【解決手段】給湯装置は、ステッピングモータ82を用いて、分配弁の弁体を駆動する。リミットスイッチ86,88は、ステッピングモータ82の回転位置が、全開位置または全閉位置にあるときに導通状態となり、リミッタ信号を出力する。制御装置は、給湯装置が運転状態である場合には、弁体を目標位置に駆動するように、リミッタ信号に基づいてステッピングモータ82を制御する。その一方で、給湯装置が運転状態から待機状態に移行する場合において、リミットスイッチ86,88のいずれか一方がリミッタ信号を出力しているときには、ステッピングモータ82の回転位置を、全開位置または全閉位置からリミットスイッチ86,88が非導通状態となる回転位置に移動させるように、ステッピングモータ82を制御する。
前記制御装置は、前記給湯装置が前記運転状態から前記待機状態に移行する場合には、前記弁体を前記所定位置に駆動するとともに、前記所定位置に駆動された前記弁体をさらに前記位置検出部が非導通状態となる位置に移動させるように、前記アクチュエータを制御する、請求項1に記載の給湯装置。
前記制御装置は、前記給湯装置が前記待機状態から前記運転状態に移行する場合には、前記弁体を、前記位置検出部が非導通状態となる位置から前記所定位置へ駆動するように、前記アクチュエータを制御する、請求項1に記載の給湯装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に従う給湯装置の概略構成図である。
図1には、本実施の形態に従う給湯装置の一態様として、熱交換器を通過した加熱水(高温水)と、熱交換器を迂回するバイパス路を通過した非加熱水(低温水)とを混合させるバイパスミキシング式の給湯装置100が示されている。
【0027】
図1を参照して、給湯装置100は、一次熱交換器11、二次熱交換器21および燃焼バーナ30等が格納された燃焼缶体10(以下、単に「缶体」とも称する)と、送風ファン40と、入水管50と、バイパス管60と、出湯管70と、給湯管90と、コントローラ300とを備える。
【0028】
入水管50には、水道水等の低温水(非加熱水)が給水される。入水管50および出湯管70の間には、缶体10をバイパスして、入水管50からの非加熱水を通流するためのバイパス管60が配置される。入水管50およびバイパス管60の間は、バイパス管60の流量を制御するための分配弁80が介挿接続される。すなわち、分配弁80は「流量調整弁」に対応する。
【0029】
分配弁80は、弁本体内の流路内に配置された軸体と、軸体に接続された弁体とを含む。軸体は、図示しないアクチュエータによって、軸線を中心に回転可能に構成されている。軸体を回転させることにより、軸体に設けられた弁体と流路との相対位置、つまり、分配弁80の開度が変化する。
【0030】
分配弁80の開度に応じて、給水量の一部が入水管50からバイパス管60へ分流される。全体給水量に対するバイパス管60の流量の比率を示す分配率K(0≦K≦1.0)は、分配弁80の開度に応じて制御される。分配率Kを用いて、バイパス管60および出湯管70の流量比率は、K:(1−K)で示される。
【0031】
分配弁80を経由して缶体10へ供給された低温水は、まず二次熱交換器21によって余熱された後、一次熱交換器11によって主加熱される。一次熱交換器11および二次熱交換器21によって所定温度まで加熱された高温水は、出湯管70から出力される。
【0032】
出湯管70は、合流部75においてバイパス管60と接続される。したがって、給湯装置100では、缶体10によって加熱された出湯管70からの高温水(加熱水)と、バイパス管60を通過した低温水(非加熱水)とが合流部75で混合されて、給湯管90から出力される。これにより、給湯管90から、台所や浴室等の給湯栓190や図示しない風呂への注湯回路などの所定の給湯箇所に、適温の湯が供給される。
【0033】
いわゆるバイパスミキシング式の給湯装置100において、高温水および低温水の混合比率は、分配弁80の開度に応じた分配率Kに対応する。したがって、分配弁80によって、上記混合比率が制御される。したがって、分配弁80の開度によって給湯温度Thを制御することができる。具体的には、バイパス管60の流量を増加させるように分配率Kを上昇すると、給湯温度Thは低下する。これに対して、バイパス管60の流量を減少させるように分配率Kを低下すると、給湯温度Thは上昇する。
【0034】
入水管50には、温度センサ110および流量センサ150が配置される。温度センサ110は、低温水の温度(以下、入水温度)Twを検出する。流量センサ150は、分配弁80よりも下流側(缶体側)に配置される。流量センサ150によって検出される流量Qは、缶体10を通過する流量(以下、缶体流量)に相当する。流量センサ150は、代表的には、羽根車式流量センサによって構成される。
【0035】
出湯管70には、温度センサ120が設けられる。温度センサ120は、出湯管70とバイパス管60との合流部75よりも上流側(缶体側)に配置されて、缶体10からの出力温度Tb(以下、缶体温度)を検出する。
【0036】
給湯管90には、流量調整弁95および温度センサ130が設けられる。流量調整弁95は、缶体10での加熱能力の不足により、設定湯温Tr*に従って給湯することが困難な場合に、給湯流量を絞るように制御される。たとえば、燃焼開始直後、あるいは、燃焼開始直後以外でも最大号数で運転する場合や最大許容流量で運転する場合等に、給湯流量を制限するように、コントローラ300が流量調整弁95の開度を制限することができる。
【0037】
温度センサ130は、高温水および低温水が混合された後の給湯温度Thを検出する。温度センサ110,120,130は、代表的には、温度に依存して電気抵抗が変化するサーミスタによって構成される。
【0038】
缶体10において、燃焼バーナ30から出力された燃料ガスは、送風ファン40からの燃焼用空気と混合される。図示しない点火装置によって混合気が着火されることにより、燃料ガスが燃焼されて火炎が生じる。燃焼バーナ30からの火炎によって生じる燃焼熱は、缶体10内で一次熱交換器11および二次熱交換器21へ与えられる。
【0039】
一次熱交換器11は、燃焼バーナ30による燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する。二次熱交換器21は、燃焼バーナ30からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する。缶体10の燃焼ガスの流れ方向下流側には熱交換後の燃焼排ガスを排出処理するための排気経路15が設けられる。このように、缶体10では、燃焼バーナ30での燃焼による発生熱量により、一次熱交換器11および二次熱交換器21で、入水管50から供給された水を加熱する。
【0040】
燃焼バーナ30へのガス供給管31には、元ガス電磁弁32、ガス比例弁33および、能力切換弁35a〜35cが配置される。元ガス電磁弁32は、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給をオンオフする機能を有する。ガス供給管31のガス流量は、ガス比例弁33の開度に応じて制御される。
【0041】
能力切換弁35a〜35cは、複数の燃焼バーナ30のうちの、燃料ガスの供給対象となるバーナ本数を切換えるために開閉制御される。缶体10での発生熱量は、バーナ本数およびガス流量の組み合わせによって決まる、燃焼バーナ30全体への供給熱量に比例する。したがって、要求発生熱量に対応させて、能力切換弁35a〜35cの開閉パターン(バーナ本数)およびガス比例弁33の開度(ガス流量)の組み合わせを決定する設定マップを予め作成することができる。
【0042】
送風ファン40による送風量は、燃焼バーナ30全体からの供給熱量との空燃比が所定値(たとえば、理論空燃比)となるように制御される。送風ファン40の送風量は、ファン回転数と比例するので、送風ファン40の回転数は、供給熱量の変化に応じて設定される目標回転数に従って制御される。送風ファン40には、ファン回転数を検出するための回転数センサ45が設けられる。
【0043】
コントローラ300は、各センサからの出力信号(検出値)およびユーザ操作を受けて、給湯装置100の全体動作を制御するために、各機器への制御指令を発生する。ユーザ操作には、給湯装置100の運転オン/オフ指令および設定湯温(Tr*)指令が含まれる。制御指令には、各弁の開閉および開度指令、送風ファン40への電気的入力指令(ファン駆動電圧指令)等が含まれる。
【0044】
図2は、本発明の実施の形態に係るコントローラ300の概略構成図である。
図2を参照して、コントローラ300は、CPU(Central Processing Unit)301、給湯装置100内の各種の弁、各種のポンプなどに弁の開閉、またはポンプ駆動のための制御信号を送出するとともに、各種センサからの検出信号を入力するためのインターフェイス303、ユーザ操作を受付けるための操作部304、給湯装置100の運転に関する情報の報知部に相当する出力部305、および記憶部302を含む。
【0045】
操作部304は、給湯装置100の運転/停止を選択するための運転スイッチを含む。運転スイッチは、給湯装置100の運転を選択する場合には「オン状態」とされる一方で、給湯装置100の停止を選択する場合には「オフ状態」とされる。
【0046】
なお、運転スイッチによって選択される「給湯装置100の運転」とは、他にエラー等の阻害要因がない限り、流量センサ150によって検出される流量(缶体流量)Qが最低作動流量MOQを超えたか否かに応じて、給湯装置100に給湯動作を実行/停止させる状態を意味する。また、運転スイッチによって選択される「給湯装置100の停止」とは、缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えたとしても、給湯装置100に給湯動作をさせない状態を意味する。
【0047】
操作部304はさらに、運転モード切替え、温度・湯量切替え等を指示するためにユーザが操作するスイッチ等を含む。出力部305は、運転に係る各種出力(温度、湯量等)および各種メッセージを表示する表示部、音声出力部等を含む。記憶部302は、プログラムおよびデータを格納するための揮発性および不揮発性のメモリからなる。
【0048】
コントローラ300は、給湯装置100の運転スイッチがオン操作された状態で、流量センサ150によって検出される流量(缶体流量)Qが最低作動流量MOQを超えるのに応じて、缶体10での燃焼動作をオンする。燃焼動作がオンされると、元ガス電磁弁32が開放されて、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給が開始される。
【0049】
コントローラ300は、燃焼オン時には、給湯温度Thが設定湯温Tr*に制御されるように、分配弁80の開度および、缶体10での発生熱量(すなわち、燃焼バーナ30への供給熱量)を制御する。
【0050】
缶体10での発生熱量は、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量によって制御される。したがって、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量を決めるための、缶体10での要求発生熱量P*は、缶体温度Tbを目標温度Tb*に一致させるように設定される。コントローラ300は、算出された要求発生熱量P*に対応させて、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量を設定する。たとえば、当該供給ガス量を実現するようなバーナ本数およびガス流量の組合せが実現されるように、コントローラ300は、ガス比例弁33の開度および能力切換弁35a〜35cの開閉を制御する。
【0051】
分配弁80の開度は、給湯温度Thを設定湯温Tr*に一致させるように制御される。
図3は、
図1に示した給湯装置100における分配弁80の制御構成を説明するための機能ブロック図である。
図3に示された各機能ブロックの機能は、コントローラ300によるソフトウェア処理ないしハードウェア処理によって実現することができる。
【0052】
図3を参照して、給湯装置100は、分配弁80の弁体(図示せず)を駆動するためのアクチュエータを備えている。アクチュエータには、たとえば、ステッピングモータなどのサーボモータが適用される。ただし、アクチュエータは、モータに限定されず、他のアクチュエータであってもよい。たとえば、ソレノイドアクチュエータであってもよいし、空圧シリンダや電動シリンダのような動力シリンダであってもよい。
図3では、アクチュエータの一形態として、分配弁80に取付けられたステッピングモータ82が例示されている。
【0053】
ステッピングモータ82は、分配弁80の軸体(図示せず)の一方端に接続されており、軸体に対して回転駆動力を与えることにより、軸体に設けられた弁体を駆動することができる。具体的には、ステッピングモータ82は、コントローラ300からのパルス信号に従い回転量(角度、回転方向)が可変に制御される。ステッピングモータ82のステータを励磁してロータを所要回転方向に所要ステップずつ回すと、ロータに接続される分配弁80の軸体が同期して回ることにより、軸体に固定された弁体と分配弁80内部の流路との相対位置、すなわち分配弁80の開度が変化する。
【0054】
分配弁80の弁体は、通常、分配弁80内のバイパス管60側の流路を全開にする全開位置と、分配弁80内のバイパス管60側の流路を全閉にする全閉位置との間で駆動される。弁体が全開位置のとき、すなわち、分配弁80の開度が全開状態のときには、分配率K=1.0となり、全体給水量がバイパス管60の流量に一致する。一方、分配弁80の弁体が全閉位置のとき、すなわち、分配弁80の開度が全閉状態のときには、分配率K=0となり、全体給水量が出湯管70の流量(熱交換器11,21の通過流量)に一致する。
【0055】
分配弁80の弁体の位置(分配弁80の開度)は、ステッピングモータ82におけるステップ数によって表される。ステッピングモータ82のステップ数が多いほど分配弁80は閉まる方向に制御されて、分配率Kが低下する。逆にステップ数が少ないほど分配弁80は開く方向に制御されて、分配率Kが上昇する。すなわち、分配弁80の弁体の位置(つまり、分配率K)は、ステッピングモータ82の回転位置に応じたものとなる。
【0056】
ステッピングモータ82には、ステッピングモータ82の回転位置を検出するための位置検出部85が設けられている。位置検出部85は、ステッピングモータ82が所定の回転位置にあるとき、すなわち、分配弁80の弁体が所定位置にあるときに電気的に導通状態となり、検出信号を出力するように構成されている。位置検出部85には、たとえば、リミットスイッチ(
図4参照)が用いられる。
【0057】
図4は、位置検出部85の一例であるリミットスイッチの概略構成図である。
図4(a)〜(c)を参照して、リミットスイッチ86,88は、ステッピングモータ82の外周の2か所に設けられる。リミットスイッチ86,88には、たとえば、ホール素子と比較器とを備えたホールICが用いられる。ステッピングモータ82の回転軸84には磁石Mが設けられている。ステッピングモータ82の回転に伴なう磁石Mの接近により、リミットスイッチ86,88は導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となる。本実施の形態では、磁石Mが各リミットスイッチの左右数ステップの区間に位置するときにリミットスイッチがオン状態となるように、磁石Mの磁力が設定されている。
【0058】
リミットスイッチ86は、分配弁80の弁体が全開位置となるときのステッピングモータ82の回転位置に設けられる。リミットスイッチ88は、分配弁80の弁体が全閉位置となるときのステッピングモータ82の回転位置に設けられる。すなわち、給湯装置100には、分配弁80の弁体が全開位置または全閉位置であることを検出可能な位置検出部85が設けられている。
【0059】
分配弁80の弁体が全開となる位置が、ステッピングモータ82の回転が0°(つまり0ステップ)の位置である。
図4に示されるように、ステッピングモータ82の回転を0°から270°までに制限する場合、弁体が全閉となる位置が、ステッピングモータ82の回転が270°の位置である。1ステップが0.09°のステッピングモータを採用した場合、全閉位置が3000ステップの位置に設定される。ステッピングモータ82の回転が0°となる位置(0ステップ位置)は、「制御用原点位置」に対応する。なお、ステッピングモータ82の回転が270°となる位置(3000ステップ位置)を制御用原点位置に設定してもよい。
【0060】
図4(a)に示されるように、分配弁80の弁体が全開位置にあるとき、磁石Mが0±数ステップの間に位置することにより、リミットスイッチ86がオン状態になる。リミットスイッチ86は、CPU301に向けてリミッタ信号(検出信号)を出力する。
【0061】
また、
図4(b)に示されるように、分配弁80の弁体が全閉位置にあるときには、磁石Mが3000±数ステップの間に位置することにより、リミットスイッチ88がオン状態になる。リミットスイッチ88は、CPU301に向けてリミッタ信号を出力する。
【0062】
一方、
図4(c)に示されるように、分配弁80の弁体が全開位置と全閉位置との間の位置(以下、中間位置と称す)にあるときには、リミットスイッチ86,88はオフ状態になる。したがって、リミットスイッチ86,88からリミッタ信号は出力されない。なお、「中間位置」とは、全開位置と全閉位置との真ん中を意味するのではなく、全開位置と全閉位置との間のどこかに設定された位置であることを意味する。
【0063】
このように、リミットスイッチ86,88(位置検出部85)は、ステッピングモータ82の回転が0°の位置(全開位置)もしくは270°の位置(全閉位置)にあるときには、電力消費を伴なってリミッタ信号(検出信号)を出力するように構成される。なお、位置検出部85は、電力消費を伴なって検出信号を出力する構成であれば、リミットスイッチを用いる構成に限定されない。
【0064】
再び
図3を参照して、CPU301は、分配弁80の開度を制御するための構成として、流量制御部310と、モータ制御部312とを含む。
【0065】
流量制御部310は、缶体温度の目標温度Tb*に対する、温度センサ110によって検出された入水温度Twの偏差に基づいて分配弁80の温度(分配率K)を制御するフィードフォワード制御と、設定湯温Tr*に対する給湯温度Thの偏差に基づいて分配弁80の開度を制御するフィードバック制御とを適宜組み合わせることによって、制御目標となる目標分配率Kを算出する。
【0066】
具体的には、流量制御部310は、フィードバック制御では、温度センサ110によって検出された入水温度Twおよび目標温度Tb*に基づいて、目標分配率K
FFを算出する。また、流量制御部310は、フィードバック制御では、温度センサ110によって検出された入水温度Tw、温度センサ120によって検出された缶体温度Tbおよび、温度センサ130によって検出された給湯温度Thに基づいて、実際の分配率K
Aを算出し、この実際分配率K
Aと上記目標分配率K
FFとの偏差ΔKを算出する。そして、流量制御部310は、この偏差ΔKに基づいて補正分配率K
FBを算出する。
【0067】
モータ制御部312は、目標分配率K(K
FFまたはK
FB)から、予め取得されているステッピングモータ82のステップ数と分配率Kとの関係に基づいて、目標ステップ数S
FFを算出する。モータ制御部312は、分配弁80の弁体を現在位置から目標位置へ駆動するのに必要なステップ数を算出し、そのステップ数に対応するパルス信号をステッピングモータ82に与える。これにより、分配弁80の開度は、目標分配率Kを実現するように制御される。
【0068】
モータ制御部312は、ステッピングモータ82の回転制御において、リミットスイッチ86,88からリミッタ信号を受けると、ステッピングモータ82の回転位置が全開位置または全閉位置に到達したと判断して、ステッピングモータ82の回転を停止させる。これにより、ステッピングモータ82の過剰回転による分配弁80の弁体の噛み込み等を防止することができる。
【0069】
また、給湯装置100の使用が終了される際に、運転スイッチがオフされると、モータ制御部312は、分配弁80の弁体が全開位置となるように、ステッピングモータ82を0°(0ステップ)まで回転させる。このとき、モータ制御部312は、リミットスイッチ86からのリミッタ信号に基づいてステッピングモータ82の回転が0°の位置であることを検出することにより、0°の位置をステッピングモータ82の制御用原点位置として、ステッピングモータ82の回転位置(弁体の位置)を把握し、更新する。このように、運転スイッチがオフされたときにステッピングモータ82の回転が0°の位置であることを検出することにより、実際のステッピングモータ82の回転位置とCPU301の把握しているステップ数とのずれ(脱調)をなくすように、零点調整を行なうことができる。
【0070】
ここで、本発明の実施の形態に従う給湯装置100は、動作状態として、運転状態と、待機状態とを有している。「待機状態」とは、給湯装置100が直ちに給湯動作を行なう可能性の低い状態のときに、待機時の電力消費を抑制するために、待機時に電源供給が不要な電気回路への電源供給を遮断するモード、いわゆる省電力モードが実行される状態である。上記直ちに給湯動作を行なう可能性が低い状態とは、たとえば、運転スイッチがオン状態であるが、操作部304に対するユーザ操作が発生せず、かつ、流量センサ150によって検出される缶体流量Qが最低作動流量MOQ以下となる状態(MOQオフ)が所定時間以上継続しているとき、もしくは、運転スイッチがオフ状態のときに相当する。
【0071】
一方、「運転状態」とは上記待機状態以外の状態である。すなわち、「運転状態」は、給湯装置100が給湯動作を実行している状態、もしくは給湯動作を直ちに実行する可能性の高い状態を意味しており、上述した運転スイッチにより選択される「給湯装置100の運転」とは同義でないことを確認的に記載する。
【0072】
図5および
図6は、給湯装置100の動作状態を切換える処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、これらのフローチャートに示される処理は、所定時間毎または所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0073】
図5を参照して、CPU301は、給湯装置100が運転状態であるか否かを判定する(ステップS01)。給湯装置100が運転状態であると判定されると(ステップS01においてYES)、CPU301は、操作部304(
図2)の運転スイッチがオフされたか否かを判定する(ステップS02)。運転スイッチがオフされたと判定されると(ステップS02においてYES)、CPU301は、給湯装置100を運転状態から待機状態に移行する(ステップS04)。
【0074】
一方、CPU301は、運転スイッチがオン状態であると判定されると(ステップS02においてNO)、流量センサ150(
図1)によって検出される流量(缶体流量)Qが最低作動流量MOQ以下となる状態(MOQオフ)が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS03)。なお、図示は省略するが、ステップS02において運転スイッチがオン状態であるときには(ステップS02においてYES)、操作部304に対するユーザ操作が生じていないことを条件として、ステップS03の判定処理が実行される。この判定処理において、MOQオフの状態が所定時間継続したと判定されると(ステップS03においてYES)、CPU301は、給湯装置100を運転状態から待機状態に移行する(ステップS04)。
【0075】
図6は、
図6を参照して、CPU301は、給湯装置100が待機状態であるか否かを判定する(ステップS11)。給湯装置100が待機状態であると判定されると(ステップS11においてYES)、CPU301は、運転スイッチがオンされたか否かを判定する(ステップS12)。運転スイッチがオンされたと判定されると(ステップS12においてYES)、CPU301はさらに、流量センサ150によって検出される缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えているか否かを判定する(ステップS13)。缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えていると判定されると(ステップS13においてYES)、CPU301は、給湯装置100を待機状態から運転状態に移行する(ステップS14)。CPU301は、缶体10での燃焼動作をオンする。燃焼動作がオンされると、元ガス電磁弁32が開放されて、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給が開始される。
【0076】
上述した分配弁80の開度制御においては、給湯装置100が運転状態から待機状態に移行するときに、分配弁80の弁体が全開位置または全閉位置に駆動されている場合がある。たとえば、運転スイッチがオフされたとき、または、缶体流量Qが最低作動流量MOQ以下となったときに、分配弁80の弁体が全開位置または全閉位置に駆動されていることがある。あるいは、運転スイッチがオフされたときに、ステッピングモータ82の零点調整を行なうために、分配弁80の弁体が全開位置に駆動されることがある。
【0077】
分配弁80の弁体が全開位置にある場合には、
図4(a)に示されるように、全開位置に対応するステッピングモータ82の回転位置(0°)に設けられたリミットスイッチ86がオン状態になり、CPU301に向けてリミッタ信号を出力する。したがって、分配弁80の弁体が全開位置にある状態、すなわち、ステッピングモータ82が0°の位置にある状態で給湯装置100が待機状態に移行すると、給湯待機中、リミットスイッチ86がオン状態に維持される。
【0078】
同様に、分配弁80の弁体が全閉位置にある場合には、
図4(b)に示されるように、全閉位置に対応するステッピングモータ82の回転位置(270°)に設けられたリミットスイッチ88がオン状態になり、CPU301に向けてリミッタ信号を出力する。したがって、分配弁80の弁体が全閉位置にある状態、すなわち、ステッピングモータ82が270°の位置にある状態で給湯装置100が待機状態に移行すると、給湯待機中、リミットスイッチ88がオン状態に維持される。
【0079】
このように、給湯装置100が待機状態に移行するときに分配弁80の弁体が全開位置または全閉位置にある場合には、給湯待機時、位置検出部85(リミットスイッチ86または88)がオン状態を維持する。その結果、分配弁80の開弁制御が行なわれてないにもかかわらず、位置検出部85が電力消費を伴なって検出信号を出力し続けることになり、給湯待機時に無駄な電力を消費してしまうという問題がある。
【0080】
このような給湯待機時における無駄な電力消費を抑えるためには、給湯待機時に位置検出部85に対する電力供給を遮断する電源遮断回路を設けることが考えられる。
図7には、電源遮断回路の一例の回路構成が示される。
図7を参照して、電源遮断回路307は、コントローラ300を構成する制御基板上に搭載される。電源遮断回路307は、図示しない電源回路に接続され、電源電圧の供給を受ける電源端子VDDと、位置検出部85との間に接続されたリレー回路RLにより構成されている。リレー回路RLは、CPU301からの制御信号に応答して開閉するように構成されている。電源遮断回路307として、リレー回路RLに代えて、制御信号に応答してオンオフするように構成されたトランジスタを用いてもよい。
【0081】
CPU301は、インターフェイス303を介して与えられる流量センサ150の検出信号および操作部304からの入力信号に基づいて、
図5および
図6のフローチャートに示される処理を実行することにより、給湯装置100の運転状態と、給湯装置100の待機状態とを切換える。
【0082】
CPU301はさらに、給湯装置100が運転状態のときには、リレー回路RLを閉状態に制御することにより、電源遮断回路307を電源通電状態とする。そして、給湯装置100が待機状態に移行した場合には、リレー回路RLを開状態に制御することにより、電源遮断回路307を電源遮断状態とする。
【0083】
このように、給湯装置100が待機状態にある場合に位置検出部85に対する電源供給を遮断することにより、給湯待機時における位置検出部85の電力消費を抑えることができる。しかしながら、その一方で、コントローラ300の内部に電源遮断回路307を設ける必要があるために、
図7に示されるコントローラ300を実現するための制御基板の回路構成が複雑化するという課題が新たに生じる。
【0084】
そこで、本実施の形態に従う給湯装置100では、給湯装置100が運転状態から待機状態に移行する場合において、位置検出部85が検出信号を出力しているときには、分配弁80の弁体を、全開位置または全閉位置から位置検出部85が非導通状態(オフ状態)となる位置へ駆動するように、ステッピングモータ82(分配弁80のアクチュエータ)を制御する。これにより、給湯待機時において位置検出部85はオフ状態を維持される。
【0085】
以下、本実施の形態に従う給湯装置100における、待機状態に移行する際の分配弁80の開度制御について説明する。
【0086】
図5に示されるように、給湯装置100は、運転スイッチがオフされたとき、または、運転スイッチがオン状態であるがMOQオフの状態が所定時間継続したときに、待機状態に移行する。
【0087】
最初に、
図8および
図9を用いて、運転スイッチがオン状態であって、MOQオフの状態が所定時間継続したことに応答して給湯装置100が待機状態に移行する場合における分配弁80の開度制御について説明する。
【0088】
図8は、給湯装置100が待機状態に移行する場合に、ステッピングモータ82の回転位置が中間位置に駆動されているときの分配弁80の開度制御の処理手順を示している。
【0089】
図8(a)に示されるように、給湯装置100が待機状態に移行する場合において、ステッピングモータ82の回転位置が中間位置にあるときには、リミットスイッチ86,88がいずれもオフ状態となっているため、リミットスイッチ86,88からリミッタ信号は出力されていない。
【0090】
このような場合には、給湯待機時、リミットスイッチ86,88は、
図8(b)に示されるように、オフ状態を維持することになり、位置検出部85における電力消費が抑えられる。
【0091】
そして、流量センサ150によって検出される缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えたことによって、運転状態に移行する場合には、
図8(c)に示されるように、ステッピングモータ82は、必要に応じ、現在の回転位置から回転を再開する。
【0092】
一方、
図9には、給湯装置100が待機状態に移行する場合に、ステッピングモータ82の回転位置が全開位置に駆動されているときの分配弁80の開度制御の処理手順が示されている。
図9(a)を参照して、給湯装置100が待機状態に移行する場合において、ステッピングモータ82の回転位置が全開位置にあるときには、リミットスイッチ86がオン状態となっているため、リミットスイッチ86からはリミッタ信号が出力されている。
【0093】
このような場合には、
図9(b)に示されるように、ステッピングモータ82の回転位置を、現在の回転位置(全開位置)から、リミットスイッチ86,88がオフ状態となる回転位置まで移動させる。移動先のステッピングモータ82の回転位置θ°は、全開位置と全閉位置との間の中間位置(0°<θ<270°)に設定される。
【0094】
このようにステッピングモータ82を中間位置まで回転させることによって、リミットスイッチ86はオン状態からオフ状態に切換わるため、リミッタ信号の出力が停止される。
図9(c)に示されるように、この状態で給湯装置100が待機状態になることにより、位置検出部85における電力消費が抑えられる。
【0095】
そして、流量センサ150によって検出される流量Qが最低作動流量MOQを超えたことによって、運転状態に移行する場合には、
図9(d)に示されるように、ステッピングモータ82は、必要に応じ、現在の回転位置θ°から回転を再開する。
【0096】
なお、
図9(b)にてステッピングモータ82の回転位置を移動させたときには、モータ制御部312は、移動後の回転位置θ°を記憶部302に格納する。そして、給湯装置100が運転状態に移行して給湯動作を再開するときには、モータ制御部312は、記憶部302に格納された回転位置θ°に基づいて、分配弁80の弁体を現在位置から目標位置へ駆動するのに必要なステップ数を算出し、そのステップ数に対応するパルス信号をステッピングモータ82に与える。
【0097】
次に、
図10を用いて、運転スイッチがオフされたことに応答して給湯装置100が待機状態に移行する場合における分配弁80の開度制御について説明する。
【0098】
図10は、給湯装置100が待機状態に移行する場合に、ステッピングモータ82の回転位置が中間位置に駆動されているときの分配弁80の開度制御の処理手順を示している。
【0099】
図10(a)を参照して、運転スイッチがオフされたときにステッピングモータ82の回転位置が中間位置にある場合には、モータ制御部312は、
図10(b)に示されるように、ステッピングモータ82を全開位置(0ステップ)まで回転させる。このとき、モータ制御部312は、リミットスイッチ86から出力されるリミッタ信号に基づいて、ステッピングモータ82の回転が0°の位置であることを検出することにより、0°の位置をステッピングモータ82の制御用原点位置として記憶更新する(零点調整)。
【0100】
ステッピングモータ82の零点調整を行なった後、
図10(c)に示されるように、ステッピングモータ82の回転位置を、全開位置から、リミットスイッチ86,88がオフ状態となる回転位置まで移動させる。移動先のステッピングモータ82の回転位置θ°は、全開位置と全閉位置との間の中間位置(0°<θ<270°)に設定される。これにより、リミットスイッチ86はオン状態からオフ状態に切換わるため、リミッタ信号の出力が停止される。モータ制御部312は、移動後の回転位置θ°を記憶部302に格納する。
図10(d)に示されるように、この状態で給湯装置100が待機状態になることにより、位置検出部85における電力消費が抑えられる。
【0101】
そして、運転スイッチがオンされ、かつ、流量センサ150によって検出される缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えたことによって、運転状態に移行する場合には、
図10(d)に示されるように、ステッピングモータ82は、現在の回転位置θ°から回転を再開する。モータ制御部312は、記憶部302に格納された回転位置θ°に基づいて、分配弁80の弁体を現在位置から目標位置へ駆動するのに必要なステップ数を算出し、そのステップ数に対応するパルス信号をステッピングモータ82に与える。
【0102】
なお、図示は省略するが、給湯装置100が待機状態に移行する場合に、ステッピングモータ82の回転位置が全閉位置に駆動されているときには、
図9の場合と同様に、ステッピングモータ82の回転位置を、現在の回転位置(全閉位置)から、リミットスイッチ86,88がオフ状態となる回転位置θ°(すなわち、中間位置)まで移動させる。モータ制御部312は、移動後の回転位置θ°を記憶部302に格納する。そして、給湯装置100が運転状態に移行して給湯動作を再開するときには、モータ制御部312は、記憶部302に格納された回転位置θ°に基づいて、分配弁80の弁体を現在位置から目標位置へ駆動するのに必要なステップ数を算出し、そのステップ数に対応するパルス信号をステッピングモータ82に与える。
【0103】
図11は、本実施の形態に従う給湯装置100における、待機状態に移行する際の分配弁80の開度制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、これらのフローチャートに示される処理は、所定時間毎または所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0104】
図11を参照して、CPU301は、給湯装置100が運転状態であるか否かを判定する(ステップS21)。給湯装置100が運転状態であると判定されると(ステップS21においてYES)、CPU301は、操作部304(
図2)の運転スイッチがオフされたか否かを判定する(ステップS22)。運転スイッチがオフされたと判定されると(ステップS22においてYES)、CPU301は、分配弁80の弁体を全開位置に駆動するように、アクチュエータを制御する(ステップS23)。本実施の形態では、CPU301は、ステッピングモータ82の回転位置が全開位置となるように、ステッピングモータ82を制御する(
図10(b)参照)。そして、CPU301は、位置検出部85から出力される検出信号に基づいて、アクチュエータの制御用原点位置を記憶更新する(ステップS24)。本実施の形態では、モータ制御部312は、リミットスイッチ86から出力されるリミッタ信号に基づいて、ステッピングモータ82の回転が0°の位置であることを検出することにより、0°の位置をステッピングモータ82の制御用原点位置として記憶更新する(零点調整)。
【0105】
次に、CPU301は、全開位置に駆動された分配弁80の弁体をさらに、リミットスイッチ86,88がオフ状態となる位置に移動させるように、アクチュエータを制御する(ステップS25)。本実施の形態では、モータ制御部312は、ステッピングモータ82の回転位置を、全開位置から、リミットスイッチ86,88がオフ状態となる回転位置θ°(中間位置)まで移動させる(
図10(c)参照)。このとき、CPU301は、移動後の弁体の位置(ステッピングモータ82の回転位置)を記憶部302に格納する(ステップS28)。そして、CPU301は、給湯装置100を運転状態から待機状態に移行する(ステップS29)。
【0106】
一方、ステップS22にて運転スイッチがオン状態であると判定されると(ステップS22においてNO)、CPU301は、MOQオフ状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS26)。なお、図示は省略するが、ステップS22において運転スイッチがオン状態であるときには(ステップS22においてYES)、操作部304に対するユーザ操作が生じていないことを条件として、ステップS26の判定処理が実行される。MOQオフ状態が所定時間継続したと判定されると(ステップS26においてYES)、CPU301はさらに、分配弁80の弁体が全開位置または全閉位置にあるか否かを判定する(ステップS27)。本実施の形態では、モータ制御部312は、ステッピングモータ82の回転位置が全開位置または全閉位置にあるか否かを判定する。この判定は、リミットスイッチ86,88からのリミッタ信号の出力の有無に基づいて行なわれる。
【0107】
リミットスイッチ86,88からリミッタ信号が出力されておらず、分配弁80の弁体が全開位置および全閉位置のいずれにもないと判定された場合(ステップS27においてNO)、CPU301は、弁体の位置(ステッピングモータ82の回転位置)を記憶部302に格納するとともに(ステップS28)、給湯装置100を運転状態から待機状態に移行する(ステップS29)。
【0108】
これに対して、リミットスイッチ86,88の一方からリミッタ信号が出力されており、分配弁80の弁体が全開位置または全閉位置にあると判定された場合(ステップS27においてYES)には、CPU301は、ステップS25に進み、分配弁80の弁体を、現在の位置(全開位置または全閉位置)から、位置検出部85がオフ状態となる位置まで移動させるように、アクチュエータを制御する。本実施の形態では、モータ制御部312は、ステッピングモータ82の回転位置を、全開位置または全閉位置から、リミットスイッチ86,88がオフ状態となる回転位置θ°(中間位置)まで移動させる(
図9(b)参照)。そして、CPU301は、移動後の弁体の位置(ステッピングモータ82の回転位置)を記憶部302に格納するとともに(ステップS28)、給湯装置100を運転状態から待機状態に移行する(ステップS29)。
【0109】
給湯待機時、CPU301は、運転スイッチがオンされたか否かを判定する(ステップS30)。運転スイッチがオンされたと判定されると(ステップS30においてYES)、CPU301はさらに、流量センサ150によって検出される缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えているか否かを判定する(ステップS31)。缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えていると判定されると(ステップS31においてYES)、CPU301は、給湯装置100を待機状態から運転状態に移行する(ステップS32)。CPU301は、缶体10での燃焼動作をオンする。燃焼動作がオンされると、元ガス電磁弁32が開放されて、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給が開始される。CPU301は、記憶部302に格納された分配弁80の弁体の位置に基づいて、弁体を現在位置から目標位置へ駆動するように、アクチュエータを制御する。本実施の形態では、モータ制御部312は、ステッピングモータ82を現在の回転位置から目標位置に駆動するのに必要なステップ数を算出し、そのステップ数に対応するパルス信号をステッピングモータ82に与える(ステップS33の弁開度制御)。
【0110】
[変形例]
上記の実施の形態では、運転スイッチがオフされたことに応答して給湯装置100が待機状態に移行するタイミングにて、分配弁80のアクチュエータであるステッピングモータ82の零点調整を実行し、零点調整を実行した後に、ステッピングモータ82の回転位置を中間位置まで移動させる構成について説明したが、ステッピングモータ82の零点調整を実行するタイミングは、給湯装置100が待機状態から運転状態に移行するタイミングであってもよい。
【0111】
以下、
図12を用いて、運転スイッチがオフされたことに応答して給湯装置100が待機状態に移行する場合における分配弁80の開度制御の変形例について説明する。
【0112】
図12は、給湯装置100が待機状態に移行する場合に、ステッピングモータ82の回転位置が中間位置に駆動されているときの分配弁80の開度制御の処理手順の変形例を示している。
【0113】
図12(a)を参照して、運転スイッチがオフされたときにステッピングモータ82の回転位置が全開位置(または全閉位置)にある場合には、モータ制御部312は、
図12(b)に示されるように、ステッピングモータ82の回転位置を、全開位置(または全閉位置)から、リミットスイッチ86,88がオフ状態となる回転位置まで移動させる。移動先のステッピングモータ82の回転位置θ°は、全開位置と全閉位置との間の中間位置(0°<θ<270°)に設定される。これにより、リミットスイッチ86(または88)はオン状態からオフ状態に切換わるため、リミッタ信号の出力が停止される。モータ制御部312は、移動後の回転位置θ°を記憶部302に格納する。
図12(c)に示されるように、この状態で給湯装置100が待機状態になることにより、位置検出部85における電力消費が抑えられる。
【0114】
そして、運転スイッチがオンされ、かつ、流量センサ150によって検出される流量Qが最低作動流量MOQを超えたことによって、運転状態に移行する場合(
図12(d))には、
図12(e)に示されるように、モータ制御部312は、ステッピングモータ82を全開位置(0ステップ)まで回転させる。このとき、モータ制御部312は、リミットスイッチ86から出力されるリミッタ信号に基づいて、ステッピングモータ82の回転が0°の位置であることを検出することにより、0°の位置をステッピングモータ82の制御用原点位置として記憶更新する(零点調整)。
【0115】
ステッピングモータ82の零点調整を行なった後、モータ制御部312は、更新された制御用原点位置に基づいて、分配弁80の弁体を現在位置から目標位置へ駆動するのに必要なステップ数を算出し、そのステップ数に対応するパルス信号をステッピングモータ82に与える。
【0116】
図13は、本実施の形態に従う給湯装置100における、待機状態に移行する際の分配弁80の開度制御の処理手順の変形例を説明するためのフローチャートである。なお、これらのフローチャートに示される処理は、所定時間毎または所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0117】
図13を参照して、CPU301は、給湯装置100が運転状態であるか否かを判定する(ステップS41)。給湯装置100が運転状態であると判定されると(ステップS41においてYES)、CPU301は、操作部304(
図2)の運転スイッチがオフされたか否かを判定する(ステップS42)。運転スイッチがオフされたと判定されると(ステップS42においてYES)、CPU301はさらに、分配弁80の弁体が全開位置または全閉位置にあるか否かを判定する(ステップS44)。本実施の形態では、モータ制御部312は、リミットスイッチ86,88からのリミッタ信号の出力の有無に基づいて、ステッピングモータ82の回転位置が全開位置または全閉位置にあるか否かを判定する。
【0118】
分配弁80の弁体が全開位置または全閉位置にあると判定された場合(ステップS44においてYES)には、CPU301は、ステップS45に進み、分配弁80の弁体を、全開位置または全閉位置から、位置検出部85のリミットスイッチ86,88がオフ状態となる位置まで移動させるように、アクチュエータを制御する。本実施の形態では、モータ制御部312は、ステッピングモータ82の回転位置を、全開位置または全閉位置から、リミットスイッチ86,88がオフ状態となる回転位置θ°(中間位置)まで移動させる(
図12(b)参照)。そして、CPU301は、移動後の弁体の位置(ステッピングモータ82の回転位置)を記憶部302に格納するとともに(ステップS46)、給湯装置100を運転状態から待機状態に移行する(ステップS47)。
【0119】
一方、分配弁80の弁体が全開位置および全閉位置のいずれにもないと判定された場合(ステップS44においてNO)、CPU301は、弁体の位置(ステッピングモータ82の回転位置)を記憶部302に格納するとともに(ステップS46)、給湯装置100を運転状態から待機状態に移行する(ステップS47)。
【0120】
一方、ステップS42にて運転スイッチがオン状態であると判定されると(ステップS42においてNO)、CPU301は、MOQオフの状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS43)。なお、図示は省略するが、ステップS42において運転スイッチがオン状態であるときには(ステップS42においてYES)、操作部304に対するユーザ操作が生じていないことを条件として、ステップS43の判定処理が実行される。MOQオフの状態が所定時間継続したと判定されると(ステップS43においてYES)、CPU301は、ステップS44〜S47の処理を実行することによって給湯装置100を運転状態から待機状態に移行する。
【0121】
給湯待機時、CPU301は、運転スイッチがオンされたか否かを判定する(ステップS48)。運転スイッチがオンされたと判定されると(ステップS48においてYES)、CPU301はさらに、流量センサ150によって検出される缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えているか否かを判定する(ステップS49)。缶体流量Qが最低作動流量MOQを超えていると判定されると(ステップS49においてYES)、CPU301は、分配弁80の弁体を全開位置に駆動するように、アクチュエータを制御する(ステップS50)。本実施の形態では、CPU301は、ステッピングモータ82の回転位置が全開位置となるように、ステッピングモータ82を制御する(
図12(e)参照)。そして、CPU301は、位置検出部85から出力される検出信号に基づいて、アクチュエータの制御用原点位置を記憶更新する(ステップS51)。本実施の形態では、モータ制御部312は、リミットスイッチ86から出力されるリミッタ信号に基づいて、ステッピングモータ82の回転が0°の位置であることを検出することにより、0°の位置をステッピングモータ82の制御用原点位置として記憶更新する(零点調整)。
【0122】
次に、CPU301は、給湯装置100を待機状態から運転状態に移行する(ステップS52)。CPU301は、缶体10での燃焼動作をオンする。CPU301は、更新された制御用原点位置に基づいて、弁体を現在位置から目標位置へ駆動するように、アクチュエータを制御する。本実施の形態では、モータ制御部312は、ステッピングモータ82を現在の回転位置から目標位置に駆動するのに必要なステップ数を算出し、そのステップ数に対応するパルス信号をステッピングモータ82に与える(ステップS53の弁開度制御)。
【0123】
以上説明したように、本実施の形態に従う給湯装置によれば、給湯装置が運転状態から待機状態に移行する際に、分配弁80の弁体の位置(ステッピングモータ82の回転位置)を、位置検出部85のリミットスイッチ86,88が非導通状態となる位置に駆動することにより、給湯待機中、位置検出部85を非導通状態に維持することができる。この結果、給湯待機中、位置検出部85における電力消費を抑えることができる。
【0124】
また、本実施の形態に従う給湯装置によれば、給湯装置のコントローラ300内に、位置検出部85に対する電源供給を遮断するための電源遮断回路(
図7参照)の設置が不要となる。したがって、コントローラ300を実現するための制御基板の回路構成が複雑化するのを抑えることができる。この結果、簡素な構成で、給湯待機時における給湯装置の電力消費を抑制することが可能となる。
【0125】
なお、上記の実施の形態では、通水路に介挿接続される流量調整弁として、分配弁80に本発明による制御を適用した例を説明したが、分配弁80以外の流量調整弁、たとえば流量調整弁95に対しても、本発明に係る制御を適用することが可能である。すなわち、流量調整弁の弁体を駆動するアクチュエータと、弁体が所定位置にあるときに電力消費を伴なって検出信号を出力するように構成された位置検出部と、位置検出部からの検出信号に基づいてアクチュエータを制御する制御装置とを備えた給湯装置であれば、本発明を適用することが可能である。したがって、流量調整弁の弁体を駆動するためのアクチュエータは、ステッピングモータ等のサーボモータに限定されず、他のアクチュエータであってもよい。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。