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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-134265(P2016-134265A)
(43)【公開日】2016年7月25日
(54)【発明の名称】FPC用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/62 20110101AFI20160627BHJP
【FI】
   H01R12/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-7617(P2015-7617)
(22)【出願日】2015年1月19日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】山田 英靖
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩祐
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AA01
5E123AA11
5E123AB06
5E123BA07
5E123BA08
5E123BB01
5E123BB12
5E123CB31
5E123CB38
5E123CD01
5E123CD02
5E123CD22
5E123CD23
5E123DA05
5E123DB23
5E123DB33
5E123DB36
5E123EA02
5E123EC18
5E123EC32
5E123EC63
5E123EC72
(57)【要約】
【課題】低背化したFPC用コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、FPC1の一方の面11に露出された複数の導体パターンをプリント基板9pに向って略垂直方向に移動することで、プリント基板9pに実装された相手側コネクタ3と電気的に接続できる。コネクタ10は、第1係合板2を備える。第1係合板2は、FPC1の他方の面12に主面部2mを固定している。又、第1係合板2は、一対の第1折り曲げ片21・21を有する。一対の第1折り曲げ片21・21は、FPC1の端末の幅方向に延び、他方の面12から一方の面11の方向に向って屈曲している。一対の第1折り曲げ片21・21は、相手側コネクタ3の両側面に設けた一対のランス34r・34rに係止自在な開口21hを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に延びるFPCの端末の一方の面に露出された複数の導体パターンをプリント基板の一方の面に向って略垂直方向に移動することで、前記プリント基板に実装された平板状の相手側コネクタと電気的に接続自在なFPC用コネクタであって、
前記FPCの端末の一方の面と反対側の他方の面に主面部を固定した帯状の第1係合板を備え、
前記第1係合板は、前記FPCの端末の幅方向に延び、前記他方の面から前記一方の面の方向に向って屈曲した一対の第1折り曲げ片を有し、
一対の前記第1折り曲げ片は、前記相手側コネクタの両側面に係止自在な係止手段を有する、FPC用コネクタ。
【請求項2】
前記相手側コネクタは、一対の前記第1折り曲げ片がスライド自在なランスを両側面に有し、
前記係止手段は、前記ランスが係合自在な矩形の開口で構成している請求項1記載のFPC用コネクタ。
【請求項3】
前記第1係合板は、ハンダ接合自在な金属板からなり、
前記主面部は、前記FPCの他方の面に接着された複数の銅箔にハンダ接合されている請求項1又は2記載のFPC用コネクタ。
【請求項4】
帯状に延びるFPCの端末の一方の面に露出された複数の導体パターンをプリント基板の一方の面に向って略垂直方向に移動することで、前記プリント基板に実装された平板状の相手側コネクタと電気的に接続自在なFPC用コネクタであって、
前記FPCの端末の一方の面と反対側の他方の面に主面部を当接自在な帯状の第2係合板を備え、
前記第2係合板は、
前記主面部の板厚面に向って部分的に延びた後に、前記主面部に向かってU字状に反転し、前記FPCの端末を挟持する複数のクリップ片と、
前記FPCの端末の幅方向に相反する向きに延び、互いに外側に湾曲した一対の第2折り曲げ片を有し、
前記相手側コネクタは、一対の前記第2折り曲げ片に嵌合自在な突条を両側面に有する、FPC用コネクタ。
【請求項5】
帯状に延びるFPCの端末の一方の面に露出された複数の導体パターンをプリント基板の一方の面に向って略垂直方向に移動することで、前記プリント基板に実装された平板状の相手側コネクタと電気的に接続自在なFPC用コネクタであって、
前記FPCの端末の一方の面と反対側の他方の面に主面部を接着した第3係合板を備え、
前記第3係合板は、前記FPCの端末の幅方向に相反する向きに延び、互いに外側に湾曲した一対の第3折り曲げ片を有し、
前記相手側コネクタは、一対の前記第3折り曲げ片に嵌合自在な突条を両側面に有する、FPC用コネクタ。
【請求項6】
前記相手側コネクタは、基端部をハウジングに片持ち支持し、先端部が前記FPCの導体パターンに接触自在な板ばね状のコンタクトを有する請求項1から5のいずれかに記載のFPC用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)などの平形柔軟ケーブルを硬質のプリント基板(いわゆる、リジッド基板)に電気的に接続させるためのコネクタに関する。本明細書は、平形柔軟ケーブルを総称してFPCと呼称することとし、本発明は、特に、FPCの端末に露出された導体パターンをプリント基板に設けた相手側コネクタとプリント基板の面と垂直方向から係脱自在なFPC用コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
FPCは、電子部品を実装でき、柔軟性を有するプリント基板として使用できる。又、FPCは、可撓性を有すると共に薄型化できることから、近年では、複数の電線を絶縁被覆して集合したフラットケーブルに換えて、複数の導体パターンを平面上に配置したフレキシブルケーブルとして、携帯電話機の内部又はパソコンの内部に使用している。
【0003】
平形柔軟ケーブルとしてのFPCとリジッドなプリント基板を電気的に接続するFPC用コネクタとしては、FPCを取り付けるときの位置決めを良好にできるFPC用コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開20004−311204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12は、従来技術によるFPC用コネクタの縦断面図であり、図12(A)は、カバーを閉じた状態図、図12(B)は、カバーを開いた状態図である。図13は、従来技術によるFPC用コネクタの縦断面図であり、図13(A)は、カバーを開いた状態でFPCを挿入する途中の状態図、図13(B)は、カバーを開いた状態でFPCを挿入した状態図、図13(C)は、FPCを挿入した後にカバーを閉じた状態図である。
【0006】
なお、本願の図12は、特許文献1の図2に相当し、本願の図13は、特許文献1の図3に相当している。
【0007】
図12又は図13を参照すると、従来技術によるFPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、直方体状のハウジング91と平板状のカバー92を備えている。又、コネクタ9は、複数の第1コンタクト93と複数の第2コンタクト94を備えている。ハウジング91は、FPC9fが挿抜自在な凹部90を有している。カバー92は、凹部90を開閉自在にハウジング91と連結している。
【0008】
図12又は図13を参照すると、第1コンタクト93は、ハウジング91の内部に並列配置されている。同様に、第2コンタクト94は、ハウジング91の内部に並列配置されている。第1コンタクト93と第2コンタクト94は、交互に配置されている。
【0009】
図13を参照すると、第1コンタクト93は、第1固定アーム931、第1弾性アーム、及び第2弾性アーム933を備えている。第1固定アーム931は、ハウジング91に固定している。第1弾性アーム932は、基端部が第1固定アーム931から分岐し、先端部側が凹部90に向かって延出している。第2弾性アーム933は、基端部が第1固定アーム931から分岐し、第2弾性アーム933と略平行に配置されている。
【0010】
図12を参照すると、第2コンタクト94は、第2固定アーム941、第3弾性アーム942、及び連結脚943を備えている。第2固定アーム941は、基端部側をハウジング91に固定し、先端部側を凹部90に向かって延出している。第3弾性アーム942は、第2固定アーム941と略平行に配置されている。連結脚943は、第2固定アーム941と第3弾性アーム942の基端部同士を連結している。
【0011】
図12を参照すると、連結脚943は、その一部がプリント基板9pの一方の面にハンダ接合している。又、図13を参照すると、第1固定アーム931は、その一部がプリント基板9pの一方の面にハンダ接合している。すなわち、コネクタ9は、プリント基板9pの表面にハンダ接合される、表面実装型のコネクタである。
【0012】
図13を参照すると、カバー92は、第1弾性アーム932の先端部側と回動自在に係合するカム部92cを基端部に有している。又、図12を参照すると、カバー92は、第2固定アーム941の先端部側で押さえられる段差部92dを基端部に有している。
【0013】
図13を参照すると、第2弾性アーム933は、接点93sを先端部に形成している。接点93sは、第1弾性アーム932の先端部に向かって突出している。図13(C)に示すように、ハウジング91に対してカバー92を閉じた状態では、接点93sは、FPC9fの端末に露出された導体パターンに接触できる。
【0014】
図12を参照すると、第3弾性アーム942は、接点94sを先端部に形成している。接点94sは、第2固定アーム941の先端部に向かって突出している。第2固定アーム941と第3弾性アーム942の間にFPC9fを挿入し(図13参照)、ハウジング91に対してカバー92を閉じた状態では、接点94sは、FPC9fの端末に露出された導体パターンに接触できる。
【0015】
図13を参照して、FPC9fは、その幅方向に突出する一対の方形の突部91f・91fを端末に備えている。一方、図13(A)を参照すると、ハウジング91は、一対の突部91f・91fをスライド自在に案内するガイド面911を凹部90の手前側に形成している。ガイド面911は、凹部90の底面より高くなっている。
【0016】
図13(B)を参照して、一対の突部91f・91fがガイド面911を通過すると、FPC9fの端末は、凹部90の底面に向って降下する。図13(B)に示した状態では、FPC9fの端末は、凹部90の底面に向って導入される。これにより、FPC9fの幅方向の位置決めが容易になる。又、図13(B)に示した状態では、一対の突部91f・91fが段差面912に係止して、FPC9fの引き抜きが困難になる。
【0017】
図13(A)に示した状態から図13(B)に至る過程では、FPC9fを凹部90の奥側に向かって押し続けると、FPC9fの端末が上方に向かって湾曲するように撓む。FPC9fが停止した感触を得たときに、FPC9fを押す力を弱めると、FPC9fの端末は、凹部90の底面に向って降下できる。この場合、FPC9fの端末の撓みが解消されて、一対の突部91f・91fが段差面912に強くぶつかり、クリック音を発生することで、FPC9fの装着を容易に認識できる。
【0018】
このように、特許文献1によるコネクタ9は、FPC9fの端末が凹部90に落下したときに、クリック音を発生するので、FPC9fの位置決めが達成されたことを容易に認識できる。
【0019】
しかし、従来の開閉式のFPC用コネクタは、複数の板状のコンタクトを縦置きに配置しているので、プリント基板の実装高さを低くすることに制約がある。又、複数のコンタクトを保持するハウジング、及びカバーは、所定の厚さを必要としているので、プリント基板の実装高さを低くすることに制約がある。そして、これに起因して、携帯電話機又はパソコンなどの薄型化を困難としていた。
【0020】
携帯電話機又はパソコンなどを薄型化するために、プリント基板への実装高さを低くする、いわゆる低背化したFPC用コネクタが求められていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0021】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、FPCとプリント基板を電気的に接続するFPC用コネクタであって、低背化したFPC用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、プリント基板に対してFPCを水平方向から開閉式のコネクタに挿入する水平取付形コネクタに替えて、プリント基板に対してFPCを垂直方向から平型の相手側コネクタに直結する垂直取付形コネクタの構造とすることで、FPC用コネクタを低背化できると考え、これに基づいて、以下のような新たなFPC用コネクタを発明するに至った。
【0023】
(1) 帯状に延びるFPCの端末の一方の面に露出された複数の導体パターンをプリント基板の一方の面に向って略垂直方向に移動することで、前記プリント基板に実装された平板状の相手側コネクタと電気的に接続自在なFPC用コネクタであって、前記FPCの端末の一方の面と反対側の他方の面に主面部を固定した帯状の第1係合板を備え、前記第1係合板は、前記FPCの端末の幅方向に延び、前記他方の面から前記一方の面の方向に向って屈曲した一対の第1折り曲げ片を有し、一対の前記第1折り曲げ片は、前記相手側コネクタの両側面に係止自在な係止手段を有する、FPC用コネクタ。
【0024】
(2) 前記相手側コネクタは、一対の前記第1折り曲げ片がスライド自在なランスを両側面に有し、前記係止手段は、前記ランスが係合自在な矩形の開口で構成している(1)記載のFPC用コネクタ。
【0025】
(3) 前記第1係合板は、ハンダ接合自在な金属板からなり、前記主面部は、前記FPCの他方の面に接着された複数の銅箔にハンダ接合されている(1)又は(2)記載のFPC用コネクタ。
【0026】
(4) 帯状に延びるFPCの端末の一方の面に露出された複数の導体パターンをプリント基板の一方の面に向って略垂直方向に移動することで、前記プリント基板に実装された平板状の相手側コネクタと電気的に接続自在なFPC用コネクタであって、前記FPCの端末の一方の面と反対側の他方の面に主面部を当接自在な帯状の第2係合板を備え、前記第2係合板は、前記主面部の板厚面に向って部分的に延びた後に、前記主面部に向かってU字状に反転し、前記FPCの端末を挟持する複数のクリップ片と、前記FPCの端末の幅方向に相反する向きに延び、互いに外側に湾曲した一対の第2折り曲げ片を有し、前記相手側コネクタは、一対の前記第2折り曲げ片に嵌合自在な突条を両側面に有する、FPC用コネクタ。
【0027】
(5) 帯状に延びるFPCの端末の一方の面に露出された複数の導体パターンをプリント基板の一方の面に向って略垂直方向に移動することで、前記プリント基板に実装された平板状の相手側コネクタと電気的に接続自在なFPC用コネクタであって、前記FPCの端末の一方の面と反対側の他方の面に主面部を接着した第3係合板を備え、前記第3係合板は、前記FPCの端末の幅方向に相反する向きに延び、互いに外側に湾曲した一対の第3折り曲げ片を有し、前記相手側コネクタは、一対の前記第3折り曲げ片に嵌合自在な突条を両側面に有する、FPC用コネクタ。
【0028】
(6) 前記相手側コネクタは、基端部をハウジングに片持ち支持し、先端部が前記FPCの導体パターンに接触自在な板ばね状のコンタクトを有する(1)から(5)のいずれかに記載のFPC用コネクタ。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるFPC用コネクタは、FPCの端末に形成された複数の導体パターンをプリント基板に向って略垂直方向に移動することで、プリント基板に実装された平板状の相手側コネクタと電気的に接続でき、FPCの端末に取り付けた係合板を相手側コネクタにロックできるので、低背化できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。
図3】第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す平面図である。
図4】第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す背面図である。
図5】第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す左側面図である。
図6】第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタをオモテ面側から観た状態図である。
図7】第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタをウラ面から観た状態図である。
図8】第1実施形態によるFPC用コネクタと接続する相手側コネクタの斜視図である。
図9】第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、図3のA−A矢視断面を拡大した図である。
図10】本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。
図11】本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。
図12】従来技術によるFPC用コネクタの縦断面図であり、図12(A)は、カバーを閉じた状態図、図12(B)は、カバーを開いた状態図である。
図13】従来技術によるFPC用コネクタの縦断面図であり、図13(A)は、カバーを開いた状態でFPCを挿入する途中の状態図、図13(B)は、カバーを開いた状態でFPCを挿入した状態図、図13(C)は、FPCを挿入した後にカバーを閉じた状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0032】
[第1実施形態]
(FPC用コネクタの構成)
最初に、本発明の第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図である。図2は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。
【0034】
図3は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す平面図である。図4は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す背面図である。図5は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す左側面図である。
【0035】
図6は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタをオモテ面側から観た状態図である。図7は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタをウラ面から観た状態図である。
【0036】
図8は、第1実施形態によるFPC用コネクタと接続する相手側コネクタの斜視図である。図9は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、図3のA−A矢視断面を拡大した図である。
【0037】
(全体構成)
図1から図7を参照すると、本発明の第1実施形態によるFPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、帯状の第1係合板2を備えている。第1係合板2は、その主面部2mをFPC1の端末の一方の面11と反対側の他方の面12に固定している。
【0038】
図1から図7を参照すると、第1係合板2は、一対の第1折り曲げ片21・21を主面部2mの両側に備えている。一対の第1折り曲げ片21・21は、FPC1の端末の幅方向に延び、他方の面12から一方の面11の方向に向って屈曲している。又、一対の第1折り曲げ片21・21は、相手側コネクタ3の両側面に係止自在な係止手段となる矩形の開口21hを開口している。
【0039】
図1から図7を参照して、帯状に延びるFPC1の端末の一方の面11に露出された複数の導体パターン111・112(図7参照)をプリント基板9pの一方の面91pに向って略垂直方向に移動することで(図2参照)、プリント基板9pに実装された平板状の相手側コネクタ3と電気的に接続できる。
【0040】
図2又は図5及び図8を参照すると、相手側コネクタ3は、一対のランス34r・34rを両側面に備えている。一対のランス34r・34rは、相反する向きに配置されている。
【0041】
図2を参照して、相手側コネクタ3に向かって、コネクタ10を略垂直方向に移動すると、一対の第1折り曲げ片21・21がランス34r・34rによってスライドしながら拡げられる。そして、FPC1の端末の一方の面11が相手側コネクタ3の表面に到達すると、ランス34rが開口21hに係合して、第1係合板2をロックできる。つまり、コネクタ10を相手側コネクタ3にロックできる。
【0042】
(第1係合板の構成)
次に、実施形態による第1係合板2の構成を説明する。図1から図7を参照すると、第1係合板2は、ハンダ接合自在な金属板で構成している。又、図1から図6を参照すると、第1係合板2は、スリットで区画された複数のハンダ接合片22を主面部2mに備えている。
【0043】
一方、図6を参照すると、FPC1は、複数の銅箔113を他方の面12に接着している。これらの銅箔113は、ハンダ接合片22の対応する位置に配置されている。ハンダ接合片22を銅箔113にハンダ接合することで、第1係合板2をFPC1の端末に固定できる。
【0044】
(相手側コネクタの構成)
次に、第1実施形態による相手側コネクタ3の構成を説明する。図2又は図8及び図9を参照すると、相手側コネクタ3は、絶縁性を有する矩形のハウジング31、一組の板ばね状の電源コンタクト32・32、及び、一組の板ばね状の信号コンタクト33・33を備えている。
【0045】
図8又は図9を参照すると、電源コンタクト32は、その基端部がハウジング31に片持ち支持されている。又、電源コンタクト32は、その先端部をFPC1の導体パターン111に接触できる(図7参照)。更に、電源コンタクト32は、リード部32rを基端部から延出している。リード部32rは、プリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合できる(図2参照)。
【0046】
同様に、図2又は図8を参照すると、信号コンタクト33は、その基端部がハウジング31に片持ち支持されている。又、信号コンタクト33は、その先端部をFPC1の導体パターン112に接触できる(図7参照)。更に、信号コンタクト33は、リード部33rを基端部から延出している。リード部33rは、プリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合できる(図2参照)。
【0047】
図2又は図8を参照すると、相手側コネクタ3は、一対の補強タブ34・34をハウジング31の両側面に配置している。補強タブ34には、ランス34rを形成している。補強タブ34は、その底面側をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合できる(図2参照)。つまり、第1実施形態による相手側コネクタ3は、表面実装型のコネクタである。又、電源コンタクト32、信号コンタクト33、及び補強タブ34は、ハウジング31に一体成形されている。
【0048】
(FPC用コネクタの作用)
次に、第1実施形態によるコネクタ10の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0049】
図1から図7を参照して、FPC1の端末の一方の面11に露出された複数の導体パターン111・112(図7参照)をプリント基板9pの一方の面91pに向って略垂直方向に移動することで(図2参照)、プリント基板9pに実装された相手側コネクタ3に設けた電源コンタクト32及び信号コンタクト33と電気的に接続できる。
【0050】
図2を参照して、相手側コネクタ3に向かって、コネクタ10を略垂直方向に移動すると、一対の第1折り曲げ片21・21がランス34r・34rによってスライドしながら拡げることができる。そして、FPC1の端末の一方の面11が相手側コネクタ3の表面に到達すると、ランス34rが開口21hに係合して、第1係合板2をロックできる。つまり、コネクタ10を相手側コネクタ3に直結できる。
【0051】
第1実施形態によるコネクタ10は、従来の開閉式のFPC用コネクタのように、複数の板状のコンタクトを縦置きに配置しておらず、プリント基板9pの実装高さHを低くすることができる(図9参照)。
【0052】
又、第1実施形態によるコネクタ10は、FPC1を相手側コネクタ3に直結できるので、従来のようにカバーを開閉する動作を省略できるメリットがある。更に、第1実施形態によるコネクタ10は、第1係合板2を金属板で構成することで、相手側コネクタ3をシールドする効果を期待できる。
【0053】
[第2実施形態]
(FPC用コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタの構成を説明する。図10は、本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。なお、第1実施形態で使用した符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同一にするので説明を省略することがある。
【0054】
図10を参照すると、本発明の第2実施形態によるコネクタ20は、帯状の第2係合板4を備えている。第2係合板4は、その主面部4mをFPC1の端末の一方の面11と反対側の他方の面12に当接している。第2係合板4は、金属板で構成することが好ましい。
【0055】
図10を参照すると、第2係合板4は、複数のクリップ片41と一対の第2折り曲げ片42・42を備えている。クリップ片41は、主面部4mの板厚面に向って部分的に延びた後に、主面部4mに向かってU字状に反転している。
【0056】
図10を参照すると、一方のクリップ片41は、FPC1の端縁に係止している。一方のクリップ片41は、組み立て時に塑性変形することが好ましい。他方の一対のクリップ片41・41は、一方のクリップ片41に向かって反転している。又、他方の一対のクリップ片41・41は、FPC1の幅方向に切り欠いたスリットに嵌合している。これらのクリップ片41の配置により、第2係合板4をFPC1の端末に固定できる。
【0057】
図10を参照すると、一対の第2折り曲げ片42・42は、FPC1の端末の幅方向に相反する向きに延びている。又、一対の第2折り曲げ片42・42は、互いに外側に湾曲している。
【0058】
図10を参照すると、相手側コネクタ5は、一対の突条51e・51eを両側面に備えている。一対の突条51e・51eは互いに外側に湾曲している。一対の突条51e・51eは、一対の第2折り曲げ片42・42に嵌合できる。
【0059】
図10を参照して、相手側コネクタ5に向かって、コネクタ20を略垂直方向に移動すると、一対の第2折り曲げ片42・42が一対の突条51e・51eによってスライドしながら拡げられる。そして、FPC1の端末の一方の面11が相手側コネクタ5の表面に到達すると、突条51eが第2折り曲げ片42に嵌合して、第2係合板4をロックできる。つまり、コネクタ20を相手側コネクタ5にロックできる。
【0060】
(相手側コネクタの構成)
次に、第2実施形態による相手側コネクタ5の構成を説明する。図10を参照すると、相手側コネクタ5は、絶縁性を有する矩形のハウジング31、一組の板ばね状の電源コンタクト32・32、及び、一組の板ばね状の信号コンタクト33・33を備えている。
【0061】
図10を参照すると、電源コンタクト32は、その基端部がハウジング31に片持ち支持されている。又、電源コンタクト32は、その先端部をFPC1の導体パターン111に接触できる(図7参照)。更に、電源コンタクト32は、リード部32rを基端部から延出している。リード部32rは、プリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合できる(図2参照)。
【0062】
同様に、図10を参照すると、信号コンタクト33は、その基端部がハウジング31に片持ち支持されている。又、信号コンタクト33は、その先端部をFPC1の導体パターン112に接触できる(図7参照)。更に、信号コンタクト33は、リード部33rを基端部から延出している。リード部33rは、プリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合できる(図2参照)。
【0063】
図10を参照すると、相手側コネクタ5は、一対の補強タブ51・51をハウジング31の両側面に配置している。補強タブ51には、突条51eを形成している。補強タブ51は、その底面側をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合できる(図2参照)。つまり、第2実施形態による相手側コネクタ5は、表面実装型のコネクタである。又、電源コンタクト32、信号コンタクト33、及び補強タブ51は、ハウジング31に一体成形されている。
【0064】
(FPC用コネクタの作用)
次に、第2実施形態によるコネクタ20の動作を説明しながら、コネクタ20の作用及び効果を説明する。
【0065】
図7を参照して、FPC1の端末の一方の面11に露出された複数の導体パターン111・112をプリント基板9pの一方の面91pに向って略垂直方向に移動することで(図2参照)、プリント基板9pに実装された相手側コネクタ5に設けた電源コンタクト32及び信号コンタクト33と電気的に接続できる(図10参照)。
【0066】
図10を参照して、相手側コネクタ5に向かって、コネクタ20を略垂直方向に移動すると、一対の第2折り曲げ片42・42が突条51e・51eによってスライドしながら拡げることができる。そして、FPC1の端末の一方の面11が相手側コネクタ5の表面に到達すると、突条51eが第2折り曲げ片42に嵌合して、第2係合板4をロックできる。つまり、コネクタ20を相手側コネクタ5に直結できる。
【0067】
第2実施形態によるコネクタ20は、第1実施形態によるコネクタ10と同様な効果を奏するが、係合板をFPC1の他方の面12にハンダ接合する工程を省略できる、という特別な効果がある。
【0068】
又、第2実施形態によるコネクタ20は、FPC1を相手側コネクタ3に直結できるので、従来のようにカバーを開閉する動作を省略できるメリットがある。更に、第2実施形態によるコネクタ20は、第2係合板4を金属板で構成することで、相手側コネクタ5をシールドする効果を期待できる。
【0069】
[第3実施形態]
(FPC用コネクタの構成)
次に、本発明の第3実施形態によるFPC用コネクタの構成を説明する。図11は、本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。なお、第1及び第2実施形態で使用した符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同一にするので説明を省略することがある。
【0070】
図11を参照すると、本発明の第3実施形態によるコネクタ30は、帯状の第3係合板6を備えている。第3係合板6は、その主面部6mをFPC1の端末の一方の面11と反対側の他方の面12に接着している。第3係合板6は、金属板で構成してもよく、合成樹脂板で構成することもできる。
【0071】
図11を参照すると、第3係合板6は、一対の第3折り曲げ片62・62を備えている。一対の第3折り曲げ片62・62は、FPC1の端末の幅方向に相反する向きに延びている。又、一対の第3折り曲げ片62・62は、互いに外側に湾曲している。
【0072】
図11を参照すると、相手側コネクタ5は、一対の突条51e・51eを両側面に備えている。一対の突条51e・51eは互いに外側に湾曲している。一対の突条51e・51eは、一対の第3折り曲げ片62・62に嵌合できる。
【0073】
図10図11を対比すると、一対の第2折り曲げ片42・42と一対の第3折り曲げ片62・62は、それらの形状を同一にしているが、説明の便宜上、順序数と符号を変えて区別した。
【0074】
図11を参照して、相手側コネクタ5に向かって、コネクタ30を略垂直方向に移動すると、一対の第3折り曲げ片62・62が一対の突条51e・51eによってスライドしながら拡げられる。そして、FPC1の端末の一方の面11が相手側コネクタ5の表面に到達すると、突条51eが第3折り曲げ片62に嵌合して、第3係合板6をロックできる。つまり、コネクタ30を相手側コネクタ5にロックできる。なお、第3実施形態による相手側コネクタは、第2実施形態による相手側コネクタ5と同じであるで、説明を省略する。
【0075】
(FPC用コネクタの作用)
次に、第3実施形態によるコネクタ30の動作を説明しながら、コネクタ30の作用及び効果を説明する。
【0076】
図7を参照して、FPC1の端末の一方の面11に露出された複数の導体パターン111・112をプリント基板9pの一方の面91pに向って略垂直方向に移動することで(図2参照)、プリント基板9pに実装された相手側コネクタ5に設けた電源コンタクト32及び信号コンタクト33と電気的に接続できる(図11参照)。
【0077】
図11を参照して、相手側コネクタ5に向かって、コネクタ30を略垂直方向に移動すると、一対の第3折り曲げ片62・62が突条51e・51eによってスライドしながら拡げることができる。そして、FPC1の端末の一方の面11が相手側コネクタ5の表面に到達すると、突条51eが第3折り曲げ片62に嵌合して、第3係合板6をロックできる。つまり、コネクタ30を相手側コネクタ5に直結できる。
【0078】
第3実施形態によるコネクタ30は、第1及び第2実施形態によるコネクタ10・20と同様な効果を奏するが、第3係合板6を合成樹脂で構成することで、FPC1の剛性を担保する補強板として、第3係合板6を利用できる、という特別な効果がある。
【0079】
本発明によるFPC用コネクタは、例えば、FPCの他方の端末を携帯電話機に内蔵したバッテリと電気的に接続でき、導体パターン111を介して(図7参照)、バッテリからプリント基板に電流をできる。又、本発明によるFPC用コネクタは、導体パターン112を介して(図7参照)、バッテリとプリント基板間に信号を送受できる。
【0080】
本発明によるFPC用コネクタは、第1から第3実施形態を開示したが、第1実施形態に設けた一対の第1折り曲げ片21・21(図1参照)を、第2実施形態による第2係合板4の両端部に設けることができ(図10参照)、第3実施形態による第3係合板6の両端部に設けることができる(図11参照)。
【0081】
又、本発明によるFPC用コネクタは、第2実施形態に設けた一対の第2折り曲げ片42・42(図10参照)を、第1実施形態による第1係合板2の両端部に設けることができ(図1参照)、種々の組み合わせと変形が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 FPC
2 第1係合板
2m 主面部
3 相手側コネクタ
9p プリント基板
10 コネクタ(FPC用コネクタ)
11 FPCの一方の面
12 FPCの他方の面
21・21 一対の第1折り曲げ片
21h 開口(係止手段)
111・112 導体パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13