【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図14は、第1の従来例による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、ハウジングに対してカバー部材を開いた状態図である。
図15は、
図14のX−X矢視断面図であり、
図15(A)は、ハウジングに対してカバー部材を開いた状態図、
図15(A)は、ハウジングに対してカバー部材を閉じた状態図である。
【0008】
図16は、第1の従来例による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、ハウジングに対してカバー部材を開いた状態で、FPCをハウジングに挿入した状態図である。
【0009】
図17は、第1の従来例による電気コネクタの構成を示す平面図であり、ハウジングに対してカバー部材を開いた状態で、FPCをハウジングに挿入する途上の状態図である。
図18は、第1の従来例による電気コネクタの構成を示す平面図であり、ハウジングに対してカバー部材を開いた状態で、FPCをハウジングに挿入した状態図である。
【0010】
図19は、第1の従来例による電気コネクタに備わるコンタクトの構成を示す斜視図である。なお、本願の
図14は、特許文献1の
図1に相当し、本願の
図15(A)は、特許文献1の
図2に相当し、本願の
図15(B)は、特許文献1の
図3に相当している。
【0011】
又、本願の
図16は、特許文献1の
図4に相当し、本願の
図17は、特許文献1の
図8に相当し、本願の
図18は、特許文献1の
図9に相当している。更に、本願の
図19は、特許文献1の
図15に相当している。
【0012】
図14から
図19を参照すると、第1の従来例による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)8は、直方体状のハウジング81、板状のカバー部材82、及び複数のコンタクト83を備えている。
【0013】
図14又は
図15(A)を参照すると、ハウジング81は、前方に向けて開口した凹部30を有している。
図14から
図16を参照すると、カバー部材82は、凹部80を開閉自在にハウジング81と連結している。
図14又は
図15及び
図19を参照すると、複数のコンタクト83は、ハウジング81の内部に並列配置されている。
【0014】
図14を参照すると、板状の接続部材となるFPC8fは、一対の方形の切り欠き8d・8dを端末の両側縁に切り欠いている。又、FPC8fは、係止穴8hを端末の中央部に開口している。FPC8fは、その端末の一方の面に補強板81fを接着している。又、FPC8fは、その端末の他方の面に複数の導体パターン8wを露出させている。
【0015】
図14又は
図15(A)を参照して、FPC8fを凹部80に挿入した後に、ハウジング81に対してカバー部材82を閉じると(
図15(B)参照)、カバー部材82がFPC8fを加圧して、導体パターン8wをコンタクト83に接続できる。
【0016】
図14又は
図16から
図18を参照すると、ハウジング81は、一対のロックアーム81r・81rを凹部80の内部に配置している。ロックアーム81rは、鉤状の爪部81nを先端部に備えている。一対の爪部81n・81nは、対向配置されている。
【0017】
図17を参照して、FPC8fを凹部80に挿入すると、一対のロックアーム81r・81rを弾性変形させて、一対の爪部81n・81nを外側に拡げることができる。
図18を参照して、FPC8fを正しい位置まで挿入すると、爪部81nが切り欠き8dに嵌合して、一対のロックアーム81r・81rを弾性復帰できる。
【0018】
図15又は
図19を参照すると、コンタクト83は、導電性を有する金属製の展開板を折り曲げて成形している。コンタクト83は、一対の側面板83b・83b、及び一組のベローズ形の板ばね片83c・83dで本体83aを構成している。側面板83bは、支持部83kを一方の隅部に備えている(
図19参照)。支持部83kは、カバー部材82の基端部と回動自在に連結している。
【0019】
図15又は
図19を参照すると、一組の板ばね片83c・83dは、それらの先端部が向かい合うと共に、一部が重なり合っている。一方の板ばね片83cは、接点83eを先端部に備えている(
図19参照)。接点83eは、FPC8fの導体パターン8wに接触できる。他方の板ばね片83dは、一方の板ばね片83cの撓みを適宜に規制している。
【0020】
図15又は
図19を参照すると、コンタクト83は、本体3aの一部が延出したピン部83pを端部に形成している。ピン部83pは、図示しないプリント基板に開口したスルーホールに挿入できる。そして、コンタクト83と図示しないプリント基板を電気的に接続できる。
【0021】
図14から
図18を参照すると、カバー部材82は、帯板状の開閉板820と一対の側面板821・821で構成している。一対の側面板821・821は、開閉板820の両端部に形成している。又、一対の側面板821・821は、ハウジング81と回動自在に支持される一対の軸部82s・82sを相反する向きに突出している。
【0022】
図14又は
図16を参照すると、開閉板820は、鉤状の爪部82nを中央部に備えている。
図15(B)を参照して、カバー部材82を閉じると、ハウジング81の内壁と一対のロックアーム81r・81rの間の隙間に一対の側面板821・821の一部を移動できる(
図16又は
図18参照)。
【0023】
図14又は
図15(A)及び
図16を参照して、一対の側面板821・821は、検知突起部82dを一方の隅部から突出している。
図17を参照して、FPC8fを凹部80に不完全に挿入した状態では、カバー部材82を閉じると、検知突起部82dがロックアーム81rに当接するので、FPC8fの不完全挿入状態を検知できる。
【0024】
一方、
図18を参照して、FPC8fを凹部80に完全に挿入した状態では、カバー部材82を閉じると、検知突起部82dがロックアーム81rに当接しないので、FPC8fの完全挿入状態を検知できる。
【0025】
図15(A)を参照して、FPC8fをハウジング81に挿入して、カバー部材82を閉じた状態では、一対のロックアーム81r・81rが切り欠き8dに嵌合すると共に、爪部82nが係止穴8hに挿入されるので、FPC8fを抜け止めできる。
【0026】
図20は、第2の従来例による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、ハウジングに対してカバー部材を閉じた状態図である。
図21は、第2の従来例による電気コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図21(A)は、ハウジングに対してカバー部材を開いた状態図、
図21(A)は、ハウジングに対してカバー部材を閉じる過程の状態図、ハウジングに対してカバー部材を閉じた状態図である。
【0027】
図22は、第2の従来例による電気コネクタの構成を示す要部拡大平面図であり、ロック部材の先端部がFPCに設けた切り欠きに嵌合した状態図である。
図23は、第2の従来例による電気コネクタの構成を示す要部拡大平面図であり、FPCを不完全に挿入した状態図である。
【0028】
なお、本願の
図20は、特許文献2の
図1に相当し、本願の
図21は、特許文献2の
図5に相当している。又、本願の
図22は、特許文献2の
図9に相当し、本願の
図23は、特許文献2の
図11に相当している。
【0029】
図20から
図23を参照すると、第2の従来例による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、直方体状のハウジング91、板状のカバー部材92、及び複数のコンタクト93を備えている。
【0030】
図20を参照すると、ハウジング91は、前方に向けて開口した開口部90を有している。
図21を参照すると、カバー部材92は、開口部90の後半部を開閉自在にハウジング91と連結している。
図22又は
図23を参照すると、複数のコンタクト93は、ハウジング91の内部に並列配置されている。
【0031】
図21から
図23を参照すると、板状の接続部材となるFPC9fは、一対の方形の切り欠き9d・9dを端末の両側縁に切り欠いている。又、FPC9fは、その端末の一方の面Sfに複数の導体パターン(図示せず)を露出させている。
【0032】
図21を参照して、FPC8fを開口部90に挿入した後に、ハウジング91に対してカバー部材92を閉じると(
図21(C)参照)、カバー部材92がFPC9fを加圧して、図示しない導体パターンをコンタクト93に接続できる。
【0033】
図20又は
図22及び
図23を参照すると、ハウジング91は、一対のロック部材91r・91rを内部に配置している。ロック部材91rは、鉤状の爪部91nを先端部に備えている。一対の爪部91n・91nは、対向配置している。
【0034】
図21から
図23を参照して、FPC9fを開口部90に挿入すると、一対のロック部材91r・91rを弾性変形させて、一対の爪部91n・91nを外側に拡げることができる(
図23参照)。
図22を参照して、FPC9fを正しい位置まで挿入すると、爪部91nが切り欠き9dに嵌合して、一対のロック部材91r・91rを弾性復帰できる。
【0035】
図21を参照すると、コンタクト93は、導電性を有する金属板を打ち抜き成形している。コンタクト93は、固定アーム93aと第1弾性アーム93bを備えている。又、コンタクト93は、第2弾性アーム93cと連結脚93dを備えている。
【0036】
図21を参照すると、固定アーム93aは、開口部90の底面に固定されている。第1弾性アーム93bは、固定アーム93aと略平行に配置されている。第2弾性アーム93cは、固定アーム93aと第1弾性アーム93bの間に配置されている。連結脚93dは、固定アーム93aと第2弾性アーム93cを連結している。
【0037】
図21を参照すると、固定アーム93aは、ハウジング91の後端部側に延出したリード部93rを有している。リード部93rは、その底面を図示しないプリント基板の表面にハンダ接合できる。つまり、第2の従来例によるコネクタ9は、表面実装型のコネクタである。
【0038】
図21を参照すると、固定アーム93aは、第1凸部931と第1凹部932を後端部側に形成している。一方、カバー部材92は、第2凹部921と第2凸部922を基端部に形成している。第1凸部931は、第2凹部921に係合できる。第1凹部932は、第2凸部922に係合できる。カバー部材92は、第1凸部931を回動中心として回動できる。又、カバー部材92は、押圧部923を基端部側に形成している。
【0039】
図21(A)に示した状態から、カバー部材92を閉じると、カバー部材92の押圧部923が第1弾性アーム93bの後端部を持ち上げて、第1弾性アーム93b及び第2弾性アーム93cを傾倒できる(
図21(B)参照)。そして、第1弾性アーム93b及び第2弾性アーム93cの先端部をFPC9fの導体パターンに接触できる。
【0040】
図21(B)に示した状態から、カバー部材92を完全に閉じると(
図21(C)参照)、カバー部材92の押圧部923が第1弾性アーム93bの後端部を更に持ち上げて、第1弾性アーム93b及び第2弾性アーム93cの先端部がFPC9fの導体パターンに所定の接触圧力を付与できる。
【0041】
図21から
図23を参照すると、カバー部材92は、一対の突出部92a・92aを両端部に備えている。一対の突出部92a・92aは、カバー部材92の本体の底面から突出している(
図21参照)。
【0042】
図22を参照して、FPC9fを完全に挿入して、一対のロック部材91r・91rが弾性復帰した状態では、一対の突出部92a・92aは、一対のロック部材91r・91rに阻止されることなく、一対のロック部材91r・91rの両側に入り込むことができる。つまり、カバー部材92を閉じることができる。
【0043】
一方、
図23を参照して、FPC9fを不完全に挿入して、一対のロック部材91r・91rが外側に拡がった状態では、一対の突出部92a・92aが一対のロック部材91r・91rに当接して、カバー部材92を閉じることが困難になる。つまり、FPC9fの不完全挿入状態を検知できる。
【0044】
図14から
図18に示した、第1の従来例では、板状の接続部材を不完全に挿入した状態では、カバー部材を閉じると、カバー部材に設けた検知突起部がロックアームに当接するので、板状の接続部材の不完全挿入状態を検知できる、としている。
【0045】
しかしながら、第1の従来例では、カバー部材に覆われて、板状の接続部材の端末を視覚的に確認することが困難である。結局は、カバー部材を閉じるときの感触に依存して、板状の接続部材の不完全挿入状態を検知している。このため、板状の接続部材が不完全挿入状態で、カバー部材を閉じることで、カバー部材又はロックアームを損傷させる心配がある。カバー部材を操作することなく、板状の接続部材との不完全な接続を確実に防止する電気コネクタが求められている。
【0046】
図20から
図23に示した、第2の従来例では、板状の接続部材を不完全に挿入した状態では、カバー部材を閉じると、カバー部材に設けた突出部がロック部材に当接するので、板状の接続部材の不完全挿入状態を検知できる、としている。
【0047】
しかしながら、第2の従来例では、カバー部材に覆われて、板状の接続部材の端末を視覚的に確認することが困難である。結局は、カバー部材を閉じるときの感触に依存して、板状の接続部材の不完全挿入状態を検知している。このため、板状の接続部材が不完全挿入状態で、カバー部材を閉じることで、カバー部材又はロック部材を損傷させる心配がある。カバー部材を操作することなく、板状の接続部材との不完全な接続を確実に防止する電気コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0048】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、板状の接続部材とプリント基板を電気的に接続する電気コネクタであって、カバー部材を操作することなく、板状の接続部材との不完全な接続を確実に防止する電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明者は、板状の接続部材とプリント基板を電気的に接続する電気コネクタであって、板状の接続部材が挿入自在な開口を一方の端部に開口したハウジング、ハウジングの開口に臨んで並設配置された複数の板状のコンタクト、及び、ハウジングと回動自在に連結した板状の回動レバーで電気コネクタを構成し、板状の接続部材をハウジングの開口に完全に挿入したときには、板状の接続部材が回動レバーを押して、回動レバーが傾斜状態から他方の端部側に傾倒することで、回動レバーを操作することなく、板状の接続部材との完全な接続を視覚的に容易に確認できると考え、これに基づいて、以下のような新たな電気コネクタを発明するに至った。
【0050】
(1) 端部の両側縁に一対の方形の切り欠きを切り欠いた板状の接続部材とプリント基板を電気的に接続する電気コネクタであって、前記プリント基板に配置され、前記接続部材が挿入自在な開口を一方の端部に開口した直方体状のハウジングと、前記ハウジングの開口に臨んで並設配置された複数の板状のコンタクトと、前記ハウジングと回動自在に連結した板状の回動レバーと、を備え、前記回動レバーは、鉤状に形成した一対のフック部を両端部に有し、前記接続部材を前記開口に挿入して、当該接続部材が前記回動レバーを押して、当該回動レバーが傾斜状態から前記ハウジングの他方の端部側に傾倒した状態では、前記フック部の先端部が前記切り欠きに挿入されて前記接続部材の完全な挿入を検知する、電気コネクタ。
【0051】
(2) 前記回動レバーは、前記ハウジングの他方の端部側に傾倒した状態から傾斜状態に復帰させる把持部を先端部に有する(1)記載の電気コネクタ。
【0052】
(3) 前記ハウジングの他方の端部側に配置され、前記プリント基板にハンダ接合自在な一対の補強タブを更に備え、前記回動レバーは、相反する向きに向かう一対の円柱状の回動軸を両側面に有し、前記ハウジングは、一対の前記回動軸を導入自在な溝部を他方の端部側に有し、前記補強タブは、前記回動軸が前記溝部から離脱困難に押さえる押え部を有する(1)又は(2)記載の電気コネクタ。
【0053】
(4) 前記コンタクトは、前記ハウジングの一方の端部側から圧入する第1固定アームと、前記第1固定アームと略平行に延びる第2固定アームと、前記第2固定アームの先端部から反転し、前記第2固定アームの基端部に向かって前記第2固定アームと略平行に延びる弾性アームと、を有し、前記第2固定アームは、前記弾性アームの先端部に向かって突出する突部を中間部に有し、前記弾性アームは、前記突部に向かって突出した接点を有する(1)から(3)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0054】
(5) 前記接続部材を前記プリント基板の一方の面と略平行する方向から挿入する水平取付形のコネクタである(1)から(4)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0055】
(6) 前記接続部材を前記プリント基板の一方の面と略直交する方向から挿入する垂直取付形のコネクタである(1)から(4)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0056】
(7) 前記接続部材が平形柔軟ケーブルである(1)から(6)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0057】
(8) 前記接続部材が硬質のプリント基板である(1)から(6)のいずれかに記載の電気コネクタ。