【解決手段】光ファイバ融着接続装置1は、第1光源12から出射される光を受けることにより、第1方向から光ファイバ100,101を観察する第1顕微鏡14と、第2光源13から出射される光を受けることにより、第1方向と交差する第2方向から光ファイバ100,101を観察する第2顕微鏡16と、光ファイバ100の端部及び光ファイバ101の端部を融着接続する融着接続機構4と、融着接続機構4を制御する制御部5とを備える。第1顕微鏡14は第1軸方向L1に沿って移動可能であり、第2顕微鏡16は第2軸方向L2に沿って移動しないように固定されている。
前記制御部は、前記第2顕微鏡の観察結果から前記第1及び第2光ファイバの少なくとも一方のコアの中心位置を認識できない場合、前記コアの中心位置を認識できなかった第1及び第2光ファイバの外径の中心を検出する、請求項1に記載の光ファイバ融着接続装置。
前記中心位置判定部が認識した前記第1及び第2光ファイバのコアの中心位置の少なくとも一方を誤った位置であると判定した場合、前記中心位置決定部は、前記画像から、前記コアの中心位置を誤った位置であると判定された第1及び第2光ファイバの外径の中心を検出する、請求項4に記載の光ファイバ融着接続装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
本願発明の一実施形態は、第1光源から出射される光を受けることにより、第1方向から第1及び第2光ファイバを観察する第1顕微鏡と、第2光源から出射される光を受けることにより、第1方向と交差する第2方向から第1及び第2光ファイバを観察する第2顕微鏡と、第1光ファイバの端部及び第2光ファイバの端部を融着接続する融着接続機構と、融着接続機構を制御する制御部と、を備え、第1顕微鏡は第1方向に沿って移動可能であり、第2顕微鏡は第2方向に沿って移動しないように固定されている光ファイバ融着接続装置である。
【0012】
この光ファイバ融着接続装置では、第2顕微鏡は第2軸方向に沿って移動しないように固定されている。これにより、当該光ファイバ融着接続装置を用いて光ファイバの融着接続を行う際に、第1顕微鏡は第1及び第2光ファイバに対して焦点調整を行うが、第2顕微鏡は第1及び第2光ファイバに対して焦点調整を行わない。したがって、第2顕微鏡の焦点調整に必要な時間を省略でき、第1及び第2光ファイバの融着接続の作業時間を短縮することができる。また、第1顕微鏡は、第1及び第2光ファイバに対して焦点調整を行うことにより、精度よく第1及び第2光ファイバのコアの中心を観察可能である。これにより、第1及び第2光ファイバを融着接続する際に、第1顕微鏡及び第2顕微鏡の両方が固定されている場合と比較して、大幅な接続損失が発生することを抑制できる。
【0013】
また、制御部は、第2顕微鏡の観察結果から第1及び第2光ファイバの少なくとも一方のコアの中心位置を認識できない場合、コアの中心位置を認識できなかった第1及び第2光ファイバの外径の中心を検出してもよい。第2顕微鏡は固定されているので、第1及び第2光ファイバの径及び種類等に応じた焦点調整を行うことができない。よって、第2顕微鏡により第1及び第2光ファイバの少なくとも一方のコアの中心位置が観察できない場合がある。この場合、制御部によって第1及び第2光ファイバの一方または両方の外径の中心の検出結果を用いることにより、融着接続時の第1及び第2光ファイバのコアの中心位置が大幅にずれる可能性が低下し、融着接続による大幅な接続損失の発生をより抑制できる。
【0014】
また、制御部は、第1顕微鏡及び第2顕微鏡のそれぞれが撮像した画像を取得する画像取得部を有し、制御部が、第2顕微鏡によって撮像された画像から第1及び第2光ファイバの少なくとも一方のコアの中心位置を認識できない場合、画像から、コアの中心位置を認識できなかった第1及び第2光ファイバの外径の中心を検出してもよい。この場合、制御部が、第2顕微鏡によって撮像され、画像取得部によって取得された画像から検出した第1及び第2光ファイバの一方または両方の外径の中心をコアの中心位置とみなす。これにより、融着接続時の第1及び第2光ファイバのコアの中心位置が大幅にずれる可能性が低下し、融着接続による大幅な接続損失の発生をより一層抑えることができる。
【0015】
また、制御部は、第1顕微鏡によって撮像された画像、及び第2顕微鏡によって撮像された画像から、第1及び第2光ファイバのコアの中心位置を認識できるか否かを判定する中心位置判定部と、第1及び第2光ファイバのコアの中心位置をそれぞれ決定する中心位置決定部と、をさらに備えてもよい。このように第1及び第2光ファイバのコアの中心位置を認識できたと判定された後、第1及び第2光ファイバのコアの中心位置をそれぞれ決定することにより、決定される第1及び第2光ファイバのコアの中心位置の精度を向上できる。
【0016】
また、中心位置判定部が認識した第1及び第2光ファイバのコアの中心位置を誤った位置であると判定した場合、中心位置決定部は、画像から、コアの中心位置が誤った位置であると判定された第1及び第2光ファイバの外径の中心を検出してもよい。このような場合、第1及び第2光ファイバの一方または両方の外径の中心をコアの中心位置とみなすことにより、融着接続時の第1及び第2光ファイバのコアの中心位置が大幅にずれる可能性が低下する。これにより、融着接続による大幅な接続損失の発生をより一層抑えることができる。
【0017】
また、本願発明の他の一実施形態は、上記の光ファイバ融着接続装置を用い、固定された第2顕微鏡により第2方向から第1及び第2光ファイバを観察し、第2顕微鏡の観察結果から第1及び第2光ファイバのコアの中心位置を認識し、第1及び第2光ファイバのコアの中心位置の少なくとも一方が認識できない場合、コアの中心位置が認識できなかった第1及び第2光ファイバの外径の中心を検出し、第1及び第2光ファイバの位置合わせを行った後、第1及び第2光ファイバの端部同士を融着接続する、光ファイバの融着接続方法である。
【0018】
この光ファイバの融着接続方法では、第1顕微鏡は光ファイバに対して焦点調整を行うが、固定された第2顕微鏡は光ファイバに対して焦点調整を行わないので、第2顕微鏡の焦点調整に必要な時間を省略できる。これにより、光ファイバの融着接続の作業時間を短縮することができる。また、第2顕微鏡の観察結果から第1及び第2光ファイバの少なくとも一方のコアの中心位置を認識されない場合に、第1及び第2光ファイバの一方又は両方の外径の中心を検出することにより、融着接続時の第1及び第2光ファイバのコアの中心位置が大幅にずれる可能性が低下し、融着接続による大幅な接続損失の発生を抑えることができる。
【0019】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、実施形態に係る融着接続装置を示す概略構成図である。
図1に示されるように、光ファイバを融着接続するための光ファイバ融着接続装置1は、一対の光ファイバ100,101(第1及び第2光ファイバ)を観察する画像観察機構2と、画像観察機構2にて観察された光ファイバ100,101の画像等を表示する画像表示部3と、光ファイバ100の端部及び光ファイバ101の端部を融着接続する融着接続機構4と、画像観察機構2、画像表示部3、及び融着接続機構4を制御する制御部5を備える。制御部5は、画像観察機構2、画像表示部3、及び融着接続機構4のそれぞれに接続されている。
【0021】
画像観察機構2は、光ファイバ100,101が配置される載置部11と、それぞれ異なる方向から光ファイバ100,101に向かって光を出射する第1光源12及び第2光源13と、載置部11を挟んで第1光源12と対向している第1顕微鏡14と、第1顕微鏡14を駆動可能なフォーカス駆動部15と、載置部11を挟んで第2光源13と対向している第2顕微鏡16と、第2顕微鏡16を固定する固定部17とを備える。
【0022】
第1光源12及び第2光源13は、例えば発光ダイオード等の発光素子である。第1光源12及び第2光源13は、例えば赤色光を出射する。
【0023】
第1顕微鏡14は、第1光源12から出射される光を受けることにより、光ファイバ100,101の側面(特に光ファイバ100,101のコアの中心及び外径)を観察する部材であり、例えばCCDカメラ(Charge-Coupled Device Camera)、CMOSカメラ(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor Camera)等である。第1顕微鏡14は、載置部11に載置された光ファイバ100,101を精度よく観察できるように、上述したフォーカス駆動部15によって移動可能となっている。第1顕微鏡14による観察結果は撮像可能であり、撮像された画像(以下、観察結果または第1画像とする)は、データとなって制御部5へ送信される。
【0024】
第2顕微鏡16は、第2光源13から出射される光を受けることにより、光ファイバ100,101の側面(特に光ファイバ100,101のコアの中心及び外径)を観察する部材であり、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ等である。第2顕微鏡16は、上述した固定部17によって移動しないように固定されている。第2顕微鏡16による観察結果は撮像可能であり、撮像された画像(以下、観察結果または第2画像とする)は、データとなって制御部5へ送信される。
【0025】
以下では、第1光源12から第1顕微鏡14に向かって出射される光の軸方向を第1軸方向L1(第1方向)とし、第2光源13から第2顕微鏡16に向かって出射される光の軸方向を第2軸方向L2(第2方向)とする。第1軸方向L1と第2軸方向L2とが載置部11上にて互いに交差するように、第1光源12、第2光源13、第1顕微鏡14、及び第2顕微鏡16がそれぞれ配置される。よって、第1顕微鏡14及び第2顕微鏡16は、互いに異なる方向(角度)から光ファイバ100,101を観察するように設置される。なお、第1軸方向L1と第2軸方向L2とがなす角度は、例えば60°〜120°である。
【0026】
画像表示部3は、第1顕微鏡14及び第2顕微鏡16のそれぞれの観察結果等を表示する。画像表示部3として、例えば種々のディスプレイ(液晶ディスプレイ等)が用いられる。
【0027】
融着接続機構4は、互いに突き合わせた光ファイバ100,101の端部同士に放電を行うことにより、融着接続を行う機構である。融着接続機構4は、例えば載置部11を移動させることにより、光ファイバ100,101の位置合わせを行う。
【0028】
制御部5は、画像観察機構2から撮像された画像を取得する画像取得部21と、画像取得部21によって取得された画像から、光ファイバのコアの中心位置が認識可能か否かを判定する中心位置判定部22と、光ファイバのコアの中心位置を決定する中心位置決定部23とを備える。制御部5として、例えば一又は複数の集積回路(IC)で形成されたCPU(中央演算装置)が用いられる。
【0029】
画像取得部21は、画像観察機構2において、第1顕微鏡14及び第2顕微鏡16のそれぞれが撮像した光ファイバ100,101の画像(観察結果)を取得する。また、画像取得部21は、取得した上記画像の輝度分布波形を検出する。
【0030】
中心位置判定部22は、第1顕微鏡14によって撮像された第1画像、及び第2顕微鏡16によって撮像された第2画像から、光ファイバ100,101のコアの中心位置がそれぞれ認識できるか否かを判定する。中心位置判定部22は、例えば画像取得部21によって得られた(第1顕微鏡14によって撮像された)第1画像の輝度分布波形を用いて、第1軸方向L1から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置が認識できるか否かを判定する。同様に、中心位置判定部22は、画像取得部21によって得られた(第2顕微鏡16によって撮像された)第2画像の輝度分布波形を用いて、第2軸方向L2から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置が認識できるか否かを判定する。中心位置判定部22による上記判定の詳細については、後に説明する。
【0031】
中心位置決定部23は、光ファイバ100,101のコアの中心位置をそれぞれ決定する。中心位置決定部23は、例えば第1画像の輝度分布波形を用いて、第1軸方向L1から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置をそれぞれ決定する。同様に、中心位置決定部23は、第2画像の輝度分布波形を用いて、第2軸方向L2から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置をそれぞれ決定する。中心位置判定部22による光ファイバ100,101のコアの中心位置の決定方法の詳細については、後に説明する。中心位置決定部23は、中心位置判定部22によって光ファイバ100,101のコアの中心位置の少なくとも一方が認識できなかった場合、コアの中心位置が認識できなかった光ファイバ100,101の外径を検出する。検出した光ファイバ100,101の外径の中心は、コアの中心位置とみなされる。
【0032】
次に、本実施形態に係る光ファイバの融着接続装置を用いた光ファイバの融着接続方法について、
図2を用いながら説明する。
図2は、実施形態に係る光ファイバの融着接続方法を説明するためのフローチャートである。
【0033】
図2に示されるように、第1ステップとして、光ファイバ100,101を載置部11に固定する(ステップS1)。ステップS1では、光ファイバ100の端部と光ファイバ101の端部とが対向するように、当該光ファイバ100,101を載置部11に固定する。
【0034】
次に、第2ステップとして、第1光源12から光を受けた第1顕微鏡14が、第1軸方向L1から光ファイバ100,101を観察する(ステップS2)。ステップS2では、第1顕微鏡14により光ファイバ100,101のコアの中心位置を観察できるように、フォーカス駆動部15が第1顕微鏡14の焦点位置を調整する。
【0035】
次に、第3ステップとして、画像取得部21が、第1顕微鏡14により撮像された第1画像を取得する(ステップS3)。ステップS3では、画像取得部21は、第1画像から光ファイバ100,101の径方向に沿った輝度分布波形を検出する。
【0036】
次に、第4ステップとして、中心位置決定部23が、取得された第1画像から、第1軸方向L1から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置を決定する(ステップS4)。ステップS4では、中心位置判定部22が第1軸方向L1から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置を認識した後、中心位置決定部23が、第1画像の輝度分布波形を用いて光ファイバ100,101のコアの中心位置を決定する。
【0037】
ここで、画像取得部21によって取得された第1画像の輝度分布波形、及び当該輝度分布波形を用いた光ファイバのコアの中心位置の決定方法について
図3を用いながら説明する。
図3は、光ファイバの径方向に沿った輝度分布波形の一例を示す模式図である。
図3の縦軸は輝度の強度を、横軸は光ファイバの径方向を示す。
図3における輝度分布波形31において、径方向の中央部に明部32が形成されており、当該明部32の径方向両側に暗部33が形成されている。これらの明部32及び暗部33は、光ファイバを構成する材料の透過率の違いによって生じる。また、明部32において、径方向中心部にピーク35が、当該ピーク35の径方向両側にピーク36が生じている。これらのピーク35,36の強度の違いは、光ファイバを構成するコアとクラッドとの屈折率の違いによって生じる。なお、それぞれの暗部33における明部32の径方向反対側に形成される明部34は、光ファイバ外の輝度の強度(バックグラウンド)を示している。
【0038】
中心位置決定部23は、輝度分布波形31における最大強度となる径方向の位置を、光ファイバのコアの中心位置と決定してもよい。中心位置決定部23は、輝度の強度について所定閾値を設定し、輝度分布波形31において所定閾値となる2つの径方向の位置を認識し、これらの2つの位置の中心を光ファイバのコアの中心位置と決定してもよい。もしくは、輝度分布波形31において、明部32における極小値となる2つの径方向の位置(ピーク35,36の間の極小値37)を認識し、これらの極小値37の中心をコアの中心位置と決定してもよい。
【0039】
図2に戻って、第5ステップとして、第2光源13から光を受けた第2顕微鏡16が、第2軸方向L2から光ファイバ100,101を観察する(ステップS5)。ステップS5では、第2顕微鏡16は固定部17により固定されているので、第2顕微鏡16の焦点位置の調整は行われない。
【0040】
次に、第6ステップとして、画像取得部21が、第2顕微鏡16により撮像された第2画像を取得する(ステップS6)。ステップS6では、画像取得部21は、第2顕微鏡16により撮像された第2画像から光ファイバ100,101の径方向に沿った輝度分布波形を検出する。
【0041】
次に、第7ステップとして、第2顕微鏡16によって撮像された第2画像から、第2軸方向L2から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置が認識可能か否かを判定する(ステップS7)。ステップS7において、中心位置判定部22が、光ファイバ100,101のコアの中心位置の少なくとも一方を認識できない場合(ステップS7:NO)、第8ステップとして、中心位置決定部23は、画像取得部21によって取得された第2画像からコアの中心位置を認識できなかった光ファイバ100,101の外径の中心を検出する(ステップS8)。
【0042】
中心位置判定部22が、第2軸方向L2から見て光ファイバ100,101の少なくとも一方のコアの中心位置を認識できない場合とは、例えば第2顕微鏡16の焦点が合わずに、光ファイバ100,101のコアが観察できない場合等である。これは、第2顕微鏡16は固定部17により固定されており、光ファイバ100,101の径及び種類等に応じた焦点の調整ができないことによって発生し得る。なお、光ファイバの外径の中心は、例えば
図3に示される輝度分布波形を用いて検出される。
図3を用いながら具体的に説明すると、暗部33と明部34との変曲点38がそれぞれ光ファイバの外径を示す。よって、中心位置決定部23は、互いの変曲点38の中心点を光ファイバの外径として検出する。
【0043】
図2に戻って、ステップS7において、中心位置判定部22が第2軸方向L2から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置を認識できた場合(ステップS7:YES)、中心位置決定部23は、第2軸方向L2から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置を決定する(ステップS9)。もしくは、ステップS8後、上記ステップS9を行う。ステップS7がYESだった場合、光ファイバ100,101のコアの中心位置は、ステップS4と同様にして決定される。一方、ステップS7がNOだった場合、中心位置決定部23は、ステップS8にて検出された、コアの中心位置を認識できなかった光ファイバ100,101の外径の中心をコアの中心位置とみなす。
【0044】
次に、第10ステップとして、ステップS4,S9によって決定された光ファイバ100,101の中心位置を用いて、光ファイバ100,101の位置合わせを行う(ステップS10)。ステップS10では、ステップS1〜S4によって得られた、第1軸方向L1から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置同士の位置合わせ、及びステップS5〜S9によって得られた、第2軸方向L2から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置同士の位置合わせをそれぞれ行う。
【0045】
次に、第11ステップとして、融着接続機構4が、突き合わせ放電により光ファイバ100,101の端部同士を融着接続する(ステップS11)。
【0046】
以上に説明した実施形態に係る光ファイバ融着接続装置1によって得られる効果について説明する。本実施形態に係る光ファイバ融着接続装置1では、第2顕微鏡16は第2軸方向L2に沿って移動しないように固定されている。これにより、当該光ファイバ融着接続装置1を用いて光ファイバ100,101の融着接続を行う際に、第1顕微鏡14は光ファイバ100,101に対して焦点調整を行うが、第2顕微鏡16は光ファイバ100,101に対して焦点調整を行わない。したがって、第2顕微鏡16の焦点調整に必要な時間を省略でき、光ファイバ100,101の融着接続の作業時間を短縮することができる。また、第1顕微鏡14は、光ファイバ100,101に対して焦点調整を行うことにより、精度よく光ファイバ100,101のコアの中心を観察可能である。これにより、光ファイバ100,101を融着接続する際に、第1顕微鏡14及び第2顕微鏡16の両方が固定されている場合と比較して、大幅な接続損失が発生することを抑制できる。
【0047】
また、制御部5は、第2顕微鏡16の観察結果から光ファイバ100,101の少なくとも一方のコアの中心位置を認識できない場合、コアの中心位置を認識できなかった光ファイバ100,101の外径の中心を検出してもよい。第2顕微鏡16は固定されているので、光ファイバ100,101の径及び種類等に応じた焦点の調整を行うことができない。よって、第2顕微鏡16により光ファイバ100,101のコアの中心位置が観察できない場合がある。この場合、制御部5が検出した、コアの中心位置を認識できなかった光ファイバ100,101の外径の中心をコアの中心位置と見なす。これにより、融着接続時の光ファイバ100,101のコアの中心位置が大幅にずれる可能性が低下し、融着接続による大幅な接続損失の発生をより抑制できる。
【0048】
また、制御部5は、第1顕微鏡14及び第2顕微鏡16のそれぞれが撮像した画像を取得する画像取得部21を有し、制御部5が、第2顕微鏡16によって撮像された画像から光ファイバ100,101の少なくとも一方のコアの中心位置を認識できない場合、画像から、コアの中心位置を認識できなかった光ファイバ100,101の外径の中心を検出してもよい。この場合、制御部5が、第2顕微鏡16によって撮像され、画像取得部21によって取得された画像から検出した一方又は両方の光ファイバ100,101の外径の中心をコアの中心位置とみなす。これにより、融着接続による大幅な接続損失の発生を一層抑えることができる。
【0049】
また、制御部5は、第1顕微鏡14によって撮像された画像、及び第2顕微鏡16によって撮像された画像から、光ファイバ100,101のコアの中心位置を認識できるか否かを判定する中心位置判定部22と、光ファイバ100,101のコアの中心位置をそれぞれ決定する中心位置決定部23と、をさらに備えてもよい。このように光ファイバ100,101のコアの中心位置を認識できたと判定された後、光ファイバ100,101のコアの中心位置をそれぞれ決定することにより、決定される光ファイバ100,101のコアの中心位置の精度を向上できる。
【0050】
以下では、上記実施形態の変形例に係る光ファイバの融着接続方法について説明する。変形例の説明において上記実施形態と重複する記載は省略し、上記実施形態と異なる部分を記載する。
【0051】
図4は、本実施形態の変形例に係る光ファイバの融着接続方法を説明するフローチャートである。
図4に示されるように、本変形例では、ステップS7にて、中心位置判定部22が光ファイバ100,101の中心位置を認識できたと判定された場合(ステップS7:YES)、ステップS9の前にステップS21を行う。
【0052】
上記ステップS21では、第2画像から認識した、第2軸方向L2から観察された光ファイバ100,101のコアの中心位置が正しい位置であるか否かを判定する。ステップS21において、認識した光ファイバ100,101のコアの中心位置が正しい位置であると中心位置判定部22が判定した場合(ステップS21:YES)、中心位置決定部23は、認識された光ファイバ100,101のコアの中心位置を正しいものと決定する(ステップS9)。一方、ステップS21において、認識された光ファイバ100,101のコアの中心位置が誤った位置であると中心位置判定部22が判定した場合(ステップS21:NO)、コアの中心位置が誤った位置であると判定された光ファイバ100,101のコアの中心位置は、認識できなかったとみなされる。そして、中心位置決定部23は、ステップS8にて、コアの中心位置が誤った位置であると判定された光ファイバ100,101の外径の中心を検出する。そしてステップS9において、ステップS8にて検出した光ファイバ100,101の外径の中心をコアの中心位置とみなす。
【0053】
ここで、認識した光ファイバ100,101のコアの中心位置が誤った位置となる例について、
図5〜9を用いながら説明する。
図5〜9は、光ファイバの径方向に沿った輝度分布波形の他の一例を示す模式図である。
図3と同様に、
図5〜9の縦軸は輝度の強度を、横軸は光ファイバの径方向を示す。
【0054】
中心位置決定部23が、輝度分布波形における最大強度の位置を光ファイバのコアの中心位置と決定する場合、中心位置判定部22は、輝度分布波形内の各ピークの位置、強度、及び数等を検出する。例えば
図5に示されるように、輝度分布波形31における最大強度の径方向の位置が、明部32における中心位置近傍のピーク35ではないと判定された場合、中心位置判定部22は、認識した光ファイバ100,101のコアの中心位置が誤った位置と判定する。
【0055】
中心位置決定部23が、輝度の強度について所定閾値を設定し、取得した輝度分布波形において所定閾値となる2つの径方向の位置を認識し、これらの2つの位置の中心を光ファイバのコアの中心位置と決定する場合、中心位置判定部22は、所定閾値となる2つの径方向の位置の間における輝度の強度分布を検出する。例えば
図6に示されるように、輝度分布波形31において所定閾値となる2つの位置39の間における輝度の強度分布の対称性が大きく異なると判定された場合、中心位置判定部22は、認識した光ファイバ100,101のコアの中心位置が誤った位置と判定する。
【0056】
中心位置決定部23が、輝度分布波形において、明部における極小値となる2つの径方向の位置を認識し、これらの極小値の中心をコアの中心位置と決定する場合、中心位置判定部22は、2つの極小値の間における輝度の強度分布を検出する。そして、例えば
図7に示されるように、輝度分布波形31において2つの極小値37の間における輝度の強度分布の対称性が大きく異なると判定された場合、中心位置判定部22は、認識した光ファイバ100,101のコアの中心位置が誤った位置と判定する。また、中心位置判定部22は、明部における極小値の数を検出する。そして、例えば
図8に示されるように、輝度分布波形31において、明部32に極小値が3つ以上存在する場合、中心位置判定部22は、認識した光ファイバ100,101のコアの中心位置が誤った位置と判定する。また、
図9(a),(b)に示されるように、明部32に存在する極小値が1つ以下である場合も同様に、中心位置判定部22は、認識した光ファイバ100,101のコアの中心位置が誤った位置と判定する。なお、明部32に存在する極小値が1つ以下である場合、中心位置判定部22は、光ファイバ100,101の中心位置を認識できないと判定してもよい。
【0057】
以上に説明した上記実施形態における変形例においても、上記実施形態によって奏される作用効果を得ることができる。また本変形例によれば、中心位置決定部23によって決定された光ファイバ100,101のコアの中心位置が、実際の位置よりも大幅にずれている可能性がある場合に、光ファイバ100,101の外径の中心をコアの中心位置とみなす。これにより、融着接続時の光ファイバ100,101のコアの中心位置が大幅にずれる可能性を一層低下することができる。したがって、融着接続による大幅な接続損失の発生をより一層抑えることができる。
【0058】
本発明による光ファイバ融着接続装置、及び当該装置を用いた光ファイバの融着接続方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態において、ステップS5〜S9を行った後にステップS1〜S4を行ってもよい。また、ステップS4の後に光ファイバ100,101の位置合わせを一度行った後、ステップS5以降を行ってもよい。また、ステップS8では、ステップS7,S21にてコアの中心位置が認識された光ファイバ100,101の外径の中心を検出してもよい。