めボルトによって該第1および第3側壁を連結するとともに、前記第2および第4側壁に固定された長ナットに前記幅止めボルトを螺着して該幅止めボルトによって該第2および第4側壁を連結する幅止めボルト設置工程と、前記土台管の底部に前記底部枠材を固定する底部枠材固定工程と、前記土台管および前記底部枠材の外周面全域に新設防水材を設置する新設防水材設置工程と、前記土台管および前記底部枠材の内側スペースにセメント硬化物を打設するセメント硬化物打設工程とを有することを特徴とする基礎構造物据付方法。
【請求項2】
前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物打設工程の前に、前記土台管の頂部分から上方へ延びる螺子上部と該頂部分から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを該頂部分に設置する支持ボルト設置工程を含み、前記基礎構造物据付方法では、前記セメント硬化物打設工程によって前記内側スペースにセメント硬化物を打設すると、前記支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、前記支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する請求項1に記載の基礎構造物据付方法。
【請求項3】
前記支持ボルト設置工程では、前記土台管の頂部分の上に設置されるスペーサと、前記スペーサの上に設置されて前記頂部分から上方へ離間し、前記支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物を養生した後に前記頂部分から前記ボルト位置決め部材と前記スペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む請求項2に記載の基礎構造物据付方法。
【請求項4】
既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を据え付ける基礎構造物据付方法において、
前記基礎構造物据付方法では、中空の土台管と底部枠材と頂部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が利用され、前記土台管が、互いに対向して上下方向へ延びる第1および第3側壁と、前記第1および第3側壁に直交しつつ互いに対向して上下方向へ延びる第2および第4側壁と、前記第1〜第4側壁の頂部から径方向外方へ延びる頂部分と、前記第1〜第4側壁の底部から径方向内方へ延びる底部分と、前記底部分に形成されたボルト孔に設置された調整ボルトと、前記第1〜第4側壁の内壁面に固定された長ナットとを有し、
前記基礎構造物据付方法が、前記土台管を前記据付箇所に載置しつつ、前記躯体に形成されたボルト孔に前記調整ボルトを螺着して該土台管を該据付箇所に固定する土台管固定工程と、前記調整ボルトを利用して前記躯体に対する前記土台管の高さおよび傾きを調整する高さ・傾き調整工程と、前記第1および第3側壁に固定された長ナットに前記幅止めボルトを螺着して該幅止めボルトによって該第1および第3側壁を連結するとともに、前記第2および第4側壁に固定された長ナットに前記幅止めボルトを螺着して該幅止めボルトによって該第2および第4側壁を連結する幅止めボルト設置工程と、前記土台管の底部に前記底部枠材を固定する底部枠材固定工程と、前記土台管の頂部分に前記頂部枠材を着脱可能に設置する頂部枠材設置工程と、前記土台管および前記底部枠材の外周面全域に新設防水材を設置する新設防水材設置工程と、前記土台管およびそれら枠材の内側スペースにセメント硬化物を打設するセメント硬化物打設工程と、前記セメント硬化物を養生した後に前記土台管の頂部分から前記頂部枠材を取り外す頂部枠材取り外し工程とを有することを特徴とする基礎構造物据付方法。
【請求項5】
前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物打設工程の前に、前記頂部枠材から上方へ延びる螺子上部と該頂部枠材から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを該頂部枠材に設置する支持ボルト設置工程を含み、前記基礎構造物据付方法では、前記セメント硬化物打設工程によって前記内側スペースにセメント硬化物を打設すると、前記支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、前記支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する請求項4に記載の基礎構造物据付方法。
【請求項6】
前記支持ボルト設置工程では、前記頂部枠材の上に設置されるスペーサと、前記スペーサの上に設置されて該頂部枠材から上方へ離間し、前記支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物を養生した後に前記頂部枠材から前記ボルト位置決め部材と前記スペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む請求項5に記載の基礎構造物据付方法。
【請求項7】
前記頂部分が、前記第1側壁の頂部から径方向外方へ延びる第1頂部分と、前記第2側壁の頂部から径方向外方へ延びる第2頂部分と、前記第3側壁の頂部から径方向外方へ延びる第3頂部分と、前記第4側壁の頂部から径方向外方へ延びる第4頂部分とから形成され、前記頂部枠材が、前記第1側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第1頂部枠材と、前記第2側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第2頂部枠材と、前記第3側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第3頂部枠材と、前記第4側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第4頂部枠材とから形成され、前記頂部枠材設置工程では、前記第1頂部枠材を前記第1頂部分に着脱可能に設置し、前記第2頂部枠材を前記第2頂部分に着脱可能に設置し、前記第3頂部枠材を前記第3頂部分に着脱可能に設置するとともに、前記第4頂部枠材を前記第4頂部分に着脱可能に設置する請求項4ないし請求項6いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項8】
前記基礎構造物据付方法が、前記幅止めボルト設置工程の後であって前記セメント硬化物打設工程の前に、前記幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第1調整工程を含む請求項1ないし請求項7いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項9】
前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物打設工程におけるセメント硬化物の打設過程において、前記幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第2調整工程を含む請求項1ないし請求項8いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項10】
前記基礎構造物据付方法では、前記内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による前記第1および第3側壁の変形と前記第2および第4側壁の変形とが前記幅止めボルトによって防止される請求項1ないし請求項9いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項11】
前記新設防水材設置工程が、前記セメント硬化物打設工程の前、または、前記セメント硬化物打設工程の後に実施され、前記基礎構造物据付方法では、前記内側スペースに打設された前記セメント硬化物の養生期間を待つことなく、前記新設防水材の設置作業が完了するとともに前記基礎構造物の据付作業が完了する請求項1ないし請求項10いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項12】
前記新設防水材設置工程では、前記新設防水材を前記底部枠材から径方向に延長し、前記底部枠材の周囲に位置する前記躯体を前記新設防水材によって被覆する請求項1ないし請求項11いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項13】
前記長ナットが、前記土台管の中央部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第1長ナットと、前記土台管の中央部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第2長ナットとから形成され、前記幅止めボルトが、それら第1長ナットに螺着される第1幅止めボルトと、それら第2長ナットに螺着される第2幅止めボルトとから形成されている請求項1ないし請求項12いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項14】
前記長ナットが、前記土台管の頂部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第3長ナットと、前記土台管の頂部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第4長ナットとから形成され、前記幅止めボルトが、それら第3長ナットに螺着される第3幅止めボルトと、それら第4長ナットに螺着される第4幅止めボルトとから形成されている請求項1ないし請求項13いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項15】
前記底部枠材が、前記第1側壁の底部から下方へ延びていて該第1側壁と前記躯体との間の間隙を塞ぐ第1底部枠材と、前記第2側壁の底部から下方へ延びていて該第2側壁と前記躯体との間の間隙を塞ぐ第2底部枠材と、前記第3側壁の底部から下方へ延びていて該第3側壁と前記躯体との間の間隙を塞ぐ第3底部枠材と、前記第4側壁の底部から下方へ延びていて該第4側壁と前記躯体との間の間隙を塞ぐ第4底部枠材とから形成され、前記底部枠材設置工程では、前記第1底部枠材を前記第1側壁の底部に固定し、前記第2底部枠材を前記第2側壁の底部に固定し、前記第3底部枠材を前記第3側壁の底部に固定するとともに、前記第4底部枠材を前記第4側壁の底部に固定する請求項1ないし請求項14いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項16】
前記底部分が、前記第1側壁の底部から径方向内方へ延びる第1底部分と、前記第2側壁の底部から径方向内方へ延びる第2底部分と、前記第3側壁の底部から径方向内方へ延びる第3底部分と、前記第4側壁の底部から径方向内方へ延びる第4底部分とから形成され、前記調整ボルトが、前記第1底部分に形成されたボルト孔に設置された第1調整ボルトと、前記第2底部分に形成されたボルト孔に設置された第2調整ボルトと、前記第3底部分に形成されたボルト孔に設置された第3調整ボルトと、前記第4底部分に形成されたボルト孔に設置された第4調整ボルトとから形成されている請求項1ないし請求項15いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設建造物にソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物の設置に使用する基礎構造物の据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設建造物では、その屋上にソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を備え付ける場合がある。通常、そのような機械器具や建築物は、その内部への水の侵入を防ぐ目的、機械器具や建築物の背面側のメンテナンスを可能にする目的からそれらが既設建造物の躯体に直に設置されることはなく、それらが躯体に据え付けられた基礎構造物の上に備え付けられる。
【0003】
そのような基礎構造物の一例として、特許文献1は、太陽電池パネル据え付け構造を開示している。特許文献1では、その従来技術として、太陽電池パネルの施工現場の据付箇所において型枠を組み上げ、その型枠内にコンクリートを打設・養生することにより基礎を作り、搬送されてきた太陽電池パネルおよびその架台をその基礎の上に備え付ける据付構造を紹介している。そのような従来技術の据付構造では、施工現場で型枠を組み上げなければならず、さらに、コンクリートの養生期間の経過後に型枠を解体しなければならないから、その分の手間と時間とがかかることはもちろん、型枠内に流し込んだコンクリートの養生に時間がかかり、短い工期で据付構造を作ることができない。
【0004】
かかる従来技術の問題点を解決するために、特許文献1に開示の太陽電池パネル据付構造では、太陽電池パネルを設置した架台をコンクリート製または鉄筋コンクリート製の基礎に取り付けた据付構造物を製造工場においてあらかじめ製造し、その据付構造物をビルの屋上や地下の施工現場に搬送する。その後、屋上や地下の据付箇所に薄いセメント層を形成し、そのセメント層を接着層としてその上に基礎を載せて据付箇所と一体化する。特許文献1に開示された太陽電池パネル据え付け構造は、太陽電池パネルを備え付けるための基礎を作る際に施工現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要がないから、その分の手間と時間とが省け、施工現場における施工作業を簡略化することができるとともに、コンクリートを養生する時間を省くことができ、その分の工期を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−070188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示の太陽電池パネル据付構造では、施工現場においてコンクリートを養生する必要はないが、製造工場においてコンクリートを養生して基礎を作らなければならず、基礎の製造にコンクリートの養生が必要であることに変わりはなく、基礎の製造に時間を要する。さらに、製造した据付構造物を工場から施工現場に搬送する必要があり、相当な重量を有する据付構造物を搬送する手間や時間、輸送コストを要するから、据付構造物を据え付ける労力やコストを低減することができない。また、工場で製造された据付構造物を屋上や地下の据付箇所に設置する場合、コンクリート層を接着層として据付箇所に固定する方法や凹部を据付箇所に形成して基礎の下端をその凹部に嵌め込む方法しか採用できず、据付構造物を据付箇所に強固に据え付けることができない。
【0007】
本発明の目的は、基礎構造物の据付に要する労力やコストを低減することができるとともに、基礎構造物を短い工期で据え付けることができる基礎構造物据付方法を提供することにある。本発明の他の目的は、基礎構造物を既設建造物の躯体の所定の据付箇所に強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を支持することが可能な頑丈な基礎構造物を据え付けることができる基礎構造物据付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の前提は、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を据え付ける基礎構造物据付方法である。
【0009】
前記前提における本発明の第1の特徴として、基礎構造物据付方法では、中空の土台管と底部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が利用され、土台管が、互いに対向して上下方向へ延びる第1および第3側壁と、第1および第3側壁に直交しつつ互いに対向して上下方向へ延びる第2および第4側壁と、第1〜第4側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる頂部分と、第1〜第4側壁の底部から径方向内方へ延びる底部分と、底部分に形成されたボルト孔に設置された調整ボルトと、第1〜第4側壁の内壁面に固定された長ナットとを有し、基礎構造物据付方法が、土台管を据付箇所に載置しつつ、躯体に形成されたボルト孔に調整ボルトを螺着して土台管を据付箇所に固定する土台管固定工程と、調整ボルトを利用して躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整する高さ・傾き調整工程と、第1および第3側壁に固定された長ナットに幅止めボルトを螺着して幅止めボルトによって第1および第3側壁を連結するとともに、第2および第4側壁に固定された長ナットに幅止めボルトを螺着して幅止めボルトによって第2および第4側壁を連結する幅止めボルト設置工程と、土台管の底部に底部枠材を固定する底部枠材固定工程と、土台管および底部枠材の外周面全域に新設防水材を設置する新設防水材設置工程と、土台管および底部枠材の内側スペースにセメント硬化物を打設するセメント硬化物打設工程とを有することにある。
【0010】
前記第1の特徴を有する本発明の一例としては、基礎構造物据付方法が、セメント硬化物打設工程の前に、土台管の頂部分から上方へ延びる螺子上部と頂部分から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを頂部分に設置する支持ボルト設置工程を含み、基礎構造物据付方法では、セメント硬化物打設工程によって内側スペースにセメント硬化物を打設すると、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する。
【0011】
前記第1の特徴を有する本発明の他の一例として、支持ボルト設置工程では、土台管の頂部分の上に設置されるスペーサと、スペーサの上に設置されて頂部分から上方へ離間し、支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、基礎構造物据付方法がセメント硬化物を養生した後に頂部分からボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む。
【0012】
前記前提における本発明の第2の特徴として、基礎構造物据付方法では、中空の土台管と底部枠材と頂部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が利用され、土台管が、互いに対向して上下方向へ延びる第1および第3側壁と、第1および第3側壁に直交しつつ互いに対向して上下方向へ延びる第2および第4側壁と、第1〜第4側壁の頂部から径方向外方へ延びる頂部分と、第1〜第4側壁の底部から径方向内方へ延びる底部分と、底部分に形成されたボルト孔に設置された調整ボルトと、第1〜第4側壁の内壁面に固定された長ナットとを有し、基礎構造物据付方法が、土台管を据付箇所に載置しつつ、躯体に形成されたボルト孔に調整ボルトを螺着して土台管を据付箇所に固定する土台管固定工程と、調整ボルトを利用して躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整する高さ・傾き調整工程と、第1および第3側壁に固定された長ナットに幅止めボルトを螺着して幅止めボルトによって第1および第3側壁を連結するとともに、第2および第4側壁に固定された長ナットに幅止めボルトを螺着して幅止めボルトによって第2および第4側壁を連結する幅止めボルト設置工程と、土台管の底部に底部枠材を固定する底部枠材固定工程と、土台管の頂部分に頂部枠材を着脱可能に設置する頂部枠材設置工程と、土台管および底部枠材の外周面全域に新設防水材を設置する新設防水材設置工程と、土台管およびそれら枠材の内側スペースにセメント硬化物を打設するセメント硬化物打設工程と、セメント硬化物を養生した後に土台管の頂部分から頂部枠材を取り外す頂部枠材取り外し工程とを有することにある。
【0013】
前記第2の特徴を有する本発明の一例としては、基礎構造物据付方法が、セメント硬化物打設工程の前に、頂部枠材から上方へ延びる螺子上部と頂部枠材から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを頂部枠材に設置する支持ボルト設置工程を含み、基礎構造物据付方法では、セメント硬化物打設工程によって内側スペースにセメント硬化物を打設すると、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する。
【0014】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例として、支持ボルト設置工程では、頂部枠材の上に設置されるスペーサと、スペーサの上に設置されて頂部枠材から上方へ離間し、支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、基礎構造物据付方法がセメント硬化物を養生した後に頂部枠材からボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む。
【0015】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、頂部分が、第1側壁の頂部から径方向外方へ延びる第1頂部分と、第2側壁の頂部から径方向外方へ延びる第2頂部分と、第3側壁の頂部から径方向外方へ延びる第3頂部分と、第4側壁の頂部から径方向外方へ延びる第4頂部分とから形成され、頂部枠材が、第1側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第1頂部枠材と、第2側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第2頂部枠材と、第3側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第3頂部枠材と、第4側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第4頂部枠材とから形成され、頂部枠材設置工程では、第1頂部枠材を第1頂部分に着脱可能に設置し、第2頂部枠材を第2頂部分に着脱可能に設置し、第3頂部枠材を第3頂部分に着脱可能に設置するとともに、第4頂部枠材を第4頂部分に着脱可能に設置する。
【0016】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の一例としては、基礎構造物据付方法が、幅止めボルト設置工程の後であってセメント硬化物打設工程の前に、幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第1調整工程を含む。
【0017】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、基礎構造物据付方法が、セメント硬化物打設工程におけるセメント硬化物の打設過程において、幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第2調整工程を含む。
【0018】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例として、基礎構造物据付方法では、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形と第2および第4側壁の変形とが幅止めボルトによって防止される。
【0019】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、新設防水材設置工程が、セメント硬化物打設工程の前、または、セメント硬化物打設工程の後に実施され、基礎構造物据付方法では、内側スペースに打設されたセメント硬化物の養生期間を待つことなく、新設防水材の設置作業が完了するとともに基礎構造物の据付作業が完了する。
【0020】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例として、新設防水材設置工程では、新設防水材を底部枠材から径方向に延長し、底部枠材の周囲に位置する躯体を新設防水材によって被覆する。
【0021】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、長ナットが、土台管の中央部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第1長ナットと、土台管の中央部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第2長ナットとから形成され、幅止めボルトが、それら第1長ナットに螺着される第1幅止めボルトと、それら第2長ナットに螺着される第2幅止めボルトとから形成されている。
【0022】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、長ナットが、土台管の頂部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第3長ナットと、土台管の頂部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第4長ナットとから形成され、幅止めボルトが、それら第3長ナットに螺着される第3幅止めボルトと、それら第4長ナットに螺着される第4幅止めボルトとから形成されている。
【0023】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、底部枠材が、第1側壁の底部から下方へ延びていて第1側壁と躯体との間の間隙を塞ぐ第1底部枠材と、第2側壁の底部から下方へ延びていて第2側壁と躯体との間の間隙を塞ぐ第2底部枠材と、第3側壁の底部から下方へ延びていて第3側壁と躯体との間の間隙を塞ぐ第3底部枠材と、第4側壁の底部から下方へ延びていて第4側壁と躯体との間の間隙を塞ぐ第4底部枠材とから形成され、底部枠材設置工程では、第1底部枠材を第1側壁の底部に固定し、第2底部枠材を第2側壁の底部に固定し、第3底部枠材を第3側壁の底部に固定するとともに、第4底部枠材を第4側壁の底部に固定する。
【0024】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、底部分が、第1側壁の底部から径方向内方へ延びる第1底部分と、第2側壁の底部から径方向内方へ延びる第2底部分と、第3側壁の底部から径方向内方へ延びる第3底部分と、第4側壁の底部から径方向内方へ延びる第4底部分とから形成され、調整ボルトが、第1底部分に形成されたボルト孔に設置された第1調整ボルトと、第2底部分に形成されたボルト孔に設置された第2調整ボルトと、第3底部分に形成されたボルト孔に設置された第3調整ボルトと、第4底部分に形成されたボルト孔に設置された第4調整ボルトとから形成されている。
【発明の効果】
【0025】
前記第1の特徴を有する基礎構造物据付方法によれば、中空の土台管と底部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が製造工場においてあらかじめ量産されて汎用部品化(規格化)されており、既設建造物の躯体の据付箇所においてマニュアル化された手順に従って基礎構造物がユニットとして組み立てられるから、基礎構造物を据え付ける際にその現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要はなく、据付箇所に土台管を固定しつつ調整ボルトを利用して躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁に幅止めボルトを設置するとともに、土台管に底部枠材を設置し、内側スペースにセメント硬化物を打設するだけで基礎構造物を据付箇所に据え付けることができ、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物の据付作業を簡略化することができるのみならず、セメント硬化物の養生期間を待つことなく新設防水材の設置作業が完了し、セメント硬化物の養生期間を待つことなく基礎構造物の据付作業が完了するから、基礎構造物の据付時間にセメント硬化物の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物を迅速に据え付けることができ、工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物の構築にかかる人件費を大幅に低減することができるから、基礎構造物の据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物を廉価に構築することができる。基礎構造物据付方法は、施工現場の据付箇所において型枠を組み上げる必要はなく、マニュアル化された手順に従って基礎構造物を組み立てることができるから、型枠工の技術がない作業者でも基礎構造物を容易に構築することができる。基礎構造物据付方法は、躯体に形成されたボルト孔に調整ボルトが螺着され、調整ボルトによって土台管が躯体に固定されるとともに、セメント硬化物の養生期間が経過した後に調整ボルトがセメント硬化物と一体になり、基礎構造物にかかる荷重を調整ボルトとセメント硬化物とで分担するから、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が土台管の第1〜第4側壁に作用したとしても、土台管に設置された幅止めボルトがセメント硬化物の側圧による第1〜第4側壁の変形を防止するから、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整ボルトによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管を水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物を設置する場合にそれら基礎構造物どうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物の高さ寸法を均一に揃えることができる。
【0026】
セメント硬化物打設工程の前に、土台管の頂部分から上方へ延びる螺子上部と頂部分から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを頂部分に設置する支持ボルト設置工程を含み、セメント硬化物打設工程によって内側スペースにセメント硬化物を打設すると、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する基礎構造物据付方法は、セメント硬化物から上方へ露出する支持ボルトにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を強固に固定することができ、支持ボルトを利用することでそれらの機械器具やそれら建築物を基礎構造物に強固に備え付けることが可能な基礎構造物を構築することができる。
【0027】
支持ボルト設置工程において、土台管の頂部分の上に設置されるスペーサと、スペーサの上に設置されて頂部分から上方へ離間し、支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、セメント硬化物を養生した後に頂部分からボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む基礎構造物据付方法は、スペーサを土台管の頂部分の上に設置し、支持ボルトを設置したボルト位置決め部材をスペーサの上に設置した後、内側スペースにセメント硬化物を打設し、セメント硬化物を養生した後、ボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すことで、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に固定され、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方へ露出するから、スペーサとボルト位置決め部材とを利用することで、正確に位置決めされたセメント硬化物の固定位置に支持ボルトの螺子下部を容易に設置することができ、その支持ボルトの螺子上部をセメント硬化物から上方に露出させることができる。基礎構造物据付方法は、セメント硬化物から上方へ露出する支持ボルトにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を強固に固定することができ、支持ボルトを利用することでそれらの機械器具やそれら建築物を基礎構造物に強固に備え付けることが可能な基礎構造物を構築することができる。
【0028】
前記第1の特徴を有する基礎構造物据付方法によれば、中空の土台管と底部枠材と頂部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が製造工場においてあらかじめ量産されて汎用部品化(規格化)されており、既設建造物の躯体の据付箇所においてマニュアル化された手順に従って基礎構造物がユニットとして組み立てられるから、基礎構造物を据え付ける際にその現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要はなく、据付箇所に土台管を固定しつつ調整ボルトを利用して躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁に幅止めボルトを設置するとともに、土台管に底部枠材と頂部枠材とを設置し、内側スペースにセメント硬化物を打設するだけで基礎構造物を据付箇所に据え付けることができ、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物の据付作業を簡略化することができるのみならず、セメント硬化物の養生期間を待つことなく新設防水材の設置作業が完了し、セメント硬化物の養生期間を待つことなく基礎構造物の据付作業が完了するから、基礎構造物の据付時間にセメント硬化物の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物を迅速に据え付けることができ、工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物の構築にかかる人件費を大幅に低減することができるから、基礎構造物の据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物を廉価に構築することができる。基礎構造物据付方法は、施工現場の据付箇所において型枠を組み上げる必要はなく、マニュアル化された手順に従って基礎構造物を組み立てることができるから、型枠工の技術がない作業者でも基礎構造物を容易に構築することができる。基礎構造物据付方法は、躯体に形成されたボルト孔に調整ボルトが螺着され、調整ボルトによって土台管が躯体に固定されるとともに、セメント硬化物の養生期間が経過した後に調整ボルトがセメント硬化物と一体になり、基礎構造物にかかる荷重を調整ボルトとセメント硬化物とで分担するから、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が土台管の第1〜第4側壁に作用したとしても、土台管に設置された幅止めボルトがセメント硬化物の側圧による第1〜第4側壁の変形を防止するから、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整ボルトによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管を水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物を設置する場合にそれら基礎構造物どうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物の高さ寸法を均一に揃えることができる。
【0029】
セメント硬化物打設工程の前に、頂部枠材から上方へ延びる螺子上部と頂部枠材から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを頂部枠材に設置する支持ボルト設置工程を含み、セメント硬化物打設工程によって内側スペースにセメント硬化物を打設すると、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する基礎構造物据付方法は、セメント硬化物から上方へ露出する支持ボルトにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を強固に固定することができ、支持ボルトを利用することでそれらの機械器具やそれら建築物を基礎構造物に強固に備え付けることが可能な基礎構造物を構築することができる。
【0030】
支持ボルト設置工程において、頂部枠材の上に設置されるスペーサと、スペーサの上に設置されて頂部枠材から上方へ離間し、支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、セメント硬化物を養生した後に頂部枠材からボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む基礎構造物据付方法は、スペーサを頂部枠材の上に設置し、支持ボルトを設置したボルト位置決め部材をスペーサの上に設置した後、内側スペースにセメント硬化物を打設し、セメント硬化物を養生した後、ボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すことで、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に固定され、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方へ露出するから、スペーサとボルト位置決め部材とを利用することで、正確に位置決めされたセメント硬化物の固定位置に支持ボルトの螺子下部を容易に設置することができ、その支持ボルトの螺子上部をセメント硬化物から上方に露出させることができる。基礎構造物据付方法は、セメント硬化物から上方へ露出する支持ボルトにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を強固に固定することができ、支持ボルトを利用することでそれらの機械器具やそれら建築物を基礎構造物に強固に備え付けることが可能な基礎構造物を構築することができる。
【0031】
頂部分が第1〜第4頂部分から形成され、頂部枠材が第1〜第4頂部枠材から形成され、頂部枠材設置工程において、第1頂部枠材を第1頂部分に着脱可能に設置し、第2頂部枠材を第2頂部分に着脱可能に設置し、第3頂部枠材を第3頂部分に着脱可能に設置するとともに、第4頂部枠材を第4頂部分に着脱可能に設置する基礎構造物据付方法は、第1〜第4頂部枠材が製造工場において製造されて汎用部品化(規格化)されており、マニュアル化された手順に従ってそれら頂部枠材を土台管の第1〜第4頂部分に設置するだけで頂部枠材が組み立てられるから、土台管の頂部に型枠を組み上げる必要やその型枠を解体する必要はなく、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。基礎構造物据付方法は、頂部枠材の設置作業を簡略化することができるから、据付箇所に基礎構造物を迅速に据え付けることができ、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができる。
【0032】
幅止めボルト設置工程の後であってセメント硬化物打設工程の前に、幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第1調整工程を含む基礎構造物据付方法は、セメント硬化物打設工程の前に幅止めボルトによって第1および第3側壁の離間寸法や第2および第4側壁の離間寸法を微調整することができるから、第1および第3側壁の離間寸法や第2および第4側壁の離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0033】
セメント硬化物打設工程におけるセメント硬化物の打設過程において、幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第2調整工程を含む基礎構造物据付方法は、内側スペースにセメント硬化物を打設する過程において、第1および第3側壁や第2および第4側壁にセメント硬化物の側圧が作用し、それら側壁の離間寸法が変化したとしても、幅止めボルトによって第1および第3側壁の離間寸法を微調整することができ、幅止めボルトによって第2および第4側壁の離間寸法を微調整することができるから、それら側壁の離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0034】
内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形と第2および第4側壁の変形とが幅止めボルトによって防止される基礎構造物据付方法は、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形を幅止めボルトによって阻止することができるから、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が第1〜第4側壁に作用したとしても、第1〜第4側壁が不用意に変形することはなく、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0035】
新設防水材設置工程がセメント硬化物打設工程の前またはセメント硬化物打設工程の後に実施され、内側スペースに打設されたセメント硬化物の養生期間を待つことなく、新設防水材の設置作業が完了するとともに基礎構造物の据付作業が完了する基礎構造物据付方法は、セメント硬化物の養生期間を待つことなく新設防水材の設置作業が完了するとともに据付基礎構造物の据付作業が完了するから、基礎構造物の据付時間にセメント硬化物の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物を迅速に据え付けることができ、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物の構築にかかる人件費を大幅に低減することができる。その結果、基礎構造物の据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物を廉価に構築することができる。
【0036】
新設防水材設置工程において、新設防水材を底部枠材から径方向に延長し、底部枠材の周囲に位置する躯体を新設防水材によって被覆する基礎構造物据付方法は、基礎構造物が既設建造物の屋上に据え付けられる場合でも、底部枠材の周囲に位置する躯体が新設防水材に被覆されるから、土台管や底部枠材、躯体への水の侵入を防ぐことができ、土台管や底部枠材に水が進入することによる土台管や底部枠材の腐食や強度低下を防ぐことができ、躯体に水が進入することによる躯体の劣化を防ぐことができる。
【0037】
長ナットが土台管の中央部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第1長ナットと土台管の中央部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第2長ナットとから形成され、幅止めボルトがそれら第1長ナットに螺着される第1幅止めボルトとそれら第2長ナットに螺着される第2幅止めボルトとから形成されている基礎構造物据付方法は、第1長ナットに螺着された第1幅止めボルトが内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形を防止し、第2長ナットに螺着された第2幅止めボルトが内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第2および第4側壁の変形を防止するから、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が第1〜第4側壁に作用したとしても、第1〜第4側壁が不用意に変形することはなく、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、セメント硬化物の養生期間が経過した後に調整ボルトと第1長ナットおよび第1幅止めボルトと第2長ナットおよび第2幅止めボルトとがセメント硬化物と一体になり、基礎構造物にかかる荷重を調整ボルトと第1長ナットおよび第1幅止めボルトと第2長ナットおよび第2幅止めボルトとセメント硬化物とで分担するから、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、第1幅止めボルトによって第1および第3側壁の離間寸法を微調整することができ、第2幅止めボルトによって第2および第4側壁の離間寸法を微調整することができるから、第1および第3側壁の離間寸法や第2および第4側壁の離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0038】
長ナットが土台管の頂部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第3長ナットと土台管の頂部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第4長ナットとから形成され、幅止めボルトがそれら第3長ナットに螺着される第3幅止めボルトとそれら第4長ナットに螺着される第4幅止めボルトとから形成されている基礎構造物据付方法は、第3長ナットに螺着された第3幅止めボルトが内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形を防止し、第4長ナットに螺着された第4幅止めボルトが内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第2および第4側壁の変形を防止するから、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が第1〜第4側壁に作用したとしても、第1〜第4側壁が不用意に変形することはなく、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、セメント硬化物の養生期間が経過した後に調整ボルトと第3長ナットおよび第3幅止めボルトと第4長ナットおよび第4幅止めボルトとがセメント硬化物と一体になり、基礎構造物にかかる荷重を調整ボルトと第3長ナットおよび第3幅止めボルトと第4長ナットおよび第4幅止めボルトとセメント硬化物とで分担するから、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、第3幅止めボルトによって第1および第3側壁の離間寸法を微調整することができ、第4幅止めボルトによって第2および第4側壁の離間寸法を微調整することができるから、第1および第3側壁の離間寸法や第2および第4側壁の離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0039】
底部枠材が第1〜第4底部枠材から形成され、底部枠材設置工程において、第1底部枠材を第1側壁の底部に固定し、第2底部枠材を第2側壁の底部に固定し、第3底部枠材を第3側壁の底部に固定するとともに、第4底部枠材を第4側壁の底部に固定する基礎構造物据付方法は、第1〜第4底部枠材が製造工場において製造されて汎用部品化されており、マニュアル化された手順に従ってそれら底部枠材を土台管の第1〜第4側壁の底部に設置するだけで底部枠材が完成するから、土台管の底部に型枠を組み上げる必要やその型枠を解体する必要はなく、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。基礎構造物据付方法は、底部枠材の設置作業を簡略化することができるから、据付箇所に基礎構造物を迅速に据え付けることができ、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、第1〜第4底部枠材が第1〜第4側壁と躯体との間の間隙を塞ぐから、土台管の底部から内側スペースへの水分の進入を防ぐことができ、水分が進入することによる躯体の劣化を防ぐことができる。
【0040】
底部分が第1〜第4底部分から形成され、調整ボルトが第1底部分に設置された第1調整ボルトと第2底部分に設置された第2調整ボルトと第3底部分に設置された第3調整ボルトと第4底部分に設置された第4調整ボルトとから形成されている基礎構造物据付方法は、躯体に対する土台管の高さおよび傾きを第1〜第4調整ボルトによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管を水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物を設置する場合にそれら基礎構造物どうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物の高さ寸法を均一に揃えることができる。基礎構造物据付方法は、第1〜第4底部分に形成されたボルト孔と躯体のボルト孔とに設置された第1〜第4調整ボルトによって土台管を据付箇所に固定するから、マニュアル化された手順に従って躯体に対して土台管を容易に固定するができ、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、第1〜第4調整ボルトが躯体のボルト孔に設置されるから、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が第1〜第4側壁に作用したとしても、躯体に固定された第1〜第4調整ボルトによってセメント硬化物の側圧による第1〜第4側壁の不用意な変形が防止され、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】一例として示す基礎構造物の斜視図。
図2図1の基礎構造物の断面図。
図3】据付箇所に土台管を設置した後の断面図。
図4】土台管に底枠部材を設置した後の断面図。
図5】土台管および第1〜第4底部枠材の斜視図。
図6】土台管に頂枠部材を設置した後の断面図.
図7】第1〜第4頂部枠材の斜視図。
図8図6の上面図。
図9】新設断熱材と新設防水材とを設置し、頂部枠材にスペーサとボルト位置決め枠とを設置した後の断面図。
図10図9の上面図。
図11】土台管および枠材の内側スペースにコンクリートを打設した後の断面図。
図12】他の一例として示す基礎構造物の斜視図。
図13図12の基礎構造物の断面図。
図14】据付箇所に土台管を設置した後の断面図。
図15】土台管に底枠部材を設置した後の断面図。
図16】土台管および第1〜第4底部枠材の斜視図。
図17】土台管に頂枠部材を設置した後の断面図。
図18】新設断熱材と新設防水材とシンダーコンクリートとを設置し、頂部枠材にスペーサとボルト位置決め枠とを設置した後の断面図。
図19】土台管および枠材の内側スペースにコンクリートを打設した後の断面図。
図20】他の一例として示す据付基礎構造物の断面図。
図21】土台管および第1〜第4底部枠材の斜視図。
図22図21の上面図。
図23】据付箇所に土台管を設置するとともに、土台管に底枠部材を設置した後の断面図。
図24】新設断熱材と新設防水材とを設置し、頂部分にスペーサとボルト位置決め枠とを設置した後の断面図。
図25図24の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
一例として示す基礎構造物10Aの斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる基礎構造物据付方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、図1の基礎構造物10Aの断面図であり、図3は、据付箇所に土台管11aを設置した後の断面図である。図4は、土台管11aに底枠部材13を設置した後の断面図であり、図5は、土台管11aおよび第1〜第4底部枠材13a〜13dの斜視図である。図1では、上下方向を矢印X1、横方向(径方向)を矢印X2で示し、前後方向(径方向)を矢印X3で示す。それら図(後記する図6図11を含む)を参照し、基礎構造物10Aを基礎構造物ビルの屋上に設置する場合を例として、基礎構造物据付方法の各工程を説明すると、以下のとおりである。
【0043】
図1では、既設のビル(既設建造物)の屋上に据え付けられた1つの基礎構造物10Aを図示しているが、基礎構造物10Aの数を図示のそれに限定するものではなく、一般的には複数の基礎構造物10Aが前後方向や横方向へ一列に並んだ状態でビルの屋上に据え付けられる。基礎構造物10Aは、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設防水材26と既設断熱材25とを取り除いた躯体24(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に据え付けられる。
【0044】
なお、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26とを取り除いた躯体24(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に基礎構造物10Aが据え付けられる場合があり、または、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設シンダーコンクリート40と既設防水材26とを取り除いた躯体24(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に基礎構造物10Aが据え付けられる場合がある。
【0045】
基礎構造物据付方法では、据付準備工程、土台管固定工程、高さ・傾き調整工程、幅止めボルト設置工程、底部枠材固定工程、頂部枠材設置工程、新設防水材設置工程、支持ボルト設置工程、セメント硬化物打設工程、ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程、頂部枠材取り外し工程を実施することにより、据付箇所に基礎構造物10Aを据え付ける。
【0046】
基礎構造物10Aは、中空の土台管11aと、土台管11aの底部12に固定されて底部12から下方へ延びる底部枠材13と、土台管11aの頂部14に着脱可能に設置されて頂部14から径方向外方へ延びるとともに上方へ延びる頂部枠材15と、土台管11aの内側スペース16に設置された幅止めボルト17と、土台管11aおよびそれら枠材13,14の内側スペース16に配筋された新設鉄筋18、土台管11aと底部枠材13との外周面全域に設置された新設防水材19と、内側スペース16に打設されたコンクリート20(セメント硬化物)と、コンクリート20に設置された支持ボルト21とから作られている。なお、支持ボルト21は、スペーサ22およびボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)を利用して設置される。
【0047】
土台管11aや底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17、支持ボルト21の基礎構成部材は、汎用部品化(規格化)され、製造工場においてあらかじめ製造される大量生産品である。基礎構造物据付方法では、それら基礎構成部材を使用して所定のマニュアル化された手順によって基礎構造物10Aを組み立てる。最初に、据付準備工程を実施する。それら基礎構成部材(土台管11a、底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17、支持ボルト21)を輸送手段によって製造工場から施工現場(ビルの屋上)に搬送する。
【0048】
基礎構造物10Aを据え付けるビルの屋上は、躯体24(鉄筋コンクリート躯体)と、躯体24の上に施設された(重なる)既設断熱材25と、既設断熱材25の上に施設された(重なる)既設防水材26とから形成されている。据付準備工程では、ビルの屋上における基礎構造物10Aの据付箇所を位置決めし(墨出しする)、位置決めした据付箇所にマーキングをした後、その据付箇所において、既設防水材26と既設断熱材25とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。次に、据付箇所の躯体24に配筋された既設鉄筋の位置をセンサを利用して検出する。躯体24の既設鉄筋の位置を検出した後、躯体24の各既設鉄筋を避けた位置に新設鉄筋19を固定するアンカーホールを穿孔するとともに、後記する第1〜第4調整ボルト30a〜30dを螺着するボルト孔を穿孔する。
【0049】
なお、ビルの屋上が既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26と躯体24(鉄筋コンクリート躯体)とから形成されている場合、既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。また、ビルの屋上が既設シンダーコンクリート40と既設防水材26と躯体24(鉄筋コンクリート躯体)とから形成されている場合、既設シンダーコンクリート40と既設防水材26とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。
【0050】
据付準備工程の作業が終了した後、土台管11aを固定する土台管固定工程を実施する。土台管固定工程では、図3に示すように、据付箇所における躯体24の土台管設置位置に土台管11aを載置し、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸を躯体24に形成されたボルト孔に螺着して土台管11aを躯体24に固定する。土台管11aは、第1〜第4側壁27a〜27dと頂部分28と底部分29と調整ボルト30と長ナット31とを有する。
【0051】
土台管11aは、亜鉛メッキ鋼板を切削加工や折曲げ加工、溶接加工することによって製造されている。土台管11aを切削加工や折曲げ加工、溶接加工によって量産することができ、土台管11aの製造コストを大幅に節約することができるとともに、据付基礎構造物10Aの据付コストを少なくすることができる。なお、土台管11aは、その他の鋼材板やアルミ板、鉄板、合金板等の金属板から作ることができ、または、合成樹脂板から作ることができる。土台管11aが合成樹脂板から作られる場合、射出成型やプレス成形によって土台管11aを量産することができ、土台管11aの製造コストを大幅に節約することができるとともに、据付基礎構造物10Aの据付コストを少なくすることができる。
【0052】
第1および第3側壁27a,27cは、横方向へ長い矩形に成型され、互いに対向して上下方向へ延びている。第2および第4側壁27b,27dは、前後方向へ長い矩形に成型され、第1および第3側壁27a,27cに直交しつつ(直角に交差しつつ)互いに対向して上下方向へ延びている。第1〜第4側壁の底部には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。第1〜第4側壁27a〜27dや頂部分28、底部分29の厚み寸法は、2〜2.5mmの範囲にある。土台管11aを躯体24に固定すると、土台管11aの第1〜第4側壁27a〜27dが躯体24から上方へ離間し、躯体24と土台管11aとの間に間隙が形成される。
【0053】
頂部分28は、第1側壁27aの頂部14から径方向外方へ延びていて第1側壁27aの頂部14に連接(溶接)された第1頂部分28aと、第2側壁27bの頂部14から径方向外方へ延びていて第2側壁27bの頂部14に連接(溶接)された第2頂部分28bと、第3側壁27cの頂部14から径方向外方へ延びていて第3側壁27cの頂部14に連接(溶接)された第3頂部分28cと、第4側壁27dの頂部14から径方向外方へ延びていて第4側壁27dの頂部14に連接(溶接)された第4頂部分28dとから形成されている。第1〜第4頂部分28a〜28dは、第1〜第4側壁27a〜27dに対して直交(直角に交差)している。第1〜第4頂部分28a〜28dには、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。
【0054】
底部分29は、第1側壁27aの底部12から径方向内方へ延びていて第1側壁27aの底部12に連結(溶接)された第1底部分29aと、第2側壁27bの底部12から径方向内方へ延びていて第2側壁27bの底部12に連接(溶接)された第2底部分29bと、第3側壁27cの底部12から径方向内方へ延びていて第3側壁27cの底部12に連接(溶接)された第3底部分29cと、第4側壁27dの底部12から径方向内方へ延びていて第4側壁27dの底部12に連接(溶接)された第4底部分29dとから形成されている。第1〜第4底部分29a〜29dは、第1〜第4側壁27a〜27dに対して直交(直角に交差)している。第1〜第4底部分29a〜29dには、調整ボルト30を挿通(設置)するボルト孔が形成(穿孔)されている。
【0055】
調整ボルト30は、鋼材やアルミ、鉄、合金等の金属、または、合成樹脂から作られている。調整ボルト30は、雄螺子(図示せず)が作られた軸とボルトヘッドとから形成された六角ボルトである。調整ボルト30は、躯体24に対する土台管11aの高さおよび傾きを調整するとともに、土台管11aを躯体24に強固に固定する。調整ボルト30は、第1底部分29aに設置される第1調整ボルト30aと、第2底部分29bに設置される第2調整ボルト30bと、第3底部分29cに設置される第3調整ボルト30cと、第4底部分29dに設置される第4調整ボルト30dとから形成されている(図8の上面図を参照)。
【0056】
第1調整ボルト30aは、第1底部分29aに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第1底部分29aとの間に延びるボルト30aの軸には、六角ナット32が螺着されている。土台管固定工程において、第1調整ボルト30aの軸を躯体24のボルト孔に螺着することで、第1側壁27a(土台管11a)が躯体24に強固に固定される。
【0057】
第2調整ボルト30bは、第2底部分29bに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第2底部分29bとの間に延びるボルト30bの軸には、六角ナット32が螺着されている。土台管固定工程において、第2調整ボルト30bの軸を躯体24のボルト孔に螺着することで、第2側壁27b(土台管11a)が躯体24に強固に固定される。
【0058】
第3調整ボルト30cは、第3底部分29cに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第3底部分29cとの間に延びるボルト30cの軸には、六角ナット32が螺着されている。土台管固定工程において、第3調整ボルト30cの軸を躯体24のボルト孔に螺着することで、第3側壁27c(土台管11a)が躯体24に強固に固定される。
【0059】
第4調整ボルト30dは、第4底部分29dに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第4底部分29dとの間に延びるボルト30dの軸には、六角ナット32が螺着されている。土台管固定工程において、第4調整ボルト30dの軸を躯体24のボルト孔に螺着することで、第4側壁27d(土台管11a)が躯体に強固に固定される。
【0060】
長ナット31は、土台管11aの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aと、土台管11aの中央部33における第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bとから形成されている。幅止めボルト17は、土台管11aの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aと、土台管11aの中央部33における第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bとから形成されている。工場から搬送された土台管11aには、第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔に第1〜第4調整ボルト30a〜30dが挿通(設置)され、それら調整ボルトト30a〜30dに六角ナット32が螺着されているとともに、第1〜第4側壁27a〜27dの内壁面に第1および第2長ナット31a,31bが溶接されている。
【0061】
土台管固定工程の作業が終了した後、土台管11aの高さや傾き調整する高さ・傾き調整工程を実施する。高さ・傾き調整工程では、第1調整ボルト30aの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整することで、躯体24に対する第1側壁27a(土台管11a)の高さおよび傾きを調整し、第2調整ボルト30bの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整することで、躯体24に対する第2側壁27b(土台管11a)の高さおよび傾きを調整する。さらに、第3調整ボルト30cの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整することで、躯体24に対する第3側壁27c(土台管11a)の高さおよび傾きを調整し、第4調整ボルト30dの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整することで、躯体24に対する第4側壁27d(土台管11a)の高さおよび傾きを調整する。ナット32を時計回りに回転させることで、土台管11aを躯体24から離間するように移動(上昇)させることができ、ナット32を反時計回りに回転させることで、土台管11aを躯体24に近づくように移動(下降)させることができる。
【0062】
高さ・傾き調整工程の作業が終了した後、土台管11aに幅止めボルト17a,17bを設置する幅止めボルト設置工程を実施する。幅止めボルト設置工程では、土台管11aの第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定(溶接)された第1長ナット31aに第1幅止めボルト17aを螺着し、第1幅止めボルト17aによって第1側壁27aと第3側壁27cとを連結し、土台管11aの第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定(溶接)された第2長ナット31bに第2幅止めボルト17bを螺着し、第2幅止めボルト17bによって第2側壁27bと第4側壁27dとを連結する。第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第1および第3側壁27a,27cの変形が防止され、第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第2および第4側壁27b,27dの変形が防止される。
【0063】
幅止めボルト設置工程の作業が終了した後、側壁27a〜27dの離間寸法を調整する離間寸法第1調整工程を実施する。離間寸法第1調整工程では、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法(第1側壁27aと第3側壁27cとの間の寸法)が設計寸法と微妙に異なる場合、第1幅止めボルト17aを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整し、それら側壁27a,27cの離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0064】
また、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法(第2側壁27bと第4側壁27dとの間の寸法)が設計寸法と微妙に異なる場合、第2幅止めボルト17bを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、それら側壁27b,27dの離間寸法を設計寸法に一致させる。なお、メジャーによる計測の結果、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法や第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法どおりの場合、離間寸法第1調整工程は行われない。
【0065】
離間寸法第1調整工程の作業が終了した後、土台管11aに底部枠材27a〜27dを固定する底部枠材固定工程を実施する。底部枠材13は、亜鉛メッキ鋼板を切削加工や折曲げ加工することによって製造されている。なお、底部枠材13は、その他の鋼材板やアルミ板、鉄板、合金板等の金属板から作ることができ、または、合成樹脂板から作ることができる。底部枠材13が金属板や合成樹脂板から作られている場合、底部枠材13を切削加工や折曲げ加工、射出成型、プレス成形によって量産することができ、底部枠材13の製造コストを大幅に節約することができるとともに、据付基礎構造物10Aの据付コストを少なくすることができる。
【0066】
底部枠材13は、第1側壁27aの底部12から下方へ延びる矩形の第1底部枠材13aと、第2側壁27bの底部12から下方へ延びる矩形の第2底部枠材13bと、第3側壁27cの底部12から下方へ延びる矩形の第3底部枠材13cと、第4側壁27dの底部12から下方へ延びる矩形の第4底部枠材13dとから形成されている。第1〜第4底部枠材13a〜13dには、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。第1〜第4底部枠材13a〜13dの厚み寸法は、2〜2.5mmの範囲にある。
【0067】
底部枠材固定工程では、図4,5に示すように、土台管11aの第1側壁27aの底部12における外面に第1底部枠材13aを配置し、第1側壁27aと第1底部枠材13aとに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第1側壁27aに第1底部枠材13aを強固に固定する。第1側壁27aに第1底部枠材13aを固定すると、第1側壁27aと躯体24との間の間隙が塞がれる。土台管11aの第2側壁27bの底部12における外面に第2底部枠材13bを配置し、第2側壁27bと第2底部枠材13bとに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第2側壁27bに第2底部枠材13bを固定する。第2側壁27bに第2底部枠材13bを固定すると、第2側壁27bと躯体24との間の間隙が塞がれる。
【0068】
さらに、土台管11aの第3側壁27cの底部12における外面に第3底部枠材13cを配置し、第3側壁27cと第3底部枠材13cとに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第3側壁27cに第3底部枠材13cを固定する。第3側壁27cに第3底部枠材13cを固定すると、第3側壁27cと躯体24との間の間隙が塞がれる。土台管11aの第4側壁27dの底部12における外面に第4底部枠材13dを配置し、第4側壁27dと第4底部枠材13dとに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第4側壁27dに第4底部枠材13dを固定する。第4側壁27dに第4底部枠材13dを固定すると、第4側壁27dと躯体24との間の間隙が塞がれる。
【0069】
図6は、土台管11aに頂枠部材15を設置した後の断面図であり、図7は、第1〜第4頂部枠材15a〜15dの斜視図である。図8は、図6の上面図である。図9は、新設断熱材37と新設防水材19とを設置し、頂部枠材15a〜15dにスペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置した後の断面図であり、図10は、図9の上面図である。図11は、土台管11aおよび枠材13,15の内側スペース16にコンクリート20を打設した後の断面図である。図8,10では、鉄筋18の図示を省略している。
【0070】
底部枠材固定工程の作業が終了した後、土台管11aに頂部枠材15a〜15dを設置する頂部枠材設置工程を実施する。頂部枠材15は、亜鉛メッキ鋼板を切削加工や折曲げ加工することによって製造されている。なお、頂部枠材15は、その他の鋼材板やアルミ板、鉄板、合金板等の金属板から作ることができ、または、合成樹脂板から作ることができる。頂部枠材15が金属板や合成樹脂板から作られている場合、頂部枠材15を切削加工や折曲げ加工、射出成型、プレス成形によって量産することができ、頂部枠材15の製造コストを大幅に節約することができるとともに、据付基礎構造物10Aの据付コストを少なくすることができる。頂部枠材15は、第1頂部分28aに着脱可能に設置される第1頂部枠材15aと、第2頂部分28bに着脱可能に設置される第2頂部枠材15bと、第3頂部分28cに着脱可能に設置される第3頂部枠材15cと、第4頂部分28dに着脱可能に設置される第4頂部枠材15dとから形成されている。第1〜第4頂部枠材15a〜15dの厚み寸法は、2〜2.5mmの範囲にある。
【0071】
第1頂部枠材15aは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。第1頂部枠材15aの水平部分34や垂直部分35、折曲部分36には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。第2頂部枠材15bは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。第2頂部枠材15bの水平部分34や垂直部分35、折曲部分36には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。
【0072】
第3頂部枠材15cは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。第3頂部枠材15cの水平部分34や垂直部分35、折曲部分36には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。第4頂部枠材15dは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。第4頂部枠材15dの水平部分34や垂直部分35、折曲部分36には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。それら頂部枠材15a〜15dの垂直部分35は水平部分34に対して直交(直角に交差)し、折曲部分36は垂直部分35に対して直交(直角に交差)している。
【0073】
頂部枠材設置工程では、図6に示すように、第1頂部枠材15aの水平部分34を土台管11aの第1頂部分28aの下方(下面)に配置し、第1頂部分28aと第1頂部枠材15aの水平部分34とに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第1頂部枠材15aを土台管11aの第1頂部分28aに着脱可能に連結(設置)する。第1頂部枠材15aを第1頂部分28aに連結すると、第1頂部枠材15aの水平部分34が第1頂部分28aから径方向外方へ延び、第1頂部枠材15aの垂直部分35が土台管11aの第1側壁27aの頂部14から上方に延びるとともに、第1頂部枠材15aの折曲部分36が第2側壁27bの頂部14から上方へ延びる。
【0074】
第2頂部枠材15bの水平部分34を土台管11aの第2頂部分28bの下方(下面)に配置し、第2頂部枠材15bの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第1頂部枠材15aの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ね、第2頂部分28bと水平部分34とに形成されたビス螺着孔を一致させるとともに、第2頂部枠材15bの垂直部分35と第1頂部枠材15aの折曲部分36とに形成されたビス螺着孔を一致させ、それらビス螺着孔にビスを螺着して第2頂部枠材15bを土台管11aの第2頂部分28bに着脱可能に連結(設置)し、第2頂部枠材15bの垂直部分35を第1頂部枠材15aの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)する。第2頂部枠材15bを第2頂部分28bに連結すると、第2頂部枠材15bの水平部分34が第2頂部分28bから径方向外方へ延び、第2頂部枠材15bの垂直部分35が土台管11aの第2側壁27bの頂部14から上方に延びるとともに、第2頂部枠材15bの折曲部分36が第3側壁27cの頂部14から上方へ延びる。
【0075】
第3頂部枠材15cの水平部分34を土台管11aの第3頂部分28cの下方(下面)に配置し、第3頂部枠材15bの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第2頂部枠材15bの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ね、第3頂部分28cと水平部分34とに形成されたビス螺着孔を一致させるとともに、第3頂部枠材15cの垂直部分35と第2頂部枠材15bの折曲部分36とに形成されたビス螺着孔を一致させ、それらビス螺着孔にビスを螺着して第3頂部枠材15cを土台管11aの第3頂部分28cに着脱可能に連結(設置)し、第3頂部枠材15cの垂直部分35を第2頂部枠材15bの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)する。第3頂部枠材15cを第3頂部分28cに連結すると、第3頂部枠材15cの水平部分34が第3頂部分28cから径方向外方へ延び、第3頂部枠材15cの垂直部分35が土台管11aの第3側壁27cの頂部14から上方に延びるとともに、第3頂部枠材15cの折曲部分36が第4側壁27dの頂部14から上方へ延びる。
【0076】
第4頂部枠材15dの水平部分34を土台管11aの第4頂部分28dの下方(下面)に配置し、第4頂部枠材15dの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第3頂部枠材15cの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ねるとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)を第1頂部枠材15aの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)に重ねる。次に、第4頂部分28dと水平部分34とに形成されたビス螺着孔を一致させ、第4頂部枠材15dの垂直部分35と第3頂部枠材15cの折曲部分36とに形成されたビス螺着孔を一致させるとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36と第1頂部枠材15aの垂直部分35とに形成されたビス螺着孔を一致させ、それらビス螺着孔にビスを螺着し、第4頂部枠材15dを土台管11aの第4頂部分28dに着脱可能に連結(設置)し、第4頂部枠材15dの垂直部分35を第3頂部枠材15cの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)するとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36を第1頂部枠材15aの垂直部分34に着脱可能に連結(設置)する。第4頂部枠材15dを第4頂部分28dに連結すると、第4頂部枠材15dの水平部分34が第4頂部分28dから径方向外方へ延び、第4頂部枠材15dの垂直部分35が土台管11aの第4側壁27dの頂部14から上方に延びるとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36が第1側壁27aの頂部14から上方へ延びる。
【0077】
第1〜第4頂部枠材15a〜15dを第1〜第4頂部分28a〜28dに連結した後、躯体24に形成されたアンカーホールに新設鉄筋18を固定し、土台管11aおよびそれら枠材13a〜13d,15a〜15dの内側スペース16に新設鉄筋18を配筋する。内側スペース16に新設鉄筋18を配筋した後、新設防水材19を設置する新設防水材設置工程を実施する。新設防水材19にはシート防水が利用されているが、シート防水の他に、ウレタン防水やアスファルト防水を利用することもできる。
【0078】
新設防水材設置工程では、図9に示すように、据付箇所における第1〜第4底枠部材15a〜15dの外側の既設断熱材25を取り除いた部分に新設断熱材37を配置し、新設防水材19を土台管11aの第1〜第4側壁27a〜27の外面と第1〜第4底枠部材15a〜15dの外面とに設置する。さらに、新設防水材19を第1〜第4底枠部材15a〜15dから径方向外方に延長して設置し、新設防水材19によって第1〜第4底枠部材15a〜15dの周囲に設置された新設断熱材37と第1〜第4底枠部材15a〜15dの周囲に位置する躯体24とを被覆する。
【0079】
新設防水材設置工程の作業が終了した後、頂部枠材15a〜15dに支持ボルト21を設置する支持ボルト設置工程を実施する。支持ボルト21は、鋼材やアルミ、鉄、合金等の金属、または、合成樹脂から作られている。支持ボルト21は、雄螺子(図示せず)が作られてコンクリート20から上方へ露出する螺子上部38と、コンクリート20に固定された螺子下部39とを有する。図7では、4本の支持ボルト21を図示しているが、支持ボルト21の本数に特に制限はなく、その本数を必要に応じて変えることができる。
【0080】
支持ボルト21は、頂部枠材15a〜15dの上に設置された2つのスペーサ22と、それらスペーサ22の上に設置されて支持ボルト21を挿脱可能に設置するボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)とを利用して設置される。それらスペーサ22は、第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとの間に架け渡される所定厚みの板材である。ボルト位置決め枠23にはそれら支持ボルト21を挿脱可能に挿通する4つのボルト孔が形成され、それらボルト孔に支持ボルト21が挿通されている。
【0081】
支持ボルト設置工程では、図9,10に示すように、それらスペーサ22を第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとの間に架け渡し、それらスペーサ22を第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとに固定手段(図示せず)によって着脱可能に固定し、ボルト位置決め枠23をそれらスペーサ22の上に固定手段(図示せず)によって着脱可能に固定する。ボルト位置決め枠23は、土台管11aの中央に配置される。スペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置すると、ボルト位置決め枠23の直下にスペーサ22が介在することで、ボルト位置決め枠23が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から上方へ離間し、支持ボルト21の螺子上部38が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から上方へ露出し、支持ボルト21の螺子下部39が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から下方へ延びる。
【0082】
支持ボルト設置工程の作業が終了した後、内側スペース16にコンクリート20を打設するセメント硬化物打設工程を実施する。セメント硬化物打設工程では、図11に示すように、土台管11aおよびそれら枠材13a〜13d,15a〜15dの内側スペース16にコンクリート20を打設する。なお、内側スペース16にコンクリート20を打設した後(セメント硬化物打設工程の後)、新設断熱材37と新設防水材19(シート防水)とを設置する新設防水材設置工程を実施してもよい。
【0083】
セメント硬化物打設工程におけるコンクリート20を打設過程において、側壁27a〜27dの離間寸法を調整する離間寸法第2調整工程を実施する。内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20の打設中)において、第1および第3側壁27a,27bにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a,27bの離間寸法(第1側壁27aと第3側壁27bとの間の寸法)が変化する場合(離間寸法が大きくなり、または、離間寸法が小さくなる場合)がある。この場合、離間寸法第2調整工程では、第1幅止めボルト17aを回転させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27bを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27bの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ第1および第3側壁27a,27bの離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0084】
また、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20の打設中)において、第2および第4側壁27b,27dにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27b,27dの離間寸法(第2側壁27bと第4側壁27dとの間の寸法)が変化する場合(離間寸法が大きくなり、または、離間寸法が小さくなる場合)がある。この場合、離間寸法第2調整工程では、第2幅止めボルト17bを回転させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0085】
コンクリート20を打設した後、コンクリート20を所定期間養生する。コンクリート20の養生期間が経過した後、頂部枠材15a〜15dからボルト位置決め部材23とスペーサ22とを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程と土台管11aから頂部枠材15a〜15dを取り外す頂部枠材取り外し工程とを実施する。ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程では、ボルト位置決め枠23をスペーサ22から取り外して支持ボルト21からボルト位置決め枠23を抜き取り、スペーサ22を頂部枠材15a〜15dから取り外す。頂部枠材取り外し工程では、ビス螺着孔からビスを抜き取り、第1〜第4頂部枠材15a〜15dを土台管11aの第1〜第4頂折曲部分28a〜28dから取り外す。次に、土台管11aの頂部14から上方へ露出するコンクリート20の頂面と側面とに新設防水材(ウレタン防水)(図示せず)を設置し、図1に示す基礎構造物10Aが完成する。
【0086】
図12は、他の一例として示す基礎構造物10Bの斜視図であり、図13は、図12の基礎構造物10Bの断面図である。図14は、据付箇所に土台管11bを設置した後の断面図であり、図15は、土台管11bに底枠部材13を設置した後の断面図である。図16は、土台管11bおよび第1〜第4底部枠材13a〜13dの斜視図であり、図17は、土台管11bに頂枠部材15を設置した後の断面図である。図18は、新設断熱材37と新設防水材19と新設シンダーコンクリート41とを設置し、頂部枠材15にスペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置した後の断面図であり、図19は、土台管11bおよび枠材13,15の内側スペース16にコンクリート20を打設した後の断面図である。図12では、上下方向を矢印X1、横方向(径方向)を矢印X2で示し、前後方向(径方向)を矢印X3で示す。
【0087】
この基礎構造物10Bが図1のそれと異なるところは、第3および第4長ナット31c,31dが土台管11bの頂部14における第1〜第4側壁27a〜27dに設置されている点、第3および第4長ナット31c,31dに第3および第4幅止めボルト17c,17dが設置されている点、第1〜第4側壁27a〜27dと第1〜第4底部枠材15a〜15dとの外側に化粧板42が設置されている点にある。基礎構造物10Bのその他の構成については図1の基礎構造物10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の基礎構造物10Aの説明を援用する。
【0088】
図12図19を参照し、基礎構造物10Bを基礎構造物ビルの屋上に設置する場合を例として、基礎構造物据付方法の各工程を説明すると、以下のとおりである。なお、基礎構造物10Bを据え付ける基礎構造物据付方法の各工程は図1の基礎構造物10Aを据え付ける基礎構造物据付方法のそれらと略同一であるから、基礎構造物据付方法の各工程の詳細な説明は省略する。
【0089】
基礎構造物10Bは、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26とを取り除いた躯体24(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に据え付けられる。基礎構造物10Bは、中空の土台管11bと、土台管11bの底部12に固定された底部枠材13と、土台管11bの頂部14に着脱可能に設置された頂部枠材15と、土台管11bの内側スペース16に設置された幅止めボルト17と、土台管11bおよびそれら枠材13,15の内側スペース16に配筋された新設鉄筋18と、土台管11bと底部枠材13との外周面全域に設置された新設防水材19と、内側スペース16に打設されたコンクリート20(セメント硬化物)と、コンクリート20に設置された支持ボルト21と、土台管11bの周囲を囲む化粧板42とから形成されている。支持ボルト21は、スペーサ22およびボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)を利用して設置される。
【0090】
図1の基礎構造物10Aと同様に、土台管11bや底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17、支持ボルト21の基礎構成部材は、汎用部品化(規格化)され、製造工場においてあらかじめ製造される大量生産品である。基礎構造物据付方法では、それら基礎構成部材を使用して所定のマニュアル化された手順によって基礎構造物10Bを組み立てる。最初に、据付準備工程を実施する。それら基礎構成部材(土台管11b、底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17,支持ボルト21)を輸送手段によって製造工場から施工現場(ビルの屋上)に搬送する。
【0091】
基礎構造物10Bを据え付けるビルの屋上は、躯体24(鉄筋コンクリート躯体)と、躯体24の上に施設された(重なる)既設防水材26と、既設防水材26の上に施設された(重なる)既設断熱材25と、既設断熱材25の上に施設された(重なる)既設シンダーコンクリート40とから形成されている。据付準備工程では、ビルの屋上における基礎構造物10Bの据付箇所を位置決め(墨出し)し、据付箇所にマーキングをした後、その据付箇所において、既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。次に、躯体24の既設鉄筋の位置を検出した後、躯体24の各既設鉄筋を避けた位置に新設鉄筋18を固定するアンカーホールを穿孔するとともに、第1〜第4調整ボルト30a〜30dを螺着するボルト孔を穿孔する。
【0092】
据付準備工程の後、土台管固定工程を実施する。土台管固定工程では、図14に示すように、据付箇所における躯体24の土台管設置位置に土台管11bを載置し、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸を躯体24に形成されたボルト孔に螺着して土台管11bを躯体24に固定する。土台管11bは、第1〜第4側壁27a〜27bと頂部分28と底部分29と調整ボルト30と長ナット31とを有する。第1〜第4側壁27a〜27bは、図1の基礎構造物10Aのそれらと同一である。
【0093】
頂部分28は、第1〜第4側壁27a〜27bの頂部14から径方向外方へ延びている。頂部分28は、第1〜第4頂部分28a〜28dから形成されている。底部分29は、第1〜第4側壁27a〜27bの底部12から径方向内方へ延びている。底部分29は、第1〜第4底部分29a〜29dから形成されている。調整ボルト30は、躯体24に対する土台管11bの高さおよび傾きを調整するとともに、土台管11bを躯体24に強固に固定する。調整ボルト30は、第1〜第4調整ボルト30a〜30dから形成されている。第1〜第4調整ボルト30a〜30dは、第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第1〜第4底部分29a〜29dとの間に延びるボルト30a〜30dの軸には、六角ナット32が螺着されている。
【0094】
長ナット31は、土台管11bの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aと、土台管11bの中央部27における第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bと、土台管11bの頂部14における第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第3長ナット31cと、土台管11bの頂部14における第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第4長ナット31dとから形成されている。
【0095】
幅止めボルト17は、土台管11bの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aと、土台管11bの中央部33における第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bと、土台管11bの頂部14における第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第3幅止めボルト17cと、土台管11bの頂部14における第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17dとから形成されている。
【0096】
土台管固定工程の後、高さ・傾き調整工程を実施する。高さ・傾き調整工程では、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整して第1〜第4側壁27a〜27d(土台管11b)の高さおよび傾きを調整する。高さ・傾き調整工程の後、幅止めボルト設置工程を実施する。幅止めボルト設置工程では、第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aに第1幅止めボルト17aを螺着し、第1幅止めボルト17aによって第1側壁27aと第3側壁27cとを連結し、第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bに第2幅止めボルト17bを螺着し、第2幅止めボルト17bによって第2側壁27bと第4側壁27dとを連結する。さらに、第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第3長ナット31cに第3幅止めボルト17cを螺着し、第3幅止めボルト17cによって第1側壁27aと第3側壁27cとを連結し、第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第4長ナット31dに第4幅止めボルト17dを螺着し、第4幅止めボルト17dによって第2側壁27bと第4側壁27dとを連結する。
【0097】
第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1および第3幅止めボルト17a,17cによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第1および第3側壁27a,27cの変形が防止され、第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2および第4幅止めボルト17b,17dによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第2および第4側壁27b,27dの変形が防止される。
【0098】
幅止めボルト設置工程の後、離間寸法第1調整工程を実施する。離間寸法第1調整工程では、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が設計寸法と微妙に異なる場合、第1および第3幅止めボルト17a,17cを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1および第3幅止めボルト17a,17cによって第1および第3側壁17a,17cの離間寸法を微調整し、離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0099】
また、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なる場合、第2および第4幅止めボルト17b,17dを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2および第4幅止めボルト17b,17dによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0100】
離間寸法第1調整工程の後、底部枠材固定工程を実施する。底部枠材13は、第1〜第4底部枠材13a〜13dから形成されている。底部枠材固定工程では、図15,16に示すように、土台管11bの第1側壁27aの底部12における外面に第1底部枠材13aを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第1側壁27aに第1底部枠材13aを強固に固定する。土台管11bの第2側壁27bの底部12における外面に第2底部枠材13bを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第2側壁27bに第2底部枠材13bを固定する。さらに、土台管11bの第3側壁27cの底部12における外面に第3底部枠材13cを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第3側壁27cに第3底部枠材13cを固定する。土台管11bの第4側壁27dの底部12における外面に第4底部枠材13dを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第4側壁27dに第4底部枠材13dを固定する。
【0101】
底部枠材固定工程の後、頂部枠材設置工程を実施する。頂部枠材15は、第1〜第4頂部枠材15a〜15dから形成されている。第1〜第4頂部枠材15a〜15dは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。
【0102】
頂部枠材設置工程では、図17に示すように、第1頂部枠材15aの水平部分34を土台管11bの第1頂部分28aの下方(下面)に配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第1頂部枠材15aを土台管11bの第1頂部分28aに着脱可能に連結(設置)する。第2頂部枠材15bの水平部分34を土台管11bの第2頂部分28bの下方(下面)に配置し、第2頂部枠材15bの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第1頂部枠材15aの折曲部分36の内側(折曲部分の内面)に重ね、ビス螺着孔にビスを螺着して第2頂部枠材15bを土台管11bの第2頂部分28bに着脱可能に連結(設置)し、第2頂部枠材15bの垂直部分35を第1頂部枠材15aの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)する。
【0103】
さらに、第3頂部枠材15cの水平部分34を土台管11bの第3頂部分28cの下方(下面)に配置し、第3頂部枠材15cの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第2頂部枠材15bの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ね、ビス螺着孔にビスを螺着して第3頂部枠材15cを土台管11bの第3頂部分28cに着脱可能に連結(設置)し、第3頂部枠材15cの垂直部分35を第2頂部枠材15bの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)する。
【0104】
第4頂部枠材15dの水平部分34を土台管11bの第4頂部分28dの下方(下面)に配置し、第4頂部枠材15dの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第3頂部枠材15cの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ねるとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)を第1頂部枠材15aの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)に重ね、ビス螺着孔にビスを螺着し、第4頂部枠材15dを土台管11bの第4頂部分28dに着脱可能に連結(設置)し、第4頂部枠材15dの垂直部分35を第3頂部枠材15cの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)するとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36を第1頂部枠材15aの垂直部分35に着脱可能に連結(設置)する。
【0105】
頂部枠材設置工程の後、躯体24に形成されたアンカーホールに新設鉄筋18を固定し、土台管11bおよびそれら枠材13,15の内側スペース16に新設鉄筋18を配筋する。内側スペース16に新設鉄筋18を配筋した後、新設防水材設置工程を実施する。新設防水材19にはアスファルト防水が利用されている。新設防水材設置工程では、図18に示すように、新設防水材19を土台管11bの第1〜第4側壁27a〜27dの外面と第1〜第4底枠部材13a〜13dの外面とに設置するとともに、新設防水材19を第1〜第4底枠部材13a〜13dから径方向外方に延長して新設防水材19を既設防水材26の上に設置し(重ね)、新設防水材19によって第1〜第4底枠部材13a〜13dの周囲に位置する躯体24を被覆する。次に、既設防水材26の上に重なる新設防水材19の上に新設断熱材37を設置(重ね)し、新設断熱材37の上に新設シンダーコンクリート41を打設する。
【0106】
新設防水材設置工程の後、支持ボルト設置工程を実施する。支持ボルト21は、頂部枠材15a〜15dの上に設置されたスペーサ22と、それらスペーサ22の上に設置されて支持ボルト21を挿脱可能に設置するボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)とを利用して設置される。支持ボルト設置工程では、スペーサ22を第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとの間に架け渡し、スペーサを第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとに固定手段によって着脱可能に固定し、ボルト位置決め枠23をスペーサ22の上に固定手段によって着脱可能に固定する。スペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置すると、支持ボルト21の螺子上部38が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から上方へ露出し、支持ボルト21の螺子下部39が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から下方へ延びる。
【0107】
支持ボルト設置工程の後、セメント硬化物打設工程を実施する。セメント硬化物打設工程では、図19に示すように、土台管11bおよびそれら枠材13,15の内側スペース16にコンクリート20を打設する。なお、内側スペース16にコンクリート20を打設した後、新設防水材設置工程を実施してもよい。セメント硬化物打設工程におけるコンクリート20の打設過程(コンクリート20を打設中)において、離間寸法第2調整工程を実施する。
【0108】
内側スペース16にコンクリート20を打設する過程において、第1および第3側壁27a,27cにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a,27cの離間寸法が変化した場合、離間寸法第2調整工程において、第1および第3幅止めボルト17a,17cの少なくとも一方を回転させ、第1および第3幅止めボルト17a,17cのうちの少なくとの一方によって第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0109】
また、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程において、第2および第4側壁27b,27dにコンクリートの側圧が作用し、それら側壁27b,27dの離間寸法が変化した場合、離間寸法第2調整工程において、第2および第4幅止めボルト17b,17dの少なくとも一方を回転させ、第2および第4幅止めボルト17b,17dの少なくとも一方によって第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0110】
内側スペース16に打設したコンクリート20の養生期間が経過した後、ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程と頂部枠材取り外し工程とを実施する。ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程では、ボルト位置決め枠23をスペーサ22から取り外して支持ボルト21からボルト位置決め枠23を抜き取り、スペーサ22を頂部枠材15から取り外す。頂部枠材取り外し工程では、第1〜第4頂部枠材15a〜15dを土台管11bの第1〜第4頂分28a〜28dから取り外す。次に、土台管11bの頂部14から上方へ露出するコンクリート20の頂面と側面とに新設防水材(ウレタン防水)(図示せず)を設置する。さらに、第1〜第4側壁27a〜27dと第1〜第4底部枠材13a〜13dとの外側に化粧板42を配置し、化粧板42の上部をコンクリート20に固定し、化粧板42の下部を新設シンダーコンクリート41に固定することで、図12に示す基礎構造物10Bが完成する。
【0111】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10A,10Bが中空の土台管11a,11bと底部枠材13と頂部枠材15と幅止めボルト17と支持ボルト21と新設防水材19とコンクリート20(セメント硬化物)とから形成され、土台管11a,11b(調整ボルト30a〜30d、長ナット31a〜31dを含む。)や底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17、支持ボルト21が製造工場においてあらかじめ製造されて汎用部品化(規格化)されており、既設建造物の躯体24の据付箇所においてマニュアル化された手順に従って基礎構造物10A,10Bがユニットとして組み立てられるから、基礎構造物10A,10Bを据え付ける際に、その現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要はなく、据付箇所に土台管11a,11bを固定しつつ調整ボルト30a〜30dを利用して躯体24に対する土台管11a,11bの高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁27a〜27dに幅止めボルト17a〜17dを設置するとともに、土台管11a,11bに底部枠材13a〜13dと頂部枠材15a〜15dとを設置し、内側スペース16にコンクリート20を打設するだけで基礎構造物10A,10Bを据付箇所に据え付けることができ、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。
【0112】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10A,10Bの据付作業を簡略化することができるのみならず、コンクリート20の養生期間を待つことなく、新設防水材19を設置する新設防水材設置作業、または、新設シンダーコンクリート41を打設するシンダーコンクリート打設作業まで進めることができ、コンクリート20の養生期間を待つことなく、新設防水材19の設置作業が完了するとともに基礎構造物10A,10Bの据付作業が完了するから、基礎構造物10A,10Bの据付時間にコンクリート20の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物10Aや基礎構造物10Bを迅速に据え付けることができ、基礎構造物10Aや基礎構造物10Bの工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物10A,10Bの工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物10A,10Bの構築にかかる人件費を大幅に低減することができるから、基礎構造物10A,10Bの据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物10A,10Bを廉価に構築することができる。基礎構造物据付方法は、施工現場の据付箇所において型枠を組み上げる必要はなく、マニュアル化された手順に従ってそれらを組み立てることができるから、型枠工の技術がない作業者でも基礎構造物10A,10Bを容易に構築することができる。
【0113】
基礎構造物据付方法は、土台管11a,11bの第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔と躯体24に形成されたボルト孔とに第1〜第4調整ボルト30a〜30dが設置され、それら調整ボルト30a〜30dによって土台管11a,11bが躯体24に固定されるとともに、コンクリート25の養生期間が経過した後にそれら調整ボルト30a〜30dや長ナット31a〜31d、幅止めボルト17a〜17d、新設鉄筋18がコンクリート20と一体になり、基礎構造物10Aや基礎構造物10Bにかかる荷重を調整ボルト30a〜30dや長ナット31a〜31d、幅止めボルト17a〜17d、新設鉄筋18、コンクリート20で分担するから、既設建造物の躯体24の所定の据付箇所に強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物10A,10Bを構築することができる。
【0114】
基礎構造物据付方法は、土台管11a,11bおよび枠材13,15の内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧が第1〜第4側壁27a〜27dに作用したとしても、土台管11a,11bに設置された幅止めボルト17a〜17dがコンクリート20の側圧による第1〜第4側壁27a〜27dの変形を防止するから、第1〜第4側壁27a〜27dが変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算(強度計算)された設計どおりの基礎構造物10Aや基礎構造物10Bを構築することができる。
【0115】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する前に、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が微調整され、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が微調整されるから、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法や第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Aを構築することができる。
【0116】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する前に、第1および第3幅止めボルト17a,17cのうちの少なくとも一方によって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が微調整され、第2および第4幅止めボルト17b,17dのうちの少なくとも一方によって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が微調整されるから、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法や第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Bを構築することができる。
【0117】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20打設中)において、第1〜第4側壁27a〜27dにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a〜27dの離間寸法が変化したとしても、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整することができ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整することができるから、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Aを構築することができる。
【0118】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20打設中)において、第1〜第4側壁27a〜27dにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a〜27dの離間寸法が変化したとしても、第1および第3幅止めボルト17a,17cのうちの少なくとも一方によって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整することができ、第2および第4幅止めボルト17b,17dのうちの少なくとも一方によって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整することができるから、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Bを構築することができる。
【0119】
基礎構造物据付方法は、躯体24に対する土台管11a,11bの高さおよび傾きを第1〜第4調整ボルト30a〜30dによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管11a,11bを水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物10Aや複数個の基礎構造物10Bを据え付ける場合に、それら基礎構造物10Aどうしの高さ寸法やそれら基礎構造物10Bどうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物10Aの高さ寸法を均一に揃えることができるとともに、それら基礎構造物10Bの高さ寸法を均一に揃えることができる。
【0120】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10Aや基礎構造物10Bが既設建造物の屋上に据え付けられた場合でも、底部枠材13a〜13dの周囲に位置する躯体24が新設防水材19に被覆されるから、土台管11a,11bや底部枠材13a〜13d、躯体24への水の侵入を防ぐことができ、土台管11a,11bや底部枠材13a〜13dに水が進入することによる土台管11a,11bや底部枠材13a〜13dの腐食や強度低下を防ぐことができ、躯体24に水が進入することによる躯体24の劣化を防ぐことができる。
【0121】
図20は、他の一例として示す据付基礎構造物10Cの断面図であり、図21は、土台管11cおよび第1〜第4底部枠材13a〜13dの斜視図である。図22は、図21の上面図であり、図23は、据付箇所に土台管11cを設置するとともに、土台管11cに底枠部材13を設置した後の断面図である。図24は、新設断熱材37と新設防水材19とを設置し、頂部分43にスペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置した後の断面図であり、図25は、図24の上面図である。
【0122】
この据付基礎構造物10Cが図1のそれと異なるところは、土台管11cに頂部枠材15が設置されておらず、土台管11cが頂部枠材15の替わりの頂部分43を有する点、第1〜第4側壁27a〜27dと第1〜第4底部枠材13a〜13dとの外側に化粧板42が設置されている点にある。据付基礎構造物10Cのその他の構成については図1の据付基礎構造物10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の据付基礎構造物10Aの説明を援用する。
【0123】
図20図25を参照し、基礎構造物10Cを基礎構造物ビルの屋上に設置する場合を例として、基礎構造物据付方法の各工程を説明すると、以下のとおりである。なお、基礎構造物10Cを据え付ける基礎構造物据付方法の各工程は図1の基礎構造物10Aを据え付ける基礎構造物据付方法のそれらと略同一であるから、基礎構造物据付方法の各工程の詳細な説明は省略する。
【0124】
基礎構造物10Cは、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設防水材35と既設断熱材34とを取り除いた躯体33(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に据え付けられる。基礎構造物10Cは、中空の土台管11cと、土台管11cの底部12に固定された底部枠材13と、土台管11bの内側スペース16に設置された幅止めボルト17と、土台管11cおよびそれら枠材13,15の内側スペース16に配筋された新設鉄筋18と、土台管11cと底部枠材13との外周面全域に設置された新設防水材19と、内側スペース16に打設されたコンクリート20(セメント硬化物)と、コンクリート20に設置された支持ボルト21と、土台管11cの周囲を囲む化粧板42とから形成されている。支持ボルト21は、スペーサ22およびボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)を利用して設置される。
【0125】
図1の基礎構造物10Aと同様に、土台管11cや底部枠材13、幅止めボルト17、支持ボルト21の基礎構成部材は、汎用部品化(規格化)され、製造工場においてあらかじめ製造される大量生産品である。基礎構造物据付方法では、それら基礎構成部材を使用して所定のマニュアル化された手順によって基礎構造物10Cを組み立てる。最初に、据付準備工程を実施する。それら基礎構成部材(土台管11c、底部枠材13、幅止めボルト17,支持ボルト21)を輸送手段によって製造工場から施工現場(ビルの屋上)に搬送する。
【0126】
基礎構造物10Bを据え付けるビルの屋上は、躯体24(鉄筋コンクリート躯体)と、躯体24の上に施設された(重なる)既設断熱材25と、既設断熱材25の上に施設された(重なる)既設防水材26とから形成されている。据付準備工程では、ビルの屋上における基礎構造物10Cの据付箇所を位置決め(墨出し)し、据付箇所にマーキングをした後、その据付箇所において、既設防水材26と既設断熱材25とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。次に、躯体24の既設鉄筋の位置を検出した後、躯体24の各既設鉄筋を避けた位置に新設鉄筋18を固定するアンカーホールを穿孔するとともに、第1〜第4調整ボルト30a〜30dを螺着するボルト孔を穿孔する。
【0127】
据付準備工程の後、土台管固定工程を実施する。土台管固定工程では、図23に示すように、据付箇所における躯体24の土台管設置位置に土台管11cを載置し、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸を躯体24に形成されたボルト孔に螺着して土台管11cを躯体24に固定する。土台管11cは、第1〜第4側壁27a〜27bと頂部分28と底部分29と調整ボルト30と長ナット31とを有する。第1〜第4側壁27a〜27bは、図1の基礎構造物10Aのそれらと同一である。
【0128】
土台管11cの頂部分28は、第1〜第4側壁27a〜27dの頂部14から径方向外方に延びた後、上方に延びている。頂部分28は、第1〜第4頂部分28a〜28dから形成されている。第1頂部分28aは、第1側壁27aの頂部14に連接(溶接)されて頂部14から径方向外方へ延びる水平部分44と、水平部分44の延出端から上方へ延びる垂直部分45とを有する。第2頂部分28bは、第2側壁27bの頂部14に連接(溶接)されて頂部14から径方向外方へ延びる水平部分44と、水平部分44の延出端から上方へ延びる垂直部分45とを有する。第3頂部分28cは、第3側壁27cの頂部14に連接(溶接)されて頂部14から径方向外方へ延びる水平部分44と、水平部分44の延出端から上方へ延びる垂直部分45とを有する。第4頂部分28dは、第4側壁27dの頂部14に連接(溶接)されて頂部14から径方向外方へ延びる水平部分44と、水平部分44の延出端から上方へ延びる垂直部分45とを有する。
【0129】
底部分29は、第1〜第4側壁27a〜27bの底部12から径方向内方へ延びている。底部分29は、第1〜第4底部分29a〜29dから形成されている。調整ボルト30は、躯体24に対する土台管11bの高さおよび傾きを調整するとともに、土台管11bを躯体24に強固に固定する。調整ボルト30は、第1〜第4調整ボルト30a〜30dから形成されている。第1〜第4調整ボルト30a〜30dは、第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第1〜第4底部分29a〜29dとの間に延びるボルト30a〜30dの軸には、六角ナット32が螺着されている。
【0130】
長ナット31は、土台管11cの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aと、土台管11cの中央部27における第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bとから形成されている。幅止めボルト17は、土台管11cの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aと、土台管11cの中央部33における第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bとから形成されている。
【0131】
土台管固定工程の後、高さ・傾き調整工程を実施する。高さ・傾き調整工程では、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整して第1〜第4側壁27a〜27d(土台管11c)の高さおよび傾きを調整する。高さ・傾き調整工程の後、幅止めボルト設置工程を実施する。幅止めボルト設置工程では、第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aに第1幅止めボルト17aを螺着し、第1幅止めボルト17aによって第1側壁27aと第3側壁27cとを連結し、第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bに第2幅止めボルト17bを螺着し、第2幅止めボルト17bによって第2側壁27bと第4側壁27dとを連結する。
【0132】
第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第1および第3側壁27a,27cの変形が防止され、第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第2および第4側壁27b,27dの変形が防止される。
【0133】
幅止めボルト設置工程の後、離間寸法第1調整工程を実施する。離間寸法第1調整工程では、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が設計寸法と微妙に異なる場合、第1幅止めボルト17aを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁17a,17cの離間寸法を微調整し、離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0134】
また、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なる場合、第2幅止めボルト17bを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0135】
離間寸法第1調整工程の後、底部枠材固定工程を実施する。底部枠材13は、第1〜第4底部枠材13a〜13dから形成されている。底部枠材固定工程では、土台管11cの第1側壁27aの底部12における外面に第1底部枠材13aを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第1側壁27aに第1底部枠材13aを強固に固定する。土台管11cの第2側壁27bの底部12における外面に第2底部枠材13bを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第2側壁27bに第2底部枠材13bを固定する。さらに、土台管11cの第3側壁27cの底部12における外面に第3底部枠材13cを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第3側壁27cに第3底部枠材13cを固定する。土台管11cの第4側壁27dの底部12における外面に第4底部枠材13dを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第4側壁27dに第4底部枠材13dを固定する。
【0136】
底部枠材固定工程の後、躯体24に形成されたアンカーホールに新設鉄筋18を固定し、土台管11cおよびそれら枠材13,15の内側スペース16に新設鉄筋18を配筋する。内側スペース16に新設鉄筋18を配筋した後、新設防水材設置工程を実施する。新設防水材19にはシート防水が利用されている。新設防水材設置工程では、据付箇所における第1〜第4底枠部材13a〜13dの外側の既設断熱材25を取り除いた部分に新設断熱材37を配置し、新設防水材19を土台管11cの第1〜第4側壁27a〜27dの外面と第1〜第4底枠部材13a〜13dの外面とに設置する。さらに、新設防水材19を第1〜第4底枠部材13a〜13dから径方向外方に延長して設置し、新設防水材19によって第1〜第4底枠部材13a〜13dの周囲に設置された新設断熱材37と第1〜第4底枠部材13a〜13dの周囲に位置する躯体24とを被覆する。
【0137】
新設防水材設置工程の後、支持ボルト設置工程を実施する。支持ボルト21は、頂部分43(垂直部分45)の上に設置されたスペーサ22と、それらスペーサ22の上に設置されて支持ボルト21を挿脱可能に設置するボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)とを利用して設置される。支持ボルト設置工程では、スペーサ22を第2頂部分43b(垂直部分45)と第4頂部分43d(垂直部分45)との間に架け渡し、スペーサを第2頂部分43bと第4頂部分43dとに固定手段によって着脱可能に固定し、ボルト位置決め枠23をスペーサ22の上に固定手段によって着脱可能に固定する。スペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置すると、支持ボルト21の螺子上部38が第1〜第4頂部分43a〜43d(垂直部分45)の上端から上方へ露出し、支持ボルト21の螺子下部39が第1〜第4頂部分43a〜43d(垂直部分45)の上端から下方へ延びる。
【0138】
支持ボルト設置工程の後、セメント硬化物打設工程を実施する。セメント硬化物打設工程では、土台管11cおよび底部枠材13の内側スペース16にコンクリート20を打設する。なお、内側スペース16にコンクリート20を打設した後、新設防水材設置工程を実施してもよい。セメント硬化物打設工程におけるコンクリート20の打設過程(コンクリート20を打設中)において、離間寸法第2調整工程を実施する。
【0139】
内側スペース16にコンクリート20を打設する過程において、第1および第3側壁27a,27cにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a,27cの離間寸法が変化した場合、離間寸法第2調整工程において、第1幅止めボルト17aを回転させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0140】
また、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程において、第2および第4側壁27b,27dにコンクリートの側圧が作用し、それら側壁27b,27dの離間寸法が変化した場合、離間寸法第2調整工程において、第2幅止めボルト17bを回転させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0141】
内側スペース16に打設したコンクリート20の養生期間が経過した後、ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を実施する。ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程では、ボルト位置決め枠23をスペーサ22から取り外して支持ボルト21からボルト位置決め枠23を抜き取り、スペーサ22を頂部枠材15から取り外す。次に、土台管11cの頂部14から上方へ露出するコンクリート20の頂面と側面とに新設防水材(ウレタン防水)(図示せず)を設置する。さらに、第1〜第4側壁27a〜27dと第1〜第4底部枠材13a〜13dとの外側に化粧板42を配置し、化粧板42の上部をコンクリート20に固定し、化粧板42の下部を新設防水材19に固定することで、図20に示す基礎構造物10Cが完成する。
【0142】
基礎構造物据付方法は、中空の土台管11cと底部枠材13と幅止めボルト17との各基礎構成部品が製造工場においてあらかじめ量産されて汎用部品化(規格化)されており、既設建造物の躯体24の据付箇所においてマニュアル化された手順に従って基礎構造物10Cがユニットとして組み立てられるから、基礎構造物10Cを据え付ける際にその現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要はなく、据付箇所に土台管11cを固定しつつ調整ボルト30を利用して躯体24に対する土台管11cの高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁27a〜27dに幅止めボルト17を設置するとともに、土台管11cに底部枠材13を設置し、内側スペース16にコンクリート20を打設するだけで基礎構造物10Cを据付箇所に据え付けることができ、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。
【0143】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10Cの据付作業を簡略化することができるのみならず、コンクリート20の養生期間を待つことなく新設防水材19の設置作業が完了し、コンクリート20の養生期間を待つことなく基礎構造物10Cの据付作業が完了するから、基礎構造物10Cの据付時間にコンクリート20の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物10Cを迅速に据え付けることができ、工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物10Cの工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物10Cの構築にかかる人件費を大幅に低減することができるから、基礎構造物10Cの据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物10Cを廉価に構築することができる。基礎構造物据付方法は、施工現場の据付箇所において型枠を組み上げる必要はなく、マニュアル化された手順に従って基礎構造物10Cを組み立てることができるから、型枠工の技術がない作業者でも基礎構造物10Cを容易に構築することができる。
【0144】
基礎構造物据付方法は、土台管11cの第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔と躯体24に形成されたボルト孔とに第1〜第4調整ボルト30a〜30dが設置され、それら調整ボルト30a〜30dによって土台管11cが躯体24に固定されるとともに、コンクリート25の養生期間が経過した後にそれら調整ボルト30a〜30dや長ナット31a,31b、幅止めボルト17a,17b、新設鉄筋18がコンクリート20と一体になり、基礎構造物10Cにかかる荷重を調整ボルト30a〜30dや長ナット31a,31b、幅止めボルト17a,17b、新設鉄筋18、コンクリート20で分担するから、既設建造物の躯体24の所定の据付箇所に強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物10Cを構築することができる。
【0145】
基礎構造物据付方法は、土台管11cおよび枠材13の内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧が第1〜第4側壁27a〜27dに作用したとしても、土台管11cに設置された幅止めボルト17a,17bがコンクリート20の側圧による第1〜第4側壁27a〜27dの変形を防止するから、第1〜第4側壁27a〜27dが変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算(強度計算)された設計どおりの基礎構造物10Cを構築することができる。
【0146】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する前に、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が微調整され、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が微調整されるから、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法や第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Cを構築することができる。
【0147】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20打設中)において、第1〜第4側壁27a〜27dにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a〜27dの離間寸法が変化したとしても、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整することができ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整することができるから、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Cを構築することができる。
【0148】
基礎構造物据付方法は、躯体24に対する土台管11cの高さおよび傾きを第1〜第4調整ボルト30a〜30dによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管11cを水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物10Cを据え付ける場合に、それら基礎構造物10Cどうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物10Cの高さ寸法を均一に揃えることができる。
【0149】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10Cが既設建造物の屋上に据え付けられた場合でも、底部枠材13a〜13dの周囲に位置する躯体24が新設防水材19に被覆されるから、土台管11cや底部枠材13a〜13d、躯体24への水の侵入を防ぐことができ、土台管11cや底部枠材13a〜13dに水が進入することによる土台管11cや底部枠材13a〜13dの腐食や強度低下を防ぐことができ、躯体24に水が進入することによる躯体24の劣化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0150】
10A 基礎構造物
10B 基礎構造物
10C 基礎構造物
11a 土台管
11b 土台管
11c 土台管
12 底部
13 底部枠材
13a 第1底部枠材
13b 第2底部枠材
13c 第3底部枠材
13d 第4底部枠材
14 頂部
15 頂部枠材
15a 第1頂部枠材
15b 第2頂部枠材
15c 第3頂部枠材
15d 第4頂部枠材
16 内側スペース
17 幅止めボルト
17a 第1幅止めボルト
17b 第2幅止めボルト
17c 第3幅止めボルト
17d 第4幅止めボルト
18 新設鉄筋
19 新設防水材
20 コンクリート(セメント硬化物)
21 支持ボルト
22 スペーサ
23 ボルト位置決め枠(ボルト位置決め部材)
24 躯体
25 既設断熱材
26 既設防水材
27a 第1側壁
27b 第2側壁
27c 第3側壁
27d 第4側壁
28 頂部分
28a 第1頂部分
28b 第2頂部分
28c 第3頂部分
28d 第4頂部分
29 底部分
29a 第1底部分
29b 第2底部分
29c 第3底部分
29d 第4底部分
30 調整ボルト
30a 第1調整ボルト
30b 第2調整ボルト
30c 第3調整ボルト
30d 第4調整ボルト
31a 第1長ナット
31b 第2長ナット
31c 第3長ナット
31d 第4長ナット
32 六角ナット
33 中央部
34 水平部分
35 垂直部分
36 折曲部分
37 新設断熱材
38 螺子上部
36 螺子下部
37 既設断熱材
38 螺子上部
39 螺子下部
40 既設シンダーコンクリート
41 新設シンダーコンクリート
42 化粧板
43 頂部分
43a 第1頂部分
43b 第2頂部分
43c 第3頂部分
43d 第4頂部分
44 水平部分
45 垂直部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図18
図19
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図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2016年2月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設建造物にソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物の設置に使用する基礎構造物の据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設建造物では、その屋上にソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を備え付ける場合がある。通常、そのような機械器具や建築物は、その内部への水の侵入を防ぐ目的、機械器具や建築物の背面側のメンテナンスを可能にする目的からそれらが既設建造物の躯体に直に設置されることはなく、それらが躯体に据え付けられた基礎構造物の上に備え付けられる。
【0003】
そのような基礎構造物の一例として、特許文献1は、太陽電池パネル据え付け構造を開示している。特許文献1では、その従来技術として、太陽電池パネルの施工現場の据付箇所において型枠を組み上げ、その型枠内にコンクリートを打設・養生することにより基礎を作り、搬送されてきた太陽電池パネルおよびその架台をその基礎の上に備え付ける据付構造を紹介している。そのような従来技術の据付構造では、施工現場で型枠を組み上げなければならず、さらに、コンクリートの養生期間の経過後に型枠を解体しなければならないから、その分の手間と時間とがかかることはもちろん、型枠内に流し込んだコンクリートの養生に時間がかかり、短い工期で据付構造を作ることができない。
【0004】
かかる従来技術の問題点を解決するために、特許文献1に開示の太陽電池パネル据付構造では、太陽電池パネルを設置した架台をコンクリート製または鉄筋コンクリート製の基礎に取り付けた据付構造物を製造工場においてあらかじめ製造し、その据付構造物をビルの屋上や地下の施工現場に搬送する。その後、屋上や地下の据付箇所に薄いセメント層を形成し、そのセメント層を接着層としてその上に基礎を載せて据付箇所と一体化する。特許文献1に開示された太陽電池パネル据え付け構造は、太陽電池パネルを備え付けるための基礎を作る際に施工現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要がないから、その分の手間と時間とが省け、施工現場における施工作業を簡略化することができるとともに、コンクリートを養生する時間を省くことができ、その分の工期を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−070188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示の太陽電池パネル据付構造では、施工現場においてコンクリートを養生する必要はないが、製造工場においてコンクリートを養生して基礎を作らなければならず、基礎の製造にコンクリートの養生が必要であることに変わりはなく、基礎の製造に時間を要する。さらに、製造した据付構造物を工場から施工現場に搬送する必要があり、相当な重量を有する据付構造物を搬送する手間や時間、輸送コストを要するから、据付構造物を据え付ける労力やコストを低減することができない。また、工場で製造された据付構造物を屋上や地下の据付箇所に設置する場合、コンクリート層を接着層として据付箇所に固定する方法や凹部を据付箇所に形成して基礎の下端をその凹部に嵌め込む方法しか採用できず、据付構造物を据付箇所に強固に据え付けることができない。
【0007】
本発明の目的は、基礎構造物の据付に要する労力やコストを低減することができるとともに、基礎構造物を短い工期で据え付けることができる基礎構造物据付方法を提供することにある。本発明の他の目的は、基礎構造物を既設建造物の躯体の所定の据付箇所に強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を支持することが可能な頑丈な基礎構造物を据え付けることができる基礎構造物据付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の前提は、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を据え付ける基礎構造物据付方法である。
【0009】
前記前提における本発明の第1の特徴として、基礎構造物据付方法では、中空の土台管と底部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が利用され、土台管が、互いに対向して上下方向へ延びる第1および第3側壁と、第1および第3側壁に直交しつつ互いに対向して上下方向へ延びる第2および第4側壁と、第1〜第4側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる頂部分と、第1〜第4側壁の底部から径方向内方へ延びる底部分と、底部分に形成されたボルト孔に設置された調整ボルトと、第1〜第4側壁の内壁面に固定された長ナットとを有し、基礎構造物据付方法が、土台管を据付箇所に載置しつつ、躯体に形成されたボルト孔に調整ボルトを螺着して土台管を据付箇所に固定する土台管固定工程と、調整ボルトを利用して躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整する高さ・傾き調整工程と、第1および第3側壁に固定された長ナットに幅止めボルトを螺着して幅止めボルトによって第1および第3側壁を連結するとともに、第2および第4側壁に固定された長ナットに幅止めボルトを螺着して幅止めボルトによって第2および第4側壁を連結する幅止めボルト設置工程と、土台管の底部に底部枠材を固定する底部枠材固定工程と、土台管および底部枠材の外周面全域に新設防水材を設置する新設防水材設置工程と、土台管および底部枠材の内側スペースにセメント硬化物を打設するセメント硬化物打設工程とを有することにある。
【0010】
前記第1の特徴を有する本発明の一例としては、基礎構造物据付方法が、セメント硬化物打設工程の前に、土台管の頂部分から上方へ延びる螺子上部と頂部分から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを頂部分に設置する支持ボルト設置工程を含み、基礎構造物据付方法では、セメント硬化物打設工程によって内側スペースにセメント硬化物を打設すると、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する。
【0011】
前記第1の特徴を有する本発明の他の一例として、支持ボルト設置工程では、土台管の頂部分の上に設置されるスペーサと、スペーサの上に設置されて頂部分から上方へ離間し、支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、基礎構造物据付方法がセメント硬化物を養生した後に頂部分からボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む。
【0012】
前記前提における本発明の第2の特徴として、基礎構造物据付方法では、中空の土台管と底部枠材と頂部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が利用され、土台管が、互いに対向して上下方向へ延びる第1および第3側壁と、第1および第3側壁に直交しつつ互いに対向して上下方向へ延びる第2および第4側壁と、第1〜第4側壁の頂部から径方向外方へ延びる頂部分と、第1〜第4側壁の底部から径方向内方へ延びる底部分と、底部分に形成されたボルト孔に設置された調整ボルトと、第1〜第4側壁の内壁面に固定された長ナットとを有し、基礎構造物据付方法が、土台管を据付箇所に載置しつつ、躯体に形成されたボルト孔に調整ボルトを螺着して土台管を据付箇所に固定する土台管固定工程と、調整ボルトを利用して躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整する高さ・傾き調整工程と、第1および第3側壁に固定された長ナットに幅止めボルトを螺着して幅止めボルトによって第1および第3側壁を連結するとともに、第2および第4側壁に固定された長ナットに幅止めボルトを螺着して幅止めボルトによって第2および第4側壁を連結する幅止めボルト設置工程と、土台管の底部に底部枠材を固定する底部枠材固定工程と、土台管の頂部分に頂部枠材を着脱可能に設置する頂部枠材設置工程と、土台管および底部枠材の外周面全域に新設防水材を設置する新設防水材設置工程と、土台管およびそれら枠材の内側スペースにセメント硬化物を打設するセメント硬化物打設工程と、セメント硬化物を養生した後に土台管の頂部分から頂部枠材を取り外す頂部枠材取り外し工程とを有することにある。
【0013】
前記第2の特徴を有する本発明の一例としては、基礎構造物据付方法が、セメント硬化物打設工程の前に、頂部枠材から上方へ延びる螺子上部と頂部枠材から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを頂部枠材に設置する支持ボルト設置工程を含み、基礎構造物据付方法では、セメント硬化物打設工程によって内側スペースにセメント硬化物を打設すると、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する。
【0014】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例として、支持ボルト設置工程では、頂部枠材の上に設置されるスペーサと、スペーサの上に設置されて頂部枠材から上方へ離間し、支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、基礎構造物据付方法がセメント硬化物を養生した後に頂部枠材からボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む。
【0015】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、頂部分が、第1側壁の頂部から径方向外方へ延びる第1頂部分と、第2側壁の頂部から径方向外方へ延びる第2頂部分と、第3側壁の頂部から径方向外方へ延びる第3頂部分と、第4側壁の頂部から径方向外方へ延びる第4頂部分とから形成され、頂部枠材が、第1側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第1頂部枠材と、第2側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第2頂部枠材と、第3側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第3頂部枠材と、第4側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第4頂部枠材とから形成され、頂部枠材設置工程では、第1頂部枠材を第1頂部分に着脱可能に設置し、第2頂部枠材を第2頂部分に着脱可能に設置し、第3頂部枠材を第3頂部分に着脱可能に設置するとともに、第4頂部枠材を第4頂部分に着脱可能に設置する。
【0016】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の一例としては、基礎構造物据付方法が、幅止めボルト設置工程の後であってセメント硬化物打設工程の前に、幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第1調整工程を含む。
【0017】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、基礎構造物据付方法が、セメント硬化物打設工程におけるセメント硬化物の打設過程において、幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第2調整工程を含む。
【0018】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例として、基礎構造物据付方法では、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形と第2および第4側壁の変形とが幅止めボルトによって防止される。
【0019】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、新設防水材設置工程が、セメント硬化物打設工程の前、または、セメント硬化物打設工程の後に実施され、基礎構造物据付方法では、内側スペースに打設されたセメント硬化物の養生期間を待つことなく、新設防水材の設置作業が完了するとともに基礎構造物の据付作業が完了する。
【0020】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例として、新設防水材設置工程では、新設防水材を底部枠材から径方向に延長し、底部枠材の周囲に位置する躯体を新設防水材によって被覆する。
【0021】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、長ナットが、土台管の中央部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第1長ナットと、土台管の中央部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第2長ナットとから形成され、幅止めボルトが、それら第1長ナットに螺着される第1幅止めボルトと、それら第2長ナットに螺着される第2幅止めボルトとから形成されている。
【0022】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、長ナットが、土台管の頂部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第3長ナットと、土台管の頂部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第4長ナットとから形成され、幅止めボルトが、それら第3長ナットに螺着される第3幅止めボルトと、それら第4長ナットに螺着される第4幅止めボルトとから形成されている。
【0023】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、底部枠材が、第1側壁の底部から下方へ延びていて第1側壁と躯体との間の間隙を塞ぐ第1底部枠材と、第2側壁の底部から下方へ延びていて第2側壁と躯体との間の間隙を塞ぐ第2底部枠材と、第3側壁の底部から下方へ延びていて第3側壁と躯体との間の間隙を塞ぐ第3底部枠材と、第4側壁の底部から下方へ延びていて第4側壁と躯体との間の間隙を塞ぐ第4底部枠材とから形成され、底部枠材固定工程では、第1底部枠材を第1側壁の底部に固定し、第2底部枠材を第2側壁の底部に固定し、第3底部枠材を第3側壁の底部に固定するとともに、第4底部枠材を第4側壁の底部に固定する。
【0024】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、底部分が、第1側壁の底部から径方向内方へ延びる第1底部分と、第2側壁の底部から径方向内方へ延びる第2底部分と、第3側壁の底部から径方向内方へ延びる第3底部分と、第4側壁の底部から径方向内方へ延びる第4底部分とから形成され、調整ボルトが、第1底部分に形成されたボルト孔に設置された第1調整ボルトと、第2底部分に形成されたボルト孔に設置された第2調整ボルトと、第3底部分に形成されたボルト孔に設置された第3調整ボルトと、第4底部分に形成されたボルト孔に設置された第4調整ボルトとから形成されている。
【発明の効果】
【0025】
前記第1の特徴を有する基礎構造物据付方法によれば、中空の土台管と底部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が製造工場においてあらかじめ量産されて汎用部品化(規格化)されており、既設建造物の躯体の据付箇所においてマニュアル化された手順に従って基礎構造物がユニットとして組み立てられるから、基礎構造物を据え付ける際にその現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要はなく、据付箇所に土台管を固定しつつ調整ボルトを利用して躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁に幅止めボルトを設置するとともに、土台管に底部枠材を設置し、内側スペースにセメント硬化物を打設するだけで基礎構造物を据付箇所に据え付けることができ、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物の据付作業を簡略化することができるのみならず、セメント硬化物の養生期間を待つことなく新設防水材の設置作業が完了し、セメント硬化物の養生期間を待つことなく基礎構造物の据付作業が完了するから、基礎構造物の据付時間にセメント硬化物の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物を迅速に据え付けることができ、工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物の構築にかかる人件費を大幅に低減することができるから、基礎構造物の据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物を廉価に構築することができる。基礎構造物据付方法は、施工現場の据付箇所において型枠を組み上げる必要はなく、マニュアル化された手順に従って基礎構造物を組み立てることができるから、型枠工の技術がない作業者でも基礎構造物を容易に構築することができる。基礎構造物据付方法は、躯体に形成されたボルト孔に調整ボルトが螺着され、調整ボルトによって土台管が躯体に固定されるとともに、セメント硬化物の養生期間が経過した後に調整ボルトがセメント硬化物と一体になり、基礎構造物にかかる荷重を調整ボルトとセメント硬化物とで分担するから、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が土台管の第1〜第4側壁に作用したとしても、土台管に設置された幅止めボルトがセメント硬化物の側圧による第1〜第4側壁の変形を防止するから、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整ボルトによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管を水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物を設置する場合にそれら基礎構造物どうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物の高さ寸法を均一に揃えることができる。
【0026】
セメント硬化物打設工程の前に、土台管の頂部分から上方へ延びる螺子上部と頂部分から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを頂部分に設置する支持ボルト設置工程を含み、セメント硬化物打設工程によって内側スペースにセメント硬化物を打設すると、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する基礎構造物据付方法は、セメント硬化物から上方へ露出する支持ボルトにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を強固に固定することができ、支持ボルトを利用することでそれらの機械器具やそれら建築物を基礎構造物に強固に備え付けることが可能な基礎構造物を構築することができる。
【0027】
支持ボルト設置工程において、土台管の頂部分の上に設置されるスペーサと、スペーサの上に設置されて頂部分から上方へ離間し、支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、セメント硬化物を養生した後に頂部分からボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む基礎構造物据付方法は、スペーサを土台管の頂部分の上に設置し、支持ボルトを設置したボルト位置決め部材をスペーサの上に設置した後、内側スペースにセメント硬化物を打設し、セメント硬化物を養生した後、ボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すことで、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に固定され、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方へ露出するから、スペーサとボルト位置決め部材とを利用することで、正確に位置決めされたセメント硬化物の固定位置に支持ボルトの螺子下部を容易に設置することができ、その支持ボルトの螺子上部をセメント硬化物から上方に露出させることができる。基礎構造物据付方法は、セメント硬化物から上方へ露出する支持ボルトにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を強固に固定することができ、支持ボルトを利用することでそれらの機械器具やそれら建築物を基礎構造物に強固に備え付けることが可能な基礎構造物を構築することができる。
【0028】
前記第1の特徴を有する基礎構造物据付方法によれば、中空の土台管と底部枠材と頂部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が製造工場においてあらかじめ量産されて汎用部品化(規格化)されており、既設建造物の躯体の据付箇所においてマニュアル化された手順に従って基礎構造物がユニットとして組み立てられるから、基礎構造物を据え付ける際にその現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要はなく、据付箇所に土台管を固定しつつ調整ボルトを利用して躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁に幅止めボルトを設置するとともに、土台管に底部枠材と頂部枠材とを設置し、内側スペースにセメント硬化物を打設するだけで基礎構造物を据付箇所に据え付けることができ、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物の据付作業を簡略化することができるのみならず、セメント硬化物の養生期間を待つことなく新設防水材の設置作業が完了し、セメント硬化物の養生期間を待つことなく基礎構造物の据付作業が完了するから、基礎構造物の据付時間にセメント硬化物の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物を迅速に据え付けることができ、工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物の構築にかかる人件費を大幅に低減することができるから、基礎構造物の据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物を廉価に構築することができる。基礎構造物据付方法は、施工現場の据付箇所において型枠を組み上げる必要はなく、マニュアル化された手順に従って基礎構造物を組み立てることができるから、型枠工の技術がない作業者でも基礎構造物を容易に構築することができる。基礎構造物据付方法は、躯体に形成されたボルト孔に調整ボルトが螺着され、調整ボルトによって土台管が躯体に固定されるとともに、セメント硬化物の養生期間が経過した後に調整ボルトがセメント硬化物と一体になり、基礎構造物にかかる荷重を調整ボルトとセメント硬化物とで分担するから、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が土台管の第1〜第4側壁に作用したとしても、土台管に設置された幅止めボルトがセメント硬化物の側圧による第1〜第4側壁の変形を防止するから、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、躯体に対する土台管の高さおよび傾きを調整ボルトによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管を水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物を設置する場合にそれら基礎構造物どうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物の高さ寸法を均一に揃えることができる。
【0029】
セメント硬化物打設工程の前に、頂部枠材から上方へ延びる螺子上部と頂部枠材から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを頂部枠材に設置する支持ボルト設置工程を含み、セメント硬化物打設工程によって内側スペースにセメント硬化物を打設すると、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する基礎構造物据付方法は、セメント硬化物から上方へ露出する支持ボルトにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を強固に固定することができ、支持ボルトを利用することでそれらの機械器具やそれら建築物を基礎構造物に強固に備え付けることが可能な基礎構造物を構築することができる。
【0030】
支持ボルト設置工程において、頂部枠材の上に設置されるスペーサと、スペーサの上に設置されて頂部枠材から上方へ離間し、支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、セメント硬化物を養生した後に頂部枠材からボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む基礎構造物据付方法は、スペーサを頂部枠材の上に設置し、支持ボルトを設置したボルト位置決め部材をスペーサの上に設置した後、内側スペースにセメント硬化物を打設し、セメント硬化物を養生した後、ボルト位置決め部材とスペーサとを取り外すことで、支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に固定され、支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方へ露出するから、スペーサとボルト位置決め部材とを利用することで、正確に位置決めされたセメント硬化物の固定位置に支持ボルトの螺子下部を容易に設置することができ、その支持ボルトの螺子上部をセメント硬化物から上方に露出させることができる。基礎構造物据付方法は、セメント硬化物から上方へ露出する支持ボルトにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を強固に固定することができ、支持ボルトを利用することでそれらの機械器具やそれら建築物を基礎構造物に強固に備え付けることが可能な基礎構造物を構築することができる。
【0031】
頂部分が第1〜第4頂部分から形成され、頂部枠材が第1〜第4頂部枠材から形成され、頂部枠材設置工程において、第1頂部枠材を第1頂部分に着脱可能に設置し、第2頂部枠材を第2頂部分に着脱可能に設置し、第3頂部枠材を第3頂部分に着脱可能に設置するとともに、第4頂部枠材を第4頂部分に着脱可能に設置する基礎構造物据付方法は、第1〜第4頂部枠材が製造工場において製造されて汎用部品化(規格化)されており、マニュアル化された手順に従ってそれら頂部枠材を土台管の第1〜第4頂部分に設置するだけで頂部枠材が組み立てられるから、土台管の頂部に型枠を組み上げる必要やその型枠を解体する必要はなく、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。基礎構造物据付方法は、頂部枠材の設置作業を簡略化することができるから、据付箇所に基礎構造物を迅速に据え付けることができ、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができる。
【0032】
幅止めボルト設置工程の後であってセメント硬化物打設工程の前に、幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第1調整工程を含む基礎構造物据付方法は、セメント硬化物打設工程の前に幅止めボルトによって第1および第3側壁の離間寸法や第2および第4側壁の離間寸法を微調整することができるから、第1および第3側壁の離間寸法や第2および第4側壁の離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0033】
セメント硬化物打設工程におけるセメント硬化物の打設過程において、幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第2調整工程を含む基礎構造物据付方法は、内側スペースにセメント硬化物を打設する過程において、第1および第3側壁や第2および第4側壁にセメント硬化物の側圧が作用し、それら側壁の離間寸法が変化したとしても、幅止めボルトによって第1および第3側壁の離間寸法を微調整することができ、幅止めボルトによって第2および第4側壁の離間寸法を微調整することができるから、それら側壁の離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0034】
内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形と第2および第4側壁の変形とが幅止めボルトによって防止される基礎構造物据付方法は、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形を幅止めボルトによって阻止することができるから、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が第1〜第4側壁に作用したとしても、第1〜第4側壁が不用意に変形することはなく、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0035】
新設防水材設置工程がセメント硬化物打設工程の前またはセメント硬化物打設工程の後に実施され、内側スペースに打設されたセメント硬化物の養生期間を待つことなく、新設防水材の設置作業が完了するとともに基礎構造物の据付作業が完了する基礎構造物据付方法は、セメント硬化物の養生期間を待つことなく新設防水材の設置作業が完了するとともに据付基礎構造物の据付作業が完了するから、基礎構造物の据付時間にセメント硬化物の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物を迅速に据え付けることができ、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物の構築にかかる人件費を大幅に低減することができる。その結果、基礎構造物の据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物を廉価に構築することができる。
【0036】
新設防水材設置工程において、新設防水材を底部枠材から径方向に延長し、底部枠材の周囲に位置する躯体を新設防水材によって被覆する基礎構造物据付方法は、基礎構造物が既設建造物の屋上に据え付けられる場合でも、底部枠材の周囲に位置する躯体が新設防水材に被覆されるから、土台管や底部枠材、躯体への水の侵入を防ぐことができ、土台管や底部枠材に水が進入することによる土台管や底部枠材の腐食や強度低下を防ぐことができ、躯体に水が進入することによる躯体の劣化を防ぐことができる。
【0037】
長ナットが土台管の中央部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第1長ナットと土台管の中央部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第2長ナットとから形成され、幅止めボルトがそれら第1長ナットに螺着される第1幅止めボルトとそれら第2長ナットに螺着される第2幅止めボルトとから形成されている基礎構造物据付方法は、第1長ナットに螺着された第1幅止めボルトが内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形を防止し、第2長ナットに螺着された第2幅止めボルトが内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第2および第4側壁の変形を防止するから、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が第1〜第4側壁に作用したとしても、第1〜第4側壁が不用意に変形することはなく、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、セメント硬化物の養生期間が経過した後に調整ボルトと第1長ナットおよび第1幅止めボルトと第2長ナットおよび第2幅止めボルトとがセメント硬化物と一体になり、基礎構造物にかかる荷重を調整ボルトと第1長ナットおよび第1幅止めボルトと第2長ナットおよび第2幅止めボルトとセメント硬化物とで分担するから、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、第1幅止めボルトによって第1および第3側壁の離間寸法を微調整することができ、第2幅止めボルトによって第2および第4側壁の離間寸法を微調整することができるから、第1および第3側壁の離間寸法や第2および第4側壁の離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0038】
長ナットが土台管の頂部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第3長ナットと土台管の頂部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第4長ナットとから形成され、幅止めボルトがそれら第3長ナットに螺着される第3幅止めボルトとそれら第4長ナットに螺着される第4幅止めボルトとから形成されている基礎構造物据付方法は、第3長ナットに螺着された第3幅止めボルトが内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第1および第3側壁の変形を防止し、第4長ナットに螺着された第4幅止めボルトが内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による第2および第4側壁の変形を防止するから、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が第1〜第4側壁に作用したとしても、第1〜第4側壁が不用意に変形することはなく、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、セメント硬化物の養生期間が経過した後に調整ボルトと第3長ナットおよび第3幅止めボルトと第4長ナットおよび第4幅止めボルトとがセメント硬化物と一体になり、基礎構造物にかかる荷重を調整ボルトと第3長ナットおよび第3幅止めボルトと第4長ナットおよび第4幅止めボルトとセメント硬化物とで分担するから、既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物を構築することができる。基礎構造物据付方法は、第3幅止めボルトによって第1および第3側壁の離間寸法を微調整することができ、第4幅止めボルトによって第2および第4側壁の離間寸法を微調整することができるから、第1および第3側壁の離間寸法や第2および第4側壁の離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物を構築することができる。
【0039】
底部枠材が第1〜第4底部枠材から形成され、底部枠材固定工程において、第1底部枠材を第1側壁の底部に固定し、第2底部枠材を第2側壁の底部に固定し、第3底部枠材を第3側壁の底部に固定するとともに、第4底部枠材を第4側壁の底部に固定する基礎構造物据付方法は、第1〜第4底部枠材が製造工場において製造されて汎用部品化されており、マニュアル化された手順に従ってそれら底部枠材を土台管の第1〜第4側壁の底部に設置するだけで底部枠材が完成するから、土台管の底部に型枠を組み上げる必要やその型枠を解体する必要はなく、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。基礎構造物据付方法は、底部枠材の設置作業を簡略化することができるから、据付箇所に基礎構造物を迅速に据え付けることができ、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、第1〜第4底部枠材が第1〜第4側壁と躯体との間の間隙を塞ぐから、土台管の底部から内側スペースへの水分の進入を防ぐことができ、水分が進入することによる躯体の劣化を防ぐことができる。
【0040】
底部分が第1〜第4底部分から形成され、調整ボルトが第1底部分に設置された第1調整ボルトと第2底部分に設置された第2調整ボルトと第3底部分に設置された第3調整ボルトと第4底部分に設置された第4調整ボルトとから形成されている基礎構造物据付方法は、躯体に対する土台管の高さおよび傾きを第1〜第4調整ボルトによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管を水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物を設置する場合にそれら基礎構造物どうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物の高さ寸法を均一に揃えることができる。基礎構造物据付方法は、第1〜第4底部分に形成されたボルト孔と躯体のボルト孔とに設置された第1〜第4調整ボルトによって土台管を据付箇所に固定するから、マニュアル化された手順に従って躯体に対して土台管を容易に固定するができ、基礎構造物の工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、第1〜第4調整ボルトが躯体のボルト孔に設置されるから、内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧が第1〜第4側壁に作用したとしても、躯体に固定された第1〜第4調整ボルトによってセメント硬化物の側圧による第1〜第4側壁の不用意な変形が防止され、第1〜第4側壁が変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算された設計どおりの基礎構造物を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】一例として示す基礎構造物の斜視図。
図2図1の基礎構造物の断面図。
図3】据付箇所に土台管を設置した後の断面図。
図4】土台管に底枠部材を設置した後の断面図。
図5】土台管および第1〜第4底部枠材の斜視図。
図6】土台管に頂枠部材を設置した後の断面図.
図7】第1〜第4頂部枠材の斜視図。
図8図6の上面図。
図9】新設断熱材と新設防水材とを設置し、頂部枠材にスペーサとボルト位置決め枠とを設置した後の断面図。
図10図9の上面図。
図11】土台管および枠材の内側スペースにコンクリートを打設した後の断面図。
図12】他の一例として示す基礎構造物の斜視図。
図13図12の基礎構造物の断面図。
図14】据付箇所に土台管を設置した後の断面図。
図15】土台管に底枠部材を設置した後の断面図。
図16】土台管および第1〜第4底部枠材の斜視図。
図17】土台管に頂枠部材を設置した後の断面図。
図18】新設断熱材と新設防水材とシンダーコンクリートとを設置し、頂部枠材にスペーサとボルト位置決め枠とを設置した後の断面図。
図19】土台管および枠材の内側スペースにコンクリートを打設した後の断面図。
図20】他の一例として示す据付基礎構造物の断面図。
図21】土台管および第1〜第4底部枠材の斜視図。
図22図21の上面図。
図23】据付箇所に土台管を設置するとともに、土台管に底枠部材を設置した後の断面図。
図24】新設断熱材と新設防水材とを設置し、頂部分にスペーサとボルト位置決め枠とを設置した後の断面図。
図25図24の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
一例として示す基礎構造物10Aの斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる基礎構造物据付方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、図1の基礎構造物10Aの断面図であり、図3は、据付箇所に土台管11aを設置した後の断面図である。図4は、土台管11aに底枠部材13を設置した後の断面図であり、図5は、土台管11aおよび第1〜第4底部枠材13a〜13dの斜視図である。図1では、上下方向を矢印X1、横方向(径方向)を矢印X2で示し、前後方向(径方向)を矢印X3で示す。それら図(後記する図6図11を含む)を参照し、基礎構造物10Aを基礎構造物ビルの屋上に設置する場合を例として、基礎構造物据付方法の各工程を説明すると、以下のとおりである。
【0043】
図1では、既設のビル(既設建造物)の屋上に据え付けられた1つの基礎構造物10Aを図示しているが、基礎構造物10Aの数を図示のそれに限定するものではなく、一般的には複数の基礎構造物10Aが前後方向や横方向へ一列に並んだ状態でビルの屋上に据え付けられる。基礎構造物10Aは、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設防水材26と既設断熱材25とを取り除いた躯体24(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に据え付けられる。
【0044】
なお、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26とを取り除いた躯体24(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に基礎構造物10Aが据え付けられる場合があり、または、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設シンダーコンクリート40と既設防水材26とを取り除いた躯体24(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に基礎構造物10Aが据え付けられる場合がある。
【0045】
基礎構造物据付方法では、据付準備工程、土台管固定工程、高さ・傾き調整工程、幅止めボルト設置工程、底部枠材固定工程、頂部枠材設置工程、新設防水材設置工程、支持ボルト設置工程、セメント硬化物打設工程、ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程、頂部枠材取り外し工程を実施することにより、据付箇所に基礎構造物10Aを据え付ける。
【0046】
基礎構造物10Aは、中空の土台管11aと、土台管11aの底部12に固定されて底部12から下方へ延びる底部枠材13と、土台管11aの頂部14に着脱可能に設置されて頂部14から径方向外方へ延びるとともに上方へ延びる頂部枠材15と、土台管11aの内側スペース16に設置された幅止めボルト17と、土台管11aおよびそれら枠材13,14の内側スペース16に配筋された新設鉄筋18、土台管11aと底部枠材13との外周面全域に設置された新設防水材19と、内側スペース16に打設されたコンクリート20(セメント硬化物)と、コンクリート20に設置された支持ボルト21とから作られている。なお、支持ボルト21は、スペーサ22およびボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)を利用して設置される。
【0047】
土台管11aや底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17、支持ボルト21の基礎構成部材は、汎用部品化(規格化)され、製造工場においてあらかじめ製造される大量生産品である。基礎構造物据付方法では、それら基礎構成部材を使用して所定のマニュアル化された手順によって基礎構造物10Aを組み立てる。最初に、据付準備工程を実施する。それら基礎構成部材(土台管11a、底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17、支持ボルト21)を輸送手段によって製造工場から施工現場(ビルの屋上)に搬送する。
【0048】
基礎構造物10Aを据え付けるビルの屋上は、躯体24(鉄筋コンクリート躯体)と、躯体24の上に施設された(重なる)既設断熱材25と、既設断熱材25の上に施設された(重なる)既設防水材26とから形成されている。据付準備工程では、ビルの屋上における基礎構造物10Aの据付箇所を位置決めし(墨出しする)、位置決めした据付箇所にマーキングをした後、その据付箇所において、既設防水材26と既設断熱材25とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。次に、据付箇所の躯体24に配筋された既設鉄筋の位置をセンサを利用して検出する。躯体24の既設鉄筋の位置を検出した後、躯体24の各既設鉄筋を避けた位置に新設鉄筋19を固定するアンカーホールを穿孔するとともに、後記する第1〜第4調整ボルト30a〜30dを螺着するボルト孔を穿孔する。
【0049】
なお、ビルの屋上が既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26と躯体24(鉄筋コンクリート躯体)とから形成されている場合、既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。また、ビルの屋上が既設シンダーコンクリート40と既設防水材26と躯体24(鉄筋コンクリート躯体)とから形成されている場合、既設シンダーコンクリート40と既設防水材26とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。
【0050】
据付準備工程の作業が終了した後、土台管11aを固定する土台管固定工程を実施する。土台管固定工程では、図3に示すように、据付箇所における躯体24の土台管設置位置に土台管11aを載置し、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸を躯体24に形成されたボルト孔に螺着して土台管11aを躯体24に固定する。土台管11aは、第1〜第4側壁27a〜27dと頂部分28と底部分29と調整ボルト30と長ナット31とを有する。
【0051】
土台管11aは、亜鉛メッキ鋼板を切削加工や折曲げ加工、溶接加工することによって製造されている。土台管11aを切削加工や折曲げ加工、溶接加工によって量産することができ、土台管11aの製造コストを大幅に節約することができるとともに、据付基礎構造物10Aの据付コストを少なくすることができる。なお、土台管11aは、その他の鋼材板やアルミ板、鉄板、合金板等の金属板から作ることができ、または、合成樹脂板から作ることができる。土台管11aが合成樹脂板から作られる場合、射出成型やプレス成形によって土台管11aを量産することができ、土台管11aの製造コストを大幅に節約することができるとともに、据付基礎構造物10Aの据付コストを少なくすることができる。
【0052】
第1および第3側壁27a,27cは、横方向へ長い矩形に成型され、互いに対向して上下方向へ延びている。第2および第4側壁27b,27dは、前後方向へ長い矩形に成型され、第1および第3側壁27a,27cに直交しつつ(直角に交差しつつ)互いに対向して上下方向へ延びている。第1〜第4側壁の底部には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。第1〜第4側壁27a〜27dや頂部分28、底部分29の厚み寸法は、2〜2.5mmの範囲にある。土台管11aを躯体24に固定すると、土台管11aの第1〜第4側壁27a〜27dが躯体24から上方へ離間し、躯体24と土台管11aとの間に間隙が形成される。
【0053】
頂部分28は、第1側壁27aの頂部14から径方向外方へ延びていて第1側壁27aの頂部14に連接(溶接)された第1頂部分28aと、第2側壁27bの頂部14から径方向外方へ延びていて第2側壁27bの頂部14に連接(溶接)された第2頂部分28bと、第3側壁27cの頂部14から径方向外方へ延びていて第3側壁27cの頂部14に連接(溶接)された第3頂部分28cと、第4側壁27dの頂部14から径方向外方へ延びていて第4側壁27dの頂部14に連接(溶接)された第4頂部分28dとから形成されている。第1〜第4頂部分28a〜28dは、第1〜第4側壁27a〜27dに対して直交(直角に交差)している。第1〜第4頂部分28a〜28dには、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。
【0054】
底部分29は、第1側壁27aの底部12から径方向内方へ延びていて第1側壁27aの底部12に連結(溶接)された第1底部分29aと、第2側壁27bの底部12から径方向内方へ延びていて第2側壁27bの底部12に連接(溶接)された第2底部分29bと、第3側壁27cの底部12から径方向内方へ延びていて第3側壁27cの底部12に連接(溶接)された第3底部分29cと、第4側壁27dの底部12から径方向内方へ延びていて第4側壁27dの底部12に連接(溶接)された第4底部分29dとから形成されている。第1〜第4底部分29a〜29dは、第1〜第4側壁27a〜27dに対して直交(直角に交差)している。第1〜第4底部分29a〜29dには、調整ボルト30を挿通(設置)するボルト孔が形成(穿孔)されている。
【0055】
調整ボルト30は、鋼材やアルミ、鉄、合金等の金属、または、合成樹脂から作られている。調整ボルト30は、雄螺子(図示せず)が作られた軸とボルトヘッドとから形成された六角ボルトである。調整ボルト30は、躯体24に対する土台管11aの高さおよび傾きを調整するとともに、土台管11aを躯体24に強固に固定する。調整ボルト30は、第1底部分29aに設置される第1調整ボルト30aと、第2底部分29bに設置される第2調整ボルト30bと、第3底部分29cに設置される第3調整ボルト30cと、第4底部分29dに設置される第4調整ボルト30dとから形成されている(図8の上面図を参照)。
【0056】
第1調整ボルト30aは、第1底部分29aに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第1底部分29aとの間に延びるボルト30aの軸には、六角ナット32が螺着されている。土台管固定工程において、第1調整ボルト30aの軸を躯体24のボルト孔に螺着することで、第1側壁27a(土台管11a)が躯体24に強固に固定される。
【0057】
第2調整ボルト30bは、第2底部分29bに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第2底部分29bとの間に延びるボルト30bの軸には、六角ナット32が螺着されている。土台管固定工程において、第2調整ボルト30bの軸を躯体24のボルト孔に螺着することで、第2側壁27b(土台管11a)が躯体24に強固に固定される。
【0058】
第3調整ボルト30cは、第3底部分29cに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第3底部分29cとの間に延びるボルト30cの軸には、六角ナット32が螺着されている。土台管固定工程において、第3調整ボルト30cの軸を躯体24のボルト孔に螺着することで、第3側壁27c(土台管11a)が躯体24に強固に固定される。
【0059】
第4調整ボルト30dは、第4底部分29dに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第4底部分29dとの間に延びるボルト30dの軸には、六角ナット32が螺着されている。土台管固定工程において、第4調整ボルト30dの軸を躯体24のボルト孔に螺着することで、第4側壁27d(土台管11a)が躯体に強固に固定される。
【0060】
長ナット31は、土台管11aの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aと、土台管11aの中央部33における第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bとから形成されている。幅止めボルト17は、土台管11aの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aと、土台管11aの中央部33における第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bとから形成されている。工場から搬送された土台管11aには、第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔に第1〜第4調整ボルト30a〜30dが挿通(設置)され、それら調整ボルトト30a〜30dに六角ナット32が螺着されているとともに、第1〜第4側壁27a〜27dの内壁面に第1および第2長ナット31a,31bが溶接されている。
【0061】
土台管固定工程の作業が終了した後、土台管11aの高さや傾き調整する高さ・傾き調整工程を実施する。高さ・傾き調整工程では、第1調整ボルト30aの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整することで、躯体24に対する第1側壁27a(土台管11a)の高さおよび傾きを調整し、第2調整ボルト30bの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整することで、躯体24に対する第2側壁27b(土台管11a)の高さおよび傾きを調整する。さらに、第3調整ボルト30cの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整することで、躯体24に対する第3側壁27c(土台管11a)の高さおよび傾きを調整し、第4調整ボルト30dの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整することで、躯体24に対する第4側壁27d(土台管11a)の高さおよび傾きを調整する。ナット32を時計回りに回転させることで、土台管11aを躯体24から離間するように移動(上昇)させることができ、ナット32を反時計回りに回転させることで、土台管11aを躯体24に近づくように移動(下降)させることができる。
【0062】
高さ・傾き調整工程の作業が終了した後、土台管11aに幅止めボルト17a,17bを設置する幅止めボルト設置工程を実施する。幅止めボルト設置工程では、土台管11aの第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定(溶接)された第1長ナット31aに第1幅止めボルト17aを螺着し、第1幅止めボルト17aによって第1側壁27aと第3側壁27cとを連結し、土台管11aの第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定(溶接)された第2長ナット31bに第2幅止めボルト17bを螺着し、第2幅止めボルト17bによって第2側壁27bと第4側壁27dとを連結する。第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第1および第3側壁27a,27cの変形が防止され、第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第2および第4側壁27b,27dの変形が防止される。
【0063】
幅止めボルト設置工程の作業が終了した後、側壁27a〜27dの離間寸法を調整する離間寸法第1調整工程を実施する。離間寸法第1調整工程では、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法(第1側壁27aと第3側壁27cとの間の寸法)が設計寸法と微妙に異なる場合、第1幅止めボルト17aを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整し、それら側壁27a,27cの離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0064】
また、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法(第2側壁27bと第4側壁27dとの間の寸法)が設計寸法と微妙に異なる場合、第2幅止めボルト17bを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、それら側壁27b,27dの離間寸法を設計寸法に一致させる。なお、メジャーによる計測の結果、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法や第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法どおりの場合、離間寸法第1調整工程は行われない。
【0065】
離間寸法第1調整工程の作業が終了した後、土台管11aに底部枠材27a〜27dを固定する底部枠材固定工程を実施する。底部枠材13は、亜鉛メッキ鋼板を切削加工や折曲げ加工することによって製造されている。なお、底部枠材13は、その他の鋼材板やアルミ板、鉄板、合金板等の金属板から作ることができ、または、合成樹脂板から作ることができる。底部枠材13が金属板や合成樹脂板から作られている場合、底部枠材13を切削加工や折曲げ加工、射出成型、プレス成形によって量産することができ、底部枠材13の製造コストを大幅に節約することができるとともに、据付基礎構造物10Aの据付コストを少なくすることができる。
【0066】
底部枠材13は、第1側壁27aの底部12から下方へ延びる矩形の第1底部枠材13aと、第2側壁27bの底部12から下方へ延びる矩形の第2底部枠材13bと、第3側壁27cの底部12から下方へ延びる矩形の第3底部枠材13cと、第4側壁27dの底部12から下方へ延びる矩形の第4底部枠材13dとから形成されている。第1〜第4底部枠材13a〜13dには、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。第1〜第4底部枠材13a〜13dの厚み寸法は、2〜2.5mmの範囲にある。
【0067】
底部枠材固定工程では、図4,5に示すように、土台管11aの第1側壁27aの底部12における外面に第1底部枠材13aを配置し、第1側壁27aと第1底部枠材13aとに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第1側壁27aに第1底部枠材13aを強固に固定する。第1側壁27aに第1底部枠材13aを固定すると、第1側壁27aと躯体24との間の間隙が塞がれる。土台管11aの第2側壁27bの底部12における外面に第2底部枠材13bを配置し、第2側壁27bと第2底部枠材13bとに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第2側壁27bに第2底部枠材13bを固定する。第2側壁27bに第2底部枠材13bを固定すると、第2側壁27bと躯体24との間の間隙が塞がれる。
【0068】
さらに、土台管11aの第3側壁27cの底部12における外面に第3底部枠材13cを配置し、第3側壁27cと第3底部枠材13cとに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第3側壁27cに第3底部枠材13cを固定する。第3側壁27cに第3底部枠材13cを固定すると、第3側壁27cと躯体24との間の間隙が塞がれる。土台管11aの第4側壁27dの底部12における外面に第4底部枠材13dを配置し、第4側壁27dと第4底部枠材13dとに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第4側壁27dに第4底部枠材13dを固定する。第4側壁27dに第4底部枠材13dを固定すると、第4側壁27dと躯体24との間の間隙が塞がれる。
【0069】
図6は、土台管11aに頂枠部材15を設置した後の断面図であり、図7は、第1〜第4頂部枠材15a〜15dの斜視図である。図8は、図6の上面図である。図9は、新設断熱材37と新設防水材19とを設置し、頂部枠材15a〜15dにスペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置した後の断面図であり、図10は、図9の上面図である。図11は、土台管11aおよび枠材13,15の内側スペース16にコンクリート20を打設した後の断面図である。図8,10では、鉄筋18の図示を省略している。
【0070】
底部枠材固定工程の作業が終了した後、土台管11aに頂部枠材15a〜15dを設置する頂部枠材設置工程を実施する。頂部枠材15は、亜鉛メッキ鋼板を切削加工や折曲げ加工することによって製造されている。なお、頂部枠材15は、その他の鋼材板やアルミ板、鉄板、合金板等の金属板から作ることができ、または、合成樹脂板から作ることができる。頂部枠材15が金属板や合成樹脂板から作られている場合、頂部枠材15を切削加工や折曲げ加工、射出成型、プレス成形によって量産することができ、頂部枠材15の製造コストを大幅に節約することができるとともに、据付基礎構造物10Aの据付コストを少なくすることができる。頂部枠材15は、第1頂部分28aに着脱可能に設置される第1頂部枠材15aと、第2頂部分28bに着脱可能に設置される第2頂部枠材15bと、第3頂部分28cに着脱可能に設置される第3頂部枠材15cと、第4頂部分28dに着脱可能に設置される第4頂部枠材15dとから形成されている。第1〜第4頂部枠材15a〜15dの厚み寸法は、2〜2.5mmの範囲にある。
【0071】
第1頂部枠材15aは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。第1頂部枠材15aの水平部分34や垂直部分35、折曲部分36には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。第2頂部枠材15bは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。第2頂部枠材15bの水平部分34や垂直部分35、折曲部分36には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。
【0072】
第3頂部枠材15cは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。第3頂部枠材15cの水平部分34や垂直部分35、折曲部分36には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。第4頂部枠材15dは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。第4頂部枠材15dの水平部分34や垂直部分35、折曲部分36には、ビスを螺着する複数のビス螺着孔が形成(穿孔)されている。それら頂部枠材15a〜15dの垂直部分35は水平部分34に対して直交(直角に交差)し、折曲部分36は垂直部分35に対して直交(直角に交差)している。
【0073】
頂部枠材設置工程では、図6に示すように、第1頂部枠材15aの水平部分34を土台管11aの第1頂部分28aの下方(下面)に配置し、第1頂部分28aと第1頂部枠材15aの水平部分34とに形成されたビス螺着孔を一致させ、ビス螺着孔にビスを螺着して第1頂部枠材15aを土台管11aの第1頂部分28aに着脱可能に連結(設置)する。第1頂部枠材15aを第1頂部分28aに連結すると、第1頂部枠材15aの水平部分34が第1頂部分28aから径方向外方へ延び、第1頂部枠材15aの垂直部分35が土台管11aの第1側壁27aの頂部14から上方に延びるとともに、第1頂部枠材15aの折曲部分36が第2側壁27bの頂部14から上方へ延びる。
【0074】
第2頂部枠材15bの水平部分34を土台管11aの第2頂部分28bの下方(下面)に配置し、第2頂部枠材15bの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第1頂部枠材15aの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ね、第2頂部分28bと水平部分34とに形成されたビス螺着孔を一致させるとともに、第2頂部枠材15bの垂直部分35と第1頂部枠材15aの折曲部分36とに形成されたビス螺着孔を一致させ、それらビス螺着孔にビスを螺着して第2頂部枠材15bを土台管11aの第2頂部分28bに着脱可能に連結(設置)し、第2頂部枠材15bの垂直部分35を第1頂部枠材15aの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)する。第2頂部枠材15bを第2頂部分28bに連結すると、第2頂部枠材15bの水平部分34が第2頂部分28bから径方向外方へ延び、第2頂部枠材15bの垂直部分35が土台管11aの第2側壁27bの頂部14から上方に延びるとともに、第2頂部枠材15bの折曲部分36が第3側壁27cの頂部14から上方へ延びる。
【0075】
第3頂部枠材15cの水平部分34を土台管11aの第3頂部分28cの下方(下面)に配置し、第3頂部枠材15bの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第2頂部枠材15bの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ね、第3頂部分28cと水平部分34とに形成されたビス螺着孔を一致させるとともに、第3頂部枠材15cの垂直部分35と第2頂部枠材15bの折曲部分36とに形成されたビス螺着孔を一致させ、それらビス螺着孔にビスを螺着して第3頂部枠材15cを土台管11aの第3頂部分28cに着脱可能に連結(設置)し、第3頂部枠材15cの垂直部分35を第2頂部枠材15bの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)する。第3頂部枠材15cを第3頂部分28cに連結すると、第3頂部枠材15cの水平部分34が第3頂部分28cから径方向外方へ延び、第3頂部枠材15cの垂直部分35が土台管11aの第3側壁27cの頂部14から上方に延びるとともに、第3頂部枠材15cの折曲部分36が第4側壁27dの頂部14から上方へ延びる。
【0076】
第4頂部枠材15dの水平部分34を土台管11aの第4頂部分28dの下方(下面)に配置し、第4頂部枠材15dの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第3頂部枠材15cの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ねるとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)を第1頂部枠材15aの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)に重ねる。次に、第4頂部分28dと水平部分34とに形成されたビス螺着孔を一致させ、第4頂部枠材15dの垂直部分35と第3頂部枠材15cの折曲部分36とに形成されたビス螺着孔を一致させるとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36と第1頂部枠材15aの垂直部分35とに形成されたビス螺着孔を一致させ、それらビス螺着孔にビスを螺着し、第4頂部枠材15dを土台管11aの第4頂部分28dに着脱可能に連結(設置)し、第4頂部枠材15dの垂直部分35を第3頂部枠材15cの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)するとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36を第1頂部枠材15aの垂直部分34に着脱可能に連結(設置)する。第4頂部枠材15dを第4頂部分28dに連結すると、第4頂部枠材15dの水平部分34が第4頂部分28dから径方向外方へ延び、第4頂部枠材15dの垂直部分35が土台管11aの第4側壁27dの頂部14から上方に延びるとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36が第1側壁27aの頂部14から上方へ延びる。
【0077】
第1〜第4頂部枠材15a〜15dを第1〜第4頂部分28a〜28dに連結した後、躯体24に形成されたアンカーホールに新設鉄筋18を固定し、土台管11aおよびそれら枠材13a〜13d,15a〜15dの内側スペース16に新設鉄筋18を配筋する。内側スペース16に新設鉄筋18を配筋した後、新設防水材19を設置する新設防水材設置工程を実施する。新設防水材19にはシート防水が利用されているが、シート防水の他に、ウレタン防水やアスファルト防水を利用することもできる。
【0078】
新設防水材設置工程では、図9に示すように、据付箇所における第1〜第4底枠部材15a〜15dの外側の既設断熱材25を取り除いた部分に新設断熱材37を配置し、新設防水材19を土台管11aの第1〜第4側壁27a〜27の外面と第1〜第4底枠部材15a〜15dの外面とに設置する。さらに、新設防水材19を第1〜第4底枠部材15a〜15dから径方向外方に延長して設置し、新設防水材19によって第1〜第4底枠部材15a〜15dの周囲に設置された新設断熱材37と第1〜第4底枠部材15a〜15dの周囲に位置する躯体24とを被覆する。
【0079】
新設防水材設置工程の作業が終了した後、頂部枠材15a〜15dに支持ボルト21を設置する支持ボルト設置工程を実施する。支持ボルト21は、鋼材やアルミ、鉄、合金等の金属、または、合成樹脂から作られている。支持ボルト21は、雄螺子(図示せず)が作られてコンクリート20から上方へ露出する螺子上部38と、コンクリート20に固定された螺子下部39とを有する。図7では、4本の支持ボルト21を図示しているが、支持ボルト21の本数に特に制限はなく、その本数を必要に応じて変えることができる。
【0080】
支持ボルト21は、頂部枠材15a〜15dの上に設置された2つのスペーサ22と、それらスペーサ22の上に設置されて支持ボルト21を挿脱可能に設置するボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)とを利用して設置される。それらスペーサ22は、第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとの間に架け渡される所定厚みの板材である。ボルト位置決め枠23にはそれら支持ボルト21を挿脱可能に挿通する4つのボルト孔が形成され、それらボルト孔に支持ボルト21が挿通されている。
【0081】
支持ボルト設置工程では、図9,10に示すように、それらスペーサ22を第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとの間に架け渡し、それらスペーサ22を第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとに固定手段(図示せず)によって着脱可能に固定し、ボルト位置決め枠23をそれらスペーサ22の上に固定手段(図示せず)によって着脱可能に固定する。ボルト位置決め枠23は、土台管11aの中央に配置される。スペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置すると、ボルト位置決め枠23の直下にスペーサ22が介在することで、ボルト位置決め枠23が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から上方へ離間し、支持ボルト21の螺子上部38が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から上方へ露出し、支持ボルト21の螺子下部39が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から下方へ延びる。
【0082】
支持ボルト設置工程の作業が終了した後、内側スペース16にコンクリート20を打設するセメント硬化物打設工程を実施する。セメント硬化物打設工程では、図11に示すように、土台管11aおよびそれら枠材13a〜13d,15a〜15dの内側スペース16にコンクリート20を打設する。なお、内側スペース16にコンクリート20を打設した後(セメント硬化物打設工程の後)、新設断熱材37と新設防水材19(シート防水)とを設置する新設防水材設置工程を実施してもよい。
【0083】
セメント硬化物打設工程におけるコンクリート20を打設過程において、側壁27a〜27dの離間寸法を調整する離間寸法第2調整工程を実施する。内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20の打設中)において、第1および第3側壁27a,27bにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a,27bの離間寸法(第1側壁27aと第3側壁27bとの間の寸法)が変化する場合(離間寸法が大きくなり、または、離間寸法が小さくなる場合)がある。この場合、離間寸法第2調整工程では、第1幅止めボルト17aを回転させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27bを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27bの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ第1および第3側壁27a,27bの離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0084】
また、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20の打設中)において、第2および第4側壁27b,27dにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27b,27dの離間寸法(第2側壁27bと第4側壁27dとの間の寸法)が変化する場合(離間寸法が大きくなり、または、離間寸法が小さくなる場合)がある。この場合、離間寸法第2調整工程では、第2幅止めボルト17bを回転させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0085】
コンクリート20を打設した後、コンクリート20を所定期間養生する。コンクリート20の養生期間が経過した後、頂部枠材15a〜15dからボルト位置決め部材23とスペーサ22とを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程と土台管11aから頂部枠材15a〜15dを取り外す頂部枠材取り外し工程とを実施する。ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程では、ボルト位置決め枠23をスペーサ22から取り外して支持ボルト21からボルト位置決め枠23を抜き取り、スペーサ22を頂部枠材15a〜15dから取り外す。頂部枠材取り外し工程では、ビス螺着孔からビスを抜き取り、第1〜第4頂部枠材15a〜15dを土台管11aの第1〜第4頂折曲部分28a〜28dから取り外す。次に、土台管11aの頂部14から上方へ露出するコンクリート20の頂面と側面とに新設防水材(ウレタン防水)(図示せず)を設置し、図1に示す基礎構造物10Aが完成する。
【0086】
図12は、他の一例として示す基礎構造物10Bの斜視図であり、図13は、図12の基礎構造物10Bの断面図である。図14は、据付箇所に土台管11bを設置した後の断面図であり、図15は、土台管11bに底枠部材13を設置した後の断面図である。図16は、土台管11bおよび第1〜第4底部枠材13a〜13dの斜視図であり、図17は、土台管11bに頂枠部材15を設置した後の断面図である。図18は、新設断熱材37と新設防水材19と新設シンダーコンクリート41とを設置し、頂部枠材15にスペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置した後の断面図であり、図19は、土台管11bおよび枠材13,15の内側スペース16にコンクリート20を打設した後の断面図である。図12では、上下方向を矢印X1、横方向(径方向)を矢印X2で示し、前後方向(径方向)を矢印X3で示す。
【0087】
この基礎構造物10Bが図1のそれと異なるところは、第3および第4長ナット31c,31dが土台管11bの頂部14における第1〜第4側壁27a〜27dに設置されている点、第3および第4長ナット31c,31dに第3および第4幅止めボルト17c,17dが設置されている点、第1〜第4側壁27a〜27dと第1〜第4底部枠材15a〜15dとの外側に化粧板42が設置されている点にある。基礎構造物10Bのその他の構成については図1の基礎構造物10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の基礎構造物10Aの説明を援用する。
【0088】
図12図19を参照し、基礎構造物10Bを基礎構造物ビルの屋上に設置する場合を例として、基礎構造物据付方法の各工程を説明すると、以下のとおりである。なお、基礎構造物10Bを据え付ける基礎構造物据付方法の各工程は図1の基礎構造物10Aを据え付ける基礎構造物据付方法のそれらと略同一であるから、基礎構造物据付方法の各工程の詳細な説明は省略する。
【0089】
基礎構造物10Bは、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26とを取り除いた躯体24(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に据え付けられる。基礎構造物10Bは、中空の土台管11bと、土台管11bの底部12に固定された底部枠材13と、土台管11bの頂部14に着脱可能に設置された頂部枠材15と、土台管11bの内側スペース16に設置された幅止めボルト17と、土台管11bおよびそれら枠材13,15の内側スペース16に配筋された新設鉄筋18と、土台管11bと底部枠材13との外周面全域に設置された新設防水材19と、内側スペース16に打設されたコンクリート20(セメント硬化物)と、コンクリート20に設置された支持ボルト21と、土台管11bの周囲を囲む化粧板42とから形成されている。支持ボルト21は、スペーサ22およびボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)を利用して設置される。
【0090】
図1の基礎構造物10Aと同様に、土台管11bや底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17、支持ボルト21の基礎構成部材は、汎用部品化(規格化)され、製造工場においてあらかじめ製造される大量生産品である。基礎構造物据付方法では、それら基礎構成部材を使用して所定のマニュアル化された手順によって基礎構造物10Bを組み立てる。最初に、据付準備工程を実施する。それら基礎構成部材(土台管11b、底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17,支持ボルト21)を輸送手段によって製造工場から施工現場(ビルの屋上)に搬送する。
【0091】
基礎構造物10Bを据え付けるビルの屋上は、躯体24(鉄筋コンクリート躯体)と、躯体24の上に施設された(重なる)既設防水材26と、既設防水材26の上に施設された(重なる)既設断熱材25と、既設断熱材25の上に施設された(重なる)既設シンダーコンクリート40とから形成されている。据付準備工程では、ビルの屋上における基礎構造物10Bの据付箇所を位置決め(墨出し)し、据付箇所にマーキングをした後、その据付箇所において、既設シンダーコンクリート40と既設断熱材25と既設防水材26とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。次に、躯体24の既設鉄筋の位置を検出した後、躯体24の各既設鉄筋を避けた位置に新設鉄筋18を固定するアンカーホールを穿孔するとともに、第1〜第4調整ボルト30a〜30dを螺着するボルト孔を穿孔する。
【0092】
据付準備工程の後、土台管固定工程を実施する。土台管固定工程では、図14に示すように、据付箇所における躯体24の土台管設置位置に土台管11bを載置し、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸を躯体24に形成されたボルト孔に螺着して土台管11bを躯体24に固定する。土台管11bは、第1〜第4側壁27a〜27bと頂部分28と底部分29と調整ボルト30と長ナット31とを有する。第1〜第4側壁27a〜27bは、図1の基礎構造物10Aのそれらと同一である。
【0093】
頂部分28は、第1〜第4側壁27a〜27bの頂部14から径方向外方へ延びている。頂部分28は、第1〜第4頂部分28a〜28dから形成されている。底部分29は、第1〜第4側壁27a〜27bの底部12から径方向内方へ延びている。底部分29は、第1〜第4底部分29a〜29dから形成されている。調整ボルト30は、躯体24に対する土台管11bの高さおよび傾きを調整するとともに、土台管11bを躯体24に強固に固定する。調整ボルト30は、第1〜第4調整ボルト30a〜30dから形成されている。第1〜第4調整ボルト30a〜30dは、第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第1〜第4底部分29a〜29dとの間に延びるボルト30a〜30dの軸には、六角ナット32が螺着されている。
【0094】
長ナット31は、土台管11bの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aと、土台管11bの中央部27における第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bと、土台管11bの頂部14における第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第3長ナット31cと、土台管11bの頂部14における第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第4長ナット31dとから形成されている。
【0095】
幅止めボルト17は、土台管11bの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aと、土台管11bの中央部33における第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bと、土台管11bの頂部14における第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第3幅止めボルト17cと、土台管11bの頂部14における第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17dとから形成されている。
【0096】
土台管固定工程の後、高さ・傾き調整工程を実施する。高さ・傾き調整工程では、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整して第1〜第4側壁27a〜27d(土台管11b)の高さおよび傾きを調整する。高さ・傾き調整工程の後、幅止めボルト設置工程を実施する。幅止めボルト設置工程では、第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aに第1幅止めボルト17aを螺着し、第1幅止めボルト17aによって第1側壁27aと第3側壁27cとを連結し、第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bに第2幅止めボルト17bを螺着し、第2幅止めボルト17bによって第2側壁27bと第4側壁27dとを連結する。さらに、第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第3長ナット31cに第3幅止めボルト17cを螺着し、第3幅止めボルト17cによって第1側壁27aと第3側壁27cとを連結し、第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第4長ナット31dに第4幅止めボルト17dを螺着し、第4幅止めボルト17dによって第2側壁27bと第4側壁27dとを連結する。
【0097】
第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1および第3幅止めボルト17a,17cによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第1および第3側壁27a,27cの変形が防止され、第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2および第4幅止めボルト17b,17dによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第2および第4側壁27b,27dの変形が防止される。
【0098】
幅止めボルト設置工程の後、離間寸法第1調整工程を実施する。離間寸法第1調整工程では、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が設計寸法と微妙に異なる場合、第1および第3幅止めボルト17a,17cを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1および第3幅止めボルト17a,17cによって第1および第3側壁17a,17cの離間寸法を微調整し、離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0099】
また、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なる場合、第2および第4幅止めボルト17b,17dを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2および第4幅止めボルト17b,17dによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0100】
離間寸法第1調整工程の後、底部枠材固定工程を実施する。底部枠材13は、第1〜第4底部枠材13a〜13dから形成されている。底部枠材固定工程では、図15,16に示すように、土台管11bの第1側壁27aの底部12における外面に第1底部枠材13aを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第1側壁27aに第1底部枠材13aを強固に固定する。土台管11bの第2側壁27bの底部12における外面に第2底部枠材13bを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第2側壁27bに第2底部枠材13bを固定する。さらに、土台管11bの第3側壁27cの底部12における外面に第3底部枠材13cを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第3側壁27cに第3底部枠材13cを固定する。土台管11bの第4側壁27dの底部12における外面に第4底部枠材13dを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第4側壁27dに第4底部枠材13dを固定する。
【0101】
底部枠材固定工程の後、頂部枠材設置工程を実施する。頂部枠材15は、第1〜第4頂部枠材15a〜15dから形成されている。第1〜第4頂部枠材15a〜15dは、径方向外方へ延びる水平部分34と、水平部分34の延出端から上方へ延びる垂直部分35と、垂直部分35の延出端から直角に折れ曲がる折曲部分36とを有する。
【0102】
頂部枠材設置工程では、図17に示すように、第1頂部枠材15aの水平部分34を土台管11bの第1頂部分28aの下方(下面)に配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第1頂部枠材15aを土台管11bの第1頂部分28aに着脱可能に連結(設置)する。第2頂部枠材15bの水平部分34を土台管11bの第2頂部分28bの下方(下面)に配置し、第2頂部枠材15bの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第1頂部枠材15aの折曲部分36の内側(折曲部分の内面)に重ね、ビス螺着孔にビスを螺着して第2頂部枠材15bを土台管11bの第2頂部分28bに着脱可能に連結(設置)し、第2頂部枠材15bの垂直部分35を第1頂部枠材15aの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)する。
【0103】
さらに、第3頂部枠材15cの水平部分34を土台管11bの第3頂部分28cの下方(下面)に配置し、第3頂部枠材15cの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第2頂部枠材15bの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ね、ビス螺着孔にビスを螺着して第3頂部枠材15cを土台管11bの第3頂部分28cに着脱可能に連結(設置)し、第3頂部枠材15cの垂直部分35を第2頂部枠材15bの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)する。
【0104】
第4頂部枠材15dの水平部分34を土台管11bの第4頂部分28dの下方(下面)に配置し、第4頂部枠材15dの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)を第3頂部枠材15cの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)に重ねるとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36の内側(折曲部分36の内面)を第1頂部枠材15aの垂直部分35の外側(垂直部分35の外面)に重ね、ビス螺着孔にビスを螺着し、第4頂部枠材15dを土台管11bの第4頂部分28dに着脱可能に連結(設置)し、第4頂部枠材15dの垂直部分35を第3頂部枠材15cの折曲部分36に着脱可能に連結(設置)するとともに、第4頂部枠材15dの折曲部分36を第1頂部枠材15aの垂直部分35に着脱可能に連結(設置)する。
【0105】
頂部枠材設置工程の後、躯体24に形成されたアンカーホールに新設鉄筋18を固定し、土台管11bおよびそれら枠材13,15の内側スペース16に新設鉄筋18を配筋する。内側スペース16に新設鉄筋18を配筋した後、新設防水材設置工程を実施する。新設防水材19にはアスファルト防水が利用されている。新設防水材設置工程では、図18に示すように、新設防水材19を土台管11bの第1〜第4側壁27a〜27dの外面と第1〜第4底枠部材13a〜13dの外面とに設置するとともに、新設防水材19を第1〜第4底枠部材13a〜13dから径方向外方に延長して新設防水材19を既設防水材26の上に設置し(重ね)、新設防水材19によって第1〜第4底枠部材13a〜13dの周囲に位置する躯体24を被覆する。次に、既設防水材26の上に重なる新設防水材19の上に新設断熱材37を設置(重ね)し、新設断熱材37の上に新設シンダーコンクリート41を打設する。
【0106】
新設防水材設置工程の後、支持ボルト設置工程を実施する。支持ボルト21は、頂部枠材15a〜15dの上に設置されたスペーサ22と、それらスペーサ22の上に設置されて支持ボルト21を挿脱可能に設置するボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)とを利用して設置される。支持ボルト設置工程では、スペーサ22を第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとの間に架け渡し、スペーサを第2頂部枠材15bと第4頂部枠材15dとに固定手段によって着脱可能に固定し、ボルト位置決め枠23をスペーサ22の上に固定手段によって着脱可能に固定する。スペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置すると、支持ボルト21の螺子上部38が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から上方へ露出し、支持ボルト21の螺子下部39が第1〜第4頂部枠材15a〜15dの上端から下方へ延びる。
【0107】
支持ボルト設置工程の後、セメント硬化物打設工程を実施する。セメント硬化物打設工程では、図19に示すように、土台管11bおよびそれら枠材13,15の内側スペース16にコンクリート20を打設する。なお、内側スペース16にコンクリート20を打設した後、新設防水材設置工程を実施してもよい。セメント硬化物打設工程におけるコンクリート20の打設過程(コンクリート20を打設中)において、離間寸法第2調整工程を実施する。
【0108】
内側スペース16にコンクリート20を打設する過程において、第1および第3側壁27a,27cにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a,27cの離間寸法が変化した場合、離間寸法第2調整工程において、第1および第3幅止めボルト17a,17cの少なくとも一方を回転させ、第1および第3幅止めボルト17a,17cのうちの少なくとの一方によって第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0109】
また、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程において、第2および第4側壁27b,27dにコンクリートの側圧が作用し、それら側壁27b,27dの離間寸法が変化した場合、離間寸法第2調整工程において、第2および第4幅止めボルト17b,17dの少なくとも一方を回転させ、第2および第4幅止めボルト17b,17dの少なくとも一方によって第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0110】
内側スペース16に打設したコンクリート20の養生期間が経過した後、ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程と頂部枠材取り外し工程とを実施する。ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程では、ボルト位置決め枠23をスペーサ22から取り外して支持ボルト21からボルト位置決め枠23を抜き取り、スペーサ22を頂部枠材15から取り外す。頂部枠材取り外し工程では、第1〜第4頂部枠材15a〜15dを土台管11bの第1〜第4頂分28a〜28dから取り外す。次に、土台管11bの頂部14から上方へ露出するコンクリート20の頂面と側面とに新設防水材(ウレタン防水)(図示せず)を設置する。さらに、第1〜第4側壁27a〜27dと第1〜第4底部枠材13a〜13dとの外側に化粧板42を配置し、化粧板42の上部をコンクリート20に固定し、化粧板42の下部を新設シンダーコンクリート41に固定することで、図12に示す基礎構造物10Bが完成する。
【0111】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10A,10Bが中空の土台管11a,11bと底部枠材13と頂部枠材15と幅止めボルト17と支持ボルト21と新設防水材19とコンクリート20(セメント硬化物)とから形成され、土台管11a,11b(調整ボルト30a〜30d、長ナット31a〜31dを含む。)や底部枠材13、頂部枠材15、幅止めボルト17、支持ボルト21が製造工場においてあらかじめ製造されて汎用部品化(規格化)されており、既設建造物の躯体24の据付箇所においてマニュアル化された手順に従って基礎構造物10A,10Bがユニットとして組み立てられるから、基礎構造物10A,10Bを据え付ける際に、その現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要はなく、据付箇所に土台管11a,11bを固定しつつ調整ボルト30a〜30dを利用して躯体24に対する土台管11a,11bの高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁27a〜27dに幅止めボルト17a〜17dを設置するとともに、土台管11a,11bに底部枠材13a〜13dと頂部枠材15a〜15dとを設置し、内側スペース16にコンクリート20を打設するだけで基礎構造物10A,10Bを据付箇所に据え付けることができ、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。
【0112】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10A,10Bの据付作業を簡略化することができるのみならず、コンクリート20の養生期間を待つことなく、新設防水材19を設置する新設防水材設置作業、または、新設シンダーコンクリート41を打設するシンダーコンクリート打設作業まで進めることができ、コンクリート20の養生期間を待つことなく、新設防水材19の設置作業が完了するとともに基礎構造物10A,10Bの据付作業が完了するから、基礎構造物10A,10Bの据付時間にコンクリート20の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物10Aや基礎構造物10Bを迅速に据え付けることができ、基礎構造物10Aや基礎構造物10Bの工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物10A,10Bの工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物10A,10Bの構築にかかる人件費を大幅に低減することができるから、基礎構造物10A,10Bの据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物10A,10Bを廉価に構築することができる。基礎構造物据付方法は、施工現場の据付箇所において型枠を組み上げる必要はなく、マニュアル化された手順に従ってそれらを組み立てることができるから、型枠工の技術がない作業者でも基礎構造物10A,10Bを容易に構築することができる。
【0113】
基礎構造物据付方法は、土台管11a,11bの第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔と躯体24に形成されたボルト孔とに第1〜第4調整ボルト30a〜30dが設置され、それら調整ボルト30a〜30dによって土台管11a,11bが躯体24に固定されるとともに、コンクリート25の養生期間が経過した後にそれら調整ボルト30a〜30dや長ナット31a〜31d、幅止めボルト17a〜17d、新設鉄筋18がコンクリート20と一体になり、基礎構造物10Aや基礎構造物10Bにかかる荷重を調整ボルト30a〜30dや長ナット31a〜31d、幅止めボルト17a〜17d、新設鉄筋18、コンクリート20で分担するから、既設建造物の躯体24の所定の据付箇所に強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物10A,10Bを構築することができる。
【0114】
基礎構造物据付方法は、土台管11a,11bおよび枠材13,15の内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧が第1〜第4側壁27a〜27dに作用したとしても、土台管11a,11bに設置された幅止めボルト17a〜17dがコンクリート20の側圧による第1〜第4側壁27a〜27dの変形を防止するから、第1〜第4側壁27a〜27dが変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算(強度計算)された設計どおりの基礎構造物10Aや基礎構造物10Bを構築することができる。
【0115】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する前に、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が微調整され、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が微調整されるから、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法や第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Aを構築することができる。
【0116】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する前に、第1および第3幅止めボルト17a,17cのうちの少なくとも一方によって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が微調整され、第2および第4幅止めボルト17b,17dのうちの少なくとも一方によって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が微調整されるから、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法や第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Bを構築することができる。
【0117】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20打設中)において、第1〜第4側壁27a〜27dにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a〜27dの離間寸法が変化したとしても、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整することができ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整することができるから、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Aを構築することができる。
【0118】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20打設中)において、第1〜第4側壁27a〜27dにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a〜27dの離間寸法が変化したとしても、第1および第3幅止めボルト17a,17cのうちの少なくとも一方によって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整することができ、第2および第4幅止めボルト17b,17dのうちの少なくとも一方によって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整することができるから、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Bを構築することができる。
【0119】
基礎構造物据付方法は、躯体24に対する土台管11a,11bの高さおよび傾きを第1〜第4調整ボルト30a〜30dによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管11a,11bを水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物10Aや複数個の基礎構造物10Bを据え付ける場合に、それら基礎構造物10Aどうしの高さ寸法やそれら基礎構造物10Bどうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物10Aの高さ寸法を均一に揃えることができるとともに、それら基礎構造物10Bの高さ寸法を均一に揃えることができる。
【0120】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10Aや基礎構造物10Bが既設建造物の屋上に据え付けられた場合でも、底部枠材13a〜13dの周囲に位置する躯体24が新設防水材19に被覆されるから、土台管11a,11bや底部枠材13a〜13d、躯体24への水の侵入を防ぐことができ、土台管11a,11bや底部枠材13a〜13dに水が進入することによる土台管11a,11bや底部枠材13a〜13dの腐食や強度低下を防ぐことができ、躯体24に水が進入することによる躯体24の劣化を防ぐことができる。
【0121】
図20は、他の一例として示す据付基礎構造物10Cの断面図であり、図21は、土台管11cおよび第1〜第4底部枠材13a〜13dの斜視図である。図22は、図21の上面図であり、図23は、据付箇所に土台管11cを設置するとともに、土台管11cに底枠部材13を設置した後の断面図である。図24は、新設断熱材37と新設防水材19とを設置し、頂部分43にスペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置した後の断面図であり、図25は、図24の上面図である。
【0122】
この据付基礎構造物10Cが図1のそれと異なるところは、土台管11cに頂部枠材15が設置されておらず、土台管11cが頂部枠材15の替わりの頂部分43を有する点、第1〜第4側壁27a〜27dと第1〜第4底部枠材13a〜13dとの外側に化粧板42が設置されている点にある。据付基礎構造物10Cのその他の構成については図1の据付基礎構造物10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の据付基礎構造物10Aの説明を援用する。
【0123】
図20図25を参照し、基礎構造物10Cを基礎構造物ビルの屋上に設置する場合を例として、基礎構造物据付方法の各工程を説明すると、以下のとおりである。なお、基礎構造物10Cを据え付ける基礎構造物据付方法の各工程は図1の基礎構造物10Aを据え付ける基礎構造物据付方法のそれらと略同一であるから、基礎構造物据付方法の各工程の詳細な説明は省略する。
【0124】
基礎構造物10Cは、既設のビル(既設建造物)の屋上や地下の既設防水材35と既設断熱材34とを取り除いた躯体33(鉄筋コンクリート躯体)の所定の据付箇所に据え付けられる。基礎構造物10Cは、中空の土台管11cと、土台管11cの底部12に固定された底部枠材13と、土台管11bの内側スペース16に設置された幅止めボルト17と、土台管11cおよびそれら枠材13,15の内側スペース16に配筋された新設鉄筋18と、土台管11cと底部枠材13との外周面全域に設置された新設防水材19と、内側スペース16に打設されたコンクリート20(セメント硬化物)と、コンクリート20に設置された支持ボルト21と、土台管11cの周囲を囲む化粧板42とから形成されている。支持ボルト21は、スペーサ22およびボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)を利用して設置される。
【0125】
図1の基礎構造物10Aと同様に、土台管11cや底部枠材13、幅止めボルト17、支持ボルト21の基礎構成部材は、汎用部品化(規格化)され、製造工場においてあらかじめ製造される大量生産品である。基礎構造物据付方法では、それら基礎構成部材を使用して所定のマニュアル化された手順によって基礎構造物10Cを組み立てる。最初に、据付準備工程を実施する。それら基礎構成部材(土台管11c、底部枠材13、幅止めボルト17,支持ボルト21)を輸送手段によって製造工場から施工現場(ビルの屋上)に搬送する。
【0126】
基礎構造物10Bを据え付けるビルの屋上は、躯体24(鉄筋コンクリート躯体)と、躯体24の上に施設された(重なる)既設断熱材25と、既設断熱材25の上に施設された(重なる)既設防水材26とから形成されている。据付準備工程では、ビルの屋上における基礎構造物10Cの据付箇所を位置決め(墨出し)し、据付箇所にマーキングをした後、その据付箇所において、既設防水材26と既設断熱材25とを取り除き(はつり)、躯体24を露出させる。次に、躯体24の既設鉄筋の位置を検出した後、躯体24の各既設鉄筋を避けた位置に新設鉄筋18を固定するアンカーホールを穿孔するとともに、第1〜第4調整ボルト30a〜30dを螺着するボルト孔を穿孔する。
【0127】
据付準備工程の後、土台管固定工程を実施する。土台管固定工程では、図23に示すように、据付箇所における躯体24の土台管設置位置に土台管11cを載置し、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸を躯体24に形成されたボルト孔に螺着して土台管11cを躯体24に固定する。土台管11cは、第1〜第4側壁27a〜27bと頂部分28と底部分29と調整ボルト30と長ナット31とを有する。第1〜第4側壁27a〜27bは、図1の基礎構造物10Aのそれらと同一である。
【0128】
土台管11cの頂部分28は、第1〜第4側壁27a〜27dの頂部14から径方向外方に延びた後、上方に延びている。頂部分28は、第1〜第4頂部分28a〜28dから形成されている。第1頂部分28aは、第1側壁27aの頂部14に連接(溶接)されて頂部14から径方向外方へ延びる水平部分44と、水平部分44の延出端から上方へ延びる垂直部分45とを有する。第2頂部分28bは、第2側壁27bの頂部14に連接(溶接)されて頂部14から径方向外方へ延びる水平部分44と、水平部分44の延出端から上方へ延びる垂直部分45とを有する。第3頂部分28cは、第3側壁27cの頂部14に連接(溶接)されて頂部14から径方向外方へ延びる水平部分44と、水平部分44の延出端から上方へ延びる垂直部分45とを有する。第4頂部分28dは、第4側壁27dの頂部14に連接(溶接)されて頂部14から径方向外方へ延びる水平部分44と、水平部分44の延出端から上方へ延びる垂直部分45とを有する。
【0129】
底部分29は、第1〜第4側壁27a〜27bの底部12から径方向内方へ延びている。底部分29は、第1〜第4底部分29a〜29dから形成されている。調整ボルト30は、躯体24に対する土台管11bの高さおよび傾きを調整するとともに、土台管11bを躯体24に強固に固定する。調整ボルト30は、第1〜第4調整ボルト30a〜30dから形成されている。第1〜第4調整ボルト30a〜30dは、第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔に挿通(設置)され、躯体24に形成されたボルト孔に螺着(設置)されている。躯体24と第1〜第4底部分29a〜29dとの間に延びるボルト30a〜30dの軸には、六角ナット32が螺着されている。
【0130】
長ナット31は、土台管11cの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aと、土台管11cの中央部27における第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bとから形成されている。幅止めボルト17は、土台管11cの中央部33における第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aと、土台管11cの中央部33における第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bとから形成されている。
【0131】
土台管固定工程の後、高さ・傾き調整工程を実施する。高さ・傾き調整工程では、第1〜第4調整ボルト30a〜30dの軸に対する六角ナット32の螺着位置を調整して第1〜第4側壁27a〜27d(土台管11c)の高さおよび傾きを調整する。高さ・傾き調整工程の後、幅止めボルト設置工程を実施する。幅止めボルト設置工程では、第1および第3側壁27a,27cの内壁面に固定された第1長ナット31aに第1幅止めボルト17aを螺着し、第1幅止めボルト17aによって第1側壁27aと第3側壁27cとを連結し、第2および第4側壁27b,27dの内壁面に固定された第2長ナット31bに第2幅止めボルト17bを螺着し、第2幅止めボルト17bによって第2側壁27bと第4側壁27dとを連結する。
【0132】
第1および第3側壁27a,27cの間に延びる第1幅止めボルト17aによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第1および第3側壁27a,27cの変形が防止され、第2および第4側壁27b,27dの間に延びる第2幅止めボルト17bによって内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧による第2および第4側壁27b,27dの変形が防止される。
【0133】
幅止めボルト設置工程の後、離間寸法第1調整工程を実施する。離間寸法第1調整工程では、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が設計寸法と微妙に異なる場合、第1幅止めボルト17aを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁17a,17cの離間寸法を微調整し、離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0134】
また、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なる場合、第2幅止めボルト17bを時計回り方向または反時計回り方向に回転させ、第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0135】
離間寸法第1調整工程の後、底部枠材固定工程を実施する。底部枠材13は、第1〜第4底部枠材13a〜13dから形成されている。底部枠材固定工程では、土台管11cの第1側壁27aの底部12における外面に第1底部枠材13aを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第1側壁27aに第1底部枠材13aを強固に固定する。土台管11cの第2側壁27bの底部12における外面に第2底部枠材13bを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第2側壁27bに第2底部枠材13bを固定する。さらに、土台管11cの第3側壁27cの底部12における外面に第3底部枠材13cを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第3側壁27cに第3底部枠材13cを固定する。土台管11cの第4側壁27dの底部12における外面に第4底部枠材13dを配置し、ビス螺着孔にビスを螺着して第4側壁27dに第4底部枠材13dを固定する。
【0136】
底部枠材固定工程の後、躯体24に形成されたアンカーホールに新設鉄筋18を固定し、土台管11cおよびそれら枠材13,15の内側スペース16に新設鉄筋18を配筋する。内側スペース16に新設鉄筋18を配筋した後、新設防水材設置工程を実施する。新設防水材19にはシート防水が利用されている。新設防水材設置工程では、据付箇所における第1〜第4底枠部材13a〜13dの外側の既設断熱材25を取り除いた部分に新設断熱材37を配置し、新設防水材19を土台管11cの第1〜第4側壁27a〜27dの外面と第1〜第4底枠部材13a〜13dの外面とに設置する。さらに、新設防水材19を第1〜第4底枠部材13a〜13dから径方向外方に延長して設置し、新設防水材19によって第1〜第4底枠部材13a〜13dの周囲に設置された新設断熱材37と第1〜第4底枠部材13a〜13dの周囲に位置する躯体24とを被覆する。
【0137】
新設防水材設置工程の後、支持ボルト設置工程を実施する。支持ボルト21は、頂部分43(垂直部分45)の上に設置されたスペーサ22と、それらスペーサ22の上に設置されて支持ボルト21を挿脱可能に設置するボルト位置決め枠23(ボルト位置決め部材)とを利用して設置される。支持ボルト設置工程では、スペーサ22を第2頂部分43b(垂直部分45)と第4頂部分43d(垂直部分45)との間に架け渡し、スペーサを第2頂部分43bと第4頂部分43dとに固定手段によって着脱可能に固定し、ボルト位置決め枠23をスペーサ22の上に固定手段によって着脱可能に固定する。スペーサ22とボルト位置決め枠23とを設置すると、支持ボルト21の螺子上部38が第1〜第4頂部分43a〜43d(垂直部分45)の上端から上方へ露出し、支持ボルト21の螺子下部39が第1〜第4頂部分43a〜43d(垂直部分45)の上端から下方へ延びる。
【0138】
支持ボルト設置工程の後、セメント硬化物打設工程を実施する。セメント硬化物打設工程では、土台管11cおよび底部枠材13の内側スペース16にコンクリート20を打設する。なお、内側スペース16にコンクリート20を打設した後、新設防水材設置工程を実施してもよい。セメント硬化物打設工程におけるコンクリート20の打設過程(コンクリート20を打設中)において、離間寸法第2調整工程を実施する。
【0139】
内側スペース16にコンクリート20を打設する過程において、第1および第3側壁27a,27cにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a,27cの離間寸法が変化した場合、離間寸法第2調整工程において、第1幅止めボルト17aを回転させ、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0140】
また、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程において、第2および第4側壁27b,27dにコンクリートの側圧が作用し、それら側壁27b,27dの離間寸法が変化した場合、離間寸法第2調整工程において、第2幅止めボルト17bを回転させ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dを離間させる方向または近接させる方向へ力を作用させ、第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整し、メジャーによって離間寸法を計測しつつ離間寸法を設計寸法に一致させる。
【0141】
内側スペース16に打設したコンクリート20の養生期間が経過した後、ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を実施する。ボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程では、ボルト位置決め枠23をスペーサ22から取り外して支持ボルト21からボルト位置決め枠23を抜き取り、スペーサ22を頂部枠材15から取り外す。次に、土台管11cの頂部14から上方へ露出するコンクリート20の頂面と側面とに新設防水材(ウレタン防水)(図示せず)を設置する。さらに、第1〜第4側壁27a〜27dと第1〜第4底部枠材13a〜13dとの外側に化粧板42を配置し、化粧板42の上部をコンクリート20に固定し、化粧板42の下部を新設防水材19に固定することで、図20に示す基礎構造物10Cが完成する。
【0142】
基礎構造物据付方法は、中空の土台管11cと底部枠材13と幅止めボルト17との各基礎構成部品が製造工場においてあらかじめ量産されて汎用部品化(規格化)されており、既設建造物の躯体24の据付箇所においてマニュアル化された手順に従って基礎構造物10Cがユニットとして組み立てられるから、基礎構造物10Cを据え付ける際にその現場において型枠を組み上げる必要や型枠を解体する必要はなく、据付箇所に土台管11cを固定しつつ調整ボルト30を利用して躯体24に対する土台管11cの高さおよび傾きを調整し、第1〜第4側壁27a〜27dに幅止めボルト17を設置するとともに、土台管11cに底部枠材13を設置し、内側スペース16にコンクリート20を打設するだけで基礎構造物10Cを据付箇所に据え付けることができ、型枠の組立や型枠の解体にかかる手間や時間、コストを省くことができる。
【0143】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10Cの据付作業を簡略化することができるのみならず、コンクリート20の養生期間を待つことなく新設防水材19の設置作業が完了し、コンクリート20の養生期間を待つことなく基礎構造物10Cの据付作業が完了するから、基礎構造物10Cの据付時間にコンクリート20の養生期間が入らず、据付箇所に複数の基礎構造物10Cを迅速に据え付けることができ、工期を大幅に短縮することができる。基礎構造物据付方法は、基礎構造物10Cの工期を大幅に短縮することができ、基礎構造物10Cの構築にかかる人件費を大幅に低減することができるから、基礎構造物10Cの据付にかかるコストを低下させることができ、基礎構造物10Cを廉価に構築することができる。基礎構造物据付方法は、施工現場の据付箇所において型枠を組み上げる必要はなく、マニュアル化された手順に従って基礎構造物10Cを組み立てることができるから、型枠工の技術がない作業者でも基礎構造物10Cを容易に構築することができる。
【0144】
基礎構造物据付方法は、土台管11cの第1〜第4底部分29a〜29dに形成されたボルト孔と躯体24に形成されたボルト孔とに第1〜第4調整ボルト30a〜30dが設置され、それら調整ボルト30a〜30dによって土台管11cが躯体24に固定されるとともに、コンクリート25の養生期間が経過した後にそれら調整ボルト30a〜30dや長ナット31a,31b、幅止めボルト17a,17b、新設鉄筋18がコンクリート20と一体になり、基礎構造物10Cにかかる荷重を調整ボルト30a〜30dや長ナット31a,31b、幅止めボルト17a,17b、新設鉄筋18、コンクリート20で分担するから、既設建造物の躯体24の所定の据付箇所に強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の重量のある機械器具、鉄塔や鉄骨柱、鉄骨建設物等の重量のある建築物を確実に支持することが可能な基礎構造物10Cを構築することができる。
【0145】
基礎構造物据付方法は、土台管11cおよび枠材13の内側スペース16に打設されたコンクリート20の側圧が第1〜第4側壁27a〜27dに作用したとしても、土台管11cに設置された幅止めボルト17a,17bがコンクリート20の側圧による第1〜第4側壁27a〜27dの変形を防止するから、第1〜第4側壁27a〜27dが変形した形状が歪な基礎構造物が作られることはなく、据付箇所に構造計算(強度計算)された設計どおりの基礎構造物10Cを構築することができる。
【0146】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する前に、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法が微調整され、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が微調整されるから、第1および第3側壁27a,27cの離間寸法や第2および第4側壁27b,27dの離間寸法が設計寸法と微妙に異なっていたとしても、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Cを構築することができる。
【0147】
基礎構造物据付方法は、内側スペース16にコンクリート20を打設する過程(コンクリート20打設中)において、第1〜第4側壁27a〜27dにコンクリート20の側圧が作用し、それら側壁27a〜27dの離間寸法が変化したとしても、第1幅止めボルト17aによって第1および第3側壁27a,27cの離間寸法を微調整することができ、第2幅止めボルト17bによって第2および第4側壁27b,27dの離間寸法を微調整することができるから、それら側壁27a〜27dの離間寸法を設計寸法に一致させることができ、設計寸法どおりの基礎構造物10Cを構築することができる。
【0148】
基礎構造物据付方法は、躯体24に対する土台管11cの高さおよび傾きを第1〜第4調整ボルト30a〜30dによって調整することができるから、据付箇所が傾斜していてとしても、据付箇所に対して土台管11cを水平に設置することができるとともに、複数個の基礎構造物10Cを据え付ける場合に、それら基礎構造物10Cどうしの高さ寸法を容易に調整することができ、それら基礎構造物10Cの高さ寸法を均一に揃えることができる。
【0149】
基礎構造物据付方法は、基礎構造物10Cが既設建造物の屋上に据え付けられた場合でも、底部枠材13a〜13dの周囲に位置する躯体24が新設防水材19に被覆されるから、土台管11cや底部枠材13a〜13d、躯体24への水の侵入を防ぐことができ、土台管11cや底部枠材13a〜13dに水が進入することによる土台管11cや底部枠材13a〜13dの腐食や強度低下を防ぐことができ、躯体24に水が進入することによる躯体24の劣化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0150】
10A 基礎構造物
10B 基礎構造物
10C 基礎構造物
11a 土台管
11b 土台管
11c 土台管
12 底部
13 底部枠材
13a 第1底部枠材
13b 第2底部枠材
13c 第3底部枠材
13d 第4底部枠材
14 頂部
15 頂部枠材
15a 第1頂部枠材
15b 第2頂部枠材
15c 第3頂部枠材
15d 第4頂部枠材
16 内側スペース
17 幅止めボルト
17a 第1幅止めボルト
17b 第2幅止めボルト
17c 第3幅止めボルト
17d 第4幅止めボルト
18 新設鉄筋
19 新設防水材
20 コンクリート(セメント硬化物)
21 支持ボルト
22 スペーサ
23 ボルト位置決め枠(ボルト位置決め部材)
24 躯体
25 既設断熱材
26 既設防水材
27a 第1側壁
27b 第2側壁
27c 第3側壁
27d 第4側壁
28 頂部分
28a 第1頂部分
28b 第2頂部分
28c 第3頂部分
28d 第4頂部分
29 底部分
29a 第1底部分
29b 第2底部分
29c 第3底部分
29d 第4底部分
30 調整ボルト
30a 第1調整ボルト
30b 第2調整ボルト
30c 第3調整ボルト
30d 第4調整ボルト
31a 第1長ナット
31b 第2長ナット
31c 第3長ナット
31d 第4長ナット
32 六角ナット
33 中央部
34 水平部分
35 垂直部分
36 折曲部分
37 新設断熱材
38 螺子上部
36 螺子下部
37 既設断熱材
38 螺子上部
39 螺子下部
40 既設シンダーコンクリート
41 新設シンダーコンクリート
42 化粧板
43 頂部分
43a 第1頂部分
43b 第2頂部分
43c 第3頂部分
43d 第4頂部分
44 水平部分
45 垂直部分
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を据え付ける基礎構造物据付方法において、
前記基礎構造物据付方法では、中空の土台管と底部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が利用され、前記土台管が、互いに対向して上下方向へ延びる第1および第3側壁と、前記第1および第3側壁に直交しつつ互いに対向して上下方向へ延びる第2および第4側壁と、前記第1〜第4側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる頂部分と、前記第1〜第4側壁の底部から径方向内方へ延びる底部分と、前記底部分に形成されたボルト孔に設置された調整ボルトと、前記第1〜第4側壁の内壁面に固定された長ナットとを有し、
前記基礎構造物据付方法が、前記土台管を前記据付箇所に載置しつつ、前記躯体に形成されたボルト孔に前記調整ボルトを螺着して該土台管を該据付箇所に固定する土台管固定工程と、前記調整ボルトを利用して前記躯体に対する前記土台管の高さおよび傾きを調整する高さ・傾き調整工程と、前記第1および第3側壁に固定された長ナットに前記幅止めボルトを螺着して該幅止めボルトによって該第1および第3側壁を連結するとともに、前記第2および第4側壁に固定された長ナットに前記幅止めボルトを螺着して該幅止めボルトによって該第2および第4側壁を連結する幅止めボルト設置工程と、前記土台管の底部に前記底部枠材を固定する底部枠材固定工程と、前記土台管および前記底部枠材の外周面全域に新設防水材を設置する新設防水材設置工程と、前記土台管および前記底部枠材の内側スペースにセメント硬化物を打設するセメント硬化物打設工程とを有することを特徴とする基礎構造物据付方法。
【請求項2】
前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物打設工程の前に、前記土台管の頂部分から上方へ延びる螺子上部と該頂部分から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを該頂部分に設置する支持ボルト設置工程を含み、前記基礎構造物据付方法では、前記セメント硬化物打設工程によって前記内側スペースにセメント硬化物を打設すると、前記支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、前記支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する請求項1に記載の基礎構造物据付方法。
【請求項3】
前記支持ボルト設置工程では、前記土台管の頂部分の上に設置されるスペーサと、前記スペーサの上に設置されて前記頂部分から上方へ離間し、前記支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物を養生した後に前記頂部分から前記ボルト位置決め部材と前記スペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む請求項2に記載の基礎構造物据付方法。
【請求項4】
既設建造物の躯体の所定の据付箇所に基礎構造物を据え付ける基礎構造物据付方法において、
前記基礎構造物据付方法では、中空の土台管と底部枠材と頂部枠材と幅止めボルトとの各基礎構成部品が利用され、前記土台管が、互いに対向して上下方向へ延びる第1および第3側壁と、前記第1および第3側壁に直交しつつ互いに対向して上下方向へ延びる第2および第4側壁と、前記第1〜第4側壁の頂部から径方向外方へ延びる頂部分と、前記第1〜第4側壁の底部から径方向内方へ延びる底部分と、前記底部分に形成されたボルト孔に設置された調整ボルトと、前記第1〜第4側壁の内壁面に固定された長ナットとを有し、
前記基礎構造物据付方法が、前記土台管を前記据付箇所に載置しつつ、前記躯体に形成されたボルト孔に前記調整ボルトを螺着して該土台管を該据付箇所に固定する土台管固定工程と、前記調整ボルトを利用して前記躯体に対する前記土台管の高さおよび傾きを調整する高さ・傾き調整工程と、前記第1および第3側壁に固定された長ナットに前記幅止めボルトを螺着して該幅止めボルトによって該第1および第3側壁を連結するとともに、前記第2および第4側壁に固定された長ナットに前記幅止めボルトを螺着して該幅止めボルトによって該第2および第4側壁を連結する幅止めボルト設置工程と、前記土台管の底部に前記底部枠材を固定する底部枠材固定工程と、前記土台管の頂部分に前記頂部枠材を着脱可能に設置する頂部枠材設置工程と、前記土台管および前記底部枠材の外周面全域に新設防水材を設置する新設防水材設置工程と、前記土台管およびそれら枠材の内側スペースにセメント硬化物を打設するセメント硬化物打設工程と、前記セメント硬化物を養生した後に前記土台管の頂部分から前記頂部枠材を取り外す頂部枠材取り外し工程とを有することを特徴とする基礎構造物据付方法。
【請求項5】
前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物打設工程の前に、前記頂部枠材から上方へ延びる螺子上部と該頂部枠材から下方へ延びる螺子下部とを有する支持ボルトを該頂部枠材に設置する支持ボルト設置工程を含み、前記基礎構造物据付方法では、前記セメント硬化物打設工程によって前記内側スペースにセメント硬化物を打設すると、前記支持ボルトの螺子上部がセメント硬化物から上方に露出し、前記支持ボルトの螺子下部がセメント硬化物に埋没する請求項4に記載の基礎構造物据付方法。
【請求項6】
前記支持ボルト設置工程では、前記頂部枠材の上に設置されるスペーサと、前記スペーサの上に設置されて該頂部枠材から上方へ離間し、前記支持ボルトを挿脱可能に設置するボルト位置決め部材とが利用され、前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物を養生した後に前記頂部枠材から前記ボルト位置決め部材と前記スペーサとを取り外すボルト位置決め部材・スペーサ取り外し工程を含む請求項5に記載の基礎構造物据付方法。
【請求項7】
前記頂部分が、前記第1側壁の頂部から径方向外方へ延びる第1頂部分と、前記第2側壁の頂部から径方向外方へ延びる第2頂部分と、前記第3側壁の頂部から径方向外方へ延びる第3頂部分と、前記第4側壁の頂部から径方向外方へ延びる第4頂部分とから形成され、前記頂部枠材が、前記第1側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第1頂部枠材と、前記第2側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第2頂部枠材と、前記第3側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第3頂部枠材と、前記第4側壁の頂部から径方向外方へ延びた後に上方へ延びる第4頂部枠材とから形成され、前記頂部枠材設置工程では、前記第1頂部枠材を前記第1頂部分に着脱可能に設置し、前記第2頂部枠材を前記第2頂部分に着脱可能に設置し、前記第3頂部枠材を前記第3頂部分に着脱可能に設置するとともに、前記第4頂部枠材を前記第4頂部分に着脱可能に設置する請求項4ないし請求項6いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項8】
前記基礎構造物据付方法が、前記幅止めボルト設置工程の後であって前記セメント硬化物打設工程の前に、前記幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第1調整工程を含む請求項1ないし請求項7いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項9】
前記基礎構造物据付方法が、前記セメント硬化物打設工程におけるセメント硬化物の打設過程において、前記幅止めボルトを利用して第1および第3側壁の離間寸法を微調整するとともに第2および第4側壁の離間寸法を微調整する離間寸法第2調整工程を含む請求項1ないし請求項8いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項10】
前記基礎構造物据付方法では、前記内側スペースに打設されたセメント硬化物の側圧による前記第1および第3側壁の変形と前記第2および第4側壁の変形とが前記幅止めボルトによって防止される請求項1ないし請求項9いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項11】
前記新設防水材設置工程が、前記セメント硬化物打設工程の前、または、前記セメント硬化物打設工程の後に実施され、前記基礎構造物据付方法では、前記内側スペースに打設された前記セメント硬化物の養生期間を待つことなく、前記新設防水材の設置作業が完了するとともに前記基礎構造物の据付作業が完了する請求項1ないし請求項10いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項12】
前記新設防水材設置工程では、前記新設防水材を前記底部枠材から径方向に延長し、前記底部枠材の周囲に位置する前記躯体を前記新設防水材によって被覆する請求項1ないし請求項11いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項13】
前記長ナットが、前記土台管の中央部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第1長ナットと、前記土台管の中央部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第2長ナットとから形成され、前記幅止めボルトが、それら第1長ナットに螺着される第1幅止めボルトと、それら第2長ナットに螺着される第2幅止めボルトとから形成されている請求項1ないし請求項12いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項14】
前記長ナットが、前記土台管の頂部における第1および第3側壁の内壁面に固定された第3長ナットと、前記土台管の頂部における第2および第4側壁の内壁面に固定された第4長ナットとから形成され、前記幅止めボルトが、それら第3長ナットに螺着される第3幅止めボルトと、それら第4長ナットに螺着される第4幅止めボルトとから形成されている請求項1ないし請求項13いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項15】
前記底部枠材が、前記第1側壁の底部から下方へ延びていて該第1側壁と前記躯体との間の間隙を塞ぐ第1底部枠材と、前記第2側壁の底部から下方へ延びていて該第2側壁と前記躯体との間の間隙を塞ぐ第2底部枠材と、前記第3側壁の底部から下方へ延びていて該第3側壁と前記躯体との間の間隙を塞ぐ第3底部枠材と、前記第4側壁の底部から下方へ延びていて該第4側壁と前記躯体との間の間隙を塞ぐ第4底部枠材とから形成され、前記底部枠材固定工程では、前記第1底部枠材を前記第1側壁の底部に固定し、前記第2底部枠材を前記第2側壁の底部に固定し、前記第3底部枠材を前記第3側壁の底部に固定するとともに、前記第4底部枠材を前記第4側壁の底部に固定する請求項1ないし請求項14いずれかに記載の基礎構造物据付方法。
【請求項16】
前記底部分が、前記第1側壁の底部から径方向内方へ延びる第1底部分と、前記第2側壁の底部から径方向内方へ延びる第2底部分と、前記第3側壁の底部から径方向内方へ延びる第3底部分と、前記第4側壁の底部から径方向内方へ延びる第4底部分とから形成され、前記調整ボルトが、前記第1底部分に形成されたボルト孔に設置された第1調整ボルトと、前記第2底部分に形成されたボルト孔に設置された第2調整ボルトと、前記第3底部分に形成されたボルト孔に設置された第3調整ボルトと、前記第4底部分に形成されたボルト孔に設置された第4調整ボルトとから形成されている請求項1ないし請求項15いずれかに記載の基礎構造物据付方法。