【解決手段】排気センサ10は、温度セル34/38/36および較正用抵抗器94を備える。温度セル34/38/36は、温度セルインピーダンスが排気センサ温度の関数として変化する特性を有し、環境温度において高いインピーダンスを有するとともに、排気センサ10の動作温度において低いインピーダンスを有する。動作温度は、環境温度よりも高い。較正用抵抗器94は、温度セル34/38/36と並列に電気的に接続される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[12]用語「第1の」、「第2の」等は、本明細書では、順序、数量または重要性を示すものではなく、むしろ1つの要素を別の要素と区別するために使用され、用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書では、数量の制限を示すものではなく、むしろ言及される物の少なくとも1つの存在を示す。さらに、本明細書で説明されるすべての範囲は、包括的でかつ組合せ可能である。例えば、約500マイクロメートル(μm)までの範囲、例えば、約25μmから約500μmまでの厚み、または、約50μmから約200μmまでの厚みは、約25μmから約200μmまで、および、約50μmから約500μmまでの範囲を、その明示の必要なしに含む。数量に関連して使用される修飾語句「約」は、述べられる値を含み、文脈によって決まる意味を有する(例えば、特定の量の測定と関連する通常程度の誤差を含む)。
【0010】
[13]アンモニアを感知するためのガスセンサおよび関連するセンサ回路は、本発明の態様の説明を提供するために本明細書で提示される。較正用抵抗器を備えていない代表的なアンモニアセンサが、米国特許出願公開第2006/0151338号において述べられており、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、アンモニア感知について使用することに限定されず、較正用抵抗器から恩恵を受けることになる任意のセンサについて使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0011】
[14]ガスセンサには、セル(すなわち、一方の電極から他方の電極へ電解質を介してイオン連通するために電解質の両側に配置される電極)が含まれる。このセルは、セルがさらされる未知のガス(すなわち、未知のアンモニア含有量のガス)中のアンモニアに応じて出力信号を発生する(「アンモニア感知セル」)ことができる。ガスセンサには、未知のガス中の酸素および/または炭化水素に応じて出力信号を発生する(「A/Fセル」)ことができるセルも含まれる。この信号から、ガスの空気/燃料比が決定され得る。アンモニア感知セルおよびA/Fセルと通信するセンサ回路は、ガスのアンモニア含有量を決定するために、それらのセルによって放出される信号を処理する。オプションとして、1つ以上の感知セルおよび/またはポンプセル(例えば、アンモニア感知セルおよび/またはA/Fセル)が、別個のセンサ素子として形成されてもよい。代替形態では、感知セルのすべてが、同じ一体型センサ素子の一部を備える。未知のガス中のアンモニアを感知するための方法は、アンモニア感知セルおよびA/Fセルを未知のガスにさらし、ガスの酸素および水蒸気含有量を反映するデータを得るためにA/Fセルからの信号を用いることによって実行されてもよく、そのデータは、ガスのアンモニアガス含有量を決定するためにアンモニア感知セルからの信号とともに用いられてもよい。
【0012】
[15]説明される回路および方法とともに使用するためのセンサ素子の一実施形態が、
図1および
図2に示されている。以下でより完全に説明されるように、センサ素子10は、電気化学的アンモニア感知セル(12/16/14)と、電気化学的A/Fセルと、ヒータと、を備える様々な層の積層によって形成される一体構造であり、電気化学的セルとヒータとの間に第1および第2の絶縁層を有する。
【0013】
[16]電気化学的アンモニア感知セル(12/16/14)は、それを通るイオン連通のために電解質によって分離されるアンモニアセル電極を備える。より具体的には、アンモニア選択感知電極12および参照電極14(アンモニアセル電極)は、固体電解質層16(アンモニアセル電解質)の両側に配置される。感知電極12の固体電解質層16とは反対側に、保護層18があり、保護層18は、オプションとして、緻密質部分20と、感知電極12と未知のガスとの間の流体連通を可能にする多孔質部分22と、を備える(すなわち、部分22は、未知のガスが電極12に接触することを可能にしながら電極12を摩耗および/または汚染から保護する)。
【0014】
[17]保護層18は、電極12を汚染物質から保護し、構造的完全性をセンサ素子10および電極12に提供し、センサ素子10の性能を抑制することなく電極12がアンモニアガスを感知することを可能にするように構成される。
【0015】
[18]感知電極12を形成する材料は、未知のガス中のアンモニアと反応し、未知のガス中のアンモニアへの電極12の暴露は、電極12において電気化学反応を引き起こす。感知電極12は、センサ素子10が使用されることになる動作環境に適合する任意のアンモニア選択材料を含有することができる。アンモニア選択材料には、主要材料および添加二次材料が含まれる。
【0016】
[19]電極接続材料は、アンモニア選択材料とリード導体(例えば、リード線72)との間の電気的連続性の確立を容易にするために、感知電極12のアンモニア選択材料の一部分と組み合わされる。電極接続材料には、リード線がそれと容易に電気的に接続することができる導電性金属および/または導電性金属酸化物が含まれ得る。これらの電極接続材料は、相互混合によって、または、単に互いに物理的に接触することによって(薄膜または厚膜堆積手段によって)、アンモニア選択材料との複合材を形成することができ、それ故に、アンモニア選択材料が、アンモニア感知セル12/16/14からのemf信号の測定がリード線を介して行われることを可能にするのに適したリード線に電気的に接続されることが可能になる。感知電極12のアンモニア選択材料によって発生するemfに影響を及ぼすことを避けるために、電極接続材料は、電解質層16および未知のガスの両方に接触することはない。したがって、電極接続材料は、電極接続材料が電解質層16と接触する場合には、それを未知のガスから遮るために絶縁層(最上部層20など)によって覆われてもよく、または、電極接続材料が適用される前に、絶縁層(図示されず)が、電極接続材料と電解質16との間の接触を防止するために必要とされるところの電解質に適用されてもよく、その場合は、電極接続材料を未知のガスから遮る必要はない。
【0017】
[20]感知電極12のためのアンモニア選択材料は、電解質層16上への堆積より前に形成されてもよく、または、電解質層16上に配置され、センサ素子の焼成中に形成されてもよい。
【0018】
[21]一実施形態では、アンモニア選択材料が、準備され、電解質(または、電解質に隣接する層)上に配置される。この方法では、主要材料(好ましくは、酸化物の形態である)は、添加二次材料およびもしあればオプションの他の添加物と同時にまたは連続して組み合わされる。どちらの方法によっても、材料は、好ましくは、主要材料への添加二次材料および任意のオプションの添加物の所望の組み込みによって所望のアンモニア選択材料を作製できるようにするために、十分に混合される。アンモニア選択材料が準備されると、それは、インクにされ、所望のセンサ層上に配置されてもよい。
【0019】
[22]インクが使用される場合、上記の金属/酸化物/添加物以外に、インクはまた、結合剤(単数または複数)、担体(単数または複数)、湿潤剤(単数または複数)等、および、前述の少なくとも1つを含む組合せを含有していてもよい。結合剤は、インクと基板との間に付着力を提供することができる任意の材料とすることができる。
【0020】
[23]感知電極12とは対照的に、参照電極14は、任意の電極材料を含有することができ、すなわち、それは、NH
3に対して感受性を有する必要はない。参照電極14は、感知電極12がNH
3に接触するときに電解質層16を横切って起電力を生成することができる任意の触媒(例えば、白金、パラジウム、金、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウムなどの金属、合金、および、前述の触媒の少なくとも1つを含む組合せが含まれる)を含有していてもよい。
【0021】
[24]一時的材料(すなわち、焼成すると分解し、電極に空隙を残す材料)が、電極に多孔性を提供するために(例えば、アンモニアが電極に入り、三重点(電極と電解質とアンモニアとが所望の反応を可能にするために接触する点)に達するのを可能にするのに十分な多孔性を提供するために)、電極形成に用いられてもよい。
【0022】
[25]感知電極12および参照電極14のサイズおよび幾何学的形状に関して、それらは、一般に、アンモニア濃度の広い範囲にわたって妥当なemf信号分解能を可能にするのに十分な電流出力を提供するのに適している。一般に、約1.0マイクロメートルから約25マイクロメートルまで(例えば、約5マイクロメートルから約20マイクロメートルまで(オプションとして約10マイクロメートルから約18マイクロメートルまで))の厚みが用いられてもよい。電極の幾何学的形状は、電解質の幾何学的形状に実質的に類似していてもよい。
【0023】
[26]電極は、化学蒸着、スクリーン印刷、スパッタリング、および、孔版印刷などの技法を使用して形成されてもよく、感知電極および参照電極を適切なテープ上にスクリーン印刷することは、簡単さ、経済性、および、その後の焼成プロセスとの適合性に起因して好ましい。例えば、参照電極14は、支持層24の上に(すなわち、電解質層16を覆って)スクリーン印刷されてもよく、感知電極12は、多孔質保護層18の下に(すなわち、電解質層16を覆って)スクリーン印刷されてもよい。
【0024】
[27]本明細書で言及される他の電解質層のような電解質層16は、ガスセンサが利用されることになる環境に適合する(例えば、約1,000℃まで)任意の材料であって、未知のガスがそれを物理的に通過するのを抑制しながら、電極12,14の一方において発生するイオンが他方の電極へそれを通って電気化学的に移動するのを可能にできる任意の材料を含有することができる。可能な電解質材料には、金属酸化物(例えば、ジルコニア等(これは、オプションとして、カルシウム、バリウム、イットリウム、マグネシウム、アルミニウム、ランタン、セシウム、ガドリニウム等、および、その酸化物で安定化されるか部分的に安定化されてもよい)、ならびに、前述の電解質材料の少なくとも1つを含む組合せ)を含有していてもよい。例えば、電解質は、アルミナおよびイットリウム安定化ジルコニアとすることができる。電解質によって、その両側に配置される電極間のイオン連通が確立される。
【0025】
[28]電極12,14をその上に有する層16などの電解質は、多くのプロセス(例えば、金型加圧成形、ロール圧縮、孔版印刷およびスクリーン印刷、テープ鋳造法など)によって形成されてもよく、約500マイクロメートル(μm)までの厚み(例えば、約25μmから約500μmまでの厚み、または、約50μmから約200μmまでの厚み)を有していてもよい。
【0026】
[29]アンモニア感知セル12/16/14の、絶縁支持層18とは反対側に配置されるのは、絶縁層(単数または複数)であり、例えば、第1の絶縁支持層26と第2の絶縁支持層28とを備える二分された絶縁支持層24である。絶縁支持層24などの絶縁層は、構造的完全性を提供し(例えば、その絶縁層は、センサの物理的強度を高め)、その両側の構成部品を物理的に分離し、電気的に絶縁する。例えば、支持層24は、電極14などの電極を別の電極(例えば、電極34)から電気的に絶縁することができる。絶縁層は、アルミナ(例えば、δアルミナ、γアルミナ、θアルミナ、および、前述のアルミナの少なくとも1つを含む組合せ)などの誘電材料などを含有していてもよい。
【0027】
[30]本明細書で述べられる他の開口部および開口チャンネルのような、層26の開口部32は、層がセンサ素子に組み込まれる前に層を穿孔するまたは切り取ることによって形成されてもよい。製造する目的のために、開口部またはチャンネルは、センサ素子10の製造中に後で焼かれて取り除かれる一時的材料(図示されず)で満たされてもよい。一時的材料は、例えば、炭素、黒鉛、不溶性有機材料、高分子材料などを含有していてもよい。開口部32は、層26と層28との間の開いた開口部33(
図2)(これは、未知のガスに対して開いている)を介して未知のガスが電極14と流体連通することを可能にする。開口部32と同様に、開いた開口部33は、層26と層28との間に堆積されるとともにセンサ素子10の製造中に後で焼かれて取り除かれる一時的材料30(
図1)を除去することで形成される。開口部32および開口部33は、協働して、開口部を形成する。この開口部は、未知のガスがアンモニアセル電極およびA/Fセル電極と(すなわち、アンモニア感知セルおよびA/Fセルと)流体連通することを可能にするように構成される。
【0028】
[31]層24のアンモニア感知セル12/16/14とは反対側に、それを通るイオン連通のために電解質によって分離されるA/Fセル電極を備えるA/Fセル34/38/36がある。より具体的には、A/Fセル34/38/36は、電解質層38(A/Fセル電解質)の両側に配置されるポンプ電極34,36(A/Fセル電極)を備える。電極34,36は、酸素ポンプ電極に適した任意の材料を含有することができる。
【0029】
[32]本明細書で言及される他の電解質層のような電解質層38は、ガスセンサが利用されることになる環境に適合する(例えば、約1,000℃まで)任意の材料であって、未知のガスがそれを物理的に通過するのを抑制しながら、電極34,36の一方において発生するイオンが他方の電極へそれを通って電気化学的に移動するのを可能にできる任意の材料を含有することができる。電解質は、その両側に配置される電極間のイオン連通を確立する。例示的な電解質材料には、ジルコニア(これは、オプションとして、カルシウム、バリウム、イットリウム、マグネシウム、アルミニウム、ランタン、セシウム、ガドリニウム等で安定化されるか部分的に安定化されてもよい)、および、前述の少なくとも1つを含む組合せ(それらのいずれかが酸化物の形態で存在してもよい)が含まれる(しかし、これらに限定はされない)。特定の例示的な実施形態では、電解質層38は、イットリア部分安定化ジルコニアを含有していてもよい。
【0030】
[33]電極34は、層28の開口部40と流体連通し、したがって、一時的材料30によって形成される開いた開口部と流体連通し、したがって、電極14と流体連通している。
【0031】
[34]A/Fセル34/38/36のアンモニア感知セル12/16/14と反対側には、絶縁支持層42があり、それは、例示される実施形態では、二分されており、第1の層44および第2の層46を備える。第1の層44は、開口部48を有し、第2の層46は、開口部50を有する。開口部48,50は、協働して、層42の中にガス拡散室を提供する。層44と層46との間の多孔質材料52は、ガス拡散制限開口部53(
図2)を提供し、ガス拡散制限開口部53は、未知のガスと開口部48,50との間のガスの流れを制限する。それ故に、開口部48、50,53は、協働して、未知のガスがA/Fセル34/38/36と流体連通するための開口部を形成する。多孔質材料52は、例えば、層44,46のうちの1つの上への粒状耐火性酸化物(例えば、アルミナ)と一時的材料との混合物を含有する印刷可能なインクの堆積物から形成されてもよい。センサ素子10の製造中に、インクは、高温にさらされ、一時的材料は、焼かれて取り除かれ、対応する形状および既知の空隙率の多孔質開口部が残る。本明細書で開示される他の拡散制限開口部またはチャンネルは、同様の方法で形成されてもよい。開口部33,53の結果として、センサ素子10がさらされる未知のガスは、両方のA/Fセル電極に接触することができる。一定の電位が電極34,36に印加されると、A/Fセル34/38/36を通る電流(A/Fセル信号)は、開口部53を介して利用できる酸素によって制限され、未知のガス中の酸素の分圧を反映する。したがって、A/Fセル信号は、未知のガスの空気対燃料比を表す。
【0032】
[35]絶縁層46のA/Fセル34/38/36から反対側には、オプションの電解質層54があってもよく、層54の層42と反対側には、絶縁層56(単数または複数)がある。ヒータ60が、絶縁層62と絶縁層64との間で、絶縁層56の層54と反対側に配置される。絶縁層62は、絶縁層56に隣接しているが、それらの間には、オプションの金属製電磁気的障壁66が、層62のヒータ60と反対側に配置される。ヒータ60はセンサ素子10の一体構造の一部であるので、ヒータ60は、A/Fセル34/38/36およびアンモニア感知セル12/16/14と熱的に連通している。すなわち、ヒータ60は、センサ素子10およびその中のセルを選択動作温度に維持するために使用されてもよい。他の実施形態では、ヒータは、例えば単に物理的にセルに近接していることによって、必ずしもそれらを有する一体積層構造の一部であることなく、A/Fセルおよび/またはアンモニア感知セルと熱的に連通していてもよい。
【0033】
[36]接触パッド68a,68b,68c,70a,70b,70cは、導電性材料を含有しており、センサ素子10とセンサ回路との間の電気的連通を容易にする。このセンサ回路は、本明細書で述べられるように、電流源および電位源と、少なくとも1つのガス種の濃度を示すためにセンサ素子10の電解セルに応答する回路と、を備えていてもよい。いくつかのリード線が、センサ素子10の電極および加熱部材と制御ユニットとの間の電気的連通を提供するために、センサ素子10に提供される。リード線72は、感知電極12および接触パッド68cと電気的に連通している(すなわち、接続される)。リード線74は、参照電極14および接触パッド68bと電気的に連通している。同様に、リード線76は、電極34および接触パッド68aと電気的に連通し、リード線78は、電極36および接触パッド70bと電気的に連通している。リード線80,82は、ヒータ60および接触パッド70a,70cと電気的に連通している。
【0034】
[37]様々なリード線が、層16,20,26,28,38,44,46,54,56,62,64に形成されるビア(例えば、ビア83)を介して接触パッド68a,68b,68c,70a,70b,70cと電気的に連通している。ビアは、導電性材料を含有しており、リード線と接触パッド68a,68b,68c,70a,70b,70cとの間の電気的連通を確立するための媒体を提供する。これらのビアは、貫通穴を選択位置に形成するために基板を穿孔し、貫通穴を導電性ペーストで満たし、基板が加熱/加圧工程において熱を受けて成形されて硬化される間に導電性ペーストを硬化することによって形成されてもよい。導電性ペーストは、導電性粒子、熱硬化性樹脂溶液、および、必要ならば溶媒を使用してペーストとして用意されてもよい。熱硬化性樹脂は、基板を加熱/加圧する工程において同時に硬化され得る樹脂から選択されてもよい。例えば、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂および/またはポリイミド樹脂が使用されてもよい。
【0035】
[38]導電性粒子については、安定であるとともに低比抵抗および低相互接触抵抗を有する金属材料の導電性粒子成形粉末が、好ましくは使用される。例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、鉛、スズ、および/もしくはニッケルの粉末、または、前述の少なくとも1つを含む組合せが、ビアを形成するために使用されてもよい。一実施形態では、ビアは、電極から都合よく距離を置かれたセンサ素子10上の所定位置に形成される。例えば、ビアは、センサ素子10の一端に形成されてもよく、センサ素子10の反対端は、電極が配置される感知端または先端であってもよい。
【0036】
[39]センサ素子10および接触パッド68a,68b,68c,70a,70b,70cは、配線用ハーネスを受け入れるように構成されてもよく、そのハーネスによって、電気的連通が、センサ素子10とセンサ回路との間に確立されてもよい。センサ素子10は、電解質層および絶縁層のために、厚膜多層技術(例えば、商業的に適したアルミナ、ジルコニア等のストリップを使用することを含む)を使用して製造されてもよい。絶縁層には、必要に応じてビアが形成されてもよく、その上の一時的化合物および電極が、適切なインク化合物を使用して印刷されてもよい。そのような印刷されたテープは、その両外面に電気接触パッドを有する積層一体型(すなわち、単一構造)センサ素子に組み立てられ、焼成(例えば、同時焼成(co−fired))されてもよい。また、開示されるセンサ素子は、バルクセラミック技術、または、厚膜多層技術もしくは薄膜多層技術によって一体構造に構築されてもよい。バルクセラミック技術では、センサは、伝統的なセラミック処理方法によってカップ形状に形成され、電極は、インク法(例えば、スクリーン印刷)および/またはプラズマ法によって配置される。形成中に、それぞれの電極、リード線、ヒータ(単数または複数)、オプションの接地板(単数または複数)、オプションの温度センサ(単数または複数)、オプションの一時的材料(単数または複数)、ビア等が、適切な層上に配置される。層は、レイアップされ、次いで約1,400℃から約1,500℃の温度で焼成される。代替形態では、電極は、層上に配置されない。生の層(リード線、オプションの接地板(単数または複数)、オプションの温度センサ(単数または複数)、オプションの一時的材料(単数または複数)、ビア等が含まれる)は、層を焼結するのに十分な温度、例えば約1,400℃から約1,500℃の温度で焼成される。次いで、電極が適切な焼成層(単数または複数)上に配置され、層が適宜レイアップされる。次いで、センサ素子が、電極材料を活性化するのに十分な温度、例えば約700℃から約850℃の温度で再度焼成される。
【0037】
[40]引き続き
図1を参照すると、較正用抵抗器94が、層20の頂面上に配置される。電気的接続は、較正用抵抗器94から接触パッド68a,68bまでリード線96によって行われる。そのような方法で、較正用抵抗器94の一端は、接触パッド68a/リード線76/電極34に電気的に接続され、較正用抵抗器94の他端は、接触パッド70b/リード線78/電極36に電気的に接続される。
【0038】
[41]内燃エンジン排気ガス中のガス種を感知するのに適している1つの使用態様では、センサ素子10などのセンサ素子は、
図3に示されるように、ガスセンサの一部とすることができる。ガスセンサ200では、センサ素子10は、筺体210の中に取り付けられ、それによって、センサ素子10は、未知のガスのための導管(例えば、エンジンの排気管)に固定されてもよく、これによって、配線用ハーネスをセンサへ接続することができる。
図3の実施形態では、筺体は、絶縁体234、上部シェル236、下部シェル238、および、外側シールド240を備える。センサ素子10は、絶縁体234の中に配置され、絶縁体234からセンサ素子10の感知端が突き出ており、そこから、接触パッド68a,68b,68c,70a,70b,70cが、配線用ハーネス242との接続のためにアクセス可能である。これによって、センサ素子10とセンサ回路との間の電気的連通を確立することが容易になる。絶縁体234およびセンサ素子10は、下部シェル238(そこから、センサ素子10の感知端が突き出ている)と、上部シェル236(これは、下部シェル238に取り付けられ、そこを接触パッド68a,68b,68c,70a,70b,70cに接続される配線用ハーネス42が通ることができる)と、によって部分的に保護される。外側シールド240は、センサ素子10の感知端を保護するために下部シェル238に接続され、周囲の未知のガスがセンサ素子10と接触するためにそれを通って流れることを可能にするように構成される。
【0039】
[42]前述の説明および関連する図は、センサ素子10が、絶縁層によって互いに絶縁されるアンモニア感知セル、A/Fセルおよびヒータを備えることを示している。筺体210は、未知のガスがセンサ素子10と接触するためにガスがそれを通って流れることを可能にし、センサ素子10(すなわち、センサ素子10のA/Fセル、アンモニア感知セルおよびヒータのうちの任意の1つ以上)が筺体の外部のデバイス(例えば、センサ回路または制御モジュール)と通信することを可能にするように構成される。
【0040】
[43]センサシステム85を形成するためにセンサ素子10とともに使用するためのセンサ回路84の一実施形態が、
図4に概略的に示されている。センサ回路84は、リード線72,74,76,78,80,82と電気的に連通し、電極およびヒータは、接触パッド68a,68b,68c,70a,70b,70cを介してそれらと連通している(
図1)。センサ回路84は、emf信号処理回路(「emfプロセッサ」)86を備えている。emf信号処理回路86は、未知のガス中の感知された種(出力87に放出されてもよい)の含有量を示す信号(「ガス種出力信号」)を発生するために、アンモニア感知セル12/16/14と電気的に連通し、それに応答する。また、センサ回路84は、A/Fセル34/38/36と電気的に連通するDC供給/センサ回路88を備える。DC供給/センサ回路88は、電極34,36にわたって一定のemfを提供し、A/Fセル34/38/36を通る電流を感知し、未知のガスの酸素含有量または空気対燃料比を表す信号を出力89に発生するように構成される。DC供給/センサ回路88は、リッチ/リーン信号を受け取り、処理し、または、発生さえさせるように構成されてもよい。
【0041】
[44]センサ回路84(
図4)は、センサ素子のセルのうちの1つと電気的に連通する交流電圧供給・感知回路(VAC供給/センサ回路)90(本明細書では温度セルと呼ばれることもある)を備えていてもよい。電解質材料のどちらかの側のセル電極へ交流電圧電位を印加することによって、電極の近くの電解質材料の抵抗率(インピーダンス)を感知することができる。電解質層の抵抗率は、温度依存性であり、VAC供給/センサ回路90は、電解質層の抵抗率を感知するとともにセンサ回路84のヒータ制御回路92にフィードバック信号を提供するための処理回路を備える。ヒータ制御回路92は、センサ素子10のための選択動作温度を達成するために、フィードバック信号に応じて、ヒータ60に提供される電力を調整するように構成されてもよい。それ故に、ヒータ制御回路92は、ヒータ60に提供される電力を調節するためにフィードバック応答モードで動作するように構成されてもよい。例示される実施形態では、VAC供給/センサ回路90は、リード線76,78を介して、A/Fセル34/38/36を備える温度セルと通信する。VAC供給/センサ回路90は、ヒータ制御回路92とも電気的に連通し、ヒータ制御回路92は、リード線80,82を介してヒータ60と電気的に連通している。VAC供給/センサ回路90は、A/Fセル34/38/36にわたってAC電位を印加するように構成される。A/Fセル34/38/36から、電解質の抵抗率が決定されてもよく、セルの温度を示す信号が発生されてもよい。
【0042】
[45]電極の近くのセンサ素子の温度は、センサ素子がさらされるガスの温度によって大きな影響を受けるので、抵抗率信号および/または制御回路92によってヒータに配送される電力の程度は、未知のガスの温度の間接的表示として処理されてもよい。このようにして、セルのガス感知動作は、センサ回路84のAC感知機能の動作と同時に進められる。代替実施形態では、排気ガス温度は、ヒータ60をオフにし、センサ素子10が排気ガスと熱平衡に達することを可能にし、次いで、層38のAC抵抗率を測定することによって、直接的に測定されてもよい。
【0043】
[46]センサ回路84は、ガス温度を表す信号を他の制御回路に提供するための温度信号出力93を備えていてもよい。例えば、温度信号は、エンジン性能が排気温度に応じて調整され得るように、未知のガスを生み出すエンジンのための制御装置に提供されてもよい。
【0044】
[47]動作時には、ヒータ制御回路92は、センサ素子10を動作温度まで加熱するためにヒータ60に電力を供給し、センサ素子10は、未知のガスにさらされる。結果として、電極12は、層18を介して未知のガスと流体連通するように配置され、電極14,34は、層26と層28との間の開口部を介して未知のガスと流体連通する。同様に、電極36は、材料52を介して未知のガスと拡散律速の流体連通をしている。
【0045】
[48]センサ回路84は、電圧をA/Fセル34/38/36に印加して、酸素を電極36から電極34にポンピングし、そこから酸素が、開口部30と、層26と層28との間の開いたガス開口部33(
図2)と、を介して放出される。A/Fセル34/38/36へのガスの供給は、材料52からの拡散制限チャンネルによって制限され、A/Fセル34/38/36を通る電流は、DC供給/センサ回路88によって感知される。DC供給/センサ回路88は、排気ガスの酸素含有量の数量的表示を出力89に提供し、その出力からガスの空気/燃料比が決定されてもよい。多孔質材料52は、電極14における酸素レベルが、さらされるガスの酸素濃度から大きく外れることがないように、材料30よりも穴が十分に少ない。同時に、VAC供給/センサ回路90は、交流電圧(VAC)を電極34,36に印加する。VACは、約1000ヘルツ(hz)から約10メガヘルツ(Mhz)までの周波数と、約10ミリボルト(mv)から約2000mvまでの振幅と、を有していてもよい。VAC供給/センサ回路90は、電極間の電解質層38の抵抗率を感知し、フィードバック信号を、それに応答するヒータ制御回路92に提供する。層38の抵抗率が、センサ素子10が選択動作温度にあることを表している場合、ヒータ60への電力は、一時中断されてもよく、さもなければ、ヒータ60への電力は、必要に応じて継続されまたは増加されてもよい。オプションとして、VAC供給/センサ回路90は、他の制御システムによって使用するために、温度信号を出力93に提供してもよい。その一方で、アンモニアを含有する未知のガスへ電極12,14が暴露されることによって、それらの電極12,14間にemf(すなわち、電圧電位)が生じる。それは、アンモニア感知セル12/16/14からの出力信号と、未知のガスの酸素および水の含有量(オプションとしてA/Fセル12/16/14から導出されるA/F比から決定される)と、に基づいて排気ガスのアンモニア含有量の数量的表示を出力87にもたらすために、emfプロセッサ86によって処理されてもよい。したがって、NH
3濃度、空気/燃料比、および、未知のガスの温度は、すべて、単一のセンサから決定されてもよい。センサ回路84は、未知のガスのNH
3濃度を表す信号(アンモニア濃度信号)を発生するように構成される。センサ回路84は、未知のガスのA/F比または酸素含有量を表す信号も発生させてもよい。
【0046】
[49]温度セル34/38/36に使用される電解質材料38のインピーダンス対温度特性は、センサ素子10が環境温度にある場合、それが本質的に開回路のように見える、すなわち30メガオームよりも大きいインピーダンスを有するというようなものである。センサ10が、その動作温度にある場合、温度セル34/38/36のインピーダンスは、200オームから600オームまでの範囲にある値まで減少する。本発明は、較正用抵抗器94を温度セルと電気的に並列に電気的に接続することによって、このインピーダンス対温度特性を利用する。引き続き
図4を参照すると、較正用抵抗器は、
図1の分解図に示されるように、センサ素子10において、リード線74とリード線76との間に接続されて示される。リード線74は、リード線78と同様に、センサ回路84のグランドに接続される。結果として、感知素子10が
図4に示されるようにセンサ回路84に接続される場合、較正用抵抗器94は、温度セル34/38/36と電気的に並列に接続される。
【0047】
[50]好ましい実施形態では、較正用抵抗器94は、センサ素子10がその動作温度にある場合の温度セル34/38/36の最小予想インピーダンスの少なくとも100倍の抵抗値に設定される。これらの条件下では、温度セルインピーダンスと並列の較正用抵抗器94の存在によって、温度セルインピーダンスそれ自体について測定する場合(すなわち、並列の較正用抵抗器94がない場合)と比較して、最大1%のインピーダンス測定誤差という結果となる。
【0048】
[51]例示的な実施形態では、センサ素子10は、センサ素子10のための製造プロセス中に特徴付けられ、較正用抵抗器94は、センサ素子10の測定された性能特性に基づいて選択される固定値にトリミングされる。例えば、測定は、所定濃度のアンモニアガスにさらされるアンモニアセンサの出力電圧を特徴付けるために行われてもよく、較正用抵抗器94は、センサ素子10の測定されたアンモニア感度と所定の関係を有する抵抗値にトリミングされる。好ましい実施形態では、較正用抵抗器94は、センサ素子10上に積層される厚膜抵抗器であり、レーザートリミングは、較正用抵抗器94の抵抗をその目標値に調整するために使用される。他の調整可能な抵抗器手段(これには、研磨トリミングおよびヒュージブルリンクが含ふくまれるが、これらに限定されない)が、本発明の範囲から逸脱することなくレーザートリミングの代わりに使用されてもよい。
【0049】
[52]例示的な実施形態では、較正用抵抗器94は、最小のRminから最大のRmaxまでの範囲の値に調整可能である。ここで、比Rmax/Rminは、約4である。例えば、センサ動作温度において600オームのインピーダンスを有する温度セル34/38/36について、較正用抵抗器94は、60キロオーム(温度セルインピーダンスの100倍)の最小値Rminと、240キロオーム(Rminの4倍)の最大値Rmaxと、を有するように構成されてもよい。較正用抵抗器94のための抵抗値をこの範囲に有することによって、感知素子10がその動作温度にある場合に、温度セル34/38/36と並列の較正用抵抗器94は、温度セルインピーダンスの決定において、1%未満の抵抗誤差を生じさせることが確実になる。
【0050】
[53]温度セルと電気的に並列の較正用抵抗器94を有する排気センサを使用する例示的な方法では、較正用抵抗器94と温度セルとの並列組合せを表す抵抗は、センサ素子10がその動作温度を下回る温度にあるときに測定される。例えば、抵抗は、ヒータ60が通電されてセンサ素子10がその動作温度まで上昇される前に、車両キーオン時に測定されてもよい。上で提示される例(較正用抵抗器94が240キロオームの最大値Rmaxを有し、温度セルが環境温度において30メガオームよりも大きいインピーダンスを有する)では、較正用抵抗器94と並列の温度セルの存在によって、較正用抵抗器94それ自体を測定する場合(すなわち、並列の温度セル94がない場合)と比較して、較正用抵抗器94の抵抗測定への影響が1%未満になる。
【0051】
[54]代替実施形態では、VACは、抵抗率(インピーダンス)フィードバック信号を得るために、A/Fセル34/38/36よりもむしろアンモニア感知セル12/16/14に印加されてもよい。この代替実施形態では、較正用抵抗器94は、感知セル12/16/14と電気的に並列に配置されることになる。
【0052】
[55]例示的な実施形態を参照して本発明について説明されたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形がなされてもよく、等価物が、その要素のために置き換えられてもよいことは、当業者によって理解されるであろう。加えて、多くの変更が、本発明の本質的範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるためになされてもよい。したがって、本発明は、この発明を実施するために考えられるベストモードとして開示される特定の実施形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るすべての実施形態を包含することが意図されている。