(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-134624(P2016-134624A)
(43)【公開日】2016年7月25日
(54)【発明の名称】電子素子内蔵型印刷回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20160627BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20160627BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H05K3/46 U
H01L23/12 F
H01L23/12 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-3835(P2016-3835)
(22)【出願日】2016年1月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0010657
(32)【優先日】2015年1月22日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】タエ−セオン キム
(72)【発明者】
【氏名】ボク−ヒー リー
(72)【発明者】
【氏名】ジ−ヒュン リム
(72)【発明者】
【氏名】セオン−リュル チョ
(72)【発明者】
【氏名】ドン−ウク リー
(72)【発明者】
【氏名】イェオン−セオプ ユ
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC32
5E316DD02
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE31
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG28
5E316HH17
5E316HH33
5E316JJ12
5E316JJ13
5E316JJ25
5E316JJ28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子素子を実装するためのトレンチの形成の際に、該当領域を回路工法で代替して工程コストを低減すること。
【解決手段】トレンチが形成された第1絶縁層110と、上記第1絶縁層110のトレンチ底面に搭載された電子素子120と、上記電子素子120が搭載された上記第1絶縁層110の上部に形成された第2絶縁層115と、上記第1絶縁層110及び上記第2絶縁層115の外部面に形成された回路層130と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンチが形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層のトレンチに搭載された電子素子と、
前記電子素子を埋め込むように前記第1絶縁層の上部に形成された第2絶縁層と、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の上にそれぞれ形成された回路層と、
を含む電子素子内蔵型印刷回路基板。
【請求項2】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の少なくとも一方に形成され、前記電子素子と前記回路層とを電気的に接続するか、前記第1絶縁層に形成された前記回路層と前記第2絶縁層に形成された前記回路層とを電気的に接続するビアをさらに含む請求項1に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板。
【請求項3】
前記第1絶縁層及び第2絶縁層の一面または両面に積層された第3絶縁層をさらに含む請求項1または請求項2に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板。
【請求項4】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の少なくとも一方は、プリプレグで形成された請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層に形成された放熱板をさらに含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板。
【請求項6】
前記放熱板は、前記電子素子と同じ厚さを有するように形成され、金属物質で形成される請求項5に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板。
【請求項7】
キャリア部材の両面上に第1金属ブロックを形成するステップ(A)と、
前記第1金属ブロックが埋め込まれるように、前記キャリア部材の両面上に第1絶縁層を形成するステップ(B)と、
前記第1金属ブロックの埋め込まれた前記第1絶縁層を前記キャリア部材から分離するステップ(C)と、
前記第1絶縁層に埋め込まれた第1金属ブロックをエッチングしてトレンチを形成するステップ(D)と、
前記トレンチに電子素子を実装するステップ(E)と、
を含む電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(E)の後に、
前記電子素子が埋め込まれるように、前記第1絶縁層上に第2絶縁層を形成するステップ(F)と、
前記第1絶縁層及び第2絶縁層にビアと回路層とを形成するステップ(G)と、をさらに含む請求項7に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(B)は、前記第1絶縁層上に金属薄膜層を形成するステップを含む請求項7または請求項8に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1金属ブロックは、銅で形成される請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(G)の後に、
前記ステップ(F)と前記ステップ(G)とを順次数回繰り返してビルドアップ構造を形成する請求項8に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記キャリア部材の両面に形成される第1金属ブロックの厚さは、電子素子の高さに対応して形成される請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記第1金属ブロックは、複数形成される請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記ステップ(A)は、前記キャリア部材の両面に放熱板用の第2金属ブロックを形成するステップを含む請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記第1金属ブロックは、サブトラクティブ(Subtractive)法、アディティブ(Additive)法、SAP(Semi Addiitive process)法のうちのいずれか1つにより形成される請求項7から請求項14のいずれか1項に記載の電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子内蔵型印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話を始めとするIT分野の電子機器に多機能化、軽薄短小化が求められている。これにより電子素子を基板内に内蔵する技術が要求されている。
【0003】
一般の印刷回路基板(PCB;Printed Circuit Board)は、電気絶縁性基板に、銅のような伝導性材料で回路パターンを形成したものであって、電子素子を搭載する直前の基板(Board)をいう。すなわち、多種の多くの素子を平板上に密集して搭載するために、各部品の装着位置を確定し、部品を接続する回路パターンを平板の表面に印刷して固定した回路基板を意味する。
【0004】
近年には、各部品を印刷回路基板内に埋め込んで実装するエンベテッド(embedded)印刷回路基板が提供されている。
【0005】
このようなエンベテッド印刷回路基板は、通常的に基板の絶縁層にトレンチを形成し、トレンチ内に各種電子素子やIC及び半導体チップなどの電子素子を挿入する。その後、トレンチ内部及び電子素子の挿入された絶縁層上にプリプレグなどの接着性樹脂を塗布して電子素子を固定するとともに絶縁層を形成し、絶縁層にビアホールまたは貫通ホールを形成することで、電子素子と外部機器とが通電できるようになる。
【0006】
このとき、上記ビアホールまたは貫通ホールの内部及びその上部にはメッキ層とパターンとが形成されることで、基板に内蔵された電子素子との電気的接続手段として用いられ、絶縁層を基板の上面、下面に順次積層することにより電子素子が内蔵された多層印刷回路基板を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8314480号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一側面(または観点)によれば、電子素子を実装するためのトレンチを形成する際に、該当する領域を回路工法で代替して工程コストを低減できる電子素子内蔵型印刷回路基板を提供する。
【0009】
本発明の他の側面によれば、電子素子を実装するためのトレンチを形成する際に、該当する領域を回路工法で代替して工程コストを低減できる電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板は、トレンチの形成された第1絶縁層と、上記第1絶縁層のトレンチ底面に搭載された電子素子と、上記電子素子が搭載された上記第1絶縁層の上部に形成された第2絶縁層と、上記第1絶縁層及び上記第2絶縁層の外部面に形成された回路層と、を含む。
【0011】
また、一実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法は、キャリア部材の両面に所定厚さで金属層を形成するステップと、上記金属層を電子素子が実装される領域のみ残してエッチングし、第1金属ブロックを形成するステップと、上記第1金属ブロックが埋め込まれるように第1絶縁層を形成するステップと、上記キャリア部材を分離するステップと、上記キャリア部材から分離された積層体の一面に形成された第1金属ブロックをエッチングしてトレンチを形成するステップと、上記トレンチに電子素子を実装するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【
図2】本発明の第2実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【
図3】本発明の第3実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【
図4】本発明の第4実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【
図5】本発明の第5実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【
図6】本発明の第6実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【
図7a】本発明の第7実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【
図7b】本発明の第8実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【
図8】本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を示す順序図である。
【
図9a】本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を概略的に示す一工程図である。
【
図9b】
図9aに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9c】
図9bに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9d】
図9cに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9e】
図9dに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9f】
図9eに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9g】
図9fに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9h】
図9gに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9i】
図9hに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9j】
図9iに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図9k】
図9jに示す工程の次の工程を示す図である。
【
図10a】本発明の第2実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を概略的に示す一工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付図面に関連した以下の詳細な説明及び実施例によりさらに明らかになる。本明細書において各図面の構成要素に参照番号を付するに当たって、同一の構成要素には、たとえ他の図面上に表示されていても、できるだけ同一の番号を付している事に留意しなければならない。また、本発明を説明するに当たって、係わる公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0014】
本明細書における「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであって、構成要素が上記用語により限定されることはない。添付図面において、一部構成要素は誇張されたり、省略されたり、または概略的に図示されており、各構成要素の大きさが実際の大きさを反映したものではない。
【0015】
以下、添付された図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
【0016】
<電子素子内蔵型印刷回路基板>
先ず、本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板について、図面を参照して具体的に説明する。ここで、参照する図面に記載されていない図面符号は、同一の構成を示す他の図面での図面符号であり得る。
【0017】
図1は、本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板は、トレンチの形成された第1絶縁層110と、第1絶縁層110のトレンチ底面に搭載された電子素子120と、電子素子120の搭載された第1絶縁層110の上部に形成された第2絶縁層115と、第1絶縁層110及び第2絶縁層115の外部面に形成された回路層130と、を含む。
【0018】
第1絶縁層110には、電子素子120を実装するためにトレンチが形成される。第1絶縁層110としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、セラミック、有機−無機複合素材、またはガラス繊維含浸樹脂(プリプレグ)を用いることができる。例えば、第1絶縁層は、FR−4、BT(Bismaleimide Triazine)、ABF(Ajinomoto Build up Film)などのエポキシ系絶縁樹脂を含むことができ、またはポリイミド系樹脂を含むことができるが、特にこれに限定されない。
【0019】
電子素子120は、第1絶縁層110のトレンチに挿入される。その後、第1絶縁層110上に第2絶縁層115を形成することにより、電子素子120は第1絶縁層110と第2絶縁層115との間に埋め込まれる。
【0020】
第1絶縁層110と第2絶縁層115とは、互いに同一の材質で形成されてもよく、異なる材質で形成されてもよい。
【0021】
第1絶縁層110及び第2絶縁層115には、第1絶縁層110と第2絶縁層115とを貫通し、互いに異なる回路層を接続させるビア132が形成されることができる。第1絶縁層110及び/又は第2絶縁層115には、電子素子120の電極と回路層130とを接続させるマイクロビア131が形成されることができる。
【0022】
ビア132及び/又はマイクロビア131は、YAGレーザまたはCO
2レーザを用いて第1絶縁層110及び/又は第2絶縁層115にビアホールを形成し、その後、ビアホールに伝導性物質を充填することで形成することができる。
【0023】
回路層130は、第1絶縁層及び第2絶縁層の外部面に形成される。回路層130は、i)金属物質層の積層後に、エッチングレジストにより選択的に金属物質層を除去するサブトラクティブ(Subtractive)法、 ii)無電解メッキ及び電解メッキを介して選択的に導体パターンを形成するアディティブ(Additive)法、iii)SAP(Semi−Additive Process)法、及び、iv)MSAP(Modified Semi Additive Process)法のうちの少なくともいずれか1つの工法により形成可能である。
【0024】
電子素子120の上面及び下面の外郭部には、電極がそれぞれ形成される。電極とマイクロビア131とが互いに電気的に接続することにより、電子素子120は、外部回路層130と電気的に接続する。
【0025】
電子素子120は、トランジスター(transistor)、IC、LSIなどのような能動電子素子または抵抗(resistor)、コンデンサー(condenser)、インダクター(inductor)のような受動電子素子であり得る。
【0026】
図2及び
図3は、本発明の第2、第3実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
図2及び
図3に示すように、本発明の第2、第3実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板は、上述した本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板とは異なって、多層の回路層230、250、330,350,370で形成される。すなわち、第2実施例では、第1実施例の2Lの基本構造に、第3絶縁層240及び第2回路層250がさらに形成される。また第3実施例では、第2実施例の構造に、第4絶縁層360及び第3回路層370がさらに形成され、2L→4L→6L、または3L→5L→7Lにビルドアップすることができる。ここで、ビルドアップ層は、実施例に限定されず、必要によって、さらに形成することができる。
【0027】
図4は、本発明の第4実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
図4に示すように、本実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板は、それぞれの一面に回路層440を形成し、ビアを介して回路層440が電気的に接続するように形成された第1、第2絶縁層410,415と、第1絶縁層410の内部に埋め込まれた電子素子420と、第1絶縁層410の内部に電子素子420と同一線上に埋め込まれた放熱板430と、を含む。
【0028】
ここで、上記
図1の実施例と重複する説明は省略する。
【0029】
放熱板430は、第1絶縁層410に形成される。放熱板430は、第1絶縁層410にトレンチを形成する工程中に形成することができる。放熱板430は、銅で形成することが好ましいが、これに限定されず、放熱に優れた金属を適用することができる。放熱板430を形成する方法は、後述する。
【0030】
また、
図5及び
図6は、本発明の第5、第6実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
図5及び
図6に示すように、本発明の第5、第6実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板は、上述した本発明の第4実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板とは異なって、回路層540,560,640,660,680が多層で形成される。
【0031】
すなわち、第5実施例は、第4実施例の2Lの基本構造に、第3絶縁層550及び第2回路層560を含み、第6実施例は、第5実施例の構造に、第4絶縁層670及び第3回路層680をさらに形成して、2L→4L→6L、または3L→5L→7Lにビルドアップすることができる。ここで、ビルドアップ層は、実施例に限定されず、必要によって、さらに形成することができる。
【0032】
また、
図7a及び
図7bは、本発明の第7、第8実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
図7a及び
図7bに示すように、本発明の第7、第8実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板は、横電界の電子素子720が内蔵された構造である。
【0033】
<電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法>
図8は、本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を示す順序図であり、
図9aから
図9kは、第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を概略的に示す図である。
【0034】
図8に示すように、本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法は、キャリア部材の両面に金属ブロックを形成するステップS801と、金属ブロックが埋め込まれるように、キャリア部材の両面上に第1絶縁層を形成するステップS802と、第1絶縁層をキャリア部材から分離し、第1絶縁層に埋め込まれた金属ブロックをエッチングしてトレンチを形成するステップS803と、トレンチに電子素子を実装し、電子素子が埋め込まれるように、第1絶縁層上に第2絶縁層を形成するステップS804と、電子素子が埋め込まれた第1、第2絶縁層にビアと回路層とを形成するステップS805と、を含む。
【0035】
以下に、製造方法について順に詳細に説明する。
【0036】
なお、上述した本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板及び
図1を参照することになり、重複する説明を省略する。
【0037】
先ず、
図9a及び
図9bに示すように、キャリア部材の両面に金属ブロック21を形成する(S801)。
【0038】
以下、本実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を説明するにあたり、金属ブロック21をサブトラクティブ法により形成することを基準にして説明する。しかし、金属ブロック21を形成する方法がサブトラクティブ法に限定されることはない。すなわち、金属ブロック21は、アディティブ法、SAP法、MSAP法により形成することもできる。
【0039】
図9aに示すように、キャリア部材の両面に、所定厚さの金属層20を形成する。ここで、キャリア部材は、デタッチ(detach)コア10と、デタッチコア10の両面上にそれぞれ形成された金属箔11とを含む。
【0040】
金属層20は、銅で形成することができる。金属層20の厚さは、電子素子120の高さに対応する厚さに形成することができる。すなわち、金属層20は、後に電子素子120が実装されるトレンチの厚さに形成することができる。
【0041】
図9bに示すように、金属層20を選択的にエッチングしてキャリア部材上に金属ブロック21を形成する。キャリア部材における金属ブロック21が形成される位置は、電子素子120が実装される位置に対応して形成することになる。このとき、金属ブロック21は、エッチングレジストを用いて選択的に金属層20を除去するサブトラクティブ法により形成される。すなわち、回路工法であるエッチング工程を活用して、電子素子120が実装される位置のみ残し、それ以外の領域を除去する。
【0042】
次に、
図9cに示すように、金属ブロック21が埋め込まれるように、キャリア部材の両面上に第1絶縁層110を形成する(S802)。キャリア部材の両面に第1絶縁層110を形成した後、第1絶縁層110上に金属薄膜層31を形成することができる。金属薄膜層31は、後述する回路層130となることができる。
【0043】
第1絶縁層110は、プリプレグ(prepreg)で形成可能であり、ラミネーション工程によりキャリア部材上に積層することができる。ここで、第1絶縁層110は、ABFなどのようにプリプレグ以外のビルドアップフィルムを用いてキャリア部材上に積層することも可能である。また、第1絶縁層110は、キャリア部材上に、液状の絶縁材をスピンコーティングなどの方法で塗布して形成することも可能である。
【0044】
その後、
図9dから
図9fに示すように、第1絶縁層110をキャリア部材から分離し、第1絶縁層110に埋め込まれた金属ブロック21をエッチングしてトレンチ50を形成する(S803)。
【0045】
図9dに示すように、キャリア部材の上部及び下部に形成された第1絶縁層110をデタッチコア10から分離する。このとき、キャリア部材の金属箔11は、第1絶縁層110に結合された状態でデタッチコア10から分離される。
【0046】
以下では、分離された下部の第1絶縁層110を基準に説明する。
【0047】
図9e及び
図9fに示すように、第1絶縁層110の下面、すなわち、金属薄膜層31上にドライフィルム40を形成する。その後、第1絶縁層110に埋め込まれた金属ブロック21をエッチングして第1絶縁層110にトレンチ50を形成する。このとき、 金属箔11は、金属ブロック21とともにエッチングされて、第1絶縁層110から除去されることができる。
【0048】
このようにすることで、別途のドリル工程を行わずに、トレンチ50を形成することができるので、工程コストを低減することができる。
【0049】
次に、トレンチ50に電子素子120を実装し、電子素子120が埋め込まれるように、第1絶縁層110上に第2絶縁層115を形成する(S804)。
【0050】
図9g及び
図9hに示すように、第1絶縁層110からドライフィルム40を除去した後、 トレンチ50内に電子素子120を実装する。
【0051】
図9iに示すように、電子素子120が埋め込まれるように、第1絶縁層110上に第2絶縁層115を形成する。第2絶縁層115は、流動性のある絶縁材であってもよく、特に半硬化された絶縁材であってもよい。例示的に、第2絶縁層115は、プリプレグ層で形成することができる。または、第2絶縁層115は、ABF(Ajinomoto Build up Film)などのビルドアップフィルムを用いて形成することもできる。第2絶縁層115は、エポキシ系絶縁樹脂を含むことができ、これとは異なって、ポリイミド系樹脂を含むことができるが、特にこれに限定されることはない。ここで、第2絶縁層115上に金属薄膜層31を形成することができ、金属薄膜層31は、後述する回路層130となることができる。
【0052】
次に、電子素子120が埋め込まれた第1絶縁層110及び第2絶縁層115に、ビア131,132と、回路層とを形成する(S805)。
【0053】
図9jに示すように、電子素子120の両電極が露出するように第1絶縁層及び第2絶縁層110,115にビアホールVHを形成する。ビアホールVHは、CNCドリルまたはレーザドリルにより形成することができる。
【0054】
図9kに示すように、ビアホールVHに金属物質を充填してマイクロビア131及び貫通ビア132を形成し、回路層130を形成する。回路層130は、金属薄膜層31を選択的にエッチングして形成することができる(サブトラクティブ法)。または回路層130は、金属薄膜層31をシード層として用いるMSAP(Modified Semi−Additive Process)法により形成することができる。
【0055】
図10aから10nは、本発明の第2実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を概略的に示す図である。前述した本発明の第1実施例に係る電子素子内蔵型印刷回路基板の製造方法を参照することにし、重複する説明を省略する。
【0056】
図10aから
図10dに示すように、キャリア部材の両面に、所定厚さの金属層20を形成する。キャリア部材は、デタッチコア10と、デタッチコア10の両面上にそれぞれ形成された金属箔11とを含む。
【0057】
金属層20は、銅で形成することができる。金属層の厚さは、電子素子420の高さに対応する厚さに形成することができる。すなわち、金属層20は、後に形成される放熱板430の厚さ及び電子素子が実装されるトレンチの厚さに形成することができる。
【0058】
金属層20を選択的にエッチングして金属ブロック21を形成する。金属ブロック21を形成する位置は、放熱板430の位置及び電子素子420が実装される位置を考慮して形成する。
【0059】
金属ブロック21が形成されたキャリア部材上に、第1絶縁層410及び金属薄膜層31を形成する。第1絶縁層410は、プリプレグで形成することができ、ラミネーション工程によりキャリア部材上に積層することができる。
【0060】
以後、第1絶縁層410をキャリア部材から分離する。すなわち、キャリア部材の上部及び下部に形成された第1絶縁層410をデタッチコア10から分離する。このとき、キャリア部材の金属箔11は、第1絶縁層410に結合された状態で、デタッチコア10から分離される。
【0061】
以下では、分離された下部の第1絶縁層410を基準に説明する。
【0062】
図10eに示すように、第1絶縁層410の上面に形成された金属箔11の上面中、放熱板430となる金属ブロック21の位置に対応する領域と第1絶縁層410の下面に形成された金属薄膜層31上にドライフィルム40を塗布する。
【0063】
図10f及び
図10gに示すように、ドライフィルム40が塗布されていない金属箔11をエッチングし、第1絶縁層に埋め込まれた金属ブロック21の一部をエッチングして第1絶縁層410にトレンチを形成する。その後、第1絶縁層からドライフィルムを除去する。
【0064】
次に、
図10hに示すように、第1絶縁層410の下面に形成された金属薄膜層31上にドライフィルム40を塗布し、
図10iに示すように、第1絶縁層410の上面に形成された金属箔11のうち、トレンチの形成工程で除去されなかった金属箔11をエッチングにより除去する。その後、
図10jに示すように、ドライフィルムを除去し、
図10kに示すように、第1絶縁層410のトレンチ内に電子素子420を実装する。
【0065】
次に、
図10lから
図10nに示すように、電子素子420が埋め込まれるように、第1絶縁層410上に第2絶縁層415を形成し、第1絶縁層410及び第2絶縁層415にビアと回路層440とを形成する。
【0066】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。また本発明の技術的思想内で当分野の通常の知識を有する者によりその変形や改良が可能であることは明らかである。
【0067】
本発明の単純な変形や変更はすべて本発明の範囲に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付された特許請求範囲により明確になるであろう。
【符号の説明】
【0068】
VH ビアホール
10 デタッチコア
11 金属箔
20 金属層
21 金属ブロック
31 金属薄膜層
40 ドライフィルム
50 トレンチ
110、410 第1絶縁層
115、415 第2絶縁層
120、420、720 電子素子
130、230、330、440、540、640 回路層
240、550 第3絶縁層
360、670 第4絶縁層