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特開2016-137566歯車またはプロファイル研削盤およびその研削盤の動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-137566(P2016-137566A)
(43)【公開日】2016年8月4日
(54)【発明の名称】歯車またはプロファイル研削盤およびその研削盤の動作方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 19/16 20060101AFI20160708BHJP
   B24B 41/04 20060101ALI20160708BHJP
   B23F 5/02 20060101ALI20160708BHJP
【FI】
   B24B19/16 Z
   B24B41/04
   B23F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-2533(P2016-2533)
(22)【出願日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】10 2015 001 036.0
(32)【優先日】2015年1月28日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】515091795
【氏名又は名称】カップ ヴェルクゾイグマシーネン ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】KAPP Werkzeugmaschinen GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】513063062
【氏名又は名称】ニレス ヴェルクゾイグマシーネン ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】NILES Werkzeugmaschinen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】シュテーガー、アヒム
(72)【発明者】
【氏名】ティアフェルダー、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェライン、アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3C034
3C049
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034BB11
3C034BB50
3C034BB82
3C034BB87
3C034DD20
3C049AA03
3C049AB08
3C049AC01
3C049BC01
3C049CA01
3C049CA02
3C049CB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】予め歯切りまたは予め輪郭形成されたワークピースの歯車またはプロファイル研削盤の深刻な振動に関する研削盤設計の概念的制約の解消を可能とする研削盤およびその動作方法を提供する。
【解決手段】研削盤は、ワークピース(2)を少なくとも一時的に研削工具(4)と協働させるために、少なくとも1つの駆動装置によって工具スピンドル(3)のところまで駆動可能なワークスピンドル(5,6)を備える。大型化するワークピースでの研削盤の精度を簡単な対策によって高めるために、本発明は、キャリア要素(7)に対して、またはキャリア要素(7)内に、少なくとも1つのマス部材(8)を配置することを提案し、それは、ガイド要素(9)に対して、またはガイド要素(9)上で、駆動要素(10)によって可動に配置されており、マス部材(8)は、永久的に、他の機械部分および/またはワークピース部分および/または工具部分と接触することはない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に予め歯切りまたは予め輪郭形成されたワークピース(2)を研削するための、歯車またはプロファイル研削盤(1)であって、
当該研削盤は、少なくとも1つの研削工具(4)を受けることが可能な少なくとも1つの工具スピンドル(3)を備え、さらに当該研削盤は、キャリア要素(7)に対して可動に配置される少なくとも1つのワークスピンドル(5,6)であって、前記ワークピース(2)を少なくとも一時的に前記研削工具(4)と協働させるために、少なくとも1つの駆動装置によって前記工具スピンドル(3)のところまで駆動されることが可能なワークスピンドルを備え、当該研削盤は、
前記キャリア要素(7)に対して、または前記キャリア要素(7)内に、少なくとも1つのマス部材(8)が配置され、それは、ガイド要素(9)に対して、またはガイド要素(9)上で、駆動要素(10)によって可動に配置されており、前記マス部材(8)は、永久的に、他の機械部分および/またはワークピース部分および/または工具部分と接触することはない
ことを特徴とする歯車またはプロファイル研削盤。
【請求項2】
前記マス部材(8)は、前記ガイド要素(9)に対して、または前記ガイド要素(9)上で、直線的に可動である
請求項1に記載の歯車またはプロファイル研削盤。
【請求項3】
前記ガイド要素(9)は、リニアガイドとして設計されている
請求項1または2に記載の歯車またはプロファイル研削盤。
【請求項4】
前記駆動要素(10)は、サーボモータとして設計されている
請求項1ないし3のいずれかに記載の歯車またはプロファイル研削盤。
【請求項5】
1つのキャリア要素(7)に対して2つのワークスピンドル(5,6)が配置されている
請求項1ないし4のいずれかに記載の歯車またはプロファイル研削盤。
【請求項6】
前記キャリア要素(7)は、垂直方向(V)に延在する塔として設計されている
請求項5に記載の歯車またはプロファイル研削盤。
【請求項7】
前記キャリア要素(7)は、垂直軸(V)の周りに回転可能に配置されている
請求項6に記載の歯車またはプロファイル研削盤。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマス部材(8)は、前記ガイド要素(9)に対して、または前記ガイド要素(9)上で、水平方向(H)に可動に配置されている
請求項5ないし7のいずれかに記載の歯車またはプロファイル研削盤。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の歯車またはプロファイル研削盤(1)を動作させるための方法であって、
該歯車またはプロファイル研削盤では、キャリア要素(7)に対して、またはキャリア要素(7)上で、少なくとも1つのワークスピンドル(5,6)が変位方向(WT1,WT2)に動かされ、
前記キャリア要素(7)に対して、または前記キャリア要素(7)上で、前記ワークスピンドル(5,6)が変位するのと同時に、ガイド要素(9)に対して、またはガイド要素(9)上で、少なくとも1つのマス部材(8)を駆動要素(10)によって変位させ、このとき、前記マス部材(8)は、永久的に、他の機械部分および/またはワークピース部分および/または工具部分と接触することはない
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ワークスピンドル(5,6)の変位は垂直方向(V)に生じ、前記マス部材(8)の変位は水平方向(H)に生じる
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に予め歯切りまたは予め輪郭形成されたワークピースを研削するための、歯車またはプロファイル研削盤に関するものであり、研削盤は、少なくとも1つの研削工具を受けることが可能な少なくとも1つの工具スピンドルを備え、さらに研削盤は、キャリア要素に対して可動に配置される少なくとも1つのワークスピンドルであって、ワークピースを少なくとも一時的に研削工具と協働させるために、少なくとも1つの駆動装置によって工具スピンドルのところまで駆動されることが可能なワークスピンドルを備える。さらに、本発明は、そのような歯車またはプロファイル研削盤を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に歯車の製造において、仕上げ研削工程は、非常に重要である。その工程で、歯面は、研削加工を施されることにより、精密に輪郭加工される。歯車装置の製造のための効率的な方法は、研削ウォームによる創成研削、またはプロファイル研削ディスクによるプロファイル研削である。
【0003】
特に小さい歯車装置(約200mmまでの歯先円直径)の場合のワークピースでは、その工程の主時間は、副時間と比較して相対的に短い。主時間が相対的に短いことから、主時間と副時間の比率が改善された経済的製造プロセスを得るための、研削盤および研削方法が求められる。これは、特に加えて、ワークピースの多様化の結果としてワークピースのロットサイズも小さくなる場合に、当てはまることである。その場合、セットアップ時間の短縮が、ますます重要となる。
【0004】
上記タイプの歯車研削盤ならびにその動作のための方法は、特許文献1で知られている。この文献に、加工主時間と副時間との好ましい比率が得られることを特徴とするソリューションが既に記載されている。これにより、経済的に効果的な製造が可能である。また、セットアップの割合も、加工主時間に対して短く維持することができる。同様のソリューションは、特許文献2で提示されており、これは、交互に作動させる2つのワークスピンドルを用いている。
【0005】
しかしながら、そのような「ピックアップ・コンセプト」による歯車研削盤は、加工される歯車の直径が大きくなると(特に125mm超の直径で)、ワークピースのハンドリングの際の質量力が極めて大きくなるという問題があり、これにより、要求される位置決め精度が問題となって、精巧な対策なしでは要求品質水準を確保することができない。従って、特許文献1の設計による研削盤では、高信頼性の歯車研削加工のためには、ワークピースのサイズは最大直径125mmに、ほぼ限定される。高信頼性で加工される寸法を超えるワークピースを加工することは、概念的に振動による影響を受けやすいことから難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2305409号
【特許文献2】独国特許出願公開第19920323号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、深刻な振動に関する研削盤設計の概念的制約の解消を可能とするような、上記タイプの研削盤およびその動作のための対応する方法を、さらに開発することである。この場合、これまで可能であったワークピースの少なくとも2倍の直径まで、および高信頼性で機械加工されるワークピースの4倍の質量までを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その方法として、本発明による本目的のソリューションは、キャリア要素に対して、またはキャリア要素内に、少なくとも1つのマス部材を配置することを特徴とし、それは、ガイド要素に対して、またはガイド要素上で、駆動要素によって可動に配置されるものであって、マス部材は、永久的に、他の機械部分および/またはワークピース部分および/または工具部分と接触することはない。
【0009】
この場合、好ましくは、マス部材は、ガイド要素に対して、またはガイド要素上で、直線的に可動である。ガイド要素は、好ましくは、リニアガイドとして設計されている。駆動要素は、好ましくは、サーボモータとして設計されている。こうして、上記マス部材は、本発明により、その質量力のみが用いられる部分として機能し、マス部材と他の機械部分との接続は、上記ガイド要素以外にはない。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、1つのキャリア要素に対して2つのワークスピンドルが配置される。この場合、キャリア要素は、垂直方向に延在する塔として設計することができる。このとき、キャリア要素は、好ましくは、垂直軸の周りに回転可能に配置される。このとき、少なくとも1つのマス部材は、ガイド要素に対して、またはガイド要素上で、水平方向に可動に配置することができる。
【0011】
歯車またはプロファイル研削盤の動作のための方法は、本発明によれば、キャリア要素に対して、またはキャリア要素上で、ワークスピンドルが変位するのと同時に、ガイド要素に対して、またはガイド要素上で、少なくとも1つのマス部材を駆動要素によって変位させることを特徴とし、このとき、マス部材は、永久的に、他の機械部分および/またはワークピース部分および/または工具部分と接触することはない。
【0012】
この場合、好ましくは、ワークスピンドルの変位は垂直方向に生じ、マス部材の変位は水平方向に生じる。
【0013】
250mmまでの直径のワークピース用の「ピックアップ・コンセプト」による歯車研削盤に本発明を適用する場合、好ましくは、2つのワークスピンドルは、垂直方向に可動に、互いに対して180°の角度で、旋回塔に配置される。これにより、「ピックアップ・スピンドル」の高ダイナミクスに起因して(すなわち、ワークスピンドルの垂直方向の動きで)生じる質量力は、旋回塔に組み込まれた別個のマス部材(「防振マス部材」)によって相殺される。
【0014】
この場合、研削結果へのマイナスの影響は回避される。マス部材の制御および寸法設定によって、ダイナミクスに関する垂直軸の制限がないことが考慮されなければならないことが確実とされる。
【0015】
本発明によって提案される設計によって、250mmまでの直径、さらにはそれより大きい直径のワークピースを、好ましい「ピックアップ研削盤コンセプト」によって、問題なく加工可能とすることができ、すなわち、従来の直径125mmのワークピースをはじめとして、これにより2倍の直径のワークピースまでが実現可能である。こうして、追加の製造能力をエネルギー効率の良い方法で得ることができる。全体として、これに応じて、歯車研削工程の経済性が向上する。
【0016】
好ましくは、2つの「ピックアップ」ワークスピンドルは、単一の塔に配置され、それらのワークスピンドルは、反対側に取り付けられる。第3の位置に、研削工具のドレッシング用のドレッサを設けることができる。この場合、一方のワークスピンドルにおいて部品が加工されている間に、第2のスピンドルでは、既に加工済みのワークピースを、例えばコンベアベルトの上に載置する。その後、新たな部品を、ベルトからピックアップ・スピンドルによって取得し、クランプし、位置合わせする。第1のワークスピンドルにおける部品の加工が完了したら、塔を垂直軸の周りに180°回転させて、これにより、次のワークピースを加工するために加工エリアに移す。
【0017】
概して、ローディング/アンローディング側でピックアップ・スピンドルが動く際に、発生する質量力を相殺するために、旋回塔に組み込まれたマス部材(「防振マス部材」)によって、相殺する動き(反対の動き)を実現する。
【0018】
本コンセプトにより、好ましくは、NIO/SPC部品を送出するための最大3つのマガジンを備えた統合ストレージを設ける。また、このストレージは、クランプ手段を自動的に交換するために提供される。
【0019】
効果的には、提案される研削盤は、特に、自動車および機械製造産業での用途に適用可能である。例として、乗用車用ギアボックス(マニュアルギアボックス、有段自動変速機、デュアルクラッチギアボックス)、遊星歯車の一部(好ましくは、30〜60mmの直径を有するもの)および制御歯車(好ましくは、50〜160mm)、ならびに車軸駆動ギア(好ましくは、170〜250mm)が挙げられる。同様に、トラック用ギアボックスならびに工業用ギアボックスを挙げるべきである。
【0020】
本特許出願人による特許文献1に記載されているような研削盤の実施形態は、この場合に特に好ましく、この文献を明示的に参照する。
【0021】
工具スピンドルの領域において、機台上に、または機台に対して、カウンタホルダを固定して配置することができる。このカウンタホルダは、両方のワークスピンドルによって使用されることができる。また、周辺装置をさらに設けることができる。ある位置で、ワークピースのためのアライメント装置を、機台上に、または機台に対して、固定して配置することができる。
【0022】
さらに、研削工具のためのドレッシング装置を、キャリア要素(塔)に配置することができ、これによって、必要に応じて研削工具をドレッシングすることができる。
【0023】
さらに、別の位置で、ワークピースのための遠心ステーションを、機台上に、または機台に対して、固定して配置することができる。
【0024】
さらに別の位置で、クランプ手段のための交換ステーションを、機台上に、または機台に対して、固定して配置することができる。さらに、ワークピースを載置するためのステーションを、機台上に、または機台に対して、配置することができる。この場合、好ましい実施形態では、クランプ手段のための交換ステーションと、ワークピースを載置するためのステーションは、それぞれ、少なくとも2つの載置場所を有する回転テーブルを備える。この場合、好ましくは、クランプ手段のための交換ステーションと、ワークピースを載置するためのステーションは、一体型ユニットとして設計される。
【0025】
最後に、工具スピンドルの領域において、研削工具のための交換ステーションを、機台上に、または機台に対して、固定して配置することができる。
【0026】
効果的に、提案されるコンセプトによって、副時間を最適化(最短化)することができ、さらに、自動化のためのセットアップ・プロセスおよび機能を統合することができる。ワークスピンドルへのワークピースのローディングおよびアンローディング、クランピング、歯車の位置合わせ(心合わせ)、ワークピースの加速および減速ならびに遠心動作を、他方のワークスピンドルにおける研削と並行して、実現することができる。従って、提案されるコンセプトにより、副時間に関する大幅な改善も可能となる。
【0027】
本発明の実施形態を、図面に示している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】歯車研削盤の斜視図。垂直に延在する塔の形態のキャリア要素を備え、これに2つのワークスピンドルが配置されており、これにより、ワークピースをローディング/アンローディング・エリアから研削位置に移動させるとともに、戻すように移動させる。
図2図1に対応する正面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面に、歯車研削盤1を示しており、これは機台11を備えている。機台11には、まず、歯車研削加工を実施することを可能とするための一般的な要素が配置される。従って、研削盤1は、特に、工具キャリアに配置される研削工具4(研削ディスクまたは研削ウォーム、場合によっては、例えば粗加工用と仕上げ加工用の、軸方向にオフセットした複数の研削工具であり得る)を備えた工具スピンドル3を有し、この工具スピンドル3は、研削工程で要求される動きを実現可能とするように、対応する可動ガイド上に配置されている。図面に、動きの想定される方向を、両矢印すなわち、X、Y、Z、A、Bで示している。しかしながら、これらの軸は、通常、設けられるものであるため、これらについて、本明細書でこれ以上の解説はしない。
【0030】
さらに、歯車研削盤1には、2つのワークスピンドル5、6が設けられており、これらはそれぞれ、ワークピース2を受けるように設計されている(図1における回転軸C1およびC2を参照)。これら2つのワークスピンドル5、6は、垂直軸すなわち旋回軸CTの周りに旋回可能に、塔の形態のキャリア要素7に配置されている。軸CTの周りに旋回すると、ワークスピンドル5、6のうちの一方にクランプされたワークピース2を、研削位置Iからローディング位置IIに、あるいは逆に位置IIから位置Iに、移動させることができる。
【0031】
ローディング位置IIでは、図示されていない供給手段によって、ワークピース2をロードまたはアンロードすることができる。この場合、ワークピース2は、例えばコンベアベルトによって、当該研削盤に搬入または搬出することができる。当然のことながら、他のいずれかの形式で、例えばローディングセルで、ワークピース2を当該研削盤に供給または搬出することも可能である。
【0032】
ワークピース2を、垂直方向すなわち垂直軸Vの方向に位置決めするために、ワークスピンドル5、6は、それぞれ、方向WT1、WT2に動く。ワークピース2が高質量である場合には、これによって、それぞれ方向WT1、WT2に速く動いたときにかなりの質量力が生じる。これを防ぐとともに打ち消すため、キャリア要素7に対して、またはキャリア要素7内に配置されたマス部材8が設けられており、これは、駆動要素10によって可動に、ガイド要素9上に配置されている。マス部材8の移動方向を、図1にXT1で示している。ガイド要素9は、本例ではスクリュジャッキとして設計されている。マス部材8には、対応する(図示していない)ナットが配置されており、これがスクリュジャッキと協働する。従って、スクリュジャッキが回転すると、マス部材8は並進移動し、このとき、その回転は、サーボモータの形態の駆動要素10によって実現される。
【0033】
この場合、マス部材8は、永久的に、他の機械部分および/またはワークピース部分および/または工具部分と接触することはない。つまり、マス部材8は、(塔7においてガイド要素9を介して伝達される)その質量力によってのみ当該システムに作用する物体として(すなわち、防振マス部材として)機能し、ワークスピンドル5、6によって生じる質量力に対して、駆動要素10の対応する制御によって、バランスを取るように作用する。
【0034】
従って、図2を参照して、ワークスピンドル5が方向R1に変位する場合、同時にマス部材8を特に方向R2に移動させることができ、これにより、機台11上で塔7が立設されている基点に関して、マス部材8の質量力によって相殺するトルクが結果的に得られ、全体として、より安定した塔の立設状態が得られる。こうして、図2で分かるように、この具体例では、ワークスピンドル5の垂直方向Vの動きに対して、対抗するマス部材8の水平方向Hの動きが設定されて、上記バランスは、マス部材8の質量力によって得られる。
【0035】
塔7は、本例では回転テーブル12上に配置されている。研削盤の脇には、ローディング/アンローディング・エリア13が配置されている。さらに、アライメントユニット14、ドレッシングユニット15、クランプ手段の交換ステーション16(SPC(測定対象部品)/NIO(不良部品)の載置場所)、心押台17、研削工具の交換ステーション18、に言及しなければならない。
【0036】
アライメントユニット14について、以下のことに留意すべきである。このユニットは、本実施形態では、セットアップ不要のアライメントセンサを備え、これは、好ましくは、(少なくとも)1つのNC軸を有し、これにより、(少なくとも)1軸の直動を実現することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 歯車またはプロファイル研削盤
2 ワークピース
3 工具スピンドル
4 研削工具
5 ワークスピンドル
6 ワークスピンドル
7 キャリア要素(塔)
8 マス部材
9 ガイド要素(リニアガイド)
10 駆動要素(サーボモータ)
11 機台
12 回転テーブル
13 ローディング/アンローディング・エリア
14 アライメントユニット
15 ドレッシングユニット
16 クランプ手段の交換ステーション
17 心押台
18 研削工具の交換ステーション
V 垂直軸
H 水平軸
CT 旋回軸
I 研削位置
II ローディング位置
図1
図2