【解決手段】本発明は、抗体の医薬製剤の分野に関する。具体的には、本発明は、安定な液体抗体製剤ならびにその薬学的な調製および使用に関する。本発明は、例えば、抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体の水性製剤である。
抗体が、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)相補性決定領域1(CDR1);配列番号2に示すアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号3に示すアミノ酸配列を有するVH CDR3;さらに、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)CDR1;配列番号5に示すアミノ酸配列を有するVL CDR2;ならびに配列番号6に示すアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性製剤。
抗体が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、VH領域が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、VL領域が、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の水性製剤。
抗体の濃度が、約15mg/mL〜約30mg/mL、約22.5mg/mL〜約27.5mg/mL、または約90mg/mL〜約160mg/mLである、請求項1から15のいずれか一項に記載の水性製剤。
癌を、その治療または阻害を必要とする対象において治療または阻害するための方法であって、治療有効量の請求項1から18のいずれか一項に記載の水性製剤を対象に投与するステップを含む方法。
癌が、結腸直腸癌、直腸癌、非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、転移性腎細胞癌(mRCC)、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頚部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、神経膠芽腫、子宮頚癌、乳癌および多発性骨髄腫からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
癌が、結腸直腸癌、直腸癌、非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、転移性腎細胞癌(mRCC)、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頚部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、神経膠芽腫、子宮頚癌、乳癌および多発性骨髄腫からなる群から選択される、請求項23に記載の使用。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,816,567号
【特許文献2】WO99/58572
【特許文献3】米国特許第5,807,715号
【特許文献4】米国特許第5,866,692号
【特許文献5】米国特許第6,331,415号
【特許文献6】米国特許第5,530,101号
【特許文献7】米国特許第5,693,761号
【特許文献8】米国特許第5,693,762号
【特許文献9】米国特許第5,585,089号
【特許文献10】米国特許第6,180,370号
【特許文献11】欧州特許公報第0519596号
【特許文献12】英国特許出願第9809951.8号
【特許文献13】米国特許第6,180,377号
【特許文献14】米国特許第6,054,297号
【特許文献15】米国特許第5,997,867号
【特許文献16】米国特許第6,210,671号
【特許文献17】米国特許第6,350,861号
【特許文献18】WO01/27160
【特許文献19】米国特許第6,090,382号
【特許文献20】米国特許第6,258,562号
【特許文献21】米国特許第8,216,583号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Molecular Cloning:A Laboratory Manual、second edition(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press
【非特許文献2】Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984)
【非特許文献3】Methods in Molecular Biology、Humana Press
【非特許文献4】Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press
【非特許文献5】Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987)
【非特許文献6】Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press
【非特許文献7】Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.GriffithsおよびD.G.Newell編、1993〜1998)J.Wiley and Sons
【非特許文献8】Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)
【非特許文献9】Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編)
【非特許文献10】Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987)
【非特許文献11】Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987)
【非特許文献12】PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994)
【非特許文献13】Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991)
【非特許文献14】Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999)
【非特許文献15】Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997)
【非特許文献16】Antibodies(P.Finch、1997)
【非特許文献17】Antibodies:a practical approach(D.Catty編、IRL Press、1988〜1989)
【非特許文献18】Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000)
【非特許文献19】Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999)
【非特許文献20】The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)
【非特許文献21】ChothiaおよびLesk、J Mol Biol 196(4):901〜917、1987
【非特許文献22】JohnsonおよびWu、2000、Nucleic Acids Res.、28:214〜8
【非特許文献23】Chothiaら、1986、J.Mol.Biol.、196:901〜17
【非特許文献24】Chothiaら、1989、Nature、342:877〜83
【非特許文献25】Martinら、1989、Proc Natl Acad Sci(USA)、86:9268〜9272
【非特許文献26】「AbMTM,A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies」、Oxford、UK;Oxford Molecular,Ltd.
【非特許文献27】Samudralaら、1999、「Ab Initio Protein Structure Prediction Using a Combined Hierarchical Approach」、PROTEINS, Structure,Function and Genetics Suppl.、3:194〜198
【非特許文献28】MacCallumら、1996、J.Mol.Biol.、5:732〜45
【非特許文献29】Makabeら、2008、Journal of Biological Chemistry、283:1156〜1166
【非特許文献30】KohlerおよびMilstein、1975、Nature 256:495
【非特許文献31】McCaffertyら、1990、Nature 348:552〜554
【非特許文献32】Winterら、Nature 349:293〜299(1991)
【非特許文献33】Lobuglioら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220〜4224(1989)
【非特許文献34】Shawら、J Immunol.138:4534〜4538(1987)
【非特許文献35】Brownら、Cancer Res.47:3577〜3583(1987)
【非特許文献36】Riechmannら、Nature 332:323〜327(1988)
【非特許文献37】Verhoeyenら、Science 239:1534〜1536(1988)
【非特許文献38】Jonesら、Nature 321:522〜525(1986)
【非特許文献39】Daughertyら、Nucl.Acids Res.19:2471〜2476(1991)
【非特許文献40】Leungら、Science、246:1306(1989)
【非特許文献41】Houckら、Mol.Endocrin.、5:1806(1991)
【非特許文献42】Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th edition、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton,PA、1990
【非特許文献43】Remington、The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed.、Mack Publishing、2000
【非特許文献44】Saltzら(1999)Proc ASCO 18:233a
【非特許文献45】Douillardら(2000)Lancet 355:1041〜7
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書は、抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体を含む、長い有効期間を有する安定な水性医薬製剤を開示する。本発明の水性医薬製剤は、抗体の高い濃度を安定に支援し(例えば、少なくとも約15mg/mLの抗体濃度において、%HMMS(高分子質量の種)の低いレベルを示す)、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内または皮内への注射を含めた、非経口投与に適切であることが示されている。したがって、一態様では、約15mg/ml〜約200mg/mlの抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体またはその抗原結合性断片;緩衝液;ポリオール;界面活性剤;キレート化剤を含み、約5.0〜約6.0のpHを有する水性製剤を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、約15mg/ml〜約200mg/mlの抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体(例えば、抗VEGF抗体);約1mM〜約40mMの緩衝液(例えば、コハク酸緩衝液);約1mg/mL〜約300mg/mLのポリオール(例えば、スクロース);約0.01mg/ml〜約10mg/mlの界面活性剤(例えば、ポリソルベート80);約0.01mg/ml〜約1.0mg/mlのキレート化剤(例えば、EDTA(またはエデト酸))を含み、約5.0〜約6.0のpHを有する水性製剤を提供する。いくつかの実施形態では、抗体濃度は、約22.5mg/mL〜約27.5mg/mLである。その他の実施形態では、抗体濃度は、約100mg/mL〜約150mg/mLである。
【0022】
一般的な技法
本発明の実行には、別段の記載がない限り、分子生物学(組換えの技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技法を利用し、これらは当技術の技能に属する。そのような技法は、文献、例として、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、second edition(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.GriffithsおよびD.G.Newell編、1993〜1998)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty編、IRL Press、1988〜1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)に十分な説明がある。
【0023】
定義
以下の用語は、別段の記載がない限り、以下の意味を有すると理解するものとする:用語「単離分子」(分子が、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体である場合)は、その起源または由来源に関して、(1)その自然のままの状態において当該分子に伴う天然では付随する成分が付随しない分子、(2)同じ種に由来するその他の分子を実質的に含有しない分子、(3)異なる種に由来する細胞により発現させた分子、または(4)自然界において存在しない分子である。したがって、化学的に合成した分子または当該分子の天然の起源である細胞とは異なる細胞系中で発現させた分子は、当該分子に天然では付随する成分から「単離されている」ことになる。また、当技術分野で周知である精製の技法を使用して単離することによって、分子を、天然では付随する成分を実質的に含有しない状態になすこともできる。分子の純度または均一性を、当技術分野で周知であるいくつかの手段によりアッセイすることができる。例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、および当技術分野で周知の技法を使用する、ポリペプチドを可視化するためのゲル染色を使用して、ポリペプチド試料の純度をアッセイすることができる。特定の目的では、より高い分解能を、HPLCまたは精製のための当技術分野で周知であるその他の手段を使用することによって得ることができる。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「製剤」により、抗体に関する場合には、少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つのキレート化剤を含む薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせた、pHが定義に従う抗体を記載することを意図する。
【0025】
用語「医薬組成物」または「医薬製剤」は、活性成分の生物学的活性が効果を示すのを可能にするような形態をとる調製物を指す。
【0026】
「薬学的に許容できる賦形剤」(ビヒクル、添加剤)は、対象に安全に投与して、利用する活性成分の効果を示す用量をもたらすことができる賦形剤である。用語「賦形剤」または「担体」は、本明細書で使用する場合、薬物のための希釈剤、ビヒクル、保存剤、結合剤または安定化剤として通常使用される不活性な材料を指す。本明細書で使用する場合、用語「希釈剤」は、薬学的に許容できる(ヒトに投与するのに安全かつ無毒性である)溶媒を指し、本明細書の水性製剤を調製するのに有用である。例示的な希釈剤として、これらに限定されないが、滅菌水および注射用静菌水(BWFI)が挙げられる。
【0027】
「抗体」は、標的、例として、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等に、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通して特異的に結合することが可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用する場合、この用語は、未変化のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のみならずまた、別段の特定がない限り、未変化の抗体と特異的な結合について競合するそれらの任意の抗原結合部分、抗原結合部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意のその他の改変された立体配置も包含する。抗原結合部分として、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、ドメイン抗体(dAb、例えば、サメおよびラクダ科の抗体)、相補性決定領域(CDR)、単鎖可変部断片型抗体(scFv)、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minobody)、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、v−NARおよびビス−scFvを含めた断片、ならびにポリペプチドであって、特異的な抗原結合を当該ポリペプチドに付与するのに十分である免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドが挙げられる。抗体には、いずれかのクラス、例として、IgG、IgAもしくはIgM(またはそれらのサブクラス)の抗体が含まれ、抗体は、いずれかの特定のクラスである必要はない。抗体の重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに帰属させることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのうちのいくつかを、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖の定常領域はそれぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元立体配置が周知である。
【0028】
抗体の「可変領域」は、単独のまたは組み合わせた、抗体の軽鎖の可変領域または抗体の重鎖の可変領域を指す。当技術分野では公知であるが、重鎖および軽鎖の可変領域はそれぞれ、超可変領域としてもまた公知である、3つの相補性決定領域(CDR)により接続される4つのフレームワーク領域(FR)からなり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。対象とする可変領域のバリアント、特に、CDRの外部(すなわち、フレームワーク領域中)のアミノ酸残基における置換を有するバリアントを所望する場合、適切なアミノ酸の置換、好ましくは、保存的アミノ酸の置換を、対象とする可変領域をその他の抗体の可変領域と比較することによって同定することができ、この場合のその他の抗体の可変領域は、対象とする可変領域と同じ定められたクラスに属するCDR1配列およびCDR2配列を含有する(ChothiaおよびLesk、J Mol Biol 196(4):901〜917、1987)。
【0029】
特定の実施形態では、CDRの最終的な描写および抗体の結合部位を含む残基の同定を、抗体の構造を解くことおよび/または抗体−リガンドの複合体の構造を解くことによって達成する。特定の実施形態では、それは、当業者に公知である多様な技法のいずれか、例として、X線結晶構造解析により達成することができる。特定の実施形態では、種々の解析方法を利用して、CDR領域を同定し、または見積もることができる。特定の実施形態では、種々の解析方法を利用して、CDR領域を同定し、または見積もることができる。そのような方法の例として、これらに限定されないが、Kabatの定義、Chothiaの定義、AbMの定義、接触の定義、および立体構造による定義が挙げられる。
【0030】
Kabatの定義は、抗体中の残基の番号付けを行うための標準であり、典型的には、CDR領域を同定するために使用する。例えば、JohnsonおよびWu、2000、Nucleic Acids Res.、28:214〜8を参照されたい。Chothiaの定義は、Kabatの定義に類似するが、これは、特定の構造のループの領域の位置を考慮に入れる。例えば、Chothiaら、1986、J.Mol.Biol.、196:901〜17;Chothiaら、1989、Nature、342:877〜83を参照されたい。AbMの定義は、抗体の構造をモデル化する、Oxford Molecular Groupにより作られたコンピュータプログラムの統合パッケージソフトを使用する。例えば、Martinら、1989、Proc Natl Acad Sci(USA)、86:9268〜9272;「AbM
TM,A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies」、Oxford、UK;Oxford Molecular,Ltd.を参照されたい。AbMの定義は、知識データベースとab initio法との組合せ、例として、Samudralaら、1999、「Ab Initio Protein Structure Prediction Using a Combined Hierarchical Approach」、PROTEINS,Structure,Function and Genetics Suppl.、3:194〜198により記載されているものを使用して、一次配列から抗体の三次構造をモデル化する。接触の定義は、入手可能な複合体の結晶構造の解析に基づく。例えば、MacCallumら、1996、J.Mol.Biol.、5:732〜45を参照されたい。別のアプローチでは、本明細書ではCDRの「立体構造による定義」と呼ぶが、CDRの位置を、抗原結合にエンタルピーの点で寄与する残基として同定することができる。例えば、 Makabeら、2008、Journal of Biological Chemistry、283:1156〜1166を参照されたい。さらなるその他のCDR境界の定義は、上記のアプローチのいずれにも厳格には従わなくてよいが、にもかかわらず、KabatのCDRの少なくとも一部と重複するが、特定の残基または一連の残基が抗原結合に顕著には影響しないという予測的または実験的知見に照らして、CDRを短縮させ、または伸ばすことができる。本明細書で使用する場合、CDRは、アプローチの組合せを含めた、当技術分野で公知の任意のアプローチにより定義されるCDRを指すことができる。本明細書で使用する方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定義されるCDRを利用することができる。2つ以上のCDRを含有する所与の実施形態の場合はいずれも、CDRは、Kabatの定義、Chothiaの定義、拡張された定義、AbMの定義、接触の定義、および/または立体構造による定義のいずれかに従って定義することができる。
【0031】
当技術分野では公知であるが、抗体の「定常領域」は、単独のまたは組み合わせた、抗体の軽鎖の定常領域または抗体の重鎖の定常領域を指す。
【0032】
本明細書で使用する場合、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、微量で存在する場合がある天然に存在する可能性がある突然変異を除き同一である。モノクローナル抗体は、極めて特異的であり、単一の抗原部位に対して作られている。さらに、ポリクローナル抗体の調製物は典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対して作られた異なる抗体を含むが、それらとは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して作られる。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られるという抗体の特徴を意味し、いずれかの特定の方法により抗体を生成する必要があると解釈してはならない。例えば、本発明に従って使用しようとするモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、1975、Nature 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができ、または組換えDNA法、例として、米国特許第4,816,567号に記載の方法によって作製することができる。モノクローナル抗体はまた、例えば、McCaffertyら、1990、Nature 348:552〜554に記載の技法を使用して生成するファージライブラリーから単離することもできる。本明細書で使用する場合、「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有する、キメラの免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらの断片(例として、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または抗体のその他の抗原結合サブ配列)である非ヒト(例えば、マウスの)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、その中で、レシピエントのCDRに由来する残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒトの種(ドナー抗体)、例として、マウス、ラットまたはウサギのCDRに由来する残基により置き換えられている。ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも移入したCDRまたはフレームワーク配列中にも存在しないが、抗体の性能をさらに精緻化および最適化するために含める残基を含むことができる。
【0033】
「ヒト抗体」は、ヒトが生成する抗体および/または本明細書の開示に従うヒト抗体を作製するための技法のいずれかを使用して作製するに至った抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト抗体」には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含めることを意図する。ヒト抗体のこの定義は、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。本発明のヒト抗体は、例えば、CDR、特に、CDR3中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発またはin vivoでの体細胞突然変異により導入される突然変異)を含むことができる。しかし、用語「ヒト抗体」に、本明細書で使用する場合、別の哺乳動物種、例として、マウスの生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトのフレームワーク配列上にグラフトされている抗体を含める意図はない。
【0035】
用語「キメラ抗体」により、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例として、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指すことを意図する。
【0036】
本明細書で使用する場合、「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有する、キメラの免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらの断片(例として、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または抗体のその他の抗原結合サブ配列)である非ヒト(例えば、マウスの)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、その中で、レシピエントの相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒトの種(ドナー抗体)、例として、マウス、ラットまたはウサギのCDRに由来する残基により置き換えられている。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも移入したCDRまたはフレームワーク配列中にも存在しないが、抗体の性能をさらに精緻化および最適化するために含める残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、実質的に全て、または少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインを含み、その中で、全てまたは実質的に全てのCDR領域が、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、全てまたは実質的に全てのFR領域が、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のFR領域である。また最適には、ヒト化抗体は、免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含む。WO99/58572の記載に従って改変されたFc領域を有する抗体が好ましい。ヒト化抗体のその他の形態は、元々の抗体に比して変化させた1つまたは複数のCDR(CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、またはCDR H3)を有し、またこれらは、元々の抗体に生じる1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDRとも呼ばれる。
【0037】
モノクローナル抗体をヒト化するための4つの一般なステップがある。これらは、(1)抗体の軽鎖および重鎖の可変ドメインの開始配列について、ヌクレオチドを決定し、アミノ酸配列を予測するステップ、(2)ヒト化抗体を設計する、すなわち、ヒト化処理に際して使用するための抗体のフレームワーク領域を決定するステップ、(3)ヒト化の方法/技法を実際に行うステップ、ならびに(4)トランスフェクションおよびヒト化抗体の発現を行うステップである。例えば、米国特許第4,816,567号;第5,807,715号;第5,866,692号;第6,331,415号;第5,530,101号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,585,089号;および第6,180,370号を参照されたい。
【0038】
ヒトの定常ドメインに融合させた、げっ歯類または改変されたげっ歯類のV領域およびそれらに関連する相補性決定領域(CDR)を有するキメラ抗体を含めて、非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含むいくつかの「ヒト化」抗体分子が記載されている。例えば、Winterら、Nature 349:293〜299(1991)、Lobuglioら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220〜4224(1989)、Shawら、J Immunol.138:4534〜4538(1987)、およびBrownら、Cancer Res.47:3577〜3583(1987)を参照されたい。その他の参考文献は、適切なヒトの抗体定常ドメインと融合させる前に、ヒトの支持的なフレームワーク領域(FR)中にグラフトさせたげっ歯類のCDR記載している。例えば、Riechmannら、Nature 332:323〜327(1988)、Verhoeyenら、Science 239:1534〜1536(1988)、およびJonesら、Nature 321:522〜525(1986)を参照されたい。別の参考文献は、組換えにより重ねたげっ歯類のフレームワーク領域によって支持されるげっ歯類のCDRを記載している。例えば、欧州特許公報第0519596号を参照されたい。これらの「ヒト化」分子は、げっ歯類の抗ヒト抗体分子に対する望まれない免疫学的応答を最小限に留めるように設計し、ヒトのレシピエント中にげっ歯類の部分があると、こうした応答により、治療的適用の持続期間および有効性が制限される。例えば、抗体の定常領域を免疫学的に不活性となる(例えば、補体の溶解を引き起こさない)ように工学的に作製することができる。例えば、PCT公報番号WO99/58572;英国特許出願第9809951.8号を参照されたい。また、利用することができる抗体をヒト化するその他の方法が、Daughertyら、Nucl.Acids Res.19:2471〜2476(1991)、ならびに米国特許第6,180,377号;第6,054,297号;第5,997,867号;第5,866,692号;第6,210,671号;および第6,350,861号;ならびにPCT公報番号WO01/27160によっても開示されている。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「組換え抗体」には、組換えの手段により調製し、発現させ、作り出し、または単離する全ての抗体、例えば、宿主細胞中にトランスフェクトした組換え発現ベクターを使用して発現させた抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離した抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離または調製した抗体を含めることを意図し、そのような組換えヒト抗体は、in vitroでの突然変異誘発に付すことができる。
【0040】
用語「エピトープ」は、抗体が認識し、抗体の抗原結合領域の1つまたは複数において抗体が結合することが可能な分子の部分を指す。エピトープはしばしば、アミノ酸または糖側鎖等の表面の一連の分子からなり、特異的な三次元構造の特徴および特異的な電荷の特徴を有する。いくつかの実施形態では、エピトープは、タンパク質エピトープであり得る。タンパク質エピトープは、直線である場合または立体構造をとる場合がある。直線的なエピトープの場合、タンパク質と相互作用する分子(抗体等)との間の相互作用の点の全てが、タンパク質の一次のアミノ酸配列に沿って直線的に存在する。「非直線的なエピトープ」または「立体構造的なエピトープ」は、エピトープに特異的な抗体が結合する抗原性タンパク質内に、近接しないポリペプチド(またはアミノ酸)を含む。用語「抗原性エピトープ」を、本明細書で使用する場合、当技術分野で周知である任意の方法、例えば、従来のイムノアッセイにより決定する場合に、抗体が特異的に結合することができる抗原の一部と定義する。抗原上の所望のエピトープを決定したら、そのエピトープに対する抗体を、例えば、本明細書に記載の技法を使用して生成することが可能になる。あるいは、発見プロセスの間に、抗体の生成および特徴付けにより、望ましいエピトープについての情報も解明され得る。次いで、この情報から、抗体を同じエピトープに対する結合について競合的にスクリーニングすることが可能になる。これを達成するためのアプローチでは、競合および交差競合研究を実施して、VEGFに対する結合について相互に競合または交差競合する抗体、例えば、抗原に対する結合について競合する抗体を見出す。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「単離抗体」または「精製抗体」は、その起源または由来源に関して、以下:(1)その自然のままの状態において当該抗体に伴う天然では付随する成分が付随しないこと、(2)同じ種に由来するその他のタンパク質を含有しないこと、(3)異なる種に由来する細胞により発現させたこと、または(4)自然界において存在しないことのうちの1〜4つを有する抗体を指す。
【0042】
用語「アンタゴニスト抗体」は、標的に結合し、その標的の生物学的作用を阻止し、または低下させる抗体を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、標的、例えば、VEGFに結合すると、標的が生物学的に機能するのを阻止する抗体を意味することができる。
【0043】
エピトープに「選択的に結合する」または「特異的に結合する」(これらの用語は、本明細書では交換可能に使用する)抗体は、当技術分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または選択的な結合を決定するための方法もまた、当技術分野で周知である。分子が、特定の細胞または物質と、それに代わる細胞または物質と比して、より頻繁に、より迅速に、より長い持続期間で、および/またはより高い親和性で反応または結合する場合、この分子は「特異的な結合」または「選択的な結合」を示すといわれる。抗体が標的に、その他の物質に結合するのに比して、より高い親和性、アビディティーで、より容易に、および/またはより長い持続期間で結合する場合、抗体は標的に「特異的に結合する」または「選択的に結合する」。例えば、VEGFのエピトープに特異的または選択的に結合する抗体は、このエピトープ配列に、その他の配列に結合するのに比して、より高い親和性、アビディティーで、より容易に、および/またはより長い持続期間で結合する抗体である。また、この定義を読み取ることによって、例えば、第1の標的に特異的または選択的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的または選択的に結合する場合または結合しない場合があることも理解される。したがって、「特異的な結合」または「選択的な結合」は必ずしも排他的な結合である必要はない(しかし、それを含んでもよい)。必ずではないが、一般に、結合について言及する場合には、選択的な結合を意味する。
【0044】
本明細書で使用する場合、抗体の「免疫特異的」結合は、抗体の抗原につながる部位とその抗体が認識する特異的な抗原との間で生じる、抗原に特異的な結合の相互作用を指す(すなわち、抗体は、ELISAまたはその他のイムノアッセイ中でタンパク質と反応し、関連のないタンパク質とは検出可能に反応しない)。
【0045】
用語「競合」は、抗体に関して本明細書で使用する場合、第1の抗体またはその抗原結合部分が、エピトープに、第2の抗体またはその抗原結合部分が結合するのと十分に類似する様式で結合し、したがって、第1の抗体のそのコグネイトのエピトープとの結合の結果が、第2の抗体の存在下では、第2の抗体の不在下での第1の抗体の結合と比較して検出可能に減少することを意味する。代わって、第2の抗体のそのエピトープに対する結合もまた、第1の抗体の存在下で検出可能に減少する場合もあるが、必ずしもそうである必要はない。すなわち、第1の抗体が、第2の抗体のそのエピトープに対する結合を阻害することができ、第2の抗体は、第1の抗体のその個別のエピトープに対する結合を阻害しない。しかし、各抗体が、その他の抗体のそのコグネイトのエピトープまたはリガンドとの結合を検出可能に阻害する場合、阻害の程度が、同じ、より高いまたはより低いのいずれであっても、抗体はそれらの個別のエピトープ(複数可)の結合について相互に「交差競合する」といわれる。本発明は、抗体が競合する場合および交差競合する場合の両方を包含する。そのような競合または交差競合が生じる機構(例えば、立体障害、立体構造変化、または共通のエピトープもしくはその一部に対する結合)にかかわらず、当業者であれば、本明細書に提供する教示に基づいて、そのような抗体の競合および/または交差競合は、包含され、本明細書に開示する方法にとって有用であり得ることを理解するであろう。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「ヒトVEGF」は、Leungら、Science、246:1306(1989)、およびHouckら、Mol.Endocrin.、5:1806(1991)の記載に従う165個のアミノ酸からなる血管内皮細胞増殖因子、ならびに関連の121個、189個および206個のアミノ酸からなる血管内皮細胞増殖因子、さらに、それらの天然に存在する対立遺伝子の形態およびプロセシングされた形態を指す。用語「VEGF」はまた、165個のアミノ酸からなるヒト血管内皮細胞増殖因子のうちの8番〜109番または1番〜109番のアミノ酸を含む切断型の形態のポリペプチドを指すためにも使用する。VEGFのそのような形態のいずれについての言及であるかを、本出願では、例えば、「VEGF(8〜109)」、「VEGF(1〜109)」または「VEGF
165」により特定することができる。未変性VEGFの「切断型」についてのアミノ酸の位置は、未変性VEGFの配列中の表示に従って番号を付ける。例えば、未変性VEGFの切断型中の17番のアミノ酸(メチオニン)はまた、未変性VEGF中でも17番(メチオニン)である。未変性VEGFの切断型は、KDR受容体およびFlt−1受容体に対して、未変性VEGFと同等の結合親和性を有する。
【0047】
「治療有効量」は、必要とする投与量で、必要とする期間にわたり効果を示して、所望の治療結果を達成する量を指し、所望の治療結果は、抗VEGF抗体の文脈では、標的とする病的状態、例えば、癌の治療または予防的回避を含む。投与量の値は、軽減させようとする状態の重症度により変化させ得ることに注目されたい。いずれの特定の対象についても、特定の投与レジメンを、個々の必要性および組成物を投与するまたは組成物の投与を監督する人の専門的判断に従って経時的に加減すべきであること、ならびに本明細書に記載する投与量の範囲は、例示でしかなく、請求項に記載する組成物の範囲および実行を制限するものではないことをさら理解されたい。同様に、抗体または抗体の一部の治療有効量も、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、抗体または抗体の一部の、個体において所望の応答を惹起する能力、ならびに抗体製剤の所望の投与経路等の要因に従って変化させ得る。また、治療有効量は、治療に有益な作用が、抗体または抗体の一部のいずれの毒性のまたは有害な作用にも勝る量である。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「治療」は、治療処置および予防または回避の方策の両方を指し、目的は、標的とする病的状態(例えば、抗体を用いる治療から利益が得られるであろう任意の状態。これには、問題の障害に対する素因を哺乳動物にもたらす病的な状態を含めた、慢性および急性の障害または疾患が含まれる。本明細書において治療しようとする障害の非限定的な例として、良性および悪性の腫瘍;白血病およびリンパ系悪性腫瘍;神経細胞障害、グリア障害、星状膠細胞障害、視床下部障害およびその他の腺の障害、マクロファージ障害、上皮障害、間質障害および割腔障害;ならびに炎症性障害、血管新生障害および免疫学的障害が挙げられる。)を予防し、または緩慢にする(低減させる)ことである。治療を必要とするものには、状態をすでに有しているもの、および状態を有しやすいものまたは状態を予防しようとするものが含まれる。本明細書で使用する場合、「治療」は、これらに限定されないが、以下のうちの1つまたは複数を含めた、有益なまたは所望の臨床結果を得るためのアプローチである:病的状態に関連する1つまたは複数の症状の重症度の低減、そうした症状の軽減。
【0049】
薬物、製剤、化合物または医薬組成物の「有効量」は、標的とする病的状態の軽減または低下等の臨床結果を含めた、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回でまたは複数回にわたって投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物または医薬組成物の有効量は、標的とする病的状態を治療し、回復させ、またはその強度を低下させるのに十分な量である。臨床状況で理解されているように、薬物、化合物または医薬組成物の有効量をもたらすのに、別の薬物、化合物または医薬組成物を併用する場合または併用しない場合がある。したがって、「有効量」は、1つまたは複数の治療剤を投与する状況で検討することができ、1つまたは複数のその他の薬剤と併用して、望ましい結果が達成され得るまたは達成されるならば、単一の薬剤が有効量で投与されるとみなすことができる。
【0050】
本明細書で使用する場合、治療の目的では、用語「対象」は、任意の対象を含み、好ましくは、標的とする病的状態(例えば、癌)の治療を必要とする対象である。予防の目的では、対象は、任意の対象であり、好ましくは、標的とする病的状態を発症するリスクがあるまたは素因がある対象である。用語「対象」には、生きている生物、例えば、原核生物および真核生物を含めることを意図する。対象の例として、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、およびトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。本発明の特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0051】
本明細書で使用する場合、用語「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、本明細書では交換可能に使用し、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドの高分子の形態、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの改変形態を意味し、一本鎖および二本鎖の形態であり得る。「ポリヌクレオチド」または「核酸」の配列は、別段の特定がない限り、その相補体を包含する。本明細書で使用する場合、用語「単離ポリヌクレオチド」または「単離核酸」は、ゲノム、cDNAもしくは合成起源またはそれらの何らかの組合せのポリヌクレオチドを意味し、その起源または由来源に関して、単離ポリヌクレオチドは、以下:(1)自然界においては「単離ポリヌクレオチド」と共に見出されるポリヌクレオチドの全てもしくは一部が付随しないこと、(2)「単離ポリヌクレオチド」が自然界においては連結していないポリヌクレオチドに作動可能に連結していること、または(3)自然界においてより大きな配列の一部としては存在しないことのうちの1〜3つを示す。
【0052】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容できる担体」は、活性成分と組み合わせた場合、その成分が生物学的活性を保持するのを可能にし、対象の免疫系とは反応しない任意の物質を含む。例として、これらに限定されないが、標準的な薬学的担体のいずれか、具体的には、リン酸緩衝溶液、水、油/水のエマルジョン等のエマルジョン、および種々のタイプの湿潤剤が挙げられる。エアロゾルまたは非経口投与に好ましい希釈剤は、リン酸緩衝溶液、通常(0.9%)生理食塩水、または5%デキストロースである。そのような担体を含む組成物は、周知の従来法により製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th edition、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton,PA、1990;およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed.、Mack Publishing、2000を参照されたい)。
【0053】
用語「K
off」は、本明細書で使用する場合、抗体/抗原の複合体からの抗体の解離についてのoff速度定数を指すことを意図する。
【0054】
用語「K
d」は、本明細書で使用する場合、抗体−抗原の相互作用の解離定数を指すことを意図する。抗体のヒトVEGFに対するKdまたは結合親和性を決定する1つの方法は、抗体の単官能性のFab断片の結合親和性の測定による方法である。単官能性のFab断片を得るために、抗体(例えば、IgG)を、パパインを用いて切断することまたは組換えにより発現させることができる。抗体の抗VEGF Fab断片の親和性を、表面プラズモン共鳴(BlAcorC1GM000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、BIAcore,INC、Piscaway NJ)により決定することができる。CM5チップを、供給元の使用説明に従って、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)を用いて活性化することができる。
【0055】
「罹患状態の抑制」は、重症度を低下させる何らかの行為を意味する(これには、こうした状態のために一般に使用されるその他の薬物および/または療法に対する(例えば、それらへの暴露の)必要性、および/またはそれらの量を低下させることを含めることができる)。当業者が理解しているように、個体により、治療に対する応答は変化する場合があり、したがって、例えば、「罹患状態の抑制の方法」は、そのような投与がその特定の個体において罹患状態のそのような抑制をもたらす可能性が高いと合理的に予想することに基づいて、ヒトVEGFアンタゴニスト抗体を投与することを示す。
【0056】
「回復」は、VEGFアンタゴニスト抗体を投与しない場合と比較して、1つまたは複数の症状が低減または改善することを意味する。「回復」はまた、症状の持続期間の短縮または低下も含む。
【0057】
本明細書において「約」ある値またはパラメータという場合、その値またはパラメータ自体を示す実施形態を含む(かつそれを記載する)。例えば、「約X」という記載は、「X」の記載を含む。数値の範囲は、その範囲を定義する数を含む。
【0058】
本発明の態様または実施形態を、マーカッシュ群またはその他の代替の群により記載する場合、本発明は、列挙する群全体をまとめて包含するのみならず、群の各メンバーも個別に含み、主要な群の全ての可能な亜群も含み、また、群のメンバーうちの1つまたは複数を欠く主要な群も包含する。本発明はまた、請求項に記載する発明中の群のメンバーのいずれかの1つまたは複数の明確な排除も想定する。
【0059】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」および「前記(said)」は、その要素の1つまたは複数があることを意味するものとする。用語「含む(comprising)」、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(including)」および「有する(having)」は、包括的であり、列挙した要素以外の追加の要素があり得ることを意味するものとする。本明細書で実施形態を、言葉遣い「含む(comprising)」を用いて記載する場合は必ず、これら以外の、用語「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(essentially consisting of)」により記載される類似の実施形態もまた提供していることを理解されたい。
【0060】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する科学技術用語は全て、本発明が属する当技術分野の通常の技能を有する者により通常理解される意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含めた、本明細書に従うものとする。本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、単語「含む(comprise)」または変化形、例として、「含む(comprises)」または「含む(comprising)」は、記述する整数または一連の整数が含まれることを示唆しているのであって、その他の整数および一連の整数が排除されることを示唆しているのではないことを理解されたい。そうでないことが文脈により必要にならない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0061】
例示的な方法および物質を本明細書に記載するが、本明細書に記載するものに類似のまたは均等な方法および物質もまた、本発明の実行または試験に際して使用することができる。物質、方法および例は例示に過ぎず、それらに制限する意図はない。
【0062】
抗VEGF抗体製剤
一態様では、約15mg/ml〜約200mg/mlの抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体またはその抗原結合性断片;緩衝液;ポリオール;界面活性剤;キレート化剤を含み、約5.0〜約6.0のpHを有する安定な水性製剤を提供する。本明細書に記載する製剤は、長い有効期間、好ましくは、(例えば、約5℃において)少なくとも約36カ月または約36カ月超の有効期間を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1つの抗VEGF抗体を含む。例えば、抗VEGF抗体は、ヒト抗体(例えば、AVASTIN(登録商標)またはrhuMAB VEGF)、ヒト化抗体、またはキメラ抗体(例えば、インフリキシマブもしくはREMICADE(登録商標))である。いくつかの実施形態では、2つ以上の抗体が存在し得る。少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または6つ以上の異なる抗体が存在し得る。一般に、それらの2つ以上の異なる抗体が相補的活性を有し、それらの活性は相互に有害な影響を及ぼさない。また、1つまたは複数の抗体は、抗体の有効性を増強するおよび/または補足するように働くその他の薬剤と併用して使用することもできる。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤中の抗VEGF抗体は、ヒトVEGFから、1×10
−8M以下のK
dおよび1×10
−3/秒以下のK
off速度定数で解離し(両方の値は、表面プラズモン共鳴により決定した)、ヒトVEGFの細胞傷害性を、標準的なin vitro L929アッセイにおいて、1×10
−7M以下のIC
50で中和する抗体である。いくつかの実施形態では、本発明の製剤中の抗VEGF抗体は、ヒトVEGFから、5×10
−4/秒以下のK
off速度定数または1×10
−4/秒以下のK
off速度定数で解離する抗体である。いくつかの実施形態では、本発明の製剤中の抗VEGF抗体は、ヒトVEGFの細胞傷害性を、標準的なin vitro L929アッセイにおいて、1×10
−7M以下のIC
50、1×10
−8M以下のIC
50、1×10
−9M以下のIC
50、または1×10
−10M以下のIC
50で中和する抗体である。いくつかの実施形態では、本発明の製剤中の抗VEGF抗体はまた、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)上でVEGFが誘発するELAM−1の発現について標準的なin vitroアッセイを使用して評価する場合、VEGFが誘発する細胞の活性化を中和する。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,090,382号、第6,258,562号および第8,216,583号を参照されたい。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤中の抗VEGF抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)相補性決定領域1(CDR1);配列番号2に示すアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号3に示すアミノ酸配列、または配列番号3のバリアントを有するVH CDR3;配列番号4に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)CDR1;配列番号5に示すアミノ酸配列を有するVL CDR2;ならびに配列番号6に示すアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤中の抗VEGF抗体は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、VH領域は、配列番号7のアミノ酸配列を含み、VL領域は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明の製剤中の抗VEGF抗体は、IgG1重鎖定常領域もしくはIgG4重鎖定常領域を有する、またはFab断片もしくは単鎖Fv断片である。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤中の抗VEGF抗体は、AVASTIN(登録商標)(抗VEGF抗体またはrhuMAb VEGF)である。
【0069】
抗体は、製剤中に、約0.1mg/ml〜約200mg/ml、約15mg/ml〜200mg/ml、約20mg/ml〜約175mg/ml、または約25mg/ml〜約150mg/mlの範囲に及ぶ濃度で存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では抗体の濃度は、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約3mg/ml、約3.5mg/ml、約4mg/ml、約4.5mg/ml、約5mg/ml、約5.5mg/ml、約6mg/ml、約6.5mg/ml、約7mg/ml、約7.5mg/ml、約8mg/ml、約8.5mg/ml、約9mg/ml、約9.5mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、約30mg/ml、約31mg/ml、約32mg/ml、約33mg/ml、約34mg/ml、約35mg/ml、約36mg/ml、約37mg/ml、約38mg/ml、約39mg/ml、約40mg/ml、約41mg/ml、約42mg/ml、約43mg/ml、約44mg/ml、約45mg/ml、約46mg/ml、約47mg/ml、約48mg/ml、約49mg/ml、約50mg/ml、約51mg/ml、約52mg/ml、約53mg/ml、約54mg/ml、約55mg/ml、約56mg/ml、約57mg/ml、約58mg/ml、約59mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約101mg/ml、約102mg/ml、約102.5mg/ml、約103mg/ml、約103.5mg/ml、約104mg/ml、約104.5mg/ml、約105mg/ml、約105.5mg/ml、約106mg/ml、約106.5mg/ml、約107mg/ml、約107.5mg/ml、約108mg/ml、約108.5mg/ml、約109mg/ml、約109.5mg/ml、約110mg/ml、約111mg/ml、約112mg/ml、約113mg/ml、約114mg/ml、約115mg/ml、約116mg/ml、約117mg/ml、約118mg/ml、約119mg/ml、約120mg/ml、約121mg/ml、約122mg/ml、約123mg/ml、約124mg/ml、約125mg/ml、約126mg/ml、約127mg/ml、約128mg/ml、約129mg/ml、約130mg/ml、約131mg/ml、約132mg/ml、約133mg/ml、約134mg/ml、約135mg/ml、約136mg/ml、約137mg/ml、約138mg/ml、約139mg/ml、約140mg/ml、約141mg/ml、約142mg/ml、約143mg/ml、約144mg/ml、約145mg/ml、約146mg/ml、約147mg/ml、約148mg/ml、約149mg/ml、約150mg/ml、約151mg/ml、約152mg/ml、約153mg/ml、約154mg/ml、約155mg/ml、約156mg/ml、約157mg/ml、約158mg/ml、約159mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、または約200mg/mlである。
【0070】
本発明によれば、緩衝液(例えば、コハク酸緩衝液)は、製剤に生理的pHに近いpHをもたらして、注射時の疼痛またはアナフィラキシー様の副作用のリスクを低下させ、また、抗体の安定性ならびに凝集、酸化および断片化に対する抵抗性も増強する。
【0071】
緩衝液は、例えば、非限定的に、酢酸塩、コハク酸塩(例えば、コハク酸二ナトリウム六水和物)、グルコン酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、酢酸、リン酸塩、リン酸、アスコルビン酸塩、酒石酸、マレイン酸、グリシン、乳酸塩、乳酸、アスコルビン酸、イミダゾール、炭酸水素塩および炭酸、コハク酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸、グルコン酸塩、エデト酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、イミダゾール、トリス、リン酸塩、ならびにそれらの混合物であり得る。好ましくは、緩衝剤はコハク酸であり、コハク酸は、コハク酸二ナトリウム六水和物(塩基性の形態)および/もしくはコハク酸またはそれらの混合物を含むことができる。
【0072】
緩衝液の濃度は、約0.1ミリモル(mM)〜約100mMの範囲に及ぶことができる。好ましくは、緩衝液の濃度は、約0.5mM〜約50mM、さらに好ましくは約1mM〜約30mM、より好ましくは約1mM〜約25mMである。好ましくは、緩衝液の濃度は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mMである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約20mMの濃度のコハク酸緩衝液である。
【0073】
緩衝剤の濃度はまた、約0.01mg/ml〜約30mg/ml、約0.1mg/ml〜約5mg/ml、または約0.5mg/ml〜約4mg/mlの範囲に及び得る。例えば、緩衝剤の濃度は、約0.01mg/ml、0.02mg/ml、0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、0.08mg/ml、0.09mg/ml、約0.10mg/ml、0.11mg/ml、0.12mg/ml、0.13mg/ml、約0.14mg/ml、約0.15mg/ml、約0.16mg/ml、約0.17mg/ml、0.18mg/ml、0.19mg/ml、約0.20mg/ml、約0.25mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1.0mg/ml、約2.0mg/ml、約3.0mg/ml、約4.0mg/ml、約5.0mg/ml、約6.0mg/ml、約7.0mg/ml、約8.0mg/ml、約9.0mg/ml、約10.0mg/ml、約11.0mg/ml、約12.0mg/ml、約13.0mg/ml、約14.0mg/ml、約15.0mg/ml、約16.0mg/ml、約17.0mg/ml、約18.0mg/ml、約19.0mg/ml、約20.0mg/ml、約21.0mg/ml、約22.0mg/ml、約23.0mg/ml、約24.0mg/ml、約25.0mg/ml、約26.0mg/ml、約27.0mg/ml、約28.0mg/ml、約29.0mg/ml、または30.0mg/mlである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約0.5mg/mL〜約5.0mg/mLのコハク酸二ナトリウム六水和物および約0.1mg/mL〜約1.0mg/mLのコハク酸を含むコハク酸緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約4.08mg/mLのコハク酸二ナトリウム六水和物および約0.58mg/mLのコハク酸を含むコハク酸緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約2.362mg/mLのコハク酸を含むコハク酸緩衝液である。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポリオールは、例えば、非限定的に、約600kD未満(例えば、約120〜約400kDの範囲)である分子量を有し得、複数のヒドロキシル基を含み、ポリオールには、糖(例えば、還元糖および非還元糖もしくはそれらの混合物、サッカライド、または炭水化物)、糖アルコール、糖酸、またはそれらの塩もしくは混合物が含まれる。非還元糖の例として、これらに限定されないが、スクロース、トレハロースおよびそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリオールは、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルトース、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イノシトール、またはそれらの混合物であり得る。他の実施形態では、ポリオールは、例えば、非限定的に、単糖、二糖もしくは多糖、または上記のうちのいずれかの混合物であり得る。サッカライドまたは炭水化物は、例えば、非限定的に、フルクトース、グルコース、マンノース、スクロース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカン、またはそれらの混合物であり得る。
【0075】
製剤中のポリオールの濃度は、約1mg/ml〜約300mg/ml、約1mg/ml〜約200mg/ml、または約1mg/ml〜約120mg/mlの範囲に及ぶ。好ましくは、製剤中のポリオールの濃度は、約50mg/ml〜約120mg/ml、約60mg/ml〜約110mg/ml、または約80mg/ml〜約90mg/mlである。例えば、製剤中のポリオールの濃度は、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約3mg/ml、約3.5mg/ml、約4mg/ml、約4.5mg/ml、約5mg/ml、約5.5mg/ml、約6mg/ml、約6.5mg/ml、約7mg/ml、約7.5mg/ml、約8mg/ml、約8.5mg/ml、約9mg/ml、約9.5mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、約30mg/ml、約31mg/ml、約32mg/ml、約33mg/ml、約34mg/ml、約35mg/ml、約36mg/ml、約37mg/ml、約38mg/ml、約39mg/ml、約40mg/ml、約41mg/ml、約42mg/ml、約43mg/ml、約44mg/ml、約45mg/ml、約46mg/ml、約47mg/ml、約48mg/ml、約49mg/ml、約50mg/ml、約51mg/ml、約52mg/ml、約53mg/ml、約54mg/ml、約55mg/ml、約56mg/ml、約57mg/ml、約58mg/ml、約59mg/ml、約60mg/ml、約65mg/ml、約70mg/ml、約75mg/ml、約80mg/ml、約81mg/ml、約82mg/ml、約83mg/ml、約84mg/ml、約85mg/ml、約86mg/ml、約87mg/ml、約88mg/ml、約89mg/ml、約90mg/ml、約91mg/ml、約92mg/ml、約93mg/ml、約94mg/ml、約95mg/ml、約96mg/ml、約97mg/ml、約98mg/ml、約99mg/ml、約100mg/ml、約101mg/ml、約102mg/ml、約103mg/ml、約104mg/ml、約105mg/ml、約106mg/ml、約107mg/ml、約108mg/ml、約109mg/ml、約110mg/ml、約111mg/ml、約112mg/ml、約113mg/ml、約114mg/ml、約115mg/ml、約116mg/ml、約117mg/ml、約118mg/ml、約119mg/ml、約120mg/ml、約121mg/ml、約122mg/ml、約123mg/ml、約124mg/ml、約125mg/ml、約126mg/ml、約127mg/ml、約128mg/ml、約129mg/ml、約130mg/ml、約131mg/ml、約132mg/ml、約133mg/ml、約134mg/ml、約135mg/ml、約136mg/ml、約137mg/ml、約138mg/ml、約139mg/ml、約140mg/ml、約141mg/ml、約142mg/ml、約143mg/ml、約144mg/ml、約145mg/ml、約146mg/ml、約147mg/ml、約148mg/ml、約149mg/ml、または約150mg/mlである。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポリオールは、約1mg/ml〜約300mg/ml、約1mg/ml〜約200mg/ml、または約1mg/ml〜約120mg/mlの濃度のスクロースである。好ましくは、製剤中のスクロースの濃度は、約50mg/ml〜約120mg/ml、約60mg/ml〜約110mg/ml、または約80mg/ml〜約90mg/mlである。いくつかの実施形態では、製剤中のスクロースの濃度は、約85mg/mlである。
【0077】
界面活性剤は、本発明において使用する場合、液体抗体製剤の表面張力を変化させることができる。特定の実施形態では、界面活性剤は、液体抗体製剤の表面張力を低下させる。さらなるその他の実施形態では、界面活性剤は、製剤中の任意の抗体の安定性の改善に寄与することができる。界面活性剤はまた、(例えば、輸送および保存の間の)製剤化された抗体の凝集を低下させること、ならびに/または製剤中の粒子の形成を最小限に留めることができ、かつ/または吸着(例えば、容器への吸着)を低下させる。例えば、界面活性剤はまた、凍結/解凍のサイクルの間および後の抗体の安定性を改善することもできる。界面活性剤は、例えば、非限定的に、ポリソルベート、ポロキサマー、トリトン、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルグリコシドナトリウム、ラウリル−スルホベタイン、ミリスチル−スルホベタイン、リノレイル−スルホベタイン、ステアリル−スルホベタイン、ラウリル−サルコシン、ミリスチル−サルコシン、リノレイル−サルコシン、ステアリル−サルコシン、リノレイル−ベタイン、ミリスチル−ベタイン、セチル−ベタイン、ラウロアミドプロピル−ベタイン、コカミドプロピル−ベタイン、リノレアミドプロピル−ベタイン、ミリストアミドプロピル−ベタイン、パームアミドプロピル−ベタイン、イソステアラミドプロピル−ベタイン、ミリストアミドプロピル−ジメチルアミン、パームアミドプロピル−ジメチルアミン、イソステアラミドプロピル−ジメチルアミン、メチルココイルタウリン酸ナトリウム、メチルオレイルタウリン酸二ナトリウム、ジヒドロキシプロピルPEG5リノレアンモニウムクロリド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物であり得る。界面活性剤は、例えば、非限定的に、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、PEG3350、およびそれらの混合物であり得る。
【0078】
界面活性剤の濃度は一般に、約0.01mg/ml〜約10mg/ml、約0.01mg/ml〜約5.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約2.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.5mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.4mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.3mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.2mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.15mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.1mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.05mg/ml、約0.1mg/ml〜約1mg/ml、約0.1mg/ml〜約0.5mg/ml、または約0.1mg/ml〜約0.3mg/mlの範囲に及ぶ。さらに好ましくは、界面活性剤の濃度は、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.15mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、または約1mg/mlである。
【0079】
いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、約0.1mg/ml〜約0.3mg/mlの範囲に及ぶ、例えば、0.2mg/mlの濃度のポリソルベート80である。
【0080】
キレート化剤は、本発明において使用する場合、本発明の製剤中で、還元型酸素種の形成を減らし、酸性種(例えば、脱アミド化)の形成を低下させ、抗体の凝集を低下させ、かつ/または抗体の断片化を低下させ、かつ/または抗体の酸化を低下させる。例えば、キレート化剤は、金属イオンと少なくとも1つの結合(例えば、共有性、イオン性またはその他の結合)を形成し、安定化剤として作用して、安定化剤がない場合には不安定性を促進する種と錯体を形成する多座配位性の配位子であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、キレート化剤は、アミノポリカルボン酸、ヒドロキシアミノカルボン酸、N−置換グリシン、2−(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノエタンスルホン酸(BES)、デフェロキサミン(DEF)、クエン酸、ナイアシンアミドおよびデスオキシコール酸塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸5(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−2−アセトアミド−2−イミノ二酢酸(ADA)、ビス(アミノエチル)グリコールエーテル、N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、トランス−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(DCTA)、グルタミン酸およびアスパラギン酸、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、N,N−ビス−ヒドロキシエチルグリシン(ビシン)およびN−(トリスヒドロキシメチルメチル)10グリシン(トリシン)、グルシルグリシン、デスオキシコール酸ナトリウム、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン(トリエン)、エデト酸二ナトリウム二水和物(またはEDTA二ナトリウム二水和物もしくはEDTA二ナトリウム塩)、EDTAカルシウム、シュウ酸、リンゴ酸塩、クエン酸、クエン酸一水和物およびクエン酸三ナトリウム−二水和物、8−ヒドロキシキノレート、アミノ酸、ヒスチジン、システイン、メチオニン、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、キレート化剤は、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウムおよびエデト酸カリウムを含めた、EDTAの塩からなる群から選択され;デフェロキサミン(DEF)の適切な塩は、メシル酸デフェロキサミン(DFM)またはそれらの混合物である。本発明で使用するキレート化剤は可能であれば、化合物の遊離酸もしくは遊離塩基の形態または塩の形態として存在し得、また、化合物または対応する塩の無水、溶媒和または水和の形態としても存在し得る。
【0082】
好ましい実施形態では、キレート化剤は、EDTA(またはエデト酸)である。
【0083】
キレート化剤の濃度は一般に、約0.01mg/ml〜約50mg/ml、約0.1mg/ml〜約10.0mg/ml、約5mg/ml〜約15.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.0mg/ml、約0.02mg/ml〜約0.5mg/ml、または約0.025mg/ml〜約0.075mg/mlの範囲に及ぶ。さらに好ましくは、キレート化剤の濃度は一般に、約0.01mM〜約2.0mM、約0.01mM〜約1.5mM、約0.01mM〜約0.5mM、約0.01mM〜約0.4mM、約0.01mM〜約0.3mM、約0.01mM〜約0.2mM、約0.01mM〜約0.15mM、約0.01mM〜約0.1mM、約0.01mM〜約0.09mM、約0.01mM〜約0.08mM、約0.01mM〜約0.07mM、約0.01mM〜約0.06mM、約0.01mM〜約0.05mM、約0.01mM〜約0.04mM、約0.01mM〜約0.03mM、約0.01mM〜約0.02mM、約0.02〜、または約0.05mM〜約0.01mMの範囲に及ぶ。好ましくは、キレート化剤の濃度は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.025mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.075mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.10mg/ml、または約0.20mg/mlであり得る。さらに好ましくは、キレート化剤の濃度は、約0.025mg/ml、約0.03mg/ml、約0.035mg/ml、約0.04mg/ml、約0.045mg/ml、約0.05mg/ml、約0.055mg/ml、約0.06mg/ml、約0.065mg/ml、約0.07mg/ml、または約0.075mg/mlである。最も好ましくは、キレート化剤の濃度は、約0.05mg/mlである。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態によれば、pHは、約5.0〜約6.6、好ましくは、約5.0〜約6.5または約5.0〜約6.0、最も好ましくは、5.2〜5.8の範囲であり得る。例えば、5.2〜5.8のpHの範囲の本発明の製剤中の抗VEGF抗体は、pH5.0またはpH6.5と比較して、高分子質量の種の形成が低下した。したがって、いくつかの実施形態では、pHは、本発明の製剤の場合、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5または約5.6のいずれか1つから、約6.5、約6.4、約6.3、約6.2、約6.1、約6.0、約5.9、約5.8または約5.7のいずれか1つまでの範囲から選択される範囲であり得る。いくつかの実施形態では、pHは、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4または約7.5のいずれかのpHの値から選択することができる。好ましくは、pHは、pH5.5±0.5であり、最も好ましくは、pHは、pH5.5±0.3である。
【0085】
いくつかの実施形態では、製剤は、保存剤を含むことができる。好ましくは、保存のための薬剤は、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾトニウム、フェノキシエタノールおよびメチルパラベンから選択される。
【0086】
保存剤の濃度は一般に、約0.001mg/ml〜約50mg/ml、約0.005mg/ml〜約15.0mg/ml、約0.008mg/ml〜約12.0mg/ml、または約0.01mg/ml〜約10.0mg/mlの範囲に及ぶ。好ましくは、保存剤の濃度は、約0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、約1.0mg/ml、2.0mg/ml、3.0mg/ml、約4.0mg/ml、約5.0mg/ml、約6.0mg/ml、約7.0mg/ml、8.0mg/ml、9.0mg/ml、約9.1mg/ml、約9.2mg/ml、9.3mg/ml、9.4mg/ml、9.5mg/ml、9.6mg/ml、9.7mg/ml、9.8mg/ml、9.9mg/ml、10.0mg/mlであり得る。最も好ましくは、保存剤の濃度は、約0.1mg/mlまたは9.0mg/mLである。
【0087】
いくつかの実施形態では、製剤は、保存剤を含有しない。
【0088】
いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体の断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fc、ScFv等)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、それらの突然変異体、抗体の一部(例えば、ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ヒト抗体、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意のその他の改変された立体配置からなる群を含む群から選択することができ、これらの抗体には、抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合性に改変された抗体が含まれる。抗体は、マウス、ラット、ヒトの抗体または任意のその他の起源(キメラ抗体またはヒト化抗体を含む)であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト抗体であり得るが、より好ましくは、ヒト化抗体である。抗体は、好ましくは単離抗体であり、さらに好ましくは実質的に純粋である。抗体が抗体の断片である場合、これは好ましくは、元々の抗体の機能的特徴、すなわち、リガンド結合性および/またはアンタゴニストもしくはアゴニストの活性を保持する。
【0089】
いくつかの実施形態では、抗体の重鎖の定常領域は、任意のタイプの定常領域、例として、IgG、IgM、IgD、IgAおよびIgE;ならびに任意のアイソタイプ、例として、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に由来し得る。好ましくは、抗体は、IgG1抗体である。
【0090】
本発明のさらなる態様に従って、約15mg/ml〜約200mg/mlの抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体またはその抗原結合性断片;約1mM〜約100mMの緩衝液;約1mg/mL〜約300mg/mLのポリオール;約0.01mg/ml〜約10mg/mlの界面活性剤;約0.01mg/ml〜約1.0mg/mlのキレート化剤を含むまたはそれらからなり、約5.0〜約6.0のpHを有する水性製剤を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)CDR1;配列番号2に示すアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号3に示すアミノ酸配列、または配列番号3のバリアントを有するVH CDR3;さらに、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)CDR1;配列番号5に示すアミノ酸配列を有するVL CDR2;ならびに配列番号6に示すアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVH領域および配列番号8のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、AVASTIN(登録商標)(抗VEGF抗体またはrhuMAb VEGF)である。いくつかの実施形態では、緩衝液はコハク酸緩衝液であり、ポリオールはスクロースであり、界面活性剤はポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)であり、かつ/またはキレート化剤はEDTA(もしくはエデト酸)である。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する抗VEGF抗体を原薬とする水性製剤は、エチレン酢酸ビニルモノマテリアル(EVAM)製品接触表面を有する滅菌エチレン酢酸ビニル(EVA)バッグ中に保存することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する抗VEGF抗体を原薬とする水性製剤は、ステンレス鋼製容器中に保存することができる。
【0092】
本発明のさらなる態様に従って、約15mg/ml、約20mg/ml、約25mg/ml、約30mg/ml、約35mg/ml、約40mg/ml、約45mg/ml、約50mg/ml、約55mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、または約160mg/mlの抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体(例えば、ヒト抗VEGF抗体);約1mM〜約100mMの緩衝液;約1mg/mL〜約300mg/mLのポリオール;約0.01mg/ml〜約10mg/mlの界面活性剤;約0.01mg/ml〜約1.0mg/mlのキレート化剤を含むまたはそれらからなり、約5.0〜約6.0のpHを有する水性製剤を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)CDR1;配列番号2に示すアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号3に示すアミノ酸配列、または配列番号3のバリアントを有するVH CDR3;ならびに配列番号4に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)CDR1;配列番号5に示すアミノ酸配列を有するVL CDR2;および配列番号6に示すアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、抗VEGF抗体(AVASTIN(登録商標)またはrhuMAB VEGF)である。
【0093】
いくつかの実施形態では、製剤中の抗体の濃度は、約1mg/mL〜約150mg/mL、約5mg/mL〜約145mg/mL、約5mg/mL〜約80mg/mL、約10mg/mL〜約140mg/mL、約15mg/mL〜約135mg/mL、約20mg/mL〜約130mg/mL、約25mg/mL〜約125mg/mL、約25mg/mL〜約50mg/mL、約30mg/mL〜約120mg/mL、約35mg/mL〜約115mg/mL、約40mg/mL〜約110mg/mL、約45mg/mL〜約105mg/mL、約50mg/mL〜約100mg/mL、約55mg/mL〜約95mg/mL、約60mg/mL〜約90mg/mL、約65mg/mL〜約85mg/mL、約70mg/mL〜約80mg/mL、または約75mg/mLである。例えば、いくつかの実施形態では、製剤中の抗体の濃度は、約5mg/mL以下、約6mg/mL以下、約7mg/mL以下、約8mg/mL以下、約9mg/mL以下、約10mg/mL以下、約11mg/mL以下、約12mg/mL以下、約13mg/mL以下、約14mg/mL以下、約15mg/mL以下、約16mg/mL以下、約17mg/mL以下、約18mg/mL以下、約19mg/mL以下、約20mg/mL以下、約21mg/mL以下、約22mg/mL以下、約23mg/mL以下、約24mg/mL以下、約25mg/mL以下、約26mg/mL以下、約27mg/mL以下、約28mg/mL以下、約29mg/mL以下、約30mg/mL以下、約31mg/mL以下、約32mg/mL以下、約33mg/mL以下、約34mg/mL以下、約35mg/mL以下、約36mg/mL以下、約37mg/mL以下、約38mg/mL以下、約39mg/mL以下、約40mg/mL以下、約41mg/mL以下、約42mg/mL以下、約43mg/mL以下、約44mg/mL以下、約45mg/mL以下、約46mg/mL以下、約47mg/mL以下、約48mg/mL以下、約49mg/mL以下、約50mg/mL以下、約51mg/mL以下、約52mg/mL以下、約53mg/mL以下、約54mg/mL以下、約55mg/mL以下、約56mg/mL以下、約57mg/mL以下、約58mg/mL以下、約59mg/mL以下、約60mg/mL以下、約70mg/mL以下、約75mg/mL以下、約80mg/mL以下、約90mg/mL以下、約100mg/mL以下、約110mg/mL以下、約120mg/mL以下、約130mg/mL以下、約140mg/mL以下、または150mg/mL以下である。いくつかの実施形態では、抗体は、約25mg/mLの濃度の抗VEGF抗体(例えば、AVASTIN(登録商標)またはrhuMAB VEGF)である。
【0094】
本発明のさらなる態様に従って、約25mg/ml〜約150mg/mlの抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体またはその抗原結合性断片;約20mMの緩衝液;約1mg/mL〜約300mg/mLのポリオール;約0.1mg/ml〜約0.3mg/mlの界面活性剤;約0.025mg/ml〜約0.075mg/mlのキレート化剤を含むまたはそれらからなり、約5.0〜約6.0のpHを有する水性製剤を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)CDR1;配列番号2に示すアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号3に示すアミノ酸配列、または配列番号3のバリアントを有するVH CDR3;さらに、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)CDR1;配列番号5に示すアミノ酸配列を有するVL CDR2;ならびに配列番号6に示すアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、VEGF抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVH領域および配列番号8のアミノ酸配列を含むVL領域を含む。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、抗VEGF抗体(AVASTIN(登録商標)またはrhuMAB VEGF)である。いくつかの実施形態では、緩衝液はコハク酸緩衝液であり、ポリオールはスクロースであり、キレート化剤はEDTA(もしくはエデト酸)であり、かつ/または界面活性剤はポリソルベート80である。
【0095】
いくつかの実施形態では、約25mg/ml〜約150mg/mlの、ヒト血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体に特異的に結合する抗体;約20mMのコハク酸緩衝液;約85mg/mLのスクロース;約0.2mg/mlのポリソルベート80;約0.025mg/ml〜約0.05mg/mlのEDTA(またはエデト酸)を含むまたはそれらからなり、約5.5のpHを有する水性製剤を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)CDR1;配列番号2に示すアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号3に示すアミノ酸配列、または配列番号3のバリアントを有するVH CDR3;ならびに配列番号4に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)CDR1;配列番号5に示すアミノ酸配列を有するVL CDR2;および配列番号6に示すアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、AVASTIN(登録商標)またはrhuMAB VEGFである。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する製剤は、(例えば、5℃、25℃または40℃において)少なくとも約6カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約24カ月、少なくとも約30カ月、少なくとも約36カ月、少なくとも約42カ月もしくは少なくとも約48カ月、または約6カ月超、約12カ月超、約18カ月超、約24カ月超、約30カ月超、約36カ月超、約42カ月超もしくは約48カ月超の有効期間を有する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、(例えば、5℃、25℃または40℃において)少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約13カ月、少なくとも約14カ月、少なくとも約15カ月、少なくとも約16カ月、少なくとも約17カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約19カ月、少なくとも約20カ月、少なくとも約21カ月、少なくとも約22カ月、少なくとも約23カ月、少なくとも約24カ月、少なくとも約25カ月、少なくとも約26カ月、少なくとも約27カ月、少なくとも約28カ月、少なくとも約29カ月、少なくとも約30カ月、少なくとも約31カ月、少なくとも約32カ月、少なくとも約33カ月、少なくとも約34カ月、少なくとも約35カ月、少なくとも約36カ月、少なくとも約37カ月、少なくとも約38カ月、少なくとも約39カ月、少なくとも約40カ月、少なくとも約41カ月、少なくとも約42カ月、少なくとも約43カ月、少なくとも約44カ月、少なくとも約45カ月、少なくとも約46カ月、少なくとも約47カ月、少なくとも約48カ月、少なくとも約49カ月、少なくとも約50カ月、少なくとも約51カ月、少なくとも約52カ月、少なくとも約53カ月、少なくとも約54カ月、少なくとも約55カ月、少なくとも約56カ月、少なくとも約57カ月、少なくとも約58カ月、少なくとも約59カ月または少なくとも約60カ月の有効期間を有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する製剤は、(例えば、分子ふるいHPLCにより測定する場合)40℃において、最長1カ月、最長2カ月、最長3カ月、最長4カ月、最長5カ月または最長6カ月にわたり、約5%未満のHMMSを示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する製剤は、(例えば、分子ふるいHPLCにより測定する場合)2〜8℃において、最長36カ月にわたり、約5%未満のHMMSを示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する製剤は、(例えば、分子ふるいHPLCにより測定する場合)40℃において、最長1カ月、最長2カ月、最長3カ月、最長4カ月、最長5カ月または最長6カ月にわたり、約1%未満のHMMSを示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する製剤は、(例えば、還元下キャピラリーゲル電気泳動により測定する場合)2〜8℃において、最長36カ月にわたり、約5%未満の断片を示す。
【0098】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙する濃度は、周囲条件、すなわち、25℃および大気圧における濃度である。
【0099】
抗VEGF抗体製剤を使用する方法
本発明の製剤は、これらに限定されないが、治療処置の方法を含めた、種々の適用例において有用である。
【0100】
一態様では、本発明は、疾患および病的な状態を治療するための方法を提供する。特に、本発明は、癌を治療するのに有効なアプローチを提供する。したがって、いくつかの実施形態では、癌を、その治療または阻害を必要とする対象において治療または阻害する方法であって、治療有効量の本明細書に記載する製剤を対象に投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象の癌を治療するための医薬を製造するための本発明の製剤の使用を提供する。
【0101】
本発明により治療することが可能な癌として、例えば、非限定的に、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。そのような癌のより詳細な例として、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、胃癌(胃腸癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮の癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌腫および種々のタイプの頭頚部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低いグレード/濾胞性の非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中間グレード/濾胞性のNHL;中間グレードのびまん性NHL;高いグレードの免疫芽細胞性NHL;高いグレードのリンパ芽球性NHL;高いグレードの小型非分割細胞NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、さらに、母斑症と関連がある異常な血管増殖、浮腫(例として、脳腫瘍と関連がある浮腫)およびメグズ症候群が挙げられる。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頚部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫および多発性骨髄腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。本発明の治療が可能な癌性状態には、転移性癌が含まれる。本発明の方法は、血管を有する腫瘍を治療するのに特に適切である。
【0102】
抗癌活性を示す任意の化学療法剤を本発明に従って使用することができる。好ましくは、化学療法剤は、アルキル化剤、抗代謝剤、葉酸アナログ、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよび関連の阻害剤、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、L−アスパラギナーゼ、トポイソメラーゼ阻害剤、インターフェロン、白金配位錯体、アントラセンジオン置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、副腎皮質ステロイド、プロゲスチン、エストロゲン、抗エストロゲン剤、アンドロゲン、抗アンドロゲン剤、ならびに性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログからなる群から選択される。より好ましくは、化学療法剤は、5−フルオロウラシル(5−FU)、ロイコボリン(LV)、イリノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、パクリタキセルおよびドセタキセルからなる群から選択される。2つ以上の化学療法剤を、抗VEGF抗体の投与と組み合わせて投与するためのカクテルとして使用することができる。化学療法の好ましい組合せの1つが、フルオロウラシルに基づく組合せであり、これは、5−FUおよび1つまたは複数のその他の化学療法剤を含む。組合せ化学療法の適切な投与レジメンが、当技術分野で公知であり、例えば、Saltzら(1999)Proc ASCO 18:233a、およびDouillardら(2000)Lancet 355:1041〜7に記載されている。
【0103】
したがって、いくつかの実施形態では、癌を、その治療または阻害を必要とする対象において治療または阻害する方法であって、治療有効量の本明細書に記載する製剤を対象に投与するステップを含み、癌が、結腸直腸癌、直腸癌、非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、転移性腎細胞癌(mRCC)、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頚部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、神経膠芽腫、子宮頚癌、乳癌および多発性骨髄腫からなる群から選択される方法を提供する。いくつかの実施形態では、子宮頚癌は、持続性、再発性または転移性の子宮頚癌である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は、転移性結腸直腸癌(MCRC)である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤を、対象の血流内、筋肉内、組織内、脂肪内または内臓内に直接投与することができる。非経口投与に適切な手段は、静脈内、眼内、硝子体内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、側脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、小孔内、皮内および皮下を含む。非経口投与に適切なデバイスは、(マイクロニードル、マイクロプロジェクション、可溶性針およびその他の微細孔形成技法を含めた)針を利用する注射器、無針注射器、および注入技法を含む。いくつかの実施形態では、本発明の製剤を、対象の静脈内または皮下に投与する。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤の投与パターンは、製剤の1用量の、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、15週間に1回、20週間に1回、25週間に1回、または26週間に1回の投与を含む。いくつかの実施形態では、本発明の製剤を、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、または6カ月に1回投与する。
【0106】
投与レジメンは、熟練家が達成するのを望む薬物動態学的崩壊のパターンによって異なり得る。例えば、いくつかの実施形態では、週1〜4回の投与を企図する。投与頻繁をさらに減らして、使用することもできる。いくつかの実施形態では、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、15週間に1回、20週間に1回、25週間に1回、またはより低頻度で、用量を投与する。いくつかの実施形態では、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、6カ月に1回、またはより低頻度で、用量を投与する。この療法の進行は、従来の技法およびアッセイにより容易にモニターされる。投与形態は、経時的に変化させることができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤の用量として、5mg/kg IVの用量を2週間に1回投与する。いくつかの実施形態では、本発明の製剤の用量として、10mg/kg IVの用量を2週間に1回投与する。いくつかの実施形態では、本発明の製剤の用量として、7.5mg/kg IVの用量を3週間に1回投与する。いくつかの実施形態では、第一選択のAVASTIN(登録商標)含有レジメンにおいて進行が認められた後に、フルオロピリミジン−イリノテカンまたはフルオロピリミジン−オキサリプラチンに基づく化学療法と共に、本発明の製剤の用量として、7.5mg/kg IVの用量を3週間に1回投与する。いくつかの実施形態では、本発明の製剤の用量として、15mg/kg IVの用量を3週間に1回投与する。
【0108】
本発明の目的では、医薬の適切な投与量は、利用する抗体、薬剤を投与する目的が予防または治療のいずれであっても、治療しようとする障害のタイプおよび重症度、以前の療法、患者の病歴および薬剤に対する応答、ならびに主治医の裁量によって異なる。典型的には臨床医は、この医薬を、投与量が所望の結果の達成をもたらすまで投与する。投与量は、実験的に決定することができる。
【0109】
用量および/または頻度は、治療コースにわたり変化させることができる。抗体の半減期等の実験的考察は一般に、投与量の決定に寄与する。投与頻度を決定し、療法のコースにわたり加減することができ、投与頻度は一般に、自己免疫疾患の1つまたは複数の症状の治療および/または抑制および/または回復および/または遅延に基づくが、必ずしもそうであるとは限らない。個体によっては、2用量またはそれ以上が必要になる場合がある。投与頻度を決定し、療法のコースにわたり加減することができる。例えば、これに限定されないが、数日以上にわたり反復投与する場合、疾患およびその重症度に応じて、症状の所望の抑制が生じるまで、または十分な治療レベルが達成されて、血中グルコースレベルが低下するまで、治療を維持する。
【0110】
本発明の製剤の投与は、例えば、投与の目的が治療または予防のいずれであっても、レシピエントの生理的学的状態、および熟練家に既知のその他の要因に応じて、連続的または間欠的であり得る。本発明の製剤の投与は、あらかじめ選択された期間にわたり本質的に連続的であり得るか、または間隔を開けた一連の投与であってもよい。
【0111】
好ましくは、用量の投与は、非経口投与であり、好ましくは、静脈内、眼内、硝子体内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、側脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、小孔内、皮内および皮下から選択される。好ましくは、製剤は、非経口投与のための、無菌の単位投与量の形態をとる(例えば、静脈内投与)。
【0112】
以下の実施例は、例示のために限って提供し、いかなる場合であっても、実施例により本発明の範囲を制限する意図はない。実際に、本明細書に示し、記載するものに加えて、本発明の種々の改変形態が上記の記載から当業者に明らかになり、これらは添付の特許請求の範囲に属する。
【実施例】
【0113】
(実施例1)
抗VEGF抗体を含有するコハク酸−スクロース−EDTA−ポリソルベート80(SSEP)抗体製剤の製剤開発のための安定性の研究
最適な抗VEGF抗体製剤を評価するために、SSEP製剤中の抗VEGF抗体(表2A)および市販処方中の抗VEGF抗体(表2B)を含めた安定性の研究を実施した。開発バッチから得られた抗VEGF抗体の原薬を製剤化して、SSEP製剤中の抗VEGF抗体および市販処方中の抗VEGF抗体を調製した。また、データを抗VEGF抗体の許諾製品(“AVASTIN(登録商標))の代表的なロットに対する安定性の研究から得られたデータと比較して、製剤の予備評価も行った。この実施例では、使用した抗VEGF抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。
【0114】
【表2】
【0115】
pH緩衝液のスクリーニングを実施して、緩衝系および5.2〜6.0の範囲のpHの、分子に対する影響を、その他の安定化賦形剤の非存在下で評価した。薬物製品の最適な安定性を得るために、開発製剤の安定性の研究を実施して、市販処方(リン酸、pH6.2)中の抗VEGF抗体を、より低いpH値(pH5.5および5.8)の緩衝系と比較した。次いで、製品の分解をモニターするために一般に使用する品質に関する属性、例として、分子ふるいHPLC(SE−HPLC)により測定される属性について、試料を分析した。抗VEGF抗体を25mg/mLに希釈し、市販処方またはSSEP製剤のいずれかとして製剤化し、ガラス製バイアル中に充填し、フルオロポリマーコート栓を用いて密封し、アルミニウム製シールを用いて封鎖し、5℃および25℃において22週間にわたりまたは40℃において12週間にわたり直立状態で保存した。
【0116】
25℃における保存についてのSE−HPLCの結果を、表3および
図1に示す。表3および
図1に見られるように、抗VEGF抗体を4、8、12および22週間保存した後に、市販処方と比較して、SSEP製剤中では顕著により少ない分解が観察された。これらの結果から、リアルタイム安定性条件および加速安定性条件の両方において、SSEP製剤(pH5.5)中の抗VEGF抗体は、市販処方(pH6.2)中の抗VEGF抗体よりも安定であることが示されている。
【0117】
【表3】
【0118】
(実施例2)
抗VEGF抗体を含有するコハク酸−スクロース−EDTA−ポリソルベート80(SSEP)抗体製剤に関する製剤のロバスト性についての安定性の研究
製剤のロバスト性についての安定性の研究において、SSEP製剤(研究対象の賦形剤)中の抗VEGF抗体、および賦形剤の高いレベルまたは低いレベルのいずれかを用いて調製した抗VEGF抗体(コハク酸、スクロースおよびEDTAについては±25%の範囲を、ポリソルベート−80については±50%の範囲を評価した)をそれぞれ、5℃および30℃において12カ月間および6カ月間にわたり保存した。次いで、生化学的安定性をモニターするために選択した分析方法を使用して、試料を分析した。この実施例では、使用した抗VEGF抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。安定性を示す最良の方法(SE−HPLC)から得られた結果を、下記の表4および
図2に示す。
【0119】
【表4】
【0120】
表4および
図2に示すデータから、リアルタイム安定性条件および加速安定性条件の両方において、抗VEGF抗体はSSEP製剤中で安定であることが示されている。さらに、高いレベルの賦形剤を含有する試料も低いレベルの賦形剤を含有する試料も、賦形剤を研究対象のレベルで含有する試料(対照の製剤)と同等であり、このことから、製剤のロバスト性が示されている。
【0121】
(実施例3)
コハク酸−スクロース−EDTA−ポリソルベート80(SSEP)抗体製剤中の抗VEGF抗体と市販の抗体製剤とを、強制的に分解させて比較する安定性の研究
続いて、製剤開発のための安定性の研究では、SSEP製剤中の抗VEGF抗体(5ロット)、および市販処方中に調製した抗VEGF抗体(1ロット、リン酸ナトリウム−トレハロース−ポリソルベート20、pH6.2中)を、40℃において12週間にわたり評価した。次いで、製品の分解をモニターするために一般に使用する品質に関する属性について、SE−HPLC、iCEおよびrCGEを使用して、試料を分析した。この実施例では、使用した抗VEGF抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。結果を、下記の表5〜8に要約する。
【0122】
【表5】
【0123】
4、6、8および12週間保存した後に、市販処方と比較して、SSEP製剤中では顕著により少ない分解(%HMMSにより測定した場合)が観察された(表5)。
【0124】
【表6】
【0125】
4、6、8および12週間保存した後に、市販処方と比較して、SSEP製剤中ではより少ない分解(%断片により測定した場合)が観察された(表6)。
【0126】
下記の表7および8に、40℃において1カ月間保存した後の抗VEGF mAb−SSEP(SSEP製剤中の抗VEGF抗体)および抗VEGF mAb−市販(市販処方中の抗VEGF抗体)についての安定性データを要約する。安定性の表は、T=0からの変化を示す。表7および8中、a=SSEP製剤に起因して、抗VEGF mAb−ロット中で観察されたより少ない量のHMMS;b=細胞ベースのアッセイについて計算したパーセント差。CGE=キャピラリーゲル電気泳動、iCE=画像化キャピラリー電気泳動、HMMS=高分子質量の種。この実施例では、使用した抗VEGF抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】
これらの結果から、SSEP製剤が、市販処方と比較して、より良好な抗VEGF抗体薬物製品安定性をもたらすことが示されている。データは、抗VEGF抗体製品(抗VEGF mAb−)が、高温において保存した際にHMMSおよび断片の形成がより少なかったという点で、市販処方と比較して、SSEP製剤中ではより安定であることを示している。
【0130】
(実施例4)
原薬および薬物製品の有効期間を確立するための、抗VEGF抗体を含有するコハク酸−スクロース−EDTA−ポリソルベート80(SSEP)抗体製剤の長期安定性の研究
続いて、原薬および薬物製品の有効期間を確立するために、SSEP製剤中の抗VEGF抗体の安定性の研究を研究室スケールで設定した。
【0131】
エチレン酢酸ビニルモノマテリアル(EVAM)製品接触表面を有する滅菌エチレン酢酸ビニル(EVA)バッグ中に、抗VEGF抗体の原薬(ロット00706253−007)を120mg/mLで、−20℃(推奨保存温度)および−40℃(参考データ/代替の温度)において36カ月間、ならびに5℃において3カ月間保存した。以下の分析方法:外観(清澄性、着色、目視による検査)、pH、UV分光法、iCE、SE−HPLC、CGE(非還元下)および細胞ベースのアッセイにより、試料を評価した。−20℃および−40℃において保存した試料についての、安定性を裏付けるデータは、最長36カ月にわたり、初期のデータと比較して、顕著な差を示していない。3カ月の時点で、5℃において保存した開発試料は、初期のデータと比較して、顕著な差を示していない。この実施例では、使用した抗VEGF抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。安定性を示す最良の方法(SE−HPLC)から得られた結果を、下記の表9に示す。
【0132】
【表9】
【0133】
25mg/mLの抗VEGF抗体薬物製品(ロット00706596−003)を、フルオロポリマーコート栓を用いて密封し、アルミニウム製シールを用いて封鎖したガラス製バイアル中で、反転させて、5℃において36カ月間および25℃において12カ月間保存した。原薬について使用した方法と同じ分析方法により、試料を評価し、加えて、目には見えない粒子物質について、低体積HIAC法による分析も行った。5℃において保存した試料についての、安定性を裏付けるデータは、最長36カ月にわたり、初期のデータと比較して、顕著な差を示していない。3カ月の時点で、25℃において保存した開発試料は、初期のデータと比較して、顕著な差を示していない。安定性を示す最良の方法(SE−HPLC)から得られた結果を、下記の表10に示す。
【0134】
【表10】
【0135】
SSEP製剤中の抗VEGF抗体のこの研究から得られた結果を使用して、有効期間は、原薬については120mg/mLで、−20℃または−40℃において少なくとも36カ月であり、25mg/mLの薬物製品については、5℃において少なくとも36カ月であることを確立するに至った。
【0136】
(実施例5)
抗VEGF抗体を含有するヒスチジン−スクロース−EDTA−ポリソルベート80(HSEP)水性製剤の安定性の研究
この実施例により、HSEP製剤中の抗VEGF抗体薬物製品の安定性を例証する。
【0137】
HSEP水性製剤を、およそ25mg/mLの濃度の抗VEGF抗体について設計した。具体的には、この実施例で使用したHSEP製剤は、20mMヒスチジン、pH5.5中に、8.5%のスクロース、0.05mg/mLのEDTA、0.02%のポリソルベート80を含んだ。(抗VEGF抗体について)タンパク質濃度を、25mg/mLおよび100mg/mLで評価した。
【0138】
抗VEGF抗体を、20mMヒスチジン(pH5.5および5.8)ならびに20mMコハク酸(pH5.5および5.8)中に、8.5%のスクロース、0.05mg/mLのEDTA、0.02%のポリソルベート80の一定量を加えて調製し、市販処方中の抗VEGF抗体(リン酸、トレハロース、ポリソルベート20、pH6.2)と比較した。原薬(100mg/mL)を、EVAバッグ中で、−40℃、−20℃および5℃において8週間保存し、薬物製品(25mg/mL)を、タイプIガラス製バイアル中で、2〜8℃および25℃において22週間ならびに40℃において12週間保存した。この実施例では、使用した抗VEGF抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。抗VEGF抗体薬物製品(25mg/mL)を40℃において保存した後の%HMMSについてのSE−HPLCデータを、下記の表11に要約する。
【0139】
【表11】
【0140】
データは、市販処方(リン酸、pH6.2)中の抗VEGF抗体についての%HMMSの顕著な増加を示している(表11および
図3)。コハク酸に基づく製剤およびヒスチジンに基づく製剤が、はるかにより少ない率のHMMSの形成を示し、コハク酸−pH5.5が最適な製剤であり、これに、ヒスチジン−pH5.5、コハク酸−pH5.8およびヒスチジン−pH5.8がそれぞれ続く。
【0141】
これらの結果から、抗VEGF抗体は、pH5.5または5.8を有するコハク酸に基づく製剤およびヒスチジンに基づく製剤中では、市販処方中よりも顕著に安定であることが示されている。