特開2016-137105(P2016-137105A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-137105(P2016-137105A)
(43)【公開日】2016年8月4日
(54)【発明の名称】玩具および玩具システム
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/26 20060101AFI20160708BHJP
   A63H 33/22 20060101ALI20160708BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20160708BHJP
【FI】
   A63H33/26 A
   A63H33/22 A
   A63H33/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-14015(P2015-14015)
(22)【出願日】2015年1月28日
(71)【出願人】
【識別番号】515072059
【氏名又は名称】株式会社セオリー
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】土岐 清次
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA02
2C150DG01
2C150DG13
2C150DK02
2C150EB43
2C150FA11
(57)【要約】
【課題】食玩などの簡単な構造で安価な玩具に、興趣性を持たせる。
【解決手段】スマートフォン4に搭載されているNFCなどの低周波の電波発生機能を利用し、コイル2の素線長が28cm以上であれば、そのNFCの電磁界の発生源に5cm程度にまでコイル2を近付けると、コイル2の両端子間に微弱な起電力が発生する。そこで、その微弱な起電力で動作可能な負荷である高輝度発光ダイオード3をコイル2の両端子間に接続して、怪獣の玩具1に埋め込む。これによって、スマートフォン4を該玩具1に近付けると、発光ダイオード3が埋め込まれている眼の部分が光り、電池を用いない比較的簡単な構造で安価な玩具1に、電力負荷が動作することによる興趣性を持たせ、商品価値を向上することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電磁界によって起電力を発生する素線長が28cm以上のコイルと、
前記コイルからの起電力で動作する負荷とを内蔵していることを特徴とする玩具。
【請求項2】
前記負荷は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1記載の玩具。
【請求項3】
動物または人体のキャラクターを模した玩具で、前記発光ダイオードが、眼或いはそのキャラクターのシンボル部分に埋め込まれることを特徴とする請求項2記載の玩具。
【請求項4】
前記負荷は、音響の発生源であることを特徴とする請求項1記載の玩具。
【請求項5】
怪獣を模した玩具で、前記音響は前記怪獣の咆哮であることを特徴とする請求項4記載の玩具。
【請求項6】
自動車を模した玩具で、前記音響は前記自動車のエンジン音であることを特徴とする請求項4記載の玩具。
【請求項7】
食玩であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の玩具。
【請求項8】
前記請求項1〜7の何れか1項に記載の玩具と、スマートフォン或いはタブレット端末とを備え、
前記外部からの電磁界は、前記スマートフォン或いはタブレット端末によって発生されるNFCの電磁界であることを特徴とする玩具システム。
【請求項9】
前記スマートフォン或いはタブレット端末は、前記コイルからの起電力で負荷が動作することによる前記電磁界の吸収を検出すると、該スマートフォン或いはタブレット端末から音響を発生することを特徴とする請求項8記載の玩具システム。
【請求項10】
前記請求項1〜7の何れか1項に記載の玩具と、電池或いは商用電源を電源とし、前記コイルに、NFCの電磁界を与えることで、前記起電力を発生させる励起手段とを備えて構成されることを特徴とする玩具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具および玩具システムに関し、玩具としては、特に食玩などとして用いられる簡易な構造の玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、子供向けの菓子などで、所謂食玩と呼ばれるおまけの玩具を同包することで、販売促進が図られている。このような安くて簡易な玩具にも、近年では、趣向を凝らせた物が販売されている。しかしながら、その趣向は、主に意匠的な面で、たとえば音を出す等の何らかの動作をするには、電源やセンサなどを内蔵する必要があり、コストが嵩み、また電池を必要とする関係で玩具のバランスが悪くなったりする。
【0003】
そこで、特許文献1には、IDチップを内蔵することで、玩具側に前記電源やセンサなどを不要とする、趣向を凝らせた玩具が提案されている。この特許文献1は、玩具に内蔵したIDチップとSTB(セットトップボックス)とが通信を行い、その玩具、或いは玩具製作者(社)に関連するテレビ番組を、STBに選局させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−501925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、NFC(Near Field Communication:近距離通信)の技術を用いるもので、前記のように電池を必要とせず、構造が簡単である。前記NFCには、たとえばISO/IEC14443などが挙げられ、該規格は、13.56MHzの周波数を利用して、十数cmまでの距離で行う小電力無線通信技術であり、いわゆるスマートフォンやタブレット端末、或いはICカードや携帯電話での電子決済などにも使用されている。
【0006】
しかしながら、単に通信を行うだけでは、玩具の外から見ている使用者には、動作が見えず、興趣性に欠ける。
【0007】
本発明の目的は、比較的簡単な構造で安価であっても、興趣性を持たせ、商品価値を向上することができる玩具および玩具システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の玩具は、外部からの電磁界によって起電力を発生する素線長が28cm以上のコイルと、前記コイルからの起電力で動作する負荷とを内蔵していることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、本件発明者は、素線長が28cm以上、したがって直径が1cm強で、8回以上、螺旋状や渦巻き状に巻回されたコイルであれば、前記NFCなどに用いられる低周波の電波発生器に、5cm程度にまでコイルを近付けると、コイルの両端子間に微弱な起電力が発生し、非接触給電に利用できることを見出した。これを利用して、その微弱な起電力で動作可能な負荷を選択して、前記コイルと共に、玩具に埋め込む。
【0010】
したがって、いわゆるスマートフォンやタブレット端末などのNFC機能を備える機器を動作させて該玩具に近付けると、負荷が動作する。これによって、電池を用いることなく、すなわち電池交換の必要が無く、また電池のような重量物を内蔵することがそぐわない(似つかわしくない)比較的簡単な構造で安価な玩具に、電力負荷が動作することによる興趣性を持たせ、商品価値を向上することができる。
【0011】
また、本発明の玩具では、前記負荷は、発光ダイオードであることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、電力負荷として、発光ダイオード、特に高輝度の発光ダイオードは、極めて低消費電力で、また動作を行っていることが、その光から、使用者が比較的認識し易い。
【0013】
したがって、微弱な電磁界のNFCを利用しても、使用者に確実に動作を認識させることができ、興趣性を向上することができる。
【0014】
さらにまた、本発明の玩具は、動物または人体のキャラクターを模した玩具で、前記発光ダイオードが、眼或いはそのキャラクターのシンボル部分に埋め込まれることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、玩具として、動物や、ロボット等の人体のキャラクターを模した玩具では、発光ダイオードで眼を光らせることは効果的である。またキャラクターのシンボル部分、たとえば、胸や鼻、或いはブレスレットやベルトのバックルなどを光らせることでも、同様の効果を得ることができる。このように、動物や人体のキャラクターを模した玩具では、負荷として発光ダイオードを用いることが、一層効果的である。
【0016】
また、本発明の玩具では、前記負荷は、音響の発生源であることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、電力負荷として、音響の発生源を用いることで、音響は光のような指向性が少なく、使用者が特に着目していなくても、玩具から音響が発生することで、使用者を容易に注目させることができる。
【0018】
これによってもまた、使用者に確実に動作を認識させることができ、興趣性を向上することができる。
【0019】
さらにまた、本発明の玩具は、怪獣を模した玩具で、前記音響は前記怪獣の咆哮であることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、玩具から音響を発生させるにあたって、玩具として怪獣を模した玩具を用い、音響として咆哮を発することは、使用者に興趣性を持たせる上で、極めて効果的である。また、複数のコイルを埋め込んでおき、NFCの電磁波を当てる部位によって、前記咆哮以外にも、異なる音声の応答を行うことで、より興趣性を増すことができる。
【0021】
また、本発明の玩具は、自動車を模した玩具で、前記音響は前記自動車のエンジン音であることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、玩具から音響を発生させるにあたって、玩具として自動車を模した玩具を用い、音響としてエンジン音を発することは、使用者に興趣性を持たせる上で、極めて効果的である。
【0023】
さらにまた、本発明の玩具は、食玩であることを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、菓子に同包されるおまけの玩具など、安い玩具であるので、簡単な構成で興趣性を持たせられる本発明を、特に好適に実施することができる。
【0025】
また、本発明の玩具システムは、前記の玩具と、スマートフォン或いはタブレット端末とを備え、前記外部からの電磁界は、前記スマートフォン或いはタブレット端末によって発生されるNFCの電磁界であることを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、スマートフォン或いはタブレット端末にNFCの通信モードを起動させると、前記電磁界が発生されて、玩具の動作を開始させることができ、広く普及しているスマートフォン或いはタブレット端末を用いて、容易に玩具を動作させることができる。
【0027】
さらにまた、本発明の玩具システムでは、前記スマートフォン或いはタブレット端末は、前記コイルからの起電力で負荷が動作することによる前記電磁界の吸収を検出すると、該スマートフォン或いはタブレット端末から音響を発生することを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、スマートフォン或いはタブレット端末の側にも専用のアプリケーションを搭載するなどして、玩具の動作、たとえば怪獣の眼の発光などに対応して、スマートフォン或いはタブレット端末側から音響、たとえば前記のような怪獣の咆哮を発生させることで、一層興趣性を向上することができるとともに、前記アプリケーション(ダウンロードなど)によって、様々な音響を発生させられるようにもなる。
【0029】
また、本発明の玩具システムは、前記の玩具と、電池或いは商用電源を電源とし、前記コイルに、NFCの電磁界を与えることで、前記起電力を発生させる励起手段とを備えて構成されることを特徴とする。
【0030】
上記の構成によれば、NFCの電磁界を発生する前記スマートフォンやタブレット端末などが無くても、コイルに起電力を発生させ、負荷を動作させることができる。また、前記スマートフォンやタブレット端末では、電源が内蔵電池となって、発生する電磁界が弱く、それらを玩具に極近接させなければならないのに対して、別途に、電池或いは商用電源を電源とした励起手段では、発生する電磁界を強め、距離を離しても負荷を動作させることができる。また、前記スマートフォンやタブレット端末では、NFCを起動するために、通信モードにする等の特別な操作を必要とするのに対して、専用の励起手段の場合、たとえばスイッチ操作だけで、NFCを起動することができる。さらにまた、本願発明のような使用方法の場合、NFCは、所定時間通信が行われないと機能を停止してしまうのに対して、専用の励起手段を設けることで、そのような不具合も無い。
【発明の効果】
【0031】
本発明の玩具および玩具システムは、以上のように、素線長が28cm以上のコイルであれば、NFCのための外部からの電磁界によって、そのNFCの電磁界の発生源に5cm程度にまでコイルを近付けると、コイルの両端子間に微弱な起電力が発生すると言う本件発明者の知見に着目して、その微弱な起電力で動作可能な負荷を選択して、前記コイルと共に、玩具に埋め込む。
【0032】
それゆえ、いわゆるスマートフォンやタブレット端末などのNFC機能を備える機器を該玩具に近付けると負荷を動作させることができ、電池を用いない比較的簡単な構造で安価な玩具に、電力負荷が動作することによる興趣性を持たせ、商品価値を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施の一形態に係る玩具システムの構成を説明するための図である。
図2】本発明の実施の他の形態に係る玩具の構造を説明するための図である。
図3】本発明の実施のさらの他の形態に係る玩具の動作を説明するための図である。
図4】本発明の実施のさらの他の形態に係る玩具の動作を説明するための図である。
図5】本発明の実施のさらの他の形態に係る玩具の動作を説明するための図である。
図6】本発明の実施の他の形態に係る玩具の使用方法を説明するための図である。
図7】本発明の実施のさらの他の形態に係る玩具システムの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の一形態に係る玩具システムの構成を説明するための図である。この玩具システムは、玩具1と、スマートフォン4とを備えて構成される。図1の例は、玩具1として、怪獣の玩具を示している。
【0035】
玩具1は、コイル2と、発光ダイオード3とを備えて構成される。この玩具1は、素線長が28cm、したがって直径が1cm強で8回以上巻回したコイルであれば、13.56MHzを使用した前記NFCのための外部からの電磁界の発生源に、5cm程度にまでコイル2を近付けると、コイル2の両端子間に微弱な起電力が発生し、該NFCを非接触給電に利用できると言う本件発明者の知見に基づいている。そして、その微弱な起電力で動作可能な負荷として、高輝度の発光ダイオード3を選択して、コイル2と共に、玩具に埋め込んでいる。
【0036】
また、図1の例では、NFC機能を備える機器として、スマートフォン4を例示している。スマートフォン4には、予めNFCのリーダーライター機能が搭載されており、この機能を動作させることで、別のスマートフォン4とのアドレスや写真などのデータ交換、或いは電子決済の端末などとの通信が可能になる。そして、玩具1のコイル2部分にスマートフォン4を近付け、NFC機能を動作させることで、励磁電磁界が発生する。これによって、所定の距離、たとえば前記5cm以内に玩具1がスマートフォン4に近接していると、前記励磁電磁界によってコイル2に起電力が発生し、その起電力によって発光ダイオード3が点灯する。図1の例では、発光ダイオード3は、怪獣の玩具1の眼に埋め込まれており、眼が光ることになる。なお、実際は、発光ダイオード3は、前記13.56MHzで点滅を繰り返すことになるが、人間の眼には、その点滅は見えない。
【0037】
ここで、コイル2の巻き形状は、玩具1において埋め込む箇所の形状に応じて定められればよいが、コイルであるので、少なくとも螺旋状または渦巻き状である。具体的には、表1で示すように、種類1の渦巻き型と、種類2のドーナツ型および種類3の円筒型の螺旋状とである。ドーナツ型は巻き線の集合体の軸直角断面が円形や矩形であり、円筒型は軸直角断面が直線状に積み上げられている点で異なる。螺旋や渦巻きは、表1の種類1〜3の円形に限らず、前記埋め込み箇所の形状に応じて、矩形や長方形やさらに他の多角形であってもよい。しかしながら、種類4の蛇腹型は、巻回されていないのでコイルではなく、折り返された往復部分で発生した起電力が相殺され、前記スマートフォン4やタブレット端末のNFCの電磁界では、負荷に利用できるレベルの起電力を発生させることはできない。
【0038】
【表1】
表1の種類1で示すように、このコイル2の両端子に、発光ダイオード3の2つの端子31,32が半田付けされる。その半田付けには、発光ダイオード3の熱による破損を防止するために、低融点の半田が使用されたり、端子31,32において、先端部33,34が半田付けされ、その半田付け箇所より素子35側を、ペンチで挟むなどして、放熱(吸熱)を行うことが好ましい。
【0039】
このように構成することで、スマートフォン4やタブレット端末にNFCの通信モードを起動させるだけで、電磁界が発生されて、玩具1の動作を開始させることができ、広く普及しているスマートフォン4やタブレット端末を用いて、容易に該玩具1を動作させることができる。また、玩具1には、電池を用いることなく、すなわち電池交換の必要が無い。そして、電池のような重量物を内蔵することがそぐわない(似つかわしくない)比較的簡単な構造で安価な玩具1に、電力負荷が動作することによる興趣性を持たせ、商品価値を向上することができる。
【0040】
また、電力負荷として、発光ダイオード3、特に高輝度の発光ダイオードは、極めて低消費電力で、また動作を行っていることが、その光から、使用者が比較的認識し易いので、電力負荷に発光ダイオード3を用いることで、微弱な電磁界のNFCを利用しても、使用者に確実に動作を認識させることができ、興趣性を向上することができる。
【0041】
さらにまた、玩具1として、動物や人体のキャラクターを模した玩具で、発光ダイオード3によって、上述のようにその眼を光らせることは効果的である。しかしながら、発光ダイオード3は、眼に限らず、キャラクターのシンボル部分に埋め込まれてもよい。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の他の形態に係る玩具1aの構造を説明するための図である。この玩具1aは、人体型のロボットの例を示しており、発光ダイオード3は、図2(a)で示す胸1bのカバー1c内に埋め込まれている。具体的には、図2(b)で示すように、背中側にコイル2を埋め込み、その中心に、胸1b(前)側に向けて、カバー1c内に発光ダイオード3を嵌め込んでいる。図2(b)は、玩具1aの裏蓋を外した状態の背面図である。したがって、図2の玩具1aでは、NFC機能を起動させたスマートフォン4を背面に当てる(かざす)ことで、胸1bのランプ(カバー1c)を光らせることができる。
【0042】
他にも、玩具1におけるキャラクターのシンボル部分として、たとえば鼻、或いはブレスレットやベルトのバックルなどを光らせることでも、同様の効果を得ることができる。このように、動物や人体キャラクターを模した玩具では、負荷として発光ダイオードを用いることが、一層効果的である。さらに、コイル2は、玩具1内で広いスペースを得られる相互に離間した複数の箇所に設置し、発光ダイオード3も対応する複数個設けて、スマートフォン4を当てた(かざした)部位に応じて、光る発光ダイオードを切換えることで、より興趣性を増すことができる。
【0043】
一方、電力負荷としては、前記の高輝度の発光ダイオード3に限らず、音響の発生源であってもよい。音響の発生源としては、省電力である必要から、圧電素子などが好ましい。このように電力負荷として音響の発生源を用いることで、音響は光のような指向性が少なく、使用者が特に着目していなくても、玩具から音響が発生することで、使用者を容易に注目させることができる。これによってもまた、使用者に確実に動作を認識させることができ、興趣性を向上することができる。
(実施の形態3)
そして、コイル2による起電力で駆動可能であれば、光と音とを併用することで、より興趣性を増すことができる。図3図5は、そのような本発明の実施のさらの他の形態に係る玩具11,21,31の動作を説明するための図である。図3で示すように、玩具11として人形に適用した場合、図3(a)から図3(b)の変化で示すように、眼13を光らせるとともに、参照符号14で示すように、音声や音楽、或いは電子音を鳴らしたりすることができる。
【0044】
また、図4の玩具21で示すように、模型の自動車に適用した場合、ヘッドライト23を光らせるとともに、参照符号24で示すように、音響としてエンジン音を発生させたりすることができ、これも、使用者に興趣性を持たせる上で、極めて効果的である。さらにまた、図5の玩具31で示すように、カードに適用した場合、カード面の意匠(図5の例ではろうそくのトーチ)33を光らせるとともに、参照符号34で示すように、音響として誕生日ソングなどを発生させたりすることができ、これも、使用者に興趣性を持たせる上で、極めて効果的である。
(実施の形態4)
ところで、前記スマートフォン4やタブレット端末に、上述のようにNFC機能を動作させることで、発光ダイオード3などの電力負荷を動作させることが可能になるが、NFC機能は、起動しても、所定時間、通信相手が見つからないと、パワーセーブのために機能を停止する。そのため、このスマートフォン4には、玩具1のメーカーのホームページなどで、専用のアプリケーションを提供することが好ましい。使用者は、予めダウンロードしておいたそのアプリケーションを起動させることで、スマートフォン4やタブレット端末は、通信相手側からの応答が無くても、アプリケーションの停止操作が行われるまで、NFC機能を動作させて励磁電磁界を発生することができる。
【0045】
この専用のアプリケーションを用いる場合、図6のような新たな機能も実現することができる。図6は、本発明の実施の他の形態に係る玩具1の使用方法を説明するための図である。図6では、玩具1として、図1の怪獣の玩具を用いている。注目すべきは、本実施形態では、スマートフォン40に前記の専用のアプリケーションが格納されており、音響6を、このスマートフォン40側で発生することである。前記音響6としては、玩具1が怪獣であり、その咆哮である。
【0046】
ここで、前記スマートフォン4,40やタブレット端末は、NFC機能を動作させていると、励磁磁界が吸収されることで、通信相手の出現を認識し、その後、ID交換などを行い、通信を行うようになっている。本実施形態では、この機能を利用して、前記アプリケーションは、コイル2から起電力が発生され、負荷である発光ダイオード3が点灯することで励磁電磁界が吸収され、そのことをNFC機能で検出すると、前記咆哮を発する。こうして、怪獣の眼の発光に合わせて咆哮を発生させることで、一層興趣性を向上することができる。
【0047】
前記咆哮は、前述の玩具11,21,31のように、怪獣の玩具1側で発生させてもよく、同様に玩具11,21,31の音響をスマートフォン4側で発生させてもよい。たとえば、怪獣の玩具1の場合、コイル2を複数埋め込んでおき、NFCの電磁波を当てる部位によって、前記咆哮以外にも、異なる音声の応答を行うことで、より興趣性を増すことができる。
【0048】
しかしながら、音響をスマートフォン4やタブレット端末側で発生することで、大きなパワー(音響)を発することができるとともに、前記アプリケーション(ダウンロードなど)によって、様々な音響を発生させられるようにもなる。たとえば、コイル2に最初に近接した時点と、2回目以降に近接した時点とで咆哮の種類や大きさを変えたりする等である。このような音響の種類の選択は、使用者によって予め行われてもよい。
(実施の形態5)
上述の各実施形態は、コイル2の励磁電磁界を、スマートフォン4やタブレット端末で発生させている。そのため、前述のように、パワーセーブで停止したり、発生する電磁界が小さいという課題がある。そこで本発明の実施のさらに他の形態として、図7で示すような、専用の励起手段9を用いることも考えられる。その励起手段9は、電池或いは商用電源(図7では、プラグ91を接続する商用電源)を電源として、コイル2に、前述のように13.56MHzのNFCの電磁界を与える。
【0049】
したがって、NFCの電磁界を発生するスマートフォン4やタブレット端末などが無くても、コイル2に起電力を発生させ、負荷を動作させることができる。また、このような別途の励起手段9を用いることで、発生する電磁界を強め、距離を離しても負荷を動作させることができる。さらにまた、前記スマートフォン4やタブレット端末では、NFCを起動するために、通信モードにしたり、前記の専用のアプリケーションを立ち上げたりする等の特別な操作を必要とするのに対して、専用の励起手段9の場合、たとえばスイッチ92の操作だけで、NFCを起動することができる。さらにまた、NFCは、所定時間通信が行われないと機能を停止してしまうのに対して、専用の励起手段9を設けることで、そのような不具合も無くなる。また、このような別途の励起手段9を用いる場合、前記のNFCに限らず、低周波の電波発生器を用いることができる。
【0050】
以上、各実施形態を説明したが、本発明が適用される玩具1,1a,11,21は、食玩であることが好ましい。食玩は、菓子に同包されるおまけの玩具であり、値段も安いので、コイル2と負荷(発光ダイオード3)と言う極めて簡単な構成で、興趣性を持たせられる本発明を、特に好適に実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,1a,11,21 玩具
13 眼
14,24,34,6 音響
2 コイル
3 発光ダイオード
31,32 端子
33,34 先端部
35 素子
23 ヘッドライト
33 意匠
4,40 スマートフォン
9 励起手段
91 プラグ
92 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7